文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループは創業以来、各取引先からの「信頼」を得て、企業活動を通じ社会に「貢献」することを企業理念として掲げ経営に取り組んでまいりました。今後も、創立80周年に向けて、環境・エネルギーに強い機械総合商社としての地位確立を目指してまいります。
1.中期経営計画「T-ScaleUp2027」の概要
当社グループは2023年3月期において新たに策定した4ヵ年中期経営計画を公表いたしました。本計画は2018年に策定した10ヵ年の長期経営計画における最終ステージ、集大成の位置付けとなります。長期ビジョン「環境・エネルギーに強い機械総合商社」としての地位確立に向け、前中計で取り込んだ新たなビジネスの種を確実に収益化し、機械総合商社としての新たなモデルの確立に挑戦してまいります。
なお、中期経営計画の最終年度にあたる2027年3月期における各経営指標の目標は、過年度決算等を訂正したことに加え東京証券取引所宛てに提出した改善措置を踏まえ見直しを行った結果、①連結売上高730億円、②連結営業利益25億円、③親会社株主に帰属する連結当期純利益17億円、④ROE8.0%、⑤純資産配当率(DOE)4.0%以上と修正しております。
主力事業の火力発電メンテナンス・リプレースに加え、「原子力」「バイオマス・アンモニア・水素混焼」「再生可能エネルギー」等、新領域でビジネスを拡大
CO2削減関連新技術導入ニーズ、EV普及に伴う周辺ビジネス、食糧自給関連ビジネス等を捕捉し、「サステナビリティ」「社会課題解決」に資する商機を創出
2.対処すべき課題
安定した事業基盤のある電力事業では、事業用・産業用火力発電所向け設備の新設・リプレース・メンテナンス等の基幹業務や原子力関連事業に加えて、そこから派生した取引に注力してまいります。
「サステナビリティ」「社会課題解決」を念頭に成長性、収益性、リスクを総合的に評価の上、事業ポートフォリオの見直しを継続的に進め、セグメント収益の改善に注力してまいります。
(生活産業事業)
環境にやさしい植物由来ポリエチレンを含有した包装資材等、商品ラインナップ拡充、および新規商材の開拓、拡販、収益化に取り組んでまいります。
(財務上の対処すべき課題)
各事業の持続的な成長と競争力強化には株主資本の有効活用等、資本効率の向上が不可欠であり、2023年度から引き続き、2024年度も政策保有株式の一部売却等の取り組みを行いました。2023年4月に策定、2024年6月に経営数値を見直した中期経営計画における資本効率の目標値達成に向けて引き続き取り組んでまいります。また、前期は太陽光案件等で損失が出たため、今期は本業回帰とともに、リスク評価の強化および会計リテラシーの向上と黒字回復を図ってまいりました。引き続き、来期以降も健全な企業活動と株主資本の充実化を図ってまいります。
・当社は、中長期的な株主価値の向上のために、「資本効率を重視した成長投資」と「株主還元強化」の最適バランスを追求してまいります。
・株主資本の有効活用を図る経営指標のひとつとして、ROE8.0%の目標を設定します。
・上記資本効率に加えて、DOE4.0%以上を目標として掲げ、安定配当にも努めてまいります。
・今後も従来からの安定配当の考え方は維持しつつ資本効率にも目配せしながら、中長期的な株主価値の向上を目指してまいります。
・計画期間中、早期にDOE4.0%以上を達成。(2023年度に達成)
・ROE8.0%。
・一層の財務基盤の強化を図りつつ営業活動によるキャッシュ・フロー創出の他、必要に応じて保有資産の売却代金を原資とし、資本効率を重視の上、戦略分野等へ投資を検討してまいります。
・また、戦略事業領域、バリューチェーン構築上の重要な領域については、M&Aや出資なども選択肢とします。
・資本効率の向上を図るため、政策保有株式の縮減にも引き続き取り組んでまいります。
当社は、サステナビリティ経営を推進することにより、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を図るため、取締役会において「サステナブル行動指針」と「人財方針」を策定・決議しています。
東京産業グループはサステナビリティ経営を実行することにより、持続的な成長と企業理念である「信頼と貢献」を実践してまいります。
その中で、SDGs達成に向けた取り組みを積極的に推進し、変化の激しいビジネス環境へ柔軟に対応することにより「環境・エネルギーに強い機械総合商社」という地位の確立を目指します。
具体的には、サステナビリティ経営に向け取締役会で特定したマテリアリティ(重要課題)への対応策を実行してまいります。また、このような当社のサステナビリティ経営に関する目標や取り組みについて適切に開示し、様々なステークホルダーに対して説明責任を果たしてまいります。
(当社のサステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題))
「サステナブル行動指針」にもとづき、当社のサステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題)を以下のとおり取締役会で特定しております。
(重要課題)
・「事業を通じたグリーン社会」実現への取り組み
・「コーポレートガバナンスの強化」
※「社会と調和する多様な働き方への積極的な対応」については「コーポレートガバナンスの強化」へ統合
当社は上記マテリアリティ(重要課題)に対する具体的な取り組みについて、中期経営計画にて掲げる5つの成長戦略を通じ実施しております。また、サステナビリティ課題への取り組みを推進・監督するため、サステナビリティ推進担当役員である企画本部長及びサステナビリティ推進チームを設置しております。サステナビリティ推進担当役員は、取締役会へ当社のサステナビリティ経営の状況を定期的に報告しております。
(人財方針)
