第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「誠実と信用」「進取と創造」「人間尊重」の三つを経営理念としております。社会的存在としての企業にとり継続性は主要な命題のひとつと考えますが、「誠実と信用」の理念のもと、当社グループは「産業とくらし」分野における技術専門集団として、長年にわたり株主様や取引先様をはじめ多くのステークホルダーから厚い信頼をいただいております。

 創業以来350年の長い歴史と伝統をもつ当社グループは、「進取と創造」の理念のもと、経営環境の変化に臨機に対応し、常に積極果敢の経営を心掛けております。

 また、当社グループは「人間尊重」をあらゆる企業活動の基本と位置づけ、CS(顧客満足度)向上を最優先とする経営戦略を展開し、多くのお客様からご支持をいただいております。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 今後のわが国経済につきましては、国内においては人口減少による市場規模の縮小や少子高齢化による労働力不足が懸念されます。工業分野では、一部で一服感がみられるものの、好調な企業業績を背景に設備投資意欲は底堅く推移するものと思われます。また、建設・住宅分野では、老朽化した設備の改修や災害対応などの国土強靭化や東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備などにより、緩やかな景気回復は継続するものと思われます。

 海外においては、米中貿易摩擦の影響などにより、世界経済の不透明感はあるものの、米国や中国における経済成長は継続し、新興国においても景気の回復傾向が続くと見込まれます。

 また、当社グループのビジネスフィールドである「産業とくらし」の分野では、IoTやロボット、AIを活用した劇的な進化がスピードを増して変革をもたらすものと思われます。

 このような状況の中、当社グループは「ものづくり」や「くらし」の分野におけるコーディネーター的存在として、ロボットの活用を含めた自動化・省人化の流れ、人工知能(AI)・IoTなどの情報技術の進化、EC(電子商取引)ビジネスのさらなる拡大、EV(電気自動車)・自動運転の急速な開発・進展などの環境変化を的確に捉え、これらを大きなビジネスチャンスとして迅速に対応するとともに、農業、介護・医療分野を中心とした新たな柱となる事業分野の開拓を進め、次なるステージに向けた着実な一歩を歩んでまいります。

 また、当社グル―プの経営理念のもと、企業価値を高め持続的成長・発展を目指し、ESGへの取組みを推進するとともに、持続可能な社会・環境の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)に対する関心・ニーズに応えるソリューション提案に取り組んでまいります。

 

(ユアサビジョン360 2026年(創業360周年)のビジョン)

 当社は、創業360周年を迎える2026年のあるべき姿を「ユアサビジョン360」とし、業界トップレベルの収益構造を持つ複合専門商社グループへの成長を目指してまいります。

 「ユアサビジョン360」の定量目標としては、2026年3月期には連結売上高6,000億円、連結経常利益200億円、経常利益率3.3%以上を目指します。

 「ユアサビジョン360」の達成までの道のりを3つのステージに分け、その第1ステージとなる3カ年の中期経営計画「Growing Together 2020」では「コア事業の機能強化」と「成長事業の再強化」を推進してまいります。

 第1ステージの最終年度となる2020年3月期の定量目標を売上高5,000億円、経常利益150億円、経営指標としては自己資本純利益率(RОE)12.2%、連結株主還元率33.0%といたしております。

《ユアサビジョン360》(2026年(創業360周年)のビジョン)

業界トップレベルの収益構造を持つ複合専門商社グループへと成長する

2026年

定量目標

売上高:6,000億円・経常利益:200億円

経常利益率:3.3%

成長事業

戦略

中期経営計画の第1ステージである「Growing Together 2020」の進捗や事業環境の変化に応じて、第2ステージ(2020年~2023年)、第3ステージ(2023年~2026年)にて新たな成長事業の追加を含めたローリング(見直し)をすすめてまいります。

経営指標

ROE:11.7%・連結株主還元率:33.0%

(年間投資枠:当期純利益の1/3)

 

(Growing Together 2020の基本方針)

 中期経営計画「Growing Together 2020」の基本方針は、「コア事業の機能強化」「成長事業の再強化」「経営基盤の強化」の3つを定めております。

 「コア事業の機能強化」では、既存機能の強化策としてエンジニアリング機能とロジスティクス機能を強化しつつ、新機能の開発として情報発信機能を強化いたします。「成長事業の再強化」では、新たにロボ(AI)&IoT事業、新流通事業を加えて再強化してまいります。「経営基盤の強化」では、人材育成、情報インフラ整備、自己資本の充実など財務の健全性維持、内部統制機能強化に注力するとともに、「ESG」「SDGs」の取組みに向けた体制を構築してまいります。

