当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
(1) 経営成績に関する説明
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)におけるわが国経済は、自動車関連産業を中心に工作機械をはじめとする設備投資が慎重な動きとなったものの、雇用や所得環境の改善がみられるなど景気は緩やかに回復しました。一方、地政学リスクの高まりや原材料費の高騰に加え、不安定な為替相場などにより、先行きが不透明な状況が続きました。また、少子高齢化による生産年齢人口の減少が進む国内においては、働き方改革法による労働時間の制限などにより、特に建設業や物流業を中心に人手不足による工事遅延や工期の長期化、事業縮小などの影響が懸念されます。工業分野では、半導体関連産業を中心に底堅い設備投資需要が続きました。建設・住宅分野では、都市部を中心とした民間の再開発需要は堅調に推移したものの、戸建てを中心とした新設住宅着工戸数は引き続き弱含みで推移しました。
海外では、米国で景気の拡大が続くとともに、タイ、インド、インドネシアなどでも景気が底堅く推移した一方、中国では景気回復の動きに足踏みの状況がみられました。
このような状況の中、当社グループは創業360周年を迎える2026年のあるべき姿「ユアサビジョン360」の最終(3rd)ステージとして、2023年4月~2026年3月までの3カ年を対象とする中期経営計画「Growing Together 2026」の2年目をスタートいたしました。「風土改革」「DX推進」「サステナビリティ推進」をベースとしてビジネス変革を推進し、モノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの分野において、「モノ売り」と「コト売り」の両面でマーケットアウト型のビジネスを展開することで、企業価値の向上を目指してまいります。
「風土改革」では、YUASA PRIDEプロジェクト(働きがい向上&人間尊重プロジェクト)を進め、社員のエンゲージメントを高め、「つなぐ」イノベーションで社会課題を解決できる人材の育成に取り組んでいます。また、「総合力」「チャレンジ」「コミュニケーション」をキーワードに、企業風土改革を推進しています。
「DX推進」では、本年5月に認定を受けた「DX認定事業者」として、さらにデータ活用基盤構築、DX人材育成、業務プロセス改革、イノベーション創出を進め、ビジネス変革を支えてまいります。
「サステナビリティ推進」では、2026年3月までに当社グループのCO2排出量30%削減を目指すとともに、お取引先さまのカーボンニュートラルを支援するグリーン事業を全社で推進しています。
成長戦略の推進として、AI検品ソリューション「F[ai]ND OUTシリーズ」の開発・提供を進めるとともに、ピッキング用自動搬送システム「ツインピック」を当社物流センターにて一般公開するなど、ロボットや自動化装置の拡販に努めました。
海外戦略では、地域戦略の強化に向け、タイ(バンコク市)にショールームを兼ね備えた現地法人の新社屋を建設するとともに、2025年2月に『日本の文化とタイの文化を「つなぐ」』をテーマとした総合展示会「YUASA Grand Fair in Thailand」の開催を予定しております。また、モノづくり現場の省エネに貢献する整電ユニットの海外(10カ国・地域)における総代理店権の獲得など、海外事業拡大に向けた体制を整備しました。
この結果、当中間連結会計期間の売上高は、前年同期比0.8%増の2,482億39百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が54億97百万円(前年同期比7.1%減)、経常利益は60億17百万円(前年同期比6.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する中間期純利益は、昨年に退職給付信託返還益を32億55百万円計上したことにより、前年同期比43.2%減の36億90百万円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。なお、当中間連結会計期間において、当社の連結子会社であるYUASA TRADING(THAILAND)CO.,LTD.は、当社の連結子会社であるYUASA ENGINEERING SOLUTION(THAILAND)CO.,LTD.の株式を当社から取得しております。これに伴い、従来「住設・管材・空調」のセグメントに区分しておりましたYUASA ENGINEERING SOLUTION(THAILAND)CO.,LTD.の事業を、「工業機械」の報告セグメントに含めて記載する方法に変更しております。前中間連結会計期間のセグメント情報については変更後の区分により作成したものを記載しております。
(産業機器部門)
産業機器部門につきましては、自動車関連産業では、工場稼働率が低下するとともに堅調に推移していたEV関連産業においても一部足踏みの状況がみられ、切削工具等の販売が低調に推移しました。また、金属加工関連などの設備投資に様子見基調が強まりました。
このような状況の中、省人化・働き方改革・カーボンニュートラル・BCP対策等の課題解決に貢献する商材の拡販に注力し、特に物流倉庫・通信情報分野において大幅に伸長しましたが、売上高は383億45百万円(前年同期比0.9%減)となりました。
(工業機械部門)
工業機械部門につきましては、国内に関しては、自動車関連産業を中心に設備投資需要が引き続き低調となりました。一方、半導体製造装置や航空機、防衛関連を中心に復調傾向が見受けられ、引合いが増加したものの、商談の長期化などにより受注は横ばいとなりました。海外に関しては、南アジア地域を中心に設備投資需要が堅調に推移しました。
このような状況の中、精密板金業界ユーザーの開拓や南アジアブロックの販売力強化に努めました。また、需要が増加している脆性材分野に向けた商材や、人手不足に対応する自動化関連商材の提案を始め、検査・計測、カーボンニュートラルなどの工場設備全般へのソリューション提案にも積極的に取り組みましたが、売上高は491億40百万円(前年同期比15.1%減)となりました。
(住設・管材・空調部門)
