当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、「パーパス」、「ビジョン」、「バリューズ」並びに「経営理念」及び「RYODENグループ行動指針」を経営の基本に置いて、事業活動を展開し、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとともに、企業価値の向上とさらなる成長に向け取り組んでいます。
①パーパス
人とテクノロジーをつなぐ力で”ワクワク”をカタチにする
②ビジョン
未来を共創するエクセレントカンパニー
③バリューズ
・人とのつながりを力に
・強みを知り、強みを磨く
・常に挑戦し、失敗から学ぶ
・フェアに、そして誠実に
④経営理念
・社会の変化に対応し、会社経営の安定と発展に努め、持続可能な社会の実現に貢献する
・誠実な事業活動と先進的な技術の提供により、ステークホルダーの信頼に応える
・社員の人格と個性を尊重し、専門性及び改革心と創造力の高い人財を育成する
⑤行動指針
・法令・ルールを遵守する
・利益ある成長を目指す
・グローバルな企業として社会に対する責任をはたす
・自己の考えを確立し、高い目的意識をもって自己啓発を行い、活力ある組織を創る
・経営者・管理者は自らの責任を全うする
米国経済は、堅調に推移してきたものの、今後の政策展開次第では利下げやインフレ対策など様々な対応による影響が考えられます。欧州経済は、一部製造業に停滞が見られ、所得の増加や金利低下による個人消費の増加で景気には持ち直しの動きが見られましたが低成長にとどまりました。中国経済は、不動産不況に端を発した成長率の鈍化への補助金政策の強化などにより成長率は改善を見せました。欧州、中国ともに米国の追加関税措置により先行き不透明感は解消されず、加えてウクライナ情勢や中東における地政学的リスクも依然解決の糸口が見いだせない状況にあります。
日本経済は、賃金の増加による個人消費の持ち直し、企業の設備投資意欲の拡大、インバウンド需要の増加、政府の経済対策による雇用情勢や家計の改善など好条件はあるものの、追加関税措置に起因する製造業の輸出への影響や円高の進行など下振れリスクも懸念されます。
当社グループの取引に関する業界については、半導体関連は、需給バランスは安定し、電気自動車用途や生成AI用途など先端分野への投資は堅調に推移すると見込まれます。また国内設備投資については、脱炭素・省電力投資、製造業省人化対策、暑熱対策等が堅調に推移し、FA関連の需要は回復し、冷熱ビルシステムの需要は堅調に推移すると見込まれます。
当社グループは、2024年度を最終年度とする中期経営計画「ICHIGAN2024」の達成に向け、「成長事業のビジネスモデルの確立」「基幹中核事業の生産性向上」及び「事業推進基盤の強化」を注力テーマとして取り組んでまいりましたが、中期経営計画で掲げた最終年度の経営目標値(KPI)は、新規事業の収益化の遅れやエレクトロニクス事業での主要取扱製品の販売終了などにより達成できませんでした。
しかしながら、新規事業の柱であるスマートアグリでは、年度後半から黒字化の目途が立つなどスケール化の段階に入り、今後の収益への貢献が期待されるとともに、植物工場ビジネスで培ってきたナレッジを光合成エンジニアリングに展開するなど、新たな価値の創出を着実に進めることができました。
また、基幹中核事業であるFAシステム・冷熱ビルシステム及びエレクトロニクスでは、収益力向上の取り組みにより売上総利益率が改善するなど、「事業創出会社」への変革に向けたこれまでの取り組みが着実に成果を出しつつあり、引き続き収益力の強化に向け取り組んでまいります。
次期の業績の見通しにつきましては、連結売上高2,219億円、営業利益55億円、経常利益56億円、親会社株主に帰属する当期純利益48億円を見込んでいます。
なお、上記の見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。
当社グループは、新中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」をスタートさせました。当計画は、当社が100年企業となる2047年からのバックキャストの視点に加え、これまでの振り返りと反省を踏まえたフォアキャストの視点からも思考し、前中期経営計画である「ICHIGAN2024」を第1次と捉え、「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」を第2次、第3次としてつながりのあるものとしています。
「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」では、新たなビジョンとして「未来を共創するエクセレントカンパニー」を掲げ、全てのステークホルダーと共に価値を創出し、世界に誇れる企業へと進化し続けることを目指します。また、見直しを行ったサステナビリティ基本方針に基づき、企業活動を通じて全てのステークホルダーと共に新たな価値を創出し続けることで「社会的価値」と「経済的価値」を両立させ、持続的な企業価値向上を実現すべく計画を着実に実行してまいります。

