当第1四半期において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前期の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
企業環境
当第1四半期の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大により経済活動が制約を受けたため、大幅に落ち込みました。中国では感染拡大が抑えられたことを背景に、経済活動に持ち直しの動きがみられるものの、米国では、失業率が戦後最悪の水準まで上昇し経済情勢が悪化したほか、ユーロ圏経済は、感染拡大抑止を目的とした移動制限の影響を受け、大幅なマイナス成長となり、新興国経済も、総じて感染拡大の影響により停滞しました。また、国内経済も、個人消費や設備投資など内需の落ち込みに加え、外需不振により、非常に厳しい情勢となりました。
業績
当第1四半期の収益は、前年同期に比べ2,774億円減少し、1兆357億円となりました。売上総利益は、販売数量の減少などによりボリビア銀・亜鉛・鉛事業で減益となったことなどから、前年同期に比べ548億円減少し、1,733億円となりました。販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ6億円増加し、1,597億円となりました。その他の損益は、前年同期にジクシス株主再編に係る一過性利益を計上したことの反動などから、前年同期に比べ34億円減少し、35億円となりました。持分法による投資損益は、マダガスカルニッケル事業で減損損失を計上したことなどから、前年同期に比べ769億円減少し、489億円の損失となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する四半期損益は411億円の損失となり、前年同期に比べ1,208億円の減益となりました。また、基礎収益(注)は375億円の損失となり、前年同期に比べ1,139億円の減益となりました。
なお、親会社の所有者に帰属する四半期損益のセグメント別の状況は次のとおりです。
・金属事業部門では、海外スチールサービスセンター事業や北米鋼管事業が減益となったことなどから、前年同期に比べ51億円減益の9億円となりました。
・輸送機・建機事業部門では、リース事業、自動車関連事業などが減益となったことに加え、インドネシア自動車金融事業において、現地政府の新型コロナウイルス緊急対策導入に伴う返済猶予等に関する引当金などの一過性損失を計上したことなどから、前年同期に比べ215億円減益の94億円の損失となりました。
・インフラ事業部門では、発電事業が堅調に推移した一方、大型EPC案件がピークアウトしたことや、前年同期に電力分野における一過性利益を計上したことによる反動などから、前年同期に比べ82億円減益の121億円となりました。
・メディア・デジタル事業部門では、主要事業会社が堅調に推移したことなどから、前年同期に比べ10億円増益の97億円となりました。
・生活・不動産事業部門では、国内スーパーマーケット事業が好調に推移した一方、不動産事業で前年同期に大口案件の引渡しがあったことや、欧米州青果事業が米国市況悪化により減益となったことなどから、前年同期に比べ58億円減益の57億円となりました。
・資源・化学品事業部門では、資源価格の下落などにより豪州石炭事業が減益となったことや、鉱山操業停止の影響によりマダガスカルニッケル事業、ボリビア銀・亜鉛・鉛事業が減益となったことに加え、マダガスカルニッケル事業で550億円の減損損失を計上したことなどから、前年同期に比べ812億円減益の603億円の損失となりました。
(注) 基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法による投資損益
当第1四半期末の資産合計は、営業資産が減少したことに加え、マダガスカルニッケル事業において減損損失を計上したことなどから、前期末に比べ1,761億円減少し、7兆9,525億円となりました。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、親会社の所有者に帰属する四半期損失を認識したことや配当金の支払があったことなどから、前期末に比べ567億円減少し、2兆4,874億円となりました。
現預金ネット後の有利子負債(注1)は、前期末に比べ595億円増加し、2兆5,283億円となりました。
この結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、1.0倍となりました。
(注1)有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計 (リース負債は含まれておりません)
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加した一方で、コアビジネスが資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が578億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で468億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、資産入替による回収が約100億円あった一方で、フィリピン鉄道運営・保守事業や、ブラジルFPSO(Floating Production,Storage and Offloading:浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)保有・傭船事業への参画など、約500億円の投融資を行ったことなどから、532億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、64億円のキャッシュ・アウトとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払などにより、1,012億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残高は、前期末に比べ1,058億円減少し、6,045億円となりました。
