●中期経営計画「SHIFT 2023」(対象:2021年度~2023年度)の進捗
当社は、「SHIFT 2023」において、高い収益性と下方耐性の強いポートフォリオの構築に向けた「事業ポートフォリオのシフト」、その実効性を担保するための「仕組みのシフト」と「経営基盤のシフト」に取り組んでおり、それぞれのシフトの進捗状況は以下のとおりです。

当社は、すべての事業を、組織の枠組にこだわらず戦略単位でStrategic Business Unit(SBU)にくくり、市場の魅力度と当社グループの強みの発揮度を軸に4つのカテゴリーに分類し、当社の強みが発揮できる事業分野へ経営資源(資金・人材)のシフトを進めています。
<4つのカテゴリー>
・好機を逸することなく戦略的に撤退し、経営資源の回収を図る「バリュー実現」
・効率性向上等により既存の収益の柱を更に太くする「バリューアップ事業」
・事業規模の拡大を通じて収益の柱の育成を目指す「注力事業」
・次世代のビジネスを育成し、新たな収益の柱を目指す「シーディング」
(a)2022年度の各カテゴリーの進捗

(b)DX(デジタルトランスフォーメーション)によるビジネス変革及びサステナビリティ経営の高度化
事業ポートフォリオのシフトを後押しし、既存ビジネスの機能・収益性向上や新規ビジネスの創出を促す取組として、DXによるビジネス変革やサステナビリティ経営の高度化にも注力しました。
DXによるビジネス変革
・既存ビジネスにおけるDX実装による機能・収益性向上:
国内スーパーマーケット事業における需給予測やヘルスケア事業におけるデータ分析高度化等が進捗
・次世代成長戦略テーマにおけるDXを掛け合わせた新規ビジネスの創出:
脱炭素、モバイル決済サービス、DX支援サービス等が進捗
サステナビリティ経営高度化
持続可能な社会の実現のために当社が取り組むべき6つの「重要社会課題」(2020年に設定)に関して、各SBUの取組や全社制度の運用開始など、社内における浸透や進捗が加速しています。2022年度の主な取組例は、以下のとおりです。

詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照願います。
事業ポートフォリオのシフトを実効性のあるものとするために、仕組みのシフトも推進しました。具体的には、以下に取り組みました。
・各SBUの戦略の進捗状況のモニタリング及び戦略の見直しの要否を議論するPDCAサイクルの実施
・事業投資の成功確度向上と価値最大化に向け、投資案件選定指針の制定による投資規律の厳格化及び投資パフォーマンス連動報酬制度の導入・運用
・次世代エネルギー、社会インフラ、リテイル・コンシューマー、ヘルスケア、農業等の成長戦略テーマの取組体制の整備・強化
・部門の枠組を超えた、よりダイナミックな事業ポートフォリオシフトに繋げるべく、全社最適で投下資本を配分する仕組へ変更
当社が中長期的に成長、発展していくための経営基盤についても、着実に強化、拡充を進めています。
・2022年度:中長期的企業価値向上・経営目標達成の動機付け強化を目的とした役員報酬制度の改定
(報酬水準・報酬構成比率の見直し、業績連動賞与における総支給額の算出に当社株価成長率を反映)
・2023年度以降:株式報酬制度の評価指標に非財務指標(気候変動問題対応、女性活躍推進、従業員エンゲージメント)を追加
年次概念に囚われない登用や女性登用、執行役員への登用を含むキャリア人材の積極登用、採用手法の多様化・通年化など、「Diversity, Equity & Inclusion」を更に推進
財務健全性の維持・向上
デッド・エクイティ・レシオは昨年度末の0.7倍を維持、リスクアセットもコア・リスクバッファーの範囲内に収めています。(注)
(注)「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差し引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
●中期経営計画「SHIFT 2023」完遂に向けた取組
上記で述べた2年間の進捗を踏まえ、「SHIFT 2023」の最終年度である2023年度は、その完遂に向けて、以下の分野に重点的に取り組みます。

当社は、成長性及び業績の安定性を更に向上するために「SHIFT 2023」を完遂し、どのような外部環境であっても株主資本コストを上回る利益をあげられる体質をつくり、株主還元の充実も図っていきます。また、建設的な対話を通じ、市場からの信頼向上に繋げられるよう努めていきます。
全般
世界経済は、米国を発端とした金融不安やロシア・ウクライナ情勢の不透明感が払拭できない中、成長は鈍化する見通しです。金融引き締めや資源・エネルギーの高騰による原材料価格の上昇などを起因とする物価の高止まりが、企業・家計の経済活動の重石になっています。先進国経済のうち、米国経済は個人消費が支え減速するもののプラス成長を維持し、日本経済は緩やかな回復傾向が続くとみられます。一方、ユーロ圏経済は外需回復の遅れや不安定なエネルギー供給の影響を受けて低迷が続く見通しです。新興国経済のうち、中国の経済活動は、ゼロコロナ政策の撤廃、不動産市場の持ち直しなどで回復の動きが続くとみられます。その他の多くの新興・途上国では緩やかな回復が続くとみられます。リスクは、金融業界の混乱、ウクライナでの戦闘激化、新型コロナウイルスの再拡大、物価高の長期化とそれに伴う金融引き締めの影響、新興国債務問題の深刻化、北東アジアや中東・北アフリカなどにおける地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。
金属事業部門
当部門は、鋼材・鋼管などの鉄鋼製品を幅広く取り扱っています。
鋼材分野では、足もとでは自動車、家電、建築土木における需要が横ばい、あるいは弱含みとなっている一方で、生産コストの上昇等に伴い上昇していた鋼材価格が調整局面を迎えています。更には中国では需給不均等による国内市況の下落、中国国外への輸出量が拡大に転じており、今後のグローバル市場での需給動向を注視していきます。
鋼管分野では、米国では昨年度の極めて逼迫した需給環境の反動として開発業者による発注調整が生じており、足もとでは鋼管価格が反転下落基調にありますが、ガスを中心とした鋼管需要は堅調に推移すると見通しています。従い一定の調整期間を経て鋼管価格も徐々に回復すると見通しており、非米向けについては引き続き需要堅調の見通しです。また、世界各国でのエネルギー安全保障の観点から、脱炭素に向けたエナジートランジションへの動きが加速するとみられます。
このような環境を踏まえ、当部門としては中長期的視点で確実に持続的成長を果たせるビジネスモデルへの再構築を完遂します。また、DXを通じた新たな価値提供、再生可能エネルギー・CCSなど社会のカーボンニュートラル化に資する鉄鋼製品・サービスの供給による気候変動問題への対応をはじめ、サステナビリティ経営の高度化にも引き続き注力し、取組んでいきます。
輸送機・建機事業部門
当部門は、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーン展開する自動車・建設機械・船舶事業、高い専門性を持つ航空宇宙関連事業を中心に、各種取引及び事業投資を行っています。
当部門を取り巻く事業環境は、世界的に移動需要の回復・伸長が見られる一方、一部の地域における地政学的リスクの高まり、半導体不足がサプライチェーンに与える影響、原材料コスト・人件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しています。また、各セグメントにおいて、脱炭素社会や循環経済の実現への貢献ニーズが高まっています。
このような環境を踏まえ、当部門では低採算事業からの撤退を含む構造改革を完遂するとともに、強みを持つ事業の収益性改善と基盤拡大に注力します。具体的には、リース・ファイナンス事業における資産効率の改善と成長分野での優良資産積み増し、建設機械事業における事業基盤拡大と成長市場の需要取込みを進めていきます。
また、新たな社会ニーズを機会と捉え、次世代燃料船の開発や航空機パートアウト事業、自動車分野におけるEVとエネルギーマネジメントの掛け合わせ事業等、将来の柱となる新規案件の創出・育成にも取り組んでいきます。
インフラ事業部門
当部門は、水・鉄道などの社会インフラ事業、EPCビジネスや発電事業などの電力インフラ事業、海外工業団地、保険事業を含む物流インフラ事業を行っています。
当部門を取り巻く足元の環境としては、電力EPCビジネスでは複数案件で完工を実現し、また発電事業も堅調ながら、国内の電力小売事業では燃料価格高騰に伴う電力調達コスト増加の影響が生じています。このような環境下、当部門は顧客との契約更改を含む市況変動リスクのマネジメントを一層強化すると共に、世界的な環境意識の高まりによる低炭素社会の到来、新興国を中心とした旺盛なインフラ需要を商機と捉え、新たな取組みを加速させます。
具体的には、地域社会全体のニーズを捉えた質の高いインフラアセットを提供すべく、上・下水事業、スマートシティ開発、鉄道・空港・港湾事業など、社会インフラ事業に積極的に取組みます。更に2050年のカーボンニュートラルを達成すべく、再生可能エネルギー発電事業に注力し、当社発電ポートフォリオの低炭素化を促進します。加えて、エネルギーイノベーション・イニシアチブとの共創により、再生可能エネルギー発電や環境価値を活かした国内電力小売事業を中心に、新たな電力・エネルギーサービスの事業化を推進します。
メディア・デジタル事業部門
当部門は、ケーブルテレビ、テレビ通販、及び5G関連などのメディア事業、ICTプラットフォーム、デジタルソリューション、デジタルメディアなどのデジタル事業、携帯電話販売、海外通信事業などのスマートプラットフォーム事業を行っています。
当部門を取り巻く環境としては、メディア事業では、生活様式、消費行動の変化に伴い、視聴形態の多様化や非対面・非接触での新たなサービス提供のニーズが見込まれることに加え、5G関連では高速・大容量通信の需要拡大により、携帯キャリアの基地局整備が進んでいます。デジタル事業では、デジタル技術による社会課題の解決やビジネス変革の機会が拡大し、DXソリューションのニーズが高まっています。携帯電話販売事業では端末の高価格化、オンライン契約形態の導入などの市場変化が加速しています。海外通信事業ではミャンマー及び新たに参入したエチオピアにおける地政学的リスクはあるものの、地域の発展に伴うニーズが見込まれます。
このような環境を踏まえ、メディア事業では新たな視聴サービスやオンライン診療などの生活周辺サービスの拡充、5G関連では基地局シェアリングの早期拡大に取組みます。デジタル事業ではSCSKとともにDX事業化やスタートアップ企業との共創による新たな価値創出への取組みを加速します。携帯電話販売事業では端末流通市場の変化に対応した新ビジネスの構築に取組みます。また、海外通信事業ではミャンマー・エチオピアの動向を注視しながら慎重に取組みます。
生活・不動産事業部門
当部門は、リテイル、食料、ヘルスケア、建設資材、不動産などの分野において事業を展開しています。
リテイル分野のスーパーマーケット事業は、内食需要の落ち着きや電気代等コスト上昇の影響を受け足元は低調な推移となりました。食料分野においても、ロシア・ウクライナ情勢の影響に伴う輸送費・資材費等のコスト上昇の影響を受けました。コストの高止まりは懸念されますが、いずれも、生活を支える事業としての重要性は引き続き高いものとなっています。
ヘルスケア分野では、国内における高齢化の進展に伴う調剤医療費の抑制、在宅介護、オンライン診療などで事業機会の拡大が見込まれます。
建設資材及び不動産分野では、米国金利上昇に伴う資金調達コストの増加を受け海外事業は低調に推移した一方、国内事業は堅調に推移しました。今後も政策金利の動向や建設コスト上昇に伴う影響には注視が必要です。
このような環境を踏まえ、当部門は、マーケットを慎重に見極めながら、事業の継続及び将来の成長のために必要な施策を引き続き実行していきます。リテイル分野・ヘルスケア分野では、小売現場ならではのデータ活用や、ドラッグストアにおける全自動調剤導入など、現場の課題解決、機能の高度化を目指したDXの取組みを推進していきます。食料分野では、量販店向けの底堅い需要や産地の多角化などを捉えた収益確保に努めます。不動産分野では、引き続き多様なアセットタイプを取り扱うポートフォリオ経営の推進などによる安定した収益基盤の強化に取組んでいきます。
資源・化学品事業部門
当部門は、資源・エネルギー分野では、金属資源・エネルギー権益の開発・生産及び販売事業を、化学品・エレクトロニクス分野では、基礎化学品、農業資材、医薬、化粧品、動物薬、エレクトロニクス材料・製品の開発、製造、販売事業を展開しています。
2022年度は、資源・エネルギー分野にて資源全般の市況が高騰し、鉱山事業、トレードビジネスともに業績は好調に推移しました。化学品・エレクトロニクス分野でも農業資材やEMS事業などで需要の増加を捉え、業績は堅調に推移しました。2023年度は資源全般に加えて、穀物、基礎化学品ビジネスにおいても市況が軟化傾向であり、今後の動向を注視していきます。
このような環境を踏まえ、資源・エネルギー分野では、資源上流権益の安定操業を継続するとともに、市況リスク管理を徹底いたします。また、2050年の住友商事グループのカーボンニュートラル化に向け、資源上流権益ポートフォリオ再構築、次世代エネルギー関連事業の開発に取り組んでいきます。化学品・エレクトロニクス分野では、農業資材事業をはじめとする既存事業の収益基盤強化に注力するとともに、循環経済推進に向けたグリーンケミカル分野での新規事業開発に取り組んでいきます。
② 定量計画
・業績見通し
今般、足元の状況を踏まえ、業績見通しを以下のとおりとしました。

