第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

この経営方針、経営環境、対処すべき課題等には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。

 

(1)中期経営計画の進捗状況

2020年5月に公表した中期経営計画「変革と成長」の2年目となる2022年3月期においては、新型コロナウイルス感染拡大や地政学リスクの顕在化などにより、ビジネス環境に大きな変化が生じる中、収益基盤のさらなる強化、金属資源・エネルギーの安定供給、成長戦略の打ち手の実行などを着実に進めました。主な進捗は以下のとおりです。

 

①収益基盤の強化継続

新型コロナウイルスの感染拡大や地政学的情勢変化とこれらに起因するサプライチェーンの混乱がありましたが、当社がグローバルに培ってきたトレーディング機能と顧客基盤を活かし、LNG・化学品・鉄鋼製品・食料など社会を支える素材・サービスの販路拡大、サプライソースの多角化などに取り組み、収益力を強化しました。加えて、モビリティ事業、病院事業、化学品・鉄鋼製品分野での徹底したコスト削減・プロセス改善、構造改革による競争力強化や、機械・インフラ分野での複数案件の操業開始に伴う収益貢献開始など、基礎収益力の底上げを実現しました。課題事業に粘り強く対応し再建を実現したことも収益基盤の強化につながりました。また、より複雑化する事業環境と中長期展望を踏まえ、既存事業の事業性を随時検証し、火力発電から再生可能エネルギーへのシフトや英国・豪州の油・ガス田権益売却等を実行するとともに、三井物産アイ・ファッションと日鉄物産の繊維事業統合、三井石油開発の100%子会社化など、事業・投資の再編も行いました。

これら基礎収益力の強化・拡大と、競争力ある事業ポートフォリオへの組替えや事業再編により、収益基盤の強化を実現しました。全セグメントを通じて日常生活に不可欠な資源・素材・食料・サービスを安定的に供給し、定性・定量面で貢献しました。

 

②金属資源・エネルギーの安定供給

人々の豊かな暮らしと経済・社会の発展に不可欠な金属資源及びエネルギーの安定供給は、当社がMissionとして掲げる「世界中の未来をつくる」を実現するためにも重要な課題です。サプライチェーンの混乱や、地政学的情勢変化による市場変化はありましたが、トレーディングや物流機能を含めた総合力を駆使し、金属資源・エネルギーの安定供給を支えました。

金属資源においては、新型コロナウイルスの感染拡大による労働環境の制約に対処しつつも安定操業・安定供給に努めるとともに、後継鉱床開発や周辺鉱区取得による鉱量拡充を行い、中長期的な安定供給に向けた施策も実行しました。また、次世代エネルギーへの取組みを進めつつも、世界の脱炭素化が進む中、移行期に重要な役割を果たすLNG事業は中長期的視点での拡充を図り、長年築いたグローバルトレーディング機能を発揮し、継続的な安定供給を実現しました。

 

③財務戦略・ポートフォリオ経営の進化

堅調な鉄鉱石事業や化学品、鉄鋼製品を中心としたトレーディング事業の貢献により、2022年3月期の基礎営業キャッシュ・フローは過去最高となる1兆1,590億円の獲得となり、これに資産リサイクルにより獲得した2,570億円を合わせて1兆4,160億円のキャッシュ・インとなりました。投融資によるキャッシュ・アウトは5,110億円となりました。強靭なキャッシュ創出力と資本効率の向上を意識し、1株当たり105円(前連結会計年度比20円増配)の年間配当と自己株式取得を通じた総額3,450億円の株主還元となりました。

 

④成長戦略の打ち手の着実な実行・Strategic Focus

中期経営計画で注力する3つの事業領域における進捗は次のとおりです。

◇重点施策(a) エネルギーソリューション

エネルギー分野では既存事業の低炭素化への取組みや、クリーン燃料アンモニア製造事業推進に向けた複数パートナーとの合意や協議の深化などの進捗がありました。電力事業分野では、英国・中南米・アフリカ・アジア等に展開する複数の大型再生可能エネルギー事業への参画や、本邦におけるCO2排出量可視化・削減クラウドサービスe-dashの設立など電力バリューチェーンでの取組強化を推し進めました。また、フランスの電池システム製造会社Forsee Powerとの資本関係強化を通じ、モビリティ電動化推進等の社会のGHG(温室効果ガス)削減につながる事業形成に進捗がありました。加えて、当社が長年の歴史をもつ森林資源事業で得た知見を活かして豪州の森林カーボンクレジット事業に参画し、カーボンリサイクルにおける取組みを進展させました。

 

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◇重点施策(b) ヘルスケア・ニュートリション

当社が出資参画するIHHヘルスケア事業では、病院事業ポートフォリオの見直し、購買合理化によるコスト削減を含むオペレーション改善、非接触化ニーズに応じたオンライン診療サービスの提供など、withコロナ、afterコロナに対応した体制を整備し、グループ経営基盤を強化しました。また、ヘルスケアデータを活用したDXソリューションの提供や、企業人事・健保向けサービス強化に向けたヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスの買収、当社出資先のThorneとのアジアにおける未病対策事業会社設立、畜水産種苗事業会社Hendrixへのファンドを通じた出資など、人の「治療」から「未病・予防」、アニマルヘルス・畜水産種苗分野に対象を広げ、世界の人々・動物の健康を支える事業群の形成に進捗がありました。

 

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◇重点施策(c) マーケット・アジア

「伸びゆく・変わりゆくアジア消費者市場」の成長を取り込むべく、ヘルスケア・ニュートリション、インフラ等での新規取組みを進めました。新型コロナウイルスの影響が継続する中でも、当社が強みをもつ鉄鋼製品・化学品などを中心とした関係会社の業績や物流事業が堅調に推移しました。また、インドネシアで金融、リテール、メディア、不動産、ホスピタリティー、エンターテインメント、ライフスタイルを含む消費者関連事業を担う大手企業グループCT Corpの転換社債引受けを2022年3月期第1四半期に完了しました。同社との取組みをマーケット・アジアにおける「消費者プラットフォーム」構築の中心に据え、当社の事業ネットワーク・機能を活かした協業案件の推進と、同社の企業価値向上に向けた取組みを加速します。

 

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⑤人材戦略

人材戦略については、当社国内・海外拠点及び関係会社で活躍する多様な人材は当社競争力の源泉であり、一人ひとりの「挑戦と創造」を通じて価値創造につなげていくことで持続的な成長を実現していきます。2022年3月期は、次世代リーダーの早期育成を狙いとしたキャリアチャレンジ制度や高度な専門人材のためのキャリアパス制度を新たに導入しました。また、多様な人材の活躍促進を加速すべく、女性リーダー育成プログラムや海外拠点より選抜された次世代リーダーの育成プログラムにも継続的に取り組んでいます。加えて、新しい働き方を加速させる取組みとしてリモートワークや個人単位の時差出勤制度等も引き続き促進しており、多様な価値観を認め新しい価値を生み出す取組みを進めていきます。

 

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⑥サステナビリティ経営の実践/ESGの進化

中期経営計画期間では、「気候変動」、「サーキュラーエコノミー」、「ビジネスと人権」の3つを重要課題とし、一層のサステナビリティ経営の実践を継続的に進めています。

 

「気候変動」については2030年GHGインパクト半減目標達成に向けたロードマップを策定し、一部火力発電事業の売却合意や、既存事業におけるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/CCUS(Carbon dioxide Capture Utilization and Storage)の事業化調査の実施など、目標達成に向けた着実な活動を進めています。エネルギーの安定供給と並行し、Strategic Focusの「エネルギーソリューション」の取組みを通じクリーンでサステナブルなエネルギー・電源の開発を進め、社会全体でのGHG排出量削減に貢献していきます。

なお、当社のサステナビリティ経営については、(5)「サステナビリティ経営」をご参照ください。

 

ガバナンスの強化については、取締役会付議・報告基準の見直しや書面決議の活用によって、事業戦略、事業ポートフォリオ、サステナビリティ、労働安全衛生などの重要テーマについての審議時間を充分に確保することで、更なる取締役会の実効性向上を図るとともに、当社における最適な機関設計についても社外役員の視点を交えてガバナンス委員会で議論しました。なお、当社は、昨年改訂されたコーポレートガバナンス・コードの各原則について、全てを実施しています。詳細については、第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等をご参照ください。

 

(2)経営環境

①全般

注:本項目は、2022年5月の決算公表時点の経営環境認識を掲載したものであり、当社の現在の経営環境認識と異なる記載が含まれている場合があります。

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や、半導体の不足、物流のボトルネックなど供給面の制約が景気の下押し要因となり、さらにロシア・ウクライナ情勢が悪化要因として加わり、景気回復テンポが鈍化しましたが、全体としては持ち直しました。

米国では、供給制約の長期化などが成長ペースを抑制したものの、経済再開が進んだことや多額の現金給付策が個人消費を促進し、大勢としては堅調な景気回復傾向を辿りました。先行きも、インフレ高進や金融引き締めの加速等の懸念材料はあるものの、感染の影響緩和や供給制約の改善、良好な雇用・所得環境を背景に景気の回復が続くと期待されます。欧州では、年度前半は経済活動制限の緩和などにより高成長となりましたが、ロシア・ウクライナ情勢を受けたエネルギー等の供給制約の悪化、消費者物価の更なる高騰、消費者マインドの悪化が回復の重しになり、成長率が低下しました。当面はロシア・ウクライナ情勢に起因する経済の下押し圧力は強く、経済再開に伴う景気の持ち直しは先に延びると見込まれます。日本では、昨年秋に4回目の緊急事態宣言が解除され、回復が進んだ消費が年初来のオミクロン株感染拡大の影響により再び停滞し、自動車等の生産も制約されたことから、横ばい圏の動きとなりました。先行きは、感染の影響が徐々に緩和していくことにより、消費が活発化し、景気回復を主導することが期待されます。中国では、昨年夏以降、地域的な感染拡大を強力に封じ込めようとするゼロコロナ政策による生産・消費活動の停滞、政府による不動産投資の抑制策などにより、景気回復がスローダウンしました。先行きは、ゼロコロナ政策の継続が景気回復の重しとなる一方、インフラ投資の増加や金融緩和策などが景気を下支えし、緩やかな回復が続くと見込まれます。ブラジルやロシアでは、インフレの高進と政策金利引き上げが回復の重しとなっていたところ、特にロシアでは国際社会から課された経済制裁により経済活動の急速な収縮が予想されます。

先行きは、ロシア・ウクライナ情勢を受けた世界的な供給制約の更なる悪化、長期化とインフレ高進、米国の金融引き締め、コロナ禍から回復が遅れていた新興国の成長鈍化等の懸念要因はあるものの、感染拡大の影響が緩和し、経済活動が活発化することにより、世界経済全体としてはプラス成長を維持するとみられます。

 

②金属資源セグメント

新型コロナウイルスの中国における感染再拡大などの懸念材料も見られるものの、主要国の堅調な景気回復による需要拡大に加え、地政学的リスクや世界的なインフレ高進の影響も有り、金属資源価格は高止まりしています。鉄鋼や非鉄金属は産業の基幹素材であり、世界経済の成長及び低・脱炭素社会の形成にあたり、その原料に対する需要は長期的な伸びが見込まれます。一方、開発・生産コストの上昇や既存鉱山の枯渇や品位悪化に加え、優良未開発案件には限りがあるため、供給が追いつかず、長期的には需給は逼迫していく見込みであり、引き続きコスト競争力のある原料の安定供給が求められます。また、環境負荷低減ニーズが加速する中、原料のリサイクル、グリーン素材、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量削減などへの要請が高まっています。

 

③エネルギーセグメント

新型コロナウイルス感染症の推移や消費者の行動様式の変化、主要産油国の協調減産体制や地政学的リスク等の需給動向への影響について慎重に見極めていく必要がありますが、中長期的には世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も増加する見込みです。一方、気候変動対応への必要性は不可逆的と言えますが、政策導入等に伴う将来的なエネルギー構成については様々な見方があります。斯かる状況下、エネルギーの安定供給・調達と、気候変動対応を高い次元で両立させていく必要性が益々高まっており、低・脱炭素社会実現に向け、エネルギートランジションを支える世界各地での取組が求められています。

原油の中長期的な見通しとして、特に供給面で新規上流投資抑制による開発鈍化や、より高コストの油田開発への移行が考えられています。一方で、消費者の行動様式の変化や、EVの急速な普及、環境規制の強化などによる原油需要の減少可能性も考えられ、これらの影響を見極めていく必要があります。

LNGについては、新興輸入国の市場拡大や、大気汚染物質や温室効果ガスの排出係数が相対的に低い特性から需要が堅調に伸長すると見込まれ、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により新規プロジェクトの開発計画や最終投資決断が軒並み遅延していることから、2025~2026年頃迄は需給がタイトな期間が続く見込みです。

