(1) 経営の基本方針
当社は、グループ社員全員が共有し、すべての活動の基本となる理念体系として「KPP GROUP WAY」を定めています。「KPP GROUP WAY」は「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3層と「KPPグループ憲章」から形成されています。

理念体系のうち、ビジョンである「GIFT+1(ギフトプラスワン)」に基づき、当社100周年である2024年に向けて策定された長期経営ビジョンが「GIFT+1 2024」です。ビジョンの「+1」は、「GIFT」の全ての要素にESGの要素を取り込むという意味が込められています。当社ではグループ全体で環境関連商品の開発・流通、さらには循環型ビジネスの構築・提案など様々な取り組みを推進しています。このビジョンの下、株主や顧客、取引先などの様々なステークホルダーへ貢献するとともに、経営情報の適時・適切な開示を進め、社会に開かれた企業としてグローバルに成長してまいります。
紙パルプ産業の国内市場においては、情報媒体のデジタル化が加速しており、紙(いわゆるグラフィック用紙)の需要の減少が続いております。一方、堅調と見られていたパッケージング用紙についても物価の高騰による商品全般の買い控えや、人流の回復がインバウンド需要に結びついていない事に加え、巣籠需要(通販・宅配)も一服感がある事から需要は伸び悩んでいます。海外市場では、昨年の数次にわたる価格改定もあり需要の減少が進み、グラフィック用紙離れが見られてきています。一方で、海洋プラスチック汚染が世界規模の問題となり、石油由来のプラスチック製品に厳しい目が向けられるようになっているため、代替素材として紙の需要が高まっています。バイオマス素材由来の紙資源や、石油由来のプラスチック使用量を削減した製品へのシフトが見られるようになってきております。
また、新型コロナウイルス感染症も日本では5月に感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、社会活動の制約はほぼ解消され、アフターコロナ期に移行したことにより、社会経済活動の正常化を背景に個人消費の回復が期待されます。
こうした中で当社を取り巻く環境を見てみると、国内市場においては紙分野では、経済活動の再開に伴い観光・イベント事業は回復傾向にあるものの、情報媒体のデジタル化が加速し、グラフィック用紙の減少に歯止めが掛かっておりません。一方、板紙分野は消費の減退やインバウンド需要の回復は限定的でありましたが、飲料用包装資材向けは堅調に推移しました。
海外市場におきましては、パッケージ事業は需要の回復がみられている他、ビジュアルコミュニケーション事業も各種イベントの需要が活発になっています。中国では、「ゼロコロナ政策」による経済の停滞やその後の感染爆発による社会混乱の影響で景気は後退し、紙の市況が大幅に下落しました。
このような状況下、当社は経営ビジョン「GIFT+1」の達成に向け、総合循環型経営の促進、海外グループ企業とのコラボレーションとシナジー、環境事業の推進・拡大、コーポレート・ガバナンスの充実、サステナビリティ・マネジメントの推進、コンプライアンス体制の強化を課題として取り組んでおります。
① 総合循環型経営の促進
当社グループは、サステナブルな社会の実現に貢献する循環型ビジネスモデルの構築を進めています。古紙などの再生資源を供給するマテリアルリサイクルと、バイオマス発電所運転支援等によって再生可能エネルギーを供給するカーボンニュートラルによってサーキュラーエコノミーを推進し、環境負荷低減に向けた事業の拡大を図っています。
② 海外グループ企業とのグループシナジー
当社グループはグローバルネットワークを持ち、各地域の特性に応じたビジネスモデルを展開しています。各中核事業会社(国際紙パルプ商事、Antalis、Spicersの3社)での利益最大化と収益基盤確立のため、戦略的アライアンスを推進しグループシナジーの創出に取り組んでいます。
③ 環境事業の推進・拡大
化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換する「グリーントランスフォーメーション」(以下「GX」(Green Transformation))について、「GX実現に向けた基本方針」が2023年2月10日に閣議決定され、クリーンエネルギーへの転換が一段と進んでいます。このような状況下、当社グループでは、経済産業省が公表した「GX リーグ基本構想」への賛同を表明しています。また、紙の緩衝材ソリューションを提供するRanpak B.V.との販売代理店契約を締結し、環境商品の拡販に向けた取り組みを積極的に進めています。
2022年10月1日付で持株会社体制への移行を完了した事により、中核事業会社3社の権限移譲を拡大するとともに、情報の一元管理及び適切なグループマネジメントや迅速な情報管理体制の構築等各種施策を推進し、グローバル・ガバナンスの強化と資本政策の効率化を目指してまいります。
カーボンニュートラル、ダイバーシティ、DXへの対応や気候変動対策等特定したマテリアリティに対するKPIとそのPDCA管理の実行に加え、グローバルスケールでのサステナビリティ・マネジメントと事業計画とのインテグレーションを図ってまいります。
