第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。

 

(1)社是・経営理念

当社は、「愛」(I)、「敬」(K)を社是と定め、「人を愛し、敬う」という人間尊重の精神に基づき、社会の発展に貢献することを経営理念としております。グローバルに事業を展開する商社グループとして、高い専門性や複合機能を活用して、顧客や社会のニーズに応えることで価値ある存在として常に進化を続けることを目指しています。

 

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(2)長期ビジョン「IK Vision 2030」

この経営理念や目指す姿を踏まえ、2030年頃の当社グループの「ありたい姿」として、長期ビジョン「IK Vision 2030」を2017年5月に策定し、公表しました。この「IK Vision 2030」において、当社の根本が商社であることを再確認するとともに、創業以来、長年培ってきた専門知識を持つ人財、商社業のツールとなる製造・物流・金融機能、そして海外17カ国60余拠点で展開する拠点網などの経営資源を最大限活用することで商社機能の複合化と高度化を図り、顧客への付加価値の提供を進めていくことを表明しております。

 

長期ビジョン「IK Vision 2030」

機能

商社機能を基本としつつも、製造・物流・ファイナンス等の複合的な機能の一層の高度化を図る

規模感

連結売上高 1兆円以上を早期に実現

海外比率

70%以上

ポートフォリオ

情報電子・合成樹脂以外の事業の比率を1/3以上に

 

(3)中期経営計画「New Challenge 2020」(略称 「NC2020」)

長期ビジョンを見据え、その最初に達成すべき第1ステージとして、2021年3月期を最終年度とする4カ年の中期経営計画「NC2020」を策定し、その計画達成に向けて取り組んでまいりました。「NC2020」の定量目標、重点施策及び主な収益基盤商材と成長分野商材は以下のとおりです。

 

● 定量目標

連結

2021年3月期

売上高

7,300億円

営業利益

155億円

経常利益

160億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

120億円

ネットD/Eレシオ(注)1

0.4倍以下

(注)1. ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本

 

● 重点施策

1.

海外事業の更なる拡大と深化

2.

成長が見込める市場・未開拓分野への注力

「注力分野」自動車分野、ライフサイエンス・医療分野、環境・エネルギー分野、農業を含む食品分野

3.

グローバルな経営情報インフラの高度化

4.

商社ビジネス拡大に向けた投資の積極化

5.

保有資産の継続的な見直しと財務体質の強化

6.

グローバル人財マネジメントの確立

 

● 計画策定時に想定した主な収益基盤商材と成長分野商材

セグメントの名称

収益基盤商材

成長分野商材

情報電子

液晶関連商材、OA関連商材

二次電池関連商材(太陽電池、リチウムイオン電池)

化学品

自動車部品原料、コーティング関連商材、住宅資材(国内向け)

放熱材など新規商材、住宅資材(海外向け)、環境資材

生活産業

医薬品原料、ホームプロダクツ関連原料、水産品(回転寿司向け)

先端医療関連装置・材料(再生医療)、農産品(ブルーベリー他)

合成樹脂

OA、家電向け樹脂、製造加工を含むフィルム・シート(食品向け)

自動車向け高機能樹脂、スポーツ関連商材(グリップテープ)

 

(4)「NC2020」の達成状況

当連結会計年度は、「NC2020」の最終年度となりました。「NC2020」の定量目標の達成状況については、以下のとおりです。

 

(百万円)

第160期実績

NC2020

(最終年度目標)

売上高

577,583

730,000

営業利益

14,973

15,500

売上高営業利益率

2.6%

2.1%

経常利益

16,514

16,000

親会社株主に帰属する

当期純利益

13,792

12,000

ネットD/Eレシオ(倍)

0.06

0.4以下

 

定量面では、目標値に対して、売上高、営業利益は未達となりましたが、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は目標値を達成いたしました。

定性面では、自動車分野への注力や財務体質の強化など、期待したとおりの進展もありましたが、計画終盤に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行の影響等もあり、一部の重点施策は、道半ばの状況で終える結果となりました。

 

「NC2020」の達成状況分析については、「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①「NC2020」達成状況分析」に記載しております。

 

(5)新中期経営計画「New Challenge 2023」(略称 「NC2023」)