また、各国政府が新型コロナウイルス感染症からの経済復興策としてのグリーンエネルギーの導入促進を打ち出し、再生可能エネルギーの更なる普及、よりクリーンな燃料への転換、モビリティの電動化や水素燃料電池自動車の普及等、気候変動対応事業が新たな成長領域へと変貌する中、総合エネルギーサービス事業と次世代燃料事業を柱としたエネルギーソリューション分野における取組ニーズが拡大、加速すると見ています。

 

④機械・インフラセグメント

電力分野では、電力需要は回復基調にあり、特に脱炭素化の加速により再生可能エネルギーへの需要増加が加速しています。また電力エネルギー分野の分散化・サービス化や、複数分野に跨るNew Downstream領域、クリーン化(水素・燃料アンモニア・CCS)は将来的に高成長分野となる可能性があります。

資源インフラ分野では、環境意識の高まりに伴い地域差はありますが、新興輸入国の市場拡大や、大気汚染物質や温室効果ガスの排出係数が相対的に低い特性からLNG・ガス需要が堅調に伸長しています。中長期的には水素・アンモニア等代替燃料の検討が進む見込みです。

物流分野では、概ね回復傾向にあり、中長期的には新興国を中心とする中間層の増大により内需・消費の増大が見込まれ、物流インフラニーズは底堅いと見られています。

モビリティ領域では、昨年は半導体供給不足等サプライチェーン問題が深刻化、これに起因する自動車供給不足が続いたものの、今後正常化が見込まれます。新車需要は2023年迄に新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復する見通し、また中古車市場は新車供給不足により需要が急増、かかる状況は当面続くことが見込まれます。建機・産機需要も回復基調ではありますが、生産納期長期化の傾向が顕著に見られます。また、マストランジット・公共交通の需要減少、パーソナルモビリティの需要増加が進むと考えられ、生産性向上や労働力不足解消に向けた「デジタル化」や「自動化」など技術革新の動きもこれまで以上に活発化する見通しです。加えて、環境規制の強化やESG意識の高まり等を受けて、省エネ・新燃料・電動化等の需要はさらに拡大すると見られます。

船舶領域では、ばら積み船市況は、総じて前連結会計年度レベルを超えた水準で推移しました。2022年も新造船供給圧力は限定的とみられ、当面ばら積み船市況は比較的安定して推移する見通しです。また環境対応意識の高まりで新燃料対応船や電動化の議論が活発化しており、徐々に実用化されています。

鉄道及び航空領域は2020年を底に徐々に回復傾向にあり、欧州における貨物鉄道輸送量は昨年末に新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復し、機関車及び中短距離路線を中心とした旅客航空需要は今年後半~2023年にかけて新型コロナウイルス感染拡大前の同水準への回復を期待しています。宇宙領域では、宇宙空間を活用した事業機会や衛星データの地上産業向け利活用の拡大が見込まれます。

 

⑤化学品セグメント

2022年3月期は、化学品事業全体として、新型コロナウイルスからの力強い回復需要による好調な各種商品価格を主因に堅調に推移しました。ロシア・ウクライナ情勢によるサプライチェーンの更なる混乱、エネルギー・原料価格上昇もあり、事業を取り巻く環境変化には注視が必要ですが、引き続き、当社のグローバルに広がるネットワークを活かした素材の安定供給への期待は高まっていくものと見ています。

また、気候変動含むサステナビリティへの対応はより一層重要な社会課題となっており、サーキュラーエコノミーの確立やカーボンマネージメント実現に向けた具体的な取組の要請が高まっています。

ベーシックマテリアルズ領域では、各国・各企業がカーボンニュートラルに移行していく中、トレードフロー含む市場構造の一層の変化が予想されています。その1つの方向性として、化石燃料の需要が頭打ちとなる一方、ケミカル需要は引き続き伸長していくことが見込まれ、製油所が化学品製造にシフトする「Oil to Chemical」の動きがさらに加速化し、リサイクルやクリーンアンモニア等のニーズがより一層高まるものと見ています。

パフォーマンスマテリアルズ領域では、循環型・低炭素社会の実現に向けた環境配慮型事業への投資や取組みが加速すると共に、地政学的な変化に応じてサプライチェーン再構築の要請が高まると見ています。また、健康・生活の質の向上に対するニーズの拡大と多様化に着目しています。

農業化学やウェルネス・栄養科学の領域では、世界的な人口増加・経済成長に伴う食料増産ニーズ、中間所得者層の増加や健康意識の高まりに伴う食の高付加価値ニーズが増大し、市場は引き続き拡大することが見込まれます。また、デジタル化の進展や新型コロナウイルス感染症を奇貨とした生活様式の変化にも注目しています。エッセンシャルビジネスとしての食料、農業関連事業は、ロシア・ウクライナ情勢により一部原料や燃料コストの高騰といった影響が発生していますが、引き続き堅調に推移すると見ています。

⑥鉄鋼製品セグメント

温室効果ガス排出抑制を目的とした生産規制により中国での粗鋼生産は鈍化したものの、世界経済復調による力強い需要拡大により、2021年暦年の世界の粗鋼生産は前年比4%増の約20億トンとなり、鋼材市況は大きく改善しました。然しながら、半導体・部品不足による自動車生産の減少、ロシア・ウクライナ情勢に伴うサプライチェーンの混乱等、足元の事業環境の変化による鋼材需要への影響は注視が必要です。また、国内を中心に製鉄業再編が進展し、鋼材流通分野でも更なる業界再編が生じる可能性があります。

中長期的には、国内の鉄鋼市場は人口減少などにより縮小する一方で、アジアを牽引役として海外では鉄鋼需要は増加していく見通し、また地産地消化や脱炭素社会へ向けた動きが加速する中で、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。

 

⑦生活産業セグメント

食料領域では、世界的な人口増加を背景に食料需要が持続的に増加すると見込んでいます。新興国では、人口増・所得増により引き続きたんぱく質や嗜好品の消費拡大が見込まれます。先進国では、精神的な豊かさを重視した消費が加速し、健康志向の高まりから生じる機能性食材や食の安心など消費者の需要の多様化・高度化が進むと見ています。また気候変動による生産減少や生産適地の変化、新型コロナウイルス感染症・自然災害による物流混乱やサプライチェーンの分断等による食の安全保障・安定供給への危機意識も高まっています。

リテール領域では、国内市場は少子高齢化・人口減少の環境下、新型コロナウイルス感染拡大で冷え込んだ消費の回復には時間を要する見通しである一方、アジア・北米を中心とする海外市場は成長が見込まれます。また、新型コロナウイルス感染拡大を契機とする消費行動の変化やDX化の加速を受け、世界的にファッションや食を含むライフスタイル領域のEC市場が急拡大しています。消費者の価値観及び消費行動の多様化と共に、ESGへの意識の高まりから、将来の消費市場を牽引するY・Z世代を中心に「健康・環境・サステナビリティ」等の価値観を重視する傾向も強まっており、商品・サービスに求められる質や価値が大きく変化しています。

ウェルネス領域においては、アジア新興国の人口増加と成熟国の高齢化、経済発展に伴う慢性疾患の増加による疾病構造の変化に伴い、医療費支出の増加が継続しています。また、中間所得層の増加や新型コロナウイルス感染拡大を契機に、生活者のヘルスリテラシーは一層高まるとともに、治療から未病・予防、そして心身ともに健康な状態を志向する「ウェルネス」の拡がり等、行動様式や価値観が大きく変化しています。今後はヘルスケアデータやAI等デジタル技術の活用による更なる変革を通じ、患者に提供される医療の価値の最大化とコスト最適化を図る考え方への移行、未病・予防を含むウェルネス分野へのサービスの拡がりがより加速していくものと見ています。

 

⑧次世代・機能推進セグメント

ICT事業分野においては、IoT・AI・クラウドの普及、消費者サービスの変革など、社会のデジタル化によって多種多様なデータが生み出され、それを価値あるサービスに結び付ける取組みが求められています。また、新型コロナウイルスの影響によりライフスタイルや働き方が大きく変化する中、人々の非接触化による新たなサービスが生まれてくると共に、サイバーセキュリティリスクの高まりに対し、より高度な対策が求められています。

コーポレートディベロップメント分野においては、インフレ高進に伴う資金調達コスト上昇、足元の地政学、環境との調和に対する意識の高まりなどによる投資環境の変化の中で、株式市場、コモディティ市況、投資家ニーズの変化を適切に捉えた投資判断の重要性が増大しています。また、消費活動のEC化の加速に伴い、フルフィルメント機能の需要拡大が見込まれます。

 

(3)2023年3月期事業計画

中期経営計画の最終年度である2023年3月期は、基礎営業キャッシュ・フロー9,500億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)8,000億円を計画します。これは、いずれも中期経営計画2023における最終年度の目標を上回るものです。「変革と成長」に向けた重点施策の推進を通じ、引き続き力強い収益力の実現を目指します。

 

①環境認識と事業計画への影響

世界経済の不確実性は高まっており、中でも地政学リスクの顕在化、サプライチェーン混乱、インフレ高進といった事業を取り巻く大きな環境変化は、当社にとりポジティブな影響と、ネガティブな影響の双方をもたらします。こうした環境下、危機管理対応と複数シナリオへの備えを強化します。また、時間軸・優先順位の機動的な見直し、供給・納入責任の着実な履行等の取組みを強化します。

 

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②2023年3月期重点施策

(a)収益基盤の強化継続

本中期経営計画期間より社内管理指標としてROIC(Return On Invested Capital)を導入しましたが、これをさらに活用し、成長性と収益性の2つの軸で事業ポートフォリオのあり姿とその実現に向けたプロセスを可視化することで、規律とメリハリのあるリソース配分をさらに進め、各事業の競争力強化と事業ポートフォリオの入替えを実行し、骨太な事業群形成を加速させます。

 

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また、顧客ニーズに基づく販路・サプライソース多角化といったトレーディング機能強化、事業会社における着実な経営改善を通じた損益分岐点の引下げ等の取組みが、直近の収益拡大につながりましたが、今後もこうした取組みを加速させ、強靭な事業ポートフォリオの形成を進めます。

 

(b)成長戦略の打ち手の着実な実行・Strategic Focus

引き続き、中期経営計画でStrategic Focusとして定めたエネルギーソリューション、ヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジアの各領域の取組みを進めていきます。厚みを増した良質なパイプライン案件を基に、Strategic Focus領域に加え、強いコア事業に隣接する収益機会もボルトオン投資等で確りと取り込むべく、成長投資の実行に取り組んでいきます。

 

(c)更なる成長実現に向けて~“D”s & “I”s~

不確実性の高い事業環境にある今こそ、環境変化に対応し、新たな潮流を捉え、先手を打つための取組みが必要であり、以下DとIで始まるKey Wordを標語として掲げ、社員一人ひとりが意識することで、当社の持続的な成長へとつなげていきます。

 

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(d)キャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通し(中期経営計画3年間累計)

過去2年間の実績と2023年3月期の計画を踏まえて、中期経営計画3年間累計のキャッシュ・フロー・アロケーションをアップデートしました。

主に基礎営業キャッシュ・フローの増加を反映しキャッシュ・インは拡大する見込みであり、追加還元の継続的な実行とともに成長投資を進めます。

中期経営計画期間中、マネジメント・アロケーションとして2022年5月2日に公表済みの1,000億円を上限とする新たな自己株式取得を含め、既に3,400億円の自己株式取得への配分を決定しました。さらに、増配には1,000億円(中期経営計画3年間累計の配当総額につき、中期経営計画公表時点で見込んでいた4,000億円と、最新見通し5,000億円の差額)を配分し、成長投資には4,000億円以上配分することを見込みます。

引き続き、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元へ柔軟で戦略的な資金配分を実行します。

 

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(e)利益配分に関する基本方針

株主還元策については第4 提出会社の状況 3 配当政策をご参照ください。

 

(4)人材戦略(ダイバーシティ&インクルージョン)

①基本的な考え方

当社グループでは、多様なバックグラウンドを持つ人材がグローバルで活躍しています。

採用地や性別によらず、社員一人ひとりがお互いを認め合い、刺激を受け合いながら能力を最大限に発揮し、ビジネスに新たな価値をもたらすことを目指しており、特に以下の観点を重視し、ダイバーシティ経営を推進しています。

 

(1)多様性を力にする組織づくり

多様な個の「違い」を力に変える組織風土や働き方により、一人ひとりが活躍できる環境づくり

(2)多様な人材の活躍促進

採用地や性別等に関係なく、多様なバックグラウンドのプロ人材の活躍を推進している。特に、国内においては女性の活躍推進に注力する一方、女性活躍が相対的に進んでいる海外拠点では、それぞれの拠点で採用された人材の活躍推進に注力している

(3)弛まぬ「挑戦と創造」

「多様性を力に」を当社グローバルで共通のValuesのひとつとして、持続的な競争力の源泉と位置づけ、事業活動における先見性に繋げ、変革を生み続ける

 

