三菱商事は、2018年11月に2019年度から始まる3ヵ年の新しい経営の指針として、「中期経営戦略2021」を策定しました。
米国と中国の覇権を巡る対立等による地政学的力学の変化に加え、デジタル技術の進化やプラットフォーマーの台頭による“第4次産業革命”ともいえるビジネスモデル変革の潮流を踏まえて、持続的な事業成長を目指すための、経営方針となります。
「事業ポートフォリオ」「成長メカニズム」「人事制度改革」「定量目標・資本政策」の4項目から構成される新たな中期経営計画により、事業経営モデルによる三価値同時実現※を前提とした成長を実現します。
※事業を通じた「経済価値」・「社会価値」・「環境価値」の同時実現
■事業ポートフォリオ
全産業を俯瞰し、外部環境の変化も踏まえ、次に攻めるべき分野や入替えを進める分野を全社で検討するため、事業ポートフォリオの枠組みを導入します。
事業ポートフォリオの最適化に向けては、三菱商事独自の多次元の軸で考察します。定量面からは勿論のこと、地域の観点、業界におけるプレゼンスの観点、事業経営レベルの観点から、常にあるべき形を検討していく仕組みを整えます。
■成長メカニズム
「成長の芽」を発掘し、これを「成長の柱」へ育て、事業価値を向上し「収益の柱」へと成長させていく。そして三菱商事による事業価値向上にどうしても限界が生じる場合は、入替えも含め抜本的に見直す。
三菱商事に内在するこの一連のサイクルを、事業ポートフォリオの観点も加えながら、従来以上に徹底して運用していきます。
そのためにも、経営企画部に「事業構想室」を、各営業グループに「グループ事業構想担当」を設置し「成長の芽の発掘」「成長の柱の構築」を積極的に進める体制を執ります。また、新たにチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を任命し、その管下に「デジタル戦略部」を組成、各営業グループにも「グループデジタル戦略担当」を設置することで、急激に進む産業のデジタル化の動きに対応していくこととします。
■人事制度改革
「多様な経験を通じた早期育成」「実力主義と適材適所の徹底」「経営人材の全社的活用」を軸とした人事制度改革を実施します。具体的には、柔軟な人材の配置・活用、成果主義の徹底、株式報酬の導入、複眼的な評価の仕組みの強化を通して、分野を超えて活躍できる経営力の高い人材を継続的に輩出し、社員の成長と会社の発展が一体となることを目指します。
■定量目標・資本政策
事業系の持続的な成長と市況系の競争力強化により、2021年度に連結純利益9,000億円を目指すと共に、二桁ROEの更なる向上を目指します。
投資・売却計画は、リスクアセットベースで事業系7割以上を維持し、事業系・市況系の最適バランスを堅持する様に投資配分を決定していきます。
配当は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、配当性向を現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。
2019年度は、世界経済の減速に、新型コロナウイルス感染急拡大の影響が加わる厳しい事業環境の中で、資産入替や、顧客基盤に繋がる「川下」領域、IT・物流等の「サービス」分野での取組を着実に進めました。

(新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)
2020年6月時点では、新型コロナウイルスの感染収束の目途がたたない状況が続いていますが、現段階での営業グループの各事業に対する主な影響は次のとおりとなっています。

当連結会計年度は、北米シェール事業における一過性損失や、LNG関連事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
2019年の世界のLNG需要は前年比41百万トン増の3.5億トンと過去最高を更新しました。特に世界第2位の輸入国である中国にて需要が8百万トン増加すると共に、供給面でも米国の新規LNGが前年比13百万トン増加しています。
なお、原油価格(Dubai)は新型コロナウイルスの感染拡大による需要減やOPEC+の増産などから1バレル当たり20ドル前半まで下落しました。
LNGは、短期的には新型コロナウイルスの影響により需要が低下しているものの、長期的にはエネルギー需要増や環境面での優位性などを背景に需要増が見込まれており、成長が見込まれる事業領域と考えています。なお、当グループの業績には原油価格が少なからぬ影響を与えますが、原油価格の変動が当グループの業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。
当連結会計年度は、主に鉄鋼製品事業における持分利益や炭素事業における取引利益の減少などにより前連結会計年度と比較して減益となりました。
鉄鋼製品事業において事業再編益の一過性利益を計上した一方、当グループの主要対面業界である自動車・モビリティ、建設・インフラ分野の事業環境の悪化に起因した取扱い製品の販売価格・販売数量の減少に加え、第4四半期連結会計期間においては新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少を受け、当期純利益は減益となりました。
当グループの取り巻く環境としては、新興国の経済成長が世界経済を牽引し、素材関連の需要や市況は底堅く推移していく見通しです。中長期的には、素材ニーズの多様化により見込まれる事業機会がある一方、競争が厳しさを増す業界環境において、当社が対面業界の課題解決において貢献できる役割を再確認し、強みや機能を発揮できる事業への集中を進めていきます。現在、新型コロナウイルス感染症の影響により鉄鋼製品等の需要は減少しているものの、産業の基礎素材である為、経済活動の回復に伴い、需要も回復する見込みです。
当連結会計年度は、シンガポール連結子会社において元現地社員が社内規程に違反して行った原油デリバティブ取引関連損失や石油化学事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度と比較して大幅な減益となりました。
原油価格(Dubai)は、主要産油国による協調減産や中東情勢の不安定化を受けて、1バレル当たり50-60ドル台で推移しましたが、当連結会計年度末には、協調減産合意の決裂、新型コロナウイルス感染症対策に起因した需要減退懸念等を受け、20ドル台まで下落しました。化学品市況は、プラント新増設による需給バランスの悪化や米中貿易摩擦の影響を受け、全般的に低迷した推移となりました。
新型コロナウイルス感染症対策に起因する需要の減少や産油国を取り巻く環境の変化といった、先行き不透明な状況が当面続くものと予想されます。中長期的には、低炭素社会への移行や循環型社会の実現の重要性がますます増大する中、新型コロナウイルス感染拡大を背景とした生活様式の変化による市場構造の変化も見据え、中核事業の強化と共に、石油・化学の総合力を活かした新規事業に取り組んでまいります。
当連結会計年度は、チリ銅事業再編に伴う一過性利益や前連結会計年度に計上したチリ鉄鉱石事業における減損損失の反動があった一方、豪州原料炭事業における事業収益の減少や海外製錬事業における減損損失などにより前連結会計年度と比較して減益となりました。
当グループの中核事業の1つであり、鉄鋼の原料となる原料炭については、堅調に供給が推移した一方、中国の港湾で通関プロセスが一時厳格化されたことや、インド経済の減速、欧州の製鉄会社各社での減産を受け需要が低迷したことなどから、前連結会計年度に比べ市況は下落しました。
また、もう1つの主力事業である銅に関しても、貿易摩擦を発端とした米中対立の激化や中国の経済成長率の減速、欧州の景気低迷などにより価格は低調に推移しました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、金属資源・製品の需要は低迷している一方、一部鉱山における操業停止や生産性の低下等による供給への懸念もあり、需給バランスは当面不透明な状況が続く見通しですが、新型コロナウイルスの感染収束に伴い、需要・価格ともに回復し、鉱山操業も正常化に向かうことが見込まれます。
