第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「誠実と信用」「進取と創造」「人間尊重」の3つを企業理念としております。

・誠実と信用

 YUASAグループは、地球環境との調和を基軸として、世界のいかなる国、地域においても双利共生の環境を重視し、企業活動を通じて、より人間らしい豊かな社会づくりに貢献します。

YUASAグループは、世界の多様な民族、宗教、文化、習慣、制度に対する認識と理解の上に、公正かつ堅実・誠実な活動を通じて、信頼され認められる企業の確立に努めます。

 

・進取と創造

 YUASAグループは、事業領域を弾力的かつ社会のニーズによって的確に把握し、イノベーションを志向する先進企業集団の形成を目指します。

また、優れた技術・製品の導入及びシステム、サービスの開発を行い、専門分野に精通した部門あるいはグループ企業を通じて、無駄のない合理的な方法によって、顧客の皆さまに満足を提供します。

 

・人間尊重

 YUASAグループは、社員の個性と権利を尊重するとともに、相互信頼と協調の精神に立脚した組織とルールのもとに、起業家精神と革新的な発想を追求し、実践できる職場環境の形成に注力します。 社員は、各自の目標と責任を明確にし、成果を追求するとともに、事業活動において創造性を発揮することによって経営を分担します。会社は、活動の成果に対しては成果配分を徹底し、社員の貢献に応えます。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 今後の経済情勢につきましては、地政学リスクの増大による物流網の混乱や原材料・エネルギーの安定供給は重大な懸念事項となっており、特に中東情勢については引き続き注視する必要があります。また、日中関係においても、経済安全保障の観点からサプライチェーンの再構築や貿易規制への対応が急務となっており、これら外部環境の激変は当社の事業基盤に直接的な影響を及ぼすものであり、この不透明な環境は依然続くことと認識しております。国内においては、深刻な労働人口の減少や人件費の高騰が続く中、デジタル技術を活用した自動化・省人化ニーズは一層加速しており、カーボンニュートラル実現に向けたグリーンビジネス、資源循環を推進するサーキュラーエコノミーの重要性もかつてないほど高まっています。さらに、自然災害の激甚化や国際情勢の不安定化を受け、安全・安心な社会インフラを維持するための「レジリエンス(強靭化)」対応は、今や社会的な最優先課題です。

 このような変化の激しい時代において、当社は変化を恐れず自らを進化させるべく、2036年の創業370周年を見据えた長期ビジョン「YUASA vision 370」及び2026年4月から2031年3月までの5カ年を対象とする中期経営計画「Reborn 2031」を策定しました。

 

1.長期ビジョン「YUASA vision 370」の概要

 創業370周年を迎える2036年に向け、長期ビジョン「YUASA vision 370」を策定するとともに、創業400年を見据えた新たなグループビジョンを次のように設定しました。

(1)実現したい社会

つなぐ力で社会の基盤を支え、豊かな、変化に強い未来を実現する

(2)あるべき姿

社員の想像力と経験を育み、人とソリューションで社会課題を解決する

 当社の強みである「人財」を中心に据え、今まで以上に社員が活躍できる風土改革を実現し、サステナビリティ経営を推進することで、企業価値向上を目指してまいります。2036年3月期の定量目標を、経常利益額300億円以上、ROIC10%以上、海外売上高1,000億円以上としております。

 

2.中期経営計画「Reborn 2031」の概要

 10年間の長期ビジョンを「YUASA vision 370」、その10年間を2つのタームに分け、最初の5年間の中期経営計画を「Reborn 2031」と設定しております。後半の5年間で傾斜角の高い成長による収益拡大の実現に向けて今中期経営計画では「事業基盤・人財基盤・経営基盤」の3つの基盤の強化と積極的な投資を行うことで高い成長性・収益性・効率性を目指します。

(1)定量目標

2031年3月期:経常利益額200億円以上、ROIC8%以上、海外売上高400億円以上

(2)攻めるための基盤強化

①事業基盤強化

・「市場接点の強化・拡大・多様化」「価値創出、課題解決」「サーキュラーエコノミー推進」という終わりなき課題解決のループを大きく早くまわすことでお取引先さまとともに長期的な成長を実現する。

・「ビジネスフィールド」と「成長戦略」の再整理、再定義を行うことでさらに総合力やつなぐ力の展開力を強化する。

・成長余地が大きい領域である海外戦略を強化する。

・つなぐイノベーションの価値を創造する開発モデルのブラッシュアップを図る。

・カーボンニュートラルについて事業活動を通じた本業による環境貢献型製品・サービスの取り扱い強化を推進する。

 

②人財基盤強化

・目指す「あるべき姿」として厳しくも働きがいのある環境において会社の成長と社員の成長がリンクしている状態の実現に向けて引き続き風土改革を進める。

・人事制度改革として「戦略的な人財配置と獲得」「評価制度の刷新」「自律学習の支援」「マネジメント改革」「柔軟な働き方支援」「モニタリング体制の構築」を方針とする。

③経営基盤強化

・変化の激しい経営環境下での持続的な成長に向けて「ガバナンスの強化」「事業戦略を実現する環境づくり」「経営資源の最適配分」「AI・デジタル技術の活用等、次世代の経営基盤強化」を行う。

(3)投資・資本政策

・営業キャッシュ・フローをベースとした「Reborn 2031」の期間中(2026年4月~2031年3月)の累計投資額として、事業基盤強化に200億円程度、経営基盤強化に170億円程度、人財基盤強化に30億円程度、合計400億円程度を予定しております。また、戦略的な追加投資については、内容とタイミングを精査し、外部調達も踏まえ積極的かつ機動的に実行します。

・「Reborn 2031」の期間中は累進配当を原則とし、加えて資本効率と財務健全性のバランスを踏まえ、連結株主還元率35%以上、株主資本配当率(DOE)3.5%以上を還元水準といたします。

 

