当社は、グループ社員全員が共有し、共通の価値観としてすべての活動の基本となる考え方として「KPP GROUP WAY」を定めています。「KPP GROUP WAY」は「経営理念」「グループ企業行動指標」「経営ビジョン」の3層から形成され、当社のミッション、行動指標、経営ビジョンを表しています。

中でも、長期経営ビジョンとしてGIFT+1(ギフトプラスワン)を掲げ、+1(プラスワン)は環境貢献・ESG経営の推進に留まらず、環境関連商品の開発・販売、資源循環型ビジネスの構築・提案、従業員やその家族などのステークホルダーに対する啓蒙活動など、GIFTそれぞれの要素に「環境」を付加した活動を強力に推進するものです。
この経営ビジョンの下、株主、顧客、取引先、社会、世界へ貢献するとともに、経営内容の積極的開示を進め、開かれた会社として成長していく所存であります。
紙パルプ産業の国内市場においては、IT技術の進化によってデジタル社会が出現し、紙の需要がいわゆるグラフィック系(新聞出版や商業印刷用途)からパッケージ系(包装資材用途)へと変化する傾向が強くなってきております。また、海外市場では、新興国を中心に家庭紙、衛生紙市場の拡大でパルプ需要が増大している他、包装資材用途の板紙製造設備が東南アジアを中心に稼働し、その原料である古紙の需要が高まってきております。一方、先進諸国では国内市場と同様にグラフィック系用紙の需要が減速する一方で、パッケージ系用紙の需要は堅調に推移しております。また、海洋プラスチック汚染が世界規模の問題となり、石油由来のプラスチック製品に厳しい目が向けられるようになっているため、持続的な成長という観点からバイオマス由来の紙資源が注目されており、石油由来のプラスチックからバイオマス由来の紙への製品シフトが見られるようになってきております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大継続による影響についてですが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が継続し、また、終息時期見通しが不透明である中、当社主力事業である紙パルプ等卸売事業に対するマイナス要因の拡大が見られます。
国内市場においては、コミックスの販売拡大や巣ごもり需要に伴う学習参考書向けの販売では健闘したものの、外出自粛、イベントの中止等によりチラシ用途を中心とした印刷用紙の需要が減少いたしました。一方、板紙については、飲料、食品向け等の巣籠り需要により、段ボール原紙の需要は堅調に推移したものの、白板紙についてはインバウンド需要の消滅によって、需要が減少いたしました。
海外市場におきましては、欧州では感染再拡大に伴う各国の大規模な都市封鎖等の影響により、消費が急減し、景気は大きく落ち込んだ状況が継続しており、紙の需要も低迷しております。中国では、早期に新型コロナウイルス感染症を抑制したことでいち早く景気が回復し、通期でプラス成長となりましたが、紙・板紙ともに需要は旺盛な状況です。また豪州においては、中国と同様に新型コロナウイルス感染症拡大を早期に抑制し、個人消費が中心となり景気を押し上げておりますが、紙の需要も前年を上回っております。
このような状況下、当社は経営ビジョン「GIFT+1」の達成に向け、総合循環型経営の促進、海外グループ企業とのコラボレーションとシナジー、環境事業の推進・拡大、コーポレート・ガバナンスの充実、新型コロナウイルス感染症の対応継続を課題として取り組んでおります。
① 総合循環型経営の促進
当社の強みである製品販売と古紙回収による循環型事業モデルを経営の柱として、資源循環のリサイクルループの実現・見える化をサポートし、お客様の環境活動に寄与し持続可能な循環型社会の実現に貢献していきます。古紙などの再生資源を供給するマテリアルリサイクルとバイオマス発電所運転支援等によって再生可能エネルギーを供給するサーマルリサイクルの両輪を回していくことによって環境負荷低減に向けた事業の拡大を図っていきます。
② 海外グループ企業とのコラボレーションとシナジー
海外事業の拡大、ポートフォリオ改革は最重要課題として取り組んでいます。一昨年の豪州Spicers Limitedに続き、2020年度はAntalis S.A.S.を完全子会社化いたしました。両社とも、ポストペーパー事業としてパッケージング事業及びビジュアルコミュニケーション事業を推進し、グラフィック用紙事業はEコマースによってビジネスモデルを変革し、利益の最大化を図っています。日本マーケットにおいても、その市場特性に合わせ、これら事業の展開を図りシナジー効果を上げてまいります。また、アジア地域においては、Antalis S.A.S.のアジア事業と既存のアジア地域における紙パルプ等卸売事業を統合し、地域再編によるシナジー効果を上げてまいります。
③ 環境事業の推進・拡大
SDGsの国連決議を背景にプラスチック・フリーの潮流が世界中に広がっており、環境負荷低減の動きが加速しています。このような状況下、当社グループでは脱プラ関連需要への取組みを強化し、社内横断的に立ち上げた「Green Biz Project」を推進し、「紙化」「減プラ」「バイオプラスチック」など多様な観点から、代替の素材や製品の開発、流通に取り組んでおります。この取り組みの中から、新たな環境対応関連商品が生まれ、実績にも繋がっております。
