第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、創業以来の社是ともいえる「愛」「敬」という人間尊重の精神に基づき、社会の発展に貢献することを「経営理念」として経営の根本に据えつつ、時代とともに変化する顧客と社会のニーズに応え、グローバルに事業を展開することにより、価値ある存在として常に進化を続けることを「当社の目指す姿=Vision」とした経営を進めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

収益面では、中長期的な収益基盤の強化を重視する観点から連結営業利益の継続的な向上を目指すとともに、将来の成長を見据えた投資や株主還元、内部留保の原資を確保するという意味で、連結純利益を重視しております。また、同時に財務の健全性や資金効率・資産効率も重要と考えており、D/Eレシオ、ROE、ROAも重視しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社は、2021年3月期を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画「New Challenge2020」を策定しており、最終年度の2021年3月期に、売上高7,300億円、営業利益155億円、経常利益160億円、当期純利益120億円の達成を目指しております。当社としましては、この中期経営計画の達成に向け、以下にあげますような施策を一つずつ着実に実行し、具体的な成果をあげていくことが当面の対処すべき課題と考えております。

1.海外事業の更なる拡大と深化

2.成長が見込める市場・未開拓分野への注力

・自動車、ライフサイエンス・医療、環境・エネルギー分野へ引き続き注力

・農業を含む食品分野への新たな展開

3.グローバルな経営情報インフラの高度化

・グループ全体最適の徹底

・海外事業のマネジメントの高度化と標準化

4.商社ビジネス拡大に向けた投資の積極化

5.保有資産の継続的な見直しと財務体質の強化

6.グローバル人財マネジメントの確立

 当社としましては、これらの施策を着実に実行することにより、収益基盤を一層強化し、継続的な企業価値の向上に努めていく所存であります。

 

(4)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

a.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社としましては、特定の者による当社の財務及び事業の方針の決定に影響を及ぼすことが可能な数の当社株式を取得することを目的とする大規模な買付行為が行われようとする場合、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。

 しかし、当社は、グループとして、国内外に子会社54社、関連会社12社を有し、日本、東南アジア、北東アジア、米州及び欧州の5つのリージョンに跨り、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂、その他各分野における商品の販売及び製造を主な内容とした多岐にわたる事業展開を行っており、当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・従業員及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者にこれらに関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を毀損してしまう可能性があります。

 突然に大規模な買付行為がなされた場合、買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当かどうかを株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であります。更に、当社株式をそのまま継続的に保有することを考える株主の皆様にとっても、当該大規模な買付行為が当社に与える影響や、当社の従業員、関係会社、顧客及び取引先等のステークホルダーとの関係についての方針を含む、買付者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、当社株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。

 以上のことを考慮し、当社としましては、当社の財務及び事業の方針の決定に影響を及ぼすことが可能な数の当社株式を取得することを目的とする大規模な買付行為に際しては、買付者は、株主の皆様の判断のために、当社が設定し事前に開示する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)に従って、必要かつ十分な当該買付行為に関する情報を当社取締役会に事前に提供し、一定の評価期間が経過した後にのみ当該買付行為を開始すべきであると考えております。

 また、大規模な買付行為の中には、当該買付行為が明らかに濫用目的によるものと認められ、その結果として当社に回復し難い損害をもたらす等、当社株主全体の利益を著しく損なうものもないとは言えません。当社は、かかる買付行為に対して、当社取締役会が大規模買付ルールに従って適切と考える方策を取ることも、当社株主全体の利益を守るために必要であると考えております。

 

b.企業価値向上への取組み

 当社は、企業価値を中長期的に向上させるため、2025~2030年頃の将来のありたい姿である長期ビジョン「IK Vision 2030」(※)を念頭に、以下に記載する中期経営計画をはじめとする取組みを実施しております。当社は、当社経営陣が、持続的成長に向けてガバナンス体制をより強固なものにしつつ、中期経営計画の達成を継続して目指し、その他の取組みを実行することで、当社の企業価値の向上につながるものと考えておりますが、その実効性をより高めるためには、当社株式の大規模買付行為に対して「大規模買付ルール」を事前に備えておくことが有効であり、株主共同の利益に資するものと考えます。

(※)商社としての複合機能の高度化や連結売上高1兆円以上の早期実現などを想定

 