東京産業グループは人が財産との認識の下、成長を続ける強固な組織を目標に掲げ、人財の「早期戦力化」「グローバル化」「マルチタレント化」を3つの柱とする人的投資を積極的に実行してまいります。
「ダイバーシティ」と「働き方改革」対応を人財にかかわる重要課題と定め、企業理念に基づき、従業員の多様性と人権を尊重することで、イノベーションの創出、ひいては企業価値向上を目指してまいります。また、多様な働き方を提供できる環境整備、社内DX及び健康的な職場作りを強力に推進してまいります。
取締役会はサステナブル行動指針に基づいたサステナビリティ経営の推進状況について、サステナビリティ推進担当役員から定期的に報告を受けることとなっており、気候変動のリスクと機会に関しても、サステナビリティ推進担当役員からその内容や対応策について適宜報告を受け、必要に応じて取締役会は当社の経営会議である本部長会と連携して対応策を講じる体制となっております。
気候変動のリスクと機会のうち、特に移行リスクへの対応は当社グループの中期経営計画の達成に密接に関連することから、本部長会の中からサステナビリティ推進担当役員を選任し、その責任において気候変動のリスクと機会の特定作業や対応策の策定・実行を行っています。
気候変動のリスクと機会はサステナビリティ推進チームメンバーを中心に識別・評価を実施しております。サステナビリティ推進チームは当社の各本部毎に主管部長と選抜された中堅社員で構成されており、全社的な気候変動のリスクと機会を適切に識別・評価できる体制を整えています。識別・評価された気候変動のリスクと機会は、サステナビリティ推進担当役員とサステナビリティ推進チームの協議の中で、中期経営計画との関連性の精査・対応策の検討を行い、本部長会を経て取締役会へ報告し、全社においてその対応策を実施しております。
当社グループが識別している気候変動のリスクと機会は以下のとおりです。

当社グループはダイバーシティ/働き方改革を推進するため、創立80周年を迎える2027年までに達成を目指す目標を設定しております。目標と2025年4月1日時点での進捗状況は以下のとおりです。

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避に努める仕組み作りを行っております。そのため、「内部統制システム整備の基本方針」を定め、コンプライアンス委員会を中心にコンプライアンス・環境、品質、情報セキュリティ及び輸出管理等に関するリスクの発生の未然防止に努める他、取締役会及び取締役会から移譲された権限の範囲内で業務の執行及び施策の実施等について審議、意思決定を行う本部長会が「職務決裁基準表」に基づき適切なリスク管理に努めております。また災害等の緊急事態が発生した場合には、社長指揮下の災害対策本部を設け迅速かつ適切に対応する所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
なお、以下は、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
当社グループの取扱商品は、国内外の経済情勢や景気動向により、需要の減退や需給バランス悪化による価格の騰落等を受ける可能性があります。当社グループでは、これら経済環境の変化による影響を最小限にとどめるため、常に高い技術力を持つメーカーやオンリーワンの商品・サービスの発掘、資本提携やM&Aなど中期経営計画に従い商品のラインアップ、顧客基盤・ビジネスエリアの拡充や補完などに努めておりますが、これら商品の需要減退、価格騰落は当社の業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは創業以来三菱グループの一員として、グループ各社、とりわけ三菱重工業㈱、三菱電機㈱の製品を国内外の産業界に納入、販売してまいりました。特に、電力事業セグメントでは電力業界向けに代理店的立場で発電プラントの納入、修繕業務に携わってまいりました。また、三菱重工業㈱向けに産業設備、機器の販売を行っております。今後の電力業界の設備投資動向、また、メーカーの販売政策によっては当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
今後もこれら事業は当社グループの中核を担うと考えておりますが、特定の取引先への依存を解消するために、中期経営計画に従い商品のラインアップ、顧客基盤・ビジネスエリアの拡充や補完などに努めてまいります。
当社グループは取引先に対し売上債権、前渡金、未収入金、貸付金、保証その他の信用供与を行っており、取引上の与信については「商品取引規定」を設け、段階的な裁量区分を明確化し、経理部が運用関知をするほか、その他の信用供与についても「職務決裁基準表」に基づき適切なリスク管理を行っております。長期未収入金は返済計画や担保資産に基づき、回収可能性を検討しております。
さらに取引上のリスク管理の体制整備・強化のため、「リスク評価会議設置要領」を制定するとともに、リスク管理担当役員の選任ならびにリスク評価会議の設置をしております。リスク評価会議では、一定金額以上の大型取引やその他リスクが高いと考えられる取引等について、損失の発生防止・最小化並びに収益力強化のため審議、モニタリングを行い、その内容はリスク管理担当役員を通じ、取締役会および本部長会へ報告される体制としています。