(注2)基礎収益キャッシュ・フロー=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に関しては、「第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記 4 見積り及び判断の利用」を参照願います。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
「中期経営計画2020」の概要
当社の中期経営計画に関する以下の説明は、数々の判断、見積り、前提に基づき算出された今後の見通しに関するものです。なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当四半期報告書提出日現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予想等であり、将来そのとおりに実現する保証はありません。
① 基本方針
当社は、2018年4月より2018年度から2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」をスタートさせ、目標達成に向けて取組んでおります。「中期経営計画2020」では、第四次産業革命などの産業構造の変化や全産業のボーダーレス化・複合化が加速する環境下において、経営基盤の強化を図りながら、成長戦略の推進を中心に据え、新たな価値創造への飽くなき挑戦に取り組んでいます。
具体的には、既存事業を徹底的に強化する「既存事業のバリューアップ」、中長期視点での「次世代新規ビジネス創出」及び有力な事業基盤・機能を掛合わせる「プラットフォーム事業の連携深化」の3つの施策を中心に取組むことで、成長戦略を推進しております。また、「ガバナンスの高度化」、「人材戦略の高度化」、「財務健全性の向上」を通じて、経営基盤の更なる強化を図っております。
② 2020年度における取り組み
当第1四半期の世界経済は、(1) 財政状態及び経営成績の状況 企業環境に記載のとおり、新型コロナウイルス感染拡大により経済活動が制約を受けたため、大幅に落ち込みました。このような環境下において、当社ビジネスも新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の停滞による大きな影響を受けており、当第2四半期以降もビジネス毎に新型コロナウイルスの影響度合い、業績回復シナリオは異なるものの、全体としては厳しい事業環境が継続する見通しです。このような状況下、当期は危機対応モードのもと、次期中期経営計画を見据えた構造改革を推進していきます。
具体的な取り組みは以下のとおりです。
・不採算事業の整理
既存事業のバリューアップ遅れに加え、新型コロナウイルスの影響もあり、今年度において複数の案件で一過性損失が発生する懸念がありますが、早期の成長軌道への回帰に向け、懸念・不採算事業に道筋をつけ、経営資源を成長事業へシフトしていきます。
・稼ぐ力の徹底強化
全社ポートフォリオを再構築することで、当社の強みを活かし、より大きな成長が期待できる事業分野への経営資源の配分を加速します。
・サステナビリティ経営の高度化
重要社会課題並びに長期目標を設定し、社会課題の解決に向けた取り組みを推進するとともに、社会課題の長期的な動向を踏まえた経営を通じて、企業価値の向上を図ります。
③ 定量計画
新型コロナウイルスの収束の時期及び先行きは引き続き不透明なものの、当第1四半期連結業績及び上述の当期の取り組み方針を踏まえ2020年度通期連結業績予想を次のとおり算定しております。
2020年度 通期業績予想(親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失(△)) △1,500億円
(うち一過性損益:△2,500億円、うち一過性を除く業績:1,000億円)
一過性損益については、当第1四半期で計上したマダガスカルニッケル事業における減損損失に加え、今後の外部環境や中長期の見立て次第では、当第2四半期以降も当該案件での追加減損も含め、複数の案件で一過性損失が発生する懸念があります。加えて、早期の成長軌道への回帰に向け不採算案件の整理など構造改革を推進することで一過性損失が発生する可能性があります。
一過性損失の発生が懸念される主な案件と当第2四半期以降に想定されるリスクは以下のとおりです。
・インド特殊鋼事業においては、インド経済の回復動向次第では減損損失が発生する懸念があります。
・鋼管事業においては、将来の需要回復見通し次第では減損損失が発生する懸念があります。
・インドネシア自動車金融事業においては、当第1四半期に現地政府の新型コロナウイルス緊急対策導入に伴う返済猶予等に関する引当金増加により約60億円の一過性損失が発生しており、当第2四半期以降、更なるクレジットコストの増加や、減損損失が発生する懸念があります。
・欧米州青果事業においては、業績低迷によりのれん等の減損損失が発生する懸念があります。
・マダガスカルニッケル事業においては、当第1四半期に約550億円の減損損失を認識しておりますが、操業停止期間の長期化等、事業環境の更なる悪化により追加で減損損失が発生する懸念があります。
セグメント毎の一過性を除く業績の当第2四半期以降の見立ては以下のとおりです。「金属」、「輸送機・建機」、「資源・化学品」の3セグメントは新型コロナウイルスの影響が大きく、今年度中の収益回復は困難な見込みです。一方で、「インフラ」、「メディア・デジタル」、「生活・不動産」の3セグメントは好調だった前期の反動減があるものの、概ね底堅く推移する見込みです。
・金属事業部門では、鋼材ビジネスの自動車関連では当第2四半期以降回復を見込む一方、家電関連は低迷する見込みであるほか、鋼管ビジネスにおいては需要低迷により北米を中心に厳しい環境が継続する見込みです。
・輸送機・建機事業部門では、インドネシア自動車金融事業において新規成約が減少しており、今年度中は新型コロナウイルスの影響が継続する見込みであるほか、自動車製造事業においては全ての生産拠点で操業を再開しているものの、本格稼働までは時間を要する見込みです。