長期ビジョンと中期経営計画

「Reborn 2031」の5年間では、ユアサビジョン360で培った経験・ノウハウの仕組化に加え、人財と機能を強化することで、継続的な成長を成し遂げる基盤を創る。

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ全般

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

  なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

① ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに資する経営の推進を図るため、取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。当委員会は、社内外の取締役で構成されており、気候変動を含むサステナビリティ全般のリスク及び機会、影響についての審議、リスク低減のための対応方針の検討を定期的に行い、取締役会に答申します。取締役会では、それらを事業戦略及びサステナビリティに関する重要事項として審議し、方針等を決定しています。

 サステナビリティに関する各指標のモニタリングや目標管理、リスク管理を全社グループで進めるため、グループ会社を含む各事業部門・拠点にサステナビリティ推進担当者を配置し、グループ全体での管理を行っており、それらの進捗状況は、総務部内にあるIR・サステナビリティ推進室の専任担当者が事務局となり、サステナビリティ推進委員会へ報告しています。

 

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 YUASAグループのサステナビリティ推進については以下のウェブサイトをご参照ください。

 https://www.yuasa.co.jp/sustainability/

 

② 戦略

 当社グループは、「誠実と信用」「進取と創造」「人間尊重」を企業理念として掲げ、地球環境との調和を機軸として、世界各国、地域における双利共生の関係を重視し、企業活動を通じて、より人間らしい豊かな社会づくりに貢献してまいりました。

 360年以上受け継がれてきた経営基盤をさらに進化させるため、企業理念に基づいた「サステナビリティ宣言」を軸にサステナビリティ経営を推進しています。環境・社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、持続的な社会への貢献と企業価値の向上を目指します。

 

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■マテリアリティ

 当社グループのビジョンを実現させるため、2021年10月にマテリアリティの特定を行いました。

昨今の社会環境の変化、及び2026年4月より始動した中期経営計画「Reborn 2031」に基づき、2026年5月にマテリアリティの再整理を行いました。

 引き続き、強固なガバナンスを経営の基盤に据え、持続的な成長と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

なお、マテリアリティについては、事業環境及び当社の事業計画を踏まえ、随時見直しを行ってまいります。

 

サステナビリティ
宣言

マテリアリティ

主な内容

地球環境
との
調和

気候変動や
自然資本への
取り組み

当社グループは、環境への緩和・適応の両面を重要な成長機会と捉えています。
自社グループのカーボンニュートラルだけではなく、再生可能エネルギー・高効率機器の拡販や省エネ支援を通じてサプライチェーン全体の環境負荷低減を目指していきます。
また、社会の強靭化に資する製品・ソリューションを提供し、レジリエントな社会の実現に貢献するとともに、水資源や生物多様性を含む自然環境の維持・保全にも努めてまいります。

循環型ビジネスの
構築

ステークホルダーとの連携を深め、中古機器・設備の買取りや再販、またレンタルやアップサイクル等の事業を通じ、資源循環と低炭素社会の両立を目指します。
当社グループの広範なネットワークで「廃棄」を「資源」へ転換し、循環型ビジネスを進化させることにより、事業を通じて自然資本の維持・保全に貢献していきます。

良品奉仕

事業活動

伴走と共創による
市場ニーズへの
対応

当社グループは、360年の長きにわたり市場の変化に柔軟に対応し、現場の課題やニーズを捉え取引先と伴走することで、新しい価値を創出してまいりました。
創業以来の「良品奉仕」の精神を軸に、変化の激しい環境をチャンスと捉え、人・モノ・資金・情報・データ・技術等あらゆるものを「つなぐ」力と、当社グループの総合力により、今後も社会や市場課題の解決を実現します。新たな価値を創出し続けることで、中長期的な企業価値の向上と持続的成長を目指します。

取引ネットワークの強化

創業以来構築してきました「主要仕入先6,000社・主要販売先20,000社の取引ネットワーク」をさらに発展させ、社会課題や市場課題といった終わりなき課題解決を継続していくことで、取引先とともに中長期的な成長を実現していきます。
また取引先各社の商品・技術・機能・サービス等を「つなぐ」ことで、単独企業や商品では実現できない新たな価値を創出しサプライチェーン全体での収益機会の創出につなげます。

多種多様な
リスクへの
準備と対策

不確実な経営環境を踏まえ、事業継続に不可欠な多種多様なリスクに適切に対応していくことをガバナンス体制の中核に据えています。
変化を市場機会や競争優位性に転換する「攻め」と、潜在的損失を防ぐ「守り」のリスクマネジメントを両輪で推進します。強靭な組織基盤を構築し、ステークホルダーの信頼を確立し、持続的な企業価値向上と収益最大化を実現します。

人間尊重

経営

人財基盤の強化

「人間尊重」を起点に、人的資本への投資を成長投資の一つと位置づけています。
多様な視点をイノベーションの源泉とし、人事制度改革等を通じ「個の能力の最大化」そして「個の力と組織力のシナジー創出」により働きがいと働きやすさを両立していきます。
会社の成長と社員の成長がリンクしている状態をつくり、社員エンゲージメントを高めることで、挑戦と共創が常態化する企業風土への変革と持続的成長を実現します。

 

③ リスク管理

 当社グループは、気候変動を含むサステナビリティ全般のリスク管理について、リスク管理統括責任者や各委員会(倫理・コンプライアンス委員会、リスクモニタリング委員会、内部統制委員会、環境・レジリエンス委員会等)とサステナビリティ推進委員会との連携により、リスクの特定及び評価・管理を行っており、必要に応じてリスク管理状況を取締役会へ報告しています。また、関連する社内諸規則・通達等に基づき当社グループの事業活動上の様々なリスクの把握、情報収集、予防対策の立案、研修を行う等リスクを横断的に管理しています。

 

④ 指標及び目標

 環境・ダイバーシティ・働き方改革・人材育成に関する定量計画を設定しております。詳細は、(2)「地球環境との調和」に向けた取り組み④指標と目標(4)「人間尊重の経営」に向けた取り組み③指標と目標をそれぞれ参照ください。