②ダイバーシティ経営推進体制

当社では、ダイバーシティ経営の推進にあたり、経営会議の諮問委員会としてダイバーシティ推進委員会を設置しています。委員会は人事管掌役員(CHRO)を委員長とし、人事総務部長、経営企画部長に加え、委員長が別途指名する委員から構成されています。当連結会計年度は「別途指名する委員」として、海外現地法人役員(現地採用Executive Vice President)や事業本部長を含む5名(内、女性3名、外国籍1名)が指名され、計8名の多様なバックグラウンドを有するメンバーで推進しました。

 

当連結会計年度においてダイバーシティ委員会は、以下の通り3回開催され、各委員会の出席率は全て100%でした。委員会においては、当社における女性活躍推進、また、海外の現地法人・各拠点で採用された社員の活躍推進に向けた指標管理やアクションプランのモニタリングを行いました。また、「多様性を力にする組織」の実現に向けたMitsui Engagement Survey(当社及び当社グループ社員を対象としたEngagementに関するアンケート、以下「MES」)の結果概要を確認し、全社施策の討議を行いました。なお、MESの概要は「⑥社員エンゲージメント」をご参照ください。各委員会の議事録はイントラネットを通じて当社社員、並びに現地法人社員に広く公開しています。

 

(2022年3月期ダイバーシティ推進委員会概要)

 

日程

主要なテーマ

第1回

2021年6月16日

年間活動計画、各指標の確認、女性活躍推進(経営会議メンバーによるスポンサーシップ)

第2回

2021年11月19日

多様な人材(海外拠点の採用社員・本社に於ける女性社員)の活躍推進に向けた施策協議、改正育児・介護休業法の対応、D&I Week 2021総括

第3回

2022年2月8日

D&I推進に向けた委員による講演と討議、年間アクションプランと指標のモニタリング、Mitsui Engagement Survey結果確認

 

③女性の活躍推進

当社グループの使命である「挑戦と創造」を強化し、イノベーションを通じたビジネスの推進には多様性が不可欠です。さまざまな事業領域において多くの女性が活躍していますが、当社(単体)における女性社員の活躍推進をさらに加速する必要があります。この為、2025年3月期までに女性管理職比率10%を達成することを目標として掲げています。同目標を達成する中で管理職以上の女性の活躍を後押しすべく、2020年からWomen Leadership Initiativeプログラムを通じたライン長候補の育成を強化しています。加えて、2021年からは経営会議メンバーがスポンサーとなり1年間かけてシニアリーダー候補の女性社員に対しキャリアに関する助言や指導を行い、ストレッチアサイメント(一段目線の高いチャレンジとなる業務機会の提供)に繋げるSponsorship Programを実施しています。当連結会計年度に当社(単体)へ入社した担当職社員172名(新卒・キャリア採用合計)の内、女性は58名(33.7%)となります。

 

(当社(単体)における女性管理職数・比率推移)

 

2020年3月末

2021年3月末

2022年3月末

目標
(2025年3月末)

女性管理職数(名)

234

250

267

-

管理職比率(%)

7.0%

7.5%

8.0%

10.0%

 

2022年3月期の当社(単体)採用人員数)

 

男性(名)

女性(名)

女性比率

新卒入社

71

43

37.7%

キャリア入社

42

13

23.6%

配偶者転勤による再雇用入社

0

2

100%

キャリア入社(元当社社員)

1

0

-

 

114

58

33.7%

 

④男性社員による育児目的休暇の取得

2022年3月期は、当社(単体)における男性社員の育児休業等、育児目的休暇の取得率は54.3%となりました(前期比+8.7%)。

 

(男性社員による育児休業等、育児目的休暇の取得率)

 

2021年3月期

2022年3月期

男性育児休業取得者数(名)

82

102

取得比率(%)

45.6%

54.3%

 

⑤海外拠点における人材の活躍

各国、地域に根を深く張ったビジネスを展開していくため、当社グループの海外拠点(現地法人・支社支店・事務所)において人材の活躍推進に力を入れています。2018年より、変革を積極的に推し進める先導者を育成することを目的としたChange Leader Program(CLP)を実施しています。世界各国から選抜された社員が、経営幹部との対話やリーダーシップなどをテーマにした集中討議を行っています。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年はオンラインでChange Leader Business Meetupを開催し、日本を含む世界各国の次世代リーダー候補が参加し、中期経営計画2023で定めたStrategic Focusをテーマにグループで討議し新規事業の提案を行いました。今後は、日本を含む他国拠点での勤務経験を提供し、グループでの適材適所の配置・活躍を加速していきます。また、三井物産人材開発(株)では、当社グループの海外拠点だけではなく、グループ各社で働く世界中の社員を対象とした教育・研修の企画運営の提供も行っています。

 

⑥多様なキャリアの提供

当社の多様なプロ人材が自らの強みを発揮し、その成果と貢献が適切に評価され、誰もが成長を実感しながら自ら果敢にキャリアを切り開くことにより、「個」の成長と会社の成長がつながる正のスパイラルを実現することを目指して中期経営計画期間において人事制度の一部を改定しました。具体的には、①事業経営者インセンティブプランや、関係会社の主要ポジションのサクセッションマネジメント(後継者育成)強化、②所定の任用・昇格要件や年齢に関わらず、適任者が上位ポジションでより大きな役割・職務にチャレンジできるキャリアチャレンジ制度、③従業員向け株式報酬制度が挙げられます。また、2023年3月期からは、複線型人事制度であるExpertバンドを導入し、従来のラインマネージャーを前提とした職群に加えて、高度な専門性を蓄えた人材のためのキャリアパスを備えることにしました。また、HR Strategy Meetingとして社長と人事管掌役員(CHRO)、人事総務部長、各事業本部長・コーポレート各部部長は、重要ポジションのサクセッション管理を議論するための会議をそれぞれ年に一回行っています。この会議では、バックグラウンドの多様な任用候補者(女性、海外拠点で採用された社員など)の活躍状況と育成方針が確認されています。

 

 

⑦社員エンゲージメント

社員一人ひとりの意欲を高め、組織としての力につなげていくことを企図し、2018年からMitsui Engagement Survey (MES)を実施しています。3回目となる2021年には当社(単体)・海外現地法人に加え国内外の主要な連結子会社22社が参加し、総勢約13,000名の社員による調査を実行しました。調査では「社員エンゲージメント」と「社員を活かす環境」の二軸が測定され、各現場に於いてよりよい組織づくりに向け活用されていると共に、「多様性を力に」する為の重要な経営データとして経営会議や取締役会にも報告し、人事戦略の策定に活用されています。なお、MES2021の結果は、「社員エンゲージメント」が71%(前年比+1%)、「社員を活かす環境」が69%(前年比横ばい)でした。

 

(5)サステナビリティ経営

①三井物産のマテリアリティ

当社は、サステナビリティを重視した経営を行っており、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、当社Missionに掲げている「世界中の未来をつくる」に貢献すべく、社会と当社が持続的に成長するための重要な経営課題として以下の通り、5つのマテリアリティを特定しています。

また、国連「持続可能な開発目標(SDGs)」の17目標に取り組んでいくために、三井物産のマテリアリティとSDGsを関連付けて事業・活動を推進しています。各マテリアリティと組織ごとの具体的な方針、目標、取組み、進捗状況に関してはマテリアリティアクションプランとして整理のうえ、進捗を管理し、開示しています。

 

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②気候変動への対応

当社は中期経営計画2023において気候変動をサステナビリティ経営における重点課題の一つとして特定しました。2050年の「あり姿」としてネットゼロエミッションを掲げ、その道筋として2030年に2020年3月期比でGHG(*)インパクト半減を目指しています。

GHGインパクトは、自社のGHG排出量から事業を通じて実現した削減貢献量を差し引いたものを指します。当社は、自社の排出量削減のみならず、事業活動を通じて社会全体の脱炭素化への移行に貢献することを重視しています。

2020年3月期のGHGインパクト34百万トンを、2030年3月期には17百万トンまで半減させるべく、排出削減及び削減貢献への取り組みを加速していきます。また、2050年のネットゼロエミッションは、当社排出量から吸収除去・オフセット量のみを差し引いて実質ゼロにすることを目指します。

(*)温室効果ガス(Greenhouse gas)

 

 

(GHG削減目標達成イメージ)

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(2030年GHGインパクト半減への道筋)

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(GHG排出量推移※)   単位:千t-CO2e

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

Scope1+2

3,776

3,868

4,336

Scope3(投資)

-

32,000

35,000

※2021年3月期のGHG排出量におけるScope1及び2、一部のScope3については、サステナビリティレポートにおいて第三者保証を受けています。保証範囲の詳細については当社サステナビリティレポート2021
https://www.mitsui.com/jp/ja/sustainability/sustainabilityreport/2021/pdf/ja_sustainability_2021.pdf#page=121)をご参照ください。2022年3月期のGHG排出量関連データについては2022年8月に公表を予定しています。

 

 

③TCFD提言に基づく情報開示

また、当社は2018年12月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同しており、TCFD提言に沿って、一層積極的な情報開示を進めていくとともに、責任あるグローバル企業として国際的な目標であるパリ協定や日本の中長期的なGHG削減目標に寄与する目標を掲げ、気候変動への対応に取り組んでいきます。

TCFD提言に基づく情報開示の要旨は以下の通りです。詳細は、当社サステナビリティWebページ内「TCFD提言に基づく情報開示」(https://www.mitsui.com/jp/ja/sustainability/environment/climate_change/pdf/ja_20220622tcfd.pdf)をご参照ください。

 

 

項目

当社方針や各種取組みの概要

ガバナンス

・経営上の重要課題である気候変動対応に関する基本方針や重要事項は、経営会議の下部組
 織であるサステナビリティ委員会での審議を経て、定期的に経営会議および取締役会に付
 議・報告されます。

・また、外部有識者から構成されるサステナビリティアドバイザリーボード(旧:環境・社
 会諮問委員会)を設置し、メンバーからの情報や助言をサステナビリティ委員会の審議に
 活用しています。

戦略

 

・当社では、短期、中期、長期の時間軸に分けて、最長2050年までのシナリオ分析を実施し
 ています。シナリオ分析に際しては、IEA(国際エネルギー機関)が発行するWorld Energy
 Outlook(WEO)に記載のあるシナリオ等を参照して、移行リスク・機会の分析を行ってい
 ます。

・事業規模と気候変動インパクト(GHG排出量または削減・吸収量)を勘案し、シナリオ分
 析の対象として、石油・ガス開発事業およびLNG事業、原料炭事業、火力発電事業、鉄鉱石
 事業、海洋油・ガス田生産設備事業、ガス配給事業、LNG船事業、再生可能エネルギー事
 業、次世代エネルギー事業、森林資源事業を優先度の高い事業としてシナリオ分析の対象
 事業に選定しています。

・シナリオ分析は2023年3月期連結業績予想策定を含む事業計画プロセスにおいて実施してお
 り、分析結果は事業ポートフォリオ戦略にも反映しています。

・一方、物理的リスクに関しては、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)に採用され
 ているRCP(代表的濃度経路)も参考にしつつ、一定額以上の投資性資産を有する事業に関
 して、過去5年間に発生した気候災害の状況を基に調査し、影響の分析を行いました。

リスク管理

・当社では、全社一元的にリスクを管理する統合リスク管理体制を構築しています。統合リ
 スク管理体制においては、事務局を務めるコーポレートスタッフ部門担当部署が全社的観
 点でリスクを統括します。

・気候変動によるリスク(物理的・移行)は、重要なリスクの中でも、事業投資に関わるリ
 スクやカントリーリスクに次ぐ重要度と位置づけ、対応策を講じています。詳細について
 は、第2 事業の状況 2. 事業等のリスクをご参照ください。

指標と目標

・当社では以下のとおり各種環境指標や目標を設定、モニタリングを継続して実施していま
 す。

 (1)親会社+連結子会社(含むUn-incorporated Joint Venture)のScope1+2およびScope3
    カテゴリー15(投資):2050年の「あり姿」としてのネットゼロエミッションを掲げ、
    その道筋として2030年に2020年3月期比GHGインパクト半減を目指す。

 (2)親会社+連結子会社(除くUn-incorporated Joint Venture)のScope1+2:2030年のGHG
    排出量を2020年3月期比半減させる。

 (3)発電事業における再生可能エネルギー比率:2030年までに30%超に引き上げる。

 

 

④人権とサプライチェーンに係る取組み

当社は、世界中の国や地域でグローバルに事業を展開していることから、国際基準に則った人権に対する配慮はサステナビリティ経営の基盤であると考えており、中期経営計画2023において、ビジネスと人権をサステナビリティ経営における重点課題の一つに特定しています。

