第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

この経営方針、経営環境、対処すべき課題等には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。

 

(1)中期経営計画の進捗状況

2020年5月に公表した中期経営計画「変革と成長」の初年度である2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染拡大の中でも、プロジェクトの着実な推進と、事業環境の変化を踏まえた競争力のあるポートフォリオへの組み替え及び収益基盤の強化を図りました。主な進捗は以下のとおりです。

 

①プロジェクトの着実な推進及び強固な収益力の実現

新型コロナウイルスの影響下においても、全セグメントを通じて日常生活に不可欠な資源・素材・食料・サービスを安定的に供給し、定性・定量面で貢献しました。金属資源セグメントにおける当社最大の収益源である豪州鉄鉱石事業の鉱量維持・拡充、エネルギーセグメントでは米国Cameron LNG全系列生産開始、西豪州ガス田開発の最終投資決断、機械・インフラセグメントのIPP事業、化学品の農薬・農業資材事業等、当社の基幹事業における各種プロジェクトも着実に進展しました。更に、新型コロナウイルスにより高まった巣ごもり需要や、デジタル・セキュリティー需要をしっかりと取り込むことで収益力の向上につなげました。

新事業への挑戦においては、新しいビジネスをゼロから「つくる」ための子会社、Moon Creative Lab Inc.において20を超えるプロジェクトのインキュベーションが進行し、また、AI、ロボティクス、ビッグデータなどのデジタル技術を活用した既存事業の収益向上やビジネスモデル構築の取組みも加速させています。

 

②下方耐性強化への取組み

収益の下方耐性強化への取組みとして、事業性の再評価を実施し、ポートフォリオの組み替えを推進しました。金属資源セグメントでは、チリのカセロネス銅鉱山事業の売却、モザンビークのモアティーズ炭鉱/ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業の持分売却に合意した一方、チリのコジャワシ銅鉱山の権益を追加取得しました。エネルギーセグメントでは、脱炭素社会に向けて量より質を追求するE&P資産価値向上への戦略転換を実施しました。既存事業の再編として、国内ビジネスでは、生活産業セグメントにおいて中間流通機能子会社集約を目的とした三井物産流通ホールディングスの設立、三井製糖及び大日本明治製糖の統合による国内製糖業界再編、アパレル事業の合併検討、次世代・機能推進セグメントにおけるICT関連子会社の三井情報と三井物産エレクトロニクスの合併、米国ではエネルギーセグメントにおける石油・ガス事業での子会社再編等を実施しました。これら既存事業の再編・再構築を通じ、下方耐性及び競争力強化の取組みを加速させています。

2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で事業環境が大きく変化しましたが、コスト競争力向上のための構造改革の実施等、各事業で下方耐性の強化が進展しました。

 

③事業経営力強化・DX推進

昨年5月の新本社への移転をきっかけに、デジタル技術の一層活用やグループアドレス(組織ごとのフリーアドレス)の導入等を通じた社員の行動様式の変革に加え、成果へのコミットメントを念頭においた人事制度改定による社員の意識変革等、新型コロナウイルス感染収束後も見据えた次世代「働き方改革」を推進しています。また、グローバル・グループでの適材適所と総戦力化を図るべく、グローバル次世代リーダー育成プログラムを拡充したことに加え、当社経営理念(Mission、Vision、Values)に基づくグローバルでの共通の行動基準(Mitsui Leadership in Action)導入等進捗がありました。

事業経営力強化に向けて、社内事例に基づいた実践型研修を通じた事業経営人材育成のほか、新たに従業員向け株式報酬制度を導入するなど、関係会社の中長期的な経営目標の達成や事業価値向上へのコミットメントを後押ししていきます。また、社内管理指標としてROIC(*)を導入し、収益性や資本効率を一層意識した全社施策を推進しています。

(*)Return on Invested Capitalの略。

 

④財務戦略・ポートフォリオ経営の進化

新型コロナウイルスによる影響からの回復に向けた動きをしっかりと取り込み、堅調な鉄鉱石事業や素材・食料などのトレーディング、ICTやデジタル・セキュリティー事業の貢献により、基礎営業キャッシュ・フローは6,600億円の獲得となり、これに資産リサイクルにより獲得した1,450億円を合わせて8,050億円のキャッシュ・インとなりました。また、投融資案件の厳選及び既存事業維持費用の削減を徹底したことで投融資は4,450億円にとどまりました。強靭なキャッシュ創出力と資本効率の向上を意識し、1株当たり85円(5円増配)の年間配当と自己株式取得を通じた総額2,100億円の株主還元となりました。

 

⑤Strategic Focus

中期経営計画で注力する3つの事業領域における進捗は次のとおりです。

◇重点施策(a) エネルギーソリューション

気候変動への取組みとして、温室効果ガスの排出削減に向けたエネルギー転換に重要な役割を果たすLNGのプロジェクトであるロシアArctic LNG2及びモザンビークArea 1の開発進展に着実に取り組むとともに、国内初となるカーボンニュートラルLNGの供給も実施しました。また、米国カリフォルニア州での水素ステーション事業のFirstElement Fuel社、中国でのLanzaTech社とのバイオエタノール事業への取組みやバイオジェット事業のLanzaJet社への参画等次世代燃料分野への取組みに進捗がありました。国内外で太陽光・風力等の再生エネルギー事業への取組みを着実に進め、国内においては全ての事業所で使用する電力の実質CO2フリー化を決定しました。引き続き当社の強みである天然ガス・発電インフラ事業をプラットフォームとして活かしながら、これらビジネスを通じた取組みにより低炭素化社会の実現に貢献していきます。

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◇重点施策(b) ヘルスケア・ニュートリション

当社が推進する病院事業のIHHグループでは、新型コロナウイルスの影響により稼働率が低下しましたが、非接触化ニーズに応じたオンライン診療サービスを導入したことに加え、グループ集中購買によるコスト削減や病院間での連携強化を進めることで、グループ経営基盤強化を推進しました。また、「病院中心」から「個人中心」とした医療のパラダイムシフトが進む中、ヘルスケアデータを活用した成長基盤構築を進めました。更なる成長に向けて、政府・医療機関・製薬企業・保険者等とのグローバルネットワークを通じ、既存事業ポートフォリオが持つリアルな世界に先進デジタル技術を掛け合わせることで、アジア最大のウェルネスサービスプラットフォームの構築を目指します。

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◇重点施策(c) マーケット・アジア

当社が歴史的に強みを持つ資源・インフラ事業の維持・拡大に加え、新型コロナウイルスによる影響のある中においても資源・素材・食料・サービスの安定的な供給を果たしました。また、高い経済成長を牽引する中間所得者層を中心とする消費者向けビジネスの創出を目指し、インドネシアで金融・メディア・小売・不動産・ホスピタリティ・エンターテインメント・ライフスタイルを含む消費者関連事業を担う、大手財閥CT Corpグループの転換社債1,000億円の引受を本年4月に合意しました。CT Corpグループが持つ強固な事業基盤を梃子として、「伸びゆくアジアの消費者市場」を取り込み、また、両社が協働をすることにより、同社の企業価値向上と共同事業の創出を進めながら将来の上場も目指していきます。

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⑥サステナビリティ経営の実践/ESGの進化

中期経営計画期間では、「気候変動」、「サーキュラーエコノミー」、「ビジネスと人権」の3つを重要課題とし、一層のサステナビリティ経営の実践を進めています。中でも、「気候変動」について、2050年の「あり姿」としてのNet-zero emission、その「あり姿」に向けた道筋としての2030年GHG(温室効果ガス)インパクト半減の目標実現に向け、起点となる2020年のGHGインパクトを3,400万トンと定めました。上述のとおりStrategic Focusとしての「エネルギーソリューション」領域に積極的に取り組むとともに、2021年3月期に導入した社内カーボンプライシング制度の運用等を通じ、世界で多岐に亘るビジネスを展開する事業会社として、経済性を確保しながら、社会全体でのGHG排出量削減につながる取組みを全社的に促進していきます。

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ガバナンスの強化では、2020年3月期に実施した取締役会の実効性評価にて認識された課題への取組みとして、巨視

的なテーマのもと全体戦略を議論するための取締役・監査役フリーディスカッションの開催を年2回に増やし、「ESG及び当社マテリアリティを勘案した持続的な収益成長戦略」、「DX戦略」及び「Mitsui Engagement Survey(当社及び当社グループ社員を対象としたEngagementに関するアンケート)」について議論しました。また、各諮問委員会の役割期待を一層明確化するとともに、取締役会運営上の対応強化として、取締役会資料及び事前ブリーフィングの充実化等、情報提供の質を更に高めることで、より活発な取締役会での議論につなげるなど、取締役会の実効性の更なる向上を図りました。

 

(2)経営環境

全般

注:本項目は、2021年4月の決算公表時点の経営環境認識を掲載したものであり、当社の現在の経営環境認識と異なる記載が含まれている場合があります。

当連結会計年度の世界経済は、年度当初は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて多くの国で外出制限など経済活動の制限が広範に行われたことから急速かつ大幅に落ち込みましたが、その後は感染拡大の状況に応じて断続的に経済活動の再開が進められたことに加え、米国など主要国で大規模な家計や企業への支援や金融面での対応が講じられたことにより、全体として持ち直しへ向かいました。

米国では、バイデン新政権による大型の経済対策やワクチン接種の進展により、景気回復の動きが強まることが期待されます。欧州では、感染再拡大に伴う活動制限が続き、英国以外の主要国ではワクチン普及のペースが緩慢なことから景気回復の遅れが懸念されます。日本では、輸出は回復基調にあるものの、新型コロナウイルスの再拡大や世界的な半導体不足による自動車減産の影響も懸念されることから、本格的な回復はワクチン接種が進展する夏以降になると見込まれます。中国では、輸出の増加に加え、投資や個人消費も回復しており、感染拡大前の経済成長率を上回ると予想されます。ロシアやブラジルでは輸出や個人消費の回復が続いているものの、ブラジルでは依然として感染拡大に歯止めがかからず、景気回復の足枷になることが懸念されます。

先行きは主要国での追加経済対策に加えてワクチンの普及が世界経済の回復を後押しすると考えられます。早期に感染拡大を抑え込んだ中国はすでに回復軌道にあり、大規模な財政拡大を行っている米国も今年前半には感染拡大前の水準を取り戻すとみられます。その後、日本は年末にかけて、欧州も来年には、感染拡大前の水準に戻っていくものとみられます。

 

