当連結会計年度における世界経済は、米国を中心に緩やかに回復しているものの、中国をはじめとした一部新興国経済は減速基調が続きました。わが国経済は、企業収益の改善を背景に設備投資の増加や雇用・所得環境の好転等、緩やかな回復基調で推移しましたが、資源価格下落の長期化や年明け以降の急速な円高・株安の影響などにより、足もとの景気は厳しい状況となりました。
このような環境の下、当社グループは、海外においては、韓国における非鉄金属部門の取引拡大を目的にアルミ板切断加工・卸売事業会社をグループ会社化し、また、ミャンマーの市場調査・情報収集を目的とした当社支店を同国に開設しました。更にメキシコにおいては、冷間圧造用鋼線の製造・販売会社が稼働を開始し、溶接設備ユニットの製造・販売会社も設立・稼働しました。一方、国内においては新たに非鉄卸売事業会社をグループ会社化するなど、販売体制の強化・拡充を進めてまいりました。このような活動を通じてグローバルビジネス展開の基盤拡充を図り、メーカー商社の特色を活かしたビジネスを積極的に推進してまいりました。
しかしながら、当連結会計年度の業績につきましては、主要需要家である鉄鋼、半導体、空調、電機等各業界向けの取扱いが減少した結果、売上高は791,342百万円(前連結会計年度比9.1%減)、営業利益は5,831百万円(同14.1%減)、経常利益は5,908百万円(同10.1%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,480百万円(同12.4%減)となりました。
事業セグメント別の主な営業状況は、以下のとおりであります。
①鉄鋼
鋼板製品は円安効果により輸出向けの取扱量が増加しましたが、市況の著しい低迷により価格が下落し、国内においては取扱量が減少し、価格も下落しました。線材製品は国内向けの取扱量は微減となりましたが、輸出向けは好調な米国の自動車需要等に支えられ取扱量は増加し、為替の影響により価格も上昇しました。
これらにより売上高は295,790百万円(前連結会計年度比1.1%減)、セグメント利益は3,129百万円(同11.5%減)となりました。
②鉄鋼原料
輸入鉄鋼原料は取扱量が減少し、価格も下落しました。冷鉄源は鉄スクラップの取扱量が増加しました。合金鉄は取扱量が減少しましたが、チタン原料は取扱量が増加しました。
これらにより売上高は240,819百万円(前連結会計年度比21.3%減)、セグメント利益は779百万円(同53.8%増)となりました。
③非鉄金属
銅製品は自動車向け端子材用銅板条、半導体向け銅板条、空調用銅管の取扱量が減少しました。アルミ製品は自動車用アルミ部材、液晶製造装置用アルミ加工品の取扱量は増加しましたが、輸出用缶材、鉄道車両用アルミ部材の取扱量が減少しました。また、非鉄原料は銅・アルミスクラップの取扱量が減少しました。
これらにより売上高は207,948百万円(前連結会計年度比0.8%減)、セグメント利益は1,156百万円(同16.3%減)となりました。
④機械・情報
機械製品は大型圧縮機、金属成膜装置等の取扱いは増加しましたが、タイヤ機械、小型蒸気発電機、電源車等の取扱いが減少しました。情報関連商品は、液晶用電子材料の取扱いは増加しましたが、太陽電池関連機材の取扱いが減少しました。
これらにより売上高は65,001百万円(前連結会計年度比6.2%減)、セグメント利益は689百万円(同6.9%減)となりました。
⑤溶材
溶接材料は造船、建築鉄骨向けの取扱量が増加しましたが、化工機、建設機械向けが減少し、輸出は中国の造船、化工機向けの取扱量が減少しました。溶接関連機器は汎用溶接機、鉄骨溶接ロボットシステムの取扱量が増加しましたが、生産材料は溶剤原料、ステンレスフープ材の取扱量が減少しました。
これらにより売上高は38,593百万円(前連結会計年度比3.9%減)、セグメント利益は212百万円(同55.6%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,692百万円減少し、16,897百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、△2,337百万円となり、前連結会計年度に比べ636百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,640百万円、売上債権の減少額8,911百万円などの増加要因と、仕入債務の減少額12,865百万円などの減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,429百万円となり、前連結会計年度に比べ1,797百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,153百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,568百万円となり、前連結会計年度に比べ553百万円減少しました。これは主に、長期借入れによる収入9,108百万円、長期借入金の返済による支出7,906百万円によるものであります。
販売の状況につきましては、「1.業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。 なお、主要な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱神戸製鋼所 | 330,995 | 38.0 | 271,190 | 34.3 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
今後のわが国経済の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向は続くものの、消費税再増税や円高の進行など下振れ懸念もあり、不透明感が増しつつあります。海外景気につきましても、一部新興国では回復基調は窺えず依然として留意する必要があります。
このような状況の下、当社グループは「神戸製鋼グループの中核となるグローバル商社を目指す」を長期経営ビジョンとし、その実現に向け全体戦略を定め、各施策を推し進めております。平成28年度は新たな中期経営計画の開始年度にあたり、良いスタートをきるためにも、各施策を一層推し進めてまいります。対処すべき課題は以下のとおりです。
①グローバルビジネスの加速
(ⅰ)海外グローバル拠点の拡充
海外3大拠点(米国、タイ、中国)のより一層の充実を進めており、米国拠点と深い繋がりのあるメキシコの販売会社は、自動車産業の成長を背景にビジネス拡大を図っております。タイにつきましては、同国内3カ所の物流拠点を中心に物流ネットワークを構築し、更なるビジネス拡大を図ってまいります。中国におきましても、自動車・液晶パネル業界等への対応強化を図っております。アセアン・インド地域につきましては、シンガポールに設置した地域統括機能の拡充により、域内サポート機能の強化を図ってまいります。
(ⅱ)海外取引比率の向上
海外取引比率を長期的には50%まで高めることを目指してまいります。
