第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
また、以下の見出しに付された項目番号は、前連結会計年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2. 事業等のリスク」の項目番号に対応したものであり、文中の下線部分が変更箇所です。

 

  ① 世界マクロ経済環境の変化によるリスク

当社はグローバルにビジネスを展開しており、当社の業績も、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受けます。
例えば、エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合には、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が影響を受けることとなります。更に、世界景気の冷え込みは、プラント、建設機械用部品、自動車、鉄鋼製品、鉄鋼原料、化学品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることとなります。

また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広範な自動車事業を展開していますが、自動車の販売台数はこれらの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与えることになります。

当第3四半期連結累計期間の経済環境は、世界経済の減速基調が続きました。日米欧の金融緩和、一部新興国の景気刺激策により世界経済は底堅く推移していますが、下方リスクとして通商問題や地政学の動向、中国経済の先行きなどを注視しています。

 

  ② 市場リスク

a. 商品市況リスク

(エネルギー資源)

当社は北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業を行っており、原油・ガス価格は当社の業績に少なからぬ影響を与えます。

原油(Dubai)価格は、9月のサウジアラビアにおける石油精製施設への攻撃を受けて相場が一時急騰する場面があったものの一過性に終わり、米中貿易戦争の先行き不透明感や世界景気悪化懸念から軟調に推移していましたが、当第3四半期連結会計期間に入ると一転して堅調に推移し、一時的に70米ドル/バレルに迫る勢いとなりました。これはOPECプラスによる協調