・インフラ事業部門では、発電事業は堅調に推移する見込みである一方で、大型EPC案件がピークアウトする見込みです。
・メディア・デジタル事業部門では、主要事業会社が引き続き堅調に推移する見込みです。
・生活・不動産事業部門では、不動産事業において当第2四半期以降に物件の引き渡し増加を見込んでおります。
・資源・化学品事業部門では、マダガスカルニッケル事業において当第4四半期の操業再開を見込む一方、南アフリカ鉄鉱石事業、化学品・エレクトロニクスは堅調に推移する見込みです。
財務方針としては、引き続きコア・リスクバッファーとリスクアセットのバランス(注)を維持することに加え、財務健全性向上のため、3年合計の配当後フリーキャッシュ・フローを2,000億円の黒字とし、有利子負債の返済に充てる計画としております。
(注) 「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
④ 配当方針
当社は、株主の皆様に対して長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額の増加を目指して取り組んでおります。
2020年度 通期連結業績予想は1,500億円の損失を見込んでおりますが、長期にわたる安定配当という基本方針に加え、一過性損失の大部分がキャッシュの流出を伴わない損失であること、また、1,500億円の損失を計上した場合でも、リスクアセットとコア・リスクバッファーのバランスを維持できる見込みであることを踏まえ、当期の配当予想につきましては、2019年度決算発表時(2020年5月8日)に公表した1株当たり70円(中間配当35円、期末配当35円)から変更ありません。
住友商事グループのサステナビリティ経営の高度化
当社は、社会とともに持続的に成長するためのサステナビリティ経営の高度化の一環として、当社に関わりが深い6つの重要社会課題を選び、それに紐づく長期目標を定めました。
当社は、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念・行動指針を踏まえて、2017年にマテリアリティを特定して、当社グループの事業と社会とのかかわりを明確にし、一つ一つの事業が社会の抱える様々な課題の解決に貢献することを意識した経営を行ってきました。
今般定めた重要社会課題は、住友商事グループのサステナビリティ経営を一歩進め、自らの強みである人的リソースやビジネスノウハウ、グローバルなネットワークやビジネスリレーションを活かして、持続可能な社会の実現にどのような役割を果たすのかを、より明確にコミットするためのものです。
重要社会課題は、社会の発展の基礎であり、住友商事の事業活動の前提である「社会の持続可能性」と、持続可能な社会の実現に必要なソリューションを生み出す「社会の発展と進化」という、相互に関連する二つのテーマから成っています。
当社は今後、重要社会課題に対する中期目標並びにKPI(注)を設定し各課題への取り組みを推進するとともに、その進捗を開示します。
(注) Key Performance Indicator
■住友商事グループの重要社会課題と長期目標
*『マテリアリティ』とは住友商事グループが社会とともに持続的に成長するために優先的に取り組むべき課題として特定したもの。
■住友商事グループのサステナビリティ経営
住友商事グループの目指すサステナビリティ経営の高度化は、重要社会課題や目標の設定にとどまりません。
我々の社会が直面する課題の解決に向けて、住友商事グループの果たす役割を明確にコミットすることに加え、社会課題を巡る長期的な事業環境変化を見通して、戦略的に経営資源を配分し、社会が真に必要とする価値を創り出していきます。
持続可能な社会の実現と自らの持続的な成長がしっかりと重なった姿が住友商事グループのサステナビリティ経営です。

(5)研究開発活動
特記事項はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、一般的に、営業活動によるキャッシュ・フローや、銀行借入、資本市場における社債発行、及びコマーシャルペーパーの発行等により、資金調達を行っております。当社の財務運営の方針・目的は、中長期にわたり、安定的かつ低利な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を保持することです。
当社は当第1四半期において総額3兆1,478億円の有利子負債を有しております。このうち流動負債に区分される社債及び借入金は、前期末比510億円減少の7,037億円となっており、主な内訳は短期借入金(主として銀行借入金)2,413億円、コマーシャルペーパー1,323億円、1年以内に返済予定の長期借入金3,190億円となっております。
また、流動性については、従来、金融市場の混乱等、いくつかの有事シナリオを想定の上、必要な流動性額の保持につとめており、当第1四半期末時点においても十分な流動性を保持しております。
当社は、当第1四半期末時点で、総額1,260百万米ドル及び2,650億円を上限とする即時に借入可能な複数のコミットメントラインを締結しておりますが、当第1四半期末時点で、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
当社は、資本市場での直接調達を目的として、国内外で複数の資金調達プログラムを設定しております。当第1四半期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズでA-/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
(スタンダード&プアーズについては、提出日現在、BBB+/A-2(見通し安定的)となっております。)
(7)仕入、成約及び販売の状況
当第1四半期において、北米鋼管事業における販売数量減少及び大型EPC案件のピークアウト等により前年同期と比較し収益が大幅に減少しております。
特記事項はありません。