中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長により、金属資源・非鉄製品の需要・市況は堅調に推移していく見通しです。
当連結会計年度は、船舶事業における一過性利益の反動減がありましたが、千代田化工建設株式会社の子会社化に伴い計上した一過性評価益や建機レンタル事業好調により前連結会計年度と比較し大幅な増益となりました。
プラントエンジニアリング事業は千代田化工建設再生支援への取組み及び同社子会社化に伴い計上した評価益、国内レンタル事業は建機レンタル需要の着実な取込み、産業設備事業は国内工作機械販売堅調、エレベーター事業はアセアン各国での安定的な保守収益確保など、各事業総じて順調に推移しました。
翌連結会計年度以降は、新型コロナウイルスの感染拡大及び油価動向の見通しは難しい状況にあり、短期的には各事業への影響は避けられない見込みです。
一方、中長期的には、プラントエンジニアリング事業では、マクロなエネルギー需要の拡大に伴い、新規プラント需要は着実に見込めると認識しています。産業機械事業では、建設工事・各種生産設備・不動産関連設備などの需要で中長期的には成長を見込んでいます。船舶事業において、一般商船分野では、環境規制の強化に伴う老齢船の撤退による需給バランスの改善が見込め、ガス船分野では、世界的なLNG需要の増加に伴い、ガス船需要は底堅い見通しです。
当連結会計年度は、三菱自動車工業株式会社に対する投資の減損損失及び持分利益の減少や、アジア自動車事業における持分利益の減少などを受け、前連結会計年度と比較して大幅な減益となりました。
米中貿易摩擦を含めた景気減速・為替変動等の外部環境の影響に加え、第4四半期連結会計期間は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に自動車市場が低迷しました。当社の取り扱いは、主力のタイ・インドネシアを含む多くの国でも販売台数が前年度比で減少となりました。
既存のタイ・インドネシア事業を更に強化・拡張すると共に、アセアン・新興国を中心に更なる事業展開と一層の拡販に努めます。
加えて、CASEなどによる業界構造変化を捉え、長年培ってきた事業基盤や地域密着型の強みを活かして、モビリティ・サービス事業を推進します。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで世界的な自動車市場の低迷はしばらく続き、翌連結会計年度は厳しい市場環境を想定しています。
当連結会計年度の消費市場は、米中貿易摩擦の激化による中国・新興国経済成長の減速がみられたものの、国内・海外共に底堅く推移していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で急速に悪化しました。当連結会計年度の当グループの当期純利益は、前連結会計年度に計上した海外食品原料事業における減損損失の反動や、海外食品事業の売却関連益の影響などにより、前連結会計年度と比較して増益となりました。
翌連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、国内・海外消費市場共に景気減速・消費低迷等、先行きは極めて厳しい状況が続くと見込まれますが、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の積極的活用によるサプライチェーン全体の効率化や高度化を推進すると共に、消費者ニーズに合った商品・サービスの提供に努めることで収益の安定化に取り組んでまいります。
当連結会計年度は、国内消費市場の景況感が比較的良好に推移した一方、人手不足や人件費の高騰など、業界を取り巻く環境はますます厳しくなりました。また、インターネット通販の拡大やシェアリングエコノミーの浸透等を背景に、業態を超えた競争も激化する環境下、当グループは、消費者にとって利用価値の高い小売・流通プラットフォーム構築の実現に向けた第一歩として、2019年12月、KDDI、ロイヤリティマーケティング、ローソンの3社と、ネットとリアルを融合した新たな消費体験の創造に向けた取り組みに合意しました。当連結会計年度の当グループの当期純利益は、CVS事業における不採算店舗の閉鎖増や物流事業における倉庫売却益の反動に伴う持分利益の減少などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、消費者の生活様式の変化やニーズのますますの多様化・細分化が予想される中、常に変化する消費者ニーズを的確に捉えた価値創出に取り組んでいきます。また、食品流通を含めた中間流通事業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を通じ、業態変革を進めてまいります。
当連結会計年度は、世界的な脱化石燃料の動きの加速により、洋上風力を始めとする再生可能エネルギーの事業機会が旺盛な中、開発発電資産入れ替えに伴う利益及びオランダの総合エネルギー会社であるEneco社の子会社化に伴う再評価益など一過性損益も含めて、前連結会計年度と比較して増益となりました。
分散型発電事業や電力小売事業に於いてもデジタル・トランスフォーメーション(DX)によるビジネスモデルの変化が起きており、電力事業の取組機会が引き続き見込まれます。2020年3月にはEneco社を買収、同社を欧州におけるプラットフォームとして、川上(供給側)から川下(需要側)までのエネルギーバリューチェーン全体での価値極大化に向けた取り組みを推進してまいります。環境関連事業においては、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車などの普及や蓄電などの産業用市場への広がりも加わって、リチウムイオン電池市場は順調に拡大しており、蓄電池を用いたサービス事業も開始しました。
当連結会計年度は、日米不動産事業における物件売却益やリース事業利益の増加などにより、前連結会計年度と比較して増益となりました。
当グループの事業領域である都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラの各業界を取り巻く事業環境は、主要国における潜在成長率の低下及び中東や東アジア情勢の地政学的リスク、米中貿易摩擦に伴う景気の下振れなど一部足元の懸念要素はあったものの、米国を中心に財政面からの景気刺激策による下支え効果や、新興国の底堅い経済成長に支えられ、当グループの対面市場の景況は安定的に推移しました。
不動産関連では、アセアンを中心に中間層の人口増加等を背景に都市化が進展し、不動産市場の拡大や大規模な都市開発事業の機会が見込まれます。足元では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により売買市場の一時的な鈍化が懸念される一方、物流施設やデータセンターについては、電子商取引の拡大等を背景に需要が急増しており、持続的な市場拡大が見込まれます。
リース関連では、新興国の経済成長やリース取引の市場浸透率拡大等により、中長期では堅調な市場拡大を見込む一方で、足元の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を注視していきます。
当連結会計年度における重要な個別案件については、「2. 事業等のリスク ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)「a. 豪州原料炭及びその他の金属資源権益への投資」、「b. チリ銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資」 、「c. ペルー銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資」、「d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト」、「e. ローソンへの出資」及び「f. 欧州総合エネルギー事業への投資」を参照願います。
当社はグローバルにビジネスを展開しており、当社の業績も、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受けます。