当社は、長期ビジョンを目指す第2ステージとなる3カ年の新中期経営計画「New Challenge 2023(以下、「NC2023」)」を策定し、2021年4月よりスタートしました。この「NC2023」では、「NC2020」の基本線を継承しつつ、その達成状況と、足元の経営環境の変化を踏まえ、一部見直しを行いました。「NC2023」の定量目標、財務面での基本方針、主要重点施策は以下のとおりです。

 

● 定量目標

連結

2024年3月期

売上高

6,700億円

営業利益

165億円

経常利益

170億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

160億円

ROE

8%以上

ネットD/Eレシオ

0.3倍以下

自己資本比率

50%以上

※想定為替レート:\105.00/USD

※新収益認識基準適用前ベースの売上高目標値:7,000億円

 

● 財務面での基本方針

1.キャッシュ・

フローの活用方針

得られたキャッシュ・フローは以下の三つにバランスよく配分する

①将来の成長に向けた投資

②株主への還元

③財務基盤の強化

2.株主還元方針

1株当たりの配当額については前期実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする(累進配当の導入)

• 総還元性向の目安としては当面30~35%を継続

• 自己株式取得は機動的に実施

3.政策保有株式の縮減方針

政策保有株式のさらなる見直しを行い、3年間で50%の削減を図る

※総還元性向=(配当金額+自己株式取得額)÷連結純利益×100

 

● 主要重点施策

1.

主力ビジネスのさらなる深掘りと成長分野への横展開

2.

将来の成長が見込める市場への多面的な取り組みと確実な収益化

3.

将来の成長に向けた投資の積極化

4.

グローバルな経営情報インフラの一層の高度化

5.

保有資産の継続的見直しと資金・資産のさらなる効率化

6.

人的資本活用に向けた取り組みの強化

 

新型コロナウイルス感染症の収束が依然として見通せないなか、海外17カ国でビジネスを展開する当社グループをとりまく環境は、引き続き厳しく不透明な状況が続くものと想定されます。

しかし、当社グループの商社機能を基本としたビジネスモデルに変わりはなく、環境の変化に対応しつつ、「NC2023」の目標値達成に向けて、グループ全社で主要重点施策に取り組み、具体的な成果を上げていくことが当面の対処すべき課題と考えております。

 

(6)2022年3月期連結業績予想

「NC2023」の初年度となる2022年3月期の連結業績予想は以下のとおりであります。

なお、予想の前提となる経済環境としては、各国における新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種や治療薬の開発が徐々に進み、世界経済及び日本経済は、緩やかに回復に向かうことを想定しております。

 

連結

2022年3月期

売上高

6,000億円

営業利益

145億円

経常利益

150億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

140億円

※想定為替レート:\105.00/USD

 

 

2【事業等のリスク】

この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当連結会計年度に実施した「取締役会の実効性評価」(第三者評価)におけるリスク評価分析の結果を踏まえ、当社グループの経営成績等への影響や発現可能性という観点から、重要性が高いと考えられるリスクから順に記載しております。

 

(1)海外活動に潜在するリスク

当社グループの海外における生産及び販売活動は、東南アジアや北東アジア、北米、欧州と多数の地域に及びます。これらの海外市場への事業進出には、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、人材の採用と確保の難しさ、未整備の技術インフラ、潜在的に不利な税制の影響、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。
 当連結会計年度における地域ごとの売上高では、アジア合計が48%であり、最も影響を受ける地域であります。年度前半は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、当社グループが事業を展開する東南アジア地域の主要国において、ロックダウンの影響を大きく受けました。なお、感染症流行等の非常時の対策としては、海外の主要な拠点において事業継続計画(BCP)を策定、運用しております。

(2)取引先の信用リスク

当社グループ事業は国内外の多数の取引先に対して信用を供与しております。当社グループにおいては海外取引先も含めたグローバルな与信管理を行ってはおりますが、必ずしも全額の回収が行われる保証はありません。従いまして、取引先の不測の倒産・民事再生手続等により貸倒損失や貸倒引当金の計上を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当連結会計年度において、当社グループの受取手形及び売掛金は1,627億円、棚卸資産の金額は541億円であり、その合計額は総資産の61%を占めております。与信供与については、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。棚卸資産については、連結グループ各社の残高推移を月次ベースでモニタリング管理しております。