 

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■コア事業の機能強化

◆ エンジニアリング機能の強化

・ロボットエンジニアリング機能、施工(工事)機能、メンテナンス機能強化、情報発信機能強化

◆ 営業力強化に向けた組織改革

・物流トータルソリューション部による物流業界でのプレゼンス向上と売り上げ拡大

・スマートエネルギー部の全国展開により、太陽光発電・周辺機器の拡販に注力

◆ ロジスティクス機能の強化

・新ECサイト「Growing Navi」稼働後の在庫の充実、サービスの向上へ向け、ITを活用したロジスティクス機能の全国展開を図る

・ロジスティクス戦略室の新設により、在庫物流機能の強化と物流業務の効率化を図る

◆ M&Aの活用

・コア事業の機能強化・シナジーの発揮や成長事業の競争力強化などを目的に積極的に検討

 

■成長事業の再強化

◆ 海外事業の業績指標と主な実績・施策

海外事業の業績指標

主な実績・施策

2019年3月期売上高実績    414億円

2023年3月期売上高目標    740億円

《主な実績》

(工業分野)

◆ ベトナムでの現地資本企業への販売拡大

◆ 中国での工場用空気清浄機の拡販

◆ 生産の自動化などの提案営業力を強化し、産業用ロボットを拡販

(住環境分野)

◆ タイの現地法人を核に、エンジニアリング機能を活かした省エネ設備の納入

(建設分野)

◆ マレーシアの現地法人を核に、東南アジアで産業用レンタル商材や建設機械の販売を拡充

《施策》

海外現地資本企業への販売体制の強化

   ・海外戦略室を新設

   ・海外駐在要員の選抜・育成制度新設

   ・海外ローカル人材採用拡大や育成などの海外営業力を強化

   ・海外現地資本企業向けの与信管理及びルールの策定

 

◆ ロボ(AI)&IoT事業の業績指標と主な実績・施策

ロボ(AI)&IoT事業の業績指標

主な実績・施策

2019年3月期売上高実績    58億円

2023年3月期売上高目標    170億円

《主な実績》

(ロボット)

◆ 生産ラインの自動化ニーズに応える産業用ロボットの販売に注力

◆ 追従運搬ロボット、パワーアシストスーツの提案

(IoT)

◆ 遠隔監視機能搭載ボイラーの販売

◆ IoTと住宅設備機器を連携させたオリジナル商品の開発

《施策》

◆ ロボットエンジニアリング㈱を中心とした機能の強化(システム提案・設計・構築・アフターサービス)

◆ 各種ロボットの取扱い拡充

◆ IoT搭載機器の拡大とIoT関連商材の開拓へ向けた取組み

 

◆ 環境・エネルギーソリューション事業の業績指標と主な実績・施策

環境・エネルギーソリューション事業の業績指標

主な実績・施策

2019年3月期売上高実績    202億円

2023年3月期売上高目標    250億円

《主な実績》

◆ 太陽光発電出力制御ユニットの開発及び蓄電池・パワーコンディショナの拡販

◆ エネルギーの自家消費対応へ蓄電池提案

◆ 農地におけるソーラーシェアリング提案

◆ 東南アジアの工場へ省エネ設備導入

《施策》

◆ 電気自動車対応蓄電池の提案強化

◆ ZEH・ZEBへの対応

◆ 各企業のESG・SDGsに対する関心・ニーズに応えるソリューション提案

 

◆ 新流通事業の業績指標と主な実績・施策

新流通事業の業績指標

主な実績・施策

2019年3月期売上高実績    113億円

2023年3月期売上高目標    190億円

《主な実績》

◆ 新ECサイト「Growing Navi」稼働

《施策》

◆ 幅広い分野の多様な商品ラインナップと多様な検索機能により業務の効率化を図り、トレードビジネスを拡大

 

 

 

◆ レジリエンス&セキュリティ事業の業績指標と主な実績・施策

レジリエンス&セキュリティ事業の業績指標

主な実績・施策

2019年3月期売上高実績    190億円

2023年3月期売上高目標    240億円

《主な実績》

(レジリエンス)

