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(注1) 本報告書においては、第152期(2019年4月1日から2020年3月31日まで)を「前期」、第153期(2020年4月1日から2021年3月31日まで)を「当期」と記載しております。 (注2) 当有価証券報告書には、当社の中期経営計画等に関する様々な経営目標及び予測、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの経営目標及び将来予測、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びに当社が現時点で入手している情報や一定の前提に基づいているため、今後の四囲の状況等により変化を余儀なくされるものであり、これらの目標や予想の達成及び将来の業績を保証するものではありません。したがって、これらの情報に全面的に依拠されることは控えられ、また、当社がこれらの情報を逐次改訂する義務を負うものではないことをご認識いただくようお願い申し上げます。 |
中期経営計画
●「中期経営計画2020」の総括
(1)業績総括
当社は、2018年度から2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」において、「新たな価値創造への飽くなき挑戦」をスローガンに掲げ、経営基盤の強化を図りながら、成長戦略を推進すべく、取組んできました。
初年度は、期初の計画を達成し、業績も過去最高益となりましたが、2019年度は、米中貿易摩擦による世界経済の低迷の影響等により期初の目標が未達となり、最終年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響や低採算事業の整理等に伴う多額の一過性損失により1,531億円の赤字に転落し、収益力において課題が残りました。
また、キャッシュ・フローについては、業績の低迷に伴い、当初計画に対し、キャッシュ・インが全体的に減少したものの、2020年度の危機対応モード下における、構造改革推進に伴う資産入替えの促進や、運転資金の改善、投融資の厳選などを通じ、キャッシュ・フローをきめ細かく管理した結果、3年合計配当後フリーキャッシュ・フローは当初計画の2,000億円の黒字に対し3,100億円の黒字となりました。
なお、「中期経営計画2020」の3年累計で約9,200億円の投融資を実行しており、セグメント毎の主な案件は以下のとおりです。
主な投融資実績(18/4~21/3)
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主な投融資実績 |
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金属 |
・インド特殊鋼事業 ・ノルウェー 石油ガス関連ベンチャーへの出資 |
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輸送機・建機 |
・北欧駐車場事業 ・三井住友ファイナンス&リースへの追加出資 |
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インフラ |
・海外発電事業(欧州・アジア等) ・都市旅客鉄道運営・保守事業(フィリピン) |
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メディア・デジタル |
・SCSK システム関係会社 完全子会社化、設備投資 ・テクノロジー企業へのベンチャー投資 |
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生活・不動産 |
・国内/海外不動産取得 ・マレーシア マネージドケア事業 |
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資源・化学品 |
・チリ銅事業ケブラダ・ブランカ権益取得 ・ウクライナ 農業資材直販事業 |
(2)危機対応モードへの切り替えと構造改革の取組み
「中期経営計画2020」では、成長戦略として、「既存事業のバリューアップ」、「次世代新規ビジネス創出」、「プラットフォーム事業の連携深化」を目指しましたが、2019年度後半に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大という未曽有の事態により、当社は、「中期経営計画2020」の最終年を、危機対応の一年として位置づけ、投融資の厳選、政策保有株式の売却、販管費の削減などの全社キャッシュ・フロー管理の厳格化を行い、また、低採算事業の整理の徹底、事業ポートフォリオの再構築のための既存事業のバリューアップの加速などの構造改革に取組みました。さらにはサステナビリティ経営の高度化のための、重要社会課題と中長期目標の設定に取組みました。
2020年度の当社の事業ポートフォリオは、新型コロナウイルス感染症の拡大によるビジネス環境の激変により当社の弱みが顕在化したものではありますが、それ以前からも世界景気などの環境変化に大きな影響を受けるとともに、その下方耐性に課題があると考えています。まずは、不採算事業の整理、資産入替えに徹底的に取組むとともに、新たな投資の規律や管理の仕組みを作り、新規投資案件の着実な収益化を図ります。さらに、既存事業を変革し、収益力を強化すると同時に、新規コア事業の育成にも取組むこととしました。
上記の構造改革の成果として、低採算事業については、その見極めを徹底的に行い、32社の事業会社から撤退を完了しました。また、約150社の事業会社についても、今後3か年で700億円の収益改善効果を見込める具体的なプランを策定しました。事業ポートフォリオの再構築に向けた、全ての事業戦略の評価も完了しており、今後はそれらをしっかりとレビューしながら、PDCAサイクルを着実に実行していきます。
対処すべき課題
2021年度から2023年度の3か年を対象とする新中期経営計画「SHIFT 2023」においては、当社の事業ポートフォリオ固有の弱点を克服し、当社業績をV字回復させるべく、2020年度からの取組みに加え、課題の背景にある真因を取り除くため、事業戦略を遂行する組織単位(Strategic Business Unit(以下、SBU))の強化と全社最適の資源配分を実現する仕組みを導入して、徹底的な構造改革を行います。
「SHIFT 2023」は、昨年の「危機対応モード」のモメンタムを維持しており、これまで構造改革として実行してきた取組みをより具体的且つ中期的な目線で引き直した内容となっています。全社で総力をあげてこの「SHIFT 2023」を着実に実行することにより、当社の足元の状況を早急に改善させ、一日も早く株主の皆様の信頼を回復すべく、業績面で結果を示していきます。
●新中期経営計画「SHIFT 2023」
「SHIFT 2023」では、「事業ポートフォリオのシフト」を掲げて、現行の事業ポートフォリオをより高い収益性と環境変化への耐性を兼ね備えたポートフォリオに移行していきます。そして、この「ポートフォリオのシフト」の実効性を担保するために「仕組みのシフト」を導入します。また、「経営基盤のシフト」のため、「ガバナンスの強化」、「人材マネジメントの強化」、「財務健全性の維持・向上」を行います。
(1)事業ポートフォリオのシフト
①事業戦略毎の位置づけの明確化
当社のすべての事業をSBU毎に括り直したうえで、「バリュー実現」、「バリューアップ」、「注力事業」及び「シーディング」の4つのカテゴリーに分類し、各事業について位置づけを整理し、目指す方向・果たす役割を明確にします。各SBUがそれぞれの位置づけに応じた目標の達成を実現し、より市場の魅力度が高く、当社の強みが十分に発揮できる「注力事業」となることを目指すことで、より高い収益性と環境変化への耐性を兼ね備えた事業ポートフォリオの構築に繋げます。また、各事業のカテゴリー分類は、市場の変化や当社の持つ強みの変化により、随時見直しながら、事業ポートフォリオの強化を図り、当社の企業価値向上に努めていきます。
なお、かかるシフトの実現にあたっては、社会的な要請であるデジタル化とサステナビリティという2つの大きな潮流をしっかりと捉えることを意識して、取組んでいきます。
②事業戦略分類毎の定量イメージ
4つのカテゴリー別の定量イメージは、次のとおりです。3つのカテゴリーで資産入替えによる資金の回収をしっかりと行いながら、市場の成長が期待でき、かつ、既に当社の強みが実証されている「注力事業」のカテゴリーを中心に、新中期経営計画期間中に1兆1,000億円程度の投融資を行う計画です。具体的には、国内不動産事業や建機レンタル事業、再生可能エネルギー関連事業等での投資拡大を計画しています。
③次世代成長戦略テーマの設定
次世代のコアビジネスを育成すべく、6つの分野を「次世代成長戦略テーマ」として設定し、同分野における事業を全社で中長期的に強化・育成していきます。「中期経営計画2020」において取組んできた、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、「社会インフラ」、「ヘルスケア」の3分野に、当社の強みが発揮できる可能性の高い分野である、「次世代エネルギー」、「リテイル・コンシューマー」、「農業」の3分野を新たに加えました。当社の事業ポートフォリオを、持続可能な社会に整合した形にシフトしていくことも重要な要素と捉え、サステナビリティ経営の高度化という観点からもこれらのテーマに取組んでいきます。
(2)仕組みのシフト
事業ポートフォリオのシフトの実効性を担保するため、以下4つの新たな仕組みを導入します。
①事業戦略管理の進化
当社のすべての事業をSBU毎に括り、事業戦略上の位置づけ・方向性を明確化して、スピード感をもった資産入替えの判断や、戦略水準の向上により投資先事業のバリューアップに繋げます。その実効性を確実にすべく、各SBU単位で具体的目標を設定し、PDCA管理を徹底します。
②投資の厳選/投資後のバリューアップ強化
個別事業の選定・投資判断、投資実行後の事業管理、更にはその投資のパフォーマンスに応じた評価等、投資の各ステージにおいて、過去の失敗を繰り返さないための打ち手を実行します。具体的には、案件を厳選するための厳格な投資規律の設定、投資先に対する最適なリソースの投入、ガバナンス体制の構築、不採算事業のモニタリングの強化等により、投資案件のバリューアップを実現させていきます。
③全社最適での取組み体制強化
特定テーマに関し、事業構想から事業化まで一つの組織で推進し、将来的に当社コア事業を創出することを狙いとして、新たな営業組織であるイニシアチブの枠組みを導入しました。イニシアチブは、部門の枠を超えた全社視点で、ビジネス全体を俯瞰したうえでグランドデザインを描き、中長期目線で次世代のビジネスの創造に取組みます。2021年4月にはその第一弾となる「エネルギーイノベーション・イニシアチブ(Energy Innovation Initiative(EII))」を設立し、従来の組織の枠を超えて、グループの知見を結集し、エネルギー分野での新たな価値創造に挑みます。
④全社最適視点からの経営資源配分の強化
人材や資金といった経営資源を、全社最適の観点から部門の枠を超えて再配分していきます。また、市場の成長が期待できる分野で、既に当社が強みを発揮している事業領域に対して、経営資源を優先的に配分することにより、全社の意思で当社の新たなコア事業を育成・拡大していきます。この取組みを加速するために、全社視点での事業推進役として、グローバルイノベーション推進委員会や全社経営戦略推進サポート委員会といった全社委員会の機能を強化・拡大します。
(3)経営基盤のシフト
経営基盤の強化として、ガバナンスの強化、人材マネジメントの強化、財務健全性の維持・向上に継続的に取組んでいきます。