しかしながら、これら取引先が支払不能に陥るリスクは完全に排除することはできません。これらリスクが顕在化した場合は当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの売上高の計上時期は、顧客の検収時期等により変動するため、当初の予定時期から変更される場合があります。特に大口の機械又は設備の納入案件及び工事案件については、中間期末である9月もしくは年度末となる3月に納入時期が集中する傾向にあります。当該期末に納入を予定していた案件の納入時期や顧客の検収時期が、何らかの理由により翌期以降に変更となった場合は、計画未達など当社グループの当該期の業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの提供する製品及びサービスはその欠陥が原因で生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。当社グループは仕入先との連携を密に行い品質管理の徹底を図るとともに、必要に応じPL保険の付保や新たに締結する契約書について責任範囲を明確化するなどの対策を行っておりますが、その欠陥が販売先に深刻な損失をもたらす場合など、製品またはサービスの欠陥が原因で生じた損失に対する責任を当社グループに対し追及された場合、さらに製品またはサービスに欠陥が生じたことにより当社グループの社会的評価が低下した場合は、当社グループの販売製品及びサービスに対する顧客の購買意欲が低減する可能性があります。これらの場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、大規模な地震やその他の自然災害、テロ・暴動その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの事業および販売活動の継続が困難となる可能性があります。当社グループでは社員安否確認システムの導入、事業用設備に対する保険加入、バックアップオフィスの設置、防災訓練および必要物資の備蓄など、災害に備える対策を講じておりますが、災害の種類や被害の規模によっては当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
なお、当社グループの気候変動リスクについては「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 TCFDに基づく情報開示」欄に記載しております。
当社グループではコロナウイルス感染症が流行した際、政府や都道府県の指針に従い、在宅勤務や時差出勤の実施など感染拡大防止策の徹底に努めました。今後も、感染症の世界的流行が発生した場合は、当社グループが保有する資産や従業員に直接被害が及び、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの取扱商品の市場は、競争的な環境にあります。当社グループは長年にわたり培ってきた事業に留まらず、新規事業との相乗効果で収益力を向上させ、商品販売における競争力を維持する方針ですが、新規事業者の参入や低価格競争の激化などの要因によって当社の競争力が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、持続的成長と収益率向上を図るためM&Aや関係会社設立などの事業投資を行っております。これら事業投資の実行及び投資実行後の案件管理にあたっては事業投資方針など社内規定に基づき、適正にリスクを管理しております。しかしながら、これらの事業の進展は当該事業パートナーの業績や財政状態といった当社グループが制御しえない要因による影響を受けるなど、その予測が困難なことがあります。その結果、当社が重大な損失を被る可能性があり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは世界各国との間で商品の輸出入などの事業を展開しており、当社グループでは担当部署を中心に現地の情報収集に努めておりますが、これらの事業はその国の政治的・経済的変動、法律・規制の大幅な改定、テロ・戦争の勃発あるいは感染症の発生などに起因するカントリーリスクの影響で当該国における事業及び取引の継続が困難となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
また、原油価格の上昇や資源価格の高騰により、原材料の安定的な調達が困難になったり、著しく価格が上昇した場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢について、現時点において当社グループは同地域に拠点を有しておらず同地域における事業も行っておりませんが、今後事態の悪化や長期化などにより、ヨーロッパ及びその他地域の仕入先もしくは販売先の事業に影響を及ぼす物価の高騰、物流の混乱や為替への影響等が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
輸出入取引を行うことから生じる外貨建営業債権債務は、為替の変動リスクがあります。これらの為替の変動リスクを軽減するため先物為替予約等の通貨関連デリバティブ取引を行っておりますが全てが回避される保証はありません。
為替の急激な変動は当社の業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
(12)訴訟等に関するリスク
当社グループが事業活動を展開するなかで、知的財産権、納入者責任、労務等様々な訴訟の対象となるリスクがあります。当社では管理本部内に法務部を設置するほか、コンプライアンス委員会を設置し、これらリスクの発生の未然防止に努めておりますが、重大な訴訟が提起された場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの事業には、建設業法・下請法、外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令等または環境関連法令などの各種法規制等が適用されております。当社グループでは当社の管理本部内に法務部の設置、コンプライアンス委員会を設置し「東京産業グループ行動規範」をもとに法令遵守に取り組むなど、これらリスクの発生の未然防止に努めております。しかしながら、これら法規制等の改正や新たな法規制が設けられた場合、またはこれらの法規制に抵触した場合は、当社グループの事業及び取引の継続が困難となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは運用目的または事業の遂行上、取引先等へ投資をすることがあります。