②商社機能の強化
国内においては、非鉄金属材料及び加工品の卸売事業会社「中山金属㈱」の株式を取得し、同社の海外子会社3社「Nakayama Co.,(Shanghai) Ltd.」(中国)、「Nakayama Metal Ltd.」(タイ)、「PT. Nakayama」(インドネシア)も含めグループ会社化しました。韓国においても、国内子会社「コベルコ筒中トレーディング㈱」が筒中金属産業㈱の現地法人「KTN Co., Ltd.」の株式を取得し、グループ会社化しました。
メキシコにおいては、冷間圧造用鋼線(CHワイヤー)の製造・販売会社 「Kobelco CH Wire Mexicana, S.A. de C.V.」が稼働を開始しました。また、溶接設備ユニットの製造・販売会社「SC Tech de Mexico, S.A. de C.V.」を設立し、既に稼働を開始しております。引続きM&Aの継続的な実施も含め、事業運営型ビジネスの一層の拡大を図ってまいります。また、メーカー商社として積極的な提案を行うとともに、成長分野への進出を図ってまいります。
③経営基盤の充実
(ⅰ)人材の確保と育成
グローバルビジネスに対応するため、幅広い人材の採用や活用、若手社員の海外派遣研修、ナショナルスタッフの日本研修など、将来に向けた人材の確保と育成を積極的に実施してまいります。
(ⅱ)財務体質の強化
事業運営投資拡大に対応すべく資金調達力の強化、グループ内の資金効率の向上を図るとともに、自己資本の更なる充実を目指してまいります。
(ⅲ)経営システムの充実
各国において幅広く活用できる情報共有環境を整備し、グローバルネットワークの構築を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
(1)経済環境・事業環境リスク
当社グループは、国内を中心に米国及びアジア地域を含めたグローバルビジネスを積極的に展開しております。従って、国内はもとより、米国及びアジア地域の経済環境及び事業環境の変化は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)特定取引先への集中
当社は㈱神戸製鋼所の関連会社であり、当連結会計年度末現在、同社グループは当社の議決権の35.1%(間接所有分を含む)を所有しております。当連結会計年度において、売上高に占める同社への売上高は34.3%であり、また、仕入高に占める同社からの仕入高は30.0%であります。このため同社の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)金利リスク
当社グループは、金利スワップを用いるなど借入金に係る金利の変動リスクの軽減に努めておりますが、急激な金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)為替リスク
当社グループが行う取引には外国通貨建の海外取引が含まれており、為替相場の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、為替予約等を用いるなどの為替リスクを回避する対策を講じておりますが、リスクをすべて排除することは困難であります。また、当社の連結財務諸表には、海外連結子会社等の外国通貨建事業に係る為替換算リスクが存在しております。
(5)商品価格リスク
当社グループが取り扱う商品は多岐にわたっており、相場変動による商品価格リスクを伴うものが含まれております。そのため、商品価格の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)信用リスク
当社グループが行う取引には国内及び海外の取引先に対する売掛債権等についての信用リスクが存在いたします。「信用限度規程」に基づき慎重に与信管理を行っておりますが、取引先の信用状態が悪化し、当社グループに対する債務の履行に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)株価リスク
当社グループは、取引先などの株式を中心に時価のある株式を保有しており、今後の株価動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)事業投資リスク
当社グループは、新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図るため、新会社の設立や既存の会社への投資等を行っております。これらの投資については、社内規程に基づき審査を実施するなど慎重を期しておりますが、投資先企業の企業価値が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)カントリーリスク
当社グループは、貿易取引又は海外投融資の相手国における政策変更、政治・経済等の環境変化により、債権又は投融資の回収が困難になるようなリスクを有しております。想定し得るカントリーリスクについては、各種の情報に基づき慎重に対応しておりますが、特定の国又は地域に関連して回収不能が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、上記以外に有価証券報告書提出日(平成28年6月28日)現在では予測できない事象の発生により、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は204,593百万円となり、前連結会計年度末比13,849百万円減少いたしました。これは、受取手形及び売掛金と前払金の減少が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は41,001百万円となり、前連結会計年度末比342百万円減少いたしました。これは、保有株式の時価の変動による投資有価証券の減少が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は169,877百万円となり、前連結会計年度末比17,968百万円減少いたしました。これは、支払手形及び買掛金と預り金の減少が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は30,466百万円となり、前連結会計年度末比4,218百万円増加いたしました。これは、長期借入金の増加が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は45,250百万円となり、前連結会計年度末比441百万円減少いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、保有株式の時価の変動によりその他有価証券評価差額金が減少したこと及び為替相場の円高に伴い、為替換算調整勘定が減少したことが主な要因であります。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」を参照願います。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照願います。