②鉄鋼製品セグメント

新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国が牽引し、2020年暦年の世界の粗鋼生産は前年比ほぼ横ばいの約19億トンとなりました。世界の粗鋼生産の半分を占める中国を中心に過剰能力は解消されていないものの、強い中国需要と世界経済の回復を背景に市況は改善しました。然しながら、国内を中心に製鉄業再編が進展し、鋼材流通分野でも更なる業界再編が生じる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染再拡大による鋼材需要への影響も注視が必要です。

中長期的には、国内の鉄鋼市場は人口減少などにより縮小する一方で、アジアを牽引役として海外では鉄鋼需要は増加していく見通し、また地産地消化や脱炭素社会へ向けた動きが加速する中で、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。

 

③金属資源セグメント

新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国での需要回復や、米国など主要国での経済の持ち直しを受け、鉄鉱石・銅を中心に市況は好調を維持しています。鉄鋼や非鉄金属は産業の基幹素材であり、世界経済の成長及び低炭素社会の形成にあたり、その原料に対する需要は長期的な伸びが見込まれます。一方、開発・生産コストの上昇や既存鉱山の枯渇や品位悪化に加え、優良未開発案件には限りがあるため、供給が追いつかず、長期的には需給は逼迫していく見込みです。鉄鋼需要は鈍化するシナリオもありますが、引き続きコスト競争力のある原料の安定供給が求められます。また、環境負荷低減ニーズが加速する中、原料のリサイクル、グリーン素材、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量削減などへの要請が高まっています。

 

④エネルギーセグメント

新型コロナウイルス感染拡大によるエネルギー需要の減少や消費者の行動様式の変化、主要産油国の協調減産体制等の需給動向については慎重に見極めていく必要がありますが、中長期的には世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も増加する見込みです。一方で気候変動問題への政策導入等で将来的なエネルギー構成は様々な見方があり、Cleaner Energy(エネルギーのクリーン化)とMore Energy(エネルギーの量の確保)を両立する必要は高まっています。よって、低・脱炭素社会実現に向け、当社らしいエネルギートランジションを推進すること、開発案件の着実な立ち上げと既存事業の価値最大化を通じ、競争力ある優良資産のポートフォリオを構築することが基本戦略の重要な柱となります。

原油市況は、中長期的には需要が増加する一方で、供給面では新規上流投資抑制による開発鈍化や、より高コストの油田開発に移行していく必要性などにより、緩やかな上昇基調を見込んでいます。一方で、新型コロナウイルス感染拡大の長期化や、EVの急速な普及や環境規制の強化などによる原油需要の減少に関しては、影響を見極めていく必要があります。

LNGは、新興輸入国の市場拡大や、大気汚染物質や温室効果ガスの排出係数が相対的に低い特性から堅調が堅調に伸長すると見込まれる中、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により新規プロジェクトの開発計画や最終投資決断が軒並み遅延しており、2025年頃迄は需給がタイトな期間が続く見込みです。

E&P及びLNGプロジェクトを含む上・中流事業では、主体的な取組を強化し、温室効果ガス削減等の環境対応や資本効率向上等にも取り組み、下方耐性の強化を継続的に進めていきます。又、事業価値最大化に資するLNG販売ポートフォリオの拡充・良質化の取組も継続します。

また、各国政府が新型コロナウイルスからの経済復興策としてのグリーンエネルギーの導入促進を打ち出し、再生可能エネルギーの更なる普及、よりクリーンな燃料への転換、モビリティの電動化や水素燃料電池自動車の普及等、気候変動対応事業が新たな成長領域へと変貌する中、総合エネルギーサービス事業と次世代燃料事業を柱としたエネルギーソリューション分野における取組ニーズが拡大、加速すると見ています。

 

⑤機械・インフラセグメント

新型コロナウイルス感染症に起因した景気悪化・需要鈍化は回復基調にあり、中長期的に人口増加・経済発展の著しい新興諸国では電力・物流・通信などの基幹インフラ整備の需要が、先進国ではインフラ老朽化による改修需要が、根強く存在しています。また、ESG意識の高まり、技術革新、デジタル経済進展、資本市場の資金余剰、AI・IoT加速、巨大デジタルプラットフォーマー台頭により産業構造は更に変化を続けています。

電力分野では、新型コロナウイルス感染拡大による需要鈍化は徐々に戻りつつあり、加え、脱炭素化の加速により再生可能エネルギーへの需要増加が更に加速しています。また、「低炭素社会化」「DX」の融合による電力エネルギー分野の分散化・サービス化や、モビリティ分野に代表される複数分野に跨るNew Downstream領域は今後高い成長が見込まれます。

物流分野では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い全世界的な貿易量の減少に見舞われましたが、既に回復傾向にあり、中長期的には新興国を中心とする中間層の増大により内需・消費の増大が見込まれ、物流インフラニーズは底堅いと見られています。

通信分野では、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした新たな生活様式が、データ通信量の増加を更に加速化しており、これを支えるデジタルインフラも持続的な需要増加が見込まれます。

モビリティ領域では、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年前半には世界各国でロックダウン等による生産停止が相次ぎ、自動車新車販売が一時的に対前年比でほぼ半減しました。その後、世界の自動車需要は急回復したものの、今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足が世界的に顕著な影響を及ぼし、自動車メーカー各社は再び減産を余儀なくされ、回復の早いメーカーと依然として厳しい状況のメーカーの二極化が進みました。また、航空及び鉄道の旅客減の厳しい状況は継続、一方で、社会インフラを支えるエッセンシャルビジネスである建設機械・鉱山機械の需要は、アジア・北米・中南米を中心に回復、今年後半には新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻る見通しです。

斯かる環境下、各事業会社において、コスト削減や各種効率化等の取組みを通じリーンな経営を追求する動きが進みました。今後は、こうした短期的対応施策を継続しつつ、中・長期的なポスト・コロナを意識した取組みがより一層必要になると見込まれます。例えば、新型コロナウイルス感染拡大でサプライチェーンの課題が顕在化したことや、生活場所の変化やそれに伴う移動機会減といったニューノーマルの常態化を受けて、様々な新たなニーズが生まれてきています。
また、マストランジット・公共交通の需要減少、パーソナルモビリティの需要増加が進むと考えられ、生産性向上や労働力不足解消に向けた「デジタル化」や「自動化」など技術革新の動きもこれまで以上に活発化する見通しです。加えて、環境規制の強化やESG意識の高まり等を受けて、地球環境保全に資する省エネ・新燃料・電動化など、輸送・移動インフラのサービス需要は更に拡大すると見られます。

新領域では、宇宙空間を活用した事業機会や周辺サービス需要の拡大が見込まれ、最終需要家へのサービスを軸としたプラットフォームを提供するモビリティの市場拡大が進むものと見ています。

 

⑥化学品セグメント

気候変動含むサステナビリティが一層重要になっており、サーキュラーエコノミーの確立やカーボンマネージメントが化学産業にとって必須の課題となっています。またガソリン需要の成長鈍化を背景として、製油所が化学品製造にシフトする「Oil to Chemical」の動きが加速化しており、トレードフロー含む市場構造の一層の変化が予想されています。

パフォーマンスマテリアルズ領域では、循環型・低炭素社会の実現に向けた素材分野での技術革新や各種規制の導入、健康・生活の質の向上に向けた消費者ニーズの変化、AI、5Gなどの新たなデジタル技術の社会実装の進展に着目しています

農業化学やウェルネス・栄養科学の領域では、世界的な人口増加・経済成長に伴う食料増産ニーズや、中間所得者層の増加や健康意識の高まりに伴う食の高付加価値ニーズが増大し、市場は引き続き拡大することが見込まれます。

食料、農業関連等のエッセンシャルビジネスは堅調に推移しましたが、新型コロナウイルスの影響は国、地域、製品によって様々であり、コロナ禍からの世界的な回復にはまだ時間がかかる見込みです。デジタル化の進展等、新型コロナウイルス感染症を奇貨とした生活様式の変化にも注目しています。

 

⑦生活産業セグメント

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により消費者需要が減退しましたが、ワクチンが普及するに従い景気は回復に向かい、食料領域では世界的な人口増加を背景に食糧需要は今後も持続的に増加すると見込んでいます。新興国では、人口増・所得増により引き続きたんぱく質や嗜好品の消費拡大が見込まれます。先進国では、健康意識や環境意識の高まりから、機能性食材や脂質・糖質の代替食材、食の安心といったニーズの多様化・高度化が進むと見ています。また気候変動による減産や生産適地の変化が懸念される中、生産技術革新による生産性向上や環境負荷低減、食糧資源の確保と安定供給へのニーズが一層高まると予想されます。

リテール領域では、国内市場で少子高齢化や人口減少により消費は緩やかに減速する見通しである一方、DXの加速、生活行動様式の変化に伴う消費者の購買行動の変化を受け、ファッションEC、フードデリバリー、ネットスーパー等、EC市場が急拡大しています。ミレニアル世代・Z世代をはじめとする消費者の「健康・環境・サステナビリティ」への関心の高まりを背景に、商品・サービスに求められる質も大きく変化しています。海外では、生産拠点の中国からアジア諸国へのシフトが加速しています。

ヘルスケア・ウェルネス分野においては、アジア新興国の人口増加と成熟国の高齢化、経済発展に伴う慢性疾患の増加による疾病構造の変化に伴い、医療費支出の増加が継続しています。また、中間所得層の増加や新型コロナウイルス感染拡大を契機に、人々の健康意識は一層高まるとともに、膨張する医療費の抑制やデジタル技術の活用が求められています。今後はオンライン診療の導入、ヘルスケアデータやAIの活用等デジタル技術による変革、医療費適正化に向けたアウトカム起点への移行、未病・予防を含むウェルネス分野へのサービスの拡がりがさらに加速化していくものと見ています。

 

⑧次世代・機能推進セグメント

ICT事業分野においては、IoT/AI・クラウドの普及、消費者サービスの変革など、社会のデジタル化によって多種多様なデータが生み出され、それを価値あるサービスに結び付ける取組みが求められています。また、新型コロナウイルスの影響によりライフスタイルや働き方が大きく変化する中、人々の非接触化による新たなサービスが生まれてくると共に、サイバーセキュリティリスクの高まりに対し、より高度な対策が求められています。

コーポレートディベロップメント分野においては、テクノロジーの進化や環境との調和に対する意識の高まりなどによる投資環境の変化が連続する中で、マクロ経済や株式市場、コモディティの市況変化を意識した投資判断の重要性が増大しています。また、消費活動のEC化の加速に伴い、フルフィルメント機能のニーズ拡大が見込まれます。

 

(3)2022年3月期事業計画

2022年3月期は中期経営計画の重点施策を継続的に推進し、基礎営業キャッシュ・フロー6,800億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)4,600億円を計画します。これは、いずれも昨年公表した中期経営計画2023における最終年度の目標を上回るものです。絶え間ない「変革と成長」を通じ中期経営計画の定量目標の前倒しの達成を狙うとともに、更なる高みを目指します。