・新中長期経営計画の経営戦略
新たな中長期ビジョンを実現するために、「6つの経営戦略」の遂行と3つの強み(価値創出、価値提供、価値 循環)の強化を図ります。

※新中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」の内容は、当社HP(https://www.ryoden.co.jp/corporate/plan)をご覧ください。
■2029年度定量目標
財務目標
非財務目標
※温室効果ガス
■ 成長投資 250億円~350億円(5年間総額)
■ 株主還元 連結総還元性向50%又はDOE3.5%を下限とし、安定的・継続的な配当を実施する。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ共通
①ガバナンス
当社グループのビジョン「未来を共創するエクセレントカンパニー」の実現に向けて、サステナビリティ経営を推進する組織として、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を以下のような体制で設置しています。サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関する方針・戦略・施策の検証・提言を行うとともに、マテリアリティに関する取り組みをモニタリングし、評価・提言等を行います。また、気候変動を含むサステナビリティに関するプラスの事象(機会)の検証やマイナスの事象(リスク)を管理します。
サステナビリティに関する重要事項は、原則として年2回以上開催するサステナビリティ委員会で検証し、経営会議・取締役会に報告しています。審議および報告事項に対し、取締役会から対策が指示され、各取り組みの実効性を高める監督体制としています。
当事業年度は、サステナビリティ委員会において、マテリアリティ特定に関する議論やサステナビリティ基本方針の改定、サステナビリティ推進体制・関連活動状況などについて検討を行い、経営会議・取締役会へ報告をしました。

②戦略
当社グループは企業活動を通じて、全てのステークホルダーと共に新たな価値を創出し続けることで、「社会的価値」と「経済的価値」を両立させ、持続的な企業価値向上を実現すべく、サステナビリティを意識した経営に取り組んでいます。
当事業年度でビジョンの実現に向け、当社グループが取り組むべき課題について、社会の持続可能性への貢献度(社会的価値)と、自社の事業への重要性(経済的価値)の双方の視点から、当社グループが優先すべき重要課題として新たに6つのマテリアリティを特定しました。これらのマテリアリティに対して事業を通じて解決に取り組んでいきます。
なお、詳細につきましては、当社グループのホームページをご参照ください。 (https://sustainability.ryoden.co.jp/materiality/)
③リスク管理
当社グループは、担当の役付執行役員を委員長とする「事業リスク委員会」にて、サステナビリティ課題を含む全体のリスクを管理し、取締役社長を委員長、役付執行役員を委員とする「リスクマネジメント統括委員会」にて、指示・監督をしています。「事業リスク委員会」では、当社グループ全体のリスク分析を行い、そのリスクを軽減するために、発生可能性と影響度等を勘案し各対策の立案及び実施状況の確認をしています。詳細につきましては、第2 事業の状況 3 事業等のリスク をご参照ください。
また、当事業年度では、全体的なリスク管理・対応が行えるように、新たにサステナビリティ委員会とリスクマネジメント統括委員会と連携していく体制を構築しました。今後は両委員会が連携し、リスク管理を行っていきます。
④指標と目標
当社グループは、ビジョンの実現に向け、6つのマテリアリティの解決に取り組むために各マテリアリティに対し経営戦略を立て、目標を設定しています。
なお、サステナビリティに関する指標及び目標の詳細につきましては、 (2)気候変動 ④指標と目標をご参照ください。
(2)気候変動
①ガバナンス
カーボンニュートラルへの取り組みの加速が問われている顧客からのニーズ及び自社の温室効果ガス排出に対する責任を自覚し、気候変動への対応を経営の重要課題と位置付け、サステナビリティを重視した経営を行っています。
なお、気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ共通のガバナンスに組み込まれています。詳細につきましては、(1)サステナビリティ共通①ガバナンスをご参照ください。
②戦略(気候変動関連のリスクと機会)
当社グループは、「地球環境との共生」をマテリアリティの一つに位置づけ、重大な影響を及ぼす気候変動課題のリスク及び機会を特定・評価しています。当社グループの顧客にとって、カーボンニュートラルは喫緊の課題であり、「事業創出会社」を目指す当社グループにとって、気候変動に対応した商品やサービスの提供は好機であると考えます。そのため、当社グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、持続可能な成長に向けて、成長機会の取り組み及びリスクへの対応を行っています。