①ガバナンスの強化
当社のコーポレートガバナンスの更なる充実に向けて取締役会の機能の強化を図ります。このため、新中期経営計画に基づく経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略、サステナビリティ経営等の諸施策などの重要な経営方針・戦略についての実効的な監督やその更なる客観性の強化のための体制整備に取組んでいきます。
②人材マネジメントの強化
2020年度に制定したグローバル人材マネジメントポリシーを具現化するため、人材マネジメント改革を推進していきます。2021年4月には「Pay for Job, Pay for Performance」、「世界Top Tierのプロフェッショナル育成」などをキーワードに、人事制度改定を実施しました。この改訂を梃子に、「Diversity & Inclusion」をさらに推し進め、グローバルでの適所適材をより実現することを目指します。また、コロナ禍が長期化するニューノーマルの時代においても、組織と個人双方のパフォーマンスの最大化を目指し、健康経営の推進と働き方改革に継続して取組んでいきます。
③財務健全性の維持・向上
有利子負債に過度に依存しない投資規律を維持すべく、3年合計の配当後フリーキャッシュ・フローの黒字を確保します。また、リスクアセットをコア・リスクバッファーの範囲内に抑えるべく、引き続きそのバランス(注)の維持に努めます。
(注)「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差し引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
(4)定量計画
①経営環境
全般
世界経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種が普及し感染が収束に向かうにつれ、財政・金融政策の後押しもあり景気回復傾向が続く見通しです。ただし、その回復には国・地域や産業毎にばらつきが生じます。先進国のうち、米国の景気は大規模な刺激策が下支えとなり回復が見込まれます。新興国のうち、中国では景気回復の動きが続く一方、ブラジル、インドなど感染拡大が継続している国では当面、緩慢な景気回復にとどまる見込みです。リスクとして、ワクチン普及の遅延、感染再拡大とそれに伴う経済活動制限の長期化、政治・社会情勢の変化に伴う不確実性の高まり、債務拡大、地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。
金属事業部門
当部門は、鋼材・鋼管などの鉄鋼製品を幅広く取り扱っています。
当部門を取り巻く環境としては、鋼材分野では、新型コロナウイルスによる需要減退の影響を受けましたが、足もとでは自動車や家電など各分野において回復の傾向が見られます。一方で鋼材需給の逼迫、原材料価格の高止まり、半導体・樹脂供給不足などによる今後の影響は不透明であり、注視していきます。
鋼管分野においても、2020年度前半では油価下落に加え、新型コロナウイルスによる需要減退の影響を受けました。足もとでは市況に改善の兆しが見えつつある一方、主要顧客である石油・ガス企業が、石油・ガス需要対応に加え、気候変動問題を念頭に、統合エネルギー事業会社への変容を目指していることに呼応したビジネスへの適合が求められています。
このような環境を踏まえ、今後、当部門としては中長期的視点で確実に持続的成長を果たせるビジネスモデルへの再構築を完遂します。同時に、DXを通じた新たな価値提供、再生可能エネルギー・CCUS等社会のカーボンニュートラル化に資する鉄鋼製品・サービスの供給による気候変動問題への対応をはじめ、サステナビリティ経営の高度化にも注力し取組んでいきます。
輸送機・建機事業部門
当部門は、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーン展開する自動車・建設機械・船舶事業、高い専門性を持つ航空宇宙関連事業を中心に、各種取引及び事業投資を行っています。
当部門を取り巻く事業環境としては、新型コロナウイルスの影響による不透明感はあるものの、今後の緩やかな回復を見込んでいます。リース・ファイナンス事業では市況回復によるクレジットコストの軽減や資産積増しなどによる収益改善を見込みます。また、自動車製造・販売事業は自動車市場の緩やかな回復を見込んでいるほか、2020年度後半に需要が回復した建設機械事業では2021年度も堅調に推移する見通しです。
このような環境を踏まえ、市況回復による収益力の改善を確実なものにしつつ、更なる収益基盤の強化に向け、リース事業では優良資産の積増しにより事業を拡大するほか、建機レンタル事業では既存事業基盤拡大やアジア市場の成長を取込み、自動車製造事業では戦略再構築に基づくポートフォリオの組換えを進めます。また、社会構造変化への挑戦として、モビリティ関連事業において新たなニーズに即したモビリティサービスの開発に注力します。
インフラ事業部門
当部門は、水・鉄道等の社会インフラ事業、EPCビジネスや発電事業等の電力インフラ事業、港湾・海外工業団地、保険事業を含む物流インフラ事業を行っています。
当部門を取り巻く足元の環境としては、電力EPCビジネスでは、工事進捗に伴いピークアウトを迎える中で、新型コロナウイルスの影響等により、複数のプロジェクトで履行ペースが鈍化し、影響が生じています。また、発電事業は総じて堅調ですが、一部電力需要減などの影響が生じています。
このような環境を踏まえ、当部門は下方耐性の強い規模感を持った安定収益を構築すべく、ダウンサイドリスクのマネジメントを一層強化します。また、世界的な環境意識の高まりによる低炭素社会の到来、新興国を中心とした旺盛なインフラ需要を商機と捉え、新たな取組みを加速させます。
具体的には、地域社会全体のニーズを捉えた質の高いインフラアセットを提供すべく、衛生的な上・下水事業、スマートシティ開発、鉄道・空港・港湾事業など、社会インフラ事業に積極的に取組みます。更に2050年のカーボンニュートラルを達成すべく、再生可能エネルギー発電事業や環境価値を活かした国内電力小売事業により注力します。加えて、エネルギーイノベーション・イニシアチブとの共創により、新たな電力・エネルギーサービスの事業化を推進します。
メディア・デジタル事業部門
当部門は、ケーブルテレビ、テレビ通販、及びデジタルメディア等のメディア事業、5G関連事業、ICTプラットフォーム、デジタルソリューション等のデジタル事業、携帯電話販売、情報通信インフラサービス等のスマートプラットフォーム事業を行っています。
当部門を取り巻く環境としては、メディア事業では視聴形態の多様化や各種オンラインサービスの進展が見込まれています。5G関連事業では5Gの商用化が開始、携帯キャリアの基地局整備も進んでおり、市場拡大が見込まれています。デジタル事業ではコロナ禍の環境変化により社会のデジタル化ニーズが加速しており、企業のIT投資は2020年度期初に一旦は冷えたものの順調に回復し、DX需要は一層拡大しています。携帯電話販売事業では電気通信事業法改正に伴う端末価格上昇による販売数の減少がある一方で、在宅勤務増加に伴う法人需要が増加しています。また、海外の情報通信インフラ事業ではミャンマーにおける政変の影響により、先行きの不透明な厳しい事業環境が継続しています。
このような環境を踏まえ、メディア事業ではオンライン診療などのオンラインでの生活周辺サービスの拡充、5G関連事業では基地局シェアリングの商用化・早期拡大に取組み、デジタル事業ではSCSKとともにDX事業化・新たな価値創出への取組みを加速します。また、海外の情報通信インフラ事業ではミャンマーの動向を注視しながら慎重に取組みます。
生活・不動産事業部門
当部門は、ライフスタイル・リテイル、食料、生活資材・不動産分野において事業を展開しています。
ライフスタイル・リテイル分野のスーパーマーケット事業では、新型コロナウイルスの影響による在宅率の上昇により内食需要が増加しており、ドラッグストア事業とともに、社会インフラとしての重要性が増しています。ヘルスケア事業では、引き続き国内において高齢化の進展に伴う調剤医療費の抑制、在宅介護、オンライン診療等で事業機会の拡大が見込まれます。
食料分野の食材・食品開発輸入事業では、外出自粛の影響等により、外食産業向けの需要が減退していますが、内食需要増加による量販店向けの需要は底堅く推移しています。
不動産分野は新型コロナウイルスの影響による物流需要の高まりを受け、物流不動産の市況は好調に推移しているほか、住宅の市況も好調に推移しています。一方で、都市型の商業施設は開業の制限に伴い一部影響を受けているほか、オフィス需要などは今後のマーケットの変化により影響を受ける可能性が想定されます。
このような環境を踏まえ、当部門は、マーケットを慎重に見極めながら、事業の継続及び将来の成長のために必要な施策を引き続き実行していきます。また、DX施策についても、ライフスタイル・リテイル分野では、小売現場ならではのデータ活用や、ドラッグストアにおける全自動調剤導入など、現場での課題解決、機能の高度化を目指した取組みを推進していきます。
資源・化学品事業部門
当部門は、資源・エネルギー分野では、金属資源・エネルギー権益の開発・生産及び販売事業を、化学品・エレクトロニクス分野では、基礎化学品、農薬、肥料、医薬、化粧品、エレクトロニクス材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しています。
当期、資源・エネルギー分野では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一部の鉱山で操業を停止しましたが、2021年3月に約1年振りに生産再開したマダガスカルニッケル事業のほか、現在はすべての鉱山で生産を再開しています。また、世界経済の回復やワクチン接種の進展に伴い、市況価格は全体的に上昇傾向にあります。
化学品・エレクトロニクス分野では、一部、新型コロナウイルスにより需要が減退し、製造拠点の稼働率が低下しましたが、医薬、農薬関連事業は堅調で、全体としては底堅く推移しました。
このような環境を踏まえ、資源・エネルギー分野では、引き続き鉱山関係者の健康安全を最優先に、安定供給体制の確立を目指すとともに、2050年の住友商事グループのカーボンニュートラル化に向け、化石エネルギー権益は撤退・縮小し、中長期的に需要拡大が期待される金属資源へポートフォリオをシフトします。化学品・エレクトロニクス分野では、EMS事業の製造力強化とグローバルネットワーク拡充のほか、農業資材直販事業の更なる拡大と機能高度化に注力していきます。
②定量計画
2021年度の通期連結業績については、前期に不採算事業の整理等に伴う多額の一過性損失を計上したことの反動に加え、一過性を除く業績についても、資源ビジネス(注1)では、資源価格の上昇や、前期に新型コロナウイルス感染拡大の影響により操業を停止していたマダガスカルニッケル事業の操業再開などにより増益を見込んでおります。また、非資源ビジネス(注2)においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けていた、鋼材事業や自動車製造事業の回復などにより増益が見込まれることから、2021年度の通期連結業績の見通しを2,300億円としております。
また、2022年度は2,600億円の連結純利益を計画しており、2023年度については、事業環境の変化が激しく先行きを見通すことが難しいものの、ポートフォリオの収益力と環境変化への耐性を高めることで、どのような環境であっても、3,000億円以上の連結純利益を出せるポートフォリオに強化し、過去最高益の更新を目指していきます。