これら投資資産の保有にあたっては有価証券運用規定、事業投資にあたっては事業投資方針などの社内規定に基づき、段階的な裁量区分を明確化するほか、その運用・投資状況について定期的に取締役会等に報告を行い、その必要性と保有のリスクを勘案し保有継続、処分の判断を行っております。しかしながら、投資先の財務状態の悪化、株式市況の下落によって当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。当社の年金資産の運用については本部長会での決定を基に、国内の運用機関へ委託しております。また年金資産の運用に関する基本方針を作成しており、各運用受託機関はその基本方針を遵守した年金資産の運用、管理を行っております。当社は運用受託機関から運用状況に関する報告を受け財務・人事の専門性を有した当社グループ役職員がその内容を精査することで年金資産の運用を適切に管理しております。しかしながら、割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは各事業の必要資金のうち特に事業投資に関するものの一部を、金融機関からの借入により調達しており、将来的な資金需要に応じて今後も金融機関からの借入や社債発行等による資金調達を行う可能性があります。当社グループでは、資金使途や期間に応じて金利動向を踏まえた適切な調達を、取締役会の決定により行っております。今後、市場金利が上昇した場合など資金調達の条件が大幅に変動した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは日々の企業活動の収集、蓄積、処理等の情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全確保のため、情報管理に関する規定を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、さらには、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼働となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。
履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する工事案件の売上高は、履行義務の充足に係る進捗度に基づき計算されますが、進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価総額に占める割合に基づいて行っております。工事原価総額の見積りにあたっては、完工に必要となる全ての作業が特定され、これら工事原価の見積りが合理的な根拠に基づいて行われているか、及び原材料の高騰や仕様の変更等、工事着工後の状況の変化による見積前提の変更が、適時に工事原価総額の見積りに反映されているか等、一定の不確実性を伴います。これらの判断が当連結会計年度末における工事案件による売上高の計上金額に影響を与える可能性があります。
(19)法令等の遵守とレピュテーションリスク
当社グループは、「内部統制システム整備の基本方針」に基づくコンプライアンス経営の徹底を行っております。しかしながら、役職員による不正や企業不祥事等が発生した場合、顧客からの信頼喪失による事業上の影響ならびに不正等による直接的な損害が生じる等、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、米国では物価上昇率の鈍化による実質可処分所得の増加に伴い景気は堅調に推移した一方、中国では経済対策と輸出の増加を背景に景気の持ち直しの動きがみられたものの、不動産業の低迷が長期化しており、先行きが不透明な状態が続いております。
そのような中で国内に目を向けると、企業の業績好調を背景に設備投資が増加したことや、労働力不足への対応等により景気回復の兆しが見られます。
こうした情勢のもと、当社グループは旺盛な電力需要やエネルギートランジションへの動き、取引先の設備更新需要への対応を進めた他、前連結会計年度における多額の損失計上を踏まえ、改善報告書に基づきリスク管理体制の整備を進めることで、経営ガバナンスの強化に取り組んで参りました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ37億97百万円増加し、845億93百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ26億74百万円増加し、635億93百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億23百万円増加し、210億円となりました。
当連結会計年度における売上高は、707億16百万円(前期比+8.7%)となりました。これに伴い売上総利益は92億66百万円(前期比+31.7%)、営業利益22億66百万円(前連結会計年度は営業損失45億40百万円)、経常利益26億96百万円(前連結会計年度は経常損失40億88百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億64百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失15億84百万円)となりました。
また、各セグメントの売上高構成は、電力事業22.3%、環境・化学・機械事業70.5%、生活産業事業7.2%となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
基幹業務である火力発電所保守業務が引き続き堅調であったことに加え、原子力関連業務の伸長が寄与し、売上高は157億52百万円(前期比+19.3%)、セグメント利益は14億89百万円(前期比+18.3%)となりました。