1.中期経営計画「New Challenge 2020」達成への取組み

 当社は、2021年3月期を最終年度とする4カ年の中期経営計画「New Challenge 2020」を達成し、収益基盤の一層の強化及び継続的な企業価値の向上に努めるため、以下の6つの重点施策に取り組んでおります。

イ.海外事業の更なる拡大と深化

ロ.成長が見込める市場・未開拓分野への注力

ハ.グローバルな経営情報インフラの高度化

ニ.商社ビジネス拡大に向けた投資の積極化

ホ.保有資産の継続的な見直しと財務体質の強化

へ.グローバル人財マネジメントの確立

 

2.コーポレート・ガバナンス強化に向けた取組み

 当社は、株主の皆様に対する経営責任を明確化し、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体質を構築するために、取締役の任期を1年としております。

 これに加え、経営の透明性・公正性を確保し取締役会の監督機能を強化するため、独立性の高い社外取締役を複数選任しており、また、取締役会の実効性と透明性を向上させることを目的として、毎年取締役会評価を実施しております。

 

3.株主還元策について

 当社は、株主の皆様への利益還元を最重要政策の一つと位置付けております。株主の皆様への利益還元を一層重視し、株主還元をより明確な形で実施していく観点から、配当金額と自己株式取得金額をあわせた株主総還元額を基準とし、総還元性向(*)30~35%程度を目安として、あわせて今後の企業価値向上に向けての中長期的な投資額などを考慮し、総合的な判断により決定することとしております。

(*)総還元性向=(配当金額+自己株式取得額)÷連結純利益×100

 

c.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

1.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容

 当社は、上記a.で述べた基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付 者」といいます。)を対象とする大規模買付ルールを設定し、大規模買付者がこれを遵守した場合と遵守しなかった場合の対応方針(以下、「本対応方針」といいます。)を定めております。

2.本対応方針の合理性について

イ.本対応方針が買収防衛策に関する指針等の要件を充足していること

 本対応方針は、経済産業省および法務省が2005年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を完全に充足しております。また、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が2018年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5.いわゆる買収防衛策」を踏まえた内容となっております。

ロ.本対応方針が基本方針に沿うものであること

 本対応方針は、大規模買付ルールの内容、大規模買付行為が為された場合の対応方針、独立委員会の設置、株主及び投資家の皆様に与える影響等を規定するものです。

 本対応方針は、大規模買付者が必要かつ十分な大規模買付行為に関する情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び一定の評価期間が経過した後にのみ当該大規模買付行為を開始することを求め、これを遵守しない大規模買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがあることを明記しています。

 また、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、大規模買付者の大規模買付行為が当社株主全体の利益を著しく損なうものと当社取締役会が判断した場合には、かかる大規模買付者に対して当社取締役会は当社株主全体の利益を守るために適切と考える対抗措置を講じることがあることを明記しています。

 このように本対応方針は、会社支配に対する基本方針の考え方に沿って設計されたものであるといえます。

ハ.本対応方針が株主の共同の利益を損なうものではないこと

 上記a.記載のとおり、会社支配に対する基本方針は、当社株主の共同の利益を尊重することを前提としています。本対応方針は、かかる会社支配に対する基本方針の考え方に沿って設計され、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保証することを目的としております。本対応方針によって、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。

 更に、本対応方針の有効期限は3年間(2022年6月開催予定の当社第161回定時株主総会終了後2022年7月31日までに開催される最初の当社取締役会の終結の時まで)であるところ、その発効は当社株主の皆様の承認を前提としており、また、当社株主総会又は株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によって有効期限前に廃止することも可能です。また、本対応方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策。)や、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策。)ではありません。これらのことは、本対応方針が当社株主の共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。

ニ.本対応方針が会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 本対応方針は、大規模買付行為を受け入れるか否かが最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきことを大原則としつつ、当社株主全体の利益を守るために必要な範囲で大規模買付ルールの遵守の要請や対抗措置の発動を行うものです。本対応方針は当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動はかかる本対応方針の規定に従って行われます。

 また、大規模買付行為に関して当社取締役会が評価・検討、取締役会としての意見のとりまとめ、代替案の提示、大規模買付者との交渉を行い、又は対抗措置を発動する際には、独立の外部専門家等の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。更に、大規模買付行為に対する対抗措置を発動するにあたり、独立委員会の勧告を受けた場合には、当該対抗措置を発動するか否かについて当社株主の皆様の意思を確認するものとされています。このように、本対応方針には、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続も盛り込まれています。