例えば、エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合には、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が影響を受けることとなります。更に、世界景気の冷え込みは、プラント、建設機械用部品、自動車、鉄鋼製品、鉄鋼原料、化学品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることとなります。
また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広範な自動車事業を展開していますが、自動車の販売台数はこれらの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与えることになります。
当連結会計年度の経済環境は、世界経済の減速に加え、2020年に入り新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、内外経済環境に深刻な混乱が生じました。日米欧の金融緩和、新興国を含めた各国の景気刺激策により世界経済の下支えが図られていますが、感染拡大が収束に向かわず、問題が長期化した場合、内外経済の落ち込みが大幅かつ長期にわたることが懸念され、動向を注視しています。
なお、本有価証券報告書提出日現在における、新型コロナウイルス感染症が当社の営業グループの各事業、当連結会計年度のセグメント別の事業環境及び翌連結会計年度以降の見通しに与えた又は与えると見込まれる影響につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「2.中期経営戦略2021の進捗 (新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)」及び「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」をご参照ください。
以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。当期純利益への影響額は、他に記載のない限り当社の当連結会計年度の連結業績を踏まえて試算した、翌連結会計年度に対する影響額を記載しています。
当社では、商取引や資源エネルギーの権益を保有して生産物を販売すること、事業投資先の工業製品を製造・販売することなどの活動においてさまざまな商品価格変動リスクを負っています。当社の業績に大きな影響を与える商品分野として次のようなものがあげられます。
(エネルギー資源)
当社は北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業を行っており、原油・ガス価格は当社の業績に少なからぬ影響を与えます。
原油(Dubai)価格は、米中貿易摩擦が激化し世界経済減速懸念を引き起こしたことから、50米ドル/バレル台まで下落した後、9月のサウジアラビア石油精製施設へのドローン攻撃の報で一時的に急騰し、その後はOPECプラスの協調減産に伴い60米ドル/バレル程度の価格が維持されました。2020年1月初めには米イランの軍事衝突の可能性が高まり70米ドル/バレル近辺まで上昇したものの、1月末以降の新型コロナウイルスの感染拡大による需要減、及び、3月のOPECプラスの協調減産体制の崩壊とサウジアラビアを初めとする諸国による原油増産により一時20米ドル/バレル台にまで下落しました。その後も新型コロナウイルスは米国、欧州をはじめ世界的に拡大し、世界経済成長が大きく阻害される可能性が高まると共に、原油供給過多の状況下、原油価格もしばらく低迷するとみられます。
また、当社のLNG販売は長期契約が大部分を占めるものの、一部はスポット契約にて販売しています。昨年末からの暖冬の影響及び新規プロジェクト立上がりによるLNG供給量の増加等の影響でアジアのスポット価格が百万Btu(英国熱量単位)当たり4米ドル台まで落ち込んだ後、冬場の需要期を迎え7米ドル台に回復したものの、その後は暖冬の影響もあり価格を下げ、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要低下等もあり過去最低水準の2米ドル台まで落ち込みました。
LNG価格は多くが原油価格にリンクしており、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じてLNG・原油合わせて年間25億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。
(金属資源)
当社は、100%出資子会社の三菱デベロップメント社(MITSUBISHI DEVELOPMENT PTY LTD、本社:豪州ブリスベン、以下「MDP社」)を通じて、製鉄用の原料炭を販売しており、石炭価格の変動はMDP社の収益を通じて当社の業績に影響を与えます。また、MDP社の収益は、石炭価格の変動の他にも、豪ドル・米ドル・円の為替レートの変動や悪天候、労働争議等の要因にも影響を受けます。
銅についても、生産者としての価格変動リスクを負っています。1トン当たりの価格が100米ドル変動すると連結純利益で年間11~12億円の変動をもたらす(1ポンド当たりの価格が0.1米ドル変動すると当期純利益で年間24~27億円の変動をもたらす)と試算されますが、粗鉱品位、生産・操業状況、再投資計画(設備投資)等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の価格のみで単純に決定されない場合があります。
なお、生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えます。商品市況の長期的な低迷が想定される場合には、保有する「有形固定資産」や「持分法で会計処理される投資」などの減損を通じて、業績に影響を与える可能性があります。
当社は、輸出入、及び外国間などの貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っています。これらの取引では先物為替予約などによるヘッジ策を講じていますが、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。
また、海外における事業からの受取配当金や海外連結子会社・持分法適用関連会社の持分損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。当社の試算では米ドル・円のレートが1円変動すると、連結純利益に年間約25億円の変動をもたらします。
更に、当社の海外事業への投資については、円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、大口の投資については必要に応じて為替リスクのヘッジをするなどの施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
当社は、当連結会計年度末時点で、取引先や関連会社を中心に約8,500億円(時価)の市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っています。上記の価格は約500億円の評価益を含んでいますが、株式の動向次第で評価益は減少するリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
当社の当連結会計年度末時点の有利子負債総額(リース負債除く)は5兆7,601億円であり、一部を除いて変動金利となっているため、金利が上昇する局面では利息負担が増加するというリスクがあります。
しかし、この有利子負債の相当部分は金利の変動により影響を受ける営業債権・貸付金等と見合っており、金利が上昇した場合に、これらの資産から得られる収益も増加するため、金利の変動リスクは、タイムラグはあるものの、相殺されることになります。また、純粋に金利の変動リスクにさらされている部分についても、見合いの資産となっている投資有価証券や固定資産からもたらされる取引利益、配当金などの収益は景気変動と相関性が高いため、景気回復の局面において金利が上昇し支払利息が増加しても、見合いの資産から得られる収益も増加し、結果として影響が相殺される可能性が高いと考えられます。ただし、金利の上昇が急である場合には、利息負担が先行して増加し、その影響を見合いの資産からの収益増加で相殺しきれず、当社の業績は一時的にマイナスの影響を受ける可能性があります。