キャッシュ創出力は、構造改革による収益改善効果や、新たな利益成長を着実に取込むことで、徐々に回復し3年目にはコロナ前の水準近くまで回復する計画です。引き続き徹底的に取組む低採算事業からの撤退やバリュー実現による資金回収も合わせ、3年合計で1兆4,000億円のキャッシュ・インを予定しています。このキャッシュを原資として、市場の魅力度が高く、当社の強みが十分に発揮できる分野を中心に、1兆1,000億円程度の投融資を実行し、ポートフォリオの収益性と下方耐性を高めていきます。また、株主還元として配当に2,600億円を充てる計画です。
(注1)資源ビジネスとは、「資源第一本部」「資源第二本部」「エネルギー本部」が行っているビジネスを指します。
(注2)非資源ビジネスとは、全社で行っているビジネスのうち、資源ビジネス以外のビジネスを指します。
(5)配当方針
配当方針については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
住友商事グループのサステナビリティ経営の高度化
当社は、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注)・行動指針を踏まえて、2017年にマテリアリティ(*)を特定して、当社グループの事業と社会との関わりを明確にし、一つ一つの事業が社会の抱える様々な課題の解決に貢献することを意識した経営を行ってきました。
また、当社は、社会とともに持続的に成長するためのサステナビリティ経営の高度化の一環として、自らの強みである人的リソースやビジネスノウハウ、グローバルなネットワークやビジネスリレーションを活かして、持続可能な社会の実現にどのような役割を果たすのかを、より明確にコミットするため、当社に関わりが深い6つの重要社会課題を選び、それに紐づく長期・中期の目標を定めています。
重要社会課題は、社会の発展の基礎であり、住友商事の事業活動の前提である「社会の持続可能性」と、持続可能な社会の実現に必要なソリューションを生み出す「社会の発展と進化」という、相互に関連する二つのテーマから成り立っています。
(注)住友商事グループの経営理念については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要③住友商事コーポレートガバナンス原則」をご参照ください。
■住友商事グループの重要社会課題と長期目標
*『マテリアリティ』とは住友商事グループが社会とともに持続的に成長するために優先的に取り組むべき課題として特定したもの。
■住友商事グループのサステナビリティ経営
住友商事グループの目指すサステナビリティ経営の高度化は、重要社会課題や目標の設定にとどまりません。
我々の社会が直面する課題の解決に向けて、住友商事グループの果たす役割を明確にコミットすることに加え、社会課題を巡る長期的な事業環境変化を見通して、戦略的に経営資源を配分し、社会が真に必要とする価値を創り出していきます。
持続可能な社会の実現と自らの持続的な成長がしっかりと重なった姿が住友商事グループのサステナビリティ経営です。
住友商事グループのマテリアリティ(重要課題)
① 社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)
社会課題の解決に向けて企業の果たす役割への期待や、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面が企業の評価や投資行動につながる機運が高まる中、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念を踏まえ、事業活動を通じて、自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を、「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」として、以下のとおり特定しました。これを、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付けています。
● グローバルに広がる顧客・パートナーとの信頼関係とビジネスノウハウを活用し、健全な事業活動を通じて豊か
さと夢を実現するという企業使命を果たすことで、持続的な成長と以下の社会課題の解決を両立していきます。
● また、上記の課題を解決するための基盤として、人間尊重や信用・確実といった経営姿勢と、活力に溢れ革新を
生み出す企業風土のたゆまぬ維持向上に努めています。

② マテリアリティ(重要課題)とSDGs(注)
6つのマテリアリティ(重要課題)の特定に当たっては、まず国際的なガイドラインやSDGsを参照し、当社の事業と社会課題との関わりを整理・分析しました。そのうえで、住友の事業精神や当社グループの経営理念を踏まえて重要課題を抽出し、社内アンケートを実施したほか、社外ステークホルダーや有識者との意見交換を重ね、その結果を文章化しました。そして、CSR委員会(現サステナビリティ推進委員会)、経営会議及び取締役会での審議・決議を経て、特定しました。上記プロセスを経て特定したマテリアリティを事業において実践することが、当社グループがSDGsの達成に貢献していくことにつながると考えています。
(注)Sustainable Development Goalsの略称。2030年までの世界規模の課題が盛り込まれた17の目標。2015年に国連総会で全ての加盟国(193か国)により採択されました。
当社の事業その他に関するリスクとして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2021年3月31日)現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があり、また、予測等に基づき策定した中期経営計画を修正する可能性や達成できない可能性もあります。
(1) 新型コロナウイルスに係るリスク
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の停滞は、当社のさまざまな事業に大きな影響を与えていますが、感染症拡大による影響は未だ不確定要素が多く、仮に感染が収束に向かわず長期化した場合、当社の業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、これらに対する対応方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
(2) 事業投資に係るリスク
① 全般
当連結会計年度末現在、当社は662社の連結子会社及び273社の持分法適用会社を有しています。当社では連結子会社及び持分法適用会社への投資に関しては、技術革新等を含む事業環境の変化や、パートナーの業績不振等により、計画した利益が獲得できず、投下資金の回収不能や撤退時における追加の資金負担といったリスクが考えられます。当社ではこれらリスクを管理するため、新規投資実行時及び実行後のモニタリングに大別して様々な制度を導入しています。
(a) 新規投資実行時
取り組みの初期段階から「投資テーマ」を明確にし、デューデリジェンスによって重点的に検証しています。加えて、当該事業リスクに応じた割引率を適用することにより、投資対象の「適正な価格」を算定するなど、定性・定量の両面から評価を実施しています。また、投資案件の意思決定に際しては、案件の規模や重要性に応じて、検討・実行の各段階において、各事業部門の投融資委員会乃至全社投融資委員会を開催し、個別案件の戦略上の位置付け、案件選定の背景・理由、並びに投資後のバリューアップ施策の前提とその確からしさ等投資の成否を左右する諸条件について、早い段階から議論を深掘りし課題の特定を行うと共に、その対応策も踏まえた案件実行可否につき審議しています。
(b) 投資実行後
投資後の支援にあたっては、投資の意思決定時点において課題を明確にし、投資後もスムーズに課題解決に取り組める体制を整えています。特に重要な案件においては、統合支援機能として「100日プラン(注)実行支援制度」がある他、全社投融資委員会のもとで業績改善の立案や実行をフォローする「重点フォローアップ制度」を設けています。更には、投資ポートフォリオの質の向上を目的とした新たなモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を2018年度に導入しました。主に定量的な指標をもとに投資先を評価し、「健全先」「健全化ロードマップ策定先」「撤退候補先」の三つに分類しています。「健全化ロードマップ策定先」「撤退候補先」及び「重点フォローアップ対象先」については、四半期毎に業績やロードマップの進捗状況乃至撤退の取り組み状況をモニタリングする一方、ロードマップの実現確度が十分ではないと判断される場合は、ロードマップの見直し、それでも健全化が困難と判断される場合は、撤退方針先に変更する等、明確な時間軸に基づく投資ポートフォリオのバリューアップ施策を通じ、中期経営計画「SHIFT 2023」にて掲げる「事業ポートフォリオのシフト」に取り組んでいます。また、同中期経営計画にて掲げる「ガバナンスの高度化」を目的とし、投資先の事業に則したKAI、KPI設定を通じた経営の可視化、最適なマネジメントチームの組成、及び事業価値向上を促進するマネジメントの報酬設計等を通じ、事業会社における業務品質の向上を図っています。
(注) 投資実行直後の早い段階で、投資先のマネジメントと目標とすべき経営指標や財務指標を含めた事業価値最大化を図る中期計画の策定に向けた経営インフラ構築・整備活動。
② 鉱物資源、石油、ガス開発・生産事業に係るリスク
当社は、鉱物資源、石油、ガス等の開発事業を各国で展開しており、以下に例示するようなリスクを負っています。これらが顕在化することにより、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(a) 開発事業において、計画を超えた開発費用の増加や工期の遅延が起こること
(b) 事業参画前には専門家を起用して十分な地質調査を実施しますが、それにもかかわらず事業開始後に埋蔵量が変動すること
(c) 操業にかかわる技術的問題等に起因して、生産量が計画を下回り、あるいは生産コストが上昇すること
(d) 許認可の取得・更新の遅延、税制の変更、事業資産の接収や権利の侵害等、事業所在国の政府にかかわる事由に起因して計画が実現しないこと
当社では、資源開発の知見に長けた人材からなる「資源・エネルギープロジェクト管理部」を立ち上げ、当該事業のプロジェクトマネジメントの強化に努めています。また、単一プロジェクトへの投資上限金額の設定や資源・エネルギーポートフォリオ中の生産未開始案件の割合を一定以下に保つ等のポートフォリオマネジメントを通じて、上記リスクの抑制に努めています。
(3) タイプ別リスク
① 信用リスク
当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。また、当社は、主としてヘッジを目的とするデリバティブ取引を活用しており、当該取引にも契約相手先の信用リスクが存在します。
当社では、内部格付制度に基づく取引先等の信用力チェックや担保・保証等の取得、取引先の分散等により、かかるリスクの管理に努めており、また、上記の信用リスクが顕在化した場合に備えるため、取引先の信用力、担保価値その他一定の前提、見積り及び評価に基づいて貸倒引当金を設定していますが、予期せぬ要因等によりこれら取引先、契約相手先が、支払不能、契約不履行等に陥る場合、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
② 商品市況の変動に係るリスク
当社グループは金属・エネルギーを始めとする各種商品の売買を行っており、当該商品の価格変動リスクを負っています。
当社は、商品毎の枠設定による管理体制の構築や、ヘッジ取引等によりリスクの軽減に努めており、主要な商品については、ポジション枠及び損失限度枠の設定、ミドル・バックオフィスの設置により職務分離を確保しています。