世界経済の先行き不透明感は増しているものの、概ね足元の事業環境の継続を見込んでおり、2023年度の利益予想は4,800億円としています。前期比では、資源ビジネスは資源・エネルギー価格の軟化などにより減益、非資源ビジネスは横ばいを見込んでいます。
なお、当社は最適な経営資源配分を通じた事業ポートフォリオのシフトの実行に向けて、「SHIFT 2023」の対象期間だけに限らず、常に3年先までの定量イメージを持ちながら戦略議論を実施しており、以下のとおり2025年度までの利益イメージを示しています。

・キャッシュ・フロー計画
「SHIFT 2023」において、株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字を確保する方針を堅持し、投融資と資産入替を着実に進め、高い収益性と下方耐性の強い事業ポートフォリオへのシフトに取り組んでいきます。


株主還元方針については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
サステナビリティに関する施策の企画、グループ全体への浸透及びモニタリング体制の整備を含めて、重要事項
や各種取り組みについては、経営会議や取締役会に付議・報告し、経営会議の判断や取締役会の監督のもとで進め
ております。
なお、住友商事グループのコーポレートガバナンスの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレー
ト・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
サステナビリティ推進体制
当社では、サステナビリティを推進する施策の企画や社内浸透を担当する部署として、「サステナビリティ推進
部」を設置しております。加えて、各事業部門におけるサステナビリティ推進の責任者である業務部長や業務部内
のサステナビリティ推進担当者、関連コーポレート各部、海外地域組織のサステナビリティ推進担当者が連携する
ことで、グループ全体のサステナビリティ推進施策を浸透させるとともに、各事業部門・イニシアチブ・地域組
織においても、事業や地域の特性に応じた独自の施策を進めております。
また、経営会議の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」を設置し、サステナビリティ推進に係る重要
な取り組みについては、同委員会から経営会議や取締役会に付議・報告し、経営会議の判断や取締役会の監督のも
とで進めております。加えて、外部有識者で構成される「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、
サステナビリティ経営全般について助言・提言を得て進めております。

また、当社では、重要な人材マネジメントに関する方針・戦略・施策は、経営会議の諮問機関である人事諸制度
委員会や経営会議で議論し、取締役会で重要な方向性の決定と監督・モニタリングを実施しております。
戦略
住友商事グループのサステナビリティ経営の高度化
持続可能な社会の実現に向けた当社グループの役割を示すことに加え、そのような社会で実現されるカーボン
ニュートラルなエネルギーサイクルや循環可能な経済の在り方、あらゆる人権侵害が存在しないビジネスの姿を
描き、そこに至るまでの、長期的な事業環境の変化を見通して、戦略的に経営資源の配分を進めていくことが、
当社の持続的成長を可能にすると考えております。
社会のあるべき姿を捉え、それを追求することが、より多くのビジネス機会をもたらします。持続可能な社会
と、当社グループの価値創造や持続的な成長がしっかりと重なった姿が、住友商事グループが長期的に目指す
サステナビリティ経営であります。

中期経営計画「SHIFT 2023」における位置づけ
当社グループは、2021年5月に策定した中期経営計画「SHIFT 2023」において、3つのシフト、「事業ポートフォ
リオのシフト」、「仕組みのシフト」、「経営基盤のシフト」を掲げております。その中でも特にデジタル化と
サステナビリティに対する要請という2つの大きな社会の潮流をしっかりと捉えながら、より高い収益性と環境変化
への耐性を兼ね備えたポートフォリオへシフトする「事業ポートフォリオのシフト」を推進する上で取り込むべき
重要な要素として、DXとともに「サステナビリティ経営の高度化」を掲げております。

重要社会課題の特定
サステナビリティ経営の高度化の一環で、当社グループが取り組むべき6つの重要社会課題として、「気候変動
緩和」「循環経済」「人権尊重」「地域社会・経済発展」「生活水準の向上」「良質な教育」を定め、それぞれ
の課題に対する長期目標・中期目標を設定しております。詳細は後述の「指標及び目標」をご参照ください。