このような金利などの市場動向を注視し、機動的に市場リスク対応を行う体制を固めるため、当社ではALM(Asset Liability Management)委員会を設置し、資金調達政策の立案や金利変動リスクの管理を行っていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
当社は、様々な営業取引を行うことによって、売掛金、前渡金などの取引与信、融資、保証及び出資などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。また、当社は主としてヘッジ目的のためにスワップ、オプション、先物などのデリバティブ取引を行っており、デリバティブ取引の契約先に対する信用リスクを負っています。
当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに成約限度額・信用限度額を定めると同時に、社内格付制度を導入し、社内格付と与信額により定めた社内規程に基づき、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの取り付けを行っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
特に、当連結会計年度に発生した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響による急激な信用収縮や業績悪化等により、取引先の資金繰り悪化や経営破綻増加が生じた場合には当社業績に影響を及ぼすリスクがあります。
当社は、海外の会社との取引や出資において、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。
カントリーリスクについては、保険を付保するなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。また、カントリーリスクを管理するために、カントリーリスク委員会を設置し、カントリーリスク対策制度を設けています。カントリーリスク対策制度では、国ごとの信用度に基づきビジネス対象国を9つの区分に分類し、区分ごとに枠を設定するなどの手法によってリスクの積み上がりをコントロールしています。
しかしながら、上記のようなリスクヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先若しくは進行中のプロジェクト所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難です。そのような事態が発生した場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
当社は、株式・持分を取得して当該企業の経営に参画し、商権の拡大やキャピタル・ゲイン獲得などを目指す事業投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。事業投資リスクの管理については、新規の事業投資を行う場合には、投資の意義・目的を明確にした上で、投資のリスクを定量的に把握し、事業特性を踏まえて決定した投下資金に対する利回りが、期待収益率を上回っているか否かを評価し、選別を行っています。投資実行後は、事業投資先ごとに、毎年定期的に「経営計画書」を策定しており、投資目的の確実な達成のための管理を行う一方、計画した収益を上げていない先については、持分売却・清算による撤退を含め、保有方針を明確にすることで、効率的な資産の入替を行っています。
しかしながら、このような投資評価の段階での案件の選別、投資実行後の管理を厳格に行っていますが、期待する利益が上がらないというリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(重要な投資案件)
a. 豪州原料炭及びその他の金属資源権益への投資
当社は、1968年11月にMDP社を設立し、炭鉱開発(製鉄用の原料炭)に取り組んできました。2001年には、MDP社を通じ、約1,000億円で豪州クイーンズランド州BMA原料炭事業(以下「BMA」)の50%権益を取得し、パートナーのBHP社(BHP Billiton Limited、本社:豪州メルボルン)と共に事業を運営しています。現在では、BMAは年間6,500万トンの生産量を誇る世界最大規模の原料炭事業に成長しています。また、当連結会計年度末のMDP社の固定資産帳簿価額は約6,500億円となっています。
なお、MDP社については、商品市況リスクにより業績に影響を与える可能性がありますが、詳細については「2 ② a. 商品市況リスク(金属資源)」をご参照ください。
b. チリ銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資
当社は、アングロ・アメリカン社(Anglo American Plc、本社:英国ロンドン、以下「アングロ社」)、チリ国営の銅生産会社であるCorporación Nacional del Cobre de Chile社(本社:チリ国サンチャゴ)と三井物産株式会社の合弁会社(以下「合弁会社」)と共に、チリ国銅資源権益保有会社アングロ・アメリカン・スール社(Anglo American Sur S.A.、本社:チリ国サンチャゴ、以下「アングロスール社」)の株式を保有しています。
当連結会計年度において、アングロスール社の事業価値向上に資する取組みを同社が所在するチリ国で他パートナーと機動的に行うなど事業経営の深化を図ることを目的として、中南米における金属資源開発事業の中核会社であるチリ国M.C. Inversiones Limitadaにアングロスール社の株式を移管することを決定しています。
アングロスール社への出資比率は、アングロ社グループが50.1%、合弁会社が29.5%、当社グループが20.4%となっており、当社の取得額は45.1億米ドルです。
アングロスール社は、チリ国内にロスブロンセス銅鉱山、エルソルダド銅鉱山、チャグレス銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区等の資産を保有しています(アングロスール社合計の2019年銅生産量実績は約39万トン)。
当社はアングロスール社への投資に対して持分法を適用しています。アングロスール社宛の投資に関しては、「持分法で会計処理される投資」として減損テストを行っており、アングロスール社の生産・開発計画は長期間に及ぶため、銅価格の見通しを含め、中長期的な観点から評価し判断しています。銅価格に関しては、将来の需給環境等のファンダメンタルズや、社外の金融機関等の提供するデータ等を考慮して、当社としての見通しを策定しています。アングロスール社の生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、アングロスール社への投資の評価により重要な影響を与えます。銅市況の低迷に加え、当初想定からの未開発鉱区の開発時期の遅れ等も踏まえて総合的に見直した結果、2015年度末に2,712億円の減損を実施し、当連結会計年度末の帳簿価額は約1,500億円となっています。
c. ペルー銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資
当社は、アングロ社と共同で、ペルー共和国ケジャベコ銅鉱山プロジェクト(以下「ケジャベコ」)の権益保有会社であるアングロ・アメリカン・ケジャベコ社(Anglo American Quellaveco S.A.、本社:ペルー共和国リマ、以下AAQ社)の権益40%を保有しています。
ケジャベコは約7.5百万トン(銅分換算)の埋蔵量を見込む世界最大規模の未開発鉱山で、高いコスト競争力を有しています。2018年8月より開発に向けた建設を開始し、2022年中の生産開始に向けた建設工事を進めています。生産開始後の当社持分生産量は、約12万トン/年増加する見込みです。