(3)事業投資に係るリスク

当社グループでは、事業展開をするにあたり、合弁・ジョイントベンチャーなど実際に出資を行い、持分を取得するケースが多々あります。特に連結対象となる関係会社に対する投資については当該グループ会社の財政状態及び経営成績の動向により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお当社グループは、商社ビジネス拡大を主たる目的としたマイノリティー投資を基本としており、マジョリティー投資については、リスク・金額を限定して行っております。

(4)商品市場の変動リスク

当社グループが取り扱う、情報電子材料、ケミカル原料、食品、合成樹脂の多くは商品相場の変動に影響を受けます。そのため市況の変動への弾力的な対応ができなかった場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。各営業部門にて、市場の情報を収集して、価格動向を注視するとともに、在庫管理を徹底しております。
 当連結会計年度においては、情報電子事業における主要販売製品である液晶関連部材の市場価格及び合成樹脂事業における製品価格に影響を与えるナフサ価格の動向の影響を受けました。また、主に食品ビジネスにおいて、在庫取引を行っており、各商品の市場価格の影響を受ける可能性があります。

(5)事業再構築に係るリスク

当社グループは、事業の選択と集中の推進のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の売却・再編による事業の再構築を継続しております。これらの施策に関連して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府の規制や雇用問題等によって、事業再構築の計画が適時に実行できない可能性もあります。また、当社グループが事業再構築の実施により、当初の目的の全部または一部を達成できる保証はありません。なお、撤退検討基準を設けて、該当する当社グループ会社に対しては審査会議において撤退等の審議を行っております。

(6)為替の変動リスク

当社グループは、海外の事業展開における製品、原材料の生産と販売活動及び貿易活動を行っております。原則として為替予約等によるヘッジ取引を行っておりますが、外貨建取引等に伴う為替レート変動の影響を受ける可能性があります。また、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
 当連結会計年度における為替差損は1億円となり、為替換算調整勘定は45億円となりました。

(7)自然災害等のリスク

当社グループが事業を展開する国や地域において、地震、津波、台風等の自然災害、または感染力の強い感染症が発生した場合には、当社グループの社員・事務所・設備の被害により、当社事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの災害による、サプライチェーンの分断や当社グループが取り扱う商材の市場における需給変動等により、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

これら災害の悪影響に対しては、当社グループの危機対応の基本方針に基づいた事業継続計画(BCP)を策定し、社員の安全確保を最優先に事業継続を行いますが、全ての被害や悪影響を回避できるとは限らず、将来の当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当連結会計年度においては、年度前半に、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を大きく受けました。

(8)保有有価証券の時価下落に係るリスク

当社グループではビジネス戦略上多数の会社の株式等に出資または投資しております。株式市場の動向悪化、または出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損リスクがあります。

当連結会計年度における投資有価証券の計上額は715億円です。また、特定投資株式の保有方針や保有の合理性、銘柄ごとの詳細については「第4.提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載しております。

(9)退職給付債務の変動リスク

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は計上される債務に影響を及ぼします。また、損益面では、当該影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。また、年金資産には退職給付信託として上場有価証券を信託しているため株価の変動の影響を受けやすく、近年の割引率の低下及び年金資産運用の結果による損益のブレにより当社グループの年金費用は増減しております。株価の下落、一層の割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当連結会計年度における退職給付に係る負債の計上額は21億円です。

(10)環境に係るリスク

当社グループは、国内外において4つの事業分野で幅広い商材を取り扱っており、これら商材の製造・販売は当該地域の環境規制やエコ商材への変更等の影響を受ける可能性があります。仕入先の分散化に取り組んでおりますが、当連結会計年度においては、ケミカル・医薬品原料、合成樹脂において、中国における環境規制の影響を受けました。また、合成樹脂の販売においては、脱プラスチック商材への変更の影響を受ける可能性があります。グループ会社において生分解性バイオマス樹脂の製造・販売に取り組んでおります。

(11)法規制に係るリスク

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。これらの制限を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当連結会計年度における海外売上高比率は62%と高く、輸出入規制に大きな影響を受ける可能性があります。そのため、社内に輸出管理委員会を設置し、リスクの軽減に努めております。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経済環境

