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(注1) 本報告書においては、第151期(2018年4月1日から2019年3月31日まで)を「前期」、第152期(2019年4月1日から2020年3月31日まで)を「当期」と記載しております。 (注2) 当有価証券報告書には、当社の中期経営計画等に関する様々な経営目標及び予測、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの経営目標及び将来予測、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びに当社が現時点で入手している情報や一定の前提に基づいているため、今後の四囲の状況等により変化を余儀なくされるものであり、これらの目標や予想の達成及び将来の業績を保証するものではありません。したがって、これらの情報に全面的に依拠されることは控えられ、また、当社がこれらの情報を逐次改訂する義務を負うものではないことをご認識いただくようお願い申し上げます。 |
中期経営計画
●「中期経営計画2020」の進捗
当社は、2018年5月に、2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」を策定しました。
2019年度における「中期経営計画2020」の取組み状況は、以下のとおりです。
(1)成長戦略の推進の状況
①既存事業のバリューアップ
「既存事業のバリューアップ」を目指し、各事業部門の既存事業において、成長ポテンシャルの追求・実現に取組みました。
②次世代新規ビジネス創出
加速度的にビジネス環境が変化する中で、大きな成長が見込まれる分野に経営資源を集中的に投下することとしています。具体的には、デジタルトランスフォーメーション(注)の加速によるビジネスの高度化やビジネスモデルの変革が期待できる 「テクノロジー × イノベーション」分野、高齢化等の影響により市場の急速な拡大が見込まれる「ヘルスケア」分野、人口増大、都市化の進展によるスマートシティ・都市開発及びインフラ整備事業等の成長が見込まれる「社会インフラ」の3分野を対象にしています。
2019年度は、この3分野に合計で約800億円の投資を実行しました。
(注) IoT、ビッグデータ、AIといった革新的なデジタル技術の進化を背景に、さまざまなビジネス領域で最先端のICT技術を活用した既存事業の高度化・新規事業開発。
③プラットフォーム事業の連携深化
当社グループが有するさまざまな事業基盤や機能は、あらゆる「産業」「社会」「地域」に繋がる多くの「接点」を有しており、新たな価値を生み出す原動力になっています。「顧客基盤」「通信・放送・ネットワーク」「リース・レンタル・シェアリング」「デジタルプラットフォーム」などの事業基盤を通じ、事業と事業の掛合せや組織間の連携によって、新たな価値の創造に取組んでいます。
2019年度において、成長戦略の推進に向けた主な取組みは次のとおりです。
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既存事業のバリューアップ |
・米国コイルセンターMagic Steelへの出資(金属) ・浅間技研工業の買収による鋳造事業の強化(輸送機・建機) ・フィリピン南北通勤鉄道車両の受注(インフラ) ・神田スクエア竣工等の不動産事業の推進(生活・不動産) ・全社デジタルトランスフォーメーションの推進(メディア・デジタル) ・資源上流案件(マダガスカルニッケル事業、チリ銅・モリブデン鉱山事業、ボリビア銀・亜鉛・鉛事業など)の早期収益化やコスト競争力の強化(資源・化学品) |
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次世代新規ビジネス創出 |
<テクノロジー × イノベーション> ・石油ガス掘削自動化ソフトウェア開発事業Sekalへの出資(金属) ・5G関連事業(ローカル5Gソリューション、基地局シェアリング) (インフラ、メディア・デジタル) ・プリンテッド・エレクトロニクス(注1)分野におけるエレファンテックへの出資 (資源・化学品) <ヘルスケア> ・マレーシアにおけるマネージドケア事業(注2)の推進(生活・不動産) <社会インフラ> ・北欧駐車場事業AIMO Parkの買収(輸送機・建機) |
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プラットフォーム 事業の連携深化 |
・ハノイ北部スマートシティ開発(インフラ) ・農業資材直販事業の横展開の推進(資源・化学品) |
(注1)印刷技術を活用し、電子回路や電子デバイスを製造する技術のこと。金属のインクを基材に直接塗布することで、製造工程の簡略化や製品の小型化・薄型化が可能となる。
(注2)民間の医療保険会社・医療機関と連携して、より良質で安価な医療の推進と個人の健康管理の向上を目指す仕組みづくりを行う医療関連サービス事業。
(2)事業支援機能拡充の状況
成長戦略を推進するための全社的枠組みとして、「新規事業開発支援」「フルポテンシャルプラン」「アセットサイクルマネジメント」「デジタルトランスフォーメーション」の4つの「事業支援機能」の拡充に取組んでいます。
「新規事業開発支援」では、全社視点で次世代ビジネスを育成していく仕組みづくりに取組んでいます。ヘルスケア、スマートシティ等の成長ポテンシャルの高い分野において、組織間連携を通じ、全社プロジェクトとして取組む体制を強化しています。
「フルポテンシャルプラン」では、未だ所期の成果を上げるに至っていない改善余地のある事業会社や、更なる成長が期待できる事業会社を対象に、事業価値最大化のための具体策を策定し、実行状況を重点的にモニタリングすることを通じ、全社ポートフォリオの更なる質の改善を図っています。
「アセットサイクルマネジメント」では、他人資本の活用により、各事業の資産効率を上げるための支援を行っています。
「デジタルトランスフォーメーション」では、2018年4月に設立したDXセンターを中心に、各分野の知見やプラットフォーム事業基盤にテクノロジーを掛け合わせることで、当社ビジネスモデルの変革に取組んでいます。
2019年度においては、以下の取組みを行いました。
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新規事業開発支援 |
・イスラエルにおけるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)(注1)設立により、当社とベンチャー企業の連携体制をグローバルに強化 ・社内起業制度「0→1チャレンジ(ゼロワンチャレンジ)」における個人情報管理・活用ツール「iscream(アイスクリーム)」が事業化に向けて実証実験開始 ・社内外のさまざまなアイデアを融合させ、新たな価値を創造するためのオープンイノベーションラボとして、「MIRAI LAB PALETTE」をオープン |
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フルポテンシャルプラン |
既存事業のバリューアップ支援の継続的取組み |
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アセットサイクル |
・物流施設(当社開発物件を含む)を投資対象として組成された物流リートの上場 ・当社が保有する英国の洋上風力発電事業を組み入れた再生可能エネルギーファンドの出資組み入れ完了 |
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デジタルトランス |
・DXセンターを設立し、業務効率化を初手に社内の意識改革を推進。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)では、10万時間以上の業務時間削減 ・専門知識を保有した人材の採用・登用も進め、デジタル技術・データを活用した、ビジネスモデル変革を加速 ・海外拠点にもDX組織を展開、グローバルベースで140名体制とし、外部パートナーともDXを推進 |
(注1)当社事業とのシナジー効果の獲得を目的としたベンチャー投資を行うファンド。
(3)経営基盤の強化
①ガバナンスの高度化
取締役会における、各事業部門の部門戦略の進捗状況及び課題並びに課題への対応方針に関する報告や、主要な委員会の活動報告、市況変動リスク、カントリー・リスク等の集中リスクに関わるポートフォリオ報告などのほか、取締役会オフサイトセッションにおける、ESG(環境・社会・ガバナンス)を含むさまざまな重要経営課題についての議論により、取締役会の執行に対するモニタリング機能の更なる強化に取組みました。
また、グローバル連結ベースでのグループガバナンスの実効性の維持・向上のため、2018年度から、グループ標準ツールを活用しながら、連結子会社と対話することで内部統制の状況を可視化し、業務品質の向上に取組んでいます。2019年度は、この連結子会社との対話をさらに推進しました。
②人材戦略の高度化
「Diversity & Inclusion ~多様な力を競争力の源泉に~」を基本コンセプトに、各種人事施策を導入し、成長戦略を後押ししています。部門・組織を越えたローテーションによる重点分野への戦略的な人材投入、専門性の高い外部人材の採用拡充、海外転勤時の処遇に関するグループ共通のルール導入等により、グローバル連結ベースで最適な人材を適時・適所に配置できる体制を整備しています。また、多様な個々人が最大限に力を発揮できるよう、「テレワーク制度」や「スーパーフレックス制度」の一層の活用と健康経営の推進を進めました。また、当社の退職者を対象とした「SC Alumni Network」を立ち上げました。当社Alumni(注2)との結びつきを高め、ビジネスイノベーションを起こすオープンな企業文化の醸成を図ります。
(注2)Alumni(アラムナイ)とは、大学の卒業生を意味し、転じて企業を離職した方の集まりを表す言葉として近年使われています。
③財務健全性の向上
経営基盤の更なる強化を目的として、配当後フリーキャッシュ・フローの黒字を確保することにより、財務健全性の向上に努めています。また、コア・リスクバッファーとリスクアセットのバランス(注3)についても、引き続きその維持に努めています。
(注3)「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差し引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
対処すべき課題
(1)「中期経営計画2020」の取組みと新型コロナウイルスの影響
「中期経営計画2020」の取組みの一つである既存事業のバリューアップについては、2019年度上半期からの米中貿易摩擦と自動車関連産業の低迷により金属事業部門や輸送機・建機事業部門における自動車関連ビジネスを中心に当初想定した成長の実現に課題を残しています。また、原油価格等市況商品価格の下落の影響などにより、北米鋼管事業や資源関連事業が影響を受けているほか、マダガスカルニッケル事業においては、オペレーションの高位安定化に向けた一層の取組みが必要です。これら既存の課題事業のバリューアップ実現のため、全社を挙げて取組んでいます。
2019年度後半には新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態が発生しました。当社の事業においては、インフラ、メディア・デジタル、生活・不動産の各事業部門の多くの事業では底堅い収益創出を継続しており、当社業績を下支えしていますが、新型コロナウイルスの感染拡大は、その他の事業部門のさまざまな事業に大きな影響を与えることとなり、当社の事業活動全体への影響の大きさや期間を見通すことが困難な状況が続いています。
(2)現状を踏まえた対応方針
現状においても当社グループは、十分な流動性資金を有し事業活動の継続に支障はなく、リスクアセットに見合うリスクバッファーも確保・維持できる見込みであり、本年度も財務健全性の更なる改善のための有利子負債の削減に取組みながら、長期安定配当という基本方針に基づく配当の支払を予定しています。