◆ 防災関連PB商品の開発

◆ 耐震診断、商材販売及び補修工事

◆ 持ち運び可能な蓄電池の拡販

(セキュリティ)

◆ 工場・住宅・建設現場向けのセキュリティ商品の提案

《施策》

◆ 新たな販売チャネルの開拓

◆ 新商材の発掘・展開

◆ 「環境+防災+IoT」を活用したインフラ商材など新商品の開発

 

◆ 次なる成長事業の発掘・育成

● 新市場への挑戦

これまでコア事業で扱ってきた商品・サービスを農業分野や介護・医療分野など、当社にとって新しいマーケットへ展開

● 次なる成長事業の発掘・育成

新たに設けた新事業開発部を中心に、スピード感をもって新事業を発掘・育成

・新ECサイト「Growing Navi」稼働による生産性の向上を図るとともに、「ものづくり」や「くらし」分野におけるコーディネーター的存在として、提案営業力を強化

・当社が培ってきた商品力、ネットワーク、知見など総合力を活かし、自律走行型協働ロボットなどの共同開発

■経営基盤の強化

 経営基盤の強化につきましては、次期経営層の育成プログラムや女性活躍検討プロジェクトを始動させ、マネジメントや成長事業を担う人材の増強・育成を推進しております。また、新ECサイト「Growing Navi」強化の二次開発や生産性向上に向けた営業支援ツールの導入を加速させるなど、積極的な情報インフラ投資を進めてまいります。さらに、自己資本の充実と内部統制の機能強化を推進し、「ESG」「SDGs」の取組みに向けた体制を構築するなど経営基盤の強化を図ってまいります。

 

 当社グループはこれらの施策を通じ、お取引先さまと「ともに」成長分野・事業を開拓し、「ともに」成長する当社グループのありたい姿の具現化のため、「機能強化」と「成長事業の再強化」を追求し、コア事業と成長事業の双方で稼ぐ収益構造への改革を目指す中期経営計画「Growing Together 2020」目標達成に向け邁進し、業界トップレベルの収益構造を持つ複合専門商社グループへの成長を目指す「ユアサビジョン360」を実現してまいります。

 

 なお、当社は、いわゆる「買収防衛策」を現時点では導入しておりませんが、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容の概要は次のとおりであります。

1.基本方針の内容について

 当社は、当社株式について大量取得を目的に買付けがなされる場合、または当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされる場合、それに応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるものと考えております。

 また、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、様々なステークホルダーとの信頼関係を維持し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、継続的に向上させていくことを可能とする者である必要があると考えております。

 当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するもの、株主が買付けの条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件より有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものが存する可能性があります。当社は、このような大規模な買付行為等を行う者またはグループは、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令及び定款によって許容される範囲において当社グループの企業価値または株主共同の利益の確保・向上のための適切な措置を講じることを、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針といたします。

 

2.企業価値・株主共同の利益の確保・向上に向けた取り組みについて

(1)当社グループは、2026年の創業360周年を見据えた「ユアサビジョン360」の実現のための第1ステージとして、「コア事業の機能強化」「成長事業の再強化」「経営基盤の強化」の3つを基本方針とする中期経営計画「Growing Together 2020」を2017年3月に策定し、業界トップレベルの収益構造を持つ複合専門商社グループへと成長を目指して、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に取り組んでおります。

(2)当社は、株主、投資家の皆様から負託された責務として、当社の株式取引や異動の状況を注視し、当社株式を大量取得しようとする者が出現した場合には、社外の専門家等を中心とする委員会を設置し、当該買収提案の評価や買付者との交渉を行うとともに、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない場合には、具体的な対抗措置の要否及び内容等を速やかに決定し、実行する体制を整えます。

3.上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

 当社の株式の大量取得を目的とする買付けについては、当該買付者の事業内容及び将来の事業計画並びに過去の投資行動等から、当該買付行為または買収提案の当社企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に判断する必要があると認識しておりますが、具体的な対抗措置が必要な場合は、それが①上記基本方針に沿い、②当社の株主の共同の利益を損なうものでなく、③当社の役員の地位の維持を目的とするものでないことを充足する必要かつ妥当な措置を講じるものとします。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社および当社グループが判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクについて、主な事項を記載しております。なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 景気変動リスク