また、当社グループは直接・間接的に鉱物・原油及びガス資源権益を保有しており、生産物の価格変動リスクを負っています。これら事業については、予めヘッジポリシーを定め、デリバティブ取引等を用いてヘッジを実施することにより業績の下振れリスクを抑制しています。
③ カントリーリスク
当社は、日本を含む60ヶ国以上において商取引及び事業活動を行っており、関係各国の政治・経済・社会情勢等の事業環境の変化に起因して生じる事業遅延・停止等が当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、案件毎に保険を付保するなどのリスク回避策を講じるとともに、社内国格付に応じたエクスポージャーの上限目安額を設定し、国毎のエクスポージャー管理を実施することにより事業ポートフォリオが適切な分散を保つよう管理しています。
④ 金利・為替の変動に係るリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。また、当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用を供与する場合があります。これらの取引により生ずる収益・費用及び資産・負債の公正価値は、金利変動の影響を受ける場合があります。
また、当社が行う外貨建投資並びに外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受ける場合があります。
当社ではこれら金利変動、外国為替レートの変動によるリスクを回避するため、デリバティブ等を活用していますが、これらによりリスクが十分に回避できる保証はありません。
⑤ 株式市場の変動に係るリスク
当社が保有する市場性のある有価証券は、日本企業が発行する株式への投資が大きな割合を占めており、日本の株式市場が今後低迷した場合には、有価証券の公正価値の変動によって、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
⑥ 不動産等、固定資産の価値下落に係るリスク
当社は、日本及び海外において、オフィスビルや商業用施設、居住用不動産の開発、賃貸、保守・管理事業等の不動産事業を行っており、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、当社が保有する賃貸用の土地及び建物、並びに開発用の土地及びその他の不動産の評価額について、減損処理を行う必要が生ずる可能性があります。
不動産の他、当社が所有する他の固定資産についても減損のリスクに晒されており、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに係るリスク
当社は、情報セキュリティの重要性を認識しており、関連規程の整備や役職員への啓発、情報セキュリティを確保するための技術的な対策等を施し、情報資産を管理することに努めています。また、当社は事業活動の多くを情報システムの機能に依存していることから、情報システム運営の上でも安全性の確保に努めています。しかしながら、予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ウィルスやマルウェアの侵入、情報システムの機能不全等により、情報の漏洩・滅失・毀損、事業活動の一時的停止等、当社の事業活動が重大な悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに適切に対応するため、中期経営計画「SHIFT 2023」にて「ガバナンスの強化」を掲げ、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とする情報セキュリティ委員会を中心に、2017年10月制定の「情報セキュリティ基本方針」に沿って、関連規程を整備した上で情報資産の適切な管理に努めています。また、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対してはシステム上の対策に加え、外部専門機関とも連携の上、最新情報を入手し、適切かつ迅速に対応できるように努めています。
⑧ リーガル・コンプライアンスリスク
当社は、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しています。これらの法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、汚職・腐敗行為防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国においては、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更によって、法令遵守のための当社における負担がより増加する可能性があります。
当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンス施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、コンプライアンスに関する適切な施策を策定・実行しています。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、従来の当社の「コンプライアンス指針」を踏まえ、「住友商事グループ・コンプライアンスポリシー」を制定し、セミナーなどの継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」および、万一、コンプライアンス上の問題が発生したときは直ちに上司あるいは関係部署に対して事態を報告し、最善の措置をとること、すなわち「即一報」の意識の浸透・徹底を図っており、コンプライアンス問題の発生防止に努めています。
然しながら、このような取組みをもってしても、当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるとともに、事業が制約され、信用の低下を被る可能性があるため、当社の事業展開、業績、財政状態及び社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 訴訟等に関するリスク
当社は、日本及び海外において訴訟等の係争案件に関わっています。また、事業遂行上、偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。
訴訟等に固有の不確実性を考慮すると、現時点において、当社の関わる訴訟等の結果を予測することはできません。また、これらの訴訟等で当社が勝訴するという保証や将来においてそれらの訴訟等による悪影響を受けないという保証はありません。
⑩ 社会・環境リスク
当社グループは、世界中の異なる国・地域で、複数の分野に跨り事業を展開しており、その事業活動は、地球環境や地域社会、顧客、役職員などのステークホルダーにさまざまな影響をもたらします。そのため、当社グループの事業活動が、人々の人権や地球環境に負の影響を与えた場合には、その影響の解消・緩和や損害の賠償等による追加的費用の発生や事業の停止等によって、財政状態の悪化、信用の毀損等の影響を受ける可能性があります。
当社は、社会・環境に配慮し、社会とともに持続的に成長することを目指し、「環境方針」「人権方針」「サプライチェーンCSR行動指針」を制定して、社会・環境問題に関する考え方を明確にしています。事業活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理するために、新規投資の際には、各事業の社会・環境への関わりや影響、それらの管理の状況を確認し、投資実行後も、定期的なモニタリングを行うなど、社会・環境リスク管理の全社的なフレームワークを整えています。
また、世界的な重要課題である気候変動に関しては、事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する方針を掲げ、発電事業において経営資源を再生可能エネルギーなど、より環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトする等の取り組みを進めています。
⑪ 自然災害等に関するリスク
当社が事業活動を展開する国や地域において地震、津波、大雨、洪水などの自然災害、または新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合に、当社の事業に悪影響を与える可能性があります。当社では地震災害等に備え、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成、社員の安否確認システムの構築、災害用物資の備蓄、防災訓練、建物・システムの耐震化及びデータのバック・アップ等の対策を講じていますが、これによって災害による被害を十分に回避できる保証はありません。
⑫ オペレーショナルリスク
当社は、事業部門、国内外の地域組織及び全世界のグループ会社を通じて、幅広い分野でビジネスを展開しており、夫々の組織において内部統制を適切に構築する必要があります。然しながら、当社が内部統制を適切に構築したとしても、役職員の事務処理ミスや不正行為などのオペレーショナルリスクを、完全に防止することが出来る保証はありません。事務処理ミスや不正行為が発生した場合、当社は財政状態の悪化、信用の毀損等の悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクを出来る限り抑えるために、当社では中期経営計画「SHIFT 2023」にて「ガバナンスの強化」を掲げ、適切な内部統制の構築・グループガバナンスの高度化に取り組んでいます。
⑬ 資金の流動性に関するリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社は、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
そのため、現預金、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、調達先の分散や調達手段の多様化に努めており、これにより、中期経営計画「SHIFT 2023」にて掲げる「財務健全性の維持・向上」を図ります。
⑭ 繰延税金資産に関するリスク
当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能性を見込めると判断した部分について繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積もりの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。
また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 人材確保に関するリスク
当社グループが事業を展開する地域・分野およびビジネスモデルは劇的に多様化しており、ビジネス環境は
非連続かつ相当なスピードで変化しています。変革期の世界で勝ち抜くためには、人材戦略として、多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かし、新たな「価値創造」につなげていくことが不可欠と考えており、当社グループでは、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しています。
また、2020年度にグローバルベースでの人材マネジメントに関するビジョンとして「グローバル人材マネジメントポリシー」を制定し、中期経営計画「SHIFT 2023」を実現するための「Diversity & Inclusion」施策、戦略的な人材登用・育成や組織作り、それを支える文化・意識の醸成などに取り組むとともに、健康経営と働き方改革を推進し、より魅力的な職場環境の整備に努めています。然しながら、予期せぬ要因等により、多様な人材の登用・育成が想定通りに進まない場合、当社の事業が悪影響を受ける可能性があります。
