第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)企業理念

私たちは誠実をモットーに、新しい価値の創造を通じて、豊かな社会づくりと、みんなの幸せをめざします。

 

(2)経営環境、経営方針及び対処すべき課題

世界経済の先行きは新型コロナウイルス流行の長期化を背景に、見通しづらい状況が続いています。米国や欧州においては、経済活動の再開が徐々には進んでいるものの、感染症の再拡大により、景気回復には時間を要すると思われます。政情についても、米中関係等の行方は不透明であります。国内経済は、ワクチン接種による感染抑制や中国を中心とする外需の回復に伴う輸出の増加により生産活動の回復などが見込まれますが、感染症による影響が長引くなかで、消費や設備投資の回復にはなお時間を要するものと想定されます。但し、我が国も含めた世界各国において、積極的な財政・金融政策が実施されており、マネーサプライの増加を背景に金や石油をはじめとするコモディティ並びに地価の上昇がみられ、インフレを背景にした経済の回復傾向も見受けられます。当社グループでは、下期に入り、自動車業界を中心とする各需要が回復してきたことなどから、鉄鋼セグメント及び非鉄金属セグメント、溶材セグメントにおける主要製品の取扱額は概ね回復基調で推移しました。

このような状況のなか、当社グループは2021‐2023年度中期経営計画に基づき、各事業分野における需要動向を的確に把握し、既存ビジネスの深耕とともに国内外で新規取引先を積極的に開拓致します。加えて投資による新規ビジネスの拡大を行い、持続的な成長を実現してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

中期経営計画では、2023年度に経常利益95億円、ROE 9%、ROA 3%を目指してまいります。

 

(4)経営戦略

①収益力の強化

(ⅰ)オーガニックビジネスの深耕と、ノンオーガニックビジネスへの挑戦

当社が培ってきた従来型ビジネス(オーガニックビジネス)の深耕に加え、積極的な投資により獲得する新規ビジネス(ノンオーガニックビジネス)の拡充により、収益力の強化を推し進めます。

オーガニックビジネスでは、鉄鋼、非鉄金属、機械・情報、溶材など各分野において国内外に展開する神戸製鋼のグループビジネスを深化・拡大させると同時に、顧客ニーズに寄り添った営業活動を展開し、より豊かな取扱メニューを取り揃えることによって、顧客への提供価値向上を目指します。

また、ノンオーガニックビジネスでは、M&A、資本提携等を通じて、事業ポートフォリオの拡大・見直しを推進し、次の10年を見据えた新たな成長基盤を構築してまいります。

一方で個々のビジネス採算性を再検証し、低採算ビジネスの抜本的な改善にも積極的に取り組んでまいります。

 

②商社機能の強化

(ⅰ)SDGsに関連する資源循環型ビジネスの拡大

当社は、事業活動そのものが企業の社会的責任と自覚し、事業の持続的発展を図るべく社会的貢献を果たしてまいります。その中でも特に、再生エネルギー向けバイオマス燃料や、冷鉄源や非鉄リサイクル金属の取り扱い等、資源循環型ビジネスを拡大して行くとともに、今後事業化を視野に入れた供給体制の構築を積極的に検討してまいります。

(ⅱ)海外拠点主導のビジネス開拓

海外3大拠点(米国・タイ・中国)をはじめとして、世界各地に展開する当社の海外ネットワークから、新たな海外拠点発信のビジネス開拓に注力します。特にアセアン・インド地域では、域内のM&A・新規投資を推進してまいります。

 

 

③経営基盤の強靭化

(ⅰ)コーポレートガバナンスの強化

取締役会の機能を強化いたします。具体的には社外取締役比率3分の1以上への対応、取締役会実効性評価方法の見直し、経営者サクセッションプランの作成を進めてまいります。また、2022年秋を完成目標として、統合報告書作成の検討を開始いたします。

(ⅱ)新人事制度の導入

当社が存在感を維持し続けながら持続的に成長していくために、環境の変化に応じた多様な働き方を実現し、社員がモチベーションの向上を図ることのできる環境を整え、個々人が実力を発揮することが出来る会社となるよう、新たな人事制度を導入いたします。

新人事制度では、成果に応じたメリハリのある処遇を実現し、ダイバーシティの推進、セグメント横断の人材交流の促進、専門性を重視したキャリアルートの新設、研修制度の充実等をポイントとしており、2022年4月までに同制度への完全移行を目指し準備を進めてまいります。