コーポレート・ガバナンスの充実では、ステークホルダーからの負託に応え、その持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスを経営の重要課題と考えております。当社グループの経営理念の一つである「循環型社会の実現」に向けた総合循環型事業の推進など、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の視点を取り入れた取り組みを進めております。当社グループがESGの重要課題に対し積極的かつ能動的に対応していくことによって、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
当社グループは、従業員とその家族の健康、そしてお取引先様の安全・安心を最優先するため対策委員会を設置し、テレワークによる在宅勤務、時差出勤、マスクの着用、消毒液の設置に加えて3密回避などあらゆる角度からの感染拡大防止の施策を、継続しております。また、ニューノーマル時代に適応した勤務体制や営業活動を推進し、新型コロナウイルス感染症拡大防止を前提とした事業活動を展開いたします。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、商品を販売する活動において、さまざまな価格変動リスクを負っています。当社の業績に影響を及ぼす主な商品分野としては、次のものがあげられます。
当社グループの主要な取扱商品である紙、板紙等の製品仕入価格は、原材料であるパルプ、チップ、古紙等の世界的な需要及び原油等の燃料価格の動向の影響を受けることから、それらの価格が大きく上昇した場合には、製品の仕入価格に影響を与えます。当社グループでは、適正な利潤を確保するため、販売先との価格交渉を継続的に行っておりますが、販売価格への転嫁の状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要な取扱商品である古紙の販売価格は、世界の主要な古紙消費国の輸入量により、大きく価格が変動いたします。特に、中国において環境問題により始まった古紙輸入規制が輸出価格の大幅な変動を招き、当連結会計年度の業績にも大きく影響しております。当該リスクへの対応といたしましては、日本国内のみならず、世界中の古紙需要先を対象として、特に今後需要の増加が見込まれる東南アジア諸国を中心に販路の拡大に努め、仕入先の確保にも注力する所存ですが、短期間での大幅な価格下落の場合、完全には回避できない可能性があります。
紙、板紙等の原材料であるパルプにつきましては、当社の主要な取扱商品でもありますが、世界的な市況商品であるため、販売価格及び仕入価格が市況に応じて変動いたします。2018年度から2019年度にかけて価格が大きく下落、しばらく低調に推移したのちに、2020年度の年度末にかけては価格が大幅に上昇するなど、価格変動のリスクが内包されております。当該リスクへの対応といたしましては、仕入成約時の販売価格決定や、在庫の低減などを行ってまいりますが、短期間での大幅な価格下落の場合、完全には回避できない可能性があります。
当社の主要株主である王子ホールディングス株式会社及び日本製紙株式会社のグループ会社は、当社グループの主要商品である紙及び板紙を仕入れている主要仕入先であります。当連結会計年度における2社グループからの仕入金額合計は総仕入金額の33.0%になります。
当社は現在、両社と代理店指定に係る基本契約書を締結しており、今後も取引の継続的な拡大を図っていく方針でありますが、天災及び何かしらの影響により、両社グループから当社への商品供給に著しい支障が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。2011年3月の東日本大震災では、両社のグループの製造工場に甚大な被害をもたらしましたが、震災後の商品供給等の面において、当社の業績に大きく影響を及ぼした他、製造工場にて発生する火災事故などでも、少なからず影響することがあります。
当該リスクにつきましては、両社グループ以外の仕入先を国内外問わず開拓して仕入ソースを確保するとともに、海外事業の拡大により国内取引への依存度を下げ、事業ポートフォリオの改革の推進による新たな事業領域により紙及び板紙販売の事業比率を下げていくことで、対応をしてまいります。
当社グループにおける営業取引においては、売掛金及び受取手形などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに与信限度額を定めて取引先との取引額を管理する他、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの取り付けを行っております。
国内拠点紙パルプ等卸売事業においては、取引先を個別に管理して、取引額が大幅に増加する際は、与信限度額の見直しを行う他、信用悪化が懸念される取引先に対しては、定期的に与信限度額の見直しを実施しております。
海外拠点紙パルプ等卸売事業においては、与信リスクにカントリーリスクの発生も相まって、より高いリスクを有していると認識しております。そのため、回収不能の未然防止対策として規程、マニュアル等を整備し、リスク管理マネジメントを実行しております。また、取引信用保険を活用し、信用リスクの回避に努めております。
上記の通り、信用リスク回避のための施策を講じておりますが、信用リスクを完全に回避することはできません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