 

①2022年3月期アクションプラン

新型コロナウイルスの影響下においても必需品の安定供給に貢献した素材・食料等のトレーディング機能の強化を進めるほか、既存の強いコア事業を徹底的に強化し、周辺事業を有機的に連携させることで規模感のある収益群を構築していきます。また、引き続き、中期経営計画でStrategic Focusと定めたエネルギーソリューション、ヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジアの各領域での取組みや、DXを活用した新規事業創出など、成長機会の創出に取り組みます。

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②プロジェクトの着実な推進と収益貢献/国内ビジネス強化

2022年3月期には、金属資源、機械・インフラ、化学品などのプロジェクトの立ち上がりが見込まれます。案件の着実な立ち上げに万全を期すことで収益基盤の強化を進めます。

また、日本国内のビジネスも、業界再編の推進、有力企業とのパートナリング、当社人材の戦略的配置など取組みを加速します。

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③キャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通し(中期経営計画3年間累計)

2021年3月期の実績と今後の見通しを踏まえて、昨年5月に公表した中期経営計画3年間累計のキャッシュ・フロー・アロケーションをアップデートしました。

主に基礎営業キャッシュ・フローの増加を反映しキャッシュ・インは拡大する見込みの一方、投資決定済み・既存事業維持を中心とする投融資総額は、設備投資の削減、投資実行の確度を踏まえて再精査した結果、1.5兆円に収まる見込みであり、成長投資及び株主還元への更なる配分余力を見込んでいます。

中期経営計画期間中、既に自社株買いに1,400億円を配分しましたが、増配に400億円を追加配分し、2021年4月公表のCT Corpグループの転換社債引受を含めて成長投資に1,500億円を配分します。

引き続き、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元へ柔軟で戦略的な資金配分を実行します。

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④利益配分に関する基本方針

株主還元策については第4 提出会社の状況 3「配当政策」を参照願います。

 

(4)2022年3月期連結業績予想

①2022年3月期連結業績予想

 

[業績予想の前提条件]

予想

実績

期中平均米ドル為替レート

105.00

105.94

原油価格(JCC)

61ドル

43ドル

期ずれを考慮した当社連結決算に反映される原油価格

59ドル

46ドル

 

単位:億円

2022年3月期

業績予想

2021年3月期

実績

増減

増減要因

売上総利益

8,200

8,115

+85

 

販売費及び一般管理費

△5,900

△6,064

+164

減損損失反動

有価証券・固定資産

関係損益等

0

△544

+544

減損損失反動

利息収支

△300

△321

+21

 

受取配当金

1,200

1,037

+163

金属資源・エネルギー

持分法による投資損益

2,800

2,279

+521

機械インフラ・生活産業

鉄鋼製品

法人所得税前利益

6,000

4,502

+1,498

 

法人所得税

△1,300

△998

△302

 

非支配持分

△100

△149

+49

 

当期利益

(親会社の所有者に帰属)

4,600

3,355

+1,245

 

 

 

 

 

 

減価償却費・無形資産等償却費

3,000

2,736

+264

 

 

 

 

 

 

基礎営業キャッシュ・フロー

6,800

6,581

+219

 

 

・2022年3月業績予想は、国や地域間の格差はあるものの、世界経済は回復に向かう前提で算出しております。2021年3月期に中長期的な商品価格や需要の引下げによる減損損失を計上した金属資源セグメント、機械・インフラセグメント及びエネルギーセグメントでは、その反動を見込んでおります。また、新型コロナウイルス感染症による需要の減退や稼働率低下がみられた鉄鋼製品セグメントや生活産業セグメントにおいてもその回復を見込み、2022年3月業績予想を算出しております。

為替レートは2021年3月期の105.94円/米ドル、76.71円/豪ドル及び19.46円/伯レアルに対し、2022年3月期はそれぞれ105円/米ドル、80円/豪ドル及び19円/伯レアルを想定します。また、2022年3月期の原油価格(JCC)を61米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の連結決算に適用される原油価格の平均を59米ドル/バレル(2021年3月期比13米ドル/バレル上昇)と想定します。

 

オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。

 

 

(単位:億円)

2022年3月期

業績予想

2021年3月期

実績

増減

増減要因

鉄鋼製品

100

21

+79

COVID19影響反動

金属資源

2,600

1,799

+801

減損損失反動

エネルギー

500

272

+228

原油ガス価格上昇・

減損損失反動

機械・インフラ

800

459

+341

COVID19影響反動

化学品

400

435

△35

 

生活産業

200

127

+73

COVID19影響反動

次世代・機能推進

300

502

△202

FVTPL益反動

その他/調整・消去

△300

△260

△40

 

連結合計

4,600

3,355

+1,245

 

 

オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。

 

(単位:億円)

2022年3月期

業績予想

2021年3月期

実績

増減

増減要因

鉄鋼製品

50

20

+30

 

金属資源

2,900

3,081

△181

豪ドル高・税金負担

エネルギー

1,700

1,232

+468

原油・ガス価格上昇

機械・インフラ

1,000

787

+213

COVID19影響反動

化学品

550

625

△75

 

生活産業

300

198

+102

COVID19影響反動

次世代・機能推進

300

551

△251

FVTPL益反動

その他/調整・消去

0

87

△87

 

連結合計

6,800

6,581

+219

 

 

② 2022年3月期連結業績予想における前提条件

2022年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。

 

価格変動の2022年3月期

当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額

2022年3月期

前提

 

2021年3月期

実績

市況商品

原油/JCC

61

 

43

連結油価(*1)

25

億円(US$1/バレル)

59

 

46

米国ガス(*2)

11

億円(US$0.1/mmBtu)

2.74

 

2.13(*3)

鉄鉱石(*4)

22

億円(US$1/トン)

(*5)

 

128(*6)

石炭

原料炭

4

億円(US$1/トン)

(*5)

 

119(*7)

一般炭

1

億円(US$1/トン)

(*5)

 

69(*7)

銅(*8)

7

億円(US$100/トン)

7,650

 

6,169(*9)

為替(*10)

米ドル

26

億円(\1/米ドル)

105.00

 

105.94

豪ドル

24

億円(\1/豪ドル)

80.00

 

76.71

伯レアル

2

億円(\1/伯レアル)

19.00

 

19.46

 

(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2022年3月期には約35%が4~6ヵ月遅れで、約60%が1~3ヵ月遅れで、約5%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は、連結油価に対する年間インパクト。

(*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対するものではなく、加重平均ガス販売価格に対するインパクト。

(*3) 米国ガスの2021年3月期実績欄には、2020年1月~12月のNYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの直近限月終値のdaily平均値を記載。

(*4) Valeからの受取配当金に対する影響は含まない。

(*5) 鉄鉱石・石炭の前提価格は非開示。

(*6) 鉄鉱石の2021年3月期実績欄には、2020年4月~2021年3月の複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaのdaily平均値(参考値)を記載。

(*7) 石炭の2021年3月期実績欄には、対日代表銘柄石炭価格(US$/MT)の四半期価格の平均値を記載。

(*8) 銅価格は3ヶ月遅れで当社連結業績に反映される為、上記感応度は2021年3月~12月のLME cash settlement price平均価格がUS$100/トン変動した場合に対するインパクト。

(*9) 銅の2021年3月期実績欄には、2020年1月~12月のLME cash settlement priceのmonthly averageの平均値を記載。

(*10)上記感応度は、各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益に対するインパクト及び一部海外出資先からの受取配当金の影響。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。関係会社における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。

 

) 経営成績に対する外国為替相場の影響について

2020年3月期及び2021年3月期の海外の連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計はそれぞれ3,505億円及び3,384億円です。これらの海外所在の連結子会社及び持分法適用会社の機能通貨は、主として米ドル、豪ドル、伯レアルです。2022年3月期連結業績予想の当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する為替変動の影響について、当社は簡便的な推定を行っています。

(a)具体的には、業績予想策定の過程で、海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を各社の機能通貨別に集計し、まず豪ドル、伯レアル建ての予想当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計額を算出するほか、両通貨以外の機能通貨を使用する関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を全て米ドル相当額に換算しました。これら3つの通貨別に表示された海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)に一部の海外出資先からの通貨別の配当金を合計した金額に対して為替変動の影響を評価しました。これによれば米ドルに対する円高は、1円当たり26億円程度の当期利益(親会社の所有者に帰属)の減少をもたらすと試算されます。また、豪ドル及び伯レアルに対する円高の影響は、1豪ドル及び1伯レアル当たりでそれぞれ1円の円高で24億円及び2億円の減益となります。

(b)なお、豪ドルを機能通貨とする資源・エネルギー関連生産会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)は、両通貨と契約上の建値通貨である米ドルとの間での為替変動の影響を大きく受けます。この影響額は、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。

(c)但し、資源・エネルギー関連生産会社などでは、一部において、販売契約の契約通貨である米ドルと機能通貨の為替ヘッジを行っているほか、外貨建の当期利益(親会社の所有者に帰属)の円貨相当評価に係る為替ヘッジを行っている場合があります。これらの影響額についても、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。

 

2【事業等のリスク】

 

当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、また相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。

 

(1)事業投資リスク

当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、様々な事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。

また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、

・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。

・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。

こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の多くにおいて、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替を行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット(注)として定期的にモニタリングするとともに、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、リスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。

(注)リスクアセットは、営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額です。

 

(2)カントリーリスク

当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。

更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、

・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投資を推進しています。

・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投資を推進しています。

・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投資を推進しています。

そのため、カントリーリスクについては、各国輸出信用機関によるファイナンスなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。

また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。

 

(3)気候変動に関するリスク

国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。

短期的に発現する可能性が高い物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生するハリケーンやサイクロンは、当社及び連結子会社が行う操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生産現場、出荷のための鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先が甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクがあります。当社及び連結子会社各社において、保険付保、危機管理方針策定、設備を増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しています。

・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課などの排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は、当社及び連結子会社が出資する温室効果ガス排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給に変化が生じる可能性があるほか、保有権益の価値毀損など、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

・資金調達リスク:金融機関・保険会社の脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。

国際エネルギー機関(IEA)などの複数の気候変動シナリオを参考に、事業への影響を分析していますが、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、2℃シナリオ下でも継続的に収益の維持・向上が可能な資産ポートフォリオを2030年までに構築すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指します。

更に当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組の促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入しました。新規事業案件につき、2℃シナリオでの影響の分析、ならびに対策の妥当性等が、案件審査の一要素に追加されました。同制度は既存事業のリスク評価にも活用されています。