 

 

(2)「地球環境との調和」に向けた取り組み

重要課題:気候変動や自然資本への取り組み、循環型ビジネスの構築

① ガバナンス

 (1)サステナビリティ全般の① ガバナンスを参照ください。

 

② 戦略

 当社グループは、全ての事業活動を通じ、地球環境の維持・保全と経済成長の調和を目指す「持続可能な発展」の実現に向け、環境方針を定めています。これまで、気候変動への対応やサプライチェーン全体での環境負荷低減に努めてきましたが、資源循環への取り組みや生態系保全等、企業が取り組むべき環境課題にもより積極的に取り組むため、2025年9月に環境方針を改定しました。環境マネジメントの国際規格であるISO14001マルチ認証などを活用し、環境パフォーマンスの改善に向けた組織活動、製品及びサービスにおける環境負荷の低減を行っています。

《環境マネジメント推進体制》

 環境マネジメントの推進に向けて、当社グループは「環境マネジメント推進体制」を構築し、環境方針に基づき、PDCAサイクル(計画、実施・運用、点検、見直し)を図っています。環境・気候変動に関する重要な事項や進捗については、サステナビリティ推進委員会において報告・審議し、必要に応じて取締役会に報告しています。

 

環境方針・環境マネジメント推進体制の詳細については以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.yuasa.co.jp/sustainability/environment/management/

 

■気候変動によるリスクと機会

 当社グループは、「モノづくり」「すまいづくり」「まちづくり」「くらしづくり」の分野で複合専門商社として多様な商品・サービスを取り扱っており、気候変動に伴い様々なリスクや機会があります。

 気候変動に関する影響や事業環境の変化をより客観的に評価するため、事業部門の代表者や管理部門のサステナビリティ推進担当者と議論を重ね、シナリオ分析を実施しています。影響を受ける事業や分野について、変革やリスク管理を進めるとともに、今後の政策や規制、市場環境の変化に応じた移行期の事業機会を積極的に捉え、持続的な成長を目指していきます。

 

 

主な内容

 移行リスク

 政策・法規則

・炭素税の導入等、政府規制を起因とするコスト増

・製品に対する環境規制強化によるコスト増

 技術

・低炭素技術による既存商品の需要減

 市場・評判

・脱炭素化に伴う原材料等の価格高騰やエネルギー価格上昇によるコスト増

・対応遅れや情報開示不足による対外評価下落とサプライチェーンの競争力低下

 物理的リスク

 急性的

・大規模な自然災害による自社グループ拠点及びサプライチェーンの分断等

 慢性的

・水不足や電力不足による生産活動の停滞

 機会

 製品・サービス

・エネルギー効率の高い製品の需要拡大

・レジリエンス商品の需要拡大

・資源循環に関する製品の需要拡大

 市場

・再生可能エネルギー需要の拡大

・エネルギー価格上昇による省エネ商材や高効率機器への切り替え需要増

・政府によるGX(グリーントランスフォーメーション)の推進

 

■機会をとらえる取り組みの強化

 社会全体での環境負荷低減に貢献していくため、取扱い製品・サービスの製造や使用時のCO2排出量の削減を進めることが重要です。中期経営計画「Reborn 2031」の成長戦略においても、「環境・エネルギー」「サーキュラーエコノミー」「レジリエンス・セキュリティ」を注力分野として掲げており、気候変動・環境面における社会課題の解決を成長戦略として進めていきます。

 具体的には、脱炭素社会の実現に向け、気候変動の「緩和」と「適応」の両面から施策を推進しています。省エネコンサルティングの専門部隊による、サプライチェーンの脱炭素支援を強化するとともに、販売先さまやそのお客さまによる製品使用時のCO2排出量の削減を進めるため、省エネ製品や脱炭素関連製品の提案・販売を推進しています。また、海外市場に対する省エネ・脱炭素に関する取り組みも強化しており、世界全体での環境負荷低減に貢献できるようカーボンニュートラルセミナーの開催や二国間クレジット制度(JCM)を活用した省エネ提案を通じて、グローバルな環境負荷低減への貢献を目指しています。

 さらに、甚大化する自然災害等、気候変動の物理的リスクへの対応として、防災・減災・BCP(事業継続計画)をキーワードに、社会インフラの強靭化(レジリエンス)につながる商品・サービスの普及に取り組むとともに、深刻化する自然災害や感染症といった社会課題に対応すべく、新たなソリューション開発と提供を推進しています。

 

門名・事業名

気候変動への対応につながる主な対象商品・サービス

産業機器

節電ユニット 等

工業機械

省エネ型工作機械 等

住設・管材・空調

高効率空調設備、太陽光発電システム、蓄電池 等

建築・エクステリア

ソーラーカーポート、ソーラーハウス 等

建設機械

省エネ型建設機械、CO2モニタリングシステム 等

環境・エネルギー

再生可能エネルギーの導入支援 等

レジリエンス&セキュリティ

遠隔起動排水システム『つなぐBCPパッケージ』、防災電源倉庫等

 

気候変動への対応の詳細については以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.yuasa.co.jp/sustainability/environment/climate/

 

③ リスク管理

 (1)サステナビリティ全般の③ リスク管理を参照ください。

 当社グループの事業は、主に国内の多様な産業分野にわたる大企業、中小・中堅企業との取引から成り立っており、気候変動や水資源を含めた自然資本に関するリスクは、法規制や政策の変化、顧客需要の変化、経済社会情勢の変化等サプライチェーン全体を通じて多層的な影響を及ぼすと認識しています。

 これらのリスクについては、各事業部門において規制や市場環境の変化を評価し、対応しています。

 また、グループ全体の全拠点における物理的リスクの評価、水リスク及び自然保全地域に関する調査を行いました。社内のBCP(事業継続計画)との整合性を踏まえ、不測の事態においても取引先との事業継続の確実性を高める、実効性の高いリスクマネジメント体制を構築しています。