自動車関連業務が順調であったことに加え、欧州での化学プラント向け設備・機器納入が好調であったこと、前期までのセグメント損失の主因であった太陽光関連ビジネスの損益が改善したことにより、売上高は498億49百万円(前期比+6.1%)、セグメント利益は5億64百万円(前連結会計年度はセグメント損失58億94百万円)となりました。
主力製品である包装資材および節水型自動流水器の取扱いが堅調に推移したことに加え、包装資材では大口の新規取引があったことから、売上高は51億13百万円(前期比+6.1%)、セグメント利益は2億12百万円(前期比+122.0%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4億31百万円減少し、106億62百万円となりました。
営業活動の結果、増加した資金は53億52百万円となりました。収入の主な内訳は、棚卸資産の減少75億81百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加45億43百万円であります。
投資活動の結果、増加した資金は17億11百万円となりました。収入の主な内訳は、預り金の受入による収入29億92百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出14億円であります。
財務活動の結果、減少した資金は74億95百万円となりました。支出の主な内訳は、短期借入金の減少42億62百万円、長期借入金の返済による支出23億44百万円であります。
該当事項はありません。
当連結会計年度におけるセグメントごとの成約状況は、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループの受注実績の大半が提出会社によるものであるため、上記の金額は提出会社単独の金額を記載しております。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する工事案件に関連する工事原価総額の見積り、貸倒引当金、賞与引当金及び繰延税金資産であり、継続して評価を行っております。なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は下記のとおりです。
履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する工事案件に関連する工事原価総額の見積りについては、「(重要な会計上の見積り)1.履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する工事案件に関連する工事原価総額の見積り」をご参照下さい。
長期未収入金の回収可能額の見積りについては、「(重要な会計上の見積り)2.長期未収入金の回収可能額の見積り」をご参照下さい。
当連結会計年度末における総資産は845億93百万円となり、前連結会計年度末と比較して37億97百万円(4.7%)増加しました。主な要因として、長期未収入金の減少等により固定資産が31億65百万円(△12.6%)減少した一方で、売掛金の増加等により流動資産が69億84百万円(12.5%)増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は635億93百万円となり、前連結会計年度末と比較して26億74百万円(4.4%)増加しました。主な要因として、短期借入金・長期借入金が減少した一方で、預り金が大きく増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は210億円となり、前連結会計年度末と比較して11億23百万円(5.7%)増加しました。この結果、自己資本比率は24.8%となりました。
当連結会計年度における成約高・売上高に関する分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
販売費及び一般管理費につきましては、主として前連結会計年度に計上した多額の貸倒引当金繰入額反動減により、前期比45億73百万円(△39.5%)減少の69億99百万円となりました。
その結果、営業利益は22億66百万円(前連結会計年度は営業損失45億40百万円)となりました。
営業外収益につきましては、主として円安による為替差益の増加等により、前期比43百万円(5.3%)増加の8億60百万円となりました。また営業外費用につきましては、支払利息の増加等により、前連結会計年度比64百万円(17.6%)増加の4億30百万円となりました。
その結果、経常利益は26億96百万円(前連結会計年度は経常損失40億88百万円)となりました。
税金等調整前当期純利益は前期比28億45百万円(699.2%)増加の32億52百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は21億64百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、電力事業、環境・化学・機械事業、生活産業事業に関わる仕入費用及び各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、情報処理のための無形固定資産投資等があります。当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っております。
2024年4月1日前に締結されたコミットメントライン契約及び実行可能期間付タームローン契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する改革府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
該当事項はありません。