当社の連結子会社である国際紙パルプ商事株式会社は、2023年4月11日、独立行政法人国立印刷局が発注する再生巻取用紙の入札に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立入検査を受けました。当社と国際紙パルプ商事株式会社は、立入検査を受けた事実を真摯に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力するとともに、コンプライアンス体制の一層の強化に努めてまいります。
当社グループは、長期経営計画である「長期経営ビジョンGIFT+1 2024」の最終期である第3次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を策定いたしました。以下は、第3次中期経営計画の基本方針(テーマ・メッセージ・基本戦略)になります。
「基本方針」
(テーマ)
長期経営ビジョン「GIFT+1 2024」の達成と創立 100 周年に向けて
(メッセージ)
循環型ビジネスによる持続可能な社会への貢献と事業ポートフォリオ改革による企業価値向上
(基本戦略)
「収益基盤の確立・深化」
・各事業会社の利益最大化
・戦略的アライアンス、M&Aの推進
・グローバルシナジーの追求
・DXの推進
「グローバルグループ経営の強化」
・ESG経営の実現
・グローバルオペレーション体制構築
・グループコミュニケーション強化
・経営資源の適正配分
目標とする経営指標と数値は、以下のとおりです。
※D/Eレシオ=有利子負債残高÷純資産
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は持続可能な社会の実現に向けた世界共通の課題、特に気候変動や海洋プラスチック汚染などに代表される環境問題を看過することのできない喫緊の課題であると考えており、環境問題が世界経済に与える中長期的な影響を低減していくには企業活動のレベルから改善を図っていく必要があると考えております。当社は、「サステナビリティ経営」を「環境・社会・経済の持続可能性へ配慮することによって、中長期で利益を出し続け、事業の持続可能性を向上させる経営」と定義するとともに、「紙でつなぐ、未来をつくる」をコーポレートメッセージとして掲げ、その実現のために、2022年にグループの理念体系である「KPPグループウェイ」を刷新いたしました。

当社は、KPPグループウェイのもとに、環境だけでなく、社会やガバナンスにも配慮した「KPPグループサステナビリティ基本方針」を策定し、サステナブルな社会づくりに貢献することで企業価値の向上を図っています。
<KPPグループサステナビリティ基本方針>
私たちKPPグループは「KPPグループウェイ」の基本理念に基づき、総合循環型経営の展開を通して、持続可能な社会の実現に貢献します。また、私たちは環境や社会、そしてガバナンスを経営の重要事項として捉え、事業活動に関わるマテリアリティを特定し、課題の解決に取り組みます。
当社は、上述のとおりKPPグループウェイのもとに、KPPグループサステナビリティ基本方針を策定し、サステナブルな社会づくりに貢献することで企業価値の向上を図っています。サステナビリティマネジメントについては、会長兼CEOを委員長とするサステナビリティ委員会が責任を持ち、サステナビリティ課題の進捗を取締役会に報告しています(2022年度実績:2回)。取締役会は、当社のマテリアリティ((2)具体的な取り組み ②戦略の欄に記載)の解決に向けた取組みの、適切なモニタリングが可能なスキルを備えた人材で構成されており、監督の責務を担っています。サステナビリティ委員会の下部委員会として、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会、環境管理委員会、労働安全員会、情報セキュリティ委員会を設置し、各委員会において課題、アクションプラン、KPIを設定し、海外グループ企業を含めてグローバルに継続的な改善を図っています。なお、サステナビリティ委員会およびその下部委員会はそれぞれ年2回開催しています。


当社はサステナビリティ経営を推進するにあたって、まずは、持続的に新たな価値を生み出すために指標とするべきマテリアリティを特定しました。特定したマテリアリティは経営ビジョン「GIFT+1」(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載)に基づいて策定した長期経営ビジョンに組み込み、事業戦略、財務戦略、そしてサステナビリティ戦略においてアクションプランを策定し、目標達成に向けた具体的な取り組みを進めています。マテリアリティの特定にあたっては、当社内でプロジェクトチームを組成し、下記のプロセスで議論を進めました。


<リスク管理体制と管理プロセス>
当社は、激しく変化する外部環境の中で適切に事業活動を推進していくために、グループ全体でリスクマネジメントを展開しています。当社のサステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会下部組織である5つの委員会が当該リスクについて検証し、重大なリスクについてはサステナビリティ委員会にて報告、討議の上、必要に応じてグローバルにリスク対応を進めます。

また、当社のリスク管理体制の維持、向上を図るため、リスク管理委員会を設置し、リスク管理委員会規則に従い、サステナビリティ委員会委員長がリスク管理委員会委員長および副委員長を任命しています。リスク管理委員会は、中核事業会社におけるリスク分析の結果を受け、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価を行い、重点対応策を決定し、重点対応策の実行状況のモニタリングを定期的に行い、その結果についてサステナビリティ委員会へ報告を行うこととしています。