 当社グループは産業設備関連投資や新設住宅着工戸数等の建設投資の動向と密接な関連性を有しております。当社グループは新領域及び海外などの新市場の拡大に注力いたしておりますが、上記経済動向に予想外の変動があった場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 株価変動リスク

 当社グループは取引先を中心とした市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。これらの株式は中長期的な保有を目的としており、適宜、当社の有価証券投資に関するガイドラインに基づき保有株式の見直しを行っておりますが、株価変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 金利変動リスク

 当社グループの有利子負債には、変動金利条件となっているものがあり、総資産に占める借入依存度は低いものの、今後の金利動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、金利変動リスクを回避する目的で、有利子負債の変動金利から固定金利への転換等を行う場合があります。

 

(4) 信用リスク

 当社グループは、多様な営業活動を通じて国内外の取引先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。当社グループでは社内管理規程等に基づく与信管理を行い、リスクの軽減に努めておりますが、取引先の予想外の諸事情による債務不履行等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替変動リスク

 当社グループは、外貨による輸出入取引において、為替予約を用いて為替レートの変動リスクの軽減に努めておりますが、為替レートの変動によって当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外現地法人を有しており、連結財務諸表作成の際の為替換算レートの変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) コンプライアンスリスク

 当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職等腐敗行為防止のための諸法令、独占禁止法、外為法を含む貿易関連諸法や建築基準法や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲にわたっております。これらの法令・規制を遵守するため、当社グループでは倫理方針、行動規範を定めるとともに、代表取締役社長の直轄組織である倫理・コンプライアンス委員会を設け、グループ全体のコンプライアンスの徹底及び指導を図っております。しかしながら、このような取組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 情報システム・情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ運用細則を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、さらには、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 製造物責任リスク

 当社グループは、生活家電の製造・販売事業を行っております。これら商品の品質管理には万全を期するとともに製造物責任保険も付保しておりますが、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) カントリーリスク

 当社グループは、海外における取引や海外での事業活動を行っております。これら海外の取引相手国における政策変更、政治・経済等の環境変化により、債権または投融資の回収が困難になるようなリスクを有しております。想定し得るカントリーリスクについては、各種の情報に基づき慎重に対応し、貿易保険を付保するなど、リスクの管理・ヘッジに努めておりますが、特定の国または地域に関連して回収不能が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)自然災害等リスク

 地震や大規模な水害などの自然災害や新型インフルエンザ等の感染症の流行の予期せぬ事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力等の供給停止等により、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、事業活動の継続のために、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの作成、耐震対策、防災訓練等の対策を講じておりますが、自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症による被害を完全に回避できるものではなく、これらの被害が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、自然災害の頻発による影響はあったものの、政府や日銀による経済政策や金融政策を背景に、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調が続きました。

 工業分野では、一部で減速感がみられましたものの、堅調な設備投資意欲により工作機械などの新規・更新需要が引き続き伸長しました。建設・住宅分野では、貸家を中心に減少傾向が続いたものの、都市部における再開発事業などの民間設備投資、国土強靭化計画による公共投資も引き続き堅調に推移しました。海外では米中貿易摩擦問題の影響により、中国市場は減速基調となったものの、米国の景気回復は継続しており、タイ、インドネシア、ベトナムなどのアジア新興国では緩やかな回復がみられました。

 このような状況の中、当期は「業界トップレベルの収益構造を持つ複合専門商社グループに成長する」ことを目指す「ユアサビジョン360」の第1ステージである3カ年の中期経営計画「Growing Together 2020」の2年目を迎えました。「コア事業の機能強化」「成長事業の再強化」「経営基盤の強化」を基本方針とし、エンジニアリング機能、ロジスティクス機能、情報発信機能などのコア事業の強化に引き続き注力いたしました。「成長事業の再強化」では、グローバル成長を目指す「海外事業」、「ロボ(AI)&IoT事業」や電子商取引拡大に対応する「新流通事業」、「環境・エネルギーソリューション事業」、「レジリエンス&セキュリティ事業」の5分野を成長事業として、育成・強化に取り組みました。また、次なる成長事業の発掘・育成のために農業、介護・医療分野への新市場開拓に向けた諸施策を推進いたしました。