一方で、先行きの見通しにくい状況下、今後、さらに厳しい事業環境に晒された場合にも、新型コロナウイルス収束後を見据えて、当社の事業活動をしっかりと継続していくための手元流動性の確保・維持を最優先に経営を行います。そのため、今年は危機対応の一年と位置づけ、当社グループの各事業において、キャッシュ・フローの悪化を最小限にとどめるために、具体的施策を実行していきます。投融資については、これまでの計画をすべて一から見直し、真に必要なものに厳選のうえ、優先順位を付けて実行していきます。また、経費の徹底した管理、運転資金の改善及び資産削減の着実な実行に取組みます。
同時に、これまでも行ってきた既存事業のバリューアップ、撤退すべき事業の見極めを加速しつつ、収益力の早期回復を図るとともに、企業価値の向上に向けたポートフォリオ戦略の見直し、サステナビリティ経営の高度化等、各事業と当社グループ全体の大胆な構造改革にも取組んでいきます。
(3)サステナビリティ経営の推進と高度化
当社グループでは、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注1)を踏まえ、事業活動を通じて自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」(注2)として特定し、サステナビリティ経営を実践しています。
新型コロナウイルスが短期的にも中長期的にも社会に与える影響は多岐に亘ると思われますが、今後世界が経済発展を目指し続けるうえで、気候変動問題はさまざまな社会課題の中でも最優先に取組まなければならない課題の一つです。すでに当社グループでは、気候変動を巡る世界的な情勢を踏まえ、「気候変動問題に対する方針」を定めていますが(注3)、今後も国際的な取組みや事業環境の変化などを注視し、適宜方針を見直していきます。
また、社会課題に対する包括的方針として、「環境方針」及び「サプライチェーンCSR行動指針」を定めていますが、これらに加え、2020年5月には、「住友商事グループ人権方針」(注4)を策定し、企業に求められる社会的責任の一つとして人権を尊重する方針を明らかにしました。
新型コロナウイルスにより、社会が直面するさまざまな課題の緊急度に変化が生じた場合でも、当社グループは、世界をリードする企業グループとして、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に向けて、具体的な方針の策定や施策の実行を通じてサステナビリティ経営の高度化を推進していきます。
(注1)住友商事グループの経営理念については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要③住友商事コーポレートガバナンス原則」をご参照ください。
(注2)住友商事グループのマテリアリティ(重要課題)については、「マテリアリティ(重要課題)への取組み」をご参照ください。
(注3)気候変動問題に対する方針については、当社ウェブサイトに掲載しています。
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/sustainability/environmental-management/climate
(注4)住友商事グループ人権方針については、当社ウェブサイトに掲載しています。
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/sustainability/csr
(4)定量計画
①経営環境
全般
世界経済は、新型コロナウイルスの影響により停滞しており、先行きの不透明感が高まっております。感染拡大を抑制するための都市封鎖や移動制限などにより需給両面から経済活動は弱含むと見られます。日本を含む先進国では、経済活動が停滞しており、新興国においても、中国では生産活動が再開したものの、総じて新型コロナウイルス感染拡大の影響により先行きへの懸念が高まっているほか、資源国では、原油などの資源価格の低迷によりその影響を強く受けると見られます。リスクとして、新型コロナウイルスの再拡大、政治・社会情勢の変化に伴う不確実性の高まり、不良債権問題、地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。
金属事業部門
当部門は、鋼材・鋼管などの鉄鋼製品からアルミなどの非鉄金属製品まで幅広く金属製品を取り扱っています。
鋼材分野では、各国での通商問題ならびに鋼材供給過剰による市場の低迷といった課題に直面しています。これに加え、新型コロナウイルスによって、工場の稼働停止といった直接的影響だけでなく、グローバルサプライチェーンの寸断による各顧客の生産活動停止や世界経済停滞・需要減による生産・在庫調整といった間接的影響も受けており、当面厳しい状況が続くと見込まれます。
鋼管分野では、OPECプラスによる協調減産の破綻に加え、3月に新型コロナウイルスによる需要減の影響を受けて石油・ガス市場全体が急激に減退、将来の見通しも急激に悪化しました。加えて、主要顧客である石油・ガス企業においては、さらなる利便性・経済性と気候変動対策を追求する方針であることから、顧客ニーズの変容への適合も求められています。
このような環境を踏まえ、今後、当部門としては中長期的視点で確実に持続的成長を果たせるビジネスモデルへの再構築を一層加速するとともに、気候変動問題に対しての最先端技術・DX(注)を採り入れた新たな価値提供などにも、注力し取組んでいきます。
(注)デジタルトランスフォーメーション。IoT、ビッグデータ、AIといった革新的なデジタル技術の進化を背景に、さまざまなビジネス領域で最先端のICT技術を活用した既存事業の高度化・新規事業開発。
輸送機・建機事業部門
当部門は、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーン展開する自動車・建設機械・船舶事業、高い専門性を持つ航空宇宙関連事業を中心に、各種取引及び事業投資を行っています。
当部門を取り巻く足元の環境としては、新型コロナウイルスの影響により、リース・ファイナンス事業では、リース先からの繰延要請やクレジットコストの増加、自動車製造・販売事業では、OEMの減産並びに工場の操業停止・世界各地の販売拠点の営業停止、建設機械事業では、需要減少・稼働率低下等の影響が生じています。
このような環境を踏まえ、当部門は手元資金流動性の確保を一義とし、キャッシュマネジメントの強化により、新型コロナウイルスの影響をミニマイズします。足元で事業環境の影響を大きく受けている自動車製造・販売事業では、各事業の競争力強化と不振事業の立て直しに注力していきます。加えて、ポストコロナを見据えた既存事業の維持強化・構造転換及び新規ビジネスの創出にも取組んでいきます。
インフラ事業部門
当部門は、水・鉄道等の社会インフラ事業、EPCビジネスや発電事業等の電力インフラ事業、港湾・海外工業団地、保険事業を含む物流インフラ事業を行っています。
電力EPCビジネスは、今年度大型案件が相次ぎ完工し収益のピークアウトを迎える予定ですが、一方で新型コロナウイルスの影響により多くのプロジェクトで履行ペースの鈍化が顕在化しており、その影響を見極める必要があります。発電事業は足元堅調ですが、今後電力需要減等の影響を一部受ける可能性があります。物流事業は世界的な貿易低迷や輸送量低下を受け、足元において影響が出始めています。
このような環境下においても、当部門は引き続き持続可能な成長を目指し、環境課題への取組みとして、再生可能エネルギーやエネルギーマネジメント事業により注力していきます。また衛生的な上・下水事業、スマートシティ開発、鉄道・空港・港湾事業等、各地域の課題を解決する社会インフラ事業への取組みを加速します。加えて、変化する事業環境への挑戦を続け、分散型発電事業等の新たなビジネスへの参入やIoT・AI・5GなどDX活用による既存事業のバリューアップ、新規ビジネスの創出に取組んでいきます。
メディア・デジタル事業部門
当部門は、ケーブルテレビ、テレビ通販及びデジタルメディア等のメディア事業、ICTプラットフォーム、デジタルソリューション等のデジタル事業、携帯電話販売、情報通信インフラサービス等のスマートプラットフォーム事業を行っています。
当部門を取り巻く環境としては、メディア事業では、有料多チャンネル市場は成長が鈍化していますが、インターネットを活用した各種サービス、及びデジタルメディア(SNSなど)などの市場が拡大しています。デジタル事業では、企業のIT投資需要は底堅く推移していますが、新型コロナウイルスの影響を注視する必要がある一方で、オンライン化・デジタル化の加速により様々な産業でDX投資が拡大する見込みです。携帯電話販売事業では、電気通信事業法改正に伴う端末価格上昇による販売数の減少に加え、新型コロナウイルスの影響で店舗の営業時間短縮等による影響が見込まれます。また、海外の情報通信インフラ事業では、社会インフラとしての重要性が高まり、行政・企業・消費者向けの各種オンラインサービスの拡大が見込まれます。
このような環境を踏まえ、ケーブルテレビ事業ではHome IoTやオンライン診療などの生活周辺サービスを強化します。デジタル事業では、DXセンターを中心に当社グループのDX推進を加速し、新たな価値創出を目指します。海外の情報通信インフラ事業では、各地域でのスマート社会の実現に向け各種付加価値サービスの展開に取組みます。
生活・不動産事業部門
当部門は、ライフスタイル・リテイル、食料、生活資材・不動産分野において事業を展開しています。
ライフスタイル・リテイル分野のスーパーマーケット事業では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、在宅率が高まったことにより内食需要が急増しており、ドラッグストア事業とともに、社会インフラとしての重要性が増しています。ヘルスケア事業では、国内においては、高齢化の進展に伴う調剤医療費の抑制、在宅介護、オンライン診療等で事業機会の拡大が見込まれ、海外、特に新興国では、良質で安価なサービスを提供する医療プラットフォーム構築へのニーズが高まっています。
食料分野の食材・食品開発輸入事業では、外出自粛の影響等により、外食産業向け需要は低下が見込まれますが、量販店向けの需要は底堅く推移しています。不動産分野では、営業時間短縮や休業により商業施設事業の収入が減少しており、今後は、住宅、オフィスビル事業にも影響が生じる可能性があります。
このような環境を踏まえ、当部門は、マーケットを慎重に見極めながら、事業の継続及び将来の成長に必要な施策を実行していきます。食料分野では、食品の安定供給、フードロス削減への取組みを強化し、生活資材分野では、気候変動への取組みが喫緊の課題となっていることから、木材資源事業、バイオマス燃料事業を通してその解決に取組んでいきます。不動産分野では、不動産市況、金融環境を注視して中長期的な視点に立って、事業を推進していきます。
資源・化学品事業部門
当部門は、資源・エネルギー分野では、鉱物資源・エネルギー上流権益の開発・生産及び販売事業を、化学品・エレクトロニクス分野では、基礎化学品、農薬、肥料、医薬、化粧品、エレクトロニクス材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しています。
当部門を取り巻く足元の環境ですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、資源・エネルギー分野では、3月下旬より一部鉱山の操業を停止していることに加え、市況価格も下落しています。化学品・エレクトロニクス分野では、サプライチェーンの混乱、需要減退による市況悪化、製造拠点の稼働率低下の影響を受けています。
このような環境を踏まえ、資源・エネルギー分野では、所在国の方針に沿う形で、鉱山関係者の健康安全を最優先とした対応を取りながら、停止中の鉱山の保全と操業再開に向けた準備を行い、鉱山の安定供給体制への回復に努めていきます。化学品・エレクトロニクス分野では、各国の経済活動再開に備え、トレードと製造事業の両輪体制強化・プラットフォーム事業の連携深化を進め、さらなるバリューアップに取組みます。また、農業IoTソリューションビジネスの展開をはじめ、サステナビリティ向上に資する新規事業化案件へのチャレンジにも取組み、社会の持続的発展に貢献していきます。
②2019年度業績
当期の親会社の所有者に帰属する当期利益は1,714億円となり、前期に比べ1,492億円の減益となりました。一過性損益については、米国を中心とした鋼管事業において、原油価格の下落などによる減損損失及び在庫評価損を計上したことや、ボリビア銀・亜鉛・鉛事業での一過性損失を計上したことなどから約770億円の損失となり、前期に比べ約690億円の減益となりました。