リスク管理
社会・環境関連リスク管理体制
当社グループは、さまざまなビジネスを含むグループ全体の活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理す
るため、新規事業を開始する際の審査や定期的なモニタリング等の全社的フレームワークを整えております。
新規投資に係るデューデリジェンスの際には、事業の性格やリスクを踏まえ、環境コンサルタントによる環境評
価や、法律事務所等による人権・労働問題の評価によって、事業が健全に経営されているか、事業活動により地球
環境や地域社会、従業員等のステークホルダーに深刻な影響を与えていないかを確認しております。2020年4月に
は、リスク管理の実効性をさらに高めるため、投資申請時に、社会・環境関連リスクの評価シートを作成し、各事
業の内容・地域特性等から想定される機会・リスクを洗い出すとともに、社会課題への対応に関する専門組織であ
るサステナビリティ推進部が全社投融資委員会での審議に参加するなど、社会・環境への影響を踏まえた意思決定
が行われる体制を整えております。
投資後の事業についても、事業会社との対話を通じた定期的なモニタリングや、内部監査等のプロセスを通じ、社会・環境関連リスク管理状況を確認し、課題がある場合は、その事業の特性に応じて改善を進めます。当社グル
ープの事業活動の影響について、地域住民やNGO等、ステークホルダーから問題の指摘を受けた場合は、実態を踏ま
えて、対話・協議を行い、改善に努めております。
また、こうした新規投資の審査やモニタリングの結果、個別案件の重要な社会・環境問題への対応は、関連する社内の委員会を通じて経営会議・取締役会に付議・報告しており、取締役会の監督のもと、社会・環境関連リスクへの対応および管理体制の強化に取り組んでおります。

指標及び目標
重要社会課題に対する長期・中期目標
当社グループが特定した6つの重要社会課題に関しては、課題毎に長期及び中期目標を設定し取り組んでおります。中期目標に対する進捗状況はサステナビリティ推進委員会でモニタリングしております。

(*1)2020年時点:石炭50%、ガス30%、再エネ20%
(*2)他者のエネルギー資源使用に伴う間接排出量
(*3)個別事業で目標を設定し削減に注力
(*4)2020年時点:1.5GW(1GW = 10億W)
(*5)サプライチェーンを含む事業活動全体に関し、人権侵害等に関する、従業員・地域住民等ステークホルダー
からの訴えを受け付け、問題解決につなげる仕組み
(*6)住友商事グループの社員参加型の社会貢献プロジェクト
[テーマ別開示]
■気候変動に関する開示
気候変動問題は、持続可能な社会の実現の為に、克服しなくてはならない重大な課題であり、より早期のカーボ
ンニュートラル社会実現に向けたグローバルな取り組みはますます加速しております。当社は、パリ協定における
世界的合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成に、より積極的な役割を果た
すため、2021年5月に、「気候変動問題に対する方針」を見直すとともに、当社の6つの重要社会課題の一つである
「気候変動緩和」とその長期目標に対し、より明確なアクションプランを示す中期目標を設定しております(中期
目標は前項の通り)。
その後、2022年2月にも「気候変動問題に対する方針」を見直し、新規の石炭火力発電事業・建設請負工事には例外
なく取り組まないこととしております。