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、年度前半は、極めて厳しい状況となりました。年度後半にかけて、依然として厳しい状況が続くなか、中国では景気が回復に向かいました。米国では持ち直しの動きがみられました。タイやインドネシアなどアジア新興国では、下げ止まりの方向となりましたが、欧州ユーロ圏では、経済活動の抑制により弱い動きが続きました。

 一方、日本経済も新型コロナウイルス感染症の影響により、年度前半は、雇用情勢が弱い動きとなり、輸出や生産の急速な減少や企業収益の悪化もみられ、世界経済と同様に極めて厳しい状況となりました。年度後半は、厳しい状況が続いたものの、企業収益や設備投資などに改善がみられ、持ち直しの動きとなりました。

 

②財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ30,379百万円増加(対前期比9.4%増)し、353,228百万円となりました。

 流動資産の増加11,846百万円は、主に受取手形及び売掛金が増加したこと等によるものであります。

 固定資産の増加18,532百万円は、主に投資有価証券が増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,302百万円増加(同1.3%増)し、177,424百万円となりました。

 流動負債の減少185百万円は、主に支払手形及び買掛金が増加したものの、短期借入金が減少したこと等によるものであります。

 固定負債の増加2,488百万円は、主に長期借入金が減少したものの、繰延税金負債が増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ28,077百万円増加(同19.0%増)し、175,803百万円となりました。これは、主に利益剰余金、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は49.2%(前連結会計年度末より4.0ポイント増加)となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は2,887円29銭(前連結会計年度末より463円16銭増加)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における売上高は、577,583百万円(対前期比3.8%減)となりました。利益面では、新型コロナウイルス感染症の影響による販売費及び一般管理費の減少もあり、営業利益14,973百万円(同13.2%増)、経常利益16,514百万円(同16.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13,792百万円(同20.8%増)となり、いずれも過去最高となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

《情報電子事業》

 情報電子事業は、主要商材の販売が堅調に推移し、売上が増加しました。

 液晶関連は、TV向けパネルの生産好調により、販売が伸長しました。

 LED関連では、中国国内の需要が回復し、販売が伸長しました。

 インクジェットプリンター関連では、商業印刷需要が冷え込んだことで産業用分野が低調でしたが、テレワークの拡大によりコンシューマー分野が堅調に推移し、全体として関連材料の販売が微増となりました。

 複写機関連では、オフィスでのトナー需要が大きく減少し、関連材料の販売が減少しました。

 太陽電池関連は、大型システム案件の納入がなかったものの、関連材料の販売が堅調でした。二次電池関連では、関連材料の販売が好調でした。

 フォトマスク関連は、FPD用の関連材料の販売が減少しました。

 半導体、電子部品関連は、5Gなどの通信、データセンター向けの好調と車載向けが回復したことにより、関連材料の販売が伸長しました。半導体装置の販売は伸長しました。

 これらの結果、売上高は224,534百万円(同2.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は、販売費及び一般管理費の減少や貸倒引当金の戻し入れもあり、6,327百万円(同41.2%増)となりました。

 

《化学品事業》

 化学品事業は、回復基調にあるものの新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少しました。

 樹脂原料・添加剤の販売は、総じて低調でした。

 自動車部品業界向けの原料販売は、東南アジア向けを中心に低調でしたが、年度後半になり急速に回復しました。

 塗料・インキ・接着剤分野向け原料販売は、総じて低調でした。

 製紙業界向け薬剤の販売は、減少しました。

 建築資材関連の販売は、住宅着工件数が減少するなか、分譲住宅向けが堅調でしたが、賃貸住宅向けが低調でした。

 これらの結果、売上高は66,626百万円(同10.2%減)となり、セグメント利益(営業利益)は、販売費及び一般管理費の減少もあり1,320百万円(同9.2%増)となりました。
 

《生活産業事業》

 生活産業事業は、食品関連が堅調に推移し、売上が微増となりました。

 ライフサイエンス関連では、医薬原料の国内向け販売が減少しました。防・殺虫剤関連の販売は堅調でした。

 食品関連では、新型コロナウイルス感染症の影響によりホテル・給食向け輸入水産加工品の販売が減少しましたが、回転寿司向け加工品の販売は伸長しました。米国では量販店向けシーフード商品の販売が堅調でした。