 新流通事業では2018年5月に電子商取引拡大に向けた新たなECサイト「Growing Navi」を稼働させ、販売先との双方向プラットフォームとしてトレードビジネスの拡大と業務の効率化に注力いたしました。

 海外事業では、販売体制の一層の整備・強化とともに生産の自動化など提案営業力の強化による工作機械や建設機械の拡販に努めました。また、ESGやSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとして、タイ、ベトナムにおけるJCM(二国間クレジット制度)を活用した省エネ支援事業など、環境エネルギー事業の拡大を積極的に推進いたしました。

 ロボ(AI)&IoT事業では、生産ラインの自動化提案などのシステムインテグレーション機能を強化し、産業用ロボットの拡販に注力するとともに、次なる成長事業の発掘・育成を目的に次世代農業ロボットの開発コンソーシアムへの参画や自律走行型協働ロボットの共同開発を推進いたしました。

 環境・エネルギーソリューション事業では、環境・省エネに配慮したエネルギーの最適化を幅広く提案し、新商品・新システムの開発・拡販に努めました。

 レジリエンス&セキュリティ事業では、台風や地震などの自然災害への対応がより一層重要となる中、ソリューション営業を展開し、事業活動を通じて安全・安心な社会インフラ整備の提案に注力いたしました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.9%増の4,936億27百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が125億17百万円(前連結会計年度比9.8%増)、経常利益は134億37百万円(前連結会計年度比10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億38百万円(前連結会計年度比9.4%増)となりました。自己資本当期純利益率(RОE)は12.2%(前連結会計年度は12.2%)となりました。

 

 セグメント別の売上高は以下のとおりであります。

 産業機器部門におきましては、自動車関連産業を中心に国内の工場稼働率が底堅さを維持した結果、前連結会計年度比26億24百万円(前連結会計年度比3.7%増)増収の730億43百万円となりました。工業機械部門につきましては、国内では工作機械の需要が好調に推移するとともに、ロボット市場も成長を維持しました。海外では、中国、インド、ベトナム、インドネシアを中心に順調に推移いたしました結果、前連結会計年度比157億11百万円(前連結会計年度比13.7%増)増収の1,305億55百万円となりました。

 住設・管材・空調部門は、貸家の新設住宅着工戸数は減少したものの、マンションや戸建て住宅向けのリフォーム需要や、非住宅分野が順調に推移しました結果、前連結会計年度比72億85百万円(前連結会計年度比5.0%増)増収の1,521億5百万円となりました。建築・エクステリア部門は、商業・物流施設向けの景観エクステリア商材や都市部の再開発事業で金属建材需要が堅調に推移するとともに、災害復興需要の増加などにより、前連結会計年度比45億80百万円(前連結会計年度比8.9%増)増収の562億33百万円となりました。建設機械部門は、公共工事や再開発事業による小型建設機械需要の持ち直しの動きがみられ、前連結会計年度比10億4百万円(前連結会計年度比3.0%増)増収の343億55百万円となりました。一方、エネルギー部門は、石油元売業者の再編など市場環境の大きな変化や暖冬の影響などにより、前連結会計年度比20億98百万円(前連結会計年度比8.2%減)減収の234億35百万円となりました。

 その他部門につきましては、消費財事業は13.4%の増収、木材事業は12.1%の増収となり、その他部門で前連結会計年度比27億69百万円(前連結会計年度比13.1%増)増収の238億98百万円となりました。

 

 

②財政状態の状況

  当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて127億25百万円増加し、2,477億47百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金が57億85百万円、電子記録債権が43億90百万円、たな卸資産が32億3百万円それぞれ増加した一方で、投資有価証券が14億86百万円減少したことなどによります。

  当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて77億84百万円増加し、1,706億28百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が65億67百万円増加したことなどによります。

  当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて49億41百万円増加し、771億18百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が63億97百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が10億74百万円減少したことなどによります。この結果、自己資本比率は、30.9%(前連結会計年度末は30.5%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、366億26百万円となり、前連結会計年度末より4億23百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は、43億87百万円(前連結会計年度比22億57百万円の収入減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益134億14百万円及び仕入債務の増加額63億22百万円を計上した一方、売上債権の増加額101億62百万円及び法人税等の支払額を35億59百万円計上したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は、8億73百万円(前連結会計年度比4億81百万円の支出減)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出4億34百万円及び有形固定資産の取得による支出3億24百万円を計上したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は、31億82百万円(前連結会計年度比7億64百万円の支出増)となりました。これは主に配当金の支払額26億60百万円を計上したことなどによります。

