当社は、グループ社員全員が共有し、共通の価値観としてすべての活動の基本となる考え方として「KPP GROUP WAY」を定めています。「KPP GROUP WAY」は「経営理念」「グループ企業行動指標」「経営ビジョン」の3層から形成され、当社のミッション、行動指標、経営ビジョンを表しています。

中でも、長期経営ビジョンとしてGIFT+1(ギフトプラスワン)を掲げ、+1(プラスワン)は環境貢献・ESG経営の推進に留まらず、環境関連商品の開発・販売、資源循環型ビジネスの構築・提案、従業員やその家族などのステークホルダーに対する啓蒙活動など、GIFTそれぞれの要素に「環境」を付加した活動を強力に推進するものです。
この経営ビジョンの下、株主、顧客、取引先、社会、世界へ貢献するとともに、経営内容の積極的開示を進め、開かれた会社として成長していく所存であります。
紙パルプ産業の国内市場においては、IT技術の進化によってデジタル社会が出現し、紙の需要がいわゆるグラフィック系(新聞出版や商業印刷用途)からパッケージ系(包装資材用途)へと変化する傾向が強くなってきております。また、海外市場では、新興国を中心に家庭紙、衛生紙市場の拡大でパルプ需要が増大している他、包装資材用途の板紙製造設備が東南アジアを中心に稼働し、その原料である古紙の需要が高まってきております。一方、先進諸国では国内市場と同様にグラフィック系用紙の需要が減速する一方で、パッケージ系用紙の需要は堅調に推移しております。また、海洋プラスチック汚染が世界規模の問題となり、石油由来のプラスチック製品に厳しい目が向けられるようになっているため、持続的な成長という観点からバイオマス由来の紙資源が注目されており、石油由来のプラスチックからバイオマス由来の紙への製品シフトが見られるようになってきております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による業績への影響についてですが、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大と終息時期見通しが不透明である中、当社主力事業である紙パルプ等卸売事業に対するマイナス要因の拡大が見られます。国内市場においては、2月より各取引に影響が出始めていましたが、緊急事態宣言の発令後は休校、外出自粛、リモートワーク拡大などを受け、チラシ用途を中心とした印刷用紙の需要が減少いたしました。一方、一部の包装資材は食品向け等が巣ごもり需要によって一時的に増加し、パッケージ事業・化成品事業は堅調に推移しております。海外市場においては、足元では取引契約の見送り・先送りや、各国における感染拡大防止対策による需要の減退が表面化し、4~6月にかけて本格的にマイナスの影響が出てくる見込みです。
このような状況下、当社は経営ビジョン「GIFT+1」の達成に向け、以下を課題として取り組んでまいります。
長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』を経営戦略の最重要課題として海外事業の拡大に取り組んでおります。また、当社の主力商品である印刷・情報用紙の需要は先進諸国を中心に依然として低迷が続いており、新たな事業領域拡大によるポートフォリオ改革は喫緊の課題となっております。2019年度にSpicers Limitedを完全子会社化したのに続き、2020年度には欧州を中心に南米、ASEAN、中国などでグローバル展開を推進している世界有数の紙商Antalis S.A.の子会社化を予定しております。当社の海外M&A戦略は、紙・板紙事業の世界シェアの拡大と同時に、成長力と収益率の高いパッケージング事業及びサイネージ&ビジュアルコミュニケーション事業への進出にあります。そして、Spicers LimitedとAntalis S.A.の両社は、この部門におけるリーディングカンパニーでもあります。
② 環境対応素材の拡販
SDGsの国連決議を背景にプラスティック・フリーの潮流が世界中に広がっており、バイオマス由来のパッケージ需要の取り込みが加速しています。このような状況下、当社グループでは経済産業省主催の「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」や環境省主催の「プラスティック・スマート・フォーラム」に参画し、脱プラ関連需要への取組みを強化しております。また、官民合わせた環境負荷低減の動きが加速しており、このような国内外の動きを受けて、当社グループでも「KPP Green Biz Project」を社内横断的に立ち上げ、「紙化」「減プラ」「バイオプラスティック」など多様な観点から、代替の素材や製品の開発、流通に取り組んでまいります。
③ コーポレート・ガバナンスの充実
ステークホルダーからの負託に応え、その持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスを経営の重要課題と考えております。当社グループの経営理念の一つである「循環型社会の実現」に向けた総合循環型事業の推進など、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の視点を取り入れた取り組みを進めております。当社グループがESGの重要課題に対し積極的かつ能動的に対応していくことによって、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