 以上から、本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えております。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)為替の変動リスク

当社グループは、海外の事業展開における製品、原材料の生産と販売活動及び貿易活動における外貨建取引等に伴う為替レート変動の影響を受ける可能性があります。
 また、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(2)海外活動に潜在するリスク

当社グループの海外における生産及び販売活動は、東南アジアや北東アジア、北米、欧州と多数の地域に及びますが、これらの海外市場への事業進出には、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、人材の採用と確保の難しさ、未整備の技術インフラ、潜在的に不利な税制の影響、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。

(3)商品市場の変動リスク

当社グループが取り扱う、情報電子材料、ケミカル、食品、合成樹脂、建材の多くは商品相場の変動に影響を受けます。そのため市況の変動への弾力的な対応ができなかった場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。

(4)取引先の信用リスク

当社グループ事業は国内外の多数の取引先に対して信用を供与しております。当社グループにおいては海外取引先も含めたグローバルな与信管理を行ってはおりますが、必ずしも全額の回収が行われる保証はありません。従いまして、販売先の不測の倒産・民事再生手続等により貸倒損失や貸倒引当金の計上を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)事業投資に係るリスク

当社グループでは、事業展開をするにあたり、合弁・ジョイントベンチャーなど実際に出資を行い、持分を取得するケースが多々ありますが、特に連結対象となる関係会社に対する投資については当該グループ会社の財政状態及び経営成績の動向により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)事業再構築に係るリスク

当社グループは、事業の選択と集中の推進のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の売却・再編による事業の再構築を継続しております。これらの施策に関連して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府の規制や雇用問題等によって、事業再構築の計画が適時に実行できない可能性もあります。また、当社グループが事業再構築の実施により、当初の目的の全部または一部を達成できる保証はありません。

(7)保有有価証券の時価下落に係るリスク

当社グループではビジネス戦略上多数の会社の株式等に出資または投資しております。株式市場の動向悪化、または出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損リスクがあります。

(8)退職給付債務の変動リスク

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は計上される債務に影響を及ぼします。また、損益面では、当該影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。また、年金資産には退職給付信託として上場有価証券を信託しているため株価の変動の影響を受けやすく、近年の割引率の低下及び年金資産運用の結果による損益のブレにより当社グループの年金費用は増減しております。株価の下落、一層の割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法規制に係るリスク

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。これらの制限を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,772百万円増加(対前期比3.9%増)し、366,514百万円となりました。

 流動資産の減少5,218百万円は、主に現金及び預金が減少したこと等によるものであります。

 固定資産の増加18,991百万円は、主に投資有価証券が増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ7,988百万円減少(同3.8%減)し、201,817百万円となりました。

 流動負債の減少11,067百万円は、主に短期借入金が減少したこと等によるものであります。

 固定負債の増加3,078百万円は、主に長期借入金が減少したものの、繰延税金負債が増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21,760百万円増加(同15.2%増)し、164,697百万円となりました。これは、主に利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は44.5%(前連結会計年度末より4.4ポイント増加)となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は2,693円92銭(前連結会計年度末より379円50銭増加)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、米国では、政策や通商問題の動向による影響が懸念されたものの、着実に景気回復が続きました。欧州では、ユーロ圏において一部に景気の弱さもみられ、ドイツでは足踏み状態になりました。アジアでは、中国において景気が緩やかに減速に転じました。インドネシアやタイなど新興国では、景気は緩やかに回復しました。

 一方、日本経済は、緩やかに景気回復が続きましたが、足元では企業の輸出や生産に弱さもみられ、通商問題等の影響による不透明感が高まりつつあります。

 こうした中、当社グループの連結ベースでの売上高は、634,740百万円(対前期比2.2%増)となりました。利益面では、主力ビジネスの好調と前連結会計年度に発生した欧州子会社における太陽電池関連事業に対する貸倒引当金の計上が当連結会計年度はなかったことの影響等により、営業利益14,031百万円(同135.3%増)、経常利益14,309百万円(同124.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12,896百万円(同91.2%増)となり、売上高及び利益はいずれも過去最高を更新しました。