■ 当社のリスク管理体制

当社におけるサステナビリティ関連のリスク(および機会)を含む各種リスクの識別・評価・管理体制については、
■ 当社のリスク管理プロセス

2023年3月期は、当社グループに関連のあるESG課題として特に重要である気候変動と人的資本に関して、リスク・機会の洗い出しやシナリオ分析(気候変動に関して)、経営戦略との連動性、対応策の検討を行いました。気候変動、人的資本に関する戦略や指標・目標を含む詳細内容は以下のとおりです。
当社の「サステナビリティに関する考え方」に基づいて、当社は、気候変動による事業への影響を重要な問題と認識し、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明しました。KPPグループは紙パルプ産業における主力プレイヤーであることを自覚し、「紙」という環境に優しい素材を軸に、これからもグループ全体で、GHG(温室効果ガス)排出量の削減等、環境負荷低減に貢献してまいります。
温室効果ガス濃度上昇にともなう気候変動により、平均気温や海水面の上昇、そしてこれによる自然環境への影響まで様々な変化が生じています。市場においても、SDGsの国連決議を背景にプラスチック・フリーの潮流が世界中に広がっており、環境負荷低減の動きが加速しています。これら気候変動による事業への影響を当社は重要な問題と認識し、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明しました。今後、気候変動が与える事業へのリスク・機会を分析して経営戦略に反映し、自然環境との共生、調和を図り、社会・経済の持続可能な発展の実現に取り組んでまいります。
当社グループの取締役会は、気候関連課題に対する最終責任を負っており、気候変動対応を含むサステナビリティに関する事項について、サステナビリティ委員会より年2回の報告を受けております。2021年には、「GHG排出削減量」など気候変動に関わる事項について報告を受けており、それらの進捗状況を監督し、「総合循環型ビジネスモデル」の展開を図っています。
サステナビリティ委員会の委員長には、代表取締役会長兼CEOが就任しています。サステナビリティ委員会は、環境管理委員会やリスク管理委員会より年2回、気候関連課題に関する報告を受け、GHG排出量削減やリスクマネジメントなどの課題への取り組みについて、助言・指導してまいります。

当社では、事業影響、財務影響を与える気候関連リスク・機会の特定にあたり、IEA(※)の気候変動シナリオを参考に、脱炭素社会に向けた2℃シナリオと化石燃料に依存した4℃シナリオの状況を考慮し、当社に影響を与える可能性のある様々なリスクと機会の要因を抽出・整理しました。主なものは、以下のとおりです。
(※)IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)
「想定シナリオと事業に影響を与える可能性のある主な気候関連リスク・機会の要因」
抽出・整理した要因について、「事業・財務への影響度」、「リスク発現・機会実現までの期間」、「発現・実現の可能性」の観点で評価を行い、当社として重要なリスク・機会、およびそれらに対する今後の対応策・機会獲得のための施策を整理しました。
「移行リスク/物理的リスク」
「機会」
シナリオ分析を行った結果、移行リスクでは仕入先のパルプメーカーや製紙会社の炭素税、GHG削減対応の負担は小さくなく、仕入価格への転嫁も想定されることから、調達コスト増の可能性があると考えています。そのため、今後当社としても、当該影響の小さい環境負荷低減製品の選定を積極的に検討することが必要であると考えています。中長期的なサプライチェーンからのGHG排出量削減のため、足元では排出量の算定に取り組んでおります。今後、算定の精緻化ならびに具体的な目標設定、削減対策の立案・推進に、サプライチェーン全体で取り組んでまいります。
また、物理的リスクでは、台風・豪雨といった激甚災害が増加すると、自社の施設のみならず、サプライチェーンである取引先の被災や操業停止が考えられ、商品供給に支障が生じる場合、事業・財務に大きな影響を及ぼす可能性があり、幅広い仕入ソースを引き続き確保してまいります。
機会としては、エコ包装の普及により包装材としての紙素材の需要が増加しております。当社ではパッケージング事業をはじめ、事業領域の拡大を図っており、2022年にも紙の緩衝材ソリューションを提供するオランダのランパック社と販売代理店契約を締結し、環境負荷低減型包装資材の拡販に取り組んでいます。
また、非化石エネルギー利用拡大や循環型社会の形成を見越し、バイオマス発電所運転支援システム「BMecomo」の開発や提供、古紙回収ソリューション「ecomo」の展開、大手企業に向けたクローズドリサイクルサービスの提供を通じた循環型事業モデルの構築を目指す等、ビジネス機会の獲得にむけた対策を積極的に進めます。
気候関連リスク・機会を評価するプロセスとして、事業への影響度や発生可能性、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、重要度を評価しています。気候関連リスクの管理プロセスについては、環境管理委員会によって評価された重要度の高いリスクはリスク管理委員会に報告され、全社的なリスク管理体制として、「リスク管理規程」に基づき、経営に対して特に重大な影響を及ぼすと判断されたリスクについて、対策委員会の設置等の対応をすることで管理してまいります。