豪州への投資について、2019年7月にSpicers Limitedの全株式を取得いたしました。取得にかかる総額は71億9百万円で、当連結会計年度末現在17億76百万円ののれん額が計上されております。また、Spicers Limitedは2020年2月にWilmaridge Pty Ltdが営む事業を34億68百万円で譲受けており、当連結会計年度末現在17億28百万円ののれん額が計上されております。当該のれんの額につきましては、将来のシナジー効果が発揮されることによる収益力を適切に反映しているものと考えておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合は減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各国に事業を展開しており、当連結会計年度における海外拠点紙パルプ等卸売事業は連結売上高の41.1%を占めておりますが、これらの国々においては、法改正や人件費高騰、外交問題等の要因により、事業活動に制約が生じる可能性があります。
また、紙・パルプ市場は、事業展開を行っている国または地域の景気動向や消費動向等に大きく影響を受け、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。当社グループでは、海外拠点紙パルプ等卸売事業における売掛金に係る保険の付保などのリスクヘッジ策の実行や、(3)信用リスクに記載する与信管理の実施、当該国における情報収集の徹底等により、これらのリスクを最小限に止めることに努めております。しかしながら、こうした管理やヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難であり、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替レートの変動リスク
当社グループの事業セグメントである海外拠点紙パルプ等卸売事業は、世界各国に事業を展開しており、当連結会計年度における海外売上高比率は41.1%となっております。連結財務諸表の作成に際しては、各国における現地通貨建ての売上高、費用等を円換算しておりますが、外国通貨に対して円高が進むと連結当期純利益にマイナスのインパクトを与えます。
また、当社グループでは、日本からの紙、板紙、古紙等の輸出販売も行っており、これらの商品の海外での価格競争力は為替レートの変動による影響を受けます。当社グループは、為替予約取引等により、為替レートの変動による影響を最小限に止めることに努めております。しかしながら、為替レートが当社グループの想定を超えて変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、運転資金等の調達は金融機関からの借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行を中心に行っております。当社グループでは、長期借入金(固定金利)による調達、金利スワップ等を取り入れ、金利変動による影響を最小限に止めることに努めておりますが、当社グループの想定を超えて金利変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における借入金及びコマーシャル・ペーパーの残高は832億72百万円です。
当社グループが保有する株式は、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関等、業務上密接な関係にある企業の株式が大半でありますが、株式市況の動向及び当該企業の業績等によって当該株式の価格に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。所有株式につきましては、2019年7月1日に当社ホームページにてご報告しております「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の『コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示』における[原則1-4 政策保有株式]に、その所有に関する方針を記載しておりますが、適宜適切に売却を進めることで、当該リスクの低減に努める所存です。
当社グループでは、確定給付年金制度、退職一時金制度及び確定拠出年金制度を採用しており、これに伴う退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。また、年金資産の一部には株式信託を採用しております。従いまして、割引率の低下や運用利回りの悪化、信託した株式の時価の低下が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対しましては、年金資産の見直し等を定期的に行い、安全性の高い資産の割合を増やすなどの検討をしてまいります。
当社グループは、収益基盤の安定化を目的とし、所有不動産を活用した不動産賃貸事業に取り組んでおります。しかしながら、不動産市況に変動が生じ、所有する不動産価格や賃貸料が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における総資産に対する賃貸不動産の比率は2.5%であります。
当社グループは、事業ポートフォリオの改革、事業機会の拡大を図っていくため、研究開発活動を進めておりますが、2018年9月より開始した、バイオマス発電所運転支援システムの開発(サービス名称BMecomo)につきましては、当連結会計年度末までに5億33百万円の開発費用を拠出しております。この研究開発活動において、期待された効果が得られない、事業環境の変化による案件からの撤退等、何らかの状況変化により拠出した資金を回収できないリスクを負っています。これらのリスクの管理については、投資委員会を開催し投資の採算性について十分な審議を行った上で、定期的に開発状況や計画の進捗等を確認し、事業環境の調査・情報収集を徹底すると共に、取締役会等でモニタリングすることとしております。