一過性を除く業績は約2,480億円となり、前期に比べ約810億円の減益となりました。非資源ビジネス(注1)は、電力EPC案件に係る建設工事が進捗したことや不動産事業が堅調に推移した一方で、北米鋼管事業が需要減少などにより減益となったことや、米中貿易摩擦などの影響で自動車関連事業が低調に推移したことなどにより減益となりました。また、資源ビジネス(注2)は、主に資源価格の下落によりボリビア銀・亜鉛・鉛事業や豪州石炭事業などで減益となりました。
(注1)非資源ビジネスとは、全社で行っているビジネスのうち、資源ビジネス(以下、(注2)をご参照ください。)以外のビジネスを指します。
(注2)資源ビジネスとは、「資源第一本部」「資源第二本部」「エネルギー本部」が行っているビジネスを指します。
③2020年度業績見通し
2020年度の業績見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大による影響の度合いを合理的に見通すことが困難であり、現時点では連結純利益の見通しを開示できる状況に至っておりませんが、各国のロックダウンが解除される等、経済活動再開に係る情報を確認、精査した上で、可及的速やかに業績予想を公表いたします。
④キャッシュ・フロー計画進捗
2019年度の基礎収益キャッシュ・フロー(注3)は、事業環境の悪化もあり2,390億円のキャッシュ・インにとどまりました。その他の資金移動は、運転資金の増加などにより、500億円のキャッシュ・アウトとなった一方、資産入替えでは、英国洋上風力発電事業の売却や航空機エンジンリース事業の共同事業化などにより、1,200億円の資金を回収しました。
投融資は、北欧駐車場事業の買収や、米国オフィスビルの取得などにより、3,500億円の投融資を実施しました。これらの結果、2019年度の配当後フリーキャッシュ・フロー(注4)は約300億円のキャッシュ・アウトとなりましたが、中期経営計画2020の2年累計実績としては、約1,000億円の黒字となっています。
新型コロナウイルスの影響などにより、当初計画に対して、キャッシュ・インの大幅な減少が見込まれるものの、投融資の厳選や、資産削減の着実な実行などにより、さらなるキャッシュ・フローを創出し、フリーキャッシュ・フローの悪化を食い止め、有利子負債の削減を通じた財務健全性の向上に取組んでいきます。
キャッシュ・フロー実績 (単位:億円)
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中計2020 累計実績 (18/4~20/3) |
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(参考) 中計2020 当初計画 (18/4~21/3) |
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2018年度 実績 |
2019年度 実績 |
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基礎収益 キャッシュ・フロー |
+2,900 |
+2,390 |
+5,290 |
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+12,000 |
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減価償却費及び 無形資産償却費 |
+1,118 |
+1,153 |
+2,272 |
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資産入替えによる回収 |
+2,400 |
+1,200 |
+3,600 |
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+6,000 |
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その他の資金移動 |
△1,200 |
△500 |
△1,700 |
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新規投資及び更新投資 |
△3,000 |
△3,500 |
△6,500 |
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△13,000 |
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フリーキャッシュ・フロー |
+2,176 |
+732 |
+2,908 |
|
+5,000 |
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配当 |
△887 |
△1,037 |
△1,923 |
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△3,000 |
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配当後 フリーキャッシュ・フロー |
+1,289 |
△305 |
+984 |
|
+2,000 |
(注3)基礎収益キャッシュ・フロー=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×
(1-税率)+持分法による投資損益
(注4)IFRS第16号「リース」適用による減価償却費の増加額約500億円を控除したベース
主な投融資実績(18/4~20/3)
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主な投融資実績 |
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金属 |
・インド特殊鋼事業 ・ノルウェー 石油ガス関連ベンチャーへの出資 |
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輸送機・建機 |
・レンタル資産 積み増し ・北欧駐車場事業 |
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インフラ |
・欧州洋上風力発電事業(フランス・ベルギー) ・ベトナム 石炭火力発電事業 |
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メディア・デジタル |
・SCSK システム関係会社 完全子会社化、設備投資 ・テクノロジー企業へのベンチャー投資 |
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生活・不動産 |
・国内/海外不動産取得 ・国内調剤薬局買収 |
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資源・化学品 |
・チリ銅事業ケブラダ・ブランカ権益取得 ・ウクライナ 農業資材直販事業 |
(5)配当方針
当社は、株主の皆様に対して長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額の増加を目指して取組んでいます。
2018年度からの3か年を対象とする「中期経営計画2020」においては、連結配当性向30%程度を目安に、基礎収益やキャッシュ・フローの状況等を勘案のうえ、配当額を決定することとしています。
2019年度及び2020年度の年間配当金については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
マテリアリティ(重要課題)への取組み
① 社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)
社会課題の解決に向けて企業の果たす役割への期待や、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面が企業の評価や投資行動につながる機運が高まる中、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注1)を踏まえ、事業活動を通じて、自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を、「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」として、以下のとおり特定しました。これを、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付けています。
● グローバルに広がる顧客・パートナーとの信頼関係とビジネスノウハウを活用し、健全な事業活動を通じて豊か
さと夢を実現するという企業使命を果たすことで、持続的な成長と以下の社会課題の解決を両立していきます。
● また、上記の課題を解決するための基盤として、人間尊重や信用・確実といった経営姿勢と、活力に溢れ革新を
生み出す企業風土のたゆまぬ維持向上に努めています。

② マテリアリティ(重要課題)の位置付けと特定プロセス等
<マテリアリティ(重要課題)の位置付け>
(注1)住友商事グループの経営理念については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要③住友商事コーポレートガバナンス原則」をご参照ください。
(注2)Sustainable Development Goalsの略称。2030年までの世界規模の課題が盛り込まれた17の目標。2015年に国連総会で全ての加盟国(193か国)により採択されました。
<特定プロセス>
特定に当たっては、まず国際的なガイドラインやSDGsを参照し、当社の事業と社会課題との関わりを整理・分析しました。そのうえで、住友の事業精神や当社グループの経営理念を踏まえて重要課題を抽出し、社内アンケートを実施したほか、社外ステークホルダーや有識者との意見交換を重ね、その結果を文章化しました。そして、CSR委員会(現サステナビリティ推進委員会)、経営会議及び取締役会での審議・決議を経て、特定しました。上記プロセスを経て特定したマテリアリティを事業において実践することが、当社グループがSDGsの達成に貢献していくことにつながると考えています。

③ マテリアリティ(重要課題)の取組み事例
<ベトナム北ハノイのスマートシティ開発事業>
当社は、2019年10月に、ベトナムの現地企業とともに、不動産開発会社を設立し、ハノイ市北部272haを対象としたスマートシティ開発に参画しました。病院、学校、防災設備、セキュリティシステム、商業施設などに加え、緑・水路・桜並木を整備し、安全かつ安心できる住み心地のよい環境・コミュニティの実現を目指しながら、5G、顔認証、ブロックチェーン技術を導入することによりスマートシティとしてのサービス高度化を図り、同市の持続的な発展へ貢献します。
<鹿児島県甑島の「みらいの島プロジェクト」及び長崎県の「みらいの工場プロジェクト」>
2017年より鹿児島県薩摩川内市と共同で開始した「みらいの島プロジェクト」に引き続き注力しました。電気自動車(EV)を自然環境と共生するエコな移動手段として、また交通弱者を助ける公共の乗り物として利用することで、過疎化が進む地域の課題の解決を図ります。また、長崎県で実施している、EVリユース蓄電池を活用した最新の環境関連設備を備えたスマート工場のモデルを構築する「みらいの工場プロジェクト」にも引き続き取組みました。今後も再生可能エネルギーの導入拡大に資する取組みによって、環境負荷の低減による社会貢献を進めていきます。
当社の事業その他に関するリスクとして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2020年3月31日)現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があり、また、予測等に基づき策定した中期経営計画を修正する可能性や達成できない可能性もあります。
(1) 新型コロナウイルスに係るリスク
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の停滞は、当社のさまざまな事業に大きな影響を与えていますが、感染症拡大による影響は不確定要素が多く、当社の今後の事業活動への影響の大きさを見通すことが困難な状況が続いています。感染が収束に向かわず長期化した場合、当社の業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、これらに対する対応方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