また、当社グループでは、気候変動への取組みに関してTCFDに基づいた情報開示を行っております。2021年度の
開示の詳細は
ESGコミュニケーションブック2022(2022年9月発行):
ESGブック ディスクロージャー編
(https://www.sumitomocorp.com/jp/-/media/Files/hq/sustainability/report/esg/esg-all.pdf?la=ja)
なお、2022年度のTCFDに基づく開示は2023年9月に発行予定のESGコミュニケーションブック2023に掲載予定と
なっております。
ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティに関するガバナンスに組み込まれており、重
要事項や各種取り組みについては経営会議の判断や取締役会の監督のもとで進めております。
戦略
事業ポートフォリオシフトの着実な推進
気候変動問題の克服には、産業全般における脱炭素技術や再生可能エネルギーへのシフト、排出されたCO2の利活
用による、カーボンニュートラルなサイクルの実現が求められます。当社は、幅広い産業においてグローバルに事
業を展開する中で、脱炭素化に伴うさまざまな技術やビジネスモデルの変化がもたらすリスクに対応する一方で、
それら変化に伴って現れる新たな社会的ニーズを捉え、多様な事業機会を開拓していくことで、ポートフォリオシ
フトを着実に推進します。
気候変動に関する移行リスクと機会
当社は、気候変動緩和に係る技術の変化や規制導入等の事業環境変化のリスクが相対的に大きいと考えられる分
野として、発電事業やエネルギー・資源関連事業、自動車、航空機、船舶関連事業、鉄鋼、化学品、セメント、ア
ルミ製錬、不動産等の事業への影響を分析しております。これらの分野では事業活動に影響を及ぼすようなリスク
が存在すると想定され、定期的なシナリオ分析を通じてリスクの大きさを認識し、然るべき対応策を検討すること
で、業績への負の影響を最小限に留めるよう努めているほか、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築等、事業
機会の開拓に資する取り組みを強化しております。
シナリオ分析の詳細や結果については、
リスク管理
当社グループの活動は広範な分野、地域に分散した事業から成り立ち、さまざまな社会課題と関わりを持ってお
ります。当社は、常にそれら社会課題に配慮し、グループ全体の事業活動から生じる社会・環境への影響を適切に
コントロールするための方針を設定し、グループ内で周知・徹底を図っております。
当社は、新規事業を検討・実施する際の審査過程において、社会・環境に関するリスクの評価や対応策の確認を行
っており、特に気候変動問題に関しては、気候変動等の社会・環境問題に起因する事業環境の変化に適切に対応出
来ないことにより、事業の持続性が妨げられるリスク(および機会)について、以下の点を確認しております。
・気候の変動あるいは自然災害・異常気象の頻発による影響
・規制の導入による影響
・技術の変化等による影響
・気候変動緩和や気候変動への適応の進展による事業の拡大や業績の改善余地
既存事業に関しても、当社は、社会・環境関連リスクを含む、各事業におけるこれらリスクの全般的な管理状況
を定期的にモニターしており、個別事業に関するリスク管理に加え、当社全体が抱える社会・環境に係るリスクの
状況を把握し、経営の戦略的判断に活用出来る体制を整えていきます。
また、気候変動のリスクへの対応については、各営業組織において、関連する事業分野の規制の導入や市場変化
を把握し事業を展開することに加えて、全社ポートフォリオ管理の一環として、サステナビリティ推進部が気候変
動に関する世界的取り組みや各種規制の動向を踏まえた、当社グループの主要なリスクの状況をまとめ、定期的に
経営会議、取締役会に報告しております。ポートフォリオ全体で見て許容できないリスクがあれば、リスク管理担
当組織と共同でエクスポージャーの削減を含め対応を検討しております。
指標及び目標
2022年度の温室効果ガス(GHG)排出量の実績は以下の通りであります。2021年度までの実績については、
<GHG排出量(Scope1/2)> (集計対象範囲(※1))
なお、上記の数値は速報値であり、確定値については
に掲載予定であります。
(※1)集計対象範囲は提出会社、連結子会社及び共同支配事業であります。共同支配事業については、当該事業にお
ける環境データの報告期間の3月末時点における出資比率相当を算入しております。また、エネルギー起源CO2
以外のGHG 排出量については、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度を踏まえ、ガス毎の排出量合計がCO2
換算で3,000tを超える排出のあった事業会社を対象としております。
住友商事グループカーボンニュートラル化の対象として集計している活動別CO2排出量についての2022年度実績は
以下のとおりであります。2021年度までの実績については、
ださい。
<住友商事グループ カーボンニュートラル化対象 CO2排出量> (集計対象範囲(※2))
なお、上記の数値は速報値であり、確定値については
に掲載予定であります。
(※2)当社グループは、2019年に「気候変動問題に対する方針」を制定しており、2050年のカーボンニュートラル
化を目指しております。カーボンニュートラル化の対象となる事業範囲は以下の通りであります。
<Scope1・2>
提出会社及び子会社の直接的CO2排出と、各社の使用するエネルギーの生成に伴う間接的CO2排出。
(ただし、発電事業については持分法適用関連会社の排出も対象に含む)
<Scope3>
提出会社及び子会社、持分法適用会社の化石エネルギー権益事業で生産されたエネルギー資源の、
他者の使用に伴う間接的CO2排出。
尚、カーボンニュートラル化とは、当社グループの事業によるCO2排出と、CO2排出削減への貢献を合わせた
ネットCO2排出量をゼロとすることを指す。
(※3)発電事業の実績値には建設中案件の推計値を含んでおります。
■人的資本に関する開示
戦略
人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針
当社グループは、2020年9月に制定した「グローバル人材マネジメントポリシー」を通じて、グローバルベースで
の人材マネジメントに関するビジョンを示し、全ての人事施策の拠り所とすることで、新たな価値創造に向けた人
材マネジメントを実現します。
このポリシーで掲げる目指す個と組織の姿はそれぞれ以下のとおりであります。
当社グループには、性別や国籍の違いだけでなく、様々なライフスタイル、多様な価値観を持つ社員が在籍して
いることから、このポリシーでは、Diversity, Equity & Inclusionを「価値創造、イノベーション、競争力の源
泉」と位置づけており、その推進を妨げるあらゆるバリアを撤廃し、多様な人材の「知」のミックスを活かして、
ビジョンの実現を追求します。
中期経営計画「SHIFT2023」においては、以下4つの方針を掲げ、各施策を推進しております。
・「グローバル人材マネジメントポリシー」を具現化する人材マネジメント改革
・Diversity, Equity & Inclusionの推進
・グローバル適所適材の推進
・健康経営と働き方改革
当社において2021年度に導入した新人事制度を軸に、人材の確保・育成、配置・登用等の各局面で個々人が最大
限に力を発揮できる環境整備に取り組み、管理職層には職務等級制度を導入し、キャリア採用の拡充や海外拠点に
おける幹部ポジションへの現地採用社員の積極登用を含め、個々人の属性に捉われず、専門性やスキルを重視し
た、ベストタレントの最適配置を通じた組織パフォーマンスの最大化を目指しております。なお、重要な経営資本
である人材の育成に関しては、「グローバル人材マネジメントポリシー」において、「人材育成の精神を大切に
し、アンテナ高く学び続けながら、主体的に成長していく個人をサポートする」と掲げているとおり、年齢・ポジ
ションに関わらず学び続けることを大切にし、多様な分野で活躍する個々人が、それぞれのグローバルフィールド
で必要とされる知識・スキルを主体的に学べる環境を構築しております。具体的には、当社においては、それぞれ
のプロフェッショナリズムを徹底的に高め、発揮するための「キャリア開発研修」や、組織と個人の成長につなげ
ていくために、部下一人ひとりと向き合い、動機付け、多様多彩な人材を束ねる「ピープルマネジメント力」を強
化する研修を実施しております。さらには、事業経営に必要な知識・スキルを習得する機会として、長期・選抜プ
ログラムを継続実施しており、多くの人材が当社グループの価値向上に向けて、それぞれのフィールドで活躍でき
るよう、人材育成の強化に努めております。
また、国籍、年齢、性別、性的指向、性自認などの属性や従来の価値観に囚われない人材マネジメントを推進す
るとともに、日本及び国内海外拠点の実情に応じたDiversity, Equity & Inclusionを推進しております。
Diversity, Equity & Inclusionを組織に定着させるための継続的な社内啓発の一環としては、2021年度から、
Diversity, Equity & Inclusion関連プログラムを集中的に展開する期間(Diversity Weeks)を設け、経営陣による
メッセージ発信や各種研修、社員座談会などを実施しております。なお、当社では、女性の活躍推進をDiversity,
Equity & Inclusionの重要な柱と捉えております。ライフイベントとキャリア形成の両立支援の観点から、法定を
上回る水準での各種制度の整備などの「ハード面」の取り組みに加え、長時間労働の是正や有給休暇取得の促進、
社員の意識改革など、「ソフト面」の取り組みを同時に推進しています。このような取り組みが評価され、当社
は、「プラチナくるみん」、2つ星の「えるぼし」企業として認定されました。
<具体的な取り組み事例>
・子女のみを帯同する海外駐在員への支援制度の導入
・仕事と育児・介護の両立支援ハンドブックの作成
・育児コンサルタントサービスの導入
・保育施設との提携
・アンコンシャスバイアス等に関する各種研修の実施
また、社員一人ひとりが最大限に力を発揮するためには、心身の「健康」が最重要であり、これを基盤としてこ
そ、新たな価値創造を続けていくことができるという考えのもと、「イキイキワクワク健康経営宣言」を策定して
おります。
加えて、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方を実践していくため、テレワーク制度とスーパーフ
レックス制度を導入しており、多様な個々人が最大限の力を発揮するとともに組織としてのアウトプットを最大化
できる働き方を追求しております。このような制度の定着と意識改革等における全社レベルの取り組みが評価さ
れ、当社は、2019年に総務省が選定する「テレワーク先駆者100選」、2020年には「厚生労働大臣表彰(輝くテレワ
ーク賞)」に選出されました。
2022年度には、従業員意識調査(3年に一回)をエンゲージメントサーベイ(年一回)に置き換え、個と組織のつなが
りや社員の自発的貢献意欲を調査するとともに、社員による全社横断ワーキンググループを立ち上げ、改善が必要
な分野の特定と対応に着手しております。
こうした取り組みによって、多様な人材の力を競争力の源泉として活かし、当社グループとして、新たな価値の
創造に挑戦し、さらなる成長ならびに企業価値の向上を図っていきます。
指標及び目標
(※)日本経済団体連合会が2021年3月に公表した「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、設定したもの。
1. 社員エンゲージメント指数 及び 社員を活かす環境指数
上記の人材育成方針及び社内環境整備方針に基づき施策を実行することで、グローバル人材マネジメントポリシーに掲げる「目指す個の姿(Top Tier Professionalism)」「目指す組織の姿(Great Place to Work)」が実現するものと考えております。その過程で、エンゲージメントサーベイ(年一回)で計測する「社員エンゲージメント指数」「社員を活かす環境指数」が向上していくと考えており、当社における目標を上表のとおり設定しております。なお、エンゲージメントサーベイは、2022年度は当社のみで実施しましたが、2023年度からは当社の国内海外拠点を含めたグローバルベースで実施する予定であります。
2. 女性管理職比率、女性部長級比率 及び 女性取締役・監査役比率
グローバルベースで様々な領域でプロフェッショナルとして活躍する女性を継続的に育成していくため、足下での状況を踏まえつつ、2030年度達成に向けた当社における目標を上表のとおり設定しております。
当社の事業その他に関するリスクとして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2023年3月31日)現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があり、また、予測等に基づき策定した中期経営計画を修正する可能性や達成できない可能性もあります。
当社においては、「リスク」を「あらかじめ予測し若しくは予測していない事態の発生により損失を被る可能性」及び「事業活動から得られるリターンが予想から外れる可能性」と定義し、以下3点をリスクマネジメントの目的としております。
当社は、営業活動を投資と商取引に大別の上、それぞれに固有のリスクファクター及び双方に共通するリスクファクターを特定し、その発生する蓋然性及び発生した時の影響を分析・評価しております。

当連結会計年度末現在、当社は636社の連結子会社及び250社の持分法適用会社を有しています。当社では連結子会社及び持分法適用会社への投資に関しては、技術革新等を含む事業環境の変化や、パートナーの業績不振等により、計画した利益が獲得できず、投下資金の回収不能や撤退時における追加の資金負担といったリスクが考えられます。当社ではこれらリスクを管理するため、新規投資実行時及び実行後のモニタリングに大別して様々な制度を導入しています。
取り組みの初期段階から「投資テーマ」を明確にし、デューデリジェンスによって重点的に検証しています。加えて、投資案件を選定するための厳格な投資規律の設定や、当該事業リスクに応じた割引率を適用することにより、投資対象の「適正な価格」を算定するなど、定性・定量の両面から評価を実施しています。また、投資案件の意思決定に際しては、案件の規模や重要性に応じて、検討・実行の各段階において、各事業部門の投融資委員会乃至全社投融資委員会を開催し、個別案件の戦略上の位置付け、案件選定の背景・理由、並びに投資後のバリューアップ施策の前提とその確からしさなど投資の成否を左右する諸条件について、早い段階から議論を深掘りし課題の特定を行うとともに、その対応策も踏まえた案件実行可否につき審議しています。
投資後の支援にあたっては、投資の意思決定時点において課題を明確にし、投資後もスムーズに課題解決に取り組める体制を整えています。特に重要な案件については、統合支援機能として「100日プラン(注)実行支援制度」があるほか、全社投融資委員会のもとで業績改善策の立案や実行をフォローする「重点フォローアップ制度」を設けています。更には、投資ポートフォリオの質の向上を目的としたモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を2018年度に導入しました。資本コスト(WACC)を上回るリターン(ROIC)を達成しているかどうかを測る、ROIC/WACC等複数の定量指標に基づくスコアリングによって、投資先を「健全先」、「健全化ロードマップ策定先」、「撤退候補先」の三つに分類の上、「重点フォローアップ制度」の対象である「重点フォローアップ対象先」と「健全化ロードマップ策定先」、「撤退候補先」を対象として、四半期ごとに業績やロードマップの進捗状況乃至撤退の取り組み状況をモニタリングしています。また、ロードマップの実現確度が十分ではないと判断される場合は、ロードマップの見直し、それでも健全化が困難と判断される場合は、撤退方針先に変更する等、明確な時間軸に基づく投資ポートフォリオのバリューアップ施策を通じ、中期経営計画「SHIFT 2023」にて掲げる「事業ポートフォリオのシフト」に取り組んでいます。また、同中期経営計画で掲げる「ガバナンスの高度化」を目的とし、投資先の事業に則したKAI、KPI設定を通じた経営の可視化、最適なマネジメントチームの組成、及び事業価値向上を促進するマネジメントの報酬設計等を通じ、事業会社における業務品質の向上を図っています。
さらに、価値向上実現へのコミットメントを高めるべく、投資パフォーマンスに連動した報酬制度を導入しました。
(注) 投資実行直後の早い段階で、投資先のマネジメントと目標とすべき経営指標や財務指標を含めた事業価値最大化を図る中期計画の策定に向けた経営インフラ構築・整備活動。

