第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費を下支えに緩やかな成長を続けましたが、中国をはじめとする一部新興国及び資源国等は成長の鈍化が続きました。わが国経済は、昨年11月の米国大統領選後の円安・株高への推移、原料価格の高騰等を背景に、企業収益や雇用環境の改善が見られる等、緩やかな回復基調で推移しましたが、依然として所得環境、個人消費に力強さを欠く状況となりました。

このような環境の下、当社グループは海外において、メキシコの冷間圧造用鋼線の製造・販売会社「Kobelco CH Wire Mexicana, S.A. de C.V.」が本格稼働を開始しました。更に、マレーシアの合金鉄プロジェクト「Pertama Ferroalloys SDN.BHD.」が生産を開始し、中国における電子材料用部品の需要拡大への対応を目的として、中国・蘇州市にあるアルミ加工拠点「神商精密器材(蘇州)有限公司」の設備増強を推し進めました。国内においても、㈱神戸製鋼所より溶材流通会社「エヌアイウエル㈱」を株式取得により子会社化(併せて社名を「エスシーウエル㈱」に変更)するなどの販売体制の強化を進めてまいりました。このような活動を通じてグローバルビジネス展開の基盤拡充を図り、メーカー商社の特色を活かしたビジネスを積極的に推進してまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、売上高は769,481百万円前連結会計年度比2.8%減)、営業利益は4,819百万円同17.3%減)、経常利益は5,248百万円同11.3%減)となり、インド子会社の固定資産減損損失等の特別損失を合計1,121百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2,970百万円同14.7%減)となりました。

事業セグメント別の主な営業状況は、以下のとおりであります。

 

①鉄鋼

鋼板製品は在庫調整が進んだこと等により、国内向けは取扱量が増加しましたが、価格は市況の低迷により下落しました。また、輸出向けは取扱量が減少し、円高の影響等により価格が下落しました。線材製品は国内外ともに取扱量は横ばいでしたが、価格は国内においては下振れ、輸出向けにおいては円高等により、それぞれ下落しました。

これらにより売上高は283,364百万円前連結会計年度比4.2%減)、セグメント利益は2,644百万円同15.5%減)となりました。

 

②鉄鋼原料

輸入鉄鋼原料は価格は横ばいでしたが取扱量は減少しました。冷鉄源も価格は横ばいでしたが、取扱量が減少しました。また、合金鉄、チタン原料は取扱量が減少しました。

これらにより売上高は227,707百万円前連結会計年度比5.4%減)、セグメント利益は1,042百万円同33.6%増)となりました。

 

③非鉄金属

銅製品は地金価格下落の影響を受けましたが、空調用銅管、自動車向け端子材用銅板条、半導体向け銅板条の取扱量が増加しました。アルミ製品は液晶及び半導体製造装置用アルミ加工品の取扱量は増加しましたが、ハードディスク用アルミ板条、鉄道車両用及びOA用アルミ部材の取扱量が減少しました。また、非鉄原料はアルミ地金の取扱量は減少しましたが、銅スクラップ等の取扱量が増加しました。

これらにより売上高は200,061百万円前連結会計年度比3.8%減)、セグメント利益は1,425百万円同23.3%増)となりました。

 

④機械・情報

機械製品は化学会社向けプロセス機器、製鉄所・機械工場向け設備及び部品等の取扱いは増加しましたが、タイヤ機械、建設機械(クレーン)用部品等の取扱いが減少しました。情報関連商品は太陽電池関連機材、ハードディスク関連機材等の取扱いが減少しました。

これらにより売上高は68,170百万円前連結会計年度比4.9%増)となりましたが、国内子会社での追加原価発生等により、セグメント利益は112百万円同83.6%減)となりました。

 

 

⑤溶材

溶接材料は国内の取扱量は建築鉄骨向けが堅調に推移し、建設機械向けは横ばいとなりましたが、造船、化工機向け、輸出が減少したことにより、全体では取扱量が減少しました。溶接関連機器は鉄骨溶接ロボットシステム、汎用溶接機の取扱いが好調に推移しましたが、生産材料は横ばいでした。

これらにより売上高は42,542百万円前連結会計年度比10.2%増)、セグメント利益は271百万円同28.0%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ406百万円減少し、16,490百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、5,875百万円となり、前連結会計年度に比べ8,213百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,126百万円、仕入債務の増加額6,397百万円などの増加要因と、売上債権の増加額11,424百万円などの減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,318百万円となり、前連結会計年度に比べ2,111百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出946百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△4,575百万円となり、前連結会計年度に比べ9,144百万円減少しました。これは主に、長期借入金返済による支出4,396百万円によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

販売の状況につきましては、「1.業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。
なお、主要な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱神戸製鋼所

271,190

34.3

262,437

34.1

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

わが国経済の見通しにつきましては、輸出を中心に改善の動きが見られますが、米国の経済・金融政策に関する動向、英国のEU離脱問題や欧州の政治情勢など、先行きは不透明な状況となっております。

このような状況の下、当社グループは「神戸製鋼グループの中核となるグローバル商社を目指す」という長期経営ビジョンの実現のために、昨年策定した中期経営計画の達成に向け、各施策を推し進めております。対処すべき課題は以下のとおりです。

 

