わが国経済の見通しにつきましては、国内の人手不足を背景とした自動化・省力化投資や建設などの設備投資は比較的堅調ではありますが、個人消費は力強さに欠け、また中国経済や液晶・半導体需要の減速による環境悪化の影響により大企業・製造業の景況感が鈍化するなど、不透明感が増しつつあります。
このような状況の下、当社グループは「神戸製鋼グループの中核となるグローバル商社を目指す」を長期経営ビジョンとし、その実現に向け2016‐2020年度中期経営計画を達成すべく各施策を推し進めております。対処すべき課題は以下のとおりです。
①グローバルビジネスの加速
(ⅰ)海外グローバル拠点の機能強化
海外3大拠点(米国、タイ、中国)を中心とした海外拠点の機能強化、日本を含む三国間取引など有機的なビジネス展開を引き続き推進してまいります。北米地域ではメキシコの冷間圧造用鋼線(CHワイヤー)の製造・販売会社 「Kobelco CH Wire Mexicana, S.A. de C.V.」社のビジネス拡大に引き続き注力、また、米国国内でも、好調な自動車産業向けに鉄鋼・非鉄部材の拡販を推進いたします。中国では「蘇州神商金属有限公司」において、自動車パネル用アルミ板材の加工を軸としたアルミ材販売拡大を進めてまいります。アセアン地域では、特にベトナムにおいて、非鉄セグメントを中心にビジネス基盤の強化に取り組んでまいります。
(ⅱ)海外取引比率の向上
海外取引比率を長期的には50%まで高めることを目指してまいります。
②商社機能の強化
非鉄金属セグメントの連結子会社であるコベルコ筒中トレーディング株式会社と中山金属株式会社の両社を、2019年7月に「神鋼商事メタルズ株式会社」として経営統合、グループシナジーの深化による一層の営業力強化を目指します。また、すでに子会社化していた「KTN株式会社」を2019年3月に、「エスシーウエル株式会社」を2019年4月に、それぞれ完全子会社化いたしました。
既投資事業の安定操業と収益拡大を推進するとともに、今後もM&Aを継続的に検討・実施してまいります。また、メーカー商社としてお客様に積極的な提案を行い、次の成長分野を模索し、事業の拡大を図ってまいります。
③経営基盤の充実
(ⅰ)人材の確保、配置、育成
グローバルビジネスに対応するため、幅広い人材の採用や活用、若手社員の海外派遣研修、ナショナルスタッフの日本研修など、将来に向けた人材の確保、配置、育成を積極的に実施してまいります。また、働き方の多様化に対応した労働環境作り、有給休暇取得の促進、時間外労働時間の削減など、働き方改革にも取り組んでまいります。
(ⅱ)財務体質の強化
事業投資拡大に対応すべく資金調達力の強化、グループ内の資金効率の向上を図るとともに、自己資本の更なる充実を目指してまいります。
(ⅲ)経営システムの充実
コンプライアンス、安全・品質・環境を含めたリスクマネジメントの徹底、コーポレートガバナンスの強化を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
(1)経済環境・事業環境リスク
当社グループは、国内を中心に米国及びアジア地域を含めたグローバルビジネスを積極的に展開しております。従って、国内はもとより、米国及びアジア地域の経済環境及び事業環境の変化は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)特定取引先への集中
当社は㈱神戸製鋼所の関連会社であり、当連結会計年度末現在、同社グループは当社の議決権の35.9%(間接所有分を含む。)を所有しております。当連結会計年度において、売上高に占める同社への売上高は33.2%であり、また、仕入高に占める同社からの仕入高は27.7%であります。このため同社の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)金利リスク
当社グループは、金利スワップを用いるなど借入金に係る金利の変動リスクの軽減に努めておりますが、急激な金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)為替リスク
当社グループが行う取引には外国通貨建の海外取引が含まれており、為替相場の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、為替予約等を用いるなどの為替リスクを回避する対策を講じておりますが、リスクをすべて排除することは困難であります。また、当社の連結財務諸表には、海外連結子会社等の外国通貨建事業に係る為替換算リスクが存在しております。
(5)商品価格リスク
当社グループが取り扱う商品は多岐にわたっており、相場変動による商品価格リスクを伴うものが含まれております。そのため、商品価格の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)信用リスク
当社グループが行う取引には国内及び海外の取引先に対する売掛債権等についての信用リスクが存在いたします。「信用限度規程」に基づき慎重に与信管理を行っておりますが、取引先の信用状態が悪化し、当社グループに対する債務の履行に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)株価リスク
当社グループは、取引先などの株式を中心に時価のある株式を保有しており、今後の株価動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)事業投資リスク
当社グループは、新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図るため、新会社の設立や既存の会社への投資等を行っております。これらの投資については、社内規程に基づき審査を実施するなど慎重を期しておりますが、投資先企業の企業価値が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)カントリーリスク
当社グループは、貿易取引又は海外投融資の相手国における政策変更、政治・経済等の環境変化により、債権又は投融資の回収が困難になるようなリスクを有しております。想定し得るカントリーリスクについては、各種の情報に基づき慎重に対応しておりますが、特定の国又は地域に関連して回収不能が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)訴訟等のリスク
当社及び連結子会社の国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続きの対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記以外に有価証券報告書提出日(2019年6月26日)現在では予測できない事象の発生により、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響による中国経済の減速が懸念されましたが、堅調な米国経済に加え、アセアン諸国をはじめとする各国の成長に支えられ、緩やかな回復が続きました。
わが国経済は、年央に自然災害の影響を受けましたが、企業収益の改善を背景に雇用・設備投資に好調な動きが見られるなど総じて堅調に推移しました。