サプライチェーン上の人権問題への取組みについては、人権デューデリジェンスを実施し、周知、特定、調査、開示・改善の4つのプロセスでPDCAを回すことで、当社の事業に直接関係する人権問題と環境問題の防止、そして解決を図っています。本年5月には当社方針、取組みの周知を目的としたサプライチェーンマネジメントハンドブックを作成、公開しました。

なお、新規事業参画や拡張、および事業撤退に際しては、ESGデューデリジェンスチェックリストを活用しESG影響評価を行っており、人権に関しては当該チェックリストに基づき、労働安全衛生や、開発事業における現地住民をはじめとする関係者の人権等について社内審査を行っています。

 

 

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(6)2023年3月期連結業績予想

①2023年3月期連結業績予想

 

[業績予想の前提条件]

予想

実績

期中平均米ドル為替レート

120.00

113.04

原油価格(JCC)

98ドル

77ドル

期ずれを考慮した当社連結決算に反映される原油価格

88ドル

68ドル

 

単位:億円

2023年3月期

業績予想

2022年3月期

実績

増減

増減要因

売上総利益

11,500

11,414

+86

 

販売費及び一般管理費

△6,600

△5,963

△637

新規子会社化

有価証券・固定資産

関係損益等

500

190

+310

資産リサイクル

利息収支

△750

△273

△477

金利上昇

受取配当金

1,350

1,965

△615

商品価格下落

持分法による投資損益

4,300

4,313

△13

 

法人所得税前利益

10,300

11,645

△1,345

 

法人所得税

△2,000

△2,268

+268

 

非支配持分

△300

△230

△70

 

当期利益

(親会社の所有者に帰属)

8,000

9,147

△1,147

 

 

 

 

 

 

減価償却費・無形資産等償却費

2,500

2,964

△464

 

 

 

 

 

 

基礎営業キャッシュ・フロー

9,500

11,587

△2,087

 

 

・為替レートは2022年3月期の113.04円/米ドル、83.33円/豪ドル及び21.44円/伯レアルに対し、2023年3月期はそれぞれ120円/米ドル、88円/豪ドル及び25円/伯レアルを想定します。また、2023年3月期の原油価格(JCC)を98米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の連結決算に適用される原油価格の平均を88米ドル/バレル(2022年3月期比20米ドル/バレル上昇)と想定します。

 

オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。

 

 

(単位:億円)

2023年3月期

業績予想

2022年3月期

実績

増減

増減要因

金属資源

3,300

4,976

△1,676

鉄鉱石価格・受取配当金

エネルギー

1,600

1,140

+460

原油・ガス価格

機械・インフラ

1,600

1,208

+392

前期損失反動、

プロジェクト稼働開始

化学品

700

689

+11

 

鉄鋼製品

200

269

△69

鋼材市況

生活産業

500

615

△115

前期利益反動

次世代・機能推進

400

576

△176

FVTPL益、

商品トレーディング

その他/調整・消去

△300

△326

+26

 

連結合計

8,000

9,147

△1,147

 

 

オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。

 

(単位:億円)

2023年3月期

業績予想

2022年3月期

実績

増減

増減要因

金属資源

3,700

5,528

△1,828

鉄鉱石価格・受取配当金

エネルギー

2,700

2,802

△102

受取配当金

機械・インフラ

1,300

1,440

△140

受取配当金

化学品

900

938

△38

 

鉄鋼製品

100

124

△24

 

生活産業

400

352

+48

 

次世代・機能推進

300

466

△166

FVTPL益、

商品トレーディング

その他/調整・消去

100

△63

+163

 

連結合計

9,500

11,587

△2,087

 

 

② 2023年3月期連結業績予想における前提条件

2023年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。

 

価格変動の2023年3月期

当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額

2023年3月期

前提

 

2022年3月期

実績

市況商品

原油/JCC

98

 

77

連結油価(*1)

22

億円(US$1/バレル)

88

 

68

米国ガス(*2)

10

億円(US$0.1/mmBtu)

4.89

 

3.72(*3)

鉄鉱石(*4)

22

億円(US$1/トン)

(*5)

 

153(*6)

石炭

原料炭

5

億円(US$1/トン)

(*5)

 

272(*7)

一般炭

1

億円(US$1/トン)

(*5)

 

110(*7)

銅(*8)

7

億円(US$100/トン)

9,150

 

9,315(*9)

為替(*10)

米ドル

46

億円(\1/米ドル)

120.00

 

113.04

豪ドル

25

億円(\1/豪ドル)

88.00

 

83.33

伯レアル

3

億円(\1/伯レアル)

25.00

 

21.44

 

(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2023年3月期には約35%が4~6ヵ月遅れで、約60%が1~3ヵ月遅れで、約5%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は、連結油価に対する年間インパクト。

(*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対するものではなく、加重平均ガス販売価格に対するインパクト。

(*3) 米国ガスの2022年3月期実績欄には、2021年1月~12月のNYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの直近限月終値のdaily平均値を記載。

(*4) Valeからの受取配当金に対する影響は含まない。

(*5) 鉄鉱石・石炭の前提価格は非開示。

(*6) 鉄鉱石の2022年3月期実績欄には、2021年4月~2022年3月の複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaのdaily平均値(参考値)を記載。

(*7) 石炭の2022年3月期実績欄には、対日代表銘柄石炭価格(US$/MT)の四半期価格の平均値を記載。

(*8) 銅価格は3ヶ月遅れで当社連結業績に反映される為、上記感応度は2022年3月~12月のLME cash settlement price平均価格がUS$100/トン変動した場合に対するインパクト。

(*9) 銅の2022年3月期実績欄には、2021年1月~12月のLME cash settlement priceのmonthly averageの平均値を記載。

(*10)上記感応度は、各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益に対するインパクト及び一部海外出資先からの受取配当金の影響。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。関係会社における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。

 

注) 経営成績に対する外国為替相場の影響について

2021年3月期及び2022年3月期の海外の連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計はそれぞれ3,384億円及び7,505億円です。これらの海外所在の連結子会社及び持分法適用会社の機能通貨は、主として米ドル、豪ドル、伯レアルです。2023年3月期連結業績予想の当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する為替変動の影響について、当社は簡便的な推定を行っています。

(a)具体的には、業績予想策定の過程で、海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を各社の機能通貨別に集計し、まず豪ドル、伯レアル建ての予想当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計額を算出するほか、両通貨以外の機能通貨を使用する関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を全て米ドル相当額に換算しました。これら3つの通貨別に表示された海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)に一部の海外出資先からの通貨別の配当金を合計した金額に対して為替変動の影響を評価しました。これによれば米ドルに対する円高は、1円当たり46億円程度の当期利益(親会社の所有者に帰属)の減少をもたらすと試算されます。また、豪ドル及び伯レアルに対する円高の影響は、1豪ドル及び1伯レアル当たりでそれぞれ1円の円高で25億円及び3億円の減益となります。

(b)なお、豪ドルを機能通貨とする資源・エネルギー関連生産会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)は、両通貨と契約上の建値通貨である米ドルとの間での為替変動の影響を大きく受けます。この影響額は、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。

(c)但し、資源・エネルギー関連生産会社などでは、一部において、販売契約の契約通貨である米ドルと機能通貨の為替ヘッジを行っているほか、外貨建の当期利益(親会社の所有者に帰属)の円貨相当評価に係る為替ヘッジを行っている場合があります。これらの影響額についても、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。

 

2【事業等のリスク】

 

当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。

 

(1)事業投資リスク

当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、様々な事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金が回収不能となるリスク、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。

また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、

・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。

・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。

こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の多くにおいて、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営はオペレーターの定める方針に影響を受けます。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替を行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット(注)として定期的にモニタリングするとともに、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、リスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。

(注)リスクアセットは、営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額です。

 

(2)カントリーリスク

当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。

更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、

 

・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投融資残高があります。

・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投融資残高があります。

・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投融資残高があります。

・インドネシアにおいて、消費者関連事業や二輪車販売金融事業、インフラ関連プロジェクトに係る投融資残高があります。

そのため、カントリーリスクについては、各国輸出信用機関によるファイナンスなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。

また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。

なお、ウクライナ情勢に関して、当社は国際社会が協調し制裁措置を取る中で、それらを遵守しつつ各事業に取り組んでいます。ロシア向けの投融資保証残高は2022年3月末時点で4,260億円となり、当社及び連結子会社の投融資保証残高の約4%となりますが、将来の不確実なウクライナやロシアの情勢によって影響を受ける可能性があります。また、2022年3月期決算における影響については、連結財務諸表注記事項29.「ウクライナ情勢のロシアLNG事業への影響」をご参照ください。

 

(3)気候変動に関するリスク

国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。

短期的に発現する可能性が高い物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、渇水ないしは局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生するハリケーンやサイクロンは、当社及び連結子会社が行う操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生産現場、出荷のための鉄道、港などのインフラが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先が甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクがあります。当社及び連結子会社各社において、保険付保、危機管理方針策定、設備増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しています。

・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課などの排出権取引制度に代表されるGHG(温室効果ガス)排出規制は、当社及び連結子会社が出資するGHG排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給の変化や既存製造設備の陳腐化が生じる可能性があります。

・資金調達リスク:金融機関・保険会社の低・脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。

国際エネルギー機関(IEA)などの複数の気候変動シナリオを参考に、事業への影響を分析していますが、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には保有権益の価値毀損により当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、気候変動による将来影響を把握し、また成長機会として取り込むことで、より強靭な事業基盤を確立すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指します。

更に当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組みの促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入しました。新規事業案件につき、2℃シナリオでの影響の分析、ならびに対策の妥当性等が、案件審査の一要素に追加されました。同制度は既存事業のリスク評価にも活用されています。

なお、気候変動に関する当社及び連結子会社の取組みについては第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(5) サステナビリティ経営」をご参照ください。

 

(4)商品価格リスク

原油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。

価格変動は、当社連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2023年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により22億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により22億円と推定しています。詳細は、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(6)2023年3月期連結業績予想」及び3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。

そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。

 

また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。

詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。

また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。

・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社及び連結子会社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)為替リスク

当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

2023年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により46億円、豪ドル/円で1円の変動により25億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2023年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。

当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。

当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジを行うとともにヘッジ会計を適用しています。

詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。

 

(6)保有上場株式の株価リスク

当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しています。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆3,355億円保有しており、総資産の8.9%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っていますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。

詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。

 

(7)与信リスク

当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。

当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は2兆3,031億円であり、総資産の15.4%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は219億円となっています。

様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。

そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。

 

しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)資金調達に関するリスク

金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。

資金調達及び格付けについては、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」をご参照ください。

 

(9)オペレーショナルリスク

当社及び連結子会社は、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、当社を中心として全世界に広がる事業拠点とその情報力を活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなど各種事業を多角的に行っており、更には資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代燃料やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出などの幅広い取組みを展開しています。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。

 

(10)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク

当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、投融資案件において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもあり得、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともあり得ます。

当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部が継続的にメッセージを発信し、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成し、コンプライアンス違反に対して厳正に対処する等、さまざまな取り組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4. コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要「③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制」をご参照ください。

しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク

通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。

しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク

当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症に関しては、中国におけるゼロコロナ政策の継続による景気回復への鈍化や、新興国におけるコロナ禍からの回復の遅れによる成長鈍化などが将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルを予め策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。

 

・当社固有のリスクではない、一般的なリスク

 

- 世界マクロ経済環境の変化によるリスク

世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

- 法的規制に関するリスク

当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による新興国でのインフラ開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。

当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。

当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。

 

- 競合リスク

当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

- 人的資源の制約に関するリスク

新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、人材戦略に関する当社の状況については第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(4) 人材戦略(ダイバーシティ&インクルージョン)」をご参照ください。

 

 

・リスクとして認識はしているが、影響に重要性がないもの

- 金利リスク

当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」をご参照ください。

 

- 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク

国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

確定給付費用については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」をご参照ください。

 

・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」をご参照ください。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

この財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでいます。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要因により、当社及び連結子会社の実際の業績は、これらの予測情報から予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。

なお、経営上の目標の達成状況については、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(1)中期経営計画の進捗状況」をご参照ください。

 

(1)業績等の概要

①業績

「(4)経営成績に係る検討と分析 ②オペレーティング・セグメント情報」をご参照ください。

②キャッシュ・フロー

「(5)流動性と資金調達の源泉 ⑥キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 

(2)仕入、成約及び売上の状況

①仕入の状況

各オペレーティング・セグメントにおいて、仕入高と売上高との差額は売上高に比べ僅少であるため、記載は省略しています。

②成約の状況

各オペレーティング・セグメントの成約高と売上高との差額は僅少であるため、記載は省略しています。

③売上の状況

「(4)経営成績に係る検討と分析」及び連結財務諸表注記事項6.「セグメント情報」をご参照ください。

(注) 当社グループは、総合商社である当社を中心とした事業活動を展開しており、受注生産形態をとらない事業が多いことから、生産、受注及び販売の状況に替え、仕入、成約及び売上の状況としています。