(4) 集中リスク
当社グループの商取引及び投資活動において、特定の国、分野、または取引先に対するエクスポージャーが集中するリスクがあります。事業環境の悪化等により当社が期待するリターンが得られない、もしくは損失を被る場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分する投下資本額について十分なディスカッションを行っています。また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に状況をモニターしています。具体的な取り組みは以下の通りです。
・インドネシア等当社が抱えるエクスポージャーが大きい特定の国については、前述のカントリーリスク管理制度に則りきめ細かく管理しています。
・資源・エネルギー上流案件については、エクスポージャー上限枠の設定並びに定期的なプロジェクト価値のモニタリングを実施しています。
・定期的に大口債権残・成約残のある先との取引状況や当該取引先の経営状況等の情報を把握し、管理しています。
(1) 企業環境
当期の世界経済は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、戦後最悪となる深刻な景気後退に直面しました。このパンデミックの収束が各国当局の最重要課題となり、厳しい移動制限が課されたことで、社会活動は前例がないほどの制約を受けました。その結果、消費者マインドは著しく減退し、生産活動も大きく停滞しました。期中には、新型コロナウイルスの感染拡大の一時的な鈍化や各国当局による積極的かつ大規模な財政・金融支援の効果により、急速な景気回復基調が強まりましたが、期末になると、多くの地域で再び感染が拡大し、経済活動へ悪影響を及ぼしました。国際商品市況では、特に米国産の原油が大幅な供給過剰となり、価格がマイナスに陥るなど、需給バランスの悪化による不安定な価格推移が目立ちました。
国内経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により著しく停滞しました。また、世界経済の景気後退の影響を受け、輸出入は大幅に抑制されました。しかし、感染拡大状況が徐々に落ち着くにつれ、地域・産業にばらつきは見られるものの、日本の内外需は回復基調となりました。
(2) 業績
当期の収益は、前期に比べ6,548億円減少し、4兆6,451億円となりました。売上総利益は、電力EPC案件のピークアウトや工事遅延に伴う追加コストを計上したことに加え、豪州石炭事業で資源価格の下落及び販売数量の減少により減益となったことなどから、前期に比べ1,442億円減少し、7,295億円となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ15億円増加し、6,789億円となりました。固定資産損益は、鋼管事業での減損損失が減少した一方、欧米州青果事業などにおいて減損損失を計上したことなどから、前期に比べ239億円減少し、856億円の損失となりました。持分法による投資損益は、マダガスカルニッケル事業及びインドネシア自動車金融事業で減損損失を計上したことなどから、前期に比べ1,262億円減少し、414億円の損失となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は1,531億円の損失となり、前期に比べ3,244億円の減益となりました。また、基礎収益(注)は38億円の利益となり、前期に比べ2,182億円の減益となりました。
(注)基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)
+持分法による投資損益
(3) 事業セグメント
当社は、6つの業種に基づくセグメント(事業部門)により事業活動を行っております。
6つのセグメントは金属事業部門、輸送機・建機事業部門、インフラ事業部門、メディア・デジタル事業部門、生活・不動産事業部門、資源・化学品事業部門から構成されております。2020年4月1日付で、輸送機・建機事業部門傘下にあった自動車部品製造・販売事業の一部を金属事業部門傘下の組織に、リチウムイオン電池の二次利用事業をインフラ事業部門傘下の組織に移管しました。これに伴い、前期のセグメント情報は組替えております。
前期及び当期の売上総利益、当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)の事業セグメント別実績は以下のとおりであります。
事業セグメント別売上総利益の内訳
|
|
前期 (自2019年4月 1日 至2020年3月31日) (億円) |
当期 (自2020年4月 1日 至2021年3月31日) (億円) |
増減額 (億円) |
増減率 (%) |
|
金属 |
1,048 |
738 |
△310 |
△29.6 |
|
輸送機・建機 |
1,649 |
1,404 |
△245 |
△14.9 |
|
インフラ |
1,144 |
155 |
△989 |
△86.4 |
|
メディア・デジタル |
1,002 |
1,052 |
50 |
5.0 |
|
生活・不動産 |
2,264 |
2,388 |
124 |
5.5 |
|
資源・化学品 |
1,520 |
1,516 |
△4 |
△0.3 |
|
計 |
8,627 |
7,254 |
△1,373 |
△15.9 |
|
消去又は全社 |
110 |
41 |
△69 |
△62.7 |
|
連結 |
8,737 |
7,295 |
△1,442 |
△16.5 |
事業セグメント別当期利益又は損失(△)(親会社の所有者に帰属)の内訳
|
|
前期 (自2019年4月 1日 至2020年3月31日) (億円) |
当期 (自2020年4月 1日 至2021年3月31日) (億円) |
増減額 (億円) |
増減率 (%) |
|
金属 |
△504 |
△356 |
148 |
29.4 |
|
輸送機・建機 |
305 |
△175 |
△480 |
- |
|
インフラ |
615 |
△556 |
△1,171 |
- |
|
メディア・デジタル |
383 |
443 |
60 |
15.7 |
|
生活・不動産 |
513 |
△84 |
△596 |
- |
|
資源・化学品 |
432 |
△637 |
△1,069 |
- |
|
計 |
1,744 |
△1,365 |
△3,108 |
- |
|
消去又は全社 |
△30 |
△166 |
△136 |
△451.2 |
|
連結 |
1,714 |
△1,531 |
△3,244 |
- |
金属事業部門
当期の売上総利益は738億円となり、前期の1,048億円から310億円(29.6%)減少しました。当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)は、356億円の損失となり、前期の504億円の損失から148億円改善しました。これは、北米鋼管事業が減益となった一方、鋼管事業での減損損失が減少したことなどによるものです。
輸送機・建機事業部門
当期の売上総利益は1,404億円となり、前期の1,649億円から245億円(14.9%)減少しました。当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)は、175億円の損失となり、前期の305億円の利益から480億円減少しました。これは、リース事業、自動車関連事業などが減益となったことに加え、インドネシア自動車金融事業で減損損失や現地政府の新型コロナウイルス緊急対策導入に伴う返済猶予等に関する引当金などの一過性損失を計上したことなどによるものです。
インフラ事業部門
当期の売上総利益は155億円となり、前期の1,144億円から989億円(86.4%)減少しました。当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)は、556億円の損失となり、前期の615億円の利益から1,171億円減少しました。これは、大型EPC案件のピークアウトや工事遅延に伴う追加コストを計上したことに加え、豪州発電事業やUAE発電・造水事業で減損損失などの一過性損失を計上したことなどによるものです。
メディア・デジタル事業部門
当期の売上総利益は1,052億円となり、前期の1,002億円から50億円(5.0%)増加しました。当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)は、443億円の利益となり、前期の383億円の利益から60億円増加しました。これは、国内主要事業会社が堅調に推移したことなどによるものです。
生活・不動産事業部門
当期の売上総利益は2,388億円となり、前期の2,264億円から124億円(5.5%)増加しました。当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)は、84億円の損失となり、前期の513億円の利益から596億円減少しました。これは、国内スーパーマーケット事業が好調に推移した一方、不動産事業で前期に大口案件の引渡しがあったことや、欧米州青果事業で減損損失を計上したことなどによるものです。
資源・化学品事業部門
当期の売上総利益は1,516億円となり、前期の1,520億円から4億円(0.3%)減少しました。当期利益又は損失(親会社の所有者に帰属)は、637億円の損失となり、前期の432億円の利益から1,069億円減少しました。これは、資源価格の下落及び販売数量の減少などにより豪州石炭事業が減益となったことや、マダガスカルニッケル事業が操業停止の影響により減益となったこと、並びに848億円の減損損失を計上したことなどによるものです。
(4) 仕入、成約及び販売の実績
当期において、特記事項はありません。
なお、販売の状況については上記「(2)業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。
(5) 連結包括利益計算書における主要な項目
以下は、連結包括利益計算書における主要な項目についての説明であります。
収益
当社では、収益を、商品販売に係る収益とサービス及びその他の販売に係る収益に区分して表示しております。
商品販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。
・卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売
・不動産の開発販売
・長期請負工事契約に係る収益
サービス及びその他の販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。
・ソフトウェアの開発に関連するサービス
・賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース
売上総利益
売上総利益は、以下により構成されております。
・当社が主たる契約当事者として関与する取引における総利益
・当社が代理人等として関与する取引における手数料
収益が総額で計上される場合、販売に直接寄与する第三者への費用または手数料は、商品販売に係る原価として計上され、売上総利益は、収益の総額から販売に係る原価を差引いた金額となります。当社はサービス及びその他の販売に係る収益の一部として手数料を計上しますが、この手数料は純額表示されるため、結果としてサービス及びその他の販売が売上総利益に占める比率は、収益合計に占める比率よりも大きくなっております。当期、サービス及びその他の販売が収益合計に占める比率は9.9%ですが、売上総利益に占める比率は28.6%となっております。