このような環境の下、当社グループは海外では韓国で神戸製鋼所とNovelis Korea LTD.が合弁で設立したアルミ板圧延品の製造会社「Ulsan Aluminum Ltd.」につきまして、同社で使用される原料の供給、及び同社で生産された製品の販売事業を開始しました。中国では、半導体・液晶製造装置用アルミ加工品の需要拡大への対応を目的に、アルミ精密加工会社「神商精密器材(蘇州)有限公司」の第2工場を開設しました。また、自動車パネルアルミ材料の需要拡大への対応を目的に「蘇州神商金属有限公司」の設備増強を実施するなど、グローバルビジネスの基盤拡充を図ってまいりました。
国内では、鉄鋼セグメントにおいて、販売体制の強化を目的に鋼板製品の卸売・加工会社「森本興産株式会社」を株式の追加取得により完全子会社化しました。また、非鉄金属セグメントにおいて、グループシナジーの深化による一層の営業力強化を図ることを目的に、連結子会社であるコベルコ筒中トレーディング株式会社と中山金属株式会社を合併し、「神鋼商事メタルズ株式会社」とする決定をいたしました。このような活動を通じて、メーカー商社の特色を活かしたビジネスを積極的に推進してまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は952,507百万円(前連結会計年度比2.5%増)となりましたが、営業利益は7,922百万円(同2.4%減)、経常利益は8,016百万円(同7.1%減)となり、当社が保有する投資有価証券のうち時価が著しく下落したものを特別損失として1,498百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は5,019百万円(同7.9%減)となりました。
事業セグメント別の主な営業状況は、以下のとおりであります。
①鉄鋼
鋼板製品は国内向け・輸出向けともに取扱量が減少しましたが、価格は市況の影響により上昇しました。線材製品は国内外ともに取扱量は概ね横ばいでしたが、価格が上昇しました。
これらにより売上高は369,002百万円(前連結会計年度比9.0%増)、セグメント利益は4,325百万円(同6.8%増)となりました。
②鉄鋼原料
輸入鉄鋼原料は、価格は堅調に推移しましたが、粗鋼生産量の減少等により取扱量が減少しました。冷鉄源及び合金鉄は、取扱量が増加し価格も上昇しました。チタン原料は取扱量が横ばいとなり、価格は上昇しました。
これらにより売上高は294,619百万円(前連結会計年度比2.8%減)、セグメント利益は1,237百万円(同11.2%減)となりました。
③非鉄金属
銅製品は地金価格変動の影響により売上高が増加しましたが、自動車端子材用銅板条が年間を通じて納期が逼迫したことにより取扱量が減少し、半導体向け銅板条の取扱量も減少しました。アルミ製品は海外での新規ビジネス開始によりアルミ板条の取扱量が増加しましたが、液晶製造装置向け厚板・加工品や鉄道車両向け押出材等の取扱量が減少しました。非鉄原料は銅スクラップの取扱量は減少したものの、アルミスクラップ、アルミ再生塊等の取扱量が増加しました。
これらにより売上高は242,519百万円(前連結会計年度比0.1%減)、セグメント利益は1,694百万円(同22.1%減)となりました。
④機械・情報
機械製品は、大型圧縮機、熱処理炉、建設機械部品、電池用材料等の取扱いは増加しましたが、産業用ブレーキ、ガスプラント機器等の取扱いが減少しました。情報関連商品は、半導体関連装置等が増加したものの、液晶電子材料等の取扱いが減少しました。
これらにより売上高は66,923百万円(前連結会計年度比0.0%減)となりましたが、セグメント利益は1,271百万円(同31.4%増)となりました。
⑤溶材セグメント
溶接材料は、化工機向けが減少しましたが、鉄骨・自動車・建設機械向けは堅調に推移しました。輸出関連は、韓国・中国向けを中心に増加しました。また、溶接関連機器は、国内向け鉄骨溶接ロボットシステムが堅調に推移し、海外向け造船設備の取扱いもあり増加しました。生産材料は、溶剤原料が堅調に推移しました。
これらにより売上高は46,241百万円(前連結会計年度比9.9%増)、セグメント利益は342百万円(同264.1%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
販売の状況につきましては、各セグメントの業績に関連付けて示しております。なお、主要な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は265,373百万円となり、前連結会計年度末比26,068百万円増加いたしました。これは、受取手形及び売掛金と商品及び製品の増加が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は42,217百万円となり、前連結会計年度末比2,150百万円減少いたしました。これは、保有株式の時価の変動による投資有価証券の減少が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は224,174百万円となり、前連結会計年度末比18,852百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金と預り金の増加が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は28,494百万円となり、前連結会計年度末比3,869百万円増加いたしました。これは、長期借入金の増加が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は54,921百万円となり、前連結会計年度末比1,195百万円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことが主な要因であります。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ13,470百万円減少し、5,552百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、△13,268百万円となり、前連結会計年度に比べ13,468百万円減少しました。これは主に、売上債権の増加額17,363百万円とたな卸資産の増加額15,049百万円などの減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,990百万円となり、前連結会計年度に比べ1,310百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,098百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,104百万円となり、前連結会計年度に比べ735百万円減少しました。これは主に、長期借入金の返済による支出6,879百万円によるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部留保、売上債権流動化及び借入により資金調達することとしております。このうち、借入金に関しましては、運転資金は主に短期借入金で、設備などの固定資産は主に固定金利の長期借入金で調達しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。