 

④ 指標と目標

 当社グループ全体のScope1,2においてカーボンニュートラルを目指すとともに、サプライチェーン全体での環境負荷低減に努めています。

前中期経営計画「Growing Together 2026」においては、最終年度である2026年3月期までにCO2排出量30%削減(2023年3月期比)を目標としています(Scope1,2)。なお、当該年度のCO2排出量は集計中であるため、現時点では前年度実績までを記載しています。

 2026年4月より始動した中期経営計画「Reborn 2031」においては、カーボンニュートラルの達成目標時期を日本政府目標と整合させ、2050年へと変更しました。当社グループの事業活動におけるCO2排出量の9割以上がバリューチェーン(Scope3)に起因するものとなっており、自社のみならず、バリューチェーンを含めたサプライチェーン全体での削減に、より実効性をもって取り組むべきであると判断しました。

 自社の脱炭素化を加速させると同時に、環境配慮型商品・サービスの拡販を通じてサプライチェーン全体のCO2排出量の削減に貢献してまいります

 

■当社グループのCO2排出量(Scope1,2)

(単位:t-CO2)

 

Scope

2023年3月期実績

2024年3月期実績

2025年3月期実績

2026年3月期実績

単体

Scope1

1,025

995

970

算定中

Scope2

1,232

813

722

Scope1,2計

2,257

1,808

1,692

グループ

Scope1

3,020

3,094

3,337

Scope2

1,405

1,431

1,417

Scope1,2計

4,425

4,526

4,754

連結

Scope1,2計

6,682

6,335

6,447

(注) 2025年3月期実績には2025年2月にグループとなった会社(株式会社ラインナップ)は含まれておりませんが、

今後データ集約体制が整い次第、含めてまいります。

また、2026年3月期のScope1,2,3に関するデータは、当社ホームページ「ESGデータ」に掲載予定です。

 

 当社ホームページ「ESGデータ」については以下のウェブサイトをご参照ください。

 https://www.yuasa.co.jp/sustainability/esg/

 

(3)「良品奉仕の事業活動」に向けた取り組み

重要課題:伴走と共創による市場ニーズへの対応、取引ネットワークの強化、多種多様なリスクへの準備と対策

 

  当社グループは、創業から続く「良品奉仕」の精神に基づき、公正かつ堅実・誠実な商取引を行ってきました。様々なステークホルダーとともに、地球環境との調和をはじめとするサステナビリティを重視した経営をより推進するため、「YUASAグループ取引方針」を策定しています。お取引先さまとともに本取引方針に取り組むため、主要取引先に対するアンケートを毎年実施し、定期的に状況確認をするとともに、取引先を通じたバリューチェーン全体の取り組みを推進しています。アンケート項目には、環境・気候変動、労働安全、コンプライアンス、人権等の項目が含まれます。

 

■人権への取り組み

 当社グループの事業活動において、人権の尊重は重要な要素の一つと考え、「YUASAグループ人権方針」を策定しています。

 

《推進体制》

 当社グループでは、総務部 IR・サステナビリティ推進室及び法務部、審査部、内部監査室、リスクモニタリング室が参加する分科会において、人権に対する方針案の策定、デュー・デリジェンスを実施しており、リスク・影響評価、教育研修、実施計画の策定等を実施しています。必要に応じ、倫理・コンプライアンス委員会と連携し、グループ全体のリスク管理を進めています。

 分科会の内容は、取締役会の諮問委員会であるサステナビリティ推進委員会に報告し、当社グループの人権に関する取り組み及び重要性の高いリスク等に関する報告・審議を行い、定期的に取締役会へ答申及び報告しています。取締役会は優先度の高い人権リスクへの対応や方針を決定します。

 

《人権デュー・デリジェンス》

 当社グループの人権方針を推進するため、事業全体における人権リスクを評価し、負の影響を防止・軽減するための取り組みを進めています。

 

 事業活動全体における人権リスクを把握するため、社内外から情報収集を行い、リスクの洗い出しをした上で、「発生頻度」と「深刻度」の観点からリスク評価を行っています。

 

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人権デュー・デリジェンスの詳細については以下のウェブサイトをご参照ください。

https://www.yuasa.co.jp/sustainability/society/human-rights/

 

《負の影響の防止・軽減と定期的なモニタリング》

人権方針の周知と負の影響の未然防止及び軽減に向けて以下の取り組みを行っています。今後も、定期的なモニタリングを通じ、リスクの軽減に努めてまいります。

 

(ⅰ) 売買基本契約書に人権条項を追加

 2023年4月以降、新規取引の際に取り交わす(当社書式の)基本契約書に、環境保全や労働安全等の人権関係の条項を追加し、以降継続して運用を行っています。当社グループだけではなく、当社グループのビジネスパートナーの皆さまも含め、人権リスク低減に努めます。

 

(ⅱ) 従業員相談窓口の設置

 当社グループでは、法令違反や違反するおそれのある事実を発見したときは、速やかに倫理・コンプライアンス委員会、顧問弁護士事務所の担当弁護士、監査役等に直接相談・報告することを可能とする窓口(ホットライン)を常設しています。また、当該報告をしたことを理由に不利な取り扱いを受けない体制を確保しています。

 本制度は公益通報者保護法に準拠しており、現役の役職員のみならず退職後1年以内の元社員等も利用可能な体制を継続しています。また、守秘義務の強化を含めた適正な運用を維持することで、通報のしやすさと信頼性の向上に継続的に取り組んでいます。

(ⅲ) 研修の実施

 事業活動における人権尊重に対する理解を深め、その重要性を認識すべく、2025年度に当社グループ全社員を対象に「ビジネスと人権」をテーマとした研修を実施しました。ハラスメントの防止やサプライチェーンにおける人権課題への理解を深めることで、継続的に事業活動における潜在的な人権侵害の未然防止を図り、持続可能な調達基盤の構築を進めていきます。