当社グループは、従業員とその家族の健康、そしてお取引先様の安全・安心を最優先するため対策委員会を設置し、テレワークによる在宅勤務、時差出勤、マスクの着用、消毒液の設置に加えて3密回避などあらゆる角度から感染拡大防止の施策を講じております。また、新型コロナウイルス感染終息後においても、勤務体制や営業活動を継続検討課題とするとともに、事業の持続的成長に向けた対応を確実に進めてまいります。
また、世界的なさらなる感染拡大等、想定を超えるような事態が発生した場合には、販売減少や信用リスクの増大、回収遅延・不能債権の発生など、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における我が国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、政府による緊急事態宣言が2度にわたり発令される等、社会経済活動が大きく制限されたことから個人消費を中心とした内需が縮小し、輸出を中心とした外需も冷え込んだ結果、景気が大きく後退しました。当社が属する紙・パルプ業界におきましては、紙・板紙の内需は2011年以降マイナスで推移しておりますが、コロナ禍の影響を受けた今年度は減少ペースが加速し、リーマン・ショック直後を上回るマイナス幅となりました。
一方、世界経済におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限を強く受け、景気は大きく冷え込みました。欧州では、感染再拡大に伴う各国の大規模な都市封鎖等の影響により、消費が急減し、景気は大きく落ち込んだ状況が継続しております。中国では、早期に新型コロナウイルス感染症を抑制したことでいち早く景気が回復し、10-12月の実質GDPは前年同期比6.5%増加し、通期でもプラス成長となりました。また豪州においては、中国と同様に新型コロナウイルス感染症拡大を早期に抑制し、個人消費が中心となり景気を押し上げ、10-12月期の実質GDP成長率は市場予想を上回り、主要国の中で最も高い伸びを見せております。
このような状況下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高4,304億4百万円(前期比12.8%増)となりました。営業損益においては、前年度及び当年度の海外子会社取得により売上総利益が大幅に増加いたしましたが、香港・中国の取引先において暫定清算手続きの申請に関連した売掛債権の回収遅延などが生じたことから貸倒引当金繰入額116億27百万円を計上した結果、営業損失は90億35百万円(前期は18億50百万円の営業利益)、経常損失は120億41百万円(前期は21億94百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は、保有不動産の売却益を計上した結果、14億16百万円(同15.0%増)となりました。
当連結会計年度の業績については、以下の通りです。
事業別セグメントの業績は次の通りです。
<国内拠点紙パルプ等卸売事業>
紙分野では、デジタル化に伴う紙媒体離れが進む中、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、コミックスの販売拡大や巣ごもり需要に伴う学習参考書向けの販売では健闘したものの、イベントの中止によりチラシ等の需要が減少し、数量・売上高共に前年割れとなりました。
板紙分野においては、飲料用包装資材向けを中心に段ボール原紙では比較的堅調に推移しましたが、インバウンド需要の消失により白板紙の販売が減少し、数量・売上高は前年より微減となりました。
製紙原料分野では、古紙は紙需要の減退による発生量の減少や、海運の乱れによるコンテナ不足等が影響し、数量・売上高共に、前年より僅かに減少しました。パルプは春先の家庭紙需要増大の影響により、数量は前年を上回りました。
この結果、国内拠点紙パルプ等卸売事業の売上高は2,521億4百万円(同13.3%減)、セグメント利益は37億10百万円(同9.2%減)となりました。
<海外拠点紙パルプ等卸売事業>
海外拠点においては、新型コロナウイルス感染症拡大によるロックダウンや、海運の乱れによるコンテナ不足の影響を受けたものの、本年度より豪州Spicers Limitedの業績が通年で寄与したほか、下半期においては、欧州・南米を中心に事業展開するAntalis S.A.S.の買収により、数量・売上高は前年を大幅に上回る結果となりました。
欧州においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が、グラフィック用紙事業及びビジュアルコミュニケーション事業に大きく影響したものの、パッケージング事業は好調に推移しました。豪州でも、パッケージング事業が好調に推移し、ビジュアルコミュニケーション事業はコロナ影響前の水準まで回復しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響をいち早く脱した中国では、経済の回復による段ボール原紙の需要増を取り込むなど、販売回復が見られております。しかし、香港・中国の取引先において暫定清算手続きの申請に関連した売掛債権の回収遅延などが生じたことから貸倒引当金繰入額を計上したため、大幅な営業損失となりました。
この結果、海外拠点紙パルプ等卸売事業の売上高は1,770億52百万円(同97.9%増)、セグメント損失は105億57百万円(前期は1億79百万円のセグメント利益)となりました。
<不動産賃貸事業>