具体的には、当社グループに影響をもたらす気候関連のリスク・機会を洗い出し、脱炭素シナリオ(1.5~2.0℃シナリオ)および気候変動進行シナリオ(4.0℃シナリオ)を設定しています。脱炭素社会への移行に向けた規制強化といった移行リスクについては脱炭素シナリオ(1.5~2.0℃シナリオ)を、気候変動進行に伴う異常気象の増加といった物理リスクについては気候変動進行シナリオ(4.0℃シナリオ)をそれぞれ参照し、評価しています。
シナリオ
(A)気候関連のリスク及び機会
脱炭素シナリオ・気候変動進行シナリオをもとに当社グループの事業に与えるリスク及び機会に関して、以下の項目を抽出しました。抽出したリスク及び機会の項目が事業に与える影響を定性・定量評価し、対応策を策定・推進しています。
なお、当社グループではリスク・機会の「発生可能性」及び「影響度」について、「発生可能性」が4以上、「影響度」が4以上のリスク・機会を重大な影響と定義しています。
気候変動に関するリスク・機会についても、最終的には財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重要な影響をもたらす可能性が考えられるため、同様に「発生可能性」及び「影響度」でリスク・機会の特定と評価を行っています。「発生可能性」及び「影響度」の詳細につきましては、第2 事業の状況 3事業等のリスクをご参照ください。
(B)シナリオ分析
抽出したリスク及び機会に関しては、設定したシナリオに基づき、以下の項目に関してシナリオ分析を実施しました。
(a)法規制強化による自社のエネルギーコストの増加
「法規制強化による自社のエネルギーコストの増加」のリスクに関して、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオを活用し財務面への影響を評価しています。1.5℃シナリオの場合、炭素価格の上昇により、財務面に一定の影響があると想定されます。
当社グループとして、再生可能エネルギーの利用等の推進のほか、電力を大量に使用する植物工場においては、最適制御等によるエネルギー効率化を進めています。こうした取り組みを進めることで、法規制強化による影響を低減可能と考えています。
※為替レート:1USD=130円で算出
※上記シナリオは、当社単体に加え、国内連結対象会社(テクノフォート、ブロックファーム)及び海外連結対象会社(7社)を対象範囲として検討しました。
③リスク管理
当社はサステナビリティ委員会にて、重大な影響を及ぼす気候変動を含むサステナビリティ課題のリスク及び機会を特定・評価、対応を審議し、委員長(取締役社長)から経営会議・取締役会へ報告します。取締役会では、気候変動を含むサステナビリティリスク及び機会への対応を承認・監督し、経営会議からサステナビリティ委員会へ指示を行います。
④指標と目標
当社グループは、自社の温室効果ガス排出に対して責任を持ち、削減していく必要があると認識しております。マテリアリティ「地球環境との共生」では、取り組みに対する指標として温室効果ガス排出量削減率を掲げています。
2022年目標設定以後、算定範囲に変更があったため、当事業年度で新たに温室効果ガス排出削減目標を策定しました。この削減目標のもと温室効果ガス排出量削減の取り組みを推進していきます。
温室効果ガス排出削減目標
※温室効果ガス排出量算定範囲は、単体、国内連結対象会社、海外連結対象会社が対象
基準年排出量
※2023年度の基準年排出量は有価証券報告書提出時点での数値を記載しております。現在、SBT認定取得に向け、審査対応中のため基準年排出量の数値が変わる可能性がございます。
2024年度温室効果ガス排出量(Scope1+2)
※連結子会社2社(ブロックファーム・ファームシップ)にて会計期間の変更があったため、連結子会社2社に関しては15ヶ月(2024年1月~2025年3月)の期間で算定をしております。
※2024年度の温室効果ガス排出量の数値は有価証券報告書提出時点での暫定値を記載しております。
確定値は9月末に当社ホームページ「ESGデータ集」(https://sustainability.ryoden.co.jp/data/)にて開示を予定しております。
※Scope2は、マーケット基準での開示となります。
※温室効果ガス排出量の削減には、当社保有の栗原太陽光発電(宮城県栗原市)由来のトラッキング付き非化石証書を活用しております。
(3)人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りであります。
①人財育成方針
当社は、「事業創出会社」への進化を人財面から力強く支えるために、人的資本への投資を経営の最優先課題として位置づけております。企業の持続的な成長と価値向上には、人財の質的な進化が不可欠であるとの考えのもと、社員一人ひとりの成長を支援し、組織全体の活力を高めるための環境整備を積極的に進めてまいります。