 

(ⅳ) 取引先アンケートによるバリューチェーン全体での取り組み推進

 当社グループでは、バリューチェーン全体において取引方針を推進するとともに、事業全体におけるリスク管理を進めるため、お取引先さまに対して、サステナビリティ及び人権リスク等への対応状況の確認に向けたアンケートを継続的に実施しています。2025年度は、YUASA単体の取引金額約80%を占める仕入先、及びグループ会社2社の仕入先に対してアンケートを実施しました。

 今後も継続的にアンケートを実施していくと同時に、リスク管理の取り組み推進に向けた対話を行っていきます。

 

 当社グループ 取引方針・人権方針については以下のウェブサイトをご参照ください。

 取引方針: https://www.yuasa.co.jp/sustainability/society/supply-chain/

 人権方針: https://www.yuasa.co.jp/sustainability/society/human-rights/

 

(4)「人間尊重の経営」に向けた取り組み

重要課題:人財基盤の強化

① 人財戦略

 当社グループにおいて、社員一人ひとりの創造力と経験こそが持続的成長の原動力であり、企業の重要な差別化要素です。人財を「投資して価値を高めていく大切な財産」と定義し、中期経営計画「Reborn 2031」において基盤強化の重要項目として位置づけています。それを具現化するため、以下の「風土改革」「人事制度改革における施策方針」等を通じて自律的な挑戦を促す風土改革に取り組んでまいります。

 

イ 風土改革

 多様な人財の力を結集し、「価値創造人財」を輩出することで社員のエンゲージメントを高め、自律的に挑戦する「攻めの風土」を確立します。風土改革を目的とした全社員参加型の「YUASA PRIDE プロジェクト第1フェーズ」から得た課題を解決するため、以下の3つの方向性を定めています。

 

 ●「働きがい」の追求

個人の能力を最大限に高め、「自己効力感」を得られる多様なキャリアを提供します。

 ●「個」から「組織」へ

営業スタイルの構造化により、個人のノウハウを組織力に昇華させ、組織横断の課題解決を通じて「組織効

力感」を最大化します。

 ●「自律」と「選択」

ライフステージや価値観の変化に即した「選択肢」を用意し、社員が自らキャリアを描く「自律」を支援し

ます。

 

「YUASA PRIDE プロジェクト第1フェーズ」から得た課題

 挑戦が成果や評価に直結する実感が持てず、能動的なアクションを阻害

 多様な個の強みを組織力に昇華させる連携の仕組み不足

 価値観の多様化に伴う「自分らしさ」を引き出す環境整備の不足

 

 

ロ 目指すべき姿

 「Reborn 2031」では、「厳しくも働きがいのある環境」において、会社の成長と社員の自己実現がリンクしている状態を目指しています。この実現に向け、以下の2つの効力感をエンジンとした「正のスパイラル」を回し、自律的な挑戦が連鎖する「攻めの風土」を確立します。

 

 ●自己効力感の醸成(個の成長)

「自分なら目標を達成できる」という強い信念を持ち、難易度の高い案件に対しても「どうすればできるか」を考え抜くチャレンジ精神と、泥臭く最後までやり遂げる粘り強さを育みます。

 ●組織効力感の実感(組織の進化)

心理的安全性を基盤に、部門の垣根を超えて助け合い、全体最適の視点で行動することで、個人の力を組織

の大きな推進力へと昇華させます。

 

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ハ 人事制度改革における施策方針

 人事制度改革を目的とした「YUASA PRIDE プロジェクト第2フェーズ」を推進し、以下の6つの視点で人的資本に投資していきます。

 

 ●戦略的な人財配置と獲得

グループ全体最適の視点による適材適所の配置に加え、高度な専門知識を持つ人財や、海外市場への適性を持つ人財の戦略的な獲得と育成を強化します。

 ●評価制度の刷新

高い目標への「挑戦」行動や、成長性・収益性・効率性の向上に資する行動を正しく評価し、報酬に反映する仕組みを構築します。

 ●自律学習の支援

市場の顕在・潜在ニーズを捉え、特徴ではなく利点・価値で提案出来る価値創造人財の育成に注力します。また、AI活用や最先端のデジタル技術を使いこなすためのスキルアップ研修を拡充し、社員の自発的な学びを支援します。

 ●マネジメント改革

若手人財の早期抜擢や、分散型リーダーシップによる権限委譲を推進し、チーム全員が主体的に動き、双方向の対話が活性化する組織構造に改革します。

 ●柔軟な働き方支援

専門性を極める「プロフェッショナル職掌」を新設するほか、女性活躍や子育て支援制度を見直し、ライフイベントに合わせた多様な選択肢を提供することで、個々が自分らしく輝き続けられる環境を整えます。

 ●モニタリング体制構築

定期的なエンゲージメント調査の実施と分析を通じて社員の「リアルな声」を真摯に受け止めるとともに、労働生産性向上を目的とした多角的な分析を実施します。これにより、人的資本経営に関わる諸施策の効果を継続的にモニタリングし、改善サイクルを確立します。

 

② 従業員への給与・報酬の決定方針

 当社グループは、人財を「価値を生み出す大切な財産」と定義し 、会社の成長と社員の成長がリンクしている状態を目指しています。従業員の給与・報酬については、以下の点に重点を置いて決定しています。

 

 ●戦略的な動機付け

単なる年功序列ではなく、社員の行動プロセスを正しく評価し、報酬に連動させる仕組みを構築しています。

 ●外部環境との整合性

急激なインフレ等の社会動向や、労働市場における新卒採用の競争力、同業他社の報酬水準等をモニタリングし、適正かつ魅力ある報酬水準の維持に努めています。

 

③ 指標と目標

 前中期経営計画「Growing Together 2026」におけるダイバーシティ、働き方改革、人材育成に関する目標

以下、提出会社を対象とした指標です。

 

 