当社は、2014年から取り組んでまいりました基幹システムの開発を中止し、新たなシステムベンダーを選定のうえ再構築することを決定いたしました。基幹システムの開発中止は、社内で適切なプロセスを踏むとともに、社外の専門家と開発継続の当否について協議を重ね決断したものであります。この決断を有意義なものにするために、昨今の激しい市場環境の変化や度重なる法改正の中、当社のグローバル展開と財務基盤の強化に向けた新システムを構築し、業務プロセスの効率化にも取り組んでまいります。
当社グループは、従業員とその家族の健康、そしてお取引先様の安全・安心を最優先するため、対策委員会を設置し、テレワークによる在宅勤務、時差出勤、マスクの着用、消毒液の設置に加えて3密回避などあらゆる角度から感染拡大防止の施策を講じております。また、新型コロナウイルス感染終息後においても、勤務体制や営業活動を継続検討課題とするとともに、事業の持続的成長に向けた対応を確実に進めてまいります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、商品を販売する活動において、さまざまな価格変動リスクを負っています。当社の業績に影響を及ぼす主な商品分野としては、次のものがあげられます。
当社グループの主要な取扱商品である紙、板紙等の製品仕入価格は、原材料であるパルプ、チップ、古紙等の世界的な需要及び原油等の燃料価格の動向の影響を受けることから、それらの価格が大きく上昇した場合には、製品の仕入価格に影響を与えます。当社グループでは、適正な利潤を確保するため、販売先との価格交渉を継続的に行っておりますが、販売価格への転嫁の状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要な取扱商品である古紙の販売価格は、中国を始めとした世界の主要な古紙消費国の輸入量により、大きく価格が変動いたします。特に、中国において環境問題により始まった古紙輸入規制が輸出価格の大幅な下落を招き、当連結会計年度の業績に大きく影響しております。当該リスクへの対応といたしましては、日本国内のみならず、世界中の古紙需要先を対象として、特に今後需要の増加が見込まれる東南アジア諸国を中心に、販路の拡大に努める所存ですが、短期間での大幅な価格下落の場合、完全には回避できない可能性があります。
紙、板紙等の原材料であるパルプにつきましては、当社の主要な取扱商品でもありますが、世界的な市況商品であるため、販売価格及び仕入価格が市況に応じて変動いたします。2019年におきましては、2018年来高止まりを続けてきた価格が、需給バランスの悪化により大幅に下落し、当社業績に大きく影響いたしました。当該リスクへの対応といたしましては、仕入成約時の販売価格決定や、在庫の低減などを行ってまいりますが、短期間での大幅な価格下落の場合、完全には回避できない可能性があります。
当社の主要株主である王子ホールディングス株式会社及び日本製紙株式会社のグループ会社は、当社グループの主要商品である紙及び板紙を仕入れている主要仕入先であります。当連結会計年度における2社グループからの仕入金額合計は総仕入金額の44.2%になります。
当社は現在、両社と代理店指定に係る基本契約書を締結しており、今後も取引の継続的な拡大を図っていく方針でありますが、天災及び何かしらの影響により、両社グループから当社への商品供給に著しい支障が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。2011年3月の東日本大震災では、両社のグループの製造工場に甚大な被害をもたらしましたが、震災後の商品供給等の面において、当社の業績に大きく影響を及ぼした他、製造工場にて発生する火災事故などでも、少なからず影響することがあります。
当該リスクにつきましては、両社グループ以外の仕入先を国内外問わず開拓して仕入ソースを確保するとともに、海外事業の拡大により国内取引への依存度を下げ、事業ポートフォリオの改革の推進による新たな事業領域により紙及び板紙販売の事業比率を下げていくことで、対応をしてまいります。
当社グループにおける営業取引においては、売掛金及び受取手形などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに与信限度額を定めて取引先との取引額を管理する他、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの取り付けを行っております。
国内拠点紙パルプ等卸売事業においては、取引先を個別に管理して、取引額が大幅に増加する際は、与信限度額の見直しを行う他、信用悪化が懸念される取引先に対しては、定期的に与信限度額の見直しを実施しております。
また、当社グループの海外拠点紙パルプ等卸売事業においては、与信リスクにカントリーリスクの発生も相まって、より高いリスクを有していると認識しております。そのため、定期的に全海外拠点を対象とした与信限度額の見直しを実施し、取引先個別管理を徹底するとともに、回収不能の未然防止対策として規程、マニュアル等を整備し、当該規程等に基づいた審査を定期的に実施して、信用リスク回避に努めております。なお、海外拠点紙パルプ等卸売事業のアジア地区における当社グループの主要な販売先である、香港証券取引所に上場する森信紙業集團有限公司(Samson Paper Holdings Ltd.以下「サムソンペーパーホールディングスグループ」という。)について、海外拠点紙パルプ等卸売事業における売上債権額合計に占める、サムソンペーパーホールディングスグループの割合が高く、同社グループに対する当連結会計年度末の売掛金残高は189億43百万円となっております。