全国主要都市のオフィスビル市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるテレワーク等の勤務形態の変化で、夏以降はオフィス面積縮小の動きがあり平均空室率が上昇しました。このため、東京地区の平均賃料は下落に転じ、その他の地区でも注視が必要な状況です。
当社グループでは主力物件であるKPP八重洲ビルが満室稼働したことに加え、一部テナントの入れ替え等による賃料単価の上昇もあり、前年比で増収となりました。
この結果、不動産賃貸事業の売上高は12億47百万円(同2.9%増)、セグメント利益は6億29百万円(同6.6%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前当期純利益、有形固定資産の売却及び短期借入金の増加等で獲得した資金を、子会社株式の取得及び自己株式の取得等に充当したことで、前連結会計年度末比227億68百万円増加し、305億43百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は64億72百万円(前期は49億5百万円の獲得)となりました。これは主に仕入債務の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は230億46百万円(前期は54億円の使用)となりました。これは主に、資金の有効活用と財務体質の向上を図るための有形固定資産売却による収入及び連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得(Antalis S.A.S.)による収入等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は65億97百万円(前期は55億4百万円の獲得)となりました。これは主にAntalis S.A.S.の買収に伴う短期借入金の増加及び長期借入金の収入によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)当連結会計年度のサムソンペーパーホールディングスグループについては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(参考情報)
当社グループの品種別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.賃貸収入は「その他」に含まれております。
提出会社の商品販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記の金額には、賃貸収入は含まれておりません。
提出会社の用途別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.用途の分類は当社独自の基準によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記の金額には、賃貸収入は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
新型コロナウイルス感染症の拡大による業績への影響については、地域及び事業により、その回復度合いなどが異なると見ております。しかしながら、ワクチン接種率の上昇により、感染症拡大は確実に終息へ向かい、当社業績に対してもプラスの影響を及ぼすことを見込んでおります。
このような状況下、当社グループは長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に則り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載の通り、対処すべき課題に対応してまいります。
当連結会計年度における、国内紙パルプ等卸売事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
2022年3月期の日本国内市場におきましては、紙事業、特にグラフィック用紙事業について、当連結会計年度の実績は上回るものの、最終的には前連結会計年度の需要まで回復するのは難しいと見込んでおります。板紙事業につきましては、当連結会計年度より飲料関係及び通販関連の段ボール原紙需要の増加が下支えし、2022年3月期も全体的には微増を見込んでおります。古紙につきましては、世界的な古紙需要の増加に伴い、2021年の年初来からの輸出価格の高騰が一定程度継続する見込みです。その為、国内市況の大きな変動は見込んでおりませんが。国内古紙発生量の減少により、仕入価格が上昇し、当社利益への影響が懸念されております。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、国内紙パルプ等卸売事業の拡大を目指す所存です。
[国内基本戦略]
製品販売と古紙回収による循環型事業モデルの確立
マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルによる事業の拡大
市場特性に合わせたパッケージング事業及びビジュアルコミュニケーション事業への展開
環境配慮型素材や製品の開発・販売
バイオマス発電所運転支援システムの展開
(c) 海外紙パルプ等卸売事業について
当連結会計年度における、海外紙パルプ等卸売事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