(ⅲ)リスク管理体制の構築

全社的リスク管理を一元的に統括する「事業リスク管理室」を新設し、系列会社の管理業務支援及び製造会社の安全衛生管理等、グループ会社のリスク管理強化を実施してまいりました。

今後、コンサルタントなどの外部目線も積極的に取り入れ、より高度、かつ強固なリスク管理体制確立を進めてまいります。

(ⅳ)DXの推進

顧客への提供価値の向上を目指し、新しいビジネススキームに対応すべくデジタル化を推し進めてまいります。加えて、業務効率化など社内の業務改革にもデジタル技術を適用してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済環境・事業環境リスク

当社グループは、国内を中心に米国及びアジア地域を含めたグローバルビジネスを積極的に展開しております。従って、国内はもとより、米国及びアジア地域の経済環境及び事業環境の変化は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

なお、今般発生している新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2)特定取引先への集中

当社は㈱神戸製鋼所の関連会社であり、当連結会計年度末現在、同社グループは当社の議決権の35.9%(間接所有分を含む。)を所有しております。当連結会計年度において、売上高に占める同社への売上高は31.7%であり、また、仕入高に占める同社からの仕入高は28.5%であります。このため同社の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)金利リスク

当社グループは、金利スワップを用いるなど借入金に係る金利の変動リスクの軽減に努めておりますが、急激な金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)為替リスク

当社グループが行う取引には外国通貨建の海外取引が含まれており、為替相場の変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、為替予約等を用いるなどの為替リスクを回避する対策を講じておりますが、リスクをすべて排除することは困難であります。また、当社の連結財務諸表には、海外連結子会社等の外国通貨建事業に係る為替換算リスクが存在しております。

 

(5)商品価格リスク

当社グループが取り扱う商品は多岐にわたっており、相場変動による商品価格リスクを伴うものが含まれております。そのため、商品価格の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)信用リスク

当社グループが行う取引には国内及び海外の取引先に対する売掛債権等についての信用リスクが存在いたします。「信用限度規程」に基づき慎重に与信管理を行っておりますが、取引先の信用状態が悪化し、当社グループに対する債務の履行に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7)株価リスク

当社グループは、取引先などの株式を中心に時価のある株式を保有しており、今後の株価動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)事業投資リスク

当社グループは、新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図るため、新会社の設立や既存の会社への投資等を行っております。これらの投資については、社内規程に基づき審査を実施するなど慎重を期しておりますが、投資先企業の企業価値が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)カントリーリスク

当社グループは、貿易取引又は海外投融資の相手国における政策変更、政治・経済等の環境変化により、債権又は投融資の回収が困難になるようなリスクを有しております。想定し得るカントリーリスクについては、各種の情報に基づき慎重に対応しておりますが、特定の国又は地域に関連して回収不能が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)訴訟等のリスク

当社及び連結子会社の国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続きの対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)新型コロナウイルス感染症について

世界的な新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループにおいても、事業を取り巻く環境について先行き不透明な状況が生じております。

この対策として、次のような感染予防に取り組んでおります。

・安全衛生の徹底(マスク着用、手指のアルコール消毒等)

・在宅勤務、時差出勤の推進

・Web会議等の活用

・海外出張の原則禁止

・海外勤務従業員の帰国時、隔離期間中の自宅待機を徹底

今後も動向を注視しながら適宜対策を講じてまいりますが、さらなる感染拡大等、想定を超えるような事態が発生する場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外に有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在では予測できない事象の発生により、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景気が大幅に悪化しましたが、中国経済の早期立ち直りや2020年中頃から米国を中心に各国でも持ち直しの動きがみられ、回復傾向にあります。我が国経済においても、企業収益等で回復傾向にありますが、感染症再拡大の影響により未だ先行き不透明な状況です。

このような環境の下、当社グループは下期に入り、自動車業界を中心とする各需要が回復してきたことなどから、主要製品の取扱額は概ね回復基調で推移しました。新たな取り組みとして、鉄鋼原料セグメントにおけるバイオマス燃料の取扱いや非鉄金属セグメントにおけるリサイクルビジネスなど、環境関連商品の取扱いを積極的に展開してまいりました。また、働き方改革並びに新型コロナウイルス感染症拡大防止の一環として、在宅勤務及び時短勤務の推奨、ウェブ会議システムの積極利用を推進するなど、社員の健康増進、業務効率の向上に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は7,841億60百万円前連結会計年度比16.2%減)となりました。一方、年間を通じた販売管理費の削減効果も寄与しましたが、営業利益は44億54百万円同7.8%減)、経常利益は40億67百万円同3.1%増)となりました。また、投資有価証券評価損や固定資産の減損により、17億19百万円の特別損失を計上しましたが、投資有価証券の売却による特別利益7億29百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億98百万円同34.9%増)となりました。