(2) 事業投資に係るリスク
① 全般
当連結会計年度末現在、当社は663社の連結子会社及び294社の持分法適用会社を有しています。当社では連結子会社及び持分法適用会社への投資に関しては、技術革新等を含む環境の変化や、パートナーの業績不振等により、計画した利益が獲得できず、投下資金の回収不能や撤退時における追加の資金負担といったリスクが考えられます。当社ではこれらリスクを管理するため、新規投資実行時及び実行後のモニタリングに大別して様々な制度を導入しています。
(a) 新規投資実行時
取り組みの初期段階から「投資テーマ」を明確にし、デューデリジェンスによって重点的に検証しています。加えて、当該事業リスクに応じた割引率を適用することにより、投資対象の「適正な価格」を算定するなど、定性・定量の両面から評価を実施しています。また、投資案件の意思決定については、案件の規模や重要性に応じて、検討・実行の各段階において、各事業部門の投融資委員会および全社投融資委員会を開催します。それらの委員会において、戦略上の位置付け、案件選定の背景・理由、ならびに投資の成否を左右する諸条件について、早い段階から深く議論しています。
(b) 投資実行後
投資後の支援にあたっては、投資の意思決定時点において課題を明確にし、投資後もスムーズに課題解決に取り組める体制を整えています。特に重要な案件においては、統合支援機能として「100日プラン(注)実行支援制度」がある他、全社投融資委員会のもとで業績改善の立案や実行をフォローする「重点フォローアップ制度」を設けています。更には、投資ポートフォリオの質の向上を目的とした新たなモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を2018年度に導入しました。主に定量的な指標をもとに投資先を評価し、「健全先」「ポテンシャル先」「撤退候補先」の三つに分類しています。投資ポートフォリオにおける立ち位置を確認の上、改めて事業性の強弱をレビューします。レビュー結果に従って、事業価値最大化につながる具体策を通じて成長戦略の一つである「既存事業のバリューアップ」を図る一方、成長余地の乏しい事業からの撤退も促しています。これらの施策は、「中期経営計画2020」にて掲げる「既存事業のバリューアップ」を促進するためのものです。また、同中期経営計画にて掲げる「ガバナンスの高度化」を目的とし、2018年度には、当社及び事業会社の対話によって事業会社における内部統制プロセスを強化するための「グループガバナンス高度化プロジェクト」を立ち上げ、事業会社における業務品質の向上に取り組んでいます。
(注) 投資実行直後の早い段階で、投資先のマネジメントと目標とすべき経営指標や財務指標を含めた事業価値最大化を図る中期計画の策定に向けた経営インフラ構築・整備活動。
② 大型案件に係るリスク
(a) アンバトビー
当社は、2005年、マダガスカル共和国にて、ニッケル採掘から精錬までを一貫して手掛ける同事業に参画しました。当社の100%子会社であるSummit Ambatovy Mineral Resources Investment B.V.(本社:オランダ本国アムステルダム)を通じて、マダガスカルにおけるニッケル採掘事業会社であるAmbatovy Minerals S.A.及びニッケル精錬事業会社であるDynatec Madagascar S.A.(本社:マダガスカル共和国アンタナナリボ、以下両社を称して「プロジェクト会社」)に各47.7%の出資を行い、Sherritt International Corporation(本社:カナダオンタリオ州、出資比率12%)、Korea Resources Corporation(本社:韓国江原道、出資比率40.3%)と共に事業を行っています。
当社はプロジェクト会社への投資に対して持分法を適用しております。プロジェクト会社の有形固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が有形固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識します。プロジェクト会社における有形固定資産の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産状況、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率、新型コロナウイルス感染拡大による操業停止の期間といった重要な仮定が使用されており、これらの仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
当連結会計年度においては、コバルトの長期予想価格の見通しの下落、プロジェクト会社における設備トラブルに起因する不安定な操業状況および新型コロナウイルス感染拡大による操業への影響を踏まえ有形固定資産の減損の兆候を認識し、減損テストを実施しております。その結果、処分コスト控除後の公正価値がプロジェクト会社における有形固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識しておりません。なお、操業停止期間に関しては、回復時期が見通せない状況ではあるものの、半年を超えない範囲で操業停止が継続すると仮定を置いた上で生産計画の見直しを行っております。
当連結会計年度末におけるプロジェクト会社に対する持分法投資の帳簿価額は約634億円となります。
(b) Fyffes
当社は、2017年、アイルランド青果物生産・卸売企業Fyffes社の全株式を約900億円で取得しております。Fyffes社は欧州、米国、カナダ、中南米などにおいて、バナナ、パイナップル、メロンおよびマッシュルームを中心に青果物の生産や流通、販売を幅広く手掛けています。なお、当社の取得価額には超過収益力が含まれており、当連結会計年度においては、のれん及びその他無形資産の帳簿価額は約728億円となっております。
Fyffes社ののれん及びその他の無形資産については、使用価値に基づき算定される回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失が認識されます。使用価値算定においては、販売数量・マージン・割引率等が重要な仮定として使用されており、これら仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
③ 鉱物資源、石油、ガス開発・生産事業に係るリスク
当社は、鉱物資源、石油、ガス等の開発事業を各国で展開しており、以下に例示するようなリスクを負っています。これらが顕在化することにより、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(a) 開発事業において、計画を超えた開発費用の増加や工期の遅延が起こること
(b) 事業参画前には専門家を起用して十分な地質調査を実施しますが、それにもかかわらず事業開始後に埋蔵量が変動すること
(c) 操業にかかわる技術的問題等に起因して、生産量が計画を下回り、あるいは生産コストが上昇すること
(d) 許認可の取得・更新の遅延、税制の変更、事業資産の接収や権利の侵害等、事業所在国の政府にかかわる事由に起因して計画が実現しないこと
当社では、資源開発の知見に長けた人材からなる「資源・エネルギープロジェクト管理部」を立ち上げ、当該事業のプロジェクトマネジメントの強化に努めています。また、単一プロジェクトへの投資上限金額の設定や資源・エネルギーポートフォリオ中の生産未開始案件の割合を一定以下に保つ等のポートフォリオマネジメントを通じて、上記リスクの抑制に努めています。
(3) タイプ別リスク
① 信用リスク
当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。また、当社は、主としてヘッジを目的とするデリバティブ取引を活用しており、当該取引にも契約相手先の信用リスクが存在します。
当社では、内部格付制度に基づく取引先等の信用力チェックや担保・保証等の取得、取引先の分散等により、かかるリスクの管理に努めており、また、上記の信用リスクが顕在化した場合に備えるため、取引先の信用力、担保価値その他一定の前提、見積り及び評価に基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、予期せぬ要因等によりこれら取引先、契約相手先が、支払不能、契約不履行等に陥る場合、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
② 商品市況の変動に係るリスク
当社グループは金属・エネルギーを始めとする各種商品の売買を行っており、当該商品の価格変動リスクを負っています。
当社は、商品毎の枠設定による管理体制の構築や、ヘッジ取引等によりリスクの軽減に努めており、主要な商品については、ポジション枠及び損失限度枠の設定、ミドル・バックオフィスの設置により職務分離を確保しています。
また、当社グループは直接・間接的に鉱物・原油及びガス資源権益を保有しており、生産物の価格変動リスクを負っています。これら事業については、予めヘッジポリシーを定め、デリバティブ取引等を用いてヘッジを実施することにより業績の下振れリスクを抑制しています。
③ カントリーリスク
当社は、日本を含む60ヶ国以上において商取引及び事業活動を行っており、関係各国の政治・経済・社会情勢等の事業環境の変化に起因して生じる事業遅延・停止等が当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、案件毎に保険を付保するなどのリスク回避策を講じるとともに、社内国格付に応じたエクスポージャーの上限目安額を設定し、国毎のエクスポージャー管理を実施することにより事業ポートフォリオが適切な分散を保つよう管理しています。
④ 金利・為替の変動に係るリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。また、当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用を供与する場合があります。これらの取引により生ずる収益・費用及び資産・負債の公正価値は、金利変動の影響を受ける場合があります。
また、当社が行う外貨建投資並びに外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受ける場合があります。
当社ではこれら金利変動、外国為替レートの変動によるリスクを回避するため、デリバティブ等を活用していますが、これらによりリスクが十分に回避できる保証はありません。
⑤ 株式市場の変動に係るリスク
当社が保有する市場性のある有価証券は、日本企業が発行する株式への投資が大きな割合を占めており、日本の株式市場が今後低迷した場合には、有価証券の公正価値の変動によって、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
⑥ 不動産等、固定資産の価値下落に係るリスク
当社は、日本及び海外において、オフィスビルや商業用施設、居住用不動産の開発、賃貸、保守・管理事業等の不動産事業を行っており、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、当社が保有する賃貸用の土地及び建物、並びに開発用の土地及びその他の不動産の評価額について、減損処理を行う必要が生ずる可能性があります。
不動産の他、当社が所有する他の固定資産についても減損のリスクに晒されており、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに係るリスク