 

(4)商品価格リスク

原油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。

価格変動は、当社連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2022年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により25億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により22億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2022年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。

そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。

2021年3月期は新型コロナウイルスの拡大を含む諸影響により、商品市況に変動が生じましたが、策定されたリスク管理方針に沿って取り組んだ結果、トレーディング事業における短期的な価格変動による重要な損失はありませんでした。

また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジ会計を行っています。

詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」を参照願います。

また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。

・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)為替リスク

当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

2022年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により26億円、豪ドル/円で1円の変動により24億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2022年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。

当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しております。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っております。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しております。

当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジ会計を行っております。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジ会計を行っております。

詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」を参照願います。

 

(6)保有上場株式の株価リスク

当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しております。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆801億円保有しており、総資産の8.6%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しております。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。

詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」を参照願います。

 

(7)与信リスク

当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。

当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は1兆8,120億円であり、総資産の14.5%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は222億円となっています。

様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。

そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しております。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示(6)リスク関連」を参照願います。

2021年3月期は新型コロナウイルスの拡大の影響により、複数の取引先より支払い条件や期日の見直しの要請がありましたが、上記方針に沿って取り組んだ結果、経営成績への重要な影響はありませんでした。当社及び連結子会社の財政状況への影響は限定的です。

しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)資金調達に関するリスク

金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。

資金調達及び格付けについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。

 

(9)オペレーショナルリスク

当社及び連結子会社は、鉄鋼製品、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、当社を中心として全世界に広がる事業拠点とその情報力を活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなど各種事業を多角的に行っており、更には資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代電力やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出などの幅広い取組みを展開しております。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。

 

(10)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク

当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。

当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部による継続的且つ繰り返しメッセージを発信、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成、コンプライアンス違反に対する厳正な対処等、さまざまな取り組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4.「コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制を参照願います。

しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク

通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。

2021年3月期は新型コロナウイルスの拡大の影響により、全世界的な在宅勤務を余儀なくされましたが、数年前から取り組んできたデジタル環境整備が功を奏し、円滑なテレワークの導入が可能となり、当社及び連結子会社における事業継続の安定性を担保いたしました。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク

当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な移動制限等は、当社および連結子会社が営む様々な分野における需要と供給、商品市況に大きく影響を与え、2021年3月期当社業績は前年対比で減益となりました。当社では、ワクチンの世界的な普及に伴い感染症が徐々に縮小傾向に向かう前提の下、2022年3月期業績予想を公表しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症からの経済回復のテンポには地域格差・業種間格差があり、また、ワクチン普及の遅れや、想定外の変異種の拡大等により感染が再拡大した場合には、業績の回復スピードが遅れる可能性があります。また、需要の減少が中長期的に継続する場合は、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルを予め策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。

・当社固有のリスクではない、一般的なリスク

 

- 世界マクロ経済環境の変化によるリスク

世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

- 法的規制に関するリスク

当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。

当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。

当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。

 

- 競合リスク

当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

- 人的資源の制約に関するリスク

新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・リスクとして認識はしているが、影響に重要性がないもの

- 金利リスク

当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。

 

- 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク

国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

確定給付費用については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」を参照願います。

 

・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

この財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでいます。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要因により、当社及び連結子会社の実際の業績は、これらの予測情報から予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。

なお、経営上の目標の達成状況については、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)中期経営計画の進捗状況」を参照願います。

 

(1)業績等の概要

①業績

「(4)経営成績に係る検討と分析 ②オペレーティング・セグメント情報」を参照願います。

②キャッシュ・フロー

「(5)流動性と資金調達の源泉 ⑥キャッシュ・フローの状況」を参照願います。

 

 

(2)仕入、成約及び売上の状況

①仕入の状況

各オペレーティング・セグメントにおいて、仕入高と売上高との差額は売上高に比べ僅少であるため、記載は省略しております。

②成約の状況

各オペレーティング・セグメントの成約高と売上高との差額は僅少であるため、記載は省略しております。

③売上の状況

「(4)経営成績に係る検討と分析」及び連結財務諸表注記事項6.「セグメント情報」を参照願います。

(注) 当社グループは、総合商社である当社を中心とした事業活動を展開しており、受注生産形態をとらない事業が多いことから、生産、受注及び販売の状況に替え、仕入、成約及び売上の状況としております。

 

 

(3)経営者の検討における重要な指標について

当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、2「事業等のリスク」に述べる各項目の影響を受けますが、当連結会計年度末において当社の経営者は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の指標が有用であると考えます。

売上総利益、持分法による投資損益及び当期利益(親会社の所有者に帰属)

当社及び連結子会社は様々な商品と地域にわたる幅広い事業活動を展開し、そのリスク・リターンの形態も仲介取引から金属資源・エネルギーの権益事業まで多岐にわたります。当社及び連結子会社の経営成績及び事業の進捗を把握する上で、オペレーティング・セグメント別の売上総利益、持分法による投資損益及び当期利益(親会社の所有者に帰属)の変動要因に係る分析を重視しています。

②金属資源・エネルギーの価格及び需給の動向

当社及び連結子会社の経営成績に占める金属資源・エネルギー関連事業の重要性が高いことから、金属資源・エネルギーの市況及び持分生産量は、経営成績の重要な変動要因になります。金属資源・エネルギーの価格及び需給の動向に関する詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」及び「(4)経営成績に係る検討と分析 ③金属資源セグメント及び④エネルギーセグメントの該当箇所を参照願います。

③キャッシュ・フロー水準、資本効率及び財務レバレッジ

中期経営計画(2020年5月公表)において、基礎営業キャッシュ・フローをキャッシュ創出力を測定し資金再配分の原資を示す重要な経営指標としております。

当社は、資本効率と資金調達に係わる安定性の観点から、株主資本(*1)の水準及び、親会社所有者帰属持分利益率(ROE)並びに負債・資本構成の方針を定期的に策定し、その履行状況を検証しています。同時に個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から株主資本の規模を検証しているほか、既存の有利子負債の再調達に加え、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、財務レバレッジに留意しています。当社の資本管理については連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」を、財務戦略については「(5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。

(*1)連結財政状態計算書の親会社の所有者に帰属する持分合計を指します。

(4)経営成績に係る検討と分析

①連結損益計算書項目

 

(単位:億円)

当期

前期

(修正再表示後)

増減

収益

80,102

84,841

△4,739

売上総利益

8,115

8,394

△279

販売費及び一般管理費

△6,064

△5,849

△215

その他の

収益・費用

有価証券損益

79

251

△172

固定資産評価損益

△529

△1,108

+579

固定資産処分損益

46

95

△49

雑損益

△139

385

△524

金融

収益・費用

受取利息

199

414

△215

受取配当金

1,037

965

+72

支払利息

△519

△896

+377

持分法による投資損益

2,279

2,692

△413

法人所得税

△998

△1,230

+232

当期利益

3,504

4,113

△609

当期利益(親会社の所有者に帰属)

3,355

3,915

△560

(*) 四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。

 

収益

IFRSに従い、履行義務の識別にあたっては、本人か代理人かの検討を行っており、自らの約束の性質が、特定された財またはサービスを自ら提供する履行義務である場合には、本人として収益を対価の総額で認識しており、それらの財またはサービスが他の当事者によって提供されるように手配する履行義務である場合には、代理人として収益を手数料または報酬の額もしくは対価の純額で認識しております。詳細は連結財務諸表注記事項2.「連結財務諸表の作成基準並びに重要な会計方針の要約 (5)重要な会計方針の要約」を参照願います。

 

・収益は8兆102億円となり前期の8兆4,841億円から4,739億円の減少となりました。

尚、当期より一部の取引について、「収益」と対応する「原価」を総額表示しております。また、これに合わせて、前期についても修正再表示しております。この見直しによる売上総利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)、親会社の所有者に帰属する持分に影響はありません。詳細は、「連結損益計算書の(注)」を参照願います。

 

売上総利益

・主に、エネルギーセグメント、機械・インフラセグメント、生活産業セグメントで減益となった一方、次世代・機能推進セグメント、金属資源セグメント、化学品セグメントで増益となりました。

 

販売費及び一般管理費

変動の内訳を社内管理上の費目別に見ると以下のとおりです。

 

 

 

 

(単位:億円)

費目別内訳

人件費

福利費

旅費

交通費

交際費

会議費

通信情報費

当期

△2,969

△92

△70

△17

△464

前期

△2,988

△104

△275

△61

△441

増減額(*)

+19

+12

+205

+44

△23

 

費目別内訳

借地借家料

減価償却費

租税公課

損失評価

引当金繰入額

諸雑費

合計

当期

△87

△367

△124

△806

△1,068

△6,064

前期

△93

△419

△133

△313

△1,022

△5,849

増減額(*)

+6

+52

+9

△493

△46

△215

(*)△は負担増

 

変動の内訳をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

オペレーティング

・セグメント

鉄鋼製品

金属資源

エネルギー

機械・

インフラ

化学品

生活産業

次世代・

機能推進

当期

△220

△723

△472

△1,329

△955

△1,294

△637

前期

△272

△416

△445

△1,334

△1,019

△1,393

△645

増減額(*)

+52

△307

△27

+5

+64

+99

+8

 

オペレーティング

・セグメント

その他/

調整・消去

合計

当期

△434

△6,064

前期

△325

△5,849

増減額(*)

△109

△215

(*)△は負担増

 

その他の収益・費用

有価証券損益:

当期は、主に機械・インフラセグメントで有価証券売却益を計上した一方、金属資源セグメント及び機械・インフラセグメントで減損損失を計上しました。

・前期は、主に機械・インフラセグメント、生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで有価証券利益を計上しました。

 

固定資産評価損益:

・当期は、主にエネルギーセグメント及び機械・インフラセグメントで固定資産評価損を計上した一方、次世代・機能推進セグメントでは減損損失戻入益を計上しました。

・前期は、主にエネルギーセグメント、生活産業セグメント及び機械・インフラセグメントで固定資産評価損を計上しました。

 

雑損益:

・当期は、金属資源セグメント及び機械・インフラセグメントにおける貸付金に係る損失、金属資源セグメントでの為替関連損益、エネルギーセグメントにおける資産除去債務に係る費用があった一方、化学品セグメントの北米の事業において保険金を計上しました。

・前期は、化学品セグメントの北米の事業において保険金を計上したほか、次世代・機能推進セグメントにおいて、デリバティブ評価益、機械・インフラセグメントの保険金の未収計上等、生活産業セグメントのマンション管理事業売却益を計上しました。

金融収益・費用

受取配当金:

主に、金属資源セグメントで増加した一方、エネルギーセグメントで減少しました。

 

持分法による投資損益

主に、エネルギーセグメント、生活産業セグメント及び鉄鋼製品セグメントで減益になった一方、金属資源セグメント及び機械・インフラセグメントで増益となりました。

 

法人所得税

・法人所得税は998億円の負担となり、前期の1,230億円の負担から232億円の負担減となりました。当期において、エネルギーセグメントにおける米国子会社群の再編に伴い繰延税金資産を認識した結果、390億円の利益を計上しました。

・当期の実効税率は22.2%となり、前期の23.0%から、0.8ポイント減少しました。金属資源セグメントおいて、税効果を認識しない減損損失による実効税率の上昇があったものの、その一方で上記エネルギーセグメントでの繰延税金資産の認識や配当に伴う持分法適用会社への投資に係る繰延税金負債の取崩しによる実効税率の押し下げがあったことから、法人所得税の負担割合が減少しました。

 

当期利益(親会社の所有者に帰属)

・上記の結果、前期から560億円減益の3,355億円となりました。尚、新型コロナウイルス感染症の影響については、③新型コロナウイルス感染症の影響 をご参照ください。

 

② オペレーティング・セグメント情報

オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
なお、当期より機械・インフラセグメントの次世代電力事業の一部をエネルギーセグメントへ移管しております。この変更に伴い、前期のオペレーティング・セグメント情報を修正再表示しております。

 

鉄鋼製品

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

21

47

△26

 

売上総利益

212

246

△34

 

持分法による投資損益

43

131

△88

 

受取配当金

14

19

△5

 

販売費及び一般管理費

△220

△272

+52

 

その他

△28

△77

+49

 

・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。

- 当期において、Gestamp事業会社にて自動車生産減少に因る操業率の低下、為替変動の影響及びコスト構造改革に関する一時的コストを主因に91億円の減益

 

金属資源

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

1,799

1,833

△34

 

売上総利益

2,512

2,260

+252

 

持分法による投資損益

704

592

+112

 

受取配当金

598

252

+346

 

販売費及び一般管理費

△723

△416

△307

 

その他

△1,292

△855

△437

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- 豪州鉄鉱石事業は、販売価格の上昇を主因に543億円の増益

- 豪州石炭事業は、販売価格の下落を主因に302億円の減益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- 豪州鉄鉱石事業は、販売価格の上昇を主因に108億円の増益

- チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiは、販売価格の上昇と販売数量の増加を主因に61億円の増益

- 豪州石炭事業は、販売価格の下落を主因に減益

- モザンビーク共和国のナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、当期において38億円、前期において51億円の減損損失をそれぞれ計上

・受取配当金は、Vale、豪州鉄鉱石事業からの受取配当金増加を主因に増益になりました。

・販売費及び一般管理費の増加の主因は以下のとおりです。

- モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、当期において359億円、前期において98億円の融資に係る減損損失をそれぞれ計上

- 当期において、カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileの持分譲渡契約を締結したことを受け、融資に係る減損損失83億円を計上

・上記のほか、以下要因がありました。

- モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、当期において192億円、前期において28億円の減損損失をそれぞれ計上

- 豪州石炭事業は、為替関連損益で67億円の減益

- 豪州鉄鉱石事業は、為替関連損益で60億円の減益

 

鉄鉱石の価格変動による影響及び当社持分生産量

2022年3月期において、鉄鉱石価格の変動が当社鉄鉱石事業の販売収入の変化を経由して連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)に及ぼす影響度は鉄鉱石US$1/トンあたりの価格変動により22億円と概算しております。

当連結会計年度の1年間における当社鉄鉱石関連の権益見合い生産量は58.2百万トン(一般社外のVale権益見合い生産量16.7百万トン含む)です。上記の影響額は、当連結会計年度末時点で、当社の鉄鉱石事業が保有する権益見合いに対して、2022年3月期の出荷量の増減を織り込み、一定の米ドル及びその他関連通貨の為替相場などを前提条件とした上で算出したものです。なお、一般的に、豪ドルなどの資源産出国の通貨は、輸出商品の市況に連動する傾向があり、この変動により当社連結子会社及び持分法適用会社の現地通貨建ての売上総利益は影響を受けることがあります。

 

エネルギー

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

272

578

△306

 

売上総利益

629

1,411

△782

 

持分法による投資損益

188

452

△264

 

受取配当金

251

527

△276

 

販売費及び一般管理費

△472

△445

△27

 

その他

△324

△1,367

+1,043

 

・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。

- 三井石油開発は、生産量減少や原油ガス価格の下落を主因に546億円減益

- 本店事業部にてハリケーンを主因としたLNGトレーディング収益の減少

- Mitsui E&P Italia Aは、コスト増加等を主因に84億円減益

- MEP Texas Holdingsは、原油ガス価格の下落を主因に49億円減益

- Mitsui E&P USA は、原油ガス価格の下落を主因に43億円減益

- AWEは、減価償却費の減少により48億円増益

・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。

- Japan Australia LNG (MIMI)は、原油ガス価格の下落を主因に減益

- Mitsui E&P Mozambique Area 1は、前期における最終投資決断に伴う繰延税金資産計上の反動を主因に118億円減益

- Japan Arctic LNGは、原油価格及び為替変動等の評価損益を主因に101億円減益

- Mitsui & Co. LNG Investment USAは、キャメロン全3系列の商業生産開始に伴い92億円増益

・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は243億円となり、前期から259億円の減少となりました。

・上記のほか、以下要因がありました。

- 当期において、米国エネルギー子会社群のMBK Energy Holdings USAへの移管による再編に伴い、繰延税金資産を認識した結果、390億円の利益を法人所得税に計上

- 当期において、主に原油価格の下落を反映し、Mitsui E&P Italia Aにおいてテンパロッサ事業に係る評価損234億円を計上した一方、前期は同事業に係る評価損139億円を計上

- 当期において、Mitsui E&P Australiaが主に生産量見通しを反映したメリディアン事業、将来の開発計画の見直しを行ったラグナ―/トロ、リブラ探鉱各事業等について評価損173億円を計上した一方、前期はグレーターエンフィールド事業に係る評価損312億円を計上

- 当期において、Mitsui E&P Australiaが資産除去債務に係る費用77億円を計上

- 前期において、MEP Texas Holdingsがイーグルフォード・シェールオイル・ガス事業に係る評価損234億円を計上

- 前期において、三井石油開発の子会社が米国メキシコ湾沖合事業に係る評価損43億円を計上

 

原油・ガスの価格変動による影響及び当社持分生産量

2022年3月期において、原油価格の変動が当社石油・ガス開発事業の販売収入の変化を経由して連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)に及ぼす影響度はUS$1/バレルあたり25億円と推定しています。

金属資源と同様に、実際の経営成績は、各石油・ガス開発事業における実際の生産量及び生産費用、為替相場の変動などにより影響を受けます。

また、当社の石油・ガスの持分生産量は、2020年3月期において年間257百万バレル(ガスはバレル換算、換算係数は原油1バレル=天然ガス5,800立方フィート、当社連結子会社・持分法適用会社・非連結先の当社権益保有見合い)、2021年3月期における実績見通しは年間262百万バレル(同上)となりました。

 

機械・インフラ

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

459

894

△435

 

売上総利益

1,077

1,346

△269

 

持分法による投資損益

953

884

+69

 

受取配当金

39

51

△12

 

販売費及び一般管理費

△1,329

△1,334

+5

 

その他

△281

△53

△228

 

・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。

- 当期において、鉄道、建機・産機事業、自動車関連の子会社は新型コロナウイルスの影響により減益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- カナダ自動車関連会社は販売堅調等で増益

- 豪州建設・鉱山機械関連会社は販売堅調で増益

- Mitsui & Co. LNG Investment USAは、キャメロン全3系列の商業生産開始に伴い40億円の増益

- FPSO/FSO事業は、前期リファイナンスによる減益の反動等で38億円の増益

- オフショア支援船は、前期における保有船の減損の反動を主因に改善

- 当期において、英国旅客輸送事業で、英国運輸省とのフランチャイズ契約の中途解約、及びそれに伴い受領した精算金支払金額に関する最終提示額及び協議状況を踏まえた最新の見積り(以下「英国旅客輸送事業における最新の見積り」)に基づき、持分法適用会社に対する持分損益に含まれる減損損失等を47億円計上

- ブラジルのガス配給事業は、前期において仲裁決着に伴う支払サービス税回収の一過性収益があった一方で、当期において伯レアル安進行、過年度調整によるタリフ減の結果、46億円減益

- モザンビーク共和国のナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、当期において9億円、前期において13億円の減損損失をそれぞれ計上

・販売費及び一般管理費の負担は減少しましたが、その一方で以下負担の増加要因がありました。

- モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、当期において90億円、前期において24億円の融資に係る減損損失をそれぞれ計上

- 当期において、英国旅客輸送事業における最新の見積りに基づき、49億円の損失評価引当金繰入額を計上

・上記のほか、以下の要因がありました。

- 当期において、鉄道車両リース事業会社における評価損93億円を計上

- モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、当期において48億円、前期において7億円の減損損失をそれぞれ計上

- 前期において、三井物産エアロスペースは保険金の未収計上等で40億円の雑損益を計上

- 当期において、英国旅客輸送事業における最新の見積りに基づき、15億円の債務保証等損失引当金繰入額を計上

- 当期および前期において、それぞれ北米発電事業の売却に伴う有価証券売却益を計上

- 前期において、海外鉄道事業は固定資産評価損を計上

 

化学品

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

435

223

+212

 

売上総利益

1,249

1,168

+81

 

持分法による投資損益

113

115

△2

 

受取配当金

30

27

+3

 

販売費及び一般管理費

△955

△1,019

+64

 

その他

△2

△68

+66

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- Novus Internationalは、主力商品の価格上昇とコスト減を主因に31億円の増益

・上記のほか、以下の要因がありました。

- 当期および前期において、北米の事業における保険金収入を計上

 

生活産業

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

127

320

△193

 

売上総利益

1,338

1,349

△11

 

持分法による投資損益

134

350

△216

 

受取配当金

56

42

+14

 

販売費及び一般管理費

△1,294

△1,393

+99

 

その他

△107

△28

△79

 

・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。

- 当期において、緊急事態宣言及び外出規制による店舗閉鎖及び外食産業向けの業務用食材の需要減により、ファッション、食品及び流通関連の子会社において減益

- 当期において、ファッション事業を手掛けるアジア連結子会社が持分法適用会社になったことに伴い48億円減益

- MBK Pharma Partnering経由で出資する医薬品開発等支援ファンドにつき、当期において投資対象医薬品の開発進捗による公正価値評価増を主因にファンド収益38億円を、前期において投資対象医薬品の開発中止を主因に同損失24億円を計上