2024年3月期実績

2025年3月期実績

2026年3月期実績

2026年3月期計画

女性管理職比率

2.0%

1.7%

2.2

3.0

女性総合職比率

4.0%

5.6%

7.1

6.0

女性総合職採用率

6.5%

19.0%

13.8

12.0

男性育休及び

育児目的休暇取得率

72.5%

74.4%

75.7

100.0

有給休暇取得率

67.8%

64.0%

70.5

70.0

平均労働時間

1,934時間

1,923時間

1,876時間

1,920時間

マネジメント人材育成

※当該年度の対象研修受講者(延べ)

280名

335名

278

370

デジタル人材育成

※当社独自プログラムの合格者

IT人材:109名

(注)1

IT人材:316名

(注)1

IT人材:641名

DX人材:61名

(注)1、2

IT人材:600名

DX人材:40名

(注)1、2

(注)1 IT人材…ITツールやデジタル技術を自らの業務に活かし、デジタル施策の実行ができる人材

2 DX人材…データ分析結果を利活用し、マーケティングと経営戦略に特化した知識により新たな企画立案を行い推進する人材

 

中期経営計画「Reborn 2031」においても、人財戦略の着実な実行に向け、人財育成や多様性の確保等に関する目標を策定しています。定期的なモニタリングを通じて施策の効果を検証してまいります。

 

《健康経営に資する目標》

 当社は健康宣言のもと、社員の安全と心身の健康維持・増進に取り組んでおり、経済産業省より健康経営優良法人として認定されています。今後も、健康経営優良法人認定企業として、社員の健康維持・増進をより一層支援します。

当社の健康増進・維持への取り組み

(ⅰ) 定期健康診断で高リスクと診断された社員の受診率向上

受診率目標 100%

(ⅱ) 社員の健康意識向上への取り組み

定期的な健康イベントの実施

(ⅲ) 受動喫煙対策への取り組み

全事業所内の完全禁煙または分煙化

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

 当社グループでは、リスクに関する統括責任者(以下「リスク管理統括責任者」という)として経営管理部門管掌取締役を定め、想定されるリスクごとに、発生時における迅速かつ適切な情報伝達と緊急事態対応体制を整備しております。リスク管理統括責任者は、必要に応じてリスク管理の状況を取締役会に報告しており、リスクが顕在化した場合の、事業中断及び影響を最小限にとどめ、事業継続マネジメント体制の整備に努めております。

 

(1) 景気変動リスク

 当社グループは産業設備関連投資や新設住宅着工戸数等の建設投資の動向と密接な関連性を有しております。当社グループは新領域及び海外などの新市場の拡大に注力いたしておりますが、上記経済動向に予想外の変動があった場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 株価変動リスク

 当社グループは取引先を中心とした市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。これらの株式は中長期的な保有を目的としており、適宜、当社の「有価証券投資に関するガイドライン」に基づき保有株式の見直しを行っておりますが、株価変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 金利変動リスク

 当社グループの有利子負債には、変動金利条件となっているものがあり、総資産に占める借入依存度は低いものの、今後の金利動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、金利変動リスクを回避する目的で、有利子負債の変動金利から固定金利への転換等を行う場合があります。

 

(4) 信用リスク

 当社グループは、多様な営業活動を通じて国内外の取引先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。当社グループでは社内管理規程等に基づく与信管理を行い、リスクの軽減に努めておりますが、取引先の予想外の諸事情による債務不履行等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 為替変動リスク

 当社グループは、外貨による輸出入取引において、為替予約を用いて為替レートの変動リスクの軽減に努めておりますが、為替レートの変動によって当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外現地法人を有しており、連結財務諸表作成の際の為替換算レートの変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) コンプライアンスリスク

 当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職等腐敗行為防止のための諸法令、独占禁止法、中小受託取引適正化法、外国為替及び外国貿易法を含む貿易関連諸法や建築基準法や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲にわたっております。これらの法令・規制を遵守するため、当社グループでは倫理方針、行動規範を定めるとともに、代表取締役社長の直轄組織である倫理・コンプライアンス委員会を設け、グループ全体のコンプライアンスの徹底及び指導を図っております。しかしながら、このような取り組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 情報システム・情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ運用細則を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、さらには、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 製造物責任リスク

 当社グループは、生活家電の製造・販売事業を行っております。これら商品の品質管理には万全を期するとともに製造物責任保険も付保しておりますが、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) カントリーリスク

 当社グループは、海外における取引や海外での事業活動を行っております。これら海外の取引相手国における政策変更、政治・経済等の環境変化により、債権または投融資の回収が困難になるようなリスクを有しております。想定し得るカントリーリスクについては、各種の情報に基づき慎重に対応し、貿易保険を付保するなど、リスクの管理・ヘッジに努めておりますが、特定の国または地域に関連して回収不能が発生した場合や地政学リスクの増大に伴う資源価格の高騰などが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 自然災害等リスク

 地震や大規模な水害などの自然災害や新型ウイルス等の感染症の流行の予期せぬ事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力等の供給停止等により、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、事業活動の継続のために、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの作成、耐震対策、防災訓練等の対策を講じておりますが、自然災害及び新型ウイルス等の感染症による被害を完全に回避できるものではなく、これらの被害が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 事業投資リスク

 当社グループは、2026年4月に2036年の創業370周年を見据えた長期ビジョン「YUASA vision 370」と、2026年4月から2031年3月までの5カ年を対象とする中期経営計画「Reborn 2031」を策定し投資方針として、機動的な成長戦略投資を実行することを目標に掲げております。これらの投資は、取締役会や経営会議等の重要会議を通じ、十分な検討を行った上で実施しており、投資効果について適宜取締役会で報告を行っております。しかしながら、期待どおりの収益が上がらないリスクや事業計画を達成できないリスクを完全に回避することは困難であり、想定どおりに事業が進まない場合、または当該事業の撤退に伴う損失等が発生する可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)におけるわが国経済は、建設業や物流業を中心に人手不足が常態化しているものの、所得環境などに改善がみられ景気は緩やかな回復が続きました。一方、米国の通商政策や地政学リスクなどにより先行きは引き続き不透明な状況となりました。