当社は、情報セキュリティの重要性を認識しており、関連規程の整備や役職員への啓発、情報セキュリティを確保するための技術的な対策等を施し、情報資産を管理することに努めています。また、当社は事業活動の多くを情報システムの機能に依存していることから、情報システム運営の上でも安全性の確保に努めています。しかしながら、予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ウィルスやマルウェアの侵入、情報システムの機能不全等により、情報の漏洩・滅失・毀損、事業活動の一時的停止等、当社の事業活動が重大な悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに適切に対応出来るよう、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とする情報セキュリティ委員会を中心に、2017年10月制定の「情報セキュリティ基本方針」に沿って、関連規程を整備した上で情報資産の適切な管理に努めています。また、「中期経営計画2020」にて掲げる「ガバナンスの高度化」を推進するため、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対してはシステム上の対策に加え、外部専門機関とも連携の上、最新情報を入手し、適切かつ迅速に対応できるように努めています。
⑧ リーガル・コンプライアンスリスク
当社は、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しています。これらの法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、汚職・腐敗行為防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国においては、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更によって、法令遵守のための当社における負担がより増加する可能性があります。
当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるとともに、事業が制約され、信用の低下を被る可能性があるため、当社の事業展開、業績、財政状態及び信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンス施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、コンプライアンスに関する適切な施策を策定・実行しています。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、従来の当社の「コンプライアンス指針」を踏まえ、「住友商事グループ・コンプライアンスポリシー」を制定し、セミナーなどの継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」および、万一、コンプライアンス上の問題が発生したときは直ちに上司あるいは関係部署に対して事態を報告し、最善の措置をとること、すなわち「即一報」の意識の浸透・徹底を図っており、コンプライアンス問題の発生防止に努めています。
⑨ 訴訟等に関するリスク
当社は、日本及び海外において訴訟等の係争案件に関わっています。また、事業遂行上、偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。
訴訟等に固有の不確実性を考慮すると、現時点において、当社の関わる訴訟等の結果を予測することはできません。また、これらの訴訟等で当社が勝訴するという保証や将来においてそれらの訴訟等による悪影響を受けないという保証はありません。
⑩ 社会・環境リスク
当社グループは、世界中の異なる国・地域で、複数の分野に跨り事業を展開しており、その事業活動は、地球環境や地域社会、顧客、役職員などのステークホルダーにさまざまな影響をもたらします。そのため、当社グループの事業活動が、人々の人権や地球環境に負の影響を与えた場合には、その影響の解消・緩和や損害の賠償等による追加的費用の発生や事業の停止等によって、財政状態の悪化、信用の毀損等の影響を受ける可能性があります。
当社は、社会・環境に配慮し、社会とともに持続的に成長することを目指し、「環境方針」「人権方針」「サプライチェーンCSR行動指針」を制定して、社会・環境問題に関する考え方を明確にしています。事業活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理するために、新規投資の際には、各事業の社会・環境への関わりや影響、それらの管理の状況を確認し、投資実行後も、定期的なモニタリングを行うなど、社会・環境リスク管理の全社的なフレームワークを整えています。
また、世界的な重要課題である気候変動に関しては、事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する方針を掲げ、発電事業において経営資源を再生可能エネルギーなど、より環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトする等の取り組みを進めています。
⑪ 自然災害等に関するリスク
当社が事業活動を展開する国や地域において地震、津波、大雨、洪水などの自然災害、または新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合に、当社の事業に悪影響を与える可能性があります。当社では地震災害等に備え、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成、社員の安否確認システムの構築、災害用物資の備蓄、防災訓練、建物・システムの耐震化及びデータのバック・アップ等の対策を講じておりますが、これによって災害による被害を十分に回避できる保証はありません。
⑫ オペレーショナルリスク
当社は、事業部門、国内外の地域組織及び全世界のグループ会社を通じて、幅広い分野でビジネスを展開しており、夫々の組織において内部統制を適切に構築する必要があります。然しながら、当社が内部統制を適切に構築したとしても、役職員の事務処理ミスや不正行為などのオペレーショナルリスクを、完全に防止することが出来る保証はありません。事務処理ミスや不正行為が発生した場合、当社は財政状態の悪化、信用の毀損等の悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクを出来る限り抑えるために、当社では「中期経営計画2020」にて「ガバナンスの高度化」を掲げ、適切な内部統制の構築・グループガバナンスの高度化に取り組んでいます。
⑬ 資金の流動性に関するリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社は、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
そのため、現預金、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、調達先の分散や調達手段の多様化に努めており、これにより、「中期経営計画2020」にて掲げる「財務健全性の向上」を図ります。
⑭ 繰延税金資産に関するリスク
当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能性を見込めると判断した部分について繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積もりの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。
また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 人材確保に関するリスク
当社グループが事業を展開する地域・分野およびビジネスモデルは劇的に多様化しており、ビジネス環境は従来とは非連続に、そして相当なスピードで大きく変化しています。
変革期の世界で勝ち抜いていくためには、人材戦略として、多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かし、新たな「価値創造」につなげていくことが不可欠と考えています。当社グループでは、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しており、加えて、「中期経営計画2020」では、経営基盤の強化施策として、「人材戦略の高度化」を掲げており、人材戦略の基本コンセプトは「Diversity & Inclusion~多様な力を競争力の源泉に~」とし、グローバル連結ベースでの「適時・適所・適材」の人材配置の徹底、戦略的な人材登用・育成や組織作り、それを支える文化や意識の醸成などに取り組んでいます。然しながら、予期せぬ要因等により、多様な人材の登用・育成が想定通りに進まない場合、当社の事業が悪影響を受ける可能性があります。
(4) 集中リスク
当社グループの商取引及び投資活動において、特定の国、分野、または取引先に対するエクスポージャーが集中するリスクがあります。事業環境の悪化等により当社が期待するリターンが得られない、もしくは損失を被る場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分するリスクアセット額について十分なディスカッションを行っています。また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に状況をモニターしています。具体的な取り組みは以下の通りです。
・インドネシア等当社が抱えるエクスポージャーが大きい特定の国については、前述のカントリーリスク管理制度に則りきめ細かく管理しています。
・資源・エネルギー上流案件については、エクスポージャー上限枠の設定並びに定期的なプロジェクト価値のモニタリングを実施しています。
・定期的に大口債権残・成約残のある先との取引状況や当該取引先の経営状況等の情報を把握し、管理しています。
(1) 企業環境
当期の世界経済は、緩慢な成長に留まりました。長期に渡る米中通商問題の緊張により先行き不透明感が強まったことで、貿易や投資が伸び悩んでいましたが、2020年に入り新型コロナウイルスが世界的に感染拡大し、経済活動には未だかつて経験したことのないような制約要因となり、世界の経済活動は急減速しました。米国では、低失業率を背景に個人消費は景気の下支えとなってきましたが、新型コロナウイルスの影響で足下では失業が急激に増加し、経済活動に深刻な悪影響を及ぼしています。中国では、米国との通商問題の深刻化が経済活動の重しとなり、消費者マインドが悪化したことで、自動車など耐久財の消費に陰りが見られていたところに新型コロナウイルスの感染拡大が重なり経済活動に甚大な影響が出ています。欧州でも予てから景気回復の動きが弱まっていたところに、新型コロナウイルスの感染拡大が景気に対して極めて強い下押し圧力となっています。国際商品市況では、需要鈍化の影響により、多くの商品価格は下落傾向となりました。特に原油は、生産調整の不調に加えて、パンデミック対応による移動制限が重なったことで需給バランスが短期間で大きく崩れ、価格は暴落しました。
国内経済は、外需の低迷や消費増税により個人消費の伸びが減速基調となるなど景気回復の動きが弱まっていたところに、新型コロナウイルス感染拡大により経済活動は停滞し、極めて厳しい状況を迎えることになりました。
(2) 業績
当期の収益は、前期に比べ394億円減少し、5兆2,998億円となりました。売上総利益は、資源価格の下落などによりボリビア銀・亜鉛・鉛事業で減益となったことなどから、前期に比べ495億円減少し、8,737億円となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ299億円増加し、6,774億円となりました。固定資産損益は、米国を中心とした鋼管事業において減損損失を計上したことなどにより、前期に比べ578億円減少し、618億円の損失となりました。有価証券損益は、資産入替に伴う一過性利益を計上したことなどから、前期に比べ185億円増加し、207億円の利益となりました。持分法による投資損益は、マダガスカルニッケル事業で前期に減損損失を計上した反動があった一方、自動車関連事業が低調に推移したことなどから、前期に比べ423億円減少し、848億円の利益となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,714億円となり、前期に比べ1,492億円の減益となりました。また、基礎収益(注)は2,220億円となり、前期に比べ988億円の減益となりました。
(注)基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)
+持分法による投資損益
(3) 事業セグメント
当社は、6つの業種に基づくセグメント(事業部門)により事業活動を行っております。
6つのセグメントは金属事業部門、輸送機・建機事業部門、インフラ事業部門、メディア・デジタル事業部門、生活・不動産事業部門、資源・化学品事業部門から構成されております。