 

 

(3)経営者の検討における重要な指標について

当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、2「事業等のリスク」に述べる各項目の影響を受けますが、当連結会計年度末において当社の経営者は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の指標が有用であると考えます。

①売上総利益、持分法による投資損益及び当期利益(親会社の所有者に帰属)

当社及び連結子会社は様々な商品と地域にわたる幅広い事業活動を展開し、そのリスク・リターンの形態も仲介取引から金属資源・エネルギーの権益事業まで多岐にわたります。当社及び連結子会社の経営成績及び事業の進捗を把握する上で、オペレーティング・セグメント別の売上総利益、持分法による投資損益及び当期利益(親会社の所有者に帰属)の変動要因に係る分析を重視しています。

②金属資源・エネルギーの価格及び需給の動向

当社及び連結子会社の経営成績に占める金属資源・エネルギー関連事業の重要性が高いことから、金属資源・エネルギーの市況及び持分生産量は、経営成績の重要な変動要因になります。金属資源・エネルギーの価格及び需給の動向に関する詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」及び「(4)経営成績に係る検討と分析」②金属資源セグメント及び③エネルギーセグメントの該当箇所をご参照ください。

③キャッシュ・フロー水準、資本効率及び財務レバレッジ

中期経営計画(2020年5月公表)において、基礎営業キャッシュ・フローを、キャッシュ創出力を測定し資金再配分の原資を示す重要な経営指標としています。

当社は、資本効率と資金調達に係わる安定性の観点から、株主資本(*1)の水準及び、親会社所有者帰属持分利益率(ROE)並びに負債・資本構成の方針を定期的に策定し、その履行状況を検証しています。同時に、個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から株主資本の規模を検証しているほか、既存の有利子負債の再調達に加え、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、財務レバレッジに留意しています。当社の資本管理については連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」を、財務戦略については「(5)流動性と資金調達の源泉」をご参照ください。

(*1)連結財政状態計算書の親会社の所有者に帰属する持分合計を指します。

 

(4)経営成績に係る検討と分析

①連結損益計算書項目

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

収益

117,576

80,102

+37,474

売上総利益

11,414

8,115

+3,299

販売費及び一般管理費

△5,963

△6,064

+101

その他の

収益・費用

有価証券損益

87

79

+8

固定資産評価損益

△191

△529

+338

固定資産処分損益

145

46

+99

雑損益

149

△139

+288

金融

収益・費用

受取利息

200

199

+1

受取配当金

1,965

1,037

+928

支払利息

△473

△519

+46

持分法による投資損益

4,313

2,279

+2,034

法人所得税

△2,268

△998

△1,270

当期利益

9,377

3,504

+5,873

当期利益(親会社の所有者に帰属)

9,147

3,355

+5,792

(*) 四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。

 

収益

IFRSに従い、履行義務の識別にあたっては、本人か代理人かの検討を行っており、自らの約束の性質が、特定された財またはサービスを自ら提供する履行義務である場合には、本人として収益を対価の総額で認識しており、それらの財またはサービスが他の当事者によって提供されるように手配する履行義務である場合には、代理人として収益を手数料または報酬の額もしくは対価の純額で認識しています。詳細は連結財務諸表注記事項2.「連結財務諸表の作成基準並びに重要な会計方針の要約 (5)重要な会計方針の要約」をご参照ください。

 

・収益は、主にエネルギーセグメント、化学品セグメント、金属資源セグメントの増加を主因に11兆7,576億円となり、前期の8兆102億円から3兆7,474億円の増加となりました。

 

売上総利益

・主に、金属資源セグメント、エネルギーセグメント、化学品セグメントが増益となりました。

 

販売費及び一般管理費

変動の内訳を社内管理上の費目別に見ると以下のとおりです。

 

 

 

 

(単位:億円)

費目別内訳

人件費

福利費

旅費

交通費

交際費

会議費

通信情報費

当期

△3,336

△118

△106

△32

△486

前期

△2,969

△92

△70

△17

△464

増減額(*)

△367

△26

△36

△15

△22

 

費目別内訳

借地借家料

減価償却費

租税公課

損失評価

引当金繰入額

諸雑費

合計

当期

△90

△350

△129

△202

△1,114

△5,963

前期

△87

△367

△124

△806

△1,068

△6,064

増減額(*)

△3

+17

△5

+604

△46

+101

(*)△は負担増

 

変動の内訳をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

オペレーティング

・セグメント

金属資源

エネルギー

機械・

インフラ

化学品

鉄鋼製品

生活産業

次世代・

機能推進

当期

△302

△531

△1,277

△1,128

△236

△1,307

△678

前期

△723

△472

△1,329

△955

△220

△1,294

△637

増減額(*)

+421

△59

+52

△173

△16

△13

△41

 

オペレーティング

・セグメント

その他/

調整・消去

合計

当期

△504

△5,963

前期

△434

△6,064

増減額(*)

△70

+101

(*)△は負担増

 

その他の収益・費用

有価証券損益:

・当期は、主に生活産業セグメントで有価証券利益を計上した一方、機械・インフラセグメントで減損損失を計上しました。

・前期は、主に機械・インフラセグメントで有価証券売却益を計上した一方、金属資源セグメント及び機械・インフラセグメントで減損損失を計上しました。

 

固定資産評価損益:

・当期は、主にエネルギーセグメントで固定資産評価損を計上しました。

・前期は、主にエネルギーセグメント及び機械・インフラセグメントで固定資産評価損を計上した一方、次世代・機能推進セグメントでは減損損失戻入益を計上しました。

 

雑損益:

・当期は、エネルギーセグメントにおける引当金の計上があった一方、金属資源セグメントにおける為替関連損益、資産除去債務に係る利益、生活産業セグメントにおけるオプション評価益や、化学品セグメントの北米の事業において保険金を計上しました。

・前期は、金属資源セグメント及び機械・インフラセグメントにおける貸付金に係る損失、金属資源セグメントでの為替関連損益、エネルギーセグメントにおける資産除去債務に係る費用があった一方、化学品セグメントの北米の事業において保険金を計上しました。

 

金融収益・費用

受取配当金:

・主に、金属資源セグメント、エネルギーセグメントで増加しました。

 

持分法による投資損益

・主に、金属資源セグメント、機械・インフラセグメント、生活産業セグメント及び鉄鋼製品セグメントで増益となりました。

 

法人所得税

・法人所得税は2,268億円となり、前期の998億円から1,270億円の負担増となりました。

・当期の実効税率は19.5%となり、前期の22.2%から2.7ポイント減少しました。前期の金属資源セグメントにおける税効果を認識しない減損損失の反動を主因に法人税負担割合が減少しました。

 

当期利益(親会社の所有者に帰属)

・上記の結果、前期から5,792億円増益の9,147億円となりました。なお、ロシアにおけるLNG事業に係る資産・負債の評価については、③ロシアにおけるLNG事業に係る資産・負債の評価 をご参照ください。

 

② オペレーティング・セグメント情報

オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
なお、当期より報告セグメントの記載順序を変更しています。これに伴い、前期の報告セグメントの記載順序を同様に変更しています。

 

金属資源

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

4,976

1,799

+3,177

 

売上総利益

3,925

2,512

+1,413

 

持分法による投資損益

1,453

704

+749

 

受取配当金

1,243

598

+645

 

販売費及び一般管理費

△302

△723

+421

 

その他

△1,343

△1,292

△51

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- 豪州鉄鉱石事業は、販売価格の上昇を主因に666億円の増益

- 豪州石炭事業は、販売価格の上昇を主因に652億円の増益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiは、販売価格の上昇を主因に196億円の増益

- オルドス電力冶金は、中国における堅調な需要と電力規制に伴う販売価格の上昇により、主に合金鉄、化学品事業にて176億円の増益

- チリの銅鉱山事業会社Anglo American Surに投資を行うInversiones Mineras Becruxは、販売価格の上昇を主因に108億円の増益

- 豪州鉄鉱石事業は、販売価格の上昇を主因に89億円の増益

- 豪州石炭事業は、販売価格の上昇を主因に増益

- 前期において、モザンビーク共和国のナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、38億円の減損損失を計上

・受取配当金は、Vale、豪州鉄鉱石事業からの受取配当金を主因に増加しました。

・販売費及び一般管理費の負担減少の主因は以下のとおりです。

- 前期において、モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、融資に係る減損損失359億円を計上

- 前期において、カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileの持分譲渡契約を締結したことを受け、融資に係る減損損失83億円を計上

・上記のほか、以下要因がありました。

- 当期において、チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiへの投資を行うJapan Collahuasi Resourcesの再編に伴い繰延税金負債を取り崩した結果、62億円の利益を法人所得税に計上

- 当期において、オルドス電力冶金からの配当に伴い、未分配利益に係る繰延税金負債の取崩益を計上

- 豪州鉄鉱石事業は為替関連損益等において48億円の増益

- 豪州石炭事業は為替関連損益等において41億円の増益

- 当期において、豪州鉄鉱石事業は、未分配利益に係る繰延税金負債の取崩益を計上

- 当期において、豪州鉄鉱石事業は資産除去債務に係る利益31億円を計上

- 当期において、Anglo American Surからの配当増加に伴い31億円の利益を法人所得税に計上

- 前期において、モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、減損損失192億円を計上

 

鉄鉱石の価格変動による影響及び当社持分生産量

2023年3月期において、鉄鉱石価格の変動が、当社鉄鉱石事業の販売収入の変化を経由して連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)に及ぼす影響度は、鉄鉱石US$1/トンあたりの価格変動により22億円と概算しています。

当連結会計年度の1年間における当社鉄鉱石関連の権益見合い生産量は56.9百万トン(一般社外のVale権益見合い生産量18.2百万トン含む)です。上記の影響額は、当連結会計年度末時点で、当社の鉄鉱石事業が保有する権益見合いに対して、2023年3月期の出荷量の増減を織り込み、一定の米ドル及びその他関連通貨の為替相場などを前提条件とした上で算出したものです。なお、一般的に、豪ドルなどの資源産出国の通貨は、輸出商品の市況に連動する傾向があり、この変動により当社連結子会社及び持分法適用会社の現地通貨建ての売上総利益は影響を受けることがあります。

 

エネルギー

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

1,140

272

+868

 

売上総利益

1,454

629

+825

 

持分法による投資損益

323

188

+135

 

受取配当金

536

251

+285

 

販売費及び一般管理費

△531

△472

△59

 

その他

△642

△324

△318

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- 本店事業部にてLNGトレーディング関連の収益増加を主因に増益

- Mitsui E&P USAは、ガス価格の上昇を主因に171億円の増益

- Mitsui E&P Australiaは、原油価格の上昇を主因に160億円の増益

- MOEX North Americaは、原油価格の上昇を主因に58億円の増益

- MEP Texas Holdingsは、原油ガス価格の上昇を主因に49億円増益

- Mitsui E&P Italia Aは、原油価格の上昇を主因に45億円増益

- Mitsui E&P Middle Eastは、原油価格の上昇を主因に38億円増益

- Mittwell Energy Resourcesは、販売数量増を主因に36億円増益

- 三井石油開発は、原油ガス価格の上昇の一方、生産量減少を主因に159億円の減益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- Japan Australia LNG (MIMI)は、原油ガス価格の上昇を主因に増益

- Mitsui & Co. LNG Investment USAは、キャメロン全3系列の商業生産開始に伴い49億円増益

- Japan Arctic LNGは、原油価格及び為替変動等の評価損益や、ロシア国の格付け低下等を受けた融資に係る損失評価引当金を主因に34億円減益

・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、アブダビ、カタールガス1、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア(*))からの受取配当金は529億円となり、前期から285億円の増加となりました。

    (*)赤道ギニアは当第3四半期に売却いたしました。

・販売費及び一般管理費の負担増加の主因は以下のとおりです。

- 当期において、ロシア国の格付け低下等を主因に、Japan Arctic LNG宛融資に係る損失評価引当金繰入額41億円を計上

・上記のほか、以下要因がありました。

- 前期において、MBK Energy Holdings USAへの再編に伴い繰延税金資産を計上した結果、390億円の利益を法人所得税に計上

- 当期において、ロシア国の格付け低下等を主因に、Arctic LNG2事業に係る金銭債務保証に対する損失評価引当金繰入額122億円を計上

- MOEX North Americaにおいてデリバティブ関連損益を主因に48億円減益

- 本店事業部にてLNGトレーディングに係るヘッジ目的の為替関連損失を計上

- 前期において、Mitsui E&P Italia Aは、テンパロッサ事業に係る評価損234億円を計上

- 前期において、Mitsui E&P Australiaがメリディアン事業、トロ/ラグナ―、リブラ探鉱各事業等について評価損173億円を計上

- 当期において、三井石油開発は探鉱活動に係る準備金の取崩に伴う法人所得税147億円の利益、Block M-3探鉱事業における評価損73億円及び海外投資等損失準備金の取崩に伴う法人所得税27億円の利益を計上