 

④販売、仕入及び受注の実績

a.販売実績

期間

前連結会計年度

自 2017年4月1日

至 2018年3月31日

当連結会計年度

自 2018年4月1日

至 2019年3月31日

セグメントの名称

金額

(百万円)

前年同期比

(%)

構成比率

(%)

金額

(百万円)

前年同期比

(%)

構成比率

(%)

産業機器

70,418

8.9

15.3

73,043

3.7

14.8

工業機械

114,843

4.3

24.9

130,555

13.7

26.4

住設・管材・空調

144,820

4.1

31.4

152,105

5.0

30.8

建築・エクステリア

51,652

5.4

11.2

56,233

8.9

11.4

建設機械

33,350

△5.1

7.2

34,355

3.0

7.0

エネルギー

25,534

△2.9

5.5

23,435

△8.2

4.7

その他

21,129

△4.1

4.5

23,898

13.1

4.9

合計

461,749

3.5

100.0

493,627

6.9

100.0

(注) 販売実績の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.仕入実績

 仕入実績の金額と販売実績の金額の差額は僅少であるため、記載を省略しております。

 

c.受注実績

 受注実績の金額と販売実績の金額の差額は僅少であるため、記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識・検討内容

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.9%増の4,936億27百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が125億17百万円(前連結会計年度比9.8%増)、経常利益は134億37百万円(前連結会計年度比10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億38百万円(前連結会計年度比9.4%増)となりました。自己資本当期純利益率(RОE)は12.2%(前連結会計年度は12.2%)となりました。

 セグメント別の状況は以下のとおりです。

 

《産業機器部門》

 産業機器部門につきましては、自動車関連産業を中心に自動化・省人化需要に支えられ国内の工場稼働率は底堅さを維持し、自動化・省力化機器、切削工具、測定器具、制御機器などの需要は堅調に推移しました。一方、半導体やスマートフォン関連産業は当期の後半にかけ、中国市場を中心に需要が減速しました。

 このような状況の中、昨年5月に稼働した新たなECサイト「Growing Navi」によるトレードビジネスの拡大強化や在庫拡充など物流サービスの向上に取り組みました。また、コンプレッサや発電機、制御関連機器などの環境・省エネ、安全に配慮した取扱商品の拡充、マテハン関連機器、ロボット装置、工作機械周辺機器の販売強化に注力いたしました結果、売上高は730億43百万円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。

 

《工業機械部門》

 工業機械部門につきましては、国内では、自動車、建設機械、医療関連産業における工作機械の需要は好調に推移するとともに、ロボット市場も底堅い自動化需要に支えられ成長を維持しました。一方で第3四半期以降、米中摩擦の影響により、中国向け半導体・液晶関連分野を中心に受注環境の停滞感がみられました。海外では、自動車関連産業の工作機械需要は中国、インド、ベトナム、インドネシアにおいて順調に推移しました。

 このような状況の中、自動車、建設機械、医療関連産業を中心に、ロボットを活用した省人化・自動化による生産性向上や補助金を活用した設備更新提案、高精度複合加工機の販売に注力いたしました。また、中国向けの需要減少が懸念される中、比較的好調な航空機、食品、物流関連分野の受注獲得に積極的に取り組みました。海外では、中国、ベトナムを中心に、現地資本企業の開拓を行い、海外市場の販売強化に取り組みました結果、売上高は1,305億55百万円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。

 

《住設・管材・空調部門》

 住設・管材・空調部門につきましては、賃貸住宅などを中心とした貸家の新設住宅着工戸数は減少したものの、マンションや戸建て住宅のリフォ-ム需要向け住宅設備機器や、非住宅分野の空調・管材商品の需要は底堅さを維持しました。また、新エネルギー関連商品では、第3四半期以降、太陽光発電パネルの販売に持ち直しの動きがみられ、パワーコンディショナなどの周辺機器の需要にも回復がみられました。

 このような状況の中、戸建て住宅のリフォーム需要向け商材、バルブ・ポンプなどの非住宅分野の商品や省エネ性能の高い空調機器の販売に注力いたしました。また、新エネルギー関連商品において蓄電池・パワーコンディショナなどの周辺機器や当社で開発した太陽光発電の出力制御ユニットなどの新商材拡販を進めるとともに、工場向けなどの自家消費型の太陽光発電の拡販に努めました結果、売上高は1,521億5百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。