②環境整備方針
(a)事業戦略を実践する為の多様な人財確保と育成
(ア)経営・事業戦略の変化に応じた、人財マネジメントの構築
・事業ポートフォリオに即した人財ポートフォリオの構築
当社では、経営・事業戦略の達成に向け、各事業部門と連携しながら中長期的な「人財ポートフォリオ」を見直して参ります。各事業で必要な人員構成・スキル要件を可視化し、人財の充足率を高めることで、各事業の戦略実行をサポートしていきます。
・経験やスキルを最大限発揮できる環境を整備し、社員の価値を最大化
現在の職能資格や役割等級型制度から、2027年度にジョブ型制度の要素を取り入れた新人事制度導入を図り、社歴等にとらわれない柔軟な人事制度への転換を進めています。これにより、経営戦略遂行に向けた「適所適材」の人員配置を実現し、企業競争力の最大化を図っていきます。
・新卒採用とキャリア採用の見直しによる、事業戦略推進に必要な人財プールを確保する。
人事部門が経営戦略と連動し、新卒採用とキャリア採用を戦略的に組み合わせることで、優秀な人財の母集団を拡大し、企業全体への人財供給力を強化しています。また、高度な専門性を持つ人財の獲得を一層推進し、各事業部門の成長と競争力強化に貢献してまいります。
・多様性・専門性を備えた人財の活躍推進
性別・年齢・国籍・障がい・キャリア背景など多様なスキルや価値観を持つ社員が専門性を最大限発揮できるよう、処遇制度の見直しや柔軟な働き方の導入を進めています。多様な人財が活躍できる環境づくりを通じて、組織全体の視野や発想の幅を広げ、持続的な競争力強化に取り組んでいます。また、スキル装備率やロールモデルの可視化を推進し、挑戦意欲を持つ社員が自ら成長できる環境を整備し、組織全体のイノベーション創出と持続的な企業価値向上を目指しています。
(イ)企業文化変革と多様な人財確保の取組による組織競争力強化
・中長期的業績貢献に報いる、新たな人事制度の設計・導入
2027年度に導入を計画する新人事制度では、「未来に向けて現在頑張る人に報いる」をコンセプトとし、ジョブ型人事制度の要素を取り入れ、年齢や社歴にとらわれない公平な処遇運用を徹底し、バランスドスコアカードを業績評価に導入し、失敗を恐れずチャレンジする姿勢を積極的に後押しする評価制度の構築・運用し、挑戦意欲の高い社員の成長を後押しし、組織全体の競争力向上を目指しています。
・パーパス及び新中長期経営計画の理解浸透
社員が自らの役割と企業パーパスを結び付けられるよう、「MYパーパス」や「MY中計」の言語化、成長対話の導入を推進します。これにより、社員一人ひとりが自身の役割を明確に認識し、自発的な行動につなげる仕組みを構築することで、経営理念の浸透と従業員エンゲージメントの向上、さらには企業価値の持続的な向上を目指しています。
・学校などの教育機関、人財紹介会社などと深い関係性を構築し、人財の獲得機会を広げる。
大学・高等専門学校等の教育機関やエージェントなどと深いパートナーシップを構築することで、優秀な人財の獲得機会を拡大し、多様な人財への接点を広げるとともに、高度専門人財の採用を推進し、質・量両面で人財供給力を高めています。
また、障がい者雇用にも継続的に取組んでおり、当社でやりがいを感じ働き続けられるよう、応募者一人ひとりが求める業務内容や働き方に寄り添いながら、その希望を満たす業務が当社で用意できるかを丁寧に検証しながら進めています。24年度は4名の採用を行っており、今後も障がい者雇用を推進してまいります。また、グローバル人財育成の一環として、国内若年層総合職の海外グループ企業への研修派遣や、海外グループ企業スタッフの現地化、国内での外国籍人財の新卒採用活動等を推進しており、25年4月では5名の外国籍人財を新卒採用するなど、多様性とグローバル化を加速しています。
(ウ)社員のキャリア形成と育成プログラムの体系化
・社員一人ひとりが自律的にキャリア構築が進められるための支援、環境を整備
事業・機能(専門性を持つ人財の育成・確保)に必要なスキルの可視化と装備率向上を図り、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援する環境を整備します。自律的キャリア支援の一環として年齢別キャリアプランセミナーを実施しており、社員が自身の成長やキャリアを主体的に描ける仕組みを構築しています。さらに、1on1成長対話とタレントマネジメントを連動させると共に、目標管理制度の活用や、パーパスを体現する社員の紹介を行うことで、パーパスや新中長期経営計画の自分事化を促進し、新たな挑戦を生み出す好循環の実現を目指しています。
(b)社員のライフステージに対応した、働き方の実現
(ア)柔軟な働き方の実現
・働き方の選択肢を増やす取組
在宅勤務、フレックス、時差出勤などを拡充し、時間や場所に捉われず働く事が出来る仕組みを更に充実させます。ワークライフバランス指標は2029年度までに2pt向上、男性の育児休業取得率100%、平均育休取得日数50日を目標にしています。