 

原油・ガスの価格変動による影響及び当社持分生産量

2023年3月期において、原油価格の変動が当社石油・ガス開発事業の販売収入の変化を経由して連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)に及ぼす影響度はUS$1/バレルあたり22億円と推定しています。

金属資源と同様に、実際の経営成績は、各石油・ガス開発事業における実際の生産量及び生産費用、為替相場の変動などにより影響を受けます。

また、当社の石油・ガスの持分生産量は、2021年3月期において年間246百万バレル(ガスはバレル換算、換算係数は原油1バレル=天然ガス5,800立方フィート、当社連結子会社・持分法適用会社・非連結先の当社権益保有見合い)、2022年3月期において年間243百万バレル(同上)となりました。

 

機械・インフラ

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

1,208

459

+749

 

売上総利益

1,429

1,077

+352

 

持分法による投資損益

1,460

953

+507

 

受取配当金

41

39

+2

 

販売費及び一般管理費

△1,277

△1,329

+52

 

その他

△445

△281

△164

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- Bussan Auto Financeは市場回復を受けた営業資産積み増しに伴う金利収益増加を主因に70億円の増益

- Toyota Chileは販売堅調や車両供給逼迫に伴う高利益率維持により45億円の増益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- MBK USA Commercial Vehiclesはトラックリース・レンタル事業の好調により251億円の増益

- Penske Automotive Groupは販売堅調を主因に133億円の増益

- 前期において、モザンビーク共和国のナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、9億円の減損損失を計上

- IPP事業は、豪州における繰延税金資産取り崩し並びに電力デリバティブ契約などに関わる評価損失、またインドネシアにおける円建リース資産・借入に関する為替差損を主因として71億円の減益

- タンカー保有関連会社は市況低迷により減益

- 前期において、英国旅客輸送事業で減損損失等を47億円計上した一方、当期において当該損失の戻入に係る利益19億円を計上

・販売費及び一般管理費の負担減少の主因は以下のとおりです。

- 前期において、モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、融資に係る減損損失90億円を計上

- 前期において、英国旅客輸送事業で49億円の損失評価引当金繰入額を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益21億円を計上

・上記のほか、以下要因がありました。

- 前期において、北米発電事業の売却に伴う有価証券売却益を計上

- 当期において、MT Falcon Holdingsの株式売買契約を締結した結果、減損損失97億円を計上

- 前期において、鉄道車両リース事業会社における評価損93億円を計上

- 前期において、モザンビーク共和国のモアティーズ炭鉱事業、ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業における各種前提を見直した結果、減損損失48億円を計上

- ドリルシップ事業は、前期において引当金を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益計上により、48億円の増益

- 前期において、英国旅客輸送事業における15億円の債務保証等損失引当金繰入額を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益2億円を計上

 

化学品

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

689

435

+254

 

売上総利益

1,830

1,249

+581

 

持分法による投資損益

207

113

+94

 

受取配当金

33

30

+3

 

販売費及び一般管理費

△1,128

△955

△173

 

その他

△253

△2

△251

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- 当期より欧州農薬販社Belchim Crop Protectionの連結化に伴い増益

- MMTXは、メタノール販売価格の上昇を主因に57億円の増益

- Mitsui Agro Businessは、肥料価格好調を主因に増益

- 本店事業部にて肥料及び肥料原料トレーディングの好調を主因に増益

- Novus Internationalは、販売好調とコスト減少を主因に30億円の増益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- 日本アラビアメタノールは、メタノール販売価格の上昇を主因に47億円の増益

・販売費及び一般管理費の負担増加の主因は以下のとおりです。

- 当期より欧州農薬販社Belchim Crop Protectionの連結化に伴い販売費及び一般管理費が増加

・上記のほか、以下要因がありました。

- 当期及び前期において、北米の事業における保険金収入を計上

 

鉄鋼製品

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

269

21

+248

 

売上総利益

355

212

+143

 

持分法による投資損益

260

43

+217

 

受取配当金

17

14

+3

 

販売費及び一般管理費

△236

△220

△16

 

その他

△127

△28

△99

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- 三井物産スチールは、鋼材価格の上昇及び取扱数量の増加を主因に48億円の増益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- Steel Technologiesへの投資を行うNumitは米国自動車生産の回復による操業率の改善、鋼材価格の上昇を主因に87億円の増益

- Gestamp事業会社は、コスト構造改革によるコスト削減効果を主因に56億円の増益

 

生活産業

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

615

127

+488

 

売上総利益

1,430

1,338

+92

 

持分法による投資損益

411

134

+277

 

受取配当金

56

56

0

 

販売費及び一般管理費

△1,307

△1,294

△13

 

その他

25

△107

+132

 

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。

- UHS PARTNERSは、医療人材派遣事業の好調により56億円の増益

- 本店事業部にて穀物トレーディングの好調を主因に54億円の増益

- ブラジルの農産物生産事業のXINGU AGRIは、大豆・綿花の収穫量増及び価格上昇を主因に35億円の増益

・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。

- IHH Healthcareは、前期における新型コロナウイルス感染症の影響及びインド子会社の暖簾減損の反動と、当期における新型コロナウイルス関連収益の増加とオペレーションの改善、及びトルコ子会社に係る繰延税金資産計上を主因に、128億円の増益

- Mit-Salmon Chileは、出資するチリのサーモン養殖・加工・販売事業での販売価格の回復及び販売数量増加を主因に41億円の増益

- WILSEY FOODSは、出資先である米国加工油脂食品製造Ventura Foodsの大豆油相場上昇及びコロナ禍影響からの回復基調による好業績を受け、39億円の増益

・上記のほか、以下要因がありました。

- 当期において、三井物産アイ・ファッションと日鉄物産繊維事業の事業統合に伴い公正価値評価益107億円を計上

- 当期において、PHCホールディングス株式の一部売却及び同社が持分法適用会社から除外されることに伴い有価証券利益89億円を計上

- 当期において、JSC R-Pharmに係るプットオプションの公正価値評価により62億円の評価益を計上

- 当期において、本店事業部のコーヒー取引にてヘッジ目的の為替関連損失91億円を計上

 

次世代・機能推進

 

(単位:億円)

当期

前期

増減

当期利益(親会社の所有者に帰属)

576

502

+74

 

売上総利益

977

1,070

△93

 

持分法による投資損益

197

139

+58

 

受取配当金

28

38

△10

 

販売費及び一般管理費

△678

△637

△41

 

その他

52

△108

+160

 

・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。

- 前期において、米国OSIsoft株式売却契約締結に伴い、持株会社で公正価値評価益131億円を計上

- 前期においてQDレーザ社IPOに伴う公正価値評価益・売却益35億円を計上した一方、当期において公正価値評価損11億円を計上

- 前期において中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の公正価値評価益・売却益56億円を計上した一方、当期において全量売却に伴う売却益11億円を計上

- 前期において、出資先ファンドG2VP保有銘柄のIPOに伴う公正価値評価益33億円を計上した一方、当期において、公正価値評価損5億円を計上

- 本店事業部にて、大手町一丁目2番地区の複合開発事業における稼働率増加を主因に35億円増益

・上記のほか、以下要因がありました。

- 当期において、米国MBK Real Estateが賃貸住宅売却益を計上

- 当期において、土地の売却益51億円を計上

- 前期において、土地の減損損失戻入益43億円を計上

 

③ ロシアにおけるLNG事業に係る資産・負債の評価

 当社は、ロシアにおいてエネルギーセグメントにおけるLNG事業を中心に、製薬事業、自動車関連事業等に参画しています。当期のLNG事業において、同国の格付け低下に伴う割引率の見直しを主因に、投資の公正価値806億円(税前)の減少をその他の包括利益において、209億円の損失を当期利益(親会社の所有者に帰属)においてそれぞれ認識いたしました。当該影響を踏まえた2022年3月31日時点のロシアにおけるLNG事業宛の投融資保証残高は4,047億円(投融資2,225億円、保証1,822億円)となります。また、金銭債務保証残高に対する引当金として181億円が計上されています。詳細につきましては、連結財務諸表注記事項29.「ウクライナ情勢のロシアLNG事業への影響」をご参照ください。

(5)流動性と資金調達の源泉

会計基準に基づかない財務指標について

現預金差引後の有利子負債比率(ネットDER)

この流動性と資金調達の源泉の項目を含めて、本報告書では現預金差引後の有利子負債比率(ネットDER)に言及しています。当社は「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社は「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して、下表のとおり算出しています。

• 短期債務及び長期債務の合計よりリース負債を除外し、有利子負債を算出。

• 有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。

当社の経営者は、債務返済能力と株主資本利益率(ROE)向上のために有利子負債と株主資本の関係を検討する目的から、ネットDERを投資家にとって有益な指標と考えており、下表のとおり「ネット有利子負債」及び「ネットDER」を算出しています。

 

 

当期末

前期末

 

(億円)

(億円)

短期債務

2,818

3,005

長期債務

45,956

44,463

長短債務合計

48,774

47,468

(控除)リース負債

△3,682

△3,453

有利子負債合計

45,092

44,015

(控除)現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)

△11,703

△11,017

ネット有利子負債

33,389

32,998

株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)

56,052

45,704

ネットDER(倍)

0.60

0.72

 

株主還元後のフリー・キャッシュ・フロー

当社の経営者は、財務基盤の維持・向上において、株主還元後のフリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。株主還元後のフリー・キャッシュ・フローに関しては、④「投融資と財務政策」をご参照ください。

 

①資金調達の基本方針

当社の経営者は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主として本邦生保、銀行等からの長期借入金や社債の発行等により10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行っています。同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。さらに、プロジェクト案件等では政府系金融機関からの借入やプロジェクトファイナンスも活用しています。

100%子会社については原則として銀行などの外部からの資金調達を行わず、金融子会社、現地法人などの資金調達拠点を通じたキャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っています。結果として当連結会計年度末において有利子負債の5分の4程度が当社並びに資金調達拠点による調達となっています。

また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めていませんが、金融情勢などを勘案しつつ、安全性並びに流動性の高い短期金融商品で運用しています。

 

②資金調達手段

当社は、上記の当社資金調達の基本方針に則り、直接金融または間接金融の多様な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っています。

当社は、内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、長期借入を中心に必要資金を調達しています。また、国際協力銀行などの政府系金融機関からも資金調達を行っており、プロジェクト案件ではプロジェクトファイナンス等も活用して必要資金を調達しています。

これに加えて、当社では2,000億円の社債発行登録枠、2兆4,000億円のコマーシャルペーパー発行枠、並びに総額50億米ドルのユーロ・ミディアム・ターム・ノート発行プログラムという直接金融の調達手段も保有しており、市場環境に応じて有利な条件での資金調達を行っています。当連結会計年度末における(短期社債除く)国内社債及びユーロ・ミディアム・ターム・ノートの発行残高は、それぞれ2,200億円及び405億円となっています。また海外での短期の資金調達手段として、米国三井物産による15億米ドルの米国コマーシャルペーパープログラムとMitsui & Co. Financial Services (Europe)による15億米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラムを保有しており、それぞれ時機をみて活用しています。なお、当社は長期かつ安定的な資金調達を一義としており、コマーシャルペーパーや短期借入金等に資金調達を依存していません。その結果として、当連結会計年度末における一年以内に返済予定の有利子負債が有利子負債全体に占める比率は、14.2%となりました。

当社及び一部の連結子会社は金融機関に対してコミットメント・フィーを支払い、信用枠を設定しています。

有利子負債の大半は円建て並びに米ドル建てでの調達によるものです。また、資産側の金利・通貨属性を考慮した上で、負債の金利条件や通貨を変換するために適宜、金利スワップや通貨スワップ、為替予約を締結しています。金利スワップ考慮後の有利子負債における固定金利比率は、現在の当社の資産と負債の状況に見合った水準と認識しています。

これらのデリバティブ取引に関しては、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」をご参照ください。また、デリバティブ関連の流動性分析については、連結財務諸表注記事項15.「金融債務及び営業債務等に関する開示」をご参照ください。

 

格付け

当社は、円滑な資金調達を行うため株式会社格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、S&P グローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)の3社から格付けを取得しています。2022年6月2日現在の格付けは下記のとおりです。

 

R&I

Moody's

S&P

長期(見通し)

AA(安定的)

A3(安定的)(*)

A(安定的)

短期

a-1+

P-2

A-1

(*)米ドル建シニア無担保社債に対する格付けです。

 