当社はAAQ社への投資に対して持分法を適用しています。AAQ社宛の投資に関しては、「持分法で会計処理される投資」として減損の兆候判定を行っております。ケジャベコは開発中であることに加え、生産計画は長期間に及ぶため、短期的な価格動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資評価により重要な影響を与えるため、銅価格の見通しを含め、中長期的な観点から評価し判断しています。銅価格に関しては、将来の需給環境等のファンダメンタルズや、社外の金融機関等の提供するデータ等を考慮して、当社としての見通しを策定しています。
2019年度末時点のAAQ社に関する投資簿価と融資額の合計は約2,100億円となっています。
d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト
当社は、カナダにおいて上流資源開発からLNGの生産・輸出販売に至る天然ガスバリューチェーンを構築しています。上流事業として、パートナーのOvintiv(旧Encana)社と共に、当社100%出資子会社のCUTBANK DAWSON GAS RESOURCES LTD.(以下「CDGR」)を通じてシェールガスの開発事業を行っています。当社グループの権益保有比率は40%で、当連結会計年度末の帳簿価格は2,435億円となっています。
また、生産された天然ガスをLNGとして輸出販売するため、事業パートナーと共に、2018年にLNGカナダプロジェクトの最終投資決定をしました。同プロジェクトは、年間1,400万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を建設し、日本など東アジアの需要国向けにLNGを輸出販売する事業で、2020年代中ごろの生産開始を予定しています。出資比率はShell社が40%、Petronas社が25%、中国PetroChinaが15%、当社グループが15%、韓国ガス公社が5%です。
なお、これらのプロジェクトについては、商品市況リスクにより、業績に影響を与える可能性がありますが、詳細については「2 ② a. 商品市況リスク(エネルギー資源)」をご参照ください。
上記以外の銅資産権益への投資や原油・ガス、LNG関連の投資についても、重要なリスクとして認識しています。なお、生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えます。
e. ローソンへの出資
当社は、2017年に株式会社ローソン(以下「ローソン社」)の発行済株式数の16.6%を株式公開買付により取得し、それまで保有していた33.4%と併せて、発行済株式の過半数を保有することとなり、同社を連結子会社としました。ローソン社は、コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズシステム及び直営店舗の運営を行うとともに、海外コンビニエンス事業及びそれ以外の周辺事業を運営しています。ローソン社の店舗網は、2020年2月末時点で、日本全国に約14,500店、海外に約3,000店の合計約17,500店の規模になっています。
事業環境が悪化した場合には、ローソン社の業績や、取得時に認識した「のれん」の減損などを通じて当社の業績に影響を与える可能性があります。当連結会計年度末の「のれん」の帳簿価格は約3,000億円です。
f. 欧州総合エネルギー事業への投資
当社は、当連結会計期間中に、中部電力株式会社と共同で設立したDiamond Chubu Europe B.V.を通じて、欧州で総合エネルギー事業を展開するEneco社(以下「Eneco」)の100%の株式を約5,000億円で取得しました。
Enecoは、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)開発を積極的に進めるとともに、小売事業においてデジタル技術を活用した顧客重視のサービスを展開している、先進的な総合エネルギー事業会社です。
当社は、Enecoの再エネに関する技術力・ノウハウを活用し、欧州及び欧州外で再エネ開発を加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現に資する取り組みを強化する方針です。
電力需要や欧州マクロ経済が低迷する場合には、Enecoの業績や、取得時に認識した「のれん」の減損などを通じて当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、国内外で多くの拠点を持ち、あらゆる産業を事業領域としてビジネスを展開していることから、関連する法令・規制は多岐にわたっています。具体的には日本の会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、贈収賄関連諸法、貿易関連諸法、環境関連諸法や各種業法を遵守する必要があり、また海外で事業を展開する上では、それぞれの国・地域での法令・規制に従う必要があります。
当社はコンプライアンス委員会を設け、その委員会を統括するチーフ・コンプライアンス・オフィサーが連結ベースでの法令・規制遵守を指揮・監督しています。その指揮・監督の下、各営業グループ及びコーポレートスタッフ部門においても、各グループ・部門のコンプライアンス・オフィサーが、固有のコンプライアンス施策の立案・実施をするなど、コンプライアンス意識を高めることに努めています。また、当社は、子会社及び関連会社(上場会社は除く)に対して、当社と同等の水準で各社に適したコンプライアンス管理体制を構築させ、又はさせるように努めています。
しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、関連する法令・規制上の義務を実行できない場合には、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ危機的な事象が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。
当社では、緊急危機対策本部を設置し、危機発生時における当社関係者の安全確保・安否確認等の初動対応、重要業務の事業継続計画(BCP)の整備、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、定期訓練、必要物資の備蓄等の各種対策を講じています。また、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく初動対応・事業継続計画(BCP)の策定、継続的なPDCAサイクルの実施等の包括的なマネジメント活動である事業継続マネジメント(BCM)を推進し、各種危機に備えています。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に関しては、緊急危機対策本部が一元的に対応しており、国内においては、社員の感染予防・感染拡大防止と適切な事業継続の観点から、衛生管理の徹底や在宅勤務を原則とする勤務体制への移行、国内外出張の原則見合わせ、その他必要な措置を迅速に実行しています。また、海外についても、各国の情勢や規制に応じて、在宅勤務を始めとする各種安全対策を講じています。
しかし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
異常気象の頻発による水資源への影響や、人口動態・自然界の生物多様性に与える影響、これに伴う食糧資源や自然資源への影響等、気候変動がもたらす影響は、地球環境や人類、企業活動にとり重大であると共に、当社事業の継続性、並びに当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
気候変動に関連して生じるリスクは、カーボンプライシング(炭素税等)や各種規制拡大による操業・設備コストの増加、既存技術に依拠する製品・サービスの陳腐化等の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と、渇水・洪水等による事業の操業への影響等の物理的リスクに大別されます。「経済価値」「社会価値」「環境価値」の三価値同時実現を目指している当社は、「低炭素社会への移行」を「サステナビリティ重要課題」の一つとして特定し、これら気候変動関連リスクに対応しています。