- 当期において、米国西海岸にて穀物の集荷及び販売事業を営むUnited Grain Corporation of Oregonにおいて、小麦及び大豆販売好調を主因に50億円の増益

- 当期において、ブロイラーの生産、加工及び販売事業を営むプライフーズにおいて、巣ごもり需要獲得による販売数量増加を主因に32億円の増益

・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。

- 当期において、外出規制や自粛等の影響による需要減により、食品、ファッション、サービス事業関連の持分法適用会社において減益

- 当期において、IHH Healthcareにて新型コロナウイルス感染拡大に伴うメディカルツーリズムや軽症患者減少に因る稼働率の低下、印子会社の暖簾減損を主要因として34億円の減益

- 前期において、International Columbia U.S.にて、出資するColumbia Asia Healthcareの投資売却益130億円を計上

・販売費及び一般管理費の減少の主因は以下のとおりです。

- 当期において、ファッション事業を手掛けるアジア連結子会社が持分法適用会社になったことに伴い43億円負担減

・上記のほか、以下要因がありました。

- 前期において、リクルートホールディングス株式などFVTOCIの金融資産の売却により、その他の包括利益として認識される税金費用に関連して、法人所得税の負担が125億円減少

- 前期において、総合メディカルホールディングスの株式売却益及び未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益で87億円を計上

- 前期において、三井物産フォーサイトにおけるマンション管理事業売却益を計上

- 前期において、レアジョブの一部株式売却益を計上

- 前期において、ブラジルにて農産物の生産事業を営むXINGU AGRIにおいて、伯レアル安を主因に農地等の公正価値が下落したことにより固定資産評価損140億円を計上

- 前期において、米国にて看護師派遣事業を営むAccountable Healthcare Holdingsにおける一部業績不振により、固定資産評価損68億円を計上

 

次世代・機能推進

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

502

146

+356

 

売上総利益

1,070

601

+469

 

持分法による投資損益

139

170

△31

 

受取配当金

38

33

+5

 

販売費及び一般管理費

△637

△645

+8

 

その他

△108

△13

△95

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- 当期において、米国OSIsoft株式売却に伴い、持株会社で売却益131億円を計上

- 前期において、中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の公正価値評価損65億円を計上した一方、当期において公正価値評価益・売却益56億円を計上

- Mitsui Bussan Commoditiesは、好調なエネルギートレーディングを主因に51億円の増益

- 本店事業部にて、好調な貴金属トレーディングを主因に50億円の増益

- 前期において、MGI Global Fundにて保有銘柄の公正価値評価損10億円を計上した一方、当期において主にQDレーザIPOに伴う公価値評価益・売却益28億円を計上

- 当期において、出資先ファンドG2VP保有銘柄のIPOに伴う公正価値評価益33億円を計上

- 前期において、メルカリ株式の公正価値評価損と売却損を計上した一方、当期において全量売却に伴う売却益を計上したことにより27億円の増益

・上記のほか、以下要因がありました。

- 当期において、土地の減損損失戻入益43億円を計上

- 前期において、星国不動産事業の持分売却益を計上

- 前期において、保有株式のプットオプションに関わるデリバティブ評価益44億円を計上

 

③ 新型コロナウイルス感染症の影響

 当期において、新型コロナウイルス感染症拡大及び各地域・国でのロックダウンや移動制限、不要不急の外出を控える動きにより、旅客輸送事業や鉄道車両リース事業において需要が低迷した機械・インフラセグメント及び工場の操業率が低下した鉄鋼製品セグメントは減益となりました。同様に、生活産業セグメントでは、外食産業向けの業務用食材、ファッション関連の需要が低迷したことや、病院事業においてメディカルツーリズムや軽症患者が減少したことに伴う稼働率の低下を受け減益となりました。エネルギーセグメントでは、輸送用燃料を中心とした需要の低下等による原油価格の下落により減益となりました。

 一方、次世代・機能推進セグメントは、デジタル・セキュリティ分野やテレビショッピング事業でのITインフラ需要や巣ごもり需要を着実に取り込んだことに加え、各国の経済支援策等によって回復した株式市場に係るFVTPL益を主因に増益となりました。また、機械・インフラセグメントにおける自動車関連事業では、公共交通機関から自家用車への移動手段の変化がみられる中、北米を中心に下半期にかけての需要回復を捉えた増益がみられました。

 上記の通り、改善要因もありましたが、悪化要因の影響が大きく、新型コロナウイルス感染症の拡大で当社業績は前期に比べて悪化しました。
 

(5)流動性と資金調達の源泉

 

会計基準に基づかない財務指標について

現預金差引後の有利子負債比率(ネットDER)

この流動性と資金調達の源泉の項目を含めて、本報告書では現預金差引後の有利子負債比率(ネットDER)に言及しています。当社は「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社は「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して、下表のとおり算出しています。

• 短期債務及び長期債務の合計よりリース負債を除外し、有利子負債を算出。

• 有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。

当社の経営者は、債務返済能力と株主資本利益率 (ROE)向上のために有利子負債と株主資本の関係を検討する目的から、ネットDERを投資家にとって有益な指標と考えており、下表のとおり「ネット有利子負債」及び「ネットDER」を算出しています。

 

 

当期末

前期末

 

(億円)

(億円)

短期債務

3,005

2,975

長期債務

44,463

46,291

長短債務合計

47,468

49,266

(控除)リース負債

△3,453

△3,761

有利子負債合計

44,015

45,505

(控除)現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)

△11,017

△10,638

ネット有利子負債

32,998

34,867

株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)

45,704

38,177

ネットDER(倍)

0.72

0.91

 

株主還元後のフリー・キャッシュ・フロー

当社の経営者は、財務基盤の維持・向上において、株主還元後のフリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。株主還元後のフリー・キャッシュ・フローに関しては、④「投融資と財務政策」を参照願います。

 

①資金調達の基本方針

当社の経営者は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主として本邦生保、銀行等からの長期借入金や社債の発行等により10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行っています。同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。さらに、プロジェクト案件等では政府系金融機関からの借入やプロジェクトファイナンスも活用しています。

100%子会社については原則として銀行などの外部からの資金調達を行わず、金融子会社、現地法人などの資金調達拠点を通じたキャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っています。結果として当連結会計年度末において有利子負債の5分の4程度が当社並びに資金調達拠点による調達となっています。

また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めていませんが、金融情勢などを勘案しつつ、安全性並びに流動性の高い短期金融商品で運用しています。

 

②資金調達手段

当社は、上記の当社資金調達の基本方針に則り、直接金融または間接金融の多様な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っています。

当社は、内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、長期借入を中心に必要資金を調達しています。また、国際協力銀行などの政府系金融機関からも資金調達を行っており、プロジェクト案件ではプロジェクトファイナンス等も活用して必要資金を調達しています。

これに加えて、当社では2,000億円の社債発行登録枠、2兆4,000億円のコマーシャルペーパー発行枠、並びに総額50億米ドルのユーロ・ミディアム・ターム・ノート発行プログラムという直接金融の調達手段も保有しており、市場環境に応じて有利な条件での資金調達を行っています。当連結会計年度末における(短期社債除く)国内社債及びユーロ・ミディアム・ターム・ノートの発行残高は、それぞれ2,300億円及び370億円となっています。また海外での短期の資金調達手段として、米国三井物産による15億米ドルの米国コマーシャルペーパープログラムやMitsui & Co. Financial Services (Europe)による15億米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム、その他の海外地域の一部でも同様のプログラムを保有しており、それぞれ時機をみて活用しています。なお、当社は長期かつ安定的な資金調達を一義としており、コマーシャルペーパーや短期借入金等に資金調達を依存していません。その結果として、当連結会計年度末における一年以内に返済予定の有利子負債が有利子負債全体に占める比率は、15.9%となりました。

当社及び一部の連結子会社は金融機関に対してコミットメント・フィーを支払い、信用枠を設定しています。

有利子負債の大半は円建て並びに米ドル建てでの調達によるものです。また、資産側の金利・通貨属性を考慮した上で、負債の金利条件や通貨を変換するために適宜、金利スワップや通貨スワップ、為替予約を締結しています。金利スワップ考慮後の有利子負債における固定金利比率は、現在の当社の資産と負債の状況に見合った水準と認識しています。

これらのデリバティブ取引に関しては、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。また、デリバティブ関連の流動性分析については、連結財務諸表注記事項15.「金融債務及び営業債務等に関する開示」を参照願います。

 

格付け

当社は、円滑な資金調達を行うため株式会社格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)の3社から格付けを取得しています。2021年5月31日現在の格付けは下記のとおりです。

 

 

R&I

Moody's

S&P

短期格付け

a-1+

P-2

A-1(**)

(長期)発行体格付け

AA-

A

長期個別債務格付け

AA-

A3(*)

プログラム格付け
(ミディアム・ターム・ノート格付け)

AA-

A3

A

見通し

安定的

安定的

安定的

(*)Moody’sにおける呼称は「長期債務格付け(シニア無担保)」です。

(**)S&Pにおける呼称は「短期発行体格付け」です。

 

当社としては引き続き健全な財務基盤を維持し、格付けの維持・向上に尽力していく方針です。

なお、格付けは当社からの情報あるいは格付機関が信頼できるとする情報に基づく各格付機関自身の判断による信用リスクの分析です。格付けは売買・保有の推奨ではなく、また格付機関によりいつでも変更・取り消しされる可能性があります。また格付け基準も格付機関毎に異なります。

 

③流動性の状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、10,632億円となりました。この現金及び現金同等物の半分程度は円建てであり、当連結会計年度末の1年以内に返済予定の有利子負債(7,008億円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しています。

当連結会計年度の世界経済は、年度当初は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて多くの国で外出制限など経済活動の制限が広範に行われたことから急速かつ大幅に落ち込みましたが、その後は感染拡大の状況に応じて断続的に経済活動の再開が進められたことに加え、米国など主要国で大規模な家計や企業への支援や金融面での対応が講じられたことにより、全体として持ち直しに向かいました。このような状況下、当社は資金調達の基本方針に則り、金融機関との長期に亘る良好な関係や公的金融機関による各種施策、社債発行登録枠等を活用して必要資金の調達を着実に実行しました。