 

《建築・エクステリア部門》

 建築・エクステリア部門につきましては、建設技能者不足などによる工期の遅れがみられたものの、首都圏を中心に商業・物流施設向けの景観エクステリア商材及び再開発事業などビル・マンション・ホテル向けの金属建材需要やインフラ関連需要は堅調に推移しました。また、台風や水害による自然災害の復興需要の本格化により、フェンス・ガードレールなどのエクステリア商材の販売に伸長がみられました。

 このような状況の中、物置などのエクステリア商材やブロック塀倒壊問題に対するフェンスへの掛替工事提案、耐震・免震材などのレジリエンス製品の拡販に加え、金属パネルなどの建築商材や宅配ボックスの拡販に努めました結果、売上高は562億33百万円(前連結会計年度比8.9%増)となりました。

 

 

《建設機械部門》

 建設機械部門につきましては、インフラ整備、災害復旧・復興工事などの公共工事や都市部を中心とした再開発事業により建設機械需要は伸長し、当社が主力とするレンタル業者向け小型建設機械の設備投資需要にも持ち直しの動きがみられました。

 このような状況の中、国内では国土強靭化計画に対応した取扱商品の拡充や、ミニショベル、ローラーなどの土木・舗装機械、屋内作業向け高所作業車、小型機器などの拡販に努めるとともに、海外向けオークション事業の商品拡充による販売拡大に注力いたしました。海外では、東南アジア向けに、油圧ショベル、高所作業車などの建設機械の販売に注力いたしました結果、売上高は343億55百万円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。

 

《エネルギー部門》

 エネルギー部門につきましては、石油製品需要の減少が続く中、石油元売事業者の再編の影響や石油製品価格に大きな変動がみられ、市場環境の変化が続きました。また、暖冬の影響などにより冬季の灯油需要も低調に推移しました。

 このような状況の中、卸売事業につきましては一般石油製品・潤滑油の新規販売先の開拓や新商材の販売に注力いたしました。小売事業につきましてはガソリンなどの販売に加え、タイヤ・車検・コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めました結果、売上高は234億35百万円(前連結会計年度比8.2%減)となりました。

 

《その他》

 その他の部門につきましては、消費材事業では、白物家電や調理家電の新商品を投入するとともに、新たなECサイト「ユアサプライムス.com」を稼働させるなど販売チャネルの拡大に注力いたしました。

 木材事業では、原産地における自然災害や天候不良などでの供給不足の影響により、需給バランスの混乱がみられたものの、国内における合板需要は梱包材を中心に堅調に推移しました。

 この結果、その他の部門の売上高は238億98百万円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。

 

 当社は2026年の創業360周年を見据えた「ユアサビジョン360」実現のための第1ステージとして、2017年4月からの3カ年を対象とする中期経営計画「Growing Together 2020」を推進中であり、当連結会計年度の経営成績等を踏まえた、具体的な施策等は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要  ②財政状態の状況」及び(1)経営成績等の状況の概要  ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、中期経営計画に定める定量目標の進捗状況は下記のとおりであります。

指標

2019年3月期

2020年3月期(目標)

2026年3月期(目標)

売上高

4,936億27百万円

5,000億円

6,000億円

経常利益

134億37百万円

150億円

200億円

経常利益率

2.7%

3.0%

3.3%

 

③当社グループの資本財源及び資金の流動性

 当社グループの資本財源及び資金の流動性については、運転資金、設備投資等の資金需要に対して、短期借入金及び自己資金を充当することを基本方針としております。

 また、当社グループ内でキャッシュ・マネジメント・システムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の充実を図っております。

 当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末より4億23百万円増加し、366億26百万円となっており、充分な流動性を確保していると考えております。

 なお、将来当社グループの成長のために多額の資金需要が生じた場合には借入金の増額も検討いたしますが、財務の健全性を維持しつつ、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することにより、1株当たり当期純利益を増大させ、株主価値の向上を図ってまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループの研究開発活動の金額は29百万円であります。主に、次なる成長事業の発掘・育成を目的に次世代農業ロボットや自律走行型協働ロボットの共同開発等を行っております。