「温室効果ガス(GHG)排出量に関する目標」
当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、総合循環型ビジネスモデルを展開しています。気候変動の緩和に向けて、自社の事業活動による温室効果ガス排出量削減目標を設定し、再生可能エネルギーの積極的な活用と省エネの徹底や強化に取り組んでいます。2020年度を基準とし、毎年3.3%削減していくことを目標としています。また、目標設定の範囲は、まずスコープ1、及びスコープ2を対象にしております。将来的にはスコープ3にも範囲を拡大することを検討すると共に海外拠点もこの範囲に収めていけるよう準備を進めております。なお、22年度のデータにつきましては23年度上半期中にコーポレートサイト上で公開できるよう準備を進めております。
CO2排出量(2017年度~2021年度)
集計範囲:国内主要事業会社(国際紙パルプ商事㈱、KPPロジスティックス㈱)の特定事業主・特定荷主の排出量を算出。
「気候変動の緩和に貢献する製品・サービスの売上高に関する指標」
当社グループは、サステナビリティ戦略の達成に向けた進捗の管理指標として、気候変動の緩和に貢献する製品である森林認証紙や森林認証パルプの売上高や販売量も活用しています。また、当社が定義する「グリーンプロダクト」や「グリーンソリューション」においても気候変動の緩和に貢献する製品・サービスとして、売上高や販売量を指標として、規模の拡大を目指してまいります。
環境対応紙及び森林認証パルプの販売(2017年度~2021年度)
集計範囲:国内主要事業会社(国際紙パルプ商事㈱、KPPロジスティックス㈱)
<「経営戦略と人材戦略の連動」の考え方 KPPグループの人的資本経営>
当社は「KPPグループウェイ」の基本理念に基づき、総合循環型ビジネスモデルを通して、持続可能な社会の実現に貢献します。当社は商社として最大の資産である人材が意欲的に活躍できる環境こそが持続的な成長の基本であり、総合循環型経営を進める上での要であると考えます。
<当社の総合循環型ビジネスモデル>

総合循環型ビジネスモデルは、製紙原料や紙・板紙などの販売から、古紙などの再生資源を供給するマテリアルリサイクルと、バイオマス発電所運転支援等による再生可能エネルギー供給等によるGHG排出量削減に貢献するビジネスの2つから構成されます。当社は持続的な成長のため、事業ポートフォリオの転換、強化を経営戦略として掲げておりますが、マテリアルリサイクルはその主軸であり、この推進にあたって必要とする人材やその育成についての知見の蓄積があります。GHG排出量削減に貢献するビジネスでは、約100年に渡り紙パルプを中心に関連する業界において培ってきた知見や幅広いネットワークを基盤に、新たに求められる要件を加え、ビジネスの成長に資する人材の育成へとつなげています。
これらビジネスに必要とする人材を人的資本として、トップマネジメントで構成される人事委員会を中心に、組織や人的資本に関する調査や分析、人的資本に関する方針や戦略の検討と意思決定を行い、透明性のある採用・評価制度の整備や人的資本戦略に基づいた人材育成など、人材確保と社員が活躍し成果へとつながる人材戦略へと進めています。また、労働安全委員会を設置し、KPPグループ憲章に基づいて、誰もが安全・安心に働ける職場環境の充実を継続して図っています。
① 人材の育成について
当社創立以来、100年近く関わってきた紙販売、その後の古紙回収を加えたマテリアルリサイクルビジネスの継承のために、紙と周辺素材に関する理解から販売のソリューションまでを有する人材を育成しています。また、GHG排出量削減ビジネスの開拓など、将来に向け事業ポートフォリオ改革も進めており、新規領域の開拓や成長に貢献できる専門性を有する人材の確保と育成も求められています。
また、2019年にSpicers、2020年にAntalisが連結子会社となり、第3次中期経営計画に掲げるグローバルグループ経営の強化へとつながるグローバルに活躍できる人材の確保と育成も更に求められています。
その他、持株会社移行に伴うガバナンス体制の整備、新規事業領域の開拓やグローバル対応といった領域は速やかな組織強化が必要であり、専門性と経験を有するキャリア人材の採用を積極的に進めています。そして既存ビジネスの成長、新規ビジネスの展開、グローバル展開の次の100周年に向けて、当社の事業ノウハウを次の世代へ継承し続けるため、新卒は10名から15名を継続的に採用していきます。
採用人材については、新入社員からグレード(等級)毎、また昇格時の研修など、執行役員まで、各階層別研修を実施しています。今後はグローバル人材や次世代基幹人材、管理職のマネジメント力強化を主眼とした研修に加え、スキル向上ではソリューション営業スキル研修も加え、人材育成を様々に強化していきます。
研修を通じた人材育成の他、事業年度の始まる4月に、事業戦略と人材の適材適所配置の観点から人事異動を行っています。決定に際して、ジョブローテーションを通じた人材育成なども考慮し、自己申告制度を通じて上司部下で話し合われている将来キャリアの情報も勘案しています。