 農産品では、巣ごもり需要により冷凍野菜や冷凍果実の国内向け販売が好調でした。韓国向けの冷凍農産品の販売は伸長しました。

 これらの結果、売上高は37,361百万円(同1.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は、販売費及び一般管理費の減少もあり1,563百万円(同34.0%増)となりました。

 

《合成樹脂事業》

 合成樹脂事業は、年度後半に急速に回復しましたが、年度前半の世界的なロックダウンの影響が大きく、売上が減少しました。

 汎用樹脂関連では、一部の食品関連向けやゲーム機関連は好調でしたが、年度前半の樹脂価格の下落の影響もあり、全体として低調でした。

 高機能樹脂関連では、自動車関連が年度後半に急速に回復したものの、通年では販売が減少しました。OA関連はノートPC向けを中心に販売が堅調でした。

 フィルム関連では、家庭用が好調でしたが、業務用や行楽関連が減少しました。国内外の製造子会社は好調でした。

 シート関連では、コンビニ・ファストフード向け飲料用の販売が減少しました。

 スポーツ資材関連では、国内外でのスポーツイベント等の中止の影響で、グリップテープの販売が大きく減少しました。

 これらの結果、売上高は248,888百万円(同7.9%減)となり、セグメント利益(営業利益)は5,631百万円(同9.7%減)となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、税金等調整前当期純利益、その他の固定資産の減少額及び仕入債務の増加額による収入が、短期借入金の純減少額、売上債権の増加額、長期借入金の返済による支出、法人税等の支払額及び配当金の支払額を上回ったこと等により、前連結会計年度末に比べ502百万円増加し、25,983百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は17,613百万円(前連結会計年度は10,690百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益、その他の固定資産の減少額及び仕入債務の増加額が、売上債権の増加額及び法人税等の支払額を上回ったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は423百万円(前連結会計年度は525百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出、有形固定資産の取得による支出及び無形固定資産の取得による支出が、定期預金の払戻による収入及び投資有価証券の売却による収入を上回ったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は17,582百万円(前連結会計年度は7,273百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額、長期借入金の返済による支出及び配当金の支払額によるものであります。

 

④販売及び仕入の実績

a.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報電子

224,534

102.7

化学品

66,626

89.8

生活産業

37,361

101.2

合成樹脂

248,888

92.1

その他

172

98.0

合計

577,583

96.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報電子

206,263

100.8

化学品

60,008

86.7

生活産業

30,987

100.8

合成樹脂

220,285

91.8

その他

41

104.7

合計

517,586

95.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①「NC2020」達成状況分析

 当連結会計年度は、4カ年の「NC2020」の最終年度となりました。経営成績を踏まえた、「NC2020」の達成状況分析は以下のとおりであります。

(百万円)

NC2020初年度

第157期実績

2年目

第158期実績

3年目

第159期実績

最終年度

第160期実績

売上高

621,137

(630,000)

634,740

(660,000)

600,312

(700,000)

577,583

(730,000)

営業利益

5,962

(12,500)

14,031

(13,500)

13,229

(14,500)

14,973

(15,500)

売上高営業利益率

1.0%

(2.0%)

2.2%

(2.0%)

2.2%

(2.1%)

2.6%

(2.1%)

経常利益

6,374

(13,000)

14,309

(14,000)

14,211

(15,000)

16,514

(16,000)

親会社株主に帰属する

当期純利益

6,744

(10,000)

12,896

(10,500)

11,415

(11,000)

13,792

(12,000)

ネットD/Eレシオ

(倍)(注)1

0.28

(0.4以下)

0.19

(0.4以下)

0.16

(0.4以下)

0.06

(0.4以下)

 上段:実績値、下段:(計画値)、最終年度下段のみ(目標値)

(注)1.ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本

 

 売上高は、欧州拠点における事業再編の影響、低採算取引からの撤退、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響による取引減などにより、目標に対して未達となりました。