上記の通り、信用リスク回避のための施策を講じておりますが、信用リスクを完全に回避することはできません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
中国への投資について、中国には持分法を適用する製造会社2社を有しております。中でも、サムソンペーパーホールディングスグループとの合弁で段ボール原紙の製造及び販売をおこなっているMISSION SKY GROUP LIMITEDグループへの当連結会計年度末における持分法による投資額は33億85百万円であり、そのうちのれん額は9億35百万円となります。中国投資事業につきましては、社内で管理レポートラインを作り、主管部門が四半期ごとに経営成績や投資計画の進捗状況をモニタリングしております。事業環境の急変などにより、予期せぬ状況変化で事業計画からの大幅な乖離が生じ、持分法適用会社に損失が発生した場合は、当社の持分比率に応じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
豪州への投資について、2019年7月にSpicers Limitedの全株式を取得いたしました。取得にかかる総額は71億9百万円で、当連結会計年度末現在19億27百万円ののれん額が計上されております。当該のれんの額につきましては、将来のシナジー効果が発揮されることによる収益力を適切に反映しているものと考えておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合は減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アジア、豪州、米州等を中心に世界各国における販売を行っており、当連結会計年度における海外拠点紙パルプ等卸売事業は連結売上高の23.5%を占めておりますが、これらの国々においては、法改正や人件費高騰、外交問題等の要因により、事業活動に制約が生じる可能性があります。
また、紙・パルプ市場は、事業展開を行っている国または地域の景気動向や消費動向等に大きく影響を受け、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。当社グループでは、海外拠点紙パルプ等卸売事業における売掛金に係る保険の付保などのリスクヘッジ策の実行や、(3)信用リスクに記載する与信管理の実施、当該国における情報収集の徹底等により、これらのリスクを最小限に止めることに努めております。しかしながら、こうした管理やヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難であり、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替レートの変動リスク
当社グループの事業セグメントである海外拠点紙パルプ等卸売事業では、アジア、豪州、米州等を中心に世界各国における販売を行っており、当連結会計年度における海外拠点紙パルプ等卸売事業の売上高は連結売上高の23.5%となっております。連結財務諸表の作成に際しては、各国における現地通貨建ての売上高、費用等を円換算しておりますが、外国通貨に対して円高が進むと連結当期純利益にマイナスのインパクトを与えます。
また、当社グループでは、日本からの紙、板紙、古紙等の輸出販売も行っており、これらの商品の海外での価格競争力は為替レートの変動による影響を受けます。当社グループは、為替予約取引等により、為替レートの変動による影響を最小限に止めることに努めております。しかしながら、為替レートが当社グループの想定を超えて変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、運転資金等の調達は金融機関からの借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行を中心に行っております。当社グループでは、長期借入金(固定金利)による調達、金利スワップ等を取り入れ、金利変動による影響を最小限に止めることに努めておりますが、当社グループの想定を超えて金利変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における借入金及びコマーシャル・ペーパーの残高は478億8百万円であり、総資産に対する割合は25.3%であります。
当社グループが保有する株式は、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関等、業務上密接な関係にある企業の株式が大半でありますが、株式市況の動向及び当該企業の業績等によって当該株式の価格に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。所有株式につきましては、2019年7月1日に当社ホームページにてご報告しております「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の『コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示』における[原則1-4 政策保有株式]に、その所有に関する方針を記載しておりますが、適宜適切に売却を進めることで、当該リスクの低減に努める所存です。