社員の能力発揮を支援するために、当社では、成果、アクティビティ、バリューの三つに分けた評価システムを運用しています。具体的には、社員を複数の職群に設定された基準に基づき職務・役割・能力レベルに応じたグレード(等級)に区分し、評価は、成し遂げた成果・結果を成果評価で評価し、目標を達成するためのプロセスはアクティビティ評価・バリュー評価で評価します。この結果を賞与、昇降給、昇降格へ反映して、社員一人ひとりが次なる目標へとチャレンジを促す制度となっています。また、社員の成果評価制度とは別に、業務上の顕著な功績や功労があった従業員あるいは組織に対して、従業員表彰制度による表彰を行い、自律的な人材の更なる活躍と組織による会社への更なる貢献を推進しています。
② 社内環境の整備について
2022年10月、事業運営の効率化や中核事業会社の経営責任を明確にすることを目的に、当社は持株会社体制に移行しました。これにあわせて、今後とも持続的に企業価値を高めていくための指針となる理念体系を刷新しました。KPPグループホールディングス発足時には、新たな理念体系についてトップメッセージを発信し、理念体系ポスターを社内で掲示するなど、様々なチャネルを通じて社員への浸透を図っています。
社員の意識について、会社・仕事に対する意識・価値観・人間関係・将来ビジョン等についての満足度を可視化し、職場環境の改善や整備に活用するため、社員満足度調査を毎年行い、調査結果を社内公表してきました。設問項目は、経営理念、職場環境、ハラスメント、ダイバーシティ、コミュニケーション、評価/報酬、福利厚生、業務量、テレワーク、教育/研修、エンゲージメントと広範囲に約80問から構成されています。2022年度は持株会社体制へ年度途中での移行のため実施は見送りましたが、2023年度から社員のエンゲージメントを中心とした設問項目に見直し、当社の事業戦略と社員のエンゲージメントの相関を深めた内容へ変更し、今まで以上に人材戦略へ反映させていく予定です。
働き方において、新型コロナウィルス感染症拡大時の経験より非常時の事業継続想定を見直し、また社員の多様な働き方への対応も併せ、「テレワーク勤務実施細則」を定めて全ての社員が職場や業務状況に合わせてテレワーク勤務も可能となる就労環境を整えています。
社員の健康管理においては、心身ともに健康な状態で働き続けることができるように、全社員に年1回の定期健康診断を実施し、30歳以上の社員については生活習慣病検診を行い、検査結果に応じた健康アドバイス等を行っています。今後は、特定保健指導の実施を予定し、社員の健康管理の促進を図ります。
健康へ影響する長時間労働の対応では、管理職も含めパソコンの稼働状況に基づく勤務実態を把握、時間管理の適正化へ向けて改善指導し、健康障害発症リスク回避より産業医による面談も行っています。また、業務改善・生産性向上を通じた長時間労働削減を目指し、IT統括本部を中心とした業務改善プロジェクトによる既存業務のワークフロー化実現を推進しています。
ダイバーシティについて当社では3つの観点からなる「ダイバーシティ推進方針」を掲げ、社員の仕事と私生活の両立・性別・年齢・国籍・人種・民族・宗教・社会的身分などの違いを尊重し、社員一人ひとりが意欲的に活躍できる体制を整えています。
③ ダイバーシティの推進について
1.ワークライフバランスの向上
社員が仕事と育児・介護などの私生活を両立して就業継続しながら、よりレベルの高い仕事にチャレンジできるよう、環境を整備していきます。
2.ダイバーシティの推進
性別・年齢・職掌・障がいの有無・国籍などの区分なく、主体的なチャレンジを促進する能力開発の機会を提供し、全ての社員が最大限の活躍ができる環境を整備していきます。
3.採用の多様化
女性幹部の登用や外国人学生の採用と中途即戦力人材の採用を継続し、人材の多様化を今後も一層進めることにより、グローバル企業としての価値向上に努めてまいります。
障がい者の雇用への取り組みでは、当社は雇用環境や職域の整備を継続的に行い、法定雇用率の2.3%を上回っていますが、今後の法定雇用率改定に向けて更に努力していきます。
4.メンター制度の導入
今後の当社を支える新入社員に対しては、社員メンター制度を導入しています。学生から社会人への第一歩を踏み出し、社会、会社、仕事、生活の変化への戸惑いを覚える社員に対して、メンターとの対話を通じて、社会人としての考え方の整理を支援し、人材の定着へと導いています。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社は、当社グループのリスク管理体制の維持、向上を図るため、リスク管理委員会を設置し、リスク管理委員会規則に従い、サステナビリティ委員会委員長がリスク管理委員会委員長および副委員長を任命しております。
リスク管理委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価を行い、重点対応策を決定し、重点対応策の実行状況のモニタリングを定期的に行い、その結果についてサステナビリティ委員会へ報告を行うこととしています。
■ 当社のリスク管理体制

■ 当社のリスク管理プロセス

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
最初に、各リスク項目を影響度と発生頻度で評価したリスクマップを掲載いたします。

上記リスクのうち重要と認識しているリスクは以下のとおりです。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。また、リスクを低減するための対応を記載しておりますが、リスクを完全に回避することは困難です。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナ感染も下火となり、政府による入国時の水際対策の緩和や旅行支援などもあり、漸く、景気に回復の兆しが見え始めてきましたが、その一方で、原燃料価格の高騰によるコストプッシュ型インフレの進行や、深刻な人手不足が新たな課題となっています。