住設・管材・空調部門につきましては、新設住宅着工が引き続き低調な中、マンションやリフォーム需要が堅調に推移し、住宅設備機器、管材商品は底堅い動きとなりました。また、エネルギー価格の高騰、カーボンニュートラルへの対応を見据えた需要により、空調関連機器や再生可能エネルギー分野も堅調に推移しました。
このような状況の中、首都圏や主要都市の再開発案件の増加や工場などの電気代の高騰を見据えた省エネ関連の設備投資需要が高まり、非住宅向けの管材商品・高効率空調機器などの販売が増加したことに加え、猛暑の影響で家庭用エアコンの販売も堅調に推移した結果、売上高は969億12百万円(前年同期比12.0%増)となりました。
(建築・エクステリア部門)
建築・エクステリア部門につきましては、引き続き首都圏を中心とした再開発案件と自然災害・交通事故対策商品などの社会インフラ関連投資は底堅く推移しました。一方、商業施設・店舗や学校などの非住宅施設向けの公共エクステリアや車止めの販売が伸び悩みました。
このような状況の中、豪雨災害対策として水害対策ソリューションなどのレジリエンス製品やウォーカブルな街づくりに貢献する外構・エクステリア製品のパッケージ提案、建築に係わる製作金物及び政府による子育て支援事業による宅配ボックスの拡販に注力した結果、売上高は260億66百万円(前年同期比3.6%増)となりました。
(建設機械部門)
建設機械部門につきましては、インフラ整備、防災・減災工事などの公共工事とともに、大型の民間設備投資も堅調に推移しました。一方、機械・資材価格の高騰、建設業の働き方改革による労働時間短縮、建設技能者不足による工事遅延の影響が引き続きみられました。
このような状況の中、建設・農業現場の省人、省力化商品、安全施工のためのソリューション商品や海外輸入商品の販売を強化するとともに、引き続き、建設現場のCO2見える化商品の拡販に取り組みました。また、行政機関に対して防災・減災・BCP関連商材、医療用ハウスの提案を推進しました。また中古建機・農機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めましたが、売上高は181億5百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
(エネルギー部門)
エネルギー部門につきましては、低燃費車の普及によりガソリン需要が引き続き減少する中、政府による燃料油補助金の継続等により、国内市況の安定化が図られました。
このような状況の中、東海地方を中心に展開するガソリンスタンド事業では、付加価値の高い洗車、車検、コーティングなどの他、レンタカーやカーメンテナンス事業等のサービス強化に努めました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みましたが、売上高は89億44百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
(その他)
その他部門につきましては、消費財事業では、記録的な猛暑の影響により、扇風機・サーキュレーター等の冷房補助商品の売上が伸長するとともに、消費者ニーズに合わせた新商品の提案・拡販に注力しました。木材事業では、輸入合板の需要が低迷し、販売量が減少しました。一方、非住宅分野における特注木材製品の販売・提案に注力するとともに、国内グループ間の連携を強化し、国産材を使用した新商品の開発や新市場の開拓を進めました。
この結果、売上高は107億23百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
(2) 財政状態に関する説明
①資産、負債及び純資産の状況
当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて234億87百万円減少し、2,675億2百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産184億59百万円、現金及び預金が54億91百万円それぞれ減少したことなどによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて253億4百万円減少し、1,632億75百万円となりました。これは、電子記録債務が144億24百万円、支払手形及び買掛金が106億92百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて18億16百万円増加し、1,042億26百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が4億59百万円減少した一方で、利益剰余金が16億95百万円増加したことなどによります。
この結果、自己資本比率は、38.8%(前連結会計年度末は35.0%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ57億48百万円減少し、362億95百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、17億54百万円(前年同期比140億39百万円の収入減)となりました。これは、税金等調整前中間純利益を57億85百万円、売上債権の減少による収入を229億26百万円それぞれ計上した一方、仕入債務の減少による支出を252億89百万円計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、52億22百万円(前年同期比259億53百万円の支出減)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出を22億64百万円計上したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、26億64百万円(前年同期比47億9百万円の支出増)となりました。これは、主に配当金の支払額20億37百万円、長期借入金の返済による支出5億29百万円をそれぞれ計上したことなどによります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当中間連結会計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
特記すべき事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。