前期及び当期の売上総利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)の事業セグメント別実績は以下のとおりであります。
事業セグメント別売上総利益の内訳
|
|
前期 (自2018年4月 1日 至2019年3月31日) (億円) |
当期 (自2019年4月 1日 至2020年3月31日) (億円) |
増減額 (億円) |
増減率 (%) |
|
金属 |
1,452 |
1,048 |
△404 |
△27.8 |
|
輸送機・建機 |
1,581 |
1,649 |
68 |
4.3 |
|
インフラ |
1,143 |
1,144 |
1 |
0.1 |
|
メディア・デジタル |
929 |
1,002 |
73 |
7.9 |
|
生活・不動産 |
2,107 |
2,264 |
157 |
7.5 |
|
資源・化学品 |
1,903 |
1,520 |
△383 |
△20.2 |
|
計 |
9,115 |
8,627 |
△488 |
△5.4 |
|
消去又は全社 |
117 |
110 |
△7 |
△6.4 |
|
連結 |
9,232 |
8,737 |
△495 |
△5.4 |
事業セグメント別当期利益(親会社の所有者に帰属)の内訳
|
|
前期 (自2018年4月 1日 至2019年3月31日) (億円) |
当期 (自2019年4月 1日 至2020年3月31日) (億円) |
増減額 (億円) |
増減率 (%) |
|
金属 |
405 |
△500 |
△905 |
- |
|
輸送機・建機 |
520 |
300 |
△220 |
△42.3 |
|
インフラ |
644 |
617 |
△27 |
△4.1 |
|
メディア・デジタル |
475 |
383 |
△92 |
△19.4 |
|
生活・不動産 |
421 |
513 |
92 |
21.8 |
|
資源・化学品 |
685 |
432 |
△253 |
△36.9 |
|
計 |
3,148 |
1,744 |
△1,405 |
△44.6 |
|
消去又は全社 |
57 |
△30 |
△87 |
- |
|
連結 |
3,205 |
1,714 |
△1,492 |
△46.5 |
金属事業部門
当期の売上総利益は1,048億円となり、前期の1,452億円から404億円(27.8%)減少しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、500億円の損失となり、前期の405億円から905億円減少しました。これは、北米鋼管事業が減益となったことや、海外スチールサービスセンター事業が低調に推移したことに加え、米国を中心とした鋼管事業で減損損失及び在庫評価損を計上したことなどによるものです。
輸送機・建機事業部門
当期の売上総利益は1,649億円となり、前期の1,581億円から68億円(4.3%)増加しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、300億円となり、前期の520億円から220億円(42.3%)減少しました。これは、船舶事業や自動車関連事業が低調に推移したことに加え、建機販売事業が減益となったことなどによるものです。
インフラ事業部門
当期の売上総利益は1,144億円となり、前期の1,143億円から1億円(0.1%)増加しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、617億円となり、前期の644億円から27億円(4.1%)減少しました。大型EPC案件の建設が進捗したことに加え、発電事業は引き続き堅調に推移しております。
メディア・デジタル事業部門
当期の売上総利益は1,002億円となり、前期の929億円から73億円(7.9%)増加しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、383億円となり、前期の475億円から92億円(19.4%)減少しました。これは、国内主要事業会社が堅調に推移した一方、前期に資産入替に伴う一過性利益の計上や、ミャンマー通信事業で決算期変更があった反動により減益となったことなどによるものです。
生活・不動産事業部門
当期の売上総利益は2,264億円となり、前期の2,107億円から157億円(7.5%)増加しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、513億円となり、前期の421億円から92億円(21.8%)増加しました。これは、国内主要事業会社及び不動産事業が堅調に推移したことなどによるものです。
資源・化学品事業部門
当期の売上総利益は1,520億円となり、前期の1,903億円から383億円(20.2%)減少しました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、432億円となり、前期の685億円から253億円(36.9%)減少しました。これは、マダガスカルニッケル事業で前期に減損損失を計上した反動があった一方、資源価格の下落などによりボリビア銀・亜鉛・鉛事業や豪州石炭事業が減益となったことなどによるものです。
(4) 仕入、成約及び販売の実績
当期において、特記事項はありません。
なお、販売の状況については上記「(2)業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。
(5) 連結包括利益計算書における主要な項目
以下は、連結包括利益計算書における主要な項目についての説明であります。
収益
当社では、収益を、商品販売に係る収益とサービス及びその他の販売に係る収益に区分して表示しております。
商品販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。
・卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売
・不動産の開発販売
・長期請負工事契約に係る収益
サービス及びその他の販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。
・ソフトウェアの開発に関連するサービス
・賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース
売上総利益
売上総利益は、以下により構成されております。
・当社が主たる契約当事者として関与する取引における総利益
・当社が代理人等として関与する取引における手数料
収益が総額で計上される場合、販売に直接寄与する第三者への費用または手数料は、商品販売に係る原価として計上され、売上総利益は、収益の総額から販売に係る原価を差引いた金額となります。当社はサービス及びその他の販売に係る収益の一部として手数料を計上しますが、この手数料は純額表示されるため、結果としてサービス及びその他の販売が売上総利益に占める比率は、収益合計に占める比率よりも大きくなっております。当期、サービス及びその他の販売が収益合計に占める比率は9.0%ですが、売上総利益に占める比率は26.4%となっております。
固定資産評価損
棚卸資産、繰延税金資産及び生物資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積った上で、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を認識しております。また、減損損失の戻し入れを行った場合は当該戻し入れ金額も含めております。
固定資産売却損益
当社は、資産のポートフォリオの戦略的かつ積極的な入替えを図っております。その結果、不動産の含み益を実現するために売却する場合や、価格の下落した不動産を売却する場合、売却損益を計上することになります。
受取配当金
受取配当金には、当社の子会社及び持分法適用会社以外で、当社が株式を保有している会社からの配当金が計上されております。
有価証券損益
当社は事業活動の一環として相応の規模の投資を行っております。これらの投資対象のうち、公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融資産(以下、FVTPLの金融資産)は公正価値で当初認識しております。当初認識後は公正価値の変動を当期利益で認識しております。また、償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、帳簿価額の変動について、必要な場合には減損損失を認識しております。償却原価で測定される金融資産並びに子会社及び持分法適用会社への投資等を売却する際に、売却損益を認識しております。
持分法による投資損益
投資戦略やビジネスチャンスの拡大に関連して、当社は、各セグメントで状況に応じ、新規または既存の会社の買収や出資、他の企業とのジョイント・ベンチャーの結成、または同業他社とのビジネス・アライアンスの組成を行っております。一般的に、当社は、出資比率が20%以上50%以下である会社の投資に対し、その持分利益や損失を計上しております。
FVTOCIの金融資産
公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融資産(以下、FVTOCIの金融資産)は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益で認識しております。
確定給付制度の再測定
当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識しております。
在外営業活動体の換算差額
在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中平均レートを用いて日本円に換算しており、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。当社のIFRS移行日以降、当該差額はその他の資本の構成要素である「在外営業活動体の換算差額」として表示しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
デリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、その他の包括利益で認識しております。
(6) 重要な会計方針
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の資産・負債の計上や偶発資産及び偶発債務の開示、並びに期中の収益費用の適正な計上を行うため、マネジメントによる見積りや前提が必要とされます。当社は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。資産・負債及び収益費用を計上する上で客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りが当社における判断の基礎となっております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。以下、当社の財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針につき説明します。なお、当社の主な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」を参照願います。
収益の認識基準
当社の収益の大部分は、(1)所有権の移転、引渡し、出荷、または顧客の検収に基づき収益を認識する、卸売、小売、製造・加工業に関連する商品販売に係る収益と、(2)役務の提供が完了した時点で収益を認識する、サービス及びその他の販売に係る収益とで構成されております。これらの個別の取引における収益の認識にあたっては、特に複雑な判断は必要ではなく、客観的に収益の認識時点を判断することができます。
当社が技術提供、資材調達、建設工事を請負う電力発電所の建設事業や、顧客仕様のソフトウェアの開発請負事業などの長期請負工事契約については、一定の条件を満たす場合、収益と原価を一定期間にわたり履行義務が充足されることによって認識しております。履行義務が充足される進捗度は、工事契約等に必要な見積総原価に対する、現在までにかかった工事原価の割合に基づいて算定しております。当初の収益の見積り、完成までの進捗状況に変更が生じる可能性がある場合、見積りの見直しを行っております。