当社グループでは、確定給付年金制度、退職一時金制度及び確定拠出年金制度を採用しており、これに伴う退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。また、年金資産の一部には株式信託を採用しております。従いまして、割引率の低下や運用利回りの悪化、信託した株式の時価の低下が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対しましては、年金資産の見直し等を定期的に行い、安全性の高い資産の割合を増やすなどの検討をしてまいります。
当社グループは、収益基盤の安定化を目的とし、所有不動産を活用した不動産賃貸事業に取り組んでおります。しかしながら、不動産市況に変動が生じ、所有する不動産価格や賃貸料が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における総資産に対する賃貸不動産の比率は8.4%であります。
当社グループは、事業ポートフォリオの改革、事業機会の拡大を図っていくため、研究開発活動を進めておりますが、2018年9月より開始した、バイオマス発電所運転支援システムの開発(サービス名称BMecomo)につきましては、当連結会計年度末までに3億11百万円の開発費用を拠出しております。この研究開発活動において、期待された効果が得られない、事業環境の変化による案件からの撤退等、何らかの状況変化により拠出した資金を回収できないリスクを負っています。これらのリスクの管理については、投資委員会を開催し投資の採算性について十分な審議を行った上で、定期的に開発状況や計画の進捗等を確認し、事業環境の調査・情報収集を徹底すると共に、取締役会等でモニタリングすることとしております。
当社グループは、従業員とその家族の健康、そしてお取引先様の安全・安心を最優先するため対策委員会を設置し、テレワークによる在宅勤務、時差出勤、マスクの着用、消毒液の設置に加えて3密回避などあらゆる角度から感染拡大防止の施策を講じております。また、新型コロナウイルス感染終息後においても、勤務体制や営業活動を継続検討課題とするとともに、事業の持続的成長に向けた対応を確実に進めてまいります。
また、世界的なさらなる感染拡大等、想定を超えるような事態が発生した場合には、販売減少や信用リスクの増大、回収遅延・不能債権の発生など、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における我が国経済は、好調に推移してきたインバウンド需要は年度後半にかけて減速し、大型台風による自然災害と消費税増税後の消費の落ち込みの影響により、景気は後退しました。世界経済は、米国では、堅調な雇用・所得環境を背景に個人消費と住宅投資が寄与しプラス成長となりました。中国では、債務圧縮(デレバレッジ)と米中対立により経済成長率は鈍化しましたが、依然として6%台と高い成長率を維持しました。欧州では、英国のEU離脱が正式に決まり今後の世界経済に与える影響が懸念されています。更に、世界経済及び我が国経済において、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、3月より急速に景気が悪化してまいりましたが、当連結会計年度において当社グループに与える影響は軽微でした。
当社の主要事業である、紙パルプ等卸売事業における市場環境について、国内市場においては、市場の成熟化で紙パルプ市場は減速し、電子媒体シフトによるグラフィック用紙の需要が縮小しているものの、EC市場の伸長に伴うパッケージング用紙の需要は増加しております。海外市場においては、新興国中心に家庭紙、衛生紙市場の拡大でパルプ需要が増大し、先進諸国ではグラフィック用途の用紙需要は減速する一方でパッケージ用途、ビジュアル・コミュニケーション用途の用紙需要は拡大しております。
このような状況下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は古紙・パルプの市況下落による減収が響き、前連結会計年度に比べ微減となりました。営業損益においては、売上総利益は当連結会計年度に取得したSpicers Limitedの買収効果により、前年比で増益となったものの、一般管理費の増加により、営業利益・経常利益は減益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、社内基幹システムの開発中止に伴い、固定資産の減損損失を計上した結果、前年比でマイナスとなっております。
当連結会計年度の業績については、以下の通りです。
事業別セグメントの業績は次の通りです。
<国内拠点紙パルプ等卸売事業>
紙分野では、雑誌の電子化やチラシ・カタログ等の紙媒体離れの加速により、数量、売上高共に前年割れとなりました。さらに板紙分野においても、国内は飲料用包装資材向けの段ボール原紙などは好調に推移しましたが、米国-中国間の通商問題によるアジア各国への輸出の減少と、主に土産用菓子箱などに使用される白板紙の販売不振により、数量、売上高共に前年割れとなりました。製紙原料分野では、古紙は中国の需要減もあり輸出も不調であったことに加え、市況の低迷と中国の在庫調整が加わり、数量、売上高共に前年割れとなりました。パルプは、高値圏で推移していた市況の下落により、数量、売上高は共に前年割れとなりました。
<海外拠点紙パルプ等卸売事業>
