第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
また、以下の見出しに付された項目番号は、前連結会計年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4. 事業等のリスク」の項目番号に対応したものであり、文中の下線部分が変更箇所です。

 

①  世界マクロ経済環境の変化によるリスク

当社はグローバルにビジネスを展開しており、当社の業績も、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受けます。
例えば、エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合には、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が大きな影響を受けることとなります。更に、世界景気の冷え込みは、プラント、建設機械用部品、自動車、鉄鋼製品、鉄鋼原料、化学品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることとなります。
また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広範な自動車事業を展開していますが、自動車の販売台数はこれらの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与えることになります。

当第3四半期連結累計期間の世界経済は、中国経済の先行き懸念や、英国の欧州連合離脱決議及び交渉の先行き不透明感、中東などの地政学的リスクの高まりなどから、金融市場のボラティリティが上昇しました。新興国では、投資や輸出の伸び悩みに国内の構造問題も加わり、中国、ブラジルなどの主要国でも成長速度の減速が見られました。

 

②  市場リスク

a.商品市況リスク

(エネルギー資源)

当社は豪州、マレーシア、ブルネイ、サハリン、インドネシア、米国・メキシコ湾、ガボン、アンゴラなどにおいて、LNGや原油の上流権益あるいはLNG液化設備を保有しており、LNGや原油の価格変動はそれらの事業の業績に大きな影響を与えます。

原油価格(Brent)は、4月の30米ドル台後半から米国シェールオイルの減産傾向などにより、6月上旬には50米ドル台まで上昇、その後OPECに対する減産期待とその剥落の間で揺れ概ね40米ドル-50米ドル前半で推移しました。10-12月期に入り一時40米ドル台に下落も、11月30日のOPEC総会の減産合意で50米ドル台に回復、また、12月10日にロシアを中心の一部非OPEC産油国による協調減産表明もあり、年末にかけて概ね50米ドル中盤で推移しました。市場では依然としてOPEC減産合意がどこまで遵守されるか不透明との見方があり、また、原油価格(Brent)50米ドル台での米国シェールオイルの生産動向、米国の利上げ等による金融ファクターが及ぼす影響も計り知れず、依然として先行きが不透明な原油価格の動向には注視する必要があります。

LNGの価格は基本的に原油価格にリンクしており、1バーレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益で主に持分法による投資損益を通じてLNG・原油合わせて年間20億円の変動をもたらすと試算されます。ただし、LNGや原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。

 

⑤  事業投資リスク

当社は、株式・持分を取得して当該企業の経営に参画し、商権の拡大やキャピタル・ゲイン獲得などを目指す事業投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。事業投資リスクの管理については、新規の事業投資を行う場合には、投資の意義・目的を明確にした上で、投資のリスクを定量的に把握し、事業特性を踏まえて決定した投下資金に対する利回りが、最低期待収益率を上回っているか否かを評価し、選別を行っています。投資実行後は、事業投資先ごとに、毎年定期的に「経営計画書」を策定しており、投資目的の確実な達成のための管理を行う一方、計画した利益を上げていない先については、持分売却・清算による撤退を含め、保有方針を明確にすることで、効率的な資産の入替を行っています。

しかしながら、このような投資評価の段階での案件の選別、投資実行後の管理を厳格に行っていますが、期待する利益が上がらないというリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 

⑥  重要な投資案件に関するリスク

当社は、三菱自動車工業の要請に応じて、平成16年6月から平成18年1月までに合計1,400億円の普通株式・優先株式を引き受けました。当社が保有する同社優先株式は、平成25年11月6日に同社が発表した資本再構築プランに基づき、平成26年3月5日に優先株式の一部を匿名組合に現物出資し、残りの優先株式を全て普通株式に転換しました。当社は、日産自動車株式会社による同社からの第三者割当増資引き受け(平成28年10月20日に実行済み)に向けて、平成28年7月6日付にて匿名組合契約を解除合意し、現物出資していた同社株式の返還を受けています。なお、返還を受けた株式は当社が公表しているリスクエクスポージャーの内数であり、株式の返還がリスクエクスポージャーに与える影響はありません。

また当社は、同社とともに、主に海外での販売会社及び関連するバリューチェーン分野での事業展開をしています。当社の同社本体に対するリスクエクスポージャーは当第3四半期連結会計期間末で約1,000億円となっており、同社関連事業への出資、融資や営業債権などのリスクエクスポージャーは当第3四半期連結会計期間末で約2,200億円(内、販売金融事業に関するリスクエクスポージャーは約1,100億円)となっています。これら同社本体へのリスクエクスポージャーと関連事業へのリスクエクスポージャーの合計は当第3四半期連結会計期間末で約3,200億円となっています。