(イ)健康サポートとデジタル活用の強化
・メンタル面、フィジカル面双方の健康を重視し、外部機関も活用した早期発見・未然防止体制を整備す
る。
ストレス要因の特定と改善、健康意識向上を目的とした各種施策(イベント、健康診断、産業医面談等)を積極的に実施しています。これらの取り組みを通じて、メンタル不調率0.2%以下、平均残業時間5時間以下という厳格なKPIを設定し、社員の健康と生産性向上、持続的な企業価値創出を目指しています。
・タレントマネジメント導入推進により、全社的なデータ駆動型の人事施策を実現する。
2027年度の新人事制度導入と併せてタレントマネジメントシステムの導入を推進し、人財データ分析や最適な人財配置を推進していきます。こうしたデータ駆動型の人事戦略と連動し、人事部員がHRBP機能を担うことで、組織課題の解決や事業戦略の実現に貢献する体制を構築して参ります。
③当社人財への投資費用
人財への投資額としては、2025年度は年間142.7百万円を予定しています(研修費用・研修制度構築に係るコンサル費用)。
(6)指標及び目標
当社グループの人的資本関連の目標数値は次のとおりであります。
当社グループでは、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注)連結(1,451名)の大部分を占めるのは提出会社単体(1,073名)であり、また人事・雇用制度が異なるため、実績の数値は提出会社単体での開示としています。
当社は、当社グループのリスクマネジメントに関する「リスクマネジメント基本規程」を定め、担当の役付執行役員を委員長とする「事業リスク委員会」において当社グループの多面的なリスクマネジメントを行っています。
委員会を構成する各委員は、現在本社管理部門の長・事業本部長です。事業リスク委員会は当社グループ全体のリスクを分析し、発生可能性と影響度等を勘案し、管轄するリスクマネジメント統括委員会にその活動状況などを報告するとともに、主管部門に各対策の立案を指示し、その実施状況を監督します。
体制図については、本有価証券報告書 第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等又は当社「RYODEN REPORT 2024」コーポレート・ガバナンスに記載のとおりです。
「RYODEN REPORT 2024」 https://ir.ryoden.co.jp/library/annual/
(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況
事業リスク委員会は原則年2回開催しており、本委員会では企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントが有効に機能しているかの検証・評価を行います。
当事業年度は2回開催し、自然災害、情報セキュリティ、カントリーリスク、新事業の展開による品質・知的財産権侵害のリスク及び投資リスクなどへの対応・対策について検討・評価しました。
(3)事業等のリスク
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。
なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、リスクの発生可能性及び影響度については、それぞれ以下のように定義しております。
①経済環境の変動に関するリスク
②主要仕入先との関係
③自然災害の発生
④新事業の展開
⑤カントリーリスク
⑥為替レートの変動
⑦在庫
⑧投資
⑨気候変動問題への対応
⑩コンプライアンス
⑪人財の確保と育成
⑫情報セキュリティ
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ紛争の長期化や中東情勢の緊迫化などによる地政学的リスク、各国金融政策を背景とした高インフレが継続するなど、不確実性の高い状況が続きました。米国では高水準の政策金利が維持されるなか、堅調な雇用・所得環境を背景に個人消費は増加し、景気は堅調に推移する一方、欧州では製造業の長期的な不振が足元の成長を鈍化させる要因となりました。また中国では、2024年末にかけ景気刺激策や輸出の増加により回復基調となりましたが、不動産投資や個人消費の低迷が経済成長の課題となり、日本では堅調な個人消費とインバウンド需要の増加を背景に緩やかな回復が続きました。
このような状況下、当社グループは、本年度を最終年度とする中期経営計画「ICHIGAN2024」の目標達成に向け、「成長事業のビジネスモデルの確立」「基幹中核事業の生産性向上」及び「事業推進基盤の強化」に取り組んでまいりました。