当社は、鉱物資源、ガス等の開発事業を各国で展開しており、以下に例示するようなリスクを負っています。これらが顕在化することにより、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(a) 開発事業において、計画を超えた開発費用の増加や工期の遅延が起こること
(b) 事業参画前には専門家を起用して十分な地質調査を実施しますが、それにもかかわらず事業開始後に埋蔵量が変動すること
(c) 操業にかかわる技術的問題等に起因して、生産量が計画を下回り、あるいは生産コストが上昇すること
(d) 許認可の取得・更新の遅延、税制の変更、事業資産の接収や権利の侵害等、事業所在国の政府にかかわる事由に起因して計画が実現しないこと
当社では、資源開発の知見に長けた人材からなる「資源・エネルギープロジェクト管理部」を立ち上げ、当該事業のプロジェクトマネジメントの強化に努めています。また、単一プロジェクトへの投資上限金額の設定や資源・エネルギーポートフォリオ中の生産未開始案件の割合を一定以下に保つなどのポートフォリオマネジメントを通じて、上記リスクの抑制に努めています。
当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。また、当社は、主としてヘッジを目的とするデリバティブ取引を活用しており、当該取引にも契約相手先の信用リスクが存在します。
当社では、内部格付制度に基づく取引先等の信用力チェックや担保・保証等の取得、取引先の分散等により、かかるリスクの管理に努めており、また、上記の信用リスクが顕在化した場合に備えるため、取引先の信用力、担保価値その他一定の前提、見積り及び評価に基づいて貸倒引当金を設定していますが、予期せぬ要因等によりこれら取引先、契約相手先が、支払不能、契約不履行等に陥る場合、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは金属・エネルギーを始めとする各種商品の売買を行っており、当該商品の価格変動リスクを負っています。
当社は、商品ごとの枠設定による管理体制の構築や、ヘッジ取引等によりリスクの軽減に努めており、主要な商品については、ポジション枠及び損失限度枠の設定、ミドル・バックオフィスの設置により職務分離を確保しています。
また、当社グループは直接・間接的に鉱物・原油及びガス資源権益を保有しており、生産物の価格変動リスクを負っています。これら事業については、ヘッジポリシーを定め、ヘッジが必要と判断される場合は、デリバティブ取引等を用いてヘッジを実施することにより業績の下振れリスクを抑制しています。
当社は、日本を含む60ヶ国以上において商取引及び事業活動を行っており、関係各国の政治・経済・社会情勢等の事業環境の変化に起因して生じる事業遅延・停止等が当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、案件ごとに保険を付保するなどのリスク回避策を講じるとともに、社内国格付に応じたエクスポージャーの上限目安額を設定し、国ごとのエクスポージャー管理を実施することにより事業ポートフォリオが適切な分散を保つよう管理しています。
ロシア及びウクライナ関連ビジネスにおいては、住友商事グループの役職員とその家族、取引先をはじめとする、すべてのステークホルダーの安心と安全を最優先事項として掲げています。また、取引先を含む事業パートナーやステークホルダーとの協議を踏まえ、社長を議長とする経営会議の管理の下で、住友商事の危機対応方針に即し対処しています。
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。また、当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用を供与する場合があります。これらの取引により生ずる収益・費用及び資産・負債の公正価値は、金利変動の影響を受ける場合があります。
また、当社が行う外貨建投資並びに外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受ける場合があります。
当社ではこれら金利変動、外国為替レートの変動によるリスクを回避するため、デリバティブ等を活用していますが、これらによりリスクが十分に回避できる保証はありません。
当社が保有する市場性のある有価証券は、日本企業が発行する株式への投資が大きな割合を占めており、日本の株式市場が今後低迷した場合には、有価証券の公正価値の変動によって、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
当社は、日本及び海外において、オフィスビルや商業用施設、居住用不動産の開発、賃貸、保守・管理事業等の不動産事業を行っており、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、当社が保有する賃貸用の土地及び建物、並びに開発用の土地及びその他の不動産の評価額について、減損処理を行う必要が生ずる可能性があります。
不動産の他、当社が所有する他の固定資産についても減損のリスクに晒されており、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、情報セキュリティの重要性を認識しており、関連規程の整備や役職員への啓発、情報セキュリティを確保するための技術的な対策等を施し、情報資産を管理することに努めています。また、テレワーク環境等、情報システム利用環境の多様化に応じた情報セキュリティの強化も図っています。さらに、当社は事業活動の多くを情報システムの機能に依存していることから、情報システム運営の上でも安全性の確保に努めています。しかしながら、サイバー攻撃が年々巧妙化する中、予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ウィルスやマルウェアの侵入、情報システムの機能不全等により、情報の漏洩・滅失・毀損、事業活動の一時的停止等、当社の事業活動が重大な悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに適切に対応するため、中期経営計画「SHIFT 2023」にて「ガバナンスの強化」を掲げ、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とするIT戦略委員会を中心に、2017年10月制定の「情報セキュリティ基本方針」に沿って、情報資産の適切な管理に努めています。また、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対してはシステム上の対策に加え、外部専門機関とも連携の上、最新情報を入手し、適切かつ迅速に対応できるように努めています。
当社は、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しています。これらの法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、汚職・腐敗行為防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国においては、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更によって、法令遵守のための当社における負担がより増加する可能性があります。
これらの法律及び規制の遵守を徹底するため、当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンス施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、コンプライアンスに関する適切な施策を策定・実行しています。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、「住友商事グループ・コンプライアンスポリシー」を制定し、セミナー等の継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」及び、万一、コンプライアンス上の問題が発生したときは直ちに上司あるいは関係部署に対して事態を報告し、最善の措置をとること、すなわち「即一報」の意識の浸透・徹底を図っており、コンプライアンス問題の発生防止に努めています。
しかしながら、このような取組みをもってしても、当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるとともに、事業が制約され、信用の低下を被る可能性があるため、当社の事業展開、業績、財政状態及び社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、日本及び海外において訴訟等の係争案件に関わっています。また、事業遂行上、偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。
訴訟等に固有の不確実性を考慮すると、現時点において、当社の関わる訴訟等の結果を予測することはできません。また、これらの訴訟等で当社が勝訴するという保証や、将来において当社の社会的信用や当社の業績及び財務状況がそれらの訴訟等による悪影響を受けないという保証はありません。
当社グループは、世界中の異なる国・地域で、複数の分野に跨り事業を展開しており、その事業活動は、地球環境や地域社会、顧客、役職員等のステークホルダーにさまざまな影響をもたらします。そのため、当社グループの事業活動が、人々の人権や地球環境に負の影響を与えた場合には、その影響の解消・緩和や損害の賠償等による追加的費用の発生や事業の停止等によって、財政状態の悪化、信用の毀損等の影響を受ける可能性があります。
当社は、社会・環境に配慮し、社会とともに持続的に成長することを目指し、「環境方針」「人権方針」「サプライチェーンCSR行動指針」を制定して、社会・環境問題に関する考え方を明確にしています。持続可能な調達を要する主要な天然資源についても、個別の方針を制定して取り組んでいます。事業活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理するために、新規投資の際には、各事業の社会・環境への関わりや影響、それらの管理の状況を確認し、投資実行後も、定期的なモニタリングを行うなど、社会・環境リスク管理の全社的なフレームワークを整えています。
世界的な重要課題である気候変動に関しては、事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する方針を掲げ、発電事業において経営資源を再生可能エネルギーなど、より環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトする等の取組みを進めています。
また、人権の尊重に関しては、当社グループの全事業とサプライチェーンにおいて人権が尊重されるよう努めることを目標に掲げ、当社の全事業・サプライチェーンを対象にした人権デューデリジェンスの取り組みを開始しています。この取り組みを通じて人権リスクを特定した上で、その低減・防止に努めます。
当社が事業活動を展開する国や地域において地震、津波、大雨、洪水等の自然災害、または新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合に、当社の事業に悪影響を与える可能性があります。当社では地震災害等に備え、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成、社員の安否確認システムの構築、災害用物資の備蓄、防災訓練、建物・システムの耐震化及びデータのバック・アップ等の対策を講じていますが、これによって災害による被害を十分に回避できる保証はありません。
当社は、事業部門、国内外の地域組織及び全世界のグループ会社を通じて、幅広い分野でビジネスを展開しており、夫々の組織において内部統制を適切に構築する必要があります。しかしながら、当社が内部統制を適切に構築したとしても、役職員の事務処理ミスや不正行為等のオペレーショナルリスクを、完全に防止することができる保証はありません。事務処理ミスや不正行為が発生した場合、当社は財政状態の悪化、信用の毀損等の悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクをできる限り抑えるために、当社では中期経営計画「SHIFT 2023」にて「ガバナンスの強化」を掲げ、適切な内部統制の構築・グループガバナンスの高度化に取り組んでいます。
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社は、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