(後半部分を削除) 

 

2 【経営上の重要な契約等】

特に記載すべき事項はありません。

 

3 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(以下「四半期純利益」は「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています。)

(1) 業績

当第3四半期連結累計期間の経済環境としては、米国では個人消費が牽引し、堅調な成長が続いたほか、資源価格の回復もあり、一部の新興国では景気の底打ちが見られました。また、米国新政権の政策全般はまだ不透明ながら、拡張的な経済政策に対する期待感から、国際金融市場が活況を呈しました。わが国の経済は、外需主導で緩やかな成長を続けました。

このような環境の下、当第3四半期連結累計期間の収益は、市況悪化に伴う価格の下落や販売数量の減少などにより、前第3四半期連結累計期間を7,271億円(13%)下回る4兆6,890億円となりました。

売上総利益は、一部連結子会社の連結区分の変更があったものの、主に豪州石炭事業における生産コスト改善に加え市況上昇が大きく寄与したことなどにより、前第3四半期連結累計期間を1,180億円(14%)上回る9,648億円となりました。

販売費及び一般管理費は、一部連結子会社の連結区分の変更及び為替の影響などにより、前第3四半期連結累計期間から673億円(9%)負担減の6,852億円となりました。

有価証券損益は、関係会社の経営統合に伴う一過性利益や前年同期に計上した減損の反動などにより、前第3四半期連結累計期間を449億円上回る638億円となりました。

持分法による投資損益は、エネルギー市況悪化などにより、前第3四半期連結累計期間を336億円(26%)下回る964億円となりました。

この結果、税引前利益は、前第3四半期連結累計期間を2,289億円(75%)上回る5,332億円となりました。

以上により、四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間を1,315億円(55%)上回る3,715億円となりました。

 

事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。

a.地球環境・インフラ事業グループ

地球環境・インフラ事業グループは、電力、水、交通や、その他産業基盤となる環境・インフラ分野における事業及び関連する取引などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は233億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して112億円の減少となりました。これは、前年同期の北海油田の生産事業向け融資・保証案件における債務保証損失引当金の振り戻し益の反動などにより減益となったものです。

 

b.新産業金融事業グループ

新産業金融事業グループは、企業投資、リース、不動産、物流などの分野において、投資及び運用事業を行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は223億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して72億円の減少となりました。これは、航空機関連事業における持分利益の減少及び前年同期のファンド評価益の反動などにより減益となったものです。

 

c.エネルギー事業グループ

エネルギー事業グループは、石油・ガスの探鉱・開発・生産事業や、天然ガス液化プロジェクトへの投資、原油・石油製品・炭素製品・LNG・LPGなどの販売取引、新規エネルギー事業の企画開発などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は587億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して90億円の増加となりました。これは、市況悪化に伴う投資先からの受取配当金や持分利益・取引利益の減少があった一方で、シェールガス事業再編に伴う一過性利益164億円を「その他損益―純額」等に計上したこと及びアジアE&P事業における株式売却益により増益となったものです。

 

d.金属グループ

金属グループは、薄板・厚板などの鉄鋼製品、石炭・鉄鉱石などの鉄鋼原料、銅・アルミなどの非鉄金属原料・製品の分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は1,303億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して1,536億円の増加となりました。これは、豪州石炭事業における生産コスト改善に加え、市況上昇が大きく寄与したことに伴う持分利益の増加、資源関連投資先(非鉄金属)からの受取配当金の増加、ニッケル関連プロジェクト撤退による一過性利益などにより増益となったものです。

 

e.機械グループ

機械グループは、工作機械、農業機械、建設機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器、自動車などの幅広い分野において、販売、金融、物流、投資などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は208億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して377億円の減少となりました。これは、船舶事業における減損損失などにより減益となったものです。

 

f.化学品グループ

化学品グループは、原油、天然ガス、鉱物、植物、海洋資源などより生産されるエチレン、メタノール、塩といった基礎原料から、プラスチック、電子材料、食品素材、肥料や医農薬などの川下・川中製品まで、幅広い化学品の分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は235億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して71億円の減少となりました。これは、市況悪化及び円高に伴う石化関連事業などにおける持分利益の減少などにより減益となったものです。

 

g.生活産業グループ

生活産業グループは、食料、繊維、日用品、ヘルスケア、流通、小売など、人々の生活に身近な分野で、原料の調達から、消費市場に至るまでの幅広い領域において、商品・サービスの提供、事業開発、投資などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は850億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して310億円の増加となりました。これは、鮭鱒養殖事業における市況回復などによる利益の増加、食肉事業の関係会社の経営統合に伴う一過性利益などにより増益となったものです。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ817億円減少し、1兆4,193億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、営業活動により資金は3,843億円増加しました。これは、法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。

なお、前第3四半期連結累計期間と比較して474億円の減少となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、投資活動により資金は244億円減少しました。これは、貸付金の回収及び保有株式の売却があったものの、資源事業の更新投資や不動産事業への支出などにより資金が減少したものです。

なお、前第3四半期連結累計期間と比較して5,125億円の増加となりました。

 

以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは3,599億円の資金増加となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、財務活動により資金は4,918億円減少しました。これは、劣後特約付社債(ハイブリッド社債)などによる調達があったものの、借入金の返済や社債の償還、親会社における配当金の支払いなどにより、資金が減少したものです。

なお、前第3四半期連結累計期間と比較して3,436億円の減少となりました。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

a. 中期経営戦略2018 ~新たな事業経営モデルへの挑戦~

当社は、当連結会計年度から始まる3ヵ年の新しい経営の指針として、「中期経営戦略2018~新たな事業経営モデルへの挑戦~」を策定しました。
世界経済の成長鈍化・商品市況の変動・地政学リスクの高まりといった環境変化に加え、第4次産業革命ともいうべきAIやIoTなどの技術革新がもたらす産業の大きな変化を踏まえて、持続的に事業価値を創出する為に目指すべき企業像と、向こう3ヵ年の経営方針をまとめました。

 

■目指す企業像

当社は、創意工夫により新たなビジネスモデルを構築し、自らの意思で社会に役立つ事業価値を追求していくことで、経営能力の高い人材が育つ会社を目指します。

幾多の事業を通して、高い倫理観・変化への想定力・困難を乗り越える実行力を持つ人材を育て、そうした人材が更なるビジネスイノベーションを起こす事で会社を発展させる、まさに人の成長と会社の発展が一体となって、進化していける会社を築いていきます。

 

■向こう3ヵ年の経営方針

「資源」と「非資源」のバランスの見直し

資源分野については、原料炭・銅・天然ガスへ経営資源を集中し、投融資残高を一定に保ちつつ、積極的な資産入替による質の向上を図ります。
非資源分野では、資産の入替を進めつつ、当社が主体的に強みを発揮できる分野に投資を集中し、投融資残高を増加させることにより、ポートフォリオの構成を見直します。

 

キャッシュ・フロー重視の経営

向こう3ヵ年は、キャッシュ創出額の範囲内で、成長投資と株主還元を実行していきます。

 

「事業投資」から「事業経営」へのシフト

事業に「投資」するだけではなく、事業の中に入り当社の強みや機能を提供することで投資先の成長に貢献する「事業経営」を強化し、次世代の事業基盤を構築していきます。

 

「事業のライフサイクル」を踏まえた入替の加速

環境の変化などによって、事業には常にライフサイクルが存在していることを念頭に、主体的機能の発揮という観点からも事業の位置付けを見直し、入替を促進します。

 

■定量目標と株主還元

中長期の定量目標

非資源分野の更なる成長と、資源分野での積極的な資産入替により、2020年頃にROE 2桁の実現を目指します。

 

株主還元

向こう3ヵ年については、持続的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を基本方針とします。増配額は柔軟に決定していきます。

 

b. 個別重要案件

「三菱自動車工業への取組」に関する変更については、1[事業等のリスク]の「⑥重要な投資案件に関するリスク」に記載のとおりです。

 

(4) 研究開発活動

特に記載すべき事項はありません。

 

(5) 流動性と資金の源泉

当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争的なものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続すると共に、十分な流動性の確保を行っていく方針です。

当第3四半期連結会計期間末の連結ベースでのグロス有利子負債残高は、前連結会計年度末比4,169億円減少の5兆6,257億円となり、このうち86.9%が長期資金となっています。有利子負債の内、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。また、現預金の残高は、前連結会計年度末比510億円減少の1兆6,761億円となっています。当第3四半期連結会計期間末の流動比率は連結ベースで146.8%となっており、流動性の点で財務健全性は高いと考えています。

 

(注意事項)

当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結会計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。