 工業分野では、自動車関連産業が通商政策の影響を受けたものの、一部の半導体や航空機関連産業などに底堅い設備投資需要がみられました。住宅分野では、「省エネ基準」の適合義務化などにより戸建て住宅を中心に新設住宅着工戸数に落ち込みがみられた一方、機能性の高い商品の需要が堅調に推移しました。建設分野では、社会インフラ整備に関連する需要が高まりました。

 海外では、米国の通商政策等の影響により先行きに不透明感がみられましたが、インドやインドネシアなど東南アジア地域で景気が底堅く推移しました。一方、中国では景気の停滞感がみられました。

 このような状況の中、創業360年を迎える2026年3月期は「ユアサビジョン360」並びに中期経営計画「Growing Together 2026」の最終年度であり、「風土改革」「DX推進」「サステナビリティ推進」による企業価値の向上に引き続き取り組み、モノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの分野において、「モノ売り」と「コト売り」の両面でマーケットアウト型へのビジネス変革を推進しました。

 「風土改革」では、働きがい向上と人間尊重をテーマとしたYUASA PRIDEプロジェクトにより社員のエンゲージメントを高め、「総合力」「チャレンジ」「コミュニケーション」をキーワードに、「つなぐ」イノベーションで社会課題を解決できる人材の育成に取り組みました。

 「DX推進」では、データ活用基盤構築、DX人材育成、業務プロセス改革、イノベーション創出を進めました。

 「サステナビリティ推進」では、営業活動及び自社オフィスにおけるCO₂排出量の削減に取り組むとともに、お取引先さまのカーボンニュートラルを支援するグリーン事業を全社で推進しました。

 成長戦略として、デジタル戦略においては、無人搬送ロボットなど現場の省人化・省力化に貢献するロボット・AI活用ソリューションの展開を推進しました。海外戦略では、タイ・バンコクのラートクラバン地区に、日本の複数メーカーと連携し日本の住宅ソリューションを集約したモデルハウス「YUASA SAKURA HOUSE」を昨年12月に開設しました。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比3.1%増の5,450億27百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が167億40百万円(前連結会計年度比6.2%増)、経常利益は172億36百万円(前連結会計年度比7.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比17.4%増の120億20百万円となりました。

 セグメント別の売上高の詳細については、(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容に記載しております。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて154億9百万円増加し、3,035億7百万円となりました。これは受取手形、売掛金及び契約資産が91億33百万円減少した一方で、電子記録債権が71億34百万円、投資有価証券が51億36百万円、現金及び預金が47億91百万円それぞれ増加したことなどによります。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて33億79百万円増加し、1,820億61百万円となりました。これは、電子記録債務が26億44百万円、繰延税金負債が12億47百万円それぞれ増加したことなどによります。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて120億29百万円増加し、1,214億46百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が76億87百万円、その他有価証券評価差額金が29億75百万円それぞれ増加したことなどによります。

 なお、2026年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2025年3月期に係る資産額については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させ比較しております。この結果、自己資本比率は、39.5%(前連結会計年度末は37.8%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、484億85百万円となり、前連結会計年度末より47億75百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は、195億69百万円(前連結会計年度比35億86百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益170億52百万円、売上債権の減少額49億51百万円を計上した一方、棚卸資産の増加額16億52百万円、仕入債務の減少額10億10百万円を計上したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は、63億80百万円(前連結会計年度比35億84百万円の支出減)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出55億99百万円、有形固定資産の取得による支出13億76百万円を計上したことなどによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は、90億78百万円(前連結会計年度比42億81百万円の支出増)となりました。これは主に、配当金の支払額による支出41億20百万円、長期借入金の返済による支出31億73百万円をそれぞれ計上したことなどによります。

 

④販売、仕入及び受注の実績

a.販売実績

期間

前連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

当連結会計年度

自 2025年4月1日

至 2026年3月31日

セグメントの名称

金額

(百万円)

前年同期比

(%)

構成比率

(%)

金額

(百万円)

前年同期比

(%)

構成比率

(%)

産業機器

77,767

△2.5

14.7

77,739

△0.0

14.3

工業機械

107,403

△9.5

20.3

105,444

△1.8

19.3

住設・管材・空調

209,688

6.3

39.7

223,492

6.6

41.0

建築・エクステリア

57,342

5.4

10.9

63,809

11.3

11.7

建設機械

36,868

△1.1

7.0

37,076

0.6

6.8

エネルギー

18,607

△2.9

3.5

17,496

△6.0

3.2

その他

20,709

3.6

3.9

19,968

△3.6

3.7

合計

528,387

0.3

100.0

545,027

3.1

100.0

 

b.仕入実績

 仕入実績の金額と販売実績の金額の差額は僅少であるため、記載を省略しております。

 

c.受注実績

 受注実績の金額と販売実績の金額の差額は僅少であるため、記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識・検討内容

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比3.1%増の5,450億27百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が167億40百万円(前連結会計年度比6.2%増)、経常利益は172億36百万円(前連結会計年度比7.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比17.4%増の120億20百万円となりました。

 

《産業機器部門》

 産業機器部門につきましては、自動車関連産業における通商政策や国際情勢の変動といった不確実性は残るものの、サプライチェーンの混乱は徐々に緩和され、需要環境にも安定化の兆しがみられ、切削工具及び工作機械周辺機器の販売が底堅く推移しました。また、深刻化する人手不足を背景に、自動化・省人化ソリューションへの投資意欲は引き続き高水準で推移しました。

 このような状況の中、スマートファクトリー化に向けた設備投資や食品製造工場向けのソリューション提案などのフードテック事業は堅調であり、災害対策やBCP(事業継続計画)関連商材も安定した需要を確保しましたが、売上高は777億39百万円(前連結会計年度比0.0%減)となりました。