当社グループの取引に関する業界では、電子部品・半導体分野は、自動車向けパワー半導体やAI関連製品の需要が堅調に推移しましたが、産業機器用途では在庫調整局面も見られ、中国市場においても不安定な状況が続き低調に推移しました。FA分野では、中国市場でNC関連は好調に推移しましたが、当社の主要顧客である国内の工作機械・半導体製造装置メーカーの中国市場向けの需要が回復せず、低調に推移しました。冷熱ビル分野では、資材の高騰や技術者不足などの影響はあったものの、活況なインバウンドに対応する店舗等への設備投資の増加や省エネ・環境対策設備などが堅調に推移しました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高2,157億90百万円(前期比16.7%減)、営業利益54億83百万円(前期比34.1%減)、経常利益60億10百万円(前期比27.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益47億円(前期比18.1%減)となりました。
セグメントごとの業績の概要及び分析は、次のとおりです。
FAシステム 売上高 481億90百万円 営業利益 13億59百万円
中国市場でNC関連の受注が好調に推移しましたが、当社の主要顧客である国内の工作機械・半導体製造装置メーカーの中国市場向けの需要が回復せず、顧客の在庫調整が継続し、低調に推移しました。
冷熱ビルシステム 売上高 324億29百万円 営業利益 18億23百万円
冷熱分野では、インバウンド需要の拡大に伴い、店舗用エアコン、ルームエアコン、熱源機器等の暑熱対策機器の販売が堅調に推移しました。
ビルシステム分野では、資材価格の高騰や施工物件の延期・工期遅延の影響を受けたことで、エレベーターや搬送機器の販売が低調となりました。
X-Tech 売上高 86億87百万円 営業損失 13百万円
ヘルスケア分野では、大型案件を受注したものの、医療業界全体の設備投資減速の影響を受けたことで、全体としては低調な推移となりました。
スマートアグリ分野では、高付加価値製品戦略の推進により収益を確保することができ、期中後半より単月での黒字化を継続しました。植物工場の市場としては、電気代高騰等の影響を受け引き続き低調ですが、植物工場ビジネスで培ったナレッジを、光合成生物を用いた新たなビジネスに展開することで当社独自のサービスの確立に取り組みます。
ICT分野では、IT機器関連及び、ビデオマネジメントシステムなどの高付加価値製品が堅調に推移しました。
エレクトロニクス 売上高 1,265億36百万円 営業利益 32億69百万円
国内市場では、車載市場は当初見込みよりも比較的堅調に推移し、またデータセンター向けの需要が堅調であったものの、主要取扱製品の販売終了、産業機器市場の受注低迷と顧客の在庫調整局面が続いたことで低調な推移となりました。
海外市場では、民生関連市場はOA機器向けの販売が堅調であったものの、産業機器関連市場や車載関連市場がいずれも低調に推移しました。
通期の業績の見通しとして公表した経営目標値とその達成状況は次のとおりです。
(2)生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 数量は単位、呼称が多岐にわたるため、省略しております。
ア 販売方法
当社グループは、メーカー製造に係る商品をユーザー又は販売店に、また、材料・半製品をメーカー又はユーザーに販売しています。
イ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 販売実績は、受入手数料を含めて計上しています。
2 数量は単位、呼称が多岐にわたるため省略しています。
3 主な販売先への販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(注)パナソニック(株)に対する当連結会計年度の実績は10%未満のため記載しておりません。
(3)財政状態
資産の部は、現金及び預金が140億26百万円増加しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が124億26百万円、電子記録債権が106億38百万円、商品及び製品が79億4百万円減少したこと等により、資産合計は前連結会計年度末比140億32百万円減少し、1,419億95百万円となりました。
負債の部は、電子記録債務が144億46百万円、支払手形及び買掛金が18億77百万円、未払法人税等が9億60百万円減少したこと等により、負債合計は前連結会計年度末比161億62百万円減少し、527億82百万円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益を47億円計上し、為替換算調整勘定が14億39百万円増加した一方、配当金24億74百万円の支払による利益剰余金の減少等により、純資産合計は前連結会計年度末比21億30百万円増加し、892億13百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末比7.0ポイント増加し、62.7%となりました。
(4)キャッシュ・フロー