固定資産評価損
棚卸資産、繰延税金資産及び生物資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積った上で、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を認識しております。また、減損損失の戻し入れを行った場合は当該戻し入れ金額も含めております。
固定資産売却損益
当社は、資産のポートフォリオの戦略的かつ積極的な入替えを図っております。その結果、不動産の含み益を実現するために売却する場合や、価格の下落した不動産を売却する場合、売却損益を計上することになります。
受取配当金
受取配当金には、当社の子会社及び持分法適用会社以外で、当社が株式を保有している会社からの配当金が計上されております。
有価証券損益
当社は事業活動の一環として相応の規模の投資を行っております。これらの投資対象のうち、公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融資産(以下、FVTPLの金融資産)は公正価値で当初認識しております。当初認識後は公正価値の変動を当期利益で認識しております。また、償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、帳簿価額の変動について、必要な場合には減損損失を認識しております。償却原価で測定される金融資産並びに子会社及び持分法適用会社への投資等を売却する際に、売却損益を認識しております。
持分法による投資損益
投資戦略やビジネスチャンスの拡大に関連して、当社は、各セグメントで状況に応じ、新規または既存の会社の買収や出資、他の企業とのジョイント・ベンチャーの結成、または同業他社とのビジネス・アライアンスの組成を行っております。一般的に、当社は、出資比率が20%以上50%以下である会社の投資に対し、その持分利益や損失を計上しております。
FVTOCIの金融資産
公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融資産(以下、FVTOCIの金融資産)は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益で認識しております。
確定給付制度の再測定
当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識しております。
在外営業活動体の換算差額
在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中平均レートを用いて日本円に換算しており、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。当社のIFRS移行日以降、当該差額はその他の資本の構成要素である「在外営業活動体の換算差額」として表示しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
デリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、その他の包括利益で認識しております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の資産・負債の計上や偶発資産及び偶発債務の開示、並びに期中の収益費用の適正な計上を行うため、マネジメントによる見積りや前提が必要とされます。当社は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。資産・負債及び収益費用を計上する上で客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りが当社における判断の基礎となっております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。以下、当社の財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針につき説明します。なお、当社の主な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」を参照願います。
金融資産の減損
当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。
当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けである Sumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。
公正価値で測定する金融資産
当社は、有価証券やその他の投資等の金融資産を保有しており、FVTOCIの金融資産と、FVTPLの金融資産とに分類しております。当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない金融資産をFVTOCIの金融資産として分類し、公正価値の変動を獲得するために保有し、業績評価指標としている金融資産をFVTPLの金融資産として分類しております。当該金融資産の公正価値は、市場価格、割引将来キャッシュ・フローや純資産に基づく評価モデル等の評価方法により算定しております。
非流動資産の回収可能性
当社は、様々な非流動資産を保有しており、持分法で会計処理されている投資や無形資産などの非流動資産について、帳簿価額の回収可能性を損なうと考えられる企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損テストを行っております。実際に減損の兆候があるかどうかの判定に際しては、様々な見積りや前提が必要となります。例えば、キャッシュ・フローが直接的に減損の懸念がある資産に関係して発生しているのかどうか、資産の残存耐用年数がキャッシュ・フローを生み出す期間として適切かどうか、生み出すキャッシュ・フローの額が適切かどうか、及び、残存価額が適切かどうか、などを考慮しなければなりません。また、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、更に減損の発生が予測される場合は、その都度、減損テストを実施しております。減損テスト時には、資産の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。当社では、過去の経験や社内の事業計画、及び適切な割引率を基礎として将来キャッシュ・フローを見積っております。これらの見積りは、事業戦略の変更や、市場環境の変化により、重要な影響を受ける可能性があります。なお、非流動資産の回収可能性に関連する会計上の見積りのうち、重要なものは以下になります。詳細については、「第5経理の状況 連結財務諸表注記 11 持分法適用会社に対する投資、注記 13 無形資産」を参照願います。
① マダガスカルニッケル事業
AMBATOVY MINERALS S.A. 及びDYNATEC MADAGASCAR S.A. (以下、プロジェクト会社)の固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識いたします。プロジェクト会社における固定資産の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産状況、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の中・長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率といった重要な仮定が使用されております。
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染拡大に伴う操業の一時停止及びニッケル中・長期価格見通しの下落等を踏まえ事業計画を見直した結果、プロジェクト会社に対する投資につき、84,810百万円の減損損失を計上しております。
② 欧米州青果事業
欧米州青果事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、複数の資金生成単位グループに分けて実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、バナナ&パイン事業、メロン事業、マッシュルーム事業それぞれにおいて販売数量・マージン・割引率等であります。
当連結会計年度において、欧米州青果事業において、新型コロナウイルス感染拡大の影響、及び欧州市場におけるバナナ卸売事業の競争激化等を踏まえ、事業計画を見直した結果、同事業に係るのれん及びその他の無形資産につき、41,050百万円の減損損失を計上しております。
なお、見直し後の事業計画における新型コロナウイルスの影響について、バナナ&パイン事業では限定的である一方、マッシュルーム事業では当面の間製造コストの上昇傾向が継続する前提としております。また、メロン事業では、新型コロナウイルスの影響による米国市場での著しい需要減退・市況悪化を受けて、今後も需要の停滞が続く前提としております。
繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産の全部または一部について、回収が不確実となった場合に、マネジメントの判断により、減額しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、繰延税金資産計上の根拠となっている将来の一時差異の解消が見込まれる期間内、または、繰越欠損金の繰越可能期間内に、納税地において将来十分な課税所得を生み出せるかどうかを評価しなければなりません。当社では、有利・不利に関わらず、入手可能なすべての根拠・確証を用いてこの評価を実施しております。繰延税金資産の評価は、見積りと判断に基づいております。納税地での将来の課税所得に影響を与える当社の収益力に変化があった場合、現状の繰延税金資産の回収可能性の評価も変わる場合があります。
引当金の測定
引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。
確定給付債務の測定
確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。
(7) 資産及び負債・資本
当期末の資産合計は、円安の影響により増加した一方、営業資産が減少したことに加え、複数の案件で減損損失を計上したことなどから、前期末に比べ486億円減少し、8兆800億円となりました。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、円安の影響により増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失を認識したことや配当金の支払があったことなどから、前期末に比べ162億円減少し、2兆5,280億円となりました。
現預金ネット後の有利子負債(注1)は、前期末に比べ1,684億円減少し2兆3,004億円となりました。
この結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、0.9倍となりました。