当社としては引き続き健全な財務基盤を維持し、格付けの維持・向上に尽力していく方針です。

なお、格付けは当社からの情報あるいは格付会社が信頼できるとする情報に基づく各格付会社自身の判断による信用リスクの分析です。格付けは売買・保有の推奨ではなく、また格付会社によりいつでも変更・取り消しされる可能性があります。また格付け基準も格付会社毎に異なります。

 

③流動性の状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、1兆1,279億円となりました。この現金及び現金同等物の半分程度は円建てであり、当連結会計年度末の1年以内に返済予定の有利子負債(6,408億円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しています。

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や、半導体の不足、物流のボトルネックなど供給面の制約が景気の下押し要因となり、さらにロシア・ウクライナ情勢が悪化要因として加わり、景気回復テンポが鈍化しましたが、全体としては持ち直しました。このような状況下、当社は資金調達の基本方針に則り、金融機関との長期に亘る良好な関係や公的金融機関による各種施策、社債発行登録枠等を活用して必要資金の調達を着実に実行しました。

上述資金調達実行の結果、当連結会計年度末における有利子負債は4兆5,092億円(前連結会計年度末比1,077億円増)となりました。このうち、5,550億円は劣後特約付シンジケートローンで、格付会社は、残高の50%である2,775億円を資本と同等に扱っています。また、当連結会計年度末の有利子負債の返済年限別内訳は次のとおりです。当連結会計年度末の短期債務及び長期債務の内訳と債務残高の利率については、連結財務諸表注記事項15.「金融債務及び営業債務等に関する開示」をご参照ください。

 

返済年限

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

合計

金額(億円)

6,408

4,915

5,414

4,062

2,477

21,816

45,092

 

当連結会計年度末の株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)は5兆6,052億円となり前連結会計年度末比で1兆348億円増加しました。ネット有利子負債は3兆3,389億円となり同391億円増加、ネットDERは前連結会計年度末の0.72倍から0.60倍へ0.12ポイント低下しました。

また流動比率は、前連結会計年度末の155.7%に対し当連結会計年度末は150.1%となっています。

以上のような数値、及び資金調達環境から判断すると、当社の財務の健全性は引き続き確保されており、中期経営計画に沿った投融資を含む当社の円滑な事業活動を行う上で、現時点で大きな支障はないと認識しています。

当社及び連結子会社は、主として第三者及び関連当事者のために、各種の支払保証を行っていますが、これらの保証において当社及び連結子会社の流動性に実質的な影響を及ぼすものはありません。将来の契約履行義務並びに保証等については連結財務諸表注記事項25.「偶発債務」をご参照ください。

当社及び連結子会社は、個別プロジェクト案件等に対するノンリコースファイナンスなどを除き、金融機関との重要な金融取引において、期限の利益喪失となり得る財務比率制限、担保提供制限、追加債務負担制限、利益処分の制限等の財務制限条項を含む契約を締結しないことを基本方針としていることもあり、これらの財務制限条項において重要なものはありません。

連結子会社や持分法適用会社からの配当受取に関しては、その配当の有無が当社の流動性に大きな影響を与えるという状況にはないと認識しております。また、当該連結子会社及び持分法適用会社に適用される現地法制に照らして適切な純資産や配当可能利益がある限り、配当等による資金の受領を制限する契約または法制上の制限として重要なものはありません(一般的な源泉課税並びに現地税法に基づくその他の税金を除く)。

なお、当社及び連結子会社は、翌連結会計年度において、確定給付型年金制度に66億円拠出する見込みです。

 

④投融資と財務政策

当連結会計年度の基礎営業キャッシュ・フローは約1兆1,590億円の獲得となり、これに資産リサイクルにより獲得した約2,570億円と併せて約1兆4,160億円のキャッシュ・インとなりました。一方、開発中LNG案件や石油・ガス生産事業などを含め、投融資(*)は約5,110億円となり、総額約3,450億円の株主還元を加味すると、株主還元後のフリー・キャッシュ・フロー(**)は約5,600億円の黒字となりました。また、前連結会計年度の株主還元後のフリー・キャッシュ・フロー約1,490億円の黒字を加味した2年間累計での株主還元後のフリー・キャッシュ・フローは約7,090億円の黒字となりました。引き続き、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元へ柔軟で戦略的な資金配分を実行すると共に、強靭なキャッシュ創出力と資本効率の向上を目指します。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー詳細については、後述の「⑥キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(*)定期預金の増減を除外した投資キャッシュ・フローに一部非支配持分からの取得に伴う財務キャッシュ・フローを足したもの

(**)運転資本及び定期預金の増減の影響を除外したフリー・キャッシュ・フロー

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当連結会計年度の実績と今後の見通しを踏まえて見直した、中期経営計画3年累計のキャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通しについては、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(3)2023年3月期事業計画 ②2023年3月期重点施策 (d)キャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通し(中期経営計画3年間累計)」をご参照ください。また、既存の債務からの再調達については、前述の「①資金調達の基本方針」、及び「②資金調達手段」をご参照ください。

 

 

⑤資産及び負債並びに資本

(単位:億円)

2022年3月末

2021年3月末

増減

総資産

149,233

125,158

+24,075

 

流動資産

57,167

42,075

+15,092

 

非流動資産

92,066

83,084

+8,982

流動負債

38,086

27,017

+11,069

非流動負債

53,192

49,912

+3,280

親会社の所有者に帰属する持分合計

56,052

45,704

+10,348

 

資産

流動資産:

・現金及び現金同等物は647億円増加しました。

・営業債権及びその他の債権は4,911億円増加しました。

- エネルギーセグメント、化学品セグメント、金属資源セグメント、生活産業セグメント、鉄鋼製品セグメントにおける市況上昇及び数量増加、化学品セグメントにおける欧州農薬販社Belchim Crop Protectionの連結化を主因に、売掛金が5,034億円増加

- 銅事業における貸付金回収576億円を主因に、貸付金が393億円減少

・その他の金融資産は、次世代・機能推進セグメントにおける取扱商品の市況変動及び数量増加、生活産業セグメント、エネルギーセグメントにおける市況上昇を主因に、5,679億円増加しました。

・棚卸資産は、生活産業セグメントにおける市況上昇及び取扱数量増加、エネルギーセグメントにおける市況上昇、次世代・機能推進セグメントにおける取扱数量増加、化学品セグメントにおける欧州農薬販社Belchim Crop Protectionの連結化を主因に、3,345億円増加しました。

・前渡金は、機械・インフラセグメントにおける取扱数量増加を主因に、397億円増加しました。

 

非流動資産:

・持分法適用会社に対する投資は3,434億円の増加となりました。

- 為替変動の影響により2,964億円増加

- 当期における持分法による投資損益の見合いで4,313億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により3,542億円減少

- 三井物産アイ・ファッションの統合による持分法適用会社への異動によりMNインターファッション宛ての投資残高増加

- モザンビークLNGプロジェクトMitsui E&P Mozambique Area 1への出資により349億円増加

- ファッション事業における持分法適用会社からの除外により115億円減少

- Japan Arctic LNGは、ロシア国の格付変更等に伴うArctic LNG2プロジェクトの持分公正価値評価減364億円を主因に減少

- PHCホールディングスは、同社株式の一部売却及び持分法適用会社からの除外に伴い、719億円減少

 

 

2022年3月末及び2021年3月末における持分法適用会社に対する投資をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

オペレーティング・セグメント

2022年3月末

2021年3月末

増減

 

(億円)

(億円)

(億円)

金属資源

4,549

4,380

+169

エネルギー

4,304

3,835

+469

機械・インフラ

11,229

9,444

+1,785

化学品

2,137

1,793

+344

鉄鋼製品

2,876

2,510

+366

生活産業

6,423

6,241

+182

次世代・機能推進

2,377

2,140

+237

その他/調整・消去

△21

97

△118

連結合計

33,874

30,440

+3,434

 

・その他の投資は3,918億円の増加となりました。

- PHCホールディングスは、同社株式の一部売却に伴いその他の投資に区分異動したことを主因に711億円増加

- CT Corpの持株会社PT CT Corporaの転換社債引受により670億円増加

- 公正価値評価によりFVTOCIの金融資産が1,581億円(Mitsui Sakhalin Holdingsを通じたサハリンⅡプロジェクトに関する割引率の見直しを主因とした持分公正価値評価による441億円の減少を含む)、及びFVTPLの金融資産が275億円増加

- Hendrix Genetics へのファンドを通じた出資により増加

・営業債権及びその他の債権は、PT. Bussan Auto Financeにおける新規貸付を主因に、140億円の増加となりました。

・その他の金融資産は、機械・インフラセグメントにおける取扱数量増加を主因に、260億円の増加となりました。

・有形固定資産は158億円の増加となりました。

- 豪州鉄鉱石事業で469億円増加(為替変動の影響による343億円の増加を含む)

- チリのフリートマネジメント事業会社の親会社であるInversiones Mittaの連結化により280億円増加

- 豪州石炭事業で162億円増加(為替変動の影響による86億円の増加を含む)

- 三井食品にて、物流センターを新設したことを主因に、156億円増加

- 北米の化学品関連事業における為替変動の影響や資産取得を主因に、資産増加

- 米国MBK Real Estateにおいて為替変動の影響や資産取得を主因に、100億円増加

- 日本マイクロバイオファーマの医薬品製造受託事業の売却により140億円減少

- 発電事業を営むMyPowerにて、資産売却を主因に242億円減少

- XINGU AGRIで保有農地リース契約締結に伴う投資不動産への振替により288億円減少

- 石油・ガス生産事業で556億円減少(為替変動の影響による419億円の増加を含む)

 

なお、有形固定資産の2022年3月末及び2021年3月末の残高をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

オペレーティング・セグメント

2022年3月末

2021年3月末

増減

 

(億円)

(億円)

(億円)

金属資源

5,166

4,534

+632

エネルギー

6,618

7,408

△790

機械・インフラ

2,695

2,379

+316

化学品

2,302

2,094

+208

鉄鋼製品

92

89

+3

生活産業

1,775

2,007

△232

次世代・機能推進

1,381

1,359

+22

その他/調整・消去

1,880

1,881

△1

連結合計

21,909

21,751

+158

 

2022年3月末及び2021年3月末におけるオペレーティング・リースに供されている有形固定資産の内訳については、連結財務諸表注記事項9.「リース」をご参照ください。

 

・投資不動産は438億円の増加となりました。

- XINGU AGRIで保有農地リース契約締結に伴う有形固定資産からの振替により288億円増加

- 三井物産都市開発における日比谷フォートタワービル竣工により110億円増加

・無形資産は、当期に欧州農薬販社Belchim Crop Protection及びチリのフリートマネジメント事業会社の親会社であるInversiones Mittaの連結化、機械・インフラセグメントにおける為替変動の影響を主因に、644億円の増加となりました。

 

負債

流動負債:

・短期債務は、当期に欧州農薬販社Belchim Crop Protectionの連結化により増加した一方で、エネルギーセグメントにおける債務返済を主因に、187億円減少しました。

・営業債務及びその他の債務は、営業債権及びその他の債権の増加に対応し、4,258億円増加しました。

・その他の金融負債は、その他の金融資産の増加に対応し、6,319億円増加しました。

・前受金は、前渡金の増加及び生活産業セグメントにおける取扱数量の増加を主因に、783億円増加しました。

・引当金は、エネルギーセグメントにおける計上を主因に、117億円増加しました。

 

非流動負債:

・長期債務(1年以内返済予定分を除く)は、1,901億円増加しました。

・その他の金融負債は、305億円増加しました。

- デリバティブ債務は、その他の金融資産の増加に対応し、191億円増加

- Arctic LNG2事業に係る債務保証増により181億円増加

・繰延税金負債は、1,032億円増加しました。

- 機械・インフラセグメントにおける持分法による投資損益増により増加

- 三井石油開発は、探鉱準備金及び海外投資等損失準備金の取崩を主因に、182億円減少

 

親会社の所有者に帰属する持分合計

・利益剰余金は、6,182億円の増加となりました。

・その他の資本の構成要素は、4,536億円の増加となりました。

- 対円での米ドル高、豪ドル高、伯レアル高を主因に、外貨換算調整勘定が3,968億円増加

- FVTOCIの金融資産が979億円増加

・自己株式の取得を1,749億円実施した一方、1,567億円の自己株式を消却したことを主因として、株主資本の減算項目となる自己株式は176億円の増加となりました。

 

⑥キャッシュ・フローの状況

(単位:億円)

当期

前期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

8,069

7,727

+342

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,812

△3,225

+1,413

フリー・キャッシュ・フロー

6,257

4,502

+1,755

財務活動によるキャッシュ・フロー

△6,143

△4,870

△1,273

現金及び現金同等物の為替相場変動の影響額等

533

412

+121

現金及び現金同等物の増減

647

44

+603

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

(単位:億円)

当期

前期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

a

8,069

7,727

+342

営業活動に係る資産・負債の増減

b

△4,074

562

△4,636

リース負債の返済による支出

c

△556

△584

+28

基礎営業キャッシュ・フロー

a-b+c

11,587

6,581

+5,006

 