上述資金調達実行の結果、当連結会計年度末における有利子負債は4兆4,015億円(前連結会計年度末比1,490億円減)となりました。このうち、5,550億円は劣後特約付シンジケートローンで、格付機関は、残高の50%である2,775億円を資本と同等に扱っています。また、当連結会計年度末の有利子負債の返済年限別内訳は次のとおりです。当連結会計年度末の短期債務及び長期債務の内訳と債務残高の利率については、連結財務諸表注記事項15.「金融債務及び営業債務等に関する開示」を参照願います。

 

返済年限

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

合計

金額(億円)

7,008

3,306

4,399

4,223

3,473

21,606

44,015

 

当連結会計年度末の株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)は4兆5,704億円となり前連結会計年度末比で7,527億円増加しました。ネット有利子負債は3兆2,998億円となり同1,869億円減少、ネットDERは前連結会計年度末の0.91倍から0.72倍へ0.19ポイント低下しました。

また流動比率は、前連結会計年度末の152.7%に対し当連結会計年度末は155.7%となっています。

以上のような数値、及び資金調達環境から判断すると、当社の財務の健全性は引き続き確保されており、中期経営計画に沿った投融資を含む当社の円滑な事業活動を行う上で、現時点で大きな支障はないと認識しています。

当社及び連結子会社は、主として第三者及び関連当事者のために、各種の支払保証を行っていますが、これらの保証において当社及び連結子会社の流動性に実質的な影響を及ぼすものはありません。将来の契約履行義務並びに保証等については連結財務諸表注記事項25.「偶発債務」を参照願います。

当社及び連結子会社は、個別プロジェクト案件等に対するノンリコースファイナンスなどを除き、金融機関との重要な金融取引において、期限の利益喪失となり得る財務比率制限、担保提供制限、追加債務負担制限、利益処分の制限等の財務制限条項を含む契約を締結しないことを基本方針としていることもあり、これらの財務制限条項において重要なものはありません。

連結子会社や持分法適用会社からの配当受取に関しては、その配当の有無が当社の流動性に大きな影響を与えるという状況にはないと認識しております。また、当該連結子会社及び持分法適用会社に適用される現地法制に照らして適切な純資産や配当可能利益がある限り、配当等による資金の受領を制限する契約または法制上の制限として重要なものはありません(一般的な源泉課税並びに現地税法に基づくその他の税金を除く)。

なお、当社及び連結子会社は、翌連結会計年度において、確定給付型年金制度に85億円拠出する見込みです。

 

④投融資と財務政策

当連結会計年度の基礎営業キャッシュ・フローは約6,600億円の獲得となり、これに資産リサイクルにより獲得した約1,450億円と併せて約8,050億円のキャッシュ・インとなりました。一方、開発中LNG案件や石油・ガス生産事業などを含め、投融資(*)は約4,450億円となり、総額約2,100億円の株主還元を加味すると、株主還元後のフリー・キャッシュ・フロー(**)は約1,500億円の黒字となりました。今後も投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元へ柔軟で戦略的な資金配分を実行すると共に、強靭なキャッシュ創出力と資本効率の向上を目指します。尚、当連結会計年度のキャッシュ・フロー詳細については、後述の⑥キャッシュ・フローの状況を参照願います。

 

(*)定期預金の増減を除外した投資キャッシュ・フローに一部非支配持分からの取得に伴う財務キャッシュ・フローを足したもの

(**)運転資本及び定期預金の増減の影響を除外したフリー・キャッシュ・フロー

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当連結会計年度の実績と今後の見通しを踏まえて見直した、中期経営計画3年累計のキャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通しについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)2022年3月期事業計画 ③キャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通し(中期経営計画3年間累計)」を参照願います。また、既存の債務からの再調達については、前述の①資金調達の基本方針、及び②資金調達手段を参照願います。

 

⑤資産及び負債並びに資本

(単位:億円)

2021年3月末

2020年3月末

増減

総資産

125,158

118,063

+7,095

 

流動資産

42,075

41,244

+831

 

非流動資産

83,084

76,819

+6,265

流動負債

27,017

27,011

+6

非流動負債

49,912

50,443

△531

親会社の所有者に帰属する持分合計

45,704

38,177

+7,527

 

資産

流動資産:

・現金及び現金同等物は44億円増加しました。

・営業債権及びその他の債権は1,895億円増加しました。

- 金属資源セグメントにおける市況上昇、エネルギーセグメントでの取扱数量増加、化学品セグメントにおける市況上昇及び取扱数量増加を主因に、売掛金が1,473億円増加

- 金属資源セグメントにおける貸付金が短期化したことに伴い、498億円増加

・その他の金融資産は、エネルギーセグメント、次世代・機能推進セグメントにおけるデリバティブ取引に係る市況変動及び取扱数量減少を主因に、1,329億円減少しました。

・棚卸資産は、金属資源セグメント、エネルギーセグメント、生活産業セグメントにおける市況上昇及び取扱数量増加を主因に、613億円増加しました。

 

非流動資産:

・持分法適用会社に対する投資は1,630億円増加しました。

- 為替変動の影響により1,087億円増加

- モザンビークLNGプロジェクトMitsui E&P Mozambique Area 1への出資により363億円増加

- 当期における持分法による投資損益の見合いで2,279億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金により1,948億円減少

- ロシアArctic LNG2プロジェクトJapan Arctic LNGへの出資により増加

- Caitan(チリBHP Spence銅鉱山向け海水淡水化・揚水事業)への出資により105億円増加

- Mitsui & Co. Cameron LNG Investment にて、株主融資への切替に伴い259億円減少

 

2021年3月末及び2020年3月末における持分法適用会社に対する投資をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

オペレーティング・セグメント

2021年3月末

2020年3月末

増減

 

(億円)

(億円)

(億円)

鉄鋼製品

2,510

2,492

+18

金属資源

4,380

3,884

+496

エネルギー

3,835

3,443

+392

機械・インフラ

9,444

9,006

+438

化学品

1,793

1,651

+142

生活産業

6,241

6,133

+108

次世代・機能推進

2,140

2,107

+33

その他/調整・消去

97

94

+3

連結合計

30,440

28,810

+1,630

 

・その他の投資は4,712億円増加しました。

- 株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産の公正価値評価が4,728億円増加

・営業債権及びその他の債権は1,164億円減少しました。

- モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における融資に係る減損により669億円減少

- 金属資源セグメントにおける貸付金が短期化したことに伴い、498億円減少

- Mitsui & Co. Cameron LNG Investmentにて、株主融資への切替に伴い259億円の増加

・有形固定資産は537億円の増加となりました。

- 豪州鉄鉱石事業で943億円増加(為替変動の影響による774億円の増加を含む)

- 豪州石炭事業で315億円増加(為替変動の影響による168億円の増加を含む)

- 石油・ガス生産事業(*)で、Mitsui E&P Italia A及びMitsui E&P Australiaにおける固定資産評価損を主因に743億円減少(為替変動の影響による190億円の増加を含む)

 (*)当期より石油・ガス生産事業に米国シェールガス・オイル事業を含めております。

 

なお、有形固定資産の2021年3月末及び2020年3月末の残高をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

オペレーティング・セグメント

2021年3月末

2020年3月末

増減

 

(億円)

(億円)

(億円)

鉄鋼製品

89

100

△11

金属資源

4,534

3,276

+1,258

エネルギー

7,408

7,810

△402

機械・インフラ

2,379

2,791

△412

化学品

2,094

2,124

△30

生活産業

2,007

2,044

△37

次世代・機能推進

1,359

1,184

+175

その他/調整・消去

1,881

1,885

△4

連結合計

21,751

21,214

+537

 

2021年3月末及び2020年3月末におけるオペレーティング・リースに供されている有形固定資産の内訳については、連結財務諸表注記事項9.「リース」を参照願います。

 

・投資不動産は、次世代・機能推進セグメントにおける増加を主因に230億円の増加となりました。

・繰延税金資産は532億円増加しました。

- 米国エネルギー子会社群のMBK Energy Holdings USAへの移管による再編に伴う、繰延税金資産390億円の認識

- Mitsui E&P Australiaで固定資産評価損に対する税効果、為替影響を主因に、192億円増加

 

負債

流動負債:

・短期債務は30億円増加しました。1年以内に返済予定の長期債務は、短期化による増加を主因に510億円増加しました。

・営業債務及びその他の債務は、営業債権及びその他の債権の増加に対応し1,768億円増加しました。

・その他の金融負債は、その他の金融資産の減少に対応する減少、大手町一丁目2番地区の複合開発事業に関する未払金の支払を主因に2,557億円減少しました。

 

非流動負債:

・長期債務(1年以内返済予定分を除く)は2,339億円減少しました。

・引当金は、Mitsui E&P Australia及びMitsui Coal Holdingsにおける資産除去債務増加を主因に332億円増加しました。

 

親会社の所有者に帰属する持分合計

・利益剰余金は、1,855億円の増加となりました。

・その他の資本の構成要素は、5,977億円の増加となりました。

- FVTOCIの金融資産が3,597億円増加

- 伯レアル安の一方、対円での豪ドル高、米ドル高を主因に、外貨換算調整勘定が2,589億円増加

・自己株式の取得を713億円(従業員向け株式報酬のための取得69億円を含む)実施した一方、467億円の自己株式を消却したことを主因として、株主資本の減算項目となる自己株式は244億円増加しました。

 

⑥キャッシュ・フローの状況

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

7,727

5,264

+2,463

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,225

△1,852

△1,373

フリー・キャッシュ・フロー

4,502

3,412

+1,090

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,870

△2,046

△2,824

現金及び現金同等物の為替相場変動の影響額等

412

△340

+752

現金及び現金同等物の増減

44

1,026

△982

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

a

7,727

5,264

+2,463

営業活動に係る資産・負債の増減

b

562

△955

+1,517

リース負債の返済による支出

c

△584

△609

+25

基礎営業キャッシュ・フロー

a-b+c

6,581

5,610

+971

 

・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは562億円の資金収入、リース負債の返済は584億円の資金支出となり、これらを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、6,581億円となりました。なお、当期より、営業活動からの定常的な現金創出力をより適切に反映させるため、リース負債の返済による支出額を減算しております。これに伴い、前期の基礎営業キャッシュ・フローを修正再表示しております。

- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は3,078億円となり、前期の2,992億円から86億円増加

- 減価償却費及び無形資産等償却費は2,736億円となり、前期の2,561億円から175億円増加

 

基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

鉄鋼製品

20

22

△2

金属資源

3,081

2,437

+644

エネルギー

1,232

2,065

△833

機械・インフラ

787

868

△81

化学品

625

358

+267

生活産業

198

205

△7

次世代・機能推進

551

39

+512

その他/調整・消去

87

△384

+471

連結合計

6,581

5,610

+971

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、565億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。