(8) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の減少に加え、コアビジネスが資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が1,308億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で4,671億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、メキシコ完成車製造事業や米国タイトオイル・シェールガス事業の売却など、資産入替えによる回収が約1,100億円あった一方で、三井住友ファイナンス&リースへの追加出資やSCSKにおける設備投資など、約2,600億円の投融資を行ったことなどから、1,201億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、3,470億円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払などにより、4,664億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ1,114億円減少し5,990億円となりました。
(注1)有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計 (リース負債は含まれておりません)
(注2)基礎収益キャッシュ・フロー=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
(9) 資金調達と流動性
当社の財務運営は財務健全性の維持・向上を基本方針とし、低利かつ中長期にわたり、安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性の保持を図ることとしております。当社グループ内での資金管理については、グループファイナンスを整備し、資金調達を当社及び金融子会社、海外現地法人に集中した上で、キャッシュ・マネジメント・システムを通じて、当社グループ内で資金を効率的に活用する体制を整えております。
当社は総額2兆9,122億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期比2,006億円減少の1,884億円で、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)1,381億円、コマーシャルペーパー503億円となっております。
一年以内に期限の到来する社債及び長期借入金2,895億円を含めた当期の社債及び長期借入金は、前期比766億円減少の2兆7,238億円となっております。このうち、銀行及び保険会社からの長期借入残高は、前期比795億円減少の2兆2,722億円、社債残高は前期比29億円増加の4,517億円となっております。
当社の銀行からの借入の多くは、日本の商慣行上の規定に基づいております。当社は、このような規定が当社の営業活動や財務活動の柔軟性を制限しないと確信しておりますが、いくつかの借入契約においては、財務比率や純資産の最低比率の維持が求められております。さらに、主に政府系金融機関との契約においては、当社が増資や社債の発行等により資金を調達した際に、当該金融機関から、当該借入金の期限前返済を求められる可能性があり、また、一部の契約では当社の剰余金の配当等について当該金融機関の事前承認を請求される可能性があります。当社は、このような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。
詳細は、「2 事業等のリスク(3) タイプ別リスク ⑬資金の流動性に関するリスク」を参照願います。
資金調達については、各金融機関との良好な関係に基づく銀行借入等の間接金融を中心に、コマーシャルペーパーや社債等の直接金融との適切なバランスに留意し、調達期間の長期化を通じた償還期日の分散等による安定的な調達構造を構築しております。また、外貨建ての資金調達については、銀行借入や外貨建て社債発行、通貨スワップの他、金融子会社、海外現地法人におけるコマーシャルペーパー、ユーロMTN等の活用によって資金調達ソースの多様化に取り組んでおります。
なお、当社は、資本市場での直接調達を目的として、以下の資金調達プログラムを設定しており、当期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1/P-2(見通し安定的)、スタンダード&プアーズで BBB+/A-2(見通し安定的)、格付投資情報センターでA+/a-1(見通し安定的)となっております。
・3,000億円の国内及び海外公募普通社債発行登録枠
・国内における1兆円のコマーシャルペーパー発行枠
・米州住友商事により設定された、1,500百万米ドルのコマーシャルペーパープログラム
・当社、英国のSumitomo Corporation Capital Europe(以下、「SCCE」という。)、米州住友商事及びシンガポールのSumitomo Corporation Capital Asiaが共同で設定した3,000百万米ドルのユーロMTNプログラム
・SCCEが設定した1,500百万米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム
保有流動性については、金融市場の混乱等、複数の有事シナリオを想定し、当期末時点で現預金と国内外の主要な金融機関との総額1,260百万米ドル、及び2,850億円を上限とする以下の長期コミットメントラインを中心に、当社及び当社子会社における資金需要や1年内に期日が到来する借入や社債の償還資金等を補完する十分な流動性を確保しております。なお、当有価証券報告書の提出日までに、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
・米国及び欧州の大手銀行によるシンジケート団との間で締結した、1,060百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ建)/マルチ・ボロワー(住友商事及び英国、米国、シンガポールにおける当社子会社への融資)型長期コミットメントライン
・大手米銀との間に締結した、米州住友商事への100百万米ドルの長期コミットメントライン
・大手欧銀との間に締結した、SCCEへの100百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ・ポンド建)型長期コミットメントライン
・大手邦銀のシンジケート団による1,500億円の長期コミットメントライン(内、790億円はマルチ・カレンシー型)
・有力地方銀行のシンジケート団による1,350億円の長期コミットメントライン
資金調達の内訳
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前期 (2020年3月31日) (億円) |
当期 (2021年3月31日) (億円) |
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短期 |
3,890 |
1,884 |
||
|
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借入金(主に銀行より調達) |
2,682 |
1,381 |
|
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コマーシャルペーパー |
1,208 |
503 |
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長期(一年以内期限到来分を含む) |
28,004 |
27,238 |
||
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担保付 |
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借入金 |
1,792 |
2,049 |
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無担保 |
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借入金 |
21,724 |
20,672 |
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社債 |
4,488 |
4,517 |
|
有利子負債合計(グロス) |
31,894 |
29,122 |
||
|
現金及び現金同等物並びに定期預金 |
7,206 |
6,118 |
||
|
有利子負債合計(ネット) |
24,688 |
23,004 |
||
|
資産合計 |
81,286 |
80,800 |
||
|
親会社の所有者に帰属する持分合計 |
25,441 |
25,280 |
||
|
親会社所有者帰属持分合計比率(%) |
31.3 |
31.3 |
||
|
|
|
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|
|
デット・エクイティ・レシオ(グロス)(倍) |
1.3 |
1.2 |
||
|
デット・エクイティ・レシオ(ネット)(倍) |
1.0 |
0.9 |
||
当期末時点での当社の期限別の支払債務は、以下のとおりであります。
期限別内訳
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社債及び借入金 (億円) |
リース負債 (億円) |
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2021年度 |
4,779 |
711 |
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2022年度 |
3,255 |
650 |
|
2023年度 |
3,379 |
547 |
|
2024年度 |
3,829 |
454 |
|
2025年度 |
2,715 |
344 |
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2026年度以降 |
11,165 |
2,308 |
|
合計 |
29,122 |
5,014 |
当社は、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末における契約残高は、9,591億円です。
当期末時点では、資本的支出に対する重要な契約はありません。
上述の契約に加えて、当社のビジネスに関連して、当社は、顧客の債務に対する保証などの様々な偶発債務を負っています。また、当社は、訴訟による偶発債務の影響を受ける可能性があります。これらの偶発債務に関する詳細は、「(10)偶発債務」及び「(11)訴訟等」を参照願います。当社は、現状においては、それらの偶発債務がもたらす資金需要が重大なものとはならないと判断しておりますが、仮に予想に反して、当社が保証を行っている債務に重大な不履行が生じた場合、また、訴訟の結果が、当社に大きく不利なものであった場合には、新たに、大きな資金調達が必要となる可能性があります。
当社は、主に、ワーキング・キャピタル、新規や既存ビジネスへの投資や債務の返済のために、将来にわたり継続的な資金調達を行う必要があります。当社は、成長戦略として買収、株式取得または貸付による投資を行っており、当期は、有形固定資産及び投資不動産の取得に743億円、また、その他の投資の取得に1,951億円の投資を行いました。当社は、現在、全てのセグメントにおいて、既存のコア・ビジネス及び周辺分野を中心に追加投資を検討しております。
しかしながら、これらの投資は、現在、予備調査段階のものや、今後の様々な条件により、その実施が左右されるものであり、結果的に実現されない可能性もあります。また当社は、手許の現金、現在の借入枠や営業活動によるキャッシュ・インで当面必要とされる資金需要を十分に満たせると考えておりますが、それは保証されている訳ではありません。当社の営業活動によるキャッシュ・インが想定より少なかった場合、当社は、追加借入の実施、他の資金調達手段の検討、または投資計画の修正を行う可能性があります。