収益の本人代理人の判定
当社は、通常の商取引において、仲介業者または代理人としての機能を果たす場合があります。このような取引における収益を報告するにあたり、収益を顧客から受け取る対価の総額(グロス)で認識するか、または顧客から受け取る対価の総額から第三者に対する手数料その他の支払額を差し引いた純額(ネット)で認識するかを判断しております。ただし、グロスまたはネット、いずれの方法で認識した場合でも、売上総利益及び当期利益に影響はありません。
ある取引において当社が本人に該当し、その結果、当該取引に係る収益をグロスで認識するための判断要素として、次の指標を考慮しております。
・当社が、特定された財又はサービスを提供する約束の履行に対する主たる責任を有している。
・特定された財又はサービスが顧客に移転される前、又は顧客への支配の移転の後に、当社が在庫リスクを有している。
・特定された財又はサービスの価格の設定において当社に裁量権がある。
金融資産の減損
当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。
当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けであるSumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。
公正価値で測定する金融資産
当社は、有価証券やその他の投資等の金融資産を保有しており、FVTOCIの金融資産と、FVTPLの金融資産とに分類しております。当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない金融資産をFVTOCIの金融資産として分類し、公正価値の変動を獲得するために保有し、業績評価指標としている金融資産をFVTPLの金融資産として分類しております。当該金融資産の公正価値は、市場価格、割引将来キャッシュ・フローや純資産に基づく評価モデル等の評価方法により算定しております。
非流動資産の回収可能性
当社では様々な非流動資産を保有しております。当社では、不動産や償却対象の無形資産などの非流動資産について、帳簿価額の回収可能性を損なうと考えられる企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損テストを行っております。実際に減損の兆候があるかどうかの判定に際しては、様々な見積りや前提が必要となります。例えば、キャッシュ・フローが直接的に減損の懸念がある資産に関係して発生しているのかどうか、資産の残存耐用年数がキャッシュ・フローを生み出す期間として適切かどうか、生み出すキャッシュ・フローの額が適切かどうか、及び、残存価額が適切かどうか、などを考慮しなければなりません。また、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、更に減損の発生が予測される場合は、その都度、減損テストを実施しております。減損テスト時には、資産の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。当社では、過去の経験や社内の事業計画、及び適切な割引率を基礎として将来キャッシュ・フローを見積っております。これらの見積りは、事業戦略の変更や、市場環境の変化により、重要な影響を受ける可能性があります。なお、新型コロナウイルスに係る会計上の見積りに用いた仮定に関しては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 13 無形資産」を参照願います。
繰延税金資産の回収可能性
当社では、繰延税金資産の全部または一部について、回収が不確実となった場合に、マネジメントの判断により、減額しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、繰延税金資産計上の根拠となっている将来の一時差異の解消が見込まれる期間内、または、繰越欠損金の繰越可能期間内に、納税地において将来十分な課税所得を生み出せるかどうかを評価しなければなりません。当社では、有利・不利に関わらず、入手可能なすべての根拠・確証を用いてこの評価を実施しております。繰延税金資産の評価は、見積りと判断に基づいております。納税地での将来の課税所得に影響を与える当社の収益力に変化があった場合、現状の繰延税金資産の回収可能性の評価も変わる場合があります。
(7) 資産及び負債・資本
当期末の資産合計は、円高に伴う減少があった一方で、IFRS第16号「リース」適用による増加があったことなどから、前期末に比べ2,121億円増加し、8兆1,286億円となりました。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の積み上げがあった一方、円高の影響や配当金の支払があったことなどから、前期末に比べ2,274億円減少し、2兆5,441億円となりました。
現預金ネット後の有利子負債(注1)は、前期末に比べ417億円増加し、2兆4,688億円となりました。
この結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、1.0倍となりました。
(8) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加した一方で、コアビジネスが資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が2,390億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で3,266億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、英国洋上風力発電事業の売却や航空機エンジンリース事業の共同事業化など資産入替による回収が約1,200億円あった一方で、北欧駐車場事業の買収や米国オフィスビルの取得など、約3,500億円の投融資を行ったことなどから、2,034億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、1,232億円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、577億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ500億円増加し、7,104億円となりました。
(注1)有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計 (リース負債は含まれておりません)
(注2)基礎収益キャッシュ・フロー=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
(9) 資金調達と流動性
当社の財務運営は財務健全性の維持・向上を基本方針とし、低利かつ中長期にわたり、安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性の保持を図ることとしております。当社グループ内での資金管理については、グループファイナンスを整備し、資金調達を当社及び金融子会社、海外現地法人に集中した上で、キャッシュ・マネジメント・システムを通じて、当社グループ内で資金を効率的に活用する体制を整えております。
当社は総額3兆1,894億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期比1,525億円増加の3,890億円で、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)2,682億円、コマーシャルペーパー1,208億円となっております。
一年以内に期限の到来する社債及び長期借入金3,657億円を含めた当期の社債及び長期借入金は、前期比610億円減少の2兆8,004億円となっております。このうち、銀行及び保険会社からの長期借入残高は、前期比783億円減少の2兆3,516億円、社債残高は前期比173億円増加の4,488億円となっております。
当社の銀行からの借入の多くは、日本の商慣行上の規定に基づいております。当社は、このような規定が当社の営業活動や財務活動の柔軟性を制限しないと確信しておりますが、いくつかの借入契約においては、財務比率や純資産の最低比率の維持が求められております。さらに、主に政府系金融機関との契約においては、当社が増資や社債の発行等により資金を調達した際に、当該金融機関から、当該借入金の期限前返済を求められる可能性があり、また、一部の契約では当社の剰余金の配当等について当該金融機関の事前承認を請求される可能性があります。当社は、このような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。
詳細は、「2 事業等のリスク(3) タイプ別リスク ⑬資金の流動性に関するリスク」を参照願います。
資金調達については、各金融機関との良好な関係に基づく銀行借入等の間接金融を中心に、コマーシャルペーパーや社債等の直接金融との適切なバランスに留意し、調達期間の長期化を通じた償還期日の分散等による安定的な調達構造を構築しております。また、外貨建ての資金調達については、銀行借入や外貨建て社債発行、通貨スワップの他、金融子会社、海外現地法人におけるコマーシャルペーパー、ユーロMTN等の活用によって資金調達ソースの多様化に取り組んでおります。
なお、当社は、資本市場での直接調達を目的として、以下の資金調達プログラムを設定しており、当期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズでA-/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
・3,000億円の国内及び海外公募普通社債発行登録枠
・国内における1兆円のコマーシャルペーパー発行枠
・米州住友商事により設定された、1,500百万米ドルのコマーシャルペーパープログラム
・当社、英国のSumitomo Corporation Capital Europe(以下、「SCCE」という。)、米州住友商事及びシンガポールのSumitomo Corporation Capital Asiaが共同で設定した3,000百万米ドルのユーロMTNプログラム
・SCCEが設定した1,500百万米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム
保有流動性については、金融市場の混乱等、複数の有事シナリオを想定し、当期末時点で現預金と国内外の主要な金融機関との総額1,260百万米ドル、及び2,650億円を上限とする以下の長期コミットメントラインを中心に、当社及び当社子会社における資金需要や1年内に期日が到来する借入や社債の償還資金等を補完する十分な流動性を確保しております。なお、当有価証券報告書の提出日までに、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
・米国及び欧州の大手銀行によるシンジケート団との間で締結した、1,060百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ建)/マルチ・ボロワー(住友商事及び英国、米国、シンガポールにおける当社子会社への融資)型長期コミットメントライン
・大手米銀との間に締結した、米州住友商事への100百万米ドルの長期コミットメントライン
・大手欧銀との間に締結した、SCCEへの100百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ・ポンド建)型長期コミットメントライン
・大手邦銀のシンジケート団による1,500億円の長期コミットメントライン(内、790億円はマルチ・カレンシー型)
・有力地方銀行のシンジケート団による1,150億円の長期コミットメントライン
資金調達の内訳
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|
前期 (2019年3月31日) (億円) |
当期 (2020年3月31日) (億円) |
||
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短期 |
2,365 |
3,890 |
||
|
|
借入金(主に銀行より調達) |
2,172 |
2,682 |
|
|