- モザンビークLNGプロジェクトMitsui E&P Mozambique Area 1への出資による363億円の資金支出

- ロシアArctic LNG2プロジェクトJapan Arctic LNGへの出資による資金支出

- Caitan(チリBHP Spence銅鉱山向け海水淡水化・揚水事業)への出資による105億円の資金支出

- 北米発電事業の売却に伴う資金回収

・その他の投資の取得及び売却・償還の純額は、95億円の資金回収となりました。主な取得及び売却・償還は以下のとおりです。

- サンエイ糖化株式の売却による135億円の資金回収

- 発電事業への出資による109億円の資金支出

・貸付金の増加及び回収の純額は、Japan Arctic LNGへの資金支出はありましたが、全体では142億円の資金回収となりました。

・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、2,064億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。

- 豪州鉄鉱石事業で393億円の資金支出

- 石油・ガス生産事業で370億円の資金支出

- 大手町一丁目2番地区の複合開発事業による369億円の資金支出

- 豪州石炭事業で196億円の資金支出

- 発電事業で182億円の資金支出

・投資不動産の取得及び売却の純額は、531億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。

- 大手町一丁目2番地区の複合開発事業による378億円の資金支出

 

当期及び前期における上述の投資活動によるキャッシュ・フローをオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

 

オペレーティング・セグメント

当期

前期

 

(億円)

(億円)

鉄鋼製品

58

75

金属資源

△500

△500

エネルギー

△1,256

△1,028

機械・インフラ

△111

△500

化学品

12

△153

生活産業

△15

477

次世代・機能推進

△674

1

その他/調整・消去

△739

△224

連結合計

△3,225

△1,852

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

・短期債務の増減は265億円の資金支出、長期債務の増加及び返済の純額は1,770億円の資金支出、リース負債の返済による支出は584億円の資金支出となりました。

・自己株式の取得による713億円(従業員向け株式報酬のための取得69億円を含む)の資金支出がありました。

・配当金支払いによる1,355億円の資金支出がありました。

・非支配持分株主との取引は、チリのCollahuasi銅鉱山権益の追加取得を主因に182億円の資金支出となりました。

 

当期の資金調達状況については、前述の②資金調達手段の頁を参照願います。

 

(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り

重要な判断を要する会計方針及び見積りとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計方針及び会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要な、或いは主観的な判断を反映させることを要するものです。

IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この前提条件の置き方などにより、連結財政状態計算書上の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用、または開示対象となる偶発債務などに重要な影響を及ぼすことがあります。なお、新型コロナウイルス感染症の先行きは主要国での追加経済対策に加えてワクチンの普及が世界経済の回復を後押しすると考えられます。早期に感染拡大を抑え込んだ中国は既に回復軌道にあり、大規模な財政拡大を行っている米国も2021年前半には感染拡大前の水準を取り戻すとみられます。その後、日本は年末にかけて、欧州も来年には、感染拡大前の水準に戻っていくものとみられます。新型コロナウイルス感染症からの経済回復に関し、当社では、ワクチンの世界的な普及に伴い感染症は徐々に縮小傾向に向かうと見込んでおりますが、商品や事業内容、所在地域によってその経済回復の速度は異なり、見積りにおいては個々の状況に鑑み判断しております。

以下の各項目は、その認識及び測定にあたり、経営者の重要な判断及び会計上の見積りを必要とするものです。

 

非金融資産及び持分法適用会社に対する投資の減損損失及び減損損失の戻入

・前連結会計年度及び当連結会計年度における、有形固定資産、投資不動産、暖簾及び耐用年数を確定できない無形資産を除く無形資産の減損損失計上額は904億円及び454億円です。また、前連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は発生しておらず、当連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は43億円です。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における減価償却累計額及び減損損失累計額控除後の帳簿価額は2兆5,082億円及び2兆5,802億円です。

・前連結会計年度及び当連結会計年度における、持分法適用会社に対する投資の減損損失計上額は56億円及び45億円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は発生しておりません。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における持分法適用会社に対する投資の帳簿価額は2兆8,810億円及び3兆440億円です。

・非金融資産の減損損失及び減損損失の戻入(持分法適用会社に対する投資を含む)は、当社の連結損益計算書上の当期利益に対し重要な影響を及ぼすことがあります。

・減損損失は主に連結子会社における事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容見直し、及び持分法適用会社に対する投資の市場価格の下落などによるものです。

・非金融資産の減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候があると判断された場合には、資産または資金生成単位の回収可能価額を算定し、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に、差額を減損損失として認識しています。

・回収可能価額は処分費用控除後の公正価値と使用価値のうち、いずれか高い金額としています。

・公正価値は市場性のある持分法適用会社に対する投資の場合は市場価格を、それ以外の場合は独立の第三者による評価結果を使用するなど、市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。

・使用価値の算定に使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された経営計画や、それが入手できない場合は直近の非金融資産の状況を反映した操業計画に基づいて見積っています。この将来キャッシュ・フローの見積り方法として、以下の例があげられます。

- 不動産について、直近の近隣不動産売却価額や賃料が合理的な期間継続するという前提を置く。

- 工場設備にて製造している製品の将来にわたる一定期間の販売価格を、過去に於ける同期間の平均値やアナリストの分析資料等を勘案して見積る。

- 石炭・原油等の資源事業に関わる開発設備及び鉱業権について、直近の確認埋蔵量等に基づく生産計画に沿って当該資産を使用して生産され、減損判定時点における先物価格を基にした価格、第三者による予想価格、もしくは長期販売契約上の販売価格で売却される前提を置く。連結財務諸表注記11.「有形固定資産(2)減損損失」を参照願います。

- 顧客関係について、将来の一定期間の収益につき、過去に於ける収益への貢献度、解約率、及びアナリストの市況予想等を勘案して見積る。

・使用価値の計算においては、割引率は、資金生成単位の固有のリスクを反映した市場平均と考えられる収益率を合理的に反映する率を使用しています。

・非金融資産は、その性質や、所在地、所有者、操業者、収益性等の操業環境が異なるため、将来キャッシュ・フローの想定や、割引率の算定において考慮すべき各種の要因は、個別の非金融資産ごとに異なります。

・過年度に認識した減損損失が、もはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、期末日に判定を行っております。こうした兆候が存在する場合、当社及び連結子会社は資産または資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、最後に減損損失が認識されて以降、資産の回収可能価額の決定に用いた仮定に変更がある場合にのみ、過去に認識した減損損失を連結損益計算書上の利益として戻入れております。

 

 

暖簾の減損

・前連結会計年度及び当連結会計年度における暖簾減損損失計上額は204億円及び118億円です。また、対応する前連結会計年度末及び当連結会計年度末における帳簿価額は527億円及び500億円です。

・暖簾は、企業結合のシナジーから便益を享受できると期待される資金生成単位または資金生成単位グループに配分し、年一回及び減損の兆候を示す事象が発生した時点で、減損テストを実施しています。

・減損テストでは、暖簾及び暖簾を配分した資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額合計を回収可能価額と比較し、帳簿価額合計が回収可能価額を上回る場合に、その差額を減損損失として認識します。回収可能価額の見積りは、非金融資産の減損と同様の見積り方法を用いております。

 

公正価値で測定する市場性ない資本性金融資産

・公正価値で測定する市場性ない資本性金融資産については、主に評価差額をその他の包括利益に認識することを選択しています。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、市場性ないFVTOCIの金融資産の公正価値はそれぞれ6,714億円及び7,092億円です。

・市場性ないFVTOCIの金融資産については、主に割引キャッシュ・フロー法、類似企業比較法またはその他の適切な評価方法を用いて評価しており、経営者が金額的重要性が高いと判断する場合には、外部の評価専門家の評価を利用しています。

・重要な観測不能なインプットである石油価格の見積りについては、注記24.「公正価値測定(3)定期的に公正価値で測定される資産及び負債に係る開示」を参照願います。

・また、割引キャッシュ・フロー法に使用される将来キャッシュ・フローは、非金融資産及び持分法に対する投資の減損と同様に、経営者により承認された経営計画などに基づいて見積っています。これらの見積りや仮定は、当社の連結包括利益計算書上のその他の包括利益に重要な影響を及ぼすことがあります。

 

繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性の判断の変更に伴う繰延税金資産の減額は、当社の連結損益計算書上の当期利益及び連結包括利益計算書上のその他の包括利益に重要な影響を及ぼすことがあります。

・経営者は、有税償却に関する無税化の実現可能性や当社及び子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。当社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や、法定税率の変更などにより、回収可能額が変動する可能性があります。

 

石油・ガス産出活動及び鉱物採掘活動における埋蔵量の見積り

・埋蔵量は、当社及び連結子会社が保有している権益に対応した経済的かつ法的に採掘可能な生産物として見積られた量です。埋蔵量を算出するための見積り及び前提は以下の地質学的、技術的、経済的要因によって左右されます。

- 地質学的要因:鉱物の分量、品位等

- 技術的要因:生産技術、回収率、生産費用、輸送費用等

- 経済的要因:生産物の需要、価格、為替レート等

・埋蔵量の見積りに使用される経済的な前提は毎期変動し、かつ一連の生産活動の中で地質データの更新が行われることにより埋蔵量の見積り額は毎期変動することになります。報告された埋蔵量の変動は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に対して各種の影響を及ぼします。具体的には、

- 埋蔵量の変更に伴う将来キャッシュ・フローの見積りの変動により保有資産が減損する可能性があります。

- 生産高比例法の分母の変動または経済的耐用年数の変動に伴い、連結損益計算書上の当該事業に係る減価償却費が変動する可能性があります。

- 埋蔵量の見積りの変更が生産設備の廃棄や、原状回復義務、環境関係の資産除去債務の発生時期及び債務金額の増減に影響を与える可能性があります。

 

確定給付費用及び確定給付制度債務

・従業員の確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積られています。IFRSでは、実績と見積りとの差はその他の包括利益として認識後、即時に利益剰余金に振替えられるため、包括利益及び利益剰余金に影響を及ぼします。経営者は、この数理計算上の仮定を適切であると考えていますが、実績との差異や仮定の変動は将来の確定給付費用及び確定給付制度債務に影響します。

・当社及び連結子会社の割引率は、各年度の測定日における高格付けの固定利付社債もしくは日本の長期国債の利回りに基づき決定しています。各測定日に決定した割引率は、測定日現在の確定給付制度債務及び翌年度の純期間費用を計算するために使用されます。

・確定給付費用及び確定給付制度債務に関する見積りや前提条件については連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」を参照願います。

 

4【経営上の重要な契約等】

特に記載すべき事項はありません。

5【研究開発活動】

特に記載すべき事項はありません。