世界経済においても欧米を中心に金融引き締めや高インフレによるリセッションによって、需要に陰りが見え始め、中国もゼロコロナ政策の後遺症で経済の停滞が続いています。以上の環境下、当社グループでは価格政策とM&Aによるパッケージ事業の拡大などによって国内、海外共に業績を伸ばすことが出来ました。
このような状況下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高6,596億56百万円(前年同期比17.1%増)、営業利益は204億1百万円(前年同期比117.5%増)、経常利益は184億4百万円(前年同期比108.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、157億22百万円(前年同期比109.7%増)となりました。
当連結会計年度の業績については、以下のとおりです。
報告セグメントごとの業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメント区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
<北東アジア>
<日本>
紙分野では、情報媒体のデジタル化が加速し、グラフィック用紙の減少に歯止めがかからず、数量は前年を下回りましたが、二次から三次に亘る価格修正によって増収となりました。
板紙分野は、段ボール原紙は飲料用包装資材向けの販売は堅調に推移したものの、輸出の減少やインフレによる消費の減退もあり、通年での販売数量は前年を下回りました。紙器用板紙はインバウンド需要を期待しましたが、回復は限定的であり、販売数量は前年を下回りました。
製紙原料分野では、国内の古紙発生量が減少する中、回収手段の多様化を図り、販売数量・売上高共に大きく伸長しました。市販パルプは、国内家庭紙メーカー向けの需要が減少し、数量は前年を下回ったものの、販売単価の上昇によって売上高は前年を大きく上回りました。
<中国>
2022年12月上旬まで続いたゼロコロナ政策による経済停滞、及びその後の感染爆発による社会混乱の影響を受け、販売数量・売上高いずれも前年を下回りました。また、景気の後退や、需給バランスの悪化に伴い、年度の後半は紙の市況が大幅に下落し、利益においても前年を大幅に下回りました。
この結果、北東アジア事業の売上高は3,054億61百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益は34億32百万円(前年同期比1.3%減)となりました。
<欧州/南米>
欧州事業は、コンテナ不足や大手製紙メーカーのストライキなどが重なり、年央まで需給がタイトな状況が続きました。また、原燃料高騰による数次の価格修正も加わり、特にペーパー事業の業績は大きく改善しました。パッケージ事業においても、需要の回復と、M&Aによる事業規模拡大によって前年を上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業も、各種イベントや車両グラフィックの需要が活発となり、業績は堅調に推移しました。ラテンアメリカはパッケージ事業を中心に底堅く堅調でした。
この結果、欧州/南米事業の売上高は3,037億9百万円(前年同期比28.5%増)、セグメント利益は164億53百万円(前年同期比176.0%増)となりました。
<アジアパシフィック>
<オセアニア>
ANZ市場(豪州・ニュージーランド)については、コロナ禍からの回復に加え、原燃料価格の高騰による価格上昇基調が続きました。また、これまで行ってきたM&Aによる事業規模拡大の効果もあり、増収・増益となりました。
<東南アジア>
アセアン地域では、依然として経済が完全回復には至っていないものの、事業再構築の効果により損益面では改善が進みました。また、シンガポールにおけるビジュアルコミュニケーション事業の投資案件が業績に貢献し、売上高は前年を上回りました。
この結果、アジアパシフィック事業の売上高は49,269百万円(前年同期比28.3%増)、セグメント利益は2,186百万円(前年同期比77.2%増)となりました。
<不動産賃貸事業>
全国主要都市のオフィスビル市場は、新型コロナウイルス感染拡大以降上昇基調にあった平均空室率は緩やかに改善しつつあるものの、新築ビルの竣工を控え、先行きは不透明な状況にあります。また、賃料相場については、テナント確保のための賃料調整などから弱含みで推移しております。
当社グループにおきましては、一部テナントビルの管理体系見直しによる増収があったものの、賃貸駐車場の再開発やKPP八重洲ビルの入居者入れ替えによる空室期間の発生などから賃料収入が減少し、前年比で減収・減益となりました。