 営業利益は、主に売上高の未達の影響により、目標に対して未達となりましたが、プロダクトミックスの改善や新型コロナウイルス感染症の影響による販売費及び一般管理費の減少もあり、売上高営業利益率は計画を上回りました。

 経常利益は、金利が想定を下回ったことや借入金減少による支払利息の減少により、目標を達成しました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が目標を上回ったこと、及び投資有価証券売却益が当初計画より増加したため、目標を達成しました。

 ネットD/Eレシオは、主に有利子負債の減少により、目標を大きく上回る改善となりました。財務の健全性が継続して強化されています。

 

 報告セグメント別の進捗は、以下のとおりであります。

 

《情報電子事業》

(百万円)

NC2020初年度

第157期実績

2年目

第158期実績

3年目

第159期実績

最終年度

第160期実績

売上高

214,963

(229,000)

217,904

(235,000)

218,690

(250,000)

224,534

(261,000)

セグメント利益

▲2,045

(3,700)

4,819

(4,000)

4,482

(4,200)

6,327

(4,400)

セグメント利益率

▲1.0%

(1.6%)

2.2%

(1.7%)

2.0%

(1.7%)

2.8%

(1.7%)

 上段:実績値、下段:(計画値)、最終年度下段のみ(目標値)

 

 売上高は、液晶関連ビジネスの伸長があったものの、欧州子会社における事業再編(太陽電池関連)に伴う取引減少や低採算取引の撤退(OA関連)等により、目標に対して未達となりました。

 セグメント利益(営業利益)は、主に液晶関連ビジネスの伸長や欧州子会社関連の貸倒引当金の戻し入れ、及び新型コロナウイルス感染症の影響による販売費及び一般管理費の減少により目標を達成しました。

 

《化学品事業》

(百万円)

NC2020初年度

第157期実績

2年目

第158期実績

3年目

第159期実績

最終年度

第160期実績

売上高

76,717

(80,700)

77,522

(85,700)

74,181

(91,700)

66,626

(95,700)

セグメント利益

417

(1,500)

1,424

(1,700)

1,208

(2,000)

1,320

(2,200)

セグメント利益率

0.5%

(1.9%)

1.8%

(2.0%)

1.6%

(2.2%)

2.0%

(2.3%)

 上段:実績値、下段:(計画値)、最終年度下段のみ(目標値)

 

 売上高は、旧住環境事業で計画した輸出ビジネスが進展しなかったことや、塗料・インキ・接着剤分野向けなどの原料販売が低調だったことにより、目標に対して未達となりました。

 セグメント利益(営業利益)は、新型コロナウイルス感染症の影響による販売費及び一般管理費の減少がありましたが、売上高未達の影響が大きく、目標未達となりました。

 

《生活産業事業》

(百万円)

NC2020初年度

第157期実績

2年目

第158期実績

3年目

第159期実績

最終年度

第160期実績

売上高

42,392

(47,000)

39,046

(54,000)

36,919

(59,000)

37,361

(65,000)

セグメント利益

1,920

(2,000)

1,310

(2,300)

1,166

(2,500)

1,563

(2,800)

セグメント利益率

4.5%

(4.3%)

3.4%

(4.3%)

3.2%

(4.2%)

4.2%

(4.3%)

 上段:実績値、下段:(計画値)、最終年度下段のみ(目標値)

 

 売上高は、医薬原料における仕入先からの供給再開遅延や新型コロナウイルス感染症の影響による販売低迷、及び食品関連における欧州子会社で計画した新規案件の中止や、その他新規ビジネス案件の立ち上げ遅れにより、目標に対して未達となりました。

 セグメント利益(営業利益)は、新型コロナウイルス感染症の影響による販売費及び一般管理費の減少がありましたが、売上高の未達の影響が大きく、目標に対して未達となりました。

 

《合成樹脂事業》

(百万円)

NC2020初年度

第157期実績

2年目

第158期実績

3年目

第159期実績

最終年度

第160期実績

売上高

286,900

(273,000)

300,094

(285,000)

270,345

(299,000)

248,888

(308,000)

セグメント利益

5,541

(5,100)

6,341

(5,300)

6,235

(5,600)

5,631

(5,900)

セグメント利益率

1.9%

(1.9%)

2.1%

(1.9%)

2.3%

(1.9%)