具体的には、重要な気候変動関連リスクをサステナビリティ・CSR委員会において特定の上、事業への影響を評価すると共に、特に影響の大きな事業に関しては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言も踏まえて2℃シナリオ分析を実施し、分析結果を当該事業の戦略に反映しています。また、これら一連の内容は、取締役会にも報告を行っております。
なお、気候変動の問題は、再生可能エネルギー、電気自動車、エシカル消費等、新技術・代替製品の開発・普及を促すことから、当社にとっては新規ビジネス機会の増加に繋がる側面があります。
財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 2. 作成の基礎 (5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。
当連結会計年度の経済環境としては、世界経済の減速基調が続く中で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が発生し、日米欧などの先進国の経済成長率が押し下げられました。米中貿易摩擦などを背景に中国の成長率は低下し、インドは景気減速に直面するなど、新興国にも下振れが見られました。
このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。当連結会計年度における主な取り組みや、経営環境に関しては、「1 経営戦略、経営方針及び対処すべき課題」の「2.中経経営戦略2021の進捗」及び「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」もご参照ください。
当連結会計年度の収益は、石油化学事業における取引数量減少や市況下落に伴う販売価格の下落の影響などにより、前連結会計年度を1兆3,241億円(8%)下回る14兆7,797億円となりました。
当連結会計年度の売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落や生産コストの上昇、及び原油デリバティブ取引関連の損失などにより、前連結会計年度を1,987億円(10%)下回る1兆7,891億円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度からほぼ横ばいの1兆4,312億円となりました。
当連結会計年度の有価証券損益は、電力事業や食品産業事業における関係会社株式の売却益、及び評価益などにより、前連結会計年度を470億円(236%)上回る669億円(利益)となりました。
当連結会計年度の固定資産除・売却損益は、前連結会計年度に計上した資源関連資産に係る売却益の反動などにより、前連結会計年度を442億円下回る1億円(損失)となりました。
当連結会計年度の固定資産減損損失は、前連結会計年度に計上した探鉱開発資産に係る減損損失の反動などにより、前連結会計年度から109億円(25%)改善し329億円となりました。
当連結会計年度のその他の損益は、為替関連損益の変動などにより、前連結会計年度から57億円(29%)悪化し、256億円(損失)となりました。
当連結会計年度の金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の減少などにより、前連結会計年度を257億円(13%)下回る1,733億円となりました。
当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度からほぼ横ばいの700億円となりました。
当連結会計年度の持分法による投資損益は、三菱自動車工業宛て投資の減損による減少があったものの、前連結会計年度に計上した千代田化工建設の工事損益悪化等による一過性損失や、チリ鉄鉱石事業における一過性損失の反動などにより、前連結会計年度を420億円(31%)上回る1,793億円(利益)となりました。
当連結会計年度の税引前利益は、上記の理由から、前連結会計年度を2,029億円(24%)下回る6,489億円となりました。
当連結会計年度の法人所得税は、税引前利益の減少及びチリ銅事業再編に伴う繰延税金資産の計上などにより、前連結会計年度を1,493億円(72%)下回る567億円となりました。
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から18億円(3%)増加し、568億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を553億円(9%)下回る5,354億円となりました。これにより、ROEは9.8%となりました。
(以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。)
天然ガスグループは、北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、LNG関連事業における販売価格下落の影響などにより、前連結会計年度から1,400億円(20%)減少し、5,458億円となりました。
売上総利益は、LNG関連事業における販売価格下落に伴う取引利益の減少などにより、前連結会計年度から83億円(28%)減少し、209億円となりました。
持分法による投資損益は、LNG関連事業における持分利益の減少や北米シェールガス事業における一過性損失などにより、前連結会計年度から309億円(49%)減少し、324億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に計上した資産入替に伴う一過性損失の反動があったものの、当期純利益は703億円となり、前連結会計年度と比較して191億円(21%)の減少となりました。
総合素材グループは、自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、炭素、鉄鋼製品、機能素材など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、鉄鋼製品事業における事業再編に伴い一部子会社が持分法適用先となった影響などにより、前連結会計年度から2,633億円(12%)減少し、1兆9,676億円となりました。
売上総利益は、鉄鋼製品事業における取引利益の減少などにより、前連結会計年度から247億円(15%)減少し、1,401億円となりました。
持分法による投資損益は、炭素事業における持分利益の減少などにより、35億円(32%)減少し、76億円となりました。
当期純利益は261億円となり、前連結会計年度と比較して92億円(26%)の減少となりました。
石油・化学グループは、原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、石油化学事業における取引減少や販売価格下落の影響などにより、前連結会計年度から7,838億円(16%)減少し、4兆330億円となりました。
売上総利益は、シンガポールの原油・石油製品トレーディング会社における原油デリバティブ取引関連の一過性損失343億円を「原価」等に計上したことなどにより、前連結会計年度から485億円(44%)減少し、606億円となりました。
持分法による投資損益は、石油化学事業における持分利益の減少などにより、82億円(50%)減少し、81億円となりました。
当期純損失は120億円となり、前連結会計年度と比較して478億円の減少となりました。
金属資源グループは、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、豪州原料炭事業における市況下落や豪州一般炭権益売却による事業収益の減少などにより、前連結会計年度から1,880億円(10%)減少し、1兆7,433億円となりました。
売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落や生産コスト上昇、豪州一般炭権益売却による事業収益の減少などにより、前連結会計年度から1,388億円(37%)減少し、2,386億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に計上したチリ鉄鉱石事業における減損損失の反動などにより、408億円増加し、153億円となりました。