 単体ベースでは、売上高は305,359百万円(同0.9%増)となりました。利益面では、営業利益5,387百万円(同0.2%減)、経常利益9,395百万円(同23.1%増)、当期純利益10,699百万円(同192.2%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

《情報電子事業》

 情報電子事業は、主要な商材の販売が概ね好調で、売上が増加しました。

 液晶関連では、偏光板の販売が中国において伸長しました。偏光板原料の販売は横ばいでした。

 インクジェットプリンター関連では、コンシューマー分野で新規部品の取引が好調に推移し、また産業用分野向けも新規材料取引が始まり、全体として販売が伸長しました。

 複写機関連では、国内主要顧客向けの材料販売が好調に推移し、全体として販売が伸長しました。

 太陽電池関連は、欧州での事業撤退に伴い関連部材の販売が大幅に減少しました。二次電池関連では、材料の販売が好調でした。

 半導体関連では、装置の販売は減少しましたが、材料の販売が微増となりました。

 これらの結果、売上高は217,904百万円(同1.4%増)となり、前連結会計年度に発生した欧州子会社における太陽電池関連事業に対する貸倒引当金の計上が当連結会計年度はなかったことの影響等もあり、セグメント利益(営業利益)は4,819百万円(前期はセグメント損失(営業損失)2,045百万円)となりました。

 

《化学品事業》

 化学品事業は、塗料・インキ、製紙関連の原料販売が好調に推移し、売上が増加しました。

 自動車分野では、エアバッグ向けの原料販売は低調でしたが、放熱材原料の販売が好調で、全体として横ばいでした。

 樹脂原料・添加剤の原料販売は堅調でした。

 塗料・インキ分野向け原料販売は、国内及び中国で好調でした。

 製紙業界向け薬剤の販売は、堅調でした。

 接着剤関連の原料販売は、堅調でした。

 これらの結果、売上高は53,417百万円(対前期比3.6%増)となり、前連結会計年度に発生した貸倒引当金の計上が当連結会計年度はなかったことの影響もあり、セグメント利益(営業利益)は1,379百万円(同430.8%増)となりました。
 

《生活産業事業》

 生活産業事業は、食品関連が堅調でしたが、ライフサイエンス関連の低調により、売上が減少しました。

 ライフサイエンス関連では、医薬品関連において抗生物質用原料の販売が減少しました。海外では、欧州におけるライフサイエンス関連の事業が低調でした。

 ホームプロダクツ分野は、日用品原料や化粧品原料の販売が横ばいでした。

 食品関連では、水産品において、輸入水産加工品の販売が堅調でした。国内では寿司ネタ用水産品の販売が伸長しました。海外では、米国においてエビ・サーモンの販売が好調でした。農産品では、ブルーベリーの販売が減少しました。

 これらの結果、売上高は39,046百万円(同7.9%減)となり、セグメント利益(営業利益)は1,310百万円(同31.8%減)となりました。

 

《合成樹脂事業》

 合成樹脂事業は、自動車関連をはじめとして全般的に好調に推移し、売上が増加しました。

 汎用樹脂関連では、自動車向けゴムや、食品・日用品・化粧品容器向けの樹脂の販売が伸長しました。建材・電線関連の販売は横ばいでした。

 高機能樹脂関連では、自動車向けの樹脂の販売が、グローバルユーザー向けを中心に国内外共に伸長しました。東南アジアでは、自動車向けに加え、OA向けの樹脂の販売が伸長しました。

 コンパウンド事業では、メキシコ拠点が改善は進むものの、利益面で苦戦しました。

 フィルム関連では、コンビニ向けや飲料用の包材の販売が伸長しました。

 シート関連では、工業部材用原料をはじめ全体として販売が微減となりました。

 スポーツ資材関連では、グリップテープの販売が海外で好調でした。

 これらの結果、売上高は300,094百万円(同4.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は6,341百万円(同14.4%増)となりました。

 