 

《工業機械部門》

 工業機械部門につきましては、深刻化する人手不足を背景とした自動化・省人化ニーズは存在するものの、実際の投資決定が先送りされるなど、全体として厳しい事業環境となりました。一方、国内外を通じ、半導体・データセンター向け冷却装置等の製造設備は好調に推移しており、国内では防衛・航空宇宙関連・造船分野が活況であるとともに、海外では米国現地生産の航空機部品、空調機製造が堅調に推移し、受注環境には改善の傾向がみられました。

 このような状況の中、国内の注力分野である精密板金市場・脆性材加工市場に対して、顧客の生産現場における課題を解決する高付加価値商品の提案を継続し、受注獲得と収益基盤の強化に努めました。また、海外においては、東南アジア諸国を中心に現地資本企業への販売に注力しましたが、売上高は1,054億44百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。

 

《住設・管材・空調部門》

 住設・管材・空調部門につきましては、少子化の進行、不動産価格の上昇、建築コスト高騰や改正建築基準法の厳格化により、新設住宅着工戸数は減少し、働き方改革、人手不足に伴う工期遅延もみられました。一方で、リフォーム需要は増加し、住宅設備機器は堅調に推移しました。また、データセンターの新設、都市部での大型再開発の増加により、空調関連機器や管材商品などが底堅い動きとなるとともに、物流倉庫や工場建設の省エネ設備投資需要も堅調に推移しました。

 このような状況の中、工期短縮及び省施工の現場ニーズに応えるべく、施工省力化製品の提案や空調改装などエンジニアリング機能の強化に努めました。また、再生可能エネルギー分野においては、一部自治体による太陽光パネル設置義務化の動きや企業のカーボンニュートラル促進を受け、太陽光パネルや蓄電池などのシステム提案を推進した結果、売上高は2,234億92百万円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。

 

《建築・エクステリア部門》

 建築・エクステリア部門につきましては、人手不足の常態化と人件費の上昇に加え、資材高騰や納期遅延が継続しました。これらに伴う工期の長期化によって、厳しい市場環境となりました。特に商業施設・店舗や公共施設・学校向けの公共エクステリア製品の販売が伸び悩みました。一方で、自然災害や交通事故対策への意識の高まりから、社会インフラ投資は底堅く推移しました。特に止水板や監視管理システムの防災・防犯関連商品は需要が増加しました。

 このような状況の中、再生可能エネルギーを活用したソーラーカーポートやウォーカブルな街づくりに寄与する外構・エクステリア製品のパッケージ提案、再開発案件への建築製作金物の納入に加え、宅配ボックスの拡販に注力した結果、売上高は638億9百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。

 

《建設機械部門》

 建設機械部門につきましては、国土強靭化に向けたインフラ整備や再開発・更新需要が底堅く推移しました。一方、機械・資材・エネルギー価格の高止まりや人件費の高騰に加え、働き方改革による労働時間制限の影響を受けました。特に技能資格者不足による工事遅延や人手不足の常態化といった構造的課題が顕在化しました。

 このような状況の中、さまざまな社会課題の解決を主軸とし、AI・IoT技術による省人化ソリューションや安全対策、CO₂見える化商品の拡販、行政機関への防災・BCP関連商材の提案等を推進しました。さらに、中古建機・農機等のオークション事業をはじめ、建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めた結果、売上高は370億76百万円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。

 

 

《エネルギー部門》

 エネルギー部門につきましては、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰に対し、政府による「燃料油価格激変緩和対策事業」が継続実施されたほか、緊急措置として国家原油備蓄の放出が行われるなど、厳しい外部環境となりました。

 このような状況の中、東海地方を中心に展開するガソリンスタンド事業では、付加価値の高い洗車、車検、コーティングのほか、レンタカーやカーメンテナンス事業等の強化に注力しました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みましたが、売上高は174億96百万円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。

 

《その他》

 その他部門につきましては、消費財事業では、物価上昇による消費者の購買意欲の落ち込みや季節商品需要の分散化がみられる中、スポットクーラーや空調服に代表される熱中症対策商品の提案に注力し販売が伸長しました。木材事業では、新設住宅着工戸数の減少や建築基準法の改正による駆け込み需要の反動、加えて、輸入木材は円安の影響を受けるなど、年間を通じて木材需要は厳しい状況が続きました。また、造船分野向けの特注木材製品の展開にも人手不足による工期遅延の影響がみられましたが、国内グループ間の連携を強化し、国産材を用いた用途提案や新商品開発、新市場開拓を通じた社会課題解決に向けた取り組みを進めました。

 この結果、売上高は199億68百万円(前連結会計年度比3.6%減)となりました。

 

 当社グループは、2036年の創業370周年を見据えた長期ビジョン「YUASA vision 370」と、2026年4月から2031年3月までの5カ年を対象とする中期経営計画「Reborn 2031」を策定しました。当連結会計年度の経営成績等を踏まえた、具体的な施策等は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析につきましては、(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況及び(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

 なお、2027年3月期の連結業績予想は下記のとおりであります。

指標

2026年3月期実績

2027年3月期予想

売上高

5,450億27百万円

5,460億円

経常利益

172億36百万円

175億円

経常利益率

3.2%

3.2%

(注)2027年3月期予想は、2026年5月8日公表の「2026年3月期  決算短信〔日本基準〕(連結)」によるものです。

 

③当社グループの資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金、設備投資等の資金需要に対して、短期借入金及び自己資金を充当することを基本方針としております。

 また、当社グループ内でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の充実を図っております。

 当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末より47億75百万円増加し、484億85百万円となっており、充分な流動性を確保していると考えております。

 なお、将来当社グループの成長のために多額の資金需要が生じた場合には借入金の増額も検討いたしますが、財務の健全性を維持しつつ、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することにより、1株当たり当期純利益を増大させ、株主価値の向上を図ってまいります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

  特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。