米国では、段原紙の輸出は振るいませんでしたが、輸入塗工紙の販売が好調に推移し、さらに古紙の輸出も開始した結果、全体としては、売上高は前年比で増加となりました。東南アジアでは、市況の低迷、需要の減少に加え、販売先の絞り込みに伴う販売数量減などにより、売上高は前年割れとなりました。東アジアでは、香港は塗工紙、板紙の販売増加に加え、段ボール原紙の輸入販売が増加したことにより売上高は前年比で増加となりました。中国は前年後半からの米中貿易摩擦の影響による市況の軟化傾向が続く中、上質紙、塗工紙で数量を大きく増加させたことにより売上高は前年比で若干増加となりました。豪州では、Spicers Limitedの買収に伴い、数量、売上高ともに前年比で大幅に増加となりました。
<不動産賃貸事業>
全国主要都市のオフィスビル市場は、既存ビルにおいては拡張移転や館内増床などでオフィス需要が継続し、新築ビルにおいても多くが高稼働となった事から、平均空室率は低い水準で推移し、賃料相場の上昇基調が強まりました。こうした状況下、当社グループは主力の「KPP八重洲ビル」を中心に高稼働率を維持すると共に、賃料改定などにより、賃料収入は増収となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前当期純利益、売上債権の減少及び長期借入による収入等で獲得した資金を、子会社株式の取得、自己株式の取得及び新型コロナウイルスによる不足の事態への備え等に充当した結果、前連結会計年度末比49億36百万円増加し、77億75百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は49億5百万円(前年同期は42億17百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の獲得、売上減による売上債権の減少及びたな卸資産の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金はは54億円(前年同期は11億30百万円の獲得)となりました。主な要因としては、2020年7月の豪州Spicers Limited社の株式取得によるもの及び資金を有効に活用するための不動産の売却収入であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは55億4百万円で、前期に比べ121億27百万円の増加(前年同期は66億23百万円の使用)となりました。主な要因としては、短期借入金、コマーシャル・ペーパー及び豪州Spicers Limited社取得のための長期借入金等の有利子負債の増加によるものであります。また、株主還元の強化および資本効率向上を図るため自己株式の取得も行っております。
③ 仕入及び販売の実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(参考情報)
当社グループの品種別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.賃貸収入は「その他」に含まれております。
提出会社の商品販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記の金額には、賃貸収入は含まれておりません。
提出会社の用途別販売実績は以下のとおりであります。
(注) 1.用途の分類は当社独自の基準によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記の金額には、賃貸収入は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による業績への影響について、日本国内での取引においては2月より取引に影響が出始め、海外取引では4月以降、本格的なマイナスの影響が発生しております。よって、当連結会計年度における業績への影響は軽微でしたが、今後の事業に対しては感染が終息するまでの間大きな影響が出ると想定されております。新型コロナウイルス感染症の世界的拡大と終息時期の見通しが不透明な中、当社主力事業である紙パルプ等卸売事業に対するマイナス要因は避けられない見通しです。その一方で、パッケージ事業・化成品事業は、一時的に堅調な動きを見せております。このような状況下、当社グループは長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に則り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載の通り、対処すべき課題に対応してまいります。
当連結会計年度における、国内紙パルプ等卸売事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づき、対処すべき課題として包装事業の拡大に取り組んでまいりましたが、インバウンド需要の縮小等の要因により、提出会社の板紙販売実績は前年を下回る結果となりました。また、海洋プラスチック汚染問題から発した脱プラスチックの流れに伴う紙化への動きを始めとした、脱プラ関連需要の取り込みにおいては、社内横断的に立ち上げした「KPP Green Biz Project」を中心に環境対応製品の販売に取り組み、一定の販売実績を上げておりますが、まだ当事業セグメントの業績を大きく伸ばす要因には成り得ておりません。しかしながら、EC市場の伸長に伴うパッケージング用紙の需要は、引き続き堅調に推移している他、脱プラ関連需要も確実に拡大していることから、今後も包装資材事業の拡大に取り組んでまいります。