2022年3月期の海外市場につきましては、欧州・豪州ともに、グラフィック用紙の需要は日本と同様、前連結会計年度の水準までは回復しない見通しです。一方、欧州におけるパッケージング事業は好調を継続する他、ビジュアルコミュニケーション事業についても、新型コロナウィルス感染症のワクチン接種率の高まりと共に、需要は前連結会計年度の水準まで回復する見通しです。豪州においても、ビジュアルコミュニケーション事業でのM&A効果が表れ、業績が回復する見通しです。中国については、巨額の一過性損失を計上したことで潜在的なリスクが一掃され、新たに中国国内市場での販売体制を再構築し、需要旺盛な紙・板紙の消費を取り込んで、業績を伸長する見込みとしております。
なお、2022年3月期より、昨年7月に買収した仏Antalis S.A.S.の業績が通期で寄与するため、大幅な増収増益が見込まれます。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、海外紙パルプ等卸売事業の拡大を目指す所存です。
[海外基本戦略]
外部経営資源の獲得(インオーガニック)による事業領域の拡大
海外紙卸商の買収(豪Spicers Limited・仏Antalis S.A.S.)など
ハイブリッド型ビジネスモデル(※)の展開
※ハイブリッド型ビジネスモデル

(d) 不動産賃貸事業について
当連結会計年度における、不動産賃貸事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
当該事業セグメントにつきましては、当連結会計年度は前連結会計年度と比較して増収増益となりましたが、その金額は僅少でありほぼ横ばいの結果となりました。賃貸物件の安定稼働を重視しており、資産価値を維持するための修繕等を計画的に実施しております。
今後も引き続き、現有物件の安定稼働とローコストでの運用を心掛け、安定した収益を確保する事業として推進してまいります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、2,751億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ858億2百万円増加しました。これは主に、Antalis S.A.S.の買収による売上債権の増加及び商品の増加等によるものであります。
負債は、2,315億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ894億97百万円増加しました。これは主に、Antalis S.A.S.の買収による仕入債務及び短期借入金の増加及び子会社株式取得に伴う長期借入金等の増加によるものであります。
純資産は、435億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億95百万円減少し、自己資本比率は15.8%となり、前連結会計年度末に比べ9.1ポイント減少しました。これは主に、円高に伴う為替換算調整勘定及び退職給付に係る調整累計額の減少と、Antalis S.A.S.の買収による総資産の増加等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当社グループは、長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づく第二次中期経営計画(2019年度~2021年度)を推進中ですが、事業で創出される営業キャッシュ・フローにつきましては、成長投資と株主還元に、適正に配分していく所存です。
成長投資への支出につきましては、海外事業の拡大と事業ポートフォリオの多角化を目的としております。今後も海外投資を中心に、投資先の事業内容、投資時点の当社グループの財政状態及び資金需要を勘案し、適切に判断してまいります。
株主還元への支出につきましては、株主への還元を充実させていくことを心掛けるとともに、収益の確保に不可欠な設備投資、研究開発等に必要な内部資金の確保をした上で、今後の事業展開等を総合的に勘案し、配当を実施することを基本としております。原則として、配当性向30%以上を目処に、安定的・継続的な利益還元に努めていくこととしております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内外で当社グループの業績への影響が出ておりますが、重要な資金繰りの懸念はございません。当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は、国内で16億58百万円、海外で288億84百万円となっており、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保いたしました。また、予定されている資金支出につきましても、資金調達の目途は立っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、キャッシュ・フローの配分に関する方針に変更はございません。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り及び追加情報」に記載しているとおりです。
特記事項はありません。
当社グループは、国内拠点紙パルプ等卸売事業において、将来の事業領域拡大と収益基盤の多様化を目指し、以下の研究開発を進めております。
2018年9月の取締役会においてバイオマス発電所運転支援システム開発の開始を決議し、当連結会計年度において研究開発費215百万円を支出いたしました。当社が目指す支援システムは、運転制御をはじめとするバイオマス発電所のオペレーション全体の支援を目的としたもので、開発にあたっては当社が出資するバイオマスパワーテクノロジーズ株式会社と連携し、開発を行っております。