事業セグメント別の主な営業状況は、以下のとおりであります。

 

①鉄鋼

鋼板製品は、国内向けは取扱量が減少し、価格も下落しました。輸出向けは、取扱量が増加しましたが、価格は下落しました。線材製品は、国内向けは取扱量が減少し、価格は横ばいに推移しました。輸出向けは取扱量が減少し、価格も下落しました。

これらにより、鉄鋼セグメントの売上高は264,226百万円前連結会計年度比17.6%減)となり、セグメント利益は621百万円同136.1%増)となりました。

 

   ②鉄鋼原料

輸入鉄鋼原料は、取扱量が減少し、価格も下落しました。冷鉄源は価格が上昇しました。合金鉄並びにチタン原料は、取扱量が減少しました。

これらにより、鉄鋼原料セグメントの売上高は233,521百万円前連結会計年度比21.6%減)となり、セグメント利益は316百万円同52.5%減)となりました。

 

    ③非鉄金属

銅製品は、半導体向けリードフレームの取扱量が増加しましたが、空調用銅管並びに自動車向け端子用銅板条の取扱量が減少しました。アルミ製品は、店売り向けアルミ板条の取扱量が増加しましたが、自動車向けアルミ板条、液晶製造装置向け加工品の取扱量が減少しました。非鉄原料は、銅スクラップ、アルミスクラップ及びアルミ再生塊の取扱量が減少しました。

これらにより、非鉄金属セグメントの売上高は185,556百万円前連結会計年度比9.4%減)となり、セグメント利益も1,853百万円同32.8%増)となりました。

 

   ④機械・情報

機械製品は、熱処理炉、建設機械部品等の取扱いは減少しましたが、圧延設備、電池材料の取扱いが増加しました。情報関連商品は、液晶用材料の取扱いが減少しましたが、ハードディスク関連機器の取扱いが増加しました。

これらにより、機械・情報本部の売上高は64,836百万円前連結会計年度比4.6%減)となり、セグメント利益は1,225百万円同5.1%減)となりました。

 

   ⑤溶材

溶接材料の取扱量は、国内は化工機向けが横ばいに推移しましたが、造船、鉄骨、自動車、建設機械向けが減少し、輸出関連も減少しました。溶接関連機器は、鉄骨溶接ロボット、汎用溶接機の取扱いが減少しました。生産材料は、溶剤原料の取扱量が国内外ともに減少しました。

これらにより、溶材セグメントの売上高は35,843百万円前連結会計年度比19.5%減)となり、セグメント利益は143百万円同61.8%減)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

販売の状況につきましては、各セグメントの業績に関連付けて示しております。なお、主要な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱神戸製鋼所

316,432

33.8

248,324

31.7

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は240,123百万円となり、前連結会計年度末比1,033百万円減少いたしました。これは、受取手形及び売掛金と商品及び製品の減少が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は46,109百万円となり、前連結会計年度末比2,789百万円増加いたしました。これは、長期貸付金と保有株式の時価変動による投資有価証券の増加が主な要因であります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は202,286百万円となり、前連結会計年度末比1,368百万円増加いたしました。これは、前受金とその他流動負債に含まれる預り金の増加が主な要因であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は26,761百万円となり、前連結会計年度末比2,226百万円減少いたしました。これは、長期借入金の減少が主な要因であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は57,185百万円となり、前連結会計年度末比2,614百万円増加いたしました。これは、保有株式の時価の変動によりその他有価証券評価差額金が増加したことが主な要因であります。

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5,829百万円増加し、22,432百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、14,894百万円前連結会計年度は12,747百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,076百万円、たな卸資産の減少額5,783百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△2,048百万円前連結会計年度は3,608百万円の支出となりました。これは主に、豪州炭鉱の設備投資と中国のアルミコイルセンターである「蘇州神商金属有限公司」の設備投資などの有形固定資産の取得による支出1,549百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△6,825百万円前連結会計年度は1,977百万円の収入)となりました。これは主に、米国子会社が銀行からの借入を返済したことなどによる短期借入金の純減額4,489百万円によるものです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部留保、売上債権流動化及び借入により資金調達することとしております。このうち、借入金に関しましては、運転資金は主に短期借入金で、設備などの固定資産は主に固定金利の長期借入金で調達しております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。その他重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

該当事項はありません。