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コマーシャルペーパー |
193 |
1,208 |
|
|
長期(一年以内期限到来分を含む) |
28,615 |
28,004 |
||
|
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担保付 |
|
|
|
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|
借入金 |
1,901 |
1,792 |
|
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無担保 |
|
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|
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|
借入金 |
22,398 |
21,724 |
|
|
|
社債 |
4,315 |
4,488 |
|
有利子負債合計(グロス) |
30,980 |
31,894 |
||
|
現金及び現金同等物並びに定期預金 |
6,709 |
7,206 |
||
|
有利子負債合計(ネット) |
24,271 |
24,688 |
||
|
資産合計 |
79,165 |
81,286 |
||
|
親会社の所有者に帰属する持分合計 |
27,715 |
25,441 |
||
|
親会社所有者帰属持分合計比率(%) |
35.0 |
31.3 |
||
|
|
|
|
|
|
|
デット・エクイティ・レシオ(グロス)(倍) |
1.1 |
1.3 |
||
|
デット・エクイティ・レシオ(ネット)(倍) |
0.9 |
1.0 |
||
当期末時点での当社の期限別の支払債務は、以下のとおりであります。
期限別内訳
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|
社債及び借入金 (億円) |
リース負債 (億円) |
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2020年度 |
7,547 |
659 |
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2021年度 |
2,782 |
656 |
|
2022年度 |
3,405 |
505 |
|
2023年度 |
3,158 |
481 |
|
2024年度 |
3,997 |
424 |
|
2025年度以降 |
11,005 |
2,195 |
|
合計 |
31,894 |
4,920 |
IFRS第16号「リース」の適用に伴い、従来、「解約不能オペレーティング・リース」として掲記していたものを「リース負債」として掲記しております。
当社は、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末における契約残高は、1兆260億円です。
当期末時点では、資本的支出に対する重要な契約はありません。
上述の契約に加えて、当社のビジネスに関連して、当社は、顧客の債務に対する保証などの様々な偶発債務を負っています。また、当社は、訴訟による偶発債務の影響を受ける可能性があります。これらの偶発債務に関する詳細は、「(10)偶発債務」及び「(11)訴訟等」を参照願います。当社は、現状においては、それらの偶発債務がもたらす資金需要が重大なものとはならないと判断しておりますが、仮に予想に反して、当社が保証を行っている債務に重大な不履行が生じた場合、また、訴訟の結果が、当社に大きく不利なものであった場合には、新たに、大きな資金調達が必要となる可能性があります。
当社は、主に、ワーキング・キャピタル、新規や既存ビジネスへの投資や債務の返済のために、将来にわたり継続的な資金調達を行う必要があります。当社は、成長戦略として買収、株式取得または貸付による投資を行っており、当期は、有形固定資産及び投資不動産の取得に1,194億円、また、その他の投資の取得に1,358億円の投資を行いました。当社は、現在、全てのセグメントにおいて、既存のコア・ビジネス及び周辺分野を中心に追加投資を検討しております。
しかしながら、これらの投資は、現在、予備調査段階のものや、今後の様々な条件により、その実施が左右されるものであり、結果的に実現されない可能性もあります。また当社は、手許の現金、現在の借入枠や営業活動によるキャッシュ・インで当面必要とされる資金需要を十分に満たせると考えておりますが、それは保証されている訳ではありません。当社の営業活動によるキャッシュ・インが想定より少なかった場合、当社は、追加借入の実施、他の資金調達手段の検討、または投資計画の修正を行う可能性があります。
(10) 偶発債務
当社の取引に関連して、顧客の債務に対する保証履行のような偶発債務を負うことがあります。当社は、世界各国のサプライヤーや顧客と多種多様な営業活動を行うことにより、営業債権及び保証等に係る信用リスクを分散させており、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。
当社の当期末における保証に対する偶発債務の残高(最長期限2045年)は1,157億円で、このうち持分法適用会社の債務に対する保証が732億円、第三者の債務に対する保証が425億円です。これらの保証は主に持分法適用会社、サプライヤー、及び顧客の信用を補完するために行っているものであります。
(11) 訴訟等
当社は、事業遂行上偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受けておりますが、当社の経営上、重要な影響を及ぼすものはありません。
(12) 未適用の新たな基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設または改訂は次のとおりであり、2020年3月31日現在において当社はこれらを適用しておりません。適用による当社への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
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基準書 |
基準名 |
強制適用時期 (以降開始年度) |
当社適用年度 |
新設・改訂の概要 |
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IFRS第3号 |
企業結合 |
2020年1月1日 |
2021年3月期 |
事業の定義の明確化 |
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IFRS第7号 |
金融商品:開示 |
2020年1月1日 |
2021年3月期 |
金利指標改革 |
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IFRS第9号 |
金融商品 |
2020年1月1日 |
2021年3月期 |
金利指標改革 |
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IFRS第10号 |
連結財務諸表 |
未定 |
未定 |
投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出の会計処理 |
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IFRS第17号 |
保険契約 |
2023年1月1日 |
2024年3月期 |
保険契約の会計処理の改訂 |
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IAS第1号 |
財務諸表の表示 |
2020年1月1日 |
2021年3月期 |
重要性の定義の明確化 |
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IAS第8号 |
会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬 |
2020年1月1日 |
2021年3月期 |
重要性の定義の明確化 |
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IAS第28号 |
関連会社及び共同支配企業に対する投資 |
未定 |
未定 |
投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出の会計処理 |
(13) 市場リスクに関する定量的・定性的情報
当社のビジネスは、金利、外国為替レート、商品価格、株価の変動リスクを伴い、これらのリスクマネジメントを行うため、為替予約取引、通貨スワップ・オプション取引、金利スワップ・先物・オプション取引、商品先物・先渡・スワップ・オプション取引等のデリバティブを利用しております。また、後述のリスク管理体制の下、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。
金利変動リスク
当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。コーポレート部門の財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署では、当社のビジネスに伴う金利変動リスクをモニタリングしております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社の借入の大部分が変動金利であり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためです。
しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。また、当社は、金利変動リスクをミニマイズするために資産・負債の金利を調整・マッチングさせるよう、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用しております。
為替変動リスク
当社は、グローバルなビジネス活動を行っており、各拠点の外貨建による売買取引、ファイナンス及び投資によって、為替変動リスクに晒されている場合があります。これらのうち、永続性の高い投資等を除いた取引については、為替変動リスクを軽減するために、各拠点において外貨借入・外貨預金等に加えて、第三者との間で、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引等のデリバティブ取引を必要に応じ行っております。
商品市況変動リスク
当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、及び農産物等の現物取引、並びに鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。
株価変動リスク
当社は、戦略的な目的で金融機関や顧客・サプライヤーが発行する株式等への投資を行っておりますが、これらの株式投資には株価変動リスクが伴います。これらの株式投資に関しては、継続的なヘッジ手段を講じておりません。当社が保有する市場性のある株式の当期末における公正価値は、2,313億円であります。
リスク管理体制
デリバティブや市場リスクを伴う取引を行う営業部は、取引規模に応じてマネジメントの承認を事前に取得しなければなりません。マネジメントは、場合によってはデリバティブについて専門的知識を有するスタッフのサポートを得て、案件の要否を判断し、当該申請における、取引の目的、利用市場、取引相手先、与信限度、取引限度、損失限度を明確にします。
財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署は、取引の実施・モニタリングに際して、以下の機能を提供しております。
・金融商品及び市況商品のデリバティブに関する口座開設、取引確認、代金決済と引渡し、帳簿記録の保管等のバックオフィス業務
・ポジション残高の照合
・ポジションのモニタリングと全社ベースでの関連取引のリスク分析・計測、シニアマネジメントへの定期的な報告
当社の子会社が市況商品取引を行う際には、上記のリスク管理体制に沿うことを要求しております。
特記事項はありません。
特記事項はありません。