この結果、不動産賃貸事業の売上高は12億16百万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は1億15百万円(同34.3%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前当期純利益及び社債の発行で獲得した資金を、棚卸資産の取得及び固定資産の取得に充当したことで、前連結会計年度末比80億68百万円増加し、306億99百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は103億8百万円(前期は48億21百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の獲得及び減価償却費の計上、棚卸資産の取得によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は85億30百万円(前期は26億78百万円の使用)となりました。これは主に、固定資産の取得及び子会社株式の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は42億5百万円(前期は118億3百万円の使用)となりました。これは主に、社債の発行、リース債務の返済によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(参考情報)
当社グループの品種別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.賃貸収入は「その他」に含まれております。
(2) 経営者の視点による認識及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
欧米を中心に金融引き締めや高インフレによるリセッションによって、需要に陰りが見え始め、中国もゼロコロナ政策の後遺症で経済の停滞が続いており、世界経済の成長は鈍化しております。
このような状況下、当社グループは長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に則り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載のとおり、対処すべき課題に対応してまいります。
(b) 北東アジアセグメントについて
当連結会計年度における、北東アジアセグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
<日本>
2024年3月期の日本国内市場においては、ウィズコロナ政策が継続する中、更なるインバウンド需要の回復が見込まれ、個人消費マインドの高まりが期待されるものの、各種消費財の値上がりや賃金上昇の抑制などにより、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くものと考えられます。ペーパー事業、特にグラフィック用紙は需要の減少を見込む中、販売価格の維持を想定しており一定の利益は確保するものの、昨年発生した在庫販売における一過性の利益は消失する想定をしております。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、日本での事業拡大を目指す所存です。
[国内基本戦略]
古紙などの再生資源を供給するマテリアルリサイクルとバイオマス発電所運転支援等によって再生エネルギーを供給するサーキュラーエコノミーを推進。
各中核事業会社での利益最大化と収益改善のため、戦略的アライアンスを推進し、グループシナジーを創出。
「王子ファイバー」「アミカテラ」が手掛ける新たな製品やサービスの研究、業務提携、出資等を積極的に推進。紙の緩衝材ソリューションを提供するRanpakと販売代理店契約を締結し、環境商品の拡販に向けた取り組みを実施。
ペーパー&ボードは販売シェアと利益を確実に確保しつつ、Eコマースを中心としたマーケティング手法の見直しにより販売を拡大。
<中国>
中国については、ゼロコロナ政策による経済停滞の影響により、販売数量・売上高共に前年を下回りました。また、景気後退と需給バランスの悪化に伴い、2023年度3月期後半には紙の市況が大幅に低下し、利益も前年を大幅に下回りました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、中国での事業拡大を目指す所存です。
[中国基本戦略]
1.メーカーとの戦略的提携強化による差別化戦略。それに伴うシェア拡大。
2.経営合理化による競争力強化。利益率の向上。
(c) 欧州/南米セグメントについて
当連結会計年度における、欧州/南米セグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
2023年3月期の欧州/南米市場については、欧州事業は、コロナ禍からの物流網の混乱に伴うコンテナ不足や大手製紙メーカーのストライキなどが重なり、年央まで需給がタイトな状況が続きました。このような中、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した原燃料高騰に伴う数次の価格修正も加わり、特にペーパー事業の業績は大きく改善しました。パッケージ事業においても、プラスチック系包装材から繊維系包装材への移行が進んでおり、需要の回復とM&Aによる事業規模拡大によって業績は前年を上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業も、各種イベントや車両グラフィックの需要が活発となり、業績は堅調に推移しました。ラテンアメリカは、パッケージが非常に堅調に推移するとともに、チリに於いてビジネスが大きく伸長しました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、欧州/南米での事業拡大を目指す所存です。