そのため、現預金、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、調達先の分散や調達手段の多様化に努めており、これにより、中期経営計画「SHIFT 2023」にて掲げる「財務健全性の維持・向上」を図ります。
当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能なすべての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能性を見込めると判断した部分について繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積もりの変更や法定税率の変更を含む税制改正等により回収可能額が変動する可能性があります。
また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達等により、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業を展開する地域・分野及びビジネスモデルは劇的に多様化しており、環境は非連続かつ相当なスピードで変化しています。ビジネスを展開するにあたって、特定分野に高度な専門性及び経験を持った人材が必要となる可能性は常にあります。当社では、社内外のTop Tierプロフェッショナル人材を確保するために、通年採用、健康経営・働き方改革の推進、「Diversity, Equity and Inclusion」多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かす文化・意識の醸成等、より魅力的な職場環境の整備に取り組んでいます。
しかしながら、ビジネスモデルの急激な変化により特定の専門人材に対する需要が急増する、あるいは当該専門人材に対する労働市場が成熟しておらず、加えて当社の人材確保・育成の取り組みをもっても十分な対応が想定通りに進まない場合、当社の事業が悪影響を受ける可能性があります。
当社グループの商取引及び投資活動において、特定の国、分野、または取引先に対するエクスポージャーが集中するリスクがあります。事業環境の悪化等により当社が期待するリターンが得られない、もしくは損失を被る場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分する投下資本額について十分なディスカッションを行っています。また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に状況をモニターしています。具体的な取り組みは以下のとおりです。
・当社が抱えるエクスポージャーが大きい特定の国については、前述のカントリーリスク管理制度に則りきめ細かく管理しています。
・資源・エネルギー上流案件については、エクスポージャー上限枠の設定並びに定期的なプロジェクト価値のモニタリングを実施しています。
・定期的に大口債権残・成約残のある先との取引状況や当該取引先の経営状況等の情報を把握し、管理しています。
当期の世界経済は、コロナ禍以降の財政や金融などの政策支援を背景に緩やかな持ち直しの動きが続いてきましたが、物価の急激な上昇とその抑制のための金融引締めを背景に緩慢な動きとなりました。物価については、生産能力不足や供給網の目詰まりにより需給全般がひっ迫したことに加えて、ロシア・ウクライナ情勢を契機に世界の分断が顕著となったことで、エネルギーや食料品を中心に幅広い品目で価格が急騰しました。また、サービス業を中心とした労働需給のひっ迫による賃金上昇圧力も相まって、約40年ぶりとなる高いインフレ率を記録しましたが、多くの国や地域で物価抑制のための金融引締めが行われたことから、その騰勢は徐々に緩やかとなりました。一方で、一部の金融機関では金利上昇の影響で経営が不安定となり、米国では中堅銀行が破綻し、欧州では政府主導により大手銀行が吸収合併されるなど、混乱が生じました。
国際商品市況は、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受け、原油・石油製品、天然ガス、石炭、小麦などロシアの主要輸出品を中心に価格水準が大幅に上昇しました。また、ニッケルの価格が短期間で急騰したことにより先物市場が取引停止を強いられるなど、市場における価格変動の度合いはかつてないほど大きくなりました。商品価格の高騰を受けて、各国政府が備蓄在庫の市場放出や物流の安全確保、エネルギー価格の上限設定などの対応を取ったことや、欧州の暖冬により液化天然ガスを中心にエネルギー需給が緩和したことから、商品価格はエネルギーや農産物を中心にロシア・ウクライナ情勢以前の水準に戻りつつありますが、市場を取り巻く環境は、この1年で深まった世界での様々な分断により、依然として不安定な状態が続いています。
国内経済は一進一退の動きに留まりました。世界的な物価上昇に加え、約四半世紀ぶりの水準まで進行した円安を背景に、国内物価は大幅に上昇し、日常生活がウィズコロナへと移行するなかで回復基調にあった経済活動の重しとなりました。また、経常収支の黒字こそ維持されたものの、石油や石炭など資源価格の高騰により物品の輸入金額が急増したことや、ウェブ広告などの海外からのサービスの輸入も急増したことにより、貿易・サービス収支はかつてない金額の赤字となりました。
当期の収益は、6兆8,179億円となり、前期の5兆4,950億円に比べ、1兆3,229億円の増益となりました。売上総利益は、1兆2,348億円となり、前期の1兆96億円に比べ、2,251億円の増益となりました。これは北米鋼管事業や資源・エネルギートレードが好調に推移したことにより増益となったことなどによるものです。販売費及び一般管理費は、8,117億円となり、前期の7,139億円に比べ、978億円の増加となりました。固定資産損益は、133億円の利益となり、前期の126億円の損失に比べ、259億円の増益となりました。これは不動産事業で大口案件の引渡しがあったことにより増益となったことなどによるものです。持分法による投資損益は、2,522億円の利益となり、前期の1,768億円の利益に比べ、754億円の増益となりました。これは資源価格の上昇により増益となったことに加え、航空機リース事業で前期にロシア・ウクライナ関連の損失を計上した反動などによるものです。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、5,652億円となり、前期の4,637億円に比べ、1,015億円の増益となりました。
当社は、6つの業種に基づくセグメント(事業部門)により事業活動を行っております。
6つのセグメントは金属事業部門、輸送機・建機事業部門、インフラ事業部門、メディア・デジタル事業部門、生活・不動産事業部門、資源・化学品事業部門から構成されております。2022年4月1日付で、輸送機・建機事業部門傘下にあった精密農業事業を資源・化学品事業部門傘下の組織に移管しました。また、同日付で、メディア・デジタル事業部門傘下にあったデジタルヘルス事業を生活・不動産事業部門傘下の組織に移管しました。これに伴い、前期のセグメント情報は組替えております。
前期及び当期の売上総利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)の事業セグメント別実績は以下のとおりであります。
事業セグメント別売上総利益の内訳
事業セグメント別当期利益(親会社の所有者に帰属)の内訳
金属事業部門
当期の売上総利益は2,204億円となり、前期の1,403億円に比べ、802億円(57.2%)の増益となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、1,104億円となり、前期の552億円に比べ、552億円(100.0%)の増益となりました。これは北米鋼管事業において、市況が好調に推移したことや、海外スチールサービスセンター事業が堅調に推移したことにより増益となったことなどによるものです。
輸送機・建機事業部門
当期の売上総利益は2,610億円となり、前期の1,894億円に比べ、717億円(37.9%)の増益となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、920億円となり、前期の349億円に比べ、570億円(163.2%)の増益となりました。これはモビリティ事業において、製造事業で減損損失の計上があるも、流通事業を中心に堅調に推移したことや、北米を中心とした建機関連事業及びリース事業が堅調に推移したことに加え、前期に航空機リース事業でロシア・ウクライナ関連の一過性損失を計上した反動により増益となったことなどによるものです。
インフラ事業部門
当期の売上総利益は598億円となり、前期の715億円に比べ、117億円(16.3%)の減益となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、208億円となり、前期の333億円に比べ、125億円(37.4%)の減益となりました。これは海外発電事業が堅調に推移した一方、国内電力小売事業で電力調達価格高騰の影響があったことなどによるものです。
メディア・デジタル事業部門
当期の売上総利益は1,213億円となり、前期の1,110億円に比べ、103億円(9.3%)の増益となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、130億円となり、前期の393億円に比べ、263億円(66.9%)の減益となりました。これは国内主要事業会社が堅調に推移した一方、ミャンマー通信事業で持分法投資の減損損失を計上したほか、エチオピア通信事業で立ち上げコストが増加したことなどによるものです。
生活・不動産事業部門
当期の売上総利益は2,428億円となり、前期の2,227億円に比べ、201億円(9.0%)の増益となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、590億円となり、前期の442億円に比べ、148億円(33.5%)の増益となりました。これは国内スーパーマーケット事業で減益となった一方、不動産事業で大口案件の引渡しがあったことにより増益となったことなどによるものです。
資源・化学品事業部門
当期の売上総利益は3,297億円となり、前期の2,712億円に比べ、585億円(21.6%)の増益となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、2,669億円となり、前期の2,473億円に比べ、196億円(7.9%)の増益となりました。これは資源・エネルギー価格が上昇したことに加え、資源・エネルギートレードが好調に推移したことや、化学品・エレクトロニクスビジネスが堅調に推移したことにより増益となったことなどによるものです。
① 仕入の状況
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
② 成約の状況
成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
③ 販売の状況
当期において、北米鋼管事業における販売価格及び数量の増加並びに資源価格の上昇等により、前期と比較して収益が大幅に増加しております。上記「(2) 業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。
以下は、連結包括利益計算書における主要な項目についての説明であります。
収益
当社では、収益を、商品販売に係る収益とサービス及びその他の販売に係る収益に区分して表示しております。
商品販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。
・卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売
・不動産の開発販売
・長期請負工事契約に係る収益
サービス及びその他の販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。
・ソフトウェアの開発に関連するサービス
・賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース
売上総利益
売上総利益は、以下により構成されております。
・当社が主たる契約当事者として関与する取引における総利益
・当社が代理人等として関与する取引における手数料