《住環境事業》

 住環境事業は、環境資材関連が堅調でしたが、住宅建材関連と海外関連の低調により売上が減少しました。

 環境資材関連では、木質ボード向けや非住宅分野向けの資材販売が伸長しました。

 住宅建材関連では、大手ハウスメーカー向けなどの資材販売が低調でした。

 海外関連では、欧州輸入材の販売や東南アジア向けインフラ案件が低調でした。

 これらの結果、売上高は24,105百万円(同4.1%減)となり、セグメント利益(営業利益)は44百万円(同71.7%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、長期借入金の返済による支出、その他の固定資産の増加額及び法人税等の支払額が、売上債権の減少額、投資有価証券の売却による収入及びその他の流動資産の減少額を上回ったこと等により、前連結会計年度末に比べ6,224百万円減少し、23,011百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は12,510百万円(前連結会計年度は5,960百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び売上債権の減少額が、その他の固定資産の増加額、法人税等の支払額及びたな卸資産の増加額を上回ったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は743百万円(前連結会計年度は5,086百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入及び定期預金の払戻による収入が、定期預金の預入による支出、有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出及び投資有価証券の取得による支出を上回ったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は19,546百万円(前連結会計年度は4,901百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額及び自己株式の取得による支出が、長期借入れによる収入を上回ったこと等によるものであります。

 

③販売及び仕入の実績

a.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報電子

217,904

101.4

化学品

53,417

103.6

生活産業

39,046

92.1

合成樹脂

300,094

104.6

住環境

24,105

95.9

その他

172

106.6

合計

634,740

102.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報電子

202,810

100.2

化学品

49,482

108.9

生活産業

31,668

84.5

合成樹脂

275,173

103.8

住環境

22,827

96.5

その他

36

113.3

合計

581,999

101.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積り、判断及び仮定により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

当連結会計年度における当社グループの連結ベースでの売上高は、634,740百万円(対前期比2.2%増)となりました。利益面では、営業利益14,031百万円(同135.3%増)、経常利益14,309百万円(同124.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12,896百万円(同91.2%増)となりました。

前連結会計年度は、欧州子会社において太陽電池事業に対する貸倒引当金を計上した影響等で営業利益・経常利益が共に大きく落ち込みました。当連結会計年度はその貸倒引当金の影響がなかったこと、また、情報電子事業や合成樹脂事業など当社の主力事業が好調に推移したことから、利益面で大きく改善しました。なお、当連結会計年度の売上高及び利益はいずれも過去最高を更新しており、当社が重視しているネットD/Eレシオ、ROE、ROAといった経営指標のいずれも前連結会計年度より改善しました。また、株主の皆様への利益還元の指標として当社が重視している総還元性向につきましても30~35%程度を目安とする当社の方針に対し、その範囲内となりました。

当社は、2021年3月期を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画「New Challenge2020」(以下、NC2020という。)を策定しており、最終年度の2021年3月期に、売上高7,300億円、営業利益155億円、経常利益160億円、親会社株主に帰属する当期純利益120億円の達成を目指しております。NC2020における当連結会計年度の計画は売上高6,600億円、営業利益135億円、経常利益140億円、親会社株主に帰属する当期純利益105億円であります。

当連結会計年度の売上高はNC2020の計画に達しなかったものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ネットD/EレシオはNC2020の計画を達成しました。

 

当社としてはNC2020の重点施策である海外事業の更なる拡大と深化並びに成長市場や未開拓分野への注力等を重点的に推し進めることで、収益力基盤を一層強化し、継続的な中長期の企業価値の向上に努めていく所存であります。

 

 

第157期実績

第158期実績

NC2020

(第158期計画)

NC2020

(最終年度目標)

売上高    (百万円)

621,137

637,740

660,000

730,000

営業利益   (百万円)

5,962

14,031

13,500

15,500

経常利益   (百万円)

6,374

14,309

14,000

16,000

親会社株主に帰属する当期

純利益     (百万円)

6,744

12,896

10,500

12,000

ネットD/Eレシオ  (倍)

(注)1

0.28

0.19

0.4以下

0.4以下

ROE        (%)

(注)2

4.7

8.5

ROA        (%)

(注)3

1.9

3.6

総還元性向    (%)

(注)4

46.5

30.0

(注)1.ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本

2.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益/((期首自己資本+期末自己資本)÷2)

3.ROA=親会社株主に帰属する当期純利益/((期首総資産+期末総資産)÷2)

4.総還元性向=(配当金額+自己株式取得額)÷連結純利益×100

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

(情報電子事業)

 

第157期実績

第158期実績

NC2020

(第158期計画)

NC2020

(最終年度目標)

売上高    (百万円)

214,963

217,904

235,000

261,000

セグメント利益又は損失

       (百万円)