また、新規事業の立ち上げと育成に関する課題につきましては、バイオマス発電所運転支援システムBMecomoが、2019年10月に実証運転を開始し、2020年4月より本格稼働する運びとなりました。当連結会計年度の業績には影響がありませんでしたが、今後、事業ポートフォリオ改革の一環として、事業を推進してまいります。
国内市場における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、2月より各取引に影響が出始め、緊急事態宣言の発令後は休校、外出自粛、リモートワーク拡大などを受け、チラシ用途を中心とした印刷用紙の需要が減少する一方、板紙やフィルム等一部の包装資材は、食品向け等の巣ごもり需要によって一時的に販売が増加するなどの動きがありましたが、依然として景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
また、国内の紙パルプ市場においては、グラフィック用途の用紙需要は前年に引き続き減退し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は更なる市場縮小を招き、来年度以降にも影響を与えるものとなることと認識しております。段ボール原紙等のパッケージ用途の用紙需要については、前年より需要は横ばいの状況が継続しておりますが、輸出急減による包装資材等の需要減など、新型コロナウイルス感染症の影響は一時的に発生するものの、EC市場の伸長に伴うパッケージング用紙の需要増加などで、横ばいの状況が継続すると認識しております。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、国内紙パルプ等卸売事業の拡大を目指す所存です。
[国内基本戦略]
内部経営資源(オーガニック)による成長
紙・板紙卸売事業、古紙・パルプ販売事業の収益体質強化
製紙原料事業の拡大(パルプ製品の多様化と古紙のリサイクル事業推進)
環境配慮型素材や製品の開発・販売
バイオマス発電所運転支援システムの展開
(c) 海外紙パルプ等卸売事業について
当連結会計年度における、海外紙パルプ等卸売事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づく経営方針である海外事業の拡大を推進をしております。当連結会計年度につきましては、2019年7月にSpicers Limitedの完全子会社化が完了し、売上高で179億72百万円、営業利益では1億74百万円と当社グループの業績拡大に大きく貢献いたしました。なお、当該営業利益には、Spicers Limitedを取得した際に発生したのれんの償却費を含んでおります。
また、2021年3月期には、Antalis S.A.の子会社化を予定しており、更なる拡大を目指しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、海外市場においても大きく影響を及ぼしておりますが、当社グループにつきまして、海外は影響前に成約していた取引も多く、1~3月の業績は堅調となっております。足元では取引契約の見送り・先送りや、各国における感染拡大防止対策による需要の減退が表面化し、4~6月にかけて本格的にマイナスの影響が出てくる見込みです。世界的には感染拡大の終息時期が見えておらず、国内市場と同様、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
海外の紙パルプ市場におきましては、下図の通り、紙・板紙の一人当たり年間使用量が増加する予想をしていることから、成長市場との認識をしております。

また、特に新興国では家庭紙、衛生紙市場の拡大でパルプ需要が増大すると見込んでおり、先進諸国ではグラフィック用途の減速の一方でパッケージ用途、ビジュアル・コミュニケーション(サイン&ディスプレイ等)用途が拡大するなど、地域によって異なるニーズがあると分析しております。
この見通しにつきましては、短期的には新型コロナウィルスの感染拡大で減速・混乱することが予想されますが、中長期的には継続するものと認識しております。
このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、海外紙パルプ等卸売事業の拡大を目指す所存です。
[海外基本戦略]
外部経営資源の獲得(インオーガニック)による事業領域の拡大
海外紙卸商の買収(豪Spicers Limited・仏Antalis S.A.(予定))など
ハイブリッド型ビジネスモデル(※)の展開
※ハイブリッド型ビジネスモデル

(d) 不動産賃貸事業について
当連結会計年度における、不動産賃貸事業の業績については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通りです。
当該事業セグメントにつきましては、当連結会計年度は前連結会計年度と比較して増収減益となりましたが、その金額は僅少でありほぼ横ばいの結果となりました。賃貸物件の安定稼働を重視しており、資産価値を維持するための修繕等を計画的に実施しております。
今後も引き続き、現有物件の安定稼働とローコストでの運用を心掛け、安定した収益を確保する事業として推進してまいります。
② 財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、1,893億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億92百万円減少しました。これは主に、Spicers Limitedの買収による資産の増加を、売上債権の減少、売却または時価評価による投資有価証券の減少、減損によるソフトウェアの減少が上回ったことによるものです。