・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは4,074億円の資金支出、リース負債の返済は556億円の資金支出となり、基礎営業キャッシュ・フローは、1兆1,587億円となりました。

- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は5,548億円となり、前期の3,078億円から2,470億円増加

- 減価償却費及び無形資産等償却費は2,964億円となり、前期の2,736億円から228億円増加

 

基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。

(単位:億円)

当期

前期

増減

金属資源

5,528

3,081

+2,447

エネルギー

2,802

1,232

+1,570

機械・インフラ

1,440

787

+653

化学品

938

625

+313

鉄鋼製品

124

20

+104

生活産業

352

198

+154

次世代・機能推進

466

551

△85

その他/調整・消去

△63

87

△150

連結合計

11,587

6,581

+5,006

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、271億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。

- モザンビークLNGプロジェクトMitsui E&P Mozambique Area 1への出資による349億円の資金支出

・その他の投資の取得及び売却・償還の純額は、438億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・償還は以下のとおりです。

- CT Corpの持株会社PT CT Corporaの転換社債引受により670億円の資金支出(1,000億円の転換社債引受と330億円の普通社債償還の純額)

- 発電事業において、MyPowerの資産売却を主因に178億円の資金回収

- 日本マイクロバイオファーマの医薬品製造受託事業の売却による資金回収

・貸付金の増加及び回収の純額は、銅事業における貸付金576億円の回収を主因に、500億円の資金回収となりました。

・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、1,566億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。

- 豪州鉄鉱石事業で409億円の資金支出

- 石油・ガス生産事業で353億円の資金支出

- 豪州石炭事業で214億円の資金支出

- 発電事業で122億円の資金支出

- 北米の化学品関連事業で資金支出

・投資不動産の取得及び売却の純額は、45億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。

- 三井物産都市開発における日比谷フォートタワービル工事代金等により130億円の資金支出

- 米国MBK Real Estateにおける賃貸住宅の売却を主因に219億円の資金回収となった一方、同社で賃貸物件建設資金を主因に123億円の資金支出

 

当期及び前期における上述の投資活動によるキャッシュ・フローをオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。

オペレーティング・セグメント

当期

前期

 

(億円)

(億円)

金属資源

239

△500

エネルギー

△740

△1,256

機械・インフラ

△165

△111

化学品

△217

12

鉄鋼製品

5

58

生活産業

△243

△15

次世代・機能推進

△539

△674

その他/調整・消去

△152

△739

連結合計

△1,812

△3,225

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

・短期債務の増減は825億円の資金支出、長期債務の増加及び返済の純額は550億円の資金支出、リース負債の返済による支出は556億円の資金支出となりました。

・自己株式の取得による1,749億円の資金支出がありました。

・配当金支払いによる1,482億円の資金支出がありました。

・非支配持分株主との取引は、三井石油開発株式の追加取得を主因に981億円の資金支出となりました。

 

当期の資金調達状況については、前述の②資金調達手段の頁をご参照ください。

 

 

(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り

 重要な判断を要する会計方針及び見積りとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計方針及び会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要な、或いは主観的な判断を反映させることを要するものです。重要な会計方針は、注記2.「連結財務諸表の作成基準並びに重要な会計方針の要約 (5)重要な会計方針の要約」をご参照ください。

 

IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この前提条件の置き方などにより、連結財政状態計算書上の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用、または開示対象となる偶発債務などに重要な影響を及ぼすことがあります。

なお、新型コロナウイルス感染症の先行きは、感染拡大の影響が緩和し、経済活動が活発化していくものと見込んでおりますが、商品や事業内容、所在地域によってその経済回復の速度は異なるため、見積りにおいては個々の状況を鑑み判断しております。また、ウクライナ情勢及びそれに伴うロシアに対する制裁措置等による影響はグローバルに及び、当社が行うさまざまな事業分野に影響を及ぼす可能性がありますが、商品や事業内容、所在地域によってその影響範囲は異なるため、見積りにおいては個々の状況を鑑み判断しております。

 

以下の各項目は、その認識及び測定にあたり、経営者の重要な判断及び会計上の見積りを必要とするものです。

 

非金融資産及び持分法適用会社に対する投資の減損損失及び減損損失の戻入

・前連結会計年度及び当連結会計年度における、有形固定資産、投資不動産、暖簾及び耐用年数を確定できない無形資産を除く無形資産の減損損失計上額は454億円及び180億円です。また、前連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は43億円であり、当連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額に重要性はありません。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における減価償却累計額及び減損損失累計額控除後の帳簿価額は2兆5,802億円及び2兆6,785億円です。

・前連結会計年度及び当連結会計年度における、持分法適用会社に対する投資の減損損失計上額は45億円及び119億円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は発生しておりません。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における持分法適用会社に対する投資の帳簿価額は3兆440億円及び3兆3,874億円です。

・非金融資産の減損損失及び減損損失の戻入(持分法適用会社に対する投資を含む)は、当社の連結損益計算書上の当期利益に対し重要な影響を及ぼすことがあります。

・減損損失は主に連結子会社における事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容見直し、及び持分法適用会社に対する投資の市場価格の下落などによるものです。

・非金融資産の減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候があると判断された場合には、資産または資金生成単位の回収可能価額を算定し、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に、差額を減損損失として認識しています。

・回収可能価額は処分費用控除後の公正価値と使用価値のうち、いずれか高い金額としています。

・公正価値は市場性のある持分法適用会社に対する投資の場合は市場価格を、それ以外の場合は独立の第三者による評価結果を使用するなど、市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。

・使用価値の算定に使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された経営計画や、それが入手できない場合は直近の非金融資産の状況を反映した操業計画に基づいて見積っています。この将来キャッシュ・フローの見積り方法として、以下の例があげられます。

- 不動産について、直近の近隣不動産売却価額や賃料が合理的な期間継続するという前提を置く。

- 工場設備にて製造している製品の将来にわたる一定期間の販売価格を、過去に於ける同期間の平均値やアナリストの分析資料等を勘案して見積る。

- 石炭・原油等の資源事業に関わる開発設備及び鉱業権について、直近の確認埋蔵量等に基づく生産計画に沿って当該資産を使用して生産され、減損判定時点における先物価格を基にした価格、第三者による予想価格、もしくは長期販売契約上の販売価格で売却される前提を置く。

- 顧客関係について、将来の一定期間の収益につき、過去に於ける収益への貢献度、解約率、及びアナリストの市況予想等を勘案して見積る。

・使用価値の計算においては、割引率は、資金生成単位の固有のリスクを反映した市場平均と考えられる収益率を合理的に反映する率を使用しています。

・非金融資産は、その性質や、所在地、所有者、操業者、収益性等の操業環境が異なるため、将来キャッシュ・フローの想定や、割引率の算定において考慮すべき各種の要因は、個別の非金融資産ごとに異なります。

・過年度に認識した減損損失が、もはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、期末日に判定を行っております。こうした兆候が存在する場合、当社及び連結子会社は資産または資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、最後に減損損失が認識されて以降、資産の回収可能価額の決定に用いた仮定に変更がある場合にのみ、過去に認識した減損損失を連結損益計算書上の利益として戻入れております。

 

 

暖簾の減損

・前連結会計年度及び当連結会計年度における暖簾減損損失計上額は118億円及び8億円です。また、対応する前連結会計年度末及び当連結会計年度末における帳簿価額は500億円及び719億円です。

・暖簾は、企業結合のシナジーから便益を享受できると期待される資金生成単位または資金生成単位グループに配分し、年一回及び減損の兆候を示す事象が発生した時点で、減損テストを実施しています。

・減損テストでは、暖簾及び暖簾を配分した資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額合計を回収可能価額と比較し、帳簿価額合計が回収可能価額を上回る場合に、その差額を減損損失として認識します。回収可能価額の見積りは、非金融資産の減損と同様の見積り方法を用いております。

 

公正価値で測定する市場性ない資本性金融資産

・公正価値で測定する市場性ない資本性金融資産については、主に評価差額をその他の包括利益に認識することを選択しています。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、市場性ないFVTOCIの金融資産の公正価値はそれぞれ7,092億円及び7,324億円です。

・市場性ないFVTOCIの金融資産については、主に割引キャッシュ・フロー法、類似企業比較法またはその他の適切な評価方法を用いて評価しており、経営者が金額的重要性が高いと判断する場合には、外部の評価専門家の評価を利用しています。

・重要な観測不能なインプットである石油価格の見積りについては、注記24.「公正価値測定 (3)定期的に公正価値で測定される資産及び負債に係る開示」をご参照ください。

・また、割引キャッシュ・フロー法に使用される将来キャッシュ・フローは、非金融資産及び持分法に対する投資の減損と同様に、経営者により承認された経営計画などに基づいて見積っています。これらの見積りや仮定は、当社の連結包括利益計算書上のその他の包括利益に重要な影響を及ぼすことがあります。

 

繰延税金資産の回収可能性

・繰延税金資産の回収可能性の判断の変更に伴う繰延税金資産の減額は、当社の連結損益計算書上の当期利益及び連結包括利益計算書上のその他の包括利益に重要な影響を及ぼすことがあります。

・経営者は、有税償却に関する無税化の実現可能性や当社及び子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。当社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や、法定税率の変更などにより、回収可能額が変動する可能性があります。

 

石油・ガス産出活動及び鉱物採掘活動における埋蔵量の見積り

・埋蔵量は、当社及び連結子会社が保有している権益に対応した経済的かつ法的に採掘可能な生産物として見積られた量です。埋蔵量を算出するための見積り及び前提は以下の地質学的、技術的、経済的要因によって左右されます。

- 地質学的要因:鉱物の分量、品位等

- 技術的要因:生産技術、回収率、生産費用、輸送費用等

- 経済的要因:生産物の需要、価格、為替レート等

・埋蔵量の見積りに使用される経済的な前提は毎期変動し、かつ一連の生産活動の中で地質データの更新が行われることにより埋蔵量の見積り額は毎期変動することになります。報告された埋蔵量の変動は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に対して各種の影響を及ぼします。具体的には、

- 埋蔵量の変更に伴う将来キャッシュ・フローの見積りの変動により保有資産が減損する可能性があります。

- 生産高比例法の分母の変動または経済的耐用年数の変動に伴い、連結損益計算書上の当該事業に係る減価償却費が変動する可能性があります。

- 埋蔵量の見積りの変更が生産設備の廃棄や、原状回復義務、環境関係の資産除去債務の引当金の発生時期及び債務金額の増減に影響を与える可能性があります。

 

確定給付費用及び確定給付制度債務

・従業員の確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率などの年金数理計算上の基礎率に基づき見積られています。IFRSでは、実績と見積りとの差はその他の包括利益として認識後、即時に利益剰余金に振替えられるため、包括利益及び利益剰余金に影響を及ぼします。経営者は、この数理計算上の仮定を適切であると考えていますが、実績との差異や仮定の変動は将来の確定給付費用及び確定給付制度債務に影響します。

・当社及び連結子会社の割引率は、各年度の測定日における高格付けの固定利付社債の利回りに基づき決定しています。各測定日に決定した割引率は、測定日現在の確定給付制度債務及び翌年度の純期間費用を計算するために使用されます。

・確定給付費用及び確定給付制度債務に関する見積りや前提条件については連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」をご参照ください。

 

気候変動による影響

・当社及び連結子会社において、気候変動の影響を受け、関連する資産・負債に金額的重要性があるのはエネルギーセグメントの事業であり、当連結会計年度末における会計上の重要な見積り及び判断については以下のとおりです。

・エネルギーセグメントは、主に石油・ガス開発事業及びLNG事業から構成され、これらの事業は今後、低・脱炭素化の世界的潮流が強まる中で、将来的な制約・規制強化により石油・ガス及びLNGの需要が低下する場合は、既存案件から有形固定資産の減損やその他の投資の公正価値の低下等が生じる可能性があります。これらの評価は主に油価の影響を受け、同前提は、市況水準や複数の第三者機関の公表する中長期見通しを考慮して策定しております。第三者機関のうち、IEAの公表するシナリオについては、STEPS(Stated Policies Scenario)に重点を置いていますが、その他のシナリオも参考にしております。

・当連結会計年度末の連結財政状態計算書に計上したエネルギーセグメントにおける主要な資産及び負債の金額(*)は以下の通りです。

有形固定資産

661,809百万円

持分法適用会社に対する投資

434,334百万円

その他の投資

348,270百万円

引当金(非流動)

175,600百万円

 

(*)上記は他のセグメントとの持ち合い等を調整前の金額です。

なお、注記6.セグメント情報における開示は他のセグメントとの持ち合い等を調整しています。

 

4【経営上の重要な契約等】

特に記載すべき事項はありません。

5【研究開発活動】

特に記載すべき事項はありません。