2.3%

(1.9%)

 上段:実績値、下段:(計画値)、最終年度下段のみ(目標値)

 

 売上高は、年度前半の新型コロナウイルス感染症の世界的大流行によるロックダウンの影響が大きく、目標に対して未達となりました。

 セグメント利益(営業利益)は、年度後半に自動車分野を中心にビジネスが急速に回復したものの、年度前半の低迷の影響が大きく、目標に対して未達となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動及び政策保有株式の売却等により獲得した資金を、当社の配当政策に基づく現金配当による株主還元の実施、中期経営計画「New Challenge 2020」の計画達成に向け、事業の拡大・新規ビジネスの開拓・グローバルな経営情報インフラの高度化のための投資の実施及び当社グループの財務体質の更なる強化のため借入金の返済等に使用しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ502百万円増加し、25,983百万円となりました。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、各営業部門の事業計画・投融資計画に照らして、必要な資金を内部留保や金融機関からの借入金を中心に調達し、その資金を運転資金や事業拡大に向けた投融資に使用しており、金融商品での運用や投機的な取引は行わないこととしております。

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響等により、売上高は減少したものの、感染症による販売費及び一般管理費の減少もあり利益面では過去最高となっており、営業活動と政策保有株式の売却を積極的に進めたことで獲得した資金を事業拡大のための設備投資、金融機関からの借入金の返済や株主還元等に使用しました。

 資金の流動性の維持、国内及び海外におけるグループ全体の運転資金の機動的かつ安定的な調達を行うため、取引銀行4行と200百万米ドル相当額の貸出コミットメント契約(複数通貨型)を締結しております。

 また、国内の連結子会社及び海外の一部の連結子会社において、キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、資金の効率化と流動性の確保を図っております。

 今般の感染症による資金繰りへの影響は限定的ではありますが、上記の施策等により不測の事態に備え資金の流動性を維持しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益、費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 なお、感染症の影響につきましては、連結財務諸表作成時点の状況を踏まえて見積りを行っており、当連結会計年度におけるその影響額は軽微であります。

 

a.たな卸資産の評価

 主として移動平均法及び先入先出法による原価法によっており、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。

 正味売却価額の算定方法については、期末前後での販売実績に基づく価額を用いる等、合理的に算定された価額を正味売却価額としております。なお、長期滞留等により営業循環過程から外れた棚卸資産など正味売却価額を合理的に算定することが困難な棚卸資産につきましては、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる等の方法により、収益性の低下を適切に貸借対照表に反映させております。

 前期に計上した簿価切下額の戻入れにつきましては、主に洗替え法により当期に戻入れをおこなう方法を採用しております。

 

b.貸倒引当金の評価

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

c.退職給付会計について

 当社グループの従業員の退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、簡便法を採用している連結子会社を除き、割引率、退職率、予想昇給率、長期期待運用収益率、死亡率等の計算基礎を設定の上、数理計算結果に基づき算定しております。
 退職給付債務の計算に用いる割引率と年金資産(企業年金制度に対して設定した退職給付信託を含む)の長期期待運用収益率は、特に重要な前提条件であります。割引率は安全性の高い債券(主として長期国債)の利回りを基礎として主として0.4%、年金資産の長期期待運用収益率は年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績及び運用方針等を総合的に考慮して主として3.0%を使用しております。

 また、他の基礎率も定期的に見直しており、基礎率を見直した場合や、退職給付債務の数理計算に用いた見積り数値と実績との差異、年金資産の期待運用収益と実際の運用収益との差異が生じた場合には、数理計算上の差異が発生し、将来の退職給付に係る負債及び退職給付費用を増加させるおそれがあります。

 数理計算上の差異については、平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として13年)で按分する方法により費用処理しております。

 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果会計を適用の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  当社グループの生活産業事業に属するPHARMASYNTHESE S.A.S.及びINABATA FRANCE S.A.S.の開発チームにて、主に医薬品原料及び化粧品原料の製造を行うためのプロセス開発を行っております。
  これは主に顧客からの依頼によるプロセス最適化とその少量生産、自社技術の開発及び技能の蓄積、分析方法の開発を目的としているものであります。
  当事業に係る研究開発費は37百万円であります。