収益が総額で計上される場合、販売に直接寄与する第三者への費用または手数料は、商品販売に係る原価として計上され、売上総利益は、収益の総額から販売に係る原価を差引いた金額となります。当社はサービス及びその他の販売に係る収益の一部として手数料を計上しますが、この手数料は純額表示されるため、結果としてサービス及びその他の販売が売上総利益に占める比率は、収益合計に占める比率よりも大きくなっております。当期、サービス及びその他の販売が収益合計に占める比率は8.5%ですが、売上総利益に占める比率は22.3%となっております。
固定資産評価損益
棚卸資産、繰延税金資産及び生物資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積った上で、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を認識しております。また、減損損失の戻し入れを行った場合は当該戻し入れ金額も含めております。
固定資産売却損益
当社は、資産のポートフォリオの戦略的かつ積極的な入替えを図っております。その結果、不動産の含み益を実現するために売却する場合や、価格の下落した不動産を売却する場合、売却損益を計上することになります。
受取配当金
受取配当金には、当社の子会社及び持分法適用会社以外で、当社が株式を保有している会社からの配当金が計上されております。
有価証券損益
当社は事業活動の一環として相応の規模の投資を行っております。これらの投資対象のうち、公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融資産(以下、FVTPLの金融資産)は公正価値で当初認識しております。当初認識後は公正価値の変動を当期利益で認識しております。また、償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、帳簿価額の変動について、必要な場合には減損損失を認識しております。償却原価で測定される金融資産並びに子会社及び持分法適用会社への投資等を売却する際に、売却損益を認識しております。
持分法による投資損益
投資戦略やビジネスチャンスの拡大に関連して、当社は、各セグメントで状況に応じ、新規または既存の会社の買収や出資、他の企業とのジョイント・ベンチャーの結成、または同業他社とのビジネス・アライアンスの組成を行っております。一般的に、当社は、出資比率が20%以上50%以下である会社の投資に対し、その持分利益や損失を計上しております。
FVTOCIの金融資産
公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融資産(以下、FVTOCIの金融資産)は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益で認識しております。
確定給付制度の再測定
当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識しております。
在外営業活動体の換算差額
在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中平均レートを用いて日本円に換算しており、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。当社のIFRS移行日以降、当該差額はその他の資本の構成要素である「在外営業活動体の換算差額」として表示しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
デリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、その他の包括利益で認識しております。
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の資産・負債の計上や偶発資産及び偶発債務の開示、並びに期中の収益費用の適正な計上を行うため、マネジメントによる見積りや前提が必要とされます。当社は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。資産・負債及び収益費用を計上する上で客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りが当社における判断の基礎となっております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。以下、当社の財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針につき説明します。なお、当社の主な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」を参照願います。
金融資産の減損
当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。
当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けである Sumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。
公正価値で測定する金融資産
当社は、有価証券やその他の投資等の金融資産を保有しており、FVTOCIの金融資産と、FVTPLの金融資産とに分類しております。当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない金融資産をFVTOCIの金融資産として分類し、公正価値の変動を獲得するために保有し、業績評価指標としている金融資産をFVTPLの金融資産として分類しております。当該金融資産の公正価値は、市場価格、割引将来キャッシュ・フローや純資産に基づく評価モデル等の評価方法により算定しております。
非流動資産の回収可能性
当社は、様々な非流動資産を保有しており、持分法で会計処理されている投資や無形資産などの非流動資産について、帳簿価額の回収可能性を損なうと考えられる企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損テストを行っております。実際に減損の兆候があるかどうかの判定に際しては、様々な見積りや前提が必要となります。例えば、キャッシュ・フローが直接的に減損の懸念がある資産に関係して発生しているのかどうか、資産の残存耐用年数がキャッシュ・フローを生み出す期間として適切かどうか、生み出すキャッシュ・フローの額が適切かどうか、及び、残存価額が適切かどうか、などを考慮しなければなりません。また、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、更に減損の発生が予測される場合は、その都度、減損テストを実施しております。減損テスト時には、資産の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。当社では、過去の経験や社内の事業計画、及び適切な割引率を基礎として将来キャッシュ・フローを見積っております。これらの見積りは、事業戦略の変更や、市場環境の変化により、重要な影響を受ける可能性があります。なお、非流動資産の回収可能性に関連する会計上の見積りのうち、重要なものは以下になります。詳細については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 11 持分法適用会社に対する投資、注記 13 無形資産」を参照願います。
AMBATOVY MINERALS S.A. 及びDYNATEC MADAGASCAR S.A. (以下、プロジェクト会社)の固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識いたします。プロジェクト会社における固定資産の回収可能価額を算定する場合は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用されます。固定資産の減損の兆候に関する判断及び回収可能価額の見積りには、プロジェクト会社の生産状況、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の中・長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率といった重要な仮定が使用されます。
欧米州青果事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、複数の資金生成単位グループに分けて実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、バナナ&パイン事業における販売数量・マージン・割引率等であります。
北欧駐車場事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、事業全体を一つの資金生成単位グループとして実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値の見積りにおいては、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、将来の時間貸し駐車場収益、割引率等であります。
繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産の全部または一部について、回収が不確実となった場合に、マネジメントの判断により、減額しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、繰延税金資産計上の根拠となっている将来の一時差異の解消が見込まれる期間内、または、繰越欠損金の繰越可能期間内に、納税地において将来十分な課税所得を生み出せるかどうかを評価しなければなりません。当社では、有利・不利に関わらず、入手可能なすべての根拠・確証を用いてこの評価を実施しております。繰延税金資産の評価は、見積りと判断に基づいております。納税地での将来の課税所得に影響を与える当社の収益力に変化があった場合、現状の繰延税金資産の回収可能性の評価も変わる場合があります。
引当金の測定
引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。
確定給付債務の測定
確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。
当期末の資産合計は、10兆1,063億円となり、前期末の9兆5,822億円に比べ、5,241億円の増加となりました。これは円安の影響による増加に加え、営業資産や持分法投資が増加したことなどによるものです。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、3兆7,795億円となり、前期末の3兆1,978億円に比べ、5,817億円の増加となりました。これは配当金の支払い及び自己株式を取得した一方、円安の影響による増加に加え、親会社の所有者に帰属する当期利益を認識したことなどによるものです。
現預金ネット後の有利子負債(注1)は、2兆4,844億円となり、前期末の2兆2,737億円に比べ、2,107億円の増加となりました。
これらの結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(有利子負債(ネット)/親会社の所有者に帰属する持分合計)は、0.7倍となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金が増加した一方で、コアビジネスが着実に資金を創出し、基礎収益キャッシュ・フロー(注2)が5,093億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で2,328億円のキャッシュ・インとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、国内不動産案件の売却やボリビア銀・亜鉛・鉛事業の売却、及び北海油田英領事業の売却などの資産入替による回収があった一方で、国内外不動産案件の取得や住友精密工業に対する公開買付けの実施などの投融資を行ったことなどから、915億円のキャッシュ・アウトとなりました。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、1,413億円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入を実施した一方、配当金の支払や自己株式の取得、及びリース負債の支出などにより、2,505億円のキャッシュ・アウトとなりました。
以上に加え、為替変動による影響などを加味した結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、6,569億円となり、前期末の7,338億円に比べ、770億円の減少となりました。