(10) 偶発債務
当社の取引に関連して、顧客の債務に対する保証履行のような偶発債務を負うことがあります。当社は、世界各国のサプライヤーや顧客と多種多様な営業活動を行うことにより、営業債権及び保証等に係る信用リスクを分散させており、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。
当社の当期末における保証に対する偶発債務の残高(最長期限2046年)は1,150億円で、このうち持分法適用会社の債務に対する保証が524億円、第三者の債務に対する保証が626億円です。これらの保証は主に持分法適用会社、サプライヤー、及び顧客の信用を補完するために行っているものであります。
(11) 訴訟等
当社は、事業遂行上偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受けておりますが、当社の経営上、重要な影響を及ぼすものはありません。
(12) 未適用の新たな基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設または改訂は次のとおりであり、2021年3月31日現在において当社はこれらを適用しておりません。適用による当社への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
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基準書 |
基準名 |
強制適用時期 (以降開始年度) |
当社適用年度 |
新設・改訂の概要 |
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IFRS第4号 |
保険契約 |
2021年1月1日 |
2022年3月期 |
金利指標改革 |
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IFRS第7号 |
金融商品:開示 |
2021年1月1日 |
2022年3月期 |
金利指標改革 |
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IFRS第9号 |
金融商品 |
2021年1月1日 |
2022年3月期 |
金利指標改革 |
|
IFRS第10号 |
連結財務諸表 |
未定 |
未定 |
投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出の会計処理 |
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IFRS第16号 |
リース |
2021年1月1日 |
2022年3月期 |
金利指標改革 |
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IFRS第17号 |
保険契約 |
2023年1月1日 |
2024年3月期 |
保険契約の会計処理の改訂 |
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IAS第1号 |
財務諸表の表示 |
2023年1月1日 |
2024年3月期 |
負債の流動負債又は非流動負債への分類の改訂及び会計方針の開示 |
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IAS第8号 |
会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬 |
2023年1月1日 |
2024年3月期 |
会計上の見積りの定義の明確化 |
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IAS第12号 |
法人所得税 |
2023年1月1日 |
2024年3月期 |
単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金 |
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IAS第16号 |
有形固定資産 |
2022年1月1日 |
2023年3月期 |
意図した使用の前の収入 |
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IAS第28号 |
関連会社及び共同支配企業に対する投資 |
未定 |
未定 |
投資者とその関連会社または共同支配企業との間の資産の売却または拠出の会計処理 |
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IAS第37号 |
引当金、偶発負債及び偶発資産 |
2022年1月1日 |
2023年3月期 |
不利な契約-契約履行のコスト |
(13) 市場リスクに関する定量的・定性的情報
当社のビジネスは、金利、外国為替レート、商品価格、株価の変動リスクを伴い、これらのリスクマネジメントを行うため、為替予約取引、通貨スワップ・オプション取引、金利スワップ・先物・オプション取引、商品先物・先渡・スワップ・オプション取引等のデリバティブを利用しております。また、後述のリスク管理体制の下、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。
金利変動リスク
当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。コーポレート部門の財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署では、当社のビジネスに伴う金利変動リスクをモニタリングしております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社の借入金には変動金利で借り入れているものがあり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためです。
しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。また、当社は、金利変動リスクをミニマイズするために資産・負債の金利を調整・マッチングさせるよう、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用しております。
為替変動リスク
当社は、グローバルなビジネス活動を行っており、各拠点の外貨建による売買取引、ファイナンス及び投資によって、為替変動リスクに晒されている場合があります。これらのうち、永続性の高い投資等を除いた取引については、為替変動リスクを軽減するために、各拠点において外貨借入・外貨預金等に加えて、第三者との間で、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引等のデリバティブ取引を必要に応じ行っております。
商品市況変動リスク
当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、及び農産物等の現物取引、並びに鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。
株価変動リスク
当社は、戦略的な目的で金融機関や顧客・サプライヤーが発行する株式等への投資を行っておりますが、これらの株式投資には株価変動リスクが伴います。これらの株式投資に関しては、継続的なヘッジ手段を講じておりません。当社が保有する市場性のある株式の当期末における公正価値は、2,717億円であります。
リスク管理体制
デリバティブや市場リスクを伴う取引を行う営業部は、取引規模に応じてマネジメントの承認を事前に取得しなければなりません。マネジメントは、場合によってはデリバティブについて専門的知識を有するスタッフのサポートを得て、案件の要否を判断し、当該申請における、取引の目的、利用市場、取引相手先、与信限度、取引限度、損失限度を明確にします。
財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署は、取引の実施・モニタリングに際して、以下の機能を提供しております。
・金融商品及び市況商品のデリバティブに関する口座開設、取引確認、代金決済と引渡し、帳簿記録の保管等のバックオフィス業務
・ポジション残高の照合
・ポジションのモニタリングと全社ベースでの関連取引のリスク分析・計測、シニアマネジメントへの定期的な報告
当社の子会社が市況商品取引を行う際には、上記のリスク管理体制に沿うことを要求しております。
当社は、2020年12月22日開催の取締役会において、当社が営む船舶事業の一部を、当社の完全子会社である住商マリン株式会社(以下「住商マリン」)に承継させる会社分割(以下「本会社分割」)に関する吸収分割契約を締結することを決議し、2020年12月22日に当該契約を締結しました。当該契約に基づく吸収分割は、2021年4月1日に効力を生じました。
(1) 本会社分割の目的
当社は、本会社分割により、当社の強みである船舶トレード事業を住商マリンに移管し、機能を集約した上でグループとしての更なる企業価値向上を図ります。船舶トレード事業においては、海上貿易の安定成長に伴う新規需要に加え、船舶からの温室効果ガス排出量を抑制する環境規制ルール施行に伴う既存船舶の代替需要が加速していく見通しとなっており、これら事業機会に対応し、顧客向けサービスを最大化するべく、住商マリンにおいて専門組織を組成、体制強化を推進し、お取引先様へ更なる付加価値を提供するとともに、当社グループとして更なる収益の拡大を図ります。
(2) 本会社分割の方法
当社を分割会社とし、住商マリンを承継会社とする吸収分割(簡易分割)です。
(3) 承継させる資産、負債の状況(2021年3月末時点)
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資産 |
負債 |
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流動資産 |
- |
流動負債 |
- |
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固定資産 |
- |
固定負債 |
- |
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合計 |
- |
合計 |
- |
(注)効力発生日において分割する資産・負債は生じておりません。
承継会社である住商マリンは、本会社分割に際して、船舶トレード事業を遂行する上で必要と判断される
当該事業に係る契約上の地位及びこれらの契約に基づき発生する権利義務のうち、吸収分割契約において
定めるものを承継します。
(4) 会社分割に係る割当ての内容
本会社分割は、当社の100%連結子会社である住商マリンとの間で行われるため、無対価分割とし、株式の
割当て及びその他金銭等の対価の交付を行いません。
(5) 会社分割後の吸収分割承継会社となる会社の資本金の額及び事業の内容(2021年4月1日時点)
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住商マリン株式会社 |
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資本金の額 |
30百万円 |
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事業の内容 |
船舶保有会社管理、船舶用船・運航・保守管理、 船舶の輸出入・売買・仲介及び斡旋等 |
特記事項はありません。