△2,045

4,819

4,000

4,400

売上高は、液晶関連ビジネスの伸長はあったものの、欧州子会社における太陽電池関連の取引中止と、OA関連の低採算取引を見送ったこと等により、NC2020における当連結会計年度の計画に対し未達となりました。セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度に発生した欧州子会社における太陽電池関連事業に対する貸倒引当金の計上が当連結会計年度はなかったことの影響、中国での偏光板販売の伸長や国内の偏光板原料の好調、及びOA関連の新規商材の伸長等により、前連結会計年度の実績及びNC2020における当連結会計年度の計画を大きく上回り、NC2020の最終年度目標も達成しました。

 

(化学品事業)

 

第157期実績

第158期実績

NC2020

(第158期計画)

NC2020

(最終年度目標)

売上高    (百万円)

51,580

53,417

56,000

61,000

セグメント利益(百万円)

259

1,379

1,300

1,600

売上高は、塗料・インキ、製紙関連が好調でしたが、欧州子会社における中東向け取引の見直しもあり、NC2020における当連結会計年度の目標に対し未達となりました。セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度に発生した貸倒引当金の計上が当連結会計年度はなかったことの影響、塗料・インキ、製紙関連の原料販売の好調により前連結会計年度の実績を大きく上回り、NC2020における当連結会計年度の計画を達成しました。

 

(生活産業事業)

 

第157期実績

第158期実績

NC2020

(第158期計画)

NC2020

(最終年度目標)

売上高    (百万円)

42,392

39,046

54,000

65,000

セグメント利益(百万円)

1,920

1,310

2,300

2,800

売上高は、欧州子会社において計画した食品ビジネスの中止や、食品関連の新規ビジネスの遅れにより、NC2020における当連結会計年度の計画に対し未達となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上高がNC2020を大きく下回ったこと、高利益率の医薬原料関連の販売が低調であったこと、及び食品関連の新規ビジネスで先行費用が発生したことから、NC2020に対し大幅に未達となりました。食品関連は国内子会社にビジネスの移管を進め、効率化を図りながら引き続き注力してまいります。

 

(合成樹脂事業)

 

第157期実績

第158期実績

NC2020

(第158期計画)

NC2020

(最終年度目標)

売上高    (百万円)

286,900

300,094

285,000

308,000

セグメント利益(百万円)

5,541

6,341

5,300

5,900

自動車関連をはじめとして全般的に樹脂の販売が好調で、売上高はNC2020における当連結会計年度の計画を上回りました。セグメント利益(営業利益)は、売上高がNC2020を上回ったことに加え、新規連結したインド子会社の利益が貢献したこと等により、NC2020における当連結会計年度の計画を上回り、NC2020の最終年度の目標も達成しました。コンパウンド事業では、メキシコ拠点が利益面で苦戦していますが、前連結会計年度よりは大幅に改善しています。

 

(住環境事業)

 

第157期実績

第158期実績

NC2020

(第158期計画)

NC2020

(最終年度目標)

売上高    (百万円)

25,137

24,105

29,700

34,700

セグメント利益(百万円)

157

44

400

600

売上高は、海外関連や住宅建材関連が伸びず、NC2020における当連結会計年度の目標に対し未達となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上の低迷に加え、経費増もありNC2020における当連結会計年度の計画を大きく下回りました。

なお、2019年4月より、住環境事業は化学品事業にビジネスを統合いたしました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、各営業部門の事業計画・投融資計画に照らして、必要な資金を内部留保や金融機関からの借入金を中心に調達しており、その資金を運転資金や事業拡大に向けた投融資に使用しており、金融商品での運用や投機的な取引は行わないこととしております。

 当連結会計年度は売上高及び利益がいずれも過去最高を更新したこと、政策保有株式の売却を積極的に進めたことから営業活動及び投資活動により資金を獲得しました。獲得した資金は事業拡大のための設備投資に使用し、また、金融機関からの借入金の返済や株主への利益還元等に使用しました。

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  当社グループの生活産業事業に属するPHARMASYNTHESE S.A.S.の開発チームにて、主に医薬品原料及び化粧品原料の製造を行うためのプロセス開発を行っております。
  これは主に顧客からの依頼によるプロセス最適化とその少量生産、自社技術の開発及び技能の蓄積、分析方法の開発を目的としているものであります。
  当事業に係る研究開発費は43百万円であります。