(注1) 有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計(リース負債は含まれておりません)
(注2) 基礎収益キャッシュ・フロー=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法投資先からの配当
当社の財務運営は財務健全性の維持・向上を基本方針とし、低利かつ中長期にわたり、安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性の保持を図ることとしております。当社グループ内での資金管理については、グループファイナンスを整備し、資金調達を当社及び金融子会社、海外現地法人に集中した上で、キャッシュ・マネジメント・システムを通じて、当社グループ内で資金を効率的に活用する体制を整えております。
当社は総額3兆1,521億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期比777億円増加の3,414億円で、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)2,489億円、コマーシャルペーパー925億円となっております。
一年以内に期限の到来する社債及び長期借入金3,440億円を含めた当期の社債及び長期借入金は、前期比530億円増加の2兆8,107億円となっております。このうち、銀行及び保険会社からの長期借入残高は、前期比490億円増加の2兆3,176億円、社債残高は前期比41億円増加の4,931億円となっております。
当社の銀行からの借入の多くは、日本の商慣行上の規定に基づいております。当社は、このような規定が当社の営業活動や財務活動の柔軟性を制限しないと確信しておりますが、いくつかの借入契約においては、財務比率や純資産の最低比率の維持が求められております。さらに、主に政府系金融機関との契約においては、当社が増資や社債の発行等により資金を調達した際に、当該金融機関から、当該借入金の期限前返済を求められる可能性があり、また、一部の契約では当社の剰余金の配当等について当該金融機関の事前承認を請求される可能性があります。当社は、このような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。
詳細は、「3 事業等のリスク (3) タイプ別リスク ⑬ 資金の流動性に関するリスク」を参照願います。
資金調達については、各金融機関との良好な関係に基づく銀行借入等の間接金融を中心に、コマーシャルペーパーや社債等の直接金融との適切なバランスに留意し、調達期間の長期化を通じた償還期日の分散等による安定的な調達構造を構築しております。外貨建ての資金調達については、銀行借入や外貨建て社債発行、通貨スワップの他、金融子会社、海外現地法人におけるコマーシャルペーパー、ユーロMTN等の活用によって資金調達ソースの多様化に取り組んでおります。また、2022年3月にグリーンファイナンス・フレームワークを策定し、本フレームワークに基づき同年5月にグリーンボンド200億円を発行しております。
なお、当社は、資本市場での直接調達を目的として、以下の資金調達プログラムを設定しており、当期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1(見通し安定的)/P-2、スタンダード&プアーズで BBB+(見通しポジティブ)/A-2、格付投資情報センターでA+(見通しポジティブ)/a-1となっております。
(スタンダード&プアーズについては、提出日現在、 A-(見通し安定的)/A-2となっております。)
・3,000億円の国内及び海外公募普通社債発行登録枠
・国内における5,000億円のコマーシャルペーパー発行枠
・米州住友商事により設定された、1,500百万米ドルのコマーシャルペーパープログラム
・当社、英国のSumitomo Corporation Capital Europe(以下、「SCCE」という。)、米州住友商事及びシンガポールのSumitomo Corporation Capital Asiaが共同で設定した3,000百万米ドルのユーロMTNプログラム
・SCCEが設定した1,500百万米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム
保有流動性については、金融市場の混乱等、複数の有事シナリオを想定し、当期末時点で現預金と国内外の主要な金融機関との総額1,210百万米ドル、及び2,850億円を上限とする以下の長期コミットメントラインを中心に、当社及び当社子会社における資金需要や1年内に期日が到来する借入や社債の償還資金等を補完する十分な流動性を確保しております。なお、当有価証券報告書の提出日までに、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。
・米国及び欧州の大手銀行によるシンジケート団との間で締結した、1,060百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ建)/マルチ・ボロワー(住友商事及び英国、米国、シンガポールにおける当社子会社への融資)型長期コミットメントライン
・大手米銀との間に締結した、米州住友商事への100百万米ドルの長期コミットメントライン
・大手欧銀との間に締結した、SCCEへの50百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ・ポンド建)型長期コミットメントライン
・大手邦銀のシンジケート団による1,500億円の長期コミットメントライン(内、790億円はマルチ・カレンシー型)
・有力地方銀行のシンジケート団による1,350億円の長期コミットメントライン
資金調達の内訳
当期末時点での当社の期限別の支払債務は、以下のとおりであります。
期限別内訳
当社は、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末における契約残高は、8,757億円です。
当期末時点では、資本的支出に対する重要な契約はありません。
上述の契約に加えて、当社のビジネスに関連して、当社は、顧客の債務に対する保証などの様々な偶発債務を負っています。また、当社は、訴訟による偶発債務の影響を受ける可能性があります。これらの偶発債務に関する詳細は、「(10) 偶発債務」及び「(11) 訴訟等」を参照願います。当社は、現状においては、それらの偶発債務がもたらす資金需要が重大なものとはならないと判断しておりますが、仮に予想に反して、当社が保証を行っている債務に重大な不履行が生じた場合、また、訴訟の結果が、当社に大きく不利なものであった場合には、新たに、大きな資金調達が必要となる可能性があります。
当社は、主に、ワーキング・キャピタル、新規や既存ビジネスへの投資や債務の返済のために、将来にわたり継続的な資金調達を行う必要があります。当社は、成長戦略として買収、株式取得または貸付による投資を行っており、当期は、有形固定資産及び投資不動産の取得に1,146億円、また、その他の投資の取得に1,317億円の投資を行いました。当社は、現在、全てのセグメントにおいて、既存のコア・ビジネス及び周辺分野を中心に追加投資を検討しております。
しかしながら、これらの投資は、現在、予備調査段階のものや、今後の様々な条件により、その実施が左右されるものであり、結果的に実現されない可能性もあります。また当社は、手許の現金、現在の借入枠や営業活動によるキャッシュ・インで当面必要とされる資金需要を十分に満たせると考えておりますが、それは保証されている訳ではありません。当社の営業活動によるキャッシュ・インが想定より少なかった場合、当社は、追加借入の実施、他の資金調達手段の検討、または投資計画の修正を行う可能性があります。
当社の取引に関連して、顧客の債務に対する保証履行のような偶発債務を負うことがあります。当社は、世界各国のサプライヤーや顧客と多種多様な営業活動を行うことにより、営業債権及び保証等に係る信用リスクを分散させており、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。
当社の当期末における保証に対する偶発債務の残高(最長期限2048年)は1,572億円で、このうち持分法適用会社の債務に対する保証が759億円、第三者の債務に対する保証が813億円です。これらの保証は主に持分法適用会社、サプライヤー、及び顧客の信用を補完するために行っているものであります。
当社は、事業遂行上偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受けておりますが、当社の経営上、重要な影響を及ぼすものはありません。
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設または改訂は次のとおりであり、2023年3月31日現在において当社はこれらを適用しておりません。適用による当社への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。
当社のビジネスは、金利、外国為替レート、商品価格、株価の変動リスクを伴い、これらのリスクマネジメントを行うため、為替予約取引、通貨スワップ・オプション取引、金利スワップ・先物・オプション取引、商品先物・先渡・スワップ・オプション取引等のデリバティブを利用しております。また、後述のリスク管理体制の下、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。
金利変動リスク
当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。コーポレート部門の財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署では、当社のビジネスに伴う金利変動リスクをモニタリングしております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社の借入金には変動金利で借り入れているものがあり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためです。
しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。また、当社は、金利変動リスクをミニマイズするために資産・負債の金利を調整・マッチングさせるよう、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用しております。
為替変動リスク
当社は、グローバルなビジネス活動を行っており、各拠点の外貨建による売買取引、ファイナンス及び投資によって、為替変動リスクに晒されている場合があります。これらのうち、永続性の高い投資等を除いた取引については、為替変動リスクを軽減するために、各拠点において外貨借入・外貨預金等に加えて、第三者との間で、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引等のデリバティブ取引を必要に応じ行っております。
商品市況変動リスク
当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、及び農産物等の現物取引、並びに鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。
株価変動リスク
当社は、戦略的な目的で金融機関や顧客・サプライヤーが発行する株式等への投資を行っておりますが、これらの株式投資には株価変動リスクが伴います。これらの株式投資に関しては、継続的なヘッジ手段を講じておりません。当社が保有する市場性のある株式の当期末における公正価値は、2,256億円であります。
リスク管理体制
デリバティブや市場リスクを伴う取引を行う営業部は、取引規模に応じてマネジメントの承認を事前に取得しなければなりません。マネジメントは、場合によってはデリバティブについて専門的知識を有するスタッフのサポートを得て、案件の要否を判断し、当該申請における、取引の目的、利用市場、取引相手先、与信限度、取引限度、損失限度を明確にします。
財務・経理・リスクマネジメント担当役員が管掌する部署は、取引の実施・モニタリングに際して、以下の機能を提供しております。
・金融商品及び市況商品のデリバティブに関する口座開設、取引確認、代金決済と引渡し、帳簿記録の保管等のバックオフィス業務
・ポジション残高の照合
・ポジションのモニタリングと全社ベースでの関連取引のリスク分析・計測、シニアマネジメントへの定期的な報告
当社の子会社が市況商品取引を行う際には、上記のリスク管理体制に沿うことを要求しております。
特記事項はありません。
特記事項はありません。