[欧州/南米基本戦略]
1.ペーパー&ボード事業の拡充
ペーパー&ボードは域内№1を堅持し、増収・増益を確保する。
2.インオーガニック・グロース
パッケージ事業やビジュアルコミュニケーション事業などの成長分野においてカスタマイズソリューション機能を提供する企業を買収し、Antalisの製品及びサービスを強化することで、市場での存在感を向上させる。
3.Eコマース事業の推進
3つの事業すべてにおいて、Eコマースを強力に推進し、利益率の更なる向上を目指す。
(d) アジアパシフィックセグメントについて
当連結会計年度における、アジアパシフィックセグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
2023年3月期のアジアパシフィック市場については、ANZ市場(豪州・ニュージーランド)については、コロナ禍からの回復に加え、原燃料価格の高騰による価格上昇基調が続きました。インフレの影響による物流・在庫関連費用の増加はあったものの、これまで行ってきたM&Aによる事業規模拡大の効果もあり、増収・増益となりました。アセアン地域では、依然として経済が完全回復には至っていないものの、事業再構築の効果により損益面では改善が進みました。タイ・マレーシアが比較的堅調であったことに加え、シンガポールにおけるビジュアルコミュニケーション事業の投資案件が業績に貢献し、売上高は前年を上回りました。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、アジアパシフィックでの事業拡大を目指す所存です。
[アジアパシフィック基本戦略]
1.ペーパー&ボード事業の強化
ペーパー&ボード事業は域内シェアを維持する。
(e) 不動産賃貸事業について
当連結会計年度における、不動産賃貸事業の業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
当該事業セグメントにつきましては、所有不動産の有効活用による安定的な収益獲得を基本方針としております。所有不動産につきましては、物件ごとの将来性を勘案した上で再開発や修繕等の投資判断を行い、安定的な収益獲得に努めてまいります。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、3,306億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ399億55百万円増加しました。これは主に、商品及び製品の増加、現金及び預金の増加によるものであります。
負債は、2,628億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ285億21百万円増加しました。これは主に、短期借入金の増加、社債の増加によるものであります。
純資産は、678億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億33百万円増加し、自己資本比率は20.5%となり、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益、為替換算調整勘定の増加によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当社グループは、長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づく第3次中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進中ですが、事業で創出される営業キャッシュ・フローにつきましては、成長投資と株主還元に、適正に配分していく所存です。
成長投資への支出につきましては、海外事業の拡大と事業ポートフォリオの多角化を目的としております。今後も海外投資を中心に、投資先の事業内容、投資時点の当社グループの財政状態及び資金需要を勘案し、適切に判断してまいります。
株主還元への支出につきましては、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと認識し、安定的かつ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針としております。
なお、現在当社グループにおいて重要な資金繰りの懸念はございません。当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は、国内で111億38百万円、海外で195億60百万円となっており、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保しております。また、予定されている資金支出につきましても、資金調達の目途は立っております。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しているとおりです。
当社は、2022年5月25日開催の取締役会において、当社の紙パルプ等卸売事業に関して有する権利義務を、2022年4月1日に設立した当社100%子会社である「国際紙パルプ商事分割準備株式会社」(以下、「分割準備会社」という。)に承継させる決議を行い、分割準備会社との間で吸収分割に係る吸収分割契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。
該当事項はありません。