当社グループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、資金需要に応じた一定の手許流動性を維持しながら、健全かつ効率的な財務活動を行っております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比148億82百万円増加し、333億5百万円の残高となりました。
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、184億53百万円(前年同期比85億11百万円収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益64億73百万円の計上と、売上債権・棚卸資産、並びに仕入債務の減少によるネット資金の増加147億96百万円、未収入金の増加による資金の減少3億10百万円、法人税等の支払23億40百万円によるものです。
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、15百万円(前年同期比6億95百万円収入増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2億31百万円、無形固定資産の取得による支出9億31百万円、投資有価証券の売却による収入7億95百万円、3ヶ月超定期預金の払戻による収入9億54百万円、敷金及び保証金の差入による支出4億82百万円によるものです。
当連結会計年度において財務活動に使用した資金は、42億2百万円(前年同期比19億19百万円支出増)となりました。これは主に、配当金の支払24億69百万円、自己株式の取得による支出10億21百万円、短期借入金の返済4億27百万円、長期借入金の返済2億84百万円によるものです。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、資金需要に応じた一定の手許流動性を維持しながら、健全かつ効率的な財務活動を行っております。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売活動のための商品及び部材等購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであり、営業費用の主なものは人件費及び運賃諸掛であります。
当社グループは、持続的な企業価値の向上と共に株主の皆さまに対する継続的かつ安定的な利益配分を経営の最重要施策の一つとして位置づけ、配当水準の向上と安定化に努めてまいりました。2025 年4月にスタートした新中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029 | 2034」では、株主の皆様に対する利益還元強化の姿勢をより明確化し、更なる拡充を図るため「連結総還元性向」及び「連結株主資本配当率(DOE)」を新たな指標として導入することといたしました。 当社グループは、財務の健全性を堅持するとともに中長期的な企業価値向上に向けた成長投資と株主各位への適正な利益還元を実施してまいります。
株主還元につきましては、短期的な業績に連動させず、中長期的かつ安定的に強化・拡充を図る方針であり、連結総還元性向50%又は連結株主資本配当率(DOE)3.5%を下限として剰余金の配当を実施いたします。 また、自己株式の取得につきましても、株価の動向や財務状況を勘案のうえ実施する予定です。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
2025年3月31日現在における主な代理店契約等は次のとおりです。
(注) 1 全て自動更新です。
2 2005年6月1日から契約の定めに基づき当事者のいずれかから解除されるまでです。
3 2023年1月20日から契約の定めに基づき当事者のいずれかから解除されるまでです。
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発活動状況は以下のとおりです。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1)FAシステム
FAシステムでは、国立大学法人信州大学とバイオミメティクス(生物模倣)のレーザー加工技術に関する共同研究開発を行っています。
当セグメントに係る研究開発費は、
(2)冷熱ビルシステム
該当事項はありません。
(3)X-Tech
X-Techでは、スマートアグリ事業部では、NEDOの「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開
発・社会実装促進プログラム」において革新的省エネ植物工場技術の開発を行いました。
当セグメントに係る研究開発費は
(4)エレクトロニクス
エレクトロニクスでは、ペストコントロールを支援するクラウド型AIサービス(Pescle)の開発、WARXSSの仮想
環境作成時の効率化に向けた研究開発、Brand Maker Enabler株式会社へ拠出等を行いました。
当セグメントに係る研究開発費は