なお、当連結会計年度末現在の手許現預金残高は、新型コロナウイルス感染症の拡大による不測の事態への備えとして、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保しております。
当連結会計年度末の負債は、1,420億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億55百万円増加しました。これは主に、仕入債務の減少を、Spicers Limitedの買収による負債の増加と買収資金の調達による借入金の増加が上回ったことによるものです。
当連結会計年度末の純資産は、472億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億48百万円減少しました。これは主に、当連結会計年度に獲得した利益による利益剰余金の増加を、投資有価証券の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金の減少、自己株式の取得に伴う株主資本の減少が上回ったことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当社グループは、長期経営ビジョン『GIFT+1 2024』に基づく第二次中期経営計画(2019年度~2021年度)を推進中ですが、事業で創出される営業キャッシュ・フローにつきましては、成長投資と株主還元に、適正に配分していく所存です。
成長投資への支出につきましては、海外事業の拡大と事業ポートフォリオの多角化を目的とし、仏Antalis S.A.を2020年7月に取得予定です。今後も海外投資を中心に、投資先の事業内容、投資時点の当社グループの財政状態及び資金需要を勘案し、適切に判断してまいります。
株主還元への支出につきましては、株主への還元を充実させていくことを心掛けるとともに、収益の確保に不可欠な設備投資、研究開発等に必要な内部資金の確保をした上で、今後の事業展開等を総合的に勘案し、配当を実施することを基本としております。原則として、配当性向30%以上を目処に、安定的・継続的な利益還元に努めていくこととしております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内外で当社グループの業績への影響が出ておりますが、重要な資金繰りの懸念はございません。当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は、国内で43億18百万円、海外で34億56百万円となっており、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保致しました。また、重大な売上債権の回収遅延等も発生しておらず、予定されている資金支出につきましても、資金調達の目途は立っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、キャッシュ・フローの配分に関する方針に変更はございません。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び追加情報」に記載しているとおりです。
当社は、2020年3月30日開催の取締役会において、Sequana S.A.(所在国:フランス・パリ、ナンテール商事裁判所において破産手続中 以下、「Sequana」という)及びBpifrance Participations(所在国:フランス・パリ、以下、「Bpifrance」という)が所有する紙・板紙等の卸売事業を営む会社であるAntalis S.A.(所在地:フランス・パリ、ユーロネクスト証券取引所上場 以下、「Antalis」という)の普通株式59,460,094株(Sequana保有株式:53,395,148株(議決権所有割合:82.5%)、Bpifrance保有株式:6,064,946株(議決権所有割合:8.5%))を取得(以下Sequana及びBpifranceからの普通株式の取得を総称し、「本件取引」という)し、子会社化することについて決議し、3月31日付でSequanaとの間で株式譲渡予約契約を締結し、Bpifranceとの間で株式譲渡契約を締結いたしました。
その後、フランスにおけるAntalisによる従業員代表との必要な手続きや裁判所による本件取引に対する承認を含む関係法令上の手続きが完了し、Sequanaとの間で締結した株式譲渡予約契約は実行されました。上述の諸条件が整ったことに伴い、5月19日付で当社はSequanaと株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループは、国内拠点紙パルプ等卸売事業において、将来の事業領域拡大と収益基盤の多様化を目指し、以下の研究開発を進めております。
2018年9月の取締役会においてバイオマス発電所運転支援システム開発の開始を決議し、当連結会計年度において研究開発費119百万円を支出いたしました。当社が目指す支援システムは、運転制御をはじめとするバイオマス発電所のオペレーション全体の支援を目的としたもので、開発にあたっては当社が出資するバイオマスパワーテクノロジーズ株式会社と連携し、開発を行っております。