上記のほか、チリ銅事業再編に伴う一過性利益767億円を「法人所得税」に計上した一方、海外製錬事業における減損損失などにより、当期純利益は2,123億円となり、前連結会計年度と比較して402億円(16%)の減少となりました。
産業インフラグループは、エネルギーインフラ、産業プラント、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、千代田化工建設子会社化に伴う増加などにより、前連結会計年度から1,560億円(44%)増加し、5,126億円となりました。
売上総利益は、千代田化工建設子会社化に伴う増加などにより、前連結会計年度から106億円(13%)増加し、944億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に計上した千代田化工建設関連一過性損失の反動などにより、683億円増加し、291億円となりました。
当期純利益は414億円となり、前連結会計年度と比較して818億円の増加となりました。
自動車・モビリティグループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から726億円(9%)減少し、7,111億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から47億円(4%)減少し、1,295億円となりました。
持分法による投資損益は、三菱自動車工業宛て投資の減損損失及び持分利益の減少などにより、651億円減少し、109億円(損失)となりました。
当期純利益は196億円となり、前連結会計年度と比較して776億円(80%)の減少となりました。
食品産業グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から767億円(4%)減少し、1兆6,994億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から27億円(1%)減少し、2,550億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に計上した海外食品原料事業における減損損失の反動などにより、前連結会計年度から276億円増加し、186億円となりました。
上記のほか、海外食品事業における一過性利益などにより、当期純利益は532億円となり、前連結会計年度と比較して433億円(437%)の増加となりました。
コンシューマー産業グループは、リテイル、アパレル・S.P.A.、ヘルスケア・食品流通、物流の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から584億円(2%)増加し、3兆4,078億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から112億円(1%)増加し、7,631億円となりました。
持分法による投資損益は、TOYO TIREの持分法適用開始に伴う増加などにより、前連結会計年度から44億円(55%)増加し、124億円となりました。
上記のほか、CVS事業における不採算店舗の閉鎖増や、物流事業における前連結会計年度の倉庫売却益の反動に伴う持分利益の減少などにより、当期純利益は227億円となり、前連結会計年度と比較して88億円(28%)の減少となりました。
電力ソリューショングループは、発電・送電事業、電力トレーディング事業、電力小売事業や発送電関連機器・設備の販売に取り組むと共に、リチウムイオン電池の開発・製造・販売事業、電池サービス事業、次世代エネルギー(水素等)の開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から61億円(8%)増加し、819億円となりました。
売上総利益は、米州電力事業における取引利益の増加などにより、前連結会計年度から42億円(11%)増加し、411億円となりました。
持分法による投資損益は、海外電力事業における持分利益の増加などにより、前連結会計年度から36億円(14%)増加し、294億円となりました。
上記のほか、Eneco子会社化に伴う評価益などにより、当期純利益は515億円となり、前連結会計年度と比較して184億円(56%)の増加となりました。
複合都市開発グループは、都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、交通EPC取引の減少などにより、前連結会計年度から202億円(24%)減少し、651億円となりました。
売上総利益は、国内不動産事業における物件売却益の増加などにより、前連結会計年度から24億円(7%)増加し、382億円となりました。
持分法による投資損益は、リース事業や北米不動産事業における持分利益の増加などにより、前連結会計年度から58億円(18%)増加し、376億円となりました。
当期純利益は343億円となり、前連結会計年度と比較して19億円(6%)の増加となりました。
「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 6. セグメント情報」を参照願います。
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。
販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 24. 収益」を参照願います。
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続すると共に、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ、外貨建社債等による調達を行いました。
これらの資金調達活動の結果、当連結会計年度末のグロス有利子負債(リース負債除く)残高は、前連結会計年度末から6,680億円増加し5兆7,601億円となり、このうち81%が長期資金となっています。有利子負債のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。なお、当社単体のグロス有利子負債残高は4兆1,578億円であり、このうち長期資金は76%を占め、平均残存期間は約6年となっています。
翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取り組みも継続します。
金融市場の環境は、地政学的リスクや主要国の金融政策の変化等、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持していきます。
連結ベースでの資金管理体制については、当社を中心に国内外の金融子会社、海外現地法人等において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則としています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち81%が当社、国内外の金融子会社、海外現地法人等による調達となっています。今後も、連結経営の深化を見据え、連結ベースでの資金管理体制の更なる充実を図ります。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースでは130%となっており、流動性の点で当社の財務健全性は高いといえます。また、当連結会計年度末時点の当社、米国三菱商事、Mitsubishi Corporation Finance、MC Finance & Consulting Asia、MC Finance AustraliaでCP及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が5,382億円あるのに対して、現預金、フィーを支払って確保しているコミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で1兆3,286億円あり、カバー超過額は7,904億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。