①グローバルビジネスの加速

(ⅰ)海外グローバル拠点の拡充

海外3大拠点(米国、タイ、中国)のより一層の充実を進めており、トランプ政権の政策により不透明感が高まっておりますが、米国拠点と深い繋がりのあるメキシコの冷間圧造用鋼線(CHワイヤー)の製造・販売会社「Kobelco CH Wire Mexicana, S.A. de C.V.」社製品の拡販によりビジネス拡大を図ってまいります。タイにつきましては、神戸製鋼所の線材圧延合弁事業「Kobelco Millcon Steel Co., Ltd.」社製品の販売サポート強化により更なるビジネス拡大を図っております。中国におきましても、神戸製鋼所の自動車パネル用アルミ板材事業「神鋼汽車鋁材(天津)有限公司」社製品の川下物流機能などへの対応強化を図ってまいります。アセアン・インド地域につきましては、地域統括機能の充実により域内サポート機能の強化を図ってまいります。

(ⅱ)海外取引比率の向上

海外取引比率を長期的には50%まで高めることを目指してまいります。

 

②商社機能の強化

国内においては、神戸製鋼所より溶接材料、溶接機器等の商社「エスシーウエル㈱(旧:エヌアイウエル㈱)」の株式を譲受け、グループ会社化しました。マレーシアにおいては、当社も出資しております合金鉄製造事業「Pertama Ferroalloys SDN.BHD.」が生産を開始しました。また、鋼板製品の切断加工・卸売事業会社「森本興産㈱」の株式を取得することにより、経営参画することを決定しました。

引続き投資事業の収益拡大、M&Aの継続的な実施などにより、一層のビジネス拡大を図ってまいります。また、メーカー商社として積極的な提案を行うとともに、成長分野への進出を図ってまいります。

 

③経営基盤の充実

(ⅰ)人材の確保と育成

グローバルビジネスに対応するため、幅広い人材の採用や活用、若手社員の海外派遣研修、ナショナルスタッフの日本研修など、将来に向けた人材の確保、配置、育成を積極的に実施してまいります。また、働き方の多様化に対応した労働環境作り、有給休暇取得の促進、時間外労働時間の削減にも取り組んでまいります。

(ⅱ)財務体質の強化

事業投資拡大に対応すべく資金調達力の強化、グループ内の資金効率の向上を図るとともに、自己資本の更なる充実を目指してまいります。

(ⅲ)経営システムの充実

コンプライアンス、労働安全管理を含めたリスクマネージメントの徹底、コーポレートガバナンスの強化を図ってまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(1)経済環境・事業環境リスク

当社グループは、国内を中心に米国及びアジア地域を含めたグローバルビジネスを積極的に展開しております。従って、国内はもとより、米国及びアジア地域の経済環境及び事業環境の変化は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)特定取引先への集中

当社は㈱神戸製鋼所の関連会社であり、当連結会計年度末現在、同社グループは当社の議決権の35.1%(間接所有分を含む。)を所有しております。当連結会計年度において、売上高に占める同社への売上高は34.1%であり、また、仕入高に占める同社からの仕入高は29.8%であります。このため同社の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)金利リスク

当社グループは、金利スワップを用いるなど借入金に係る金利の変動リスクの軽減に努めておりますが、急激な金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)為替リスク

当社グループが行う取引には外国通貨建の海外取引が含まれており、為替相場の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、為替予約等を用いるなどの為替リスクを回避する対策を講じておりますが、リスクをすべて排除することは困難であります。また、当社の連結財務諸表には、海外連結子会社等の外国通貨建事業に係る為替換算リスクが存在しております。

 

(5)商品価格リスク

当社グループが取り扱う商品は多岐にわたっており、相場変動による商品価格リスクを伴うものが含まれております。そのため、商品価格の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)信用リスク

当社グループが行う取引には国内及び海外の取引先に対する売掛債権等についての信用リスクが存在いたします。「信用限度規程」に基づき慎重に与信管理を行っておりますが、取引先の信用状態が悪化し、当社グループに対する債務の履行に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7)株価リスク

当社グループは、取引先などの株式を中心に時価のある株式を保有しており、今後の株価動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)事業投資リスク

当社グループは、新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図るため、新会社の設立や既存の会社への投資等を行っております。これらの投資については、社内規程に基づき審査を実施するなど慎重を期しておりますが、投資先企業の企業価値が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)カントリーリスク

当社グループは、貿易取引又は海外投融資の相手国における政策変更、政治・経済等の環境変化により、債権又は投融資の回収が困難になるようなリスクを有しております。想定し得るカントリーリスクについては、各種の情報に基づき慎重に対応しておりますが、特定の国又は地域に関連して回収不能が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(10)訴訟等のリスク

当社及び連結子会社の国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続きの対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外に有価証券報告書提出日(平成29年6月28日)現在では予測できない事象の発生により、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は215,602百万円となり、前連結会計年度末比11,008百万円増加いたしました。これは、受取手形及び売掛金と前払金の増加が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は41,908百万円となり、前連結会計年度末比906百万円増加いたしました。これは、保有株式の時価の変動による投資有価証券の増加が主な要因であります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は181,884百万円となり、前連結会計年度末比12,007百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金と預り金の増加が主な要因であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は27,943百万円となり、前連結会計年度末比2,522百万円減少いたしました。これは、長期借入金の減少が主な要因であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は47,682百万円となり、前連結会計年度末比2,431百万円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、保有株式の時価の変動によりその他有価証券評価差額金が増加したことが主な要因であります。

 

(2)経営成績の分析

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」を参照願います。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照願います。