当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。3社の2020年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがAA-/a-1+(見通し安定的)、ムーディーズがA2/P-1(見通しネガティブ)、S&PがA/A-1(見通し安定的)となっています。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より1兆5,169億円(9%)増加し、18兆497億円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より1,015億円(1%)減少し、6兆9,374億円となりました。これは、石油化学事業における取引数量の減少などに伴い営業債権及びその他の債権が減少したことなどによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末より1兆6,184億円(17%)増加し、11兆1,123億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴い使用権資産が増加したことや、千代田化工建設及びEneco子会社化などに伴い無形資産及びのれんが増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より1兆9,369億円(20%)増加し、11兆8,328億円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より1,926億円(4%)増加し、5兆3,463億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴いリース負債が増加したことや、貴金属リース取引において価格上昇に伴いその他流動負債が増加したことなどによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末より1兆7,443億円(37%)増加し、6兆4,865億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴いリース負債が増加したことや、新規資金調達に伴い社債及び借入金が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より4,200億円(6%)減少し、6兆2,169億円となりました。
当連結会計年度末の当社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末より4,688億円(8%)減少し、5兆2,274億円となりました。これは、連結純利益の積み上がりにより利益剰余金が増加した一方で、豪ドル及び米ドル安進行による在外営業活動体の換算差額の減少や自己株式の取得、配当の支払いにより利益剰余金が減少したことなどによるものです。
また、非支配持分は、前連結会計年度末より488億円(5%)増加し、9,895億円となりました。
有利子負債総額から現金及び現金同等物や定期預金を控除したネット有利子負債(リース負債除く)は、前連結会計年度末より6,127億円(16%)増加し、4兆3,363億円となりました。
また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。
(前連結会計年度) (単位:億円)
(単位:億円)
(当連結会計年度) (単位:億円)
(単位:億円)
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,622億円増加し、1兆3,228億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は8,497億円増加しました。これは、法人所得税や利息の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
また、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債支払額の財務活動によるキャッシュ・フローへの組換えなどにより、前連結会計年度と比較して1,970億円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は5,007億円減少しました。これは、上場有価証券や関連会社への投資の売却などによる収入があったものの、Eneco社の取得や、設備投資、関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、Eneco社の取得などにより、前連結会計年度と比較して、2,270億円の減少となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資
・Eneco社(電力ソリューション)
・千代田化工建設優先株式(産業インフラ)
・銅事業(金属資源)
・豪州原料炭事業(金属資源)
・CVS事業(コンシューマー産業)
・LNG関連事業(天然ガス)
売却及び回収
・海外電力事業(電力ソリューション)
・豪州一般炭権益(金属資源)
・北米不動産事業(複合都市開発)
・上場有価証券(食品産業・コンシューマー産業・その他)
・定期預金(その他)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは3,490億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は1,566億円減少しました。これは、資金調達があったものの、自己株式の取得やリース負債の返済、配当金の支払いなどにより資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得やIFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債支払額の営業活動によるキャッシュ・フローからの組換えなどがあった一方、資金調達により、前連結会計年度と比較して、709億円の増加となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、「中期経営戦略2018」期間中のキャッシュ・フローや適切な資本水準などを考慮の上、資本効率の向上を図るために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
なお、IFRS第16号「リース」の適用に伴い認識されたリース負債の返済額は、全額財務活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当連結会計年度において6,721億円の資金増となりました。
また、前連結会計年度と比較して2,152億円の減少となりました。
この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、1,714億円の資金増となりました。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
当社と中部電力株式会社が共同で設立したDiamond Chubu Europe B.V.(当社の議決権所有割合80%)は、欧州で総合エネルギー事業を展開するEneco Groep N.V.の100%の株式を取得する旨の株式売買契約を、同社株主との間で締結しました。
詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク ⑤事業投資リスク」の「f.欧州総合エネルギー事業への投資」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記事項」の「5.企業結合及び共同支配事業の取得」をご参照ください。
特に記載すべき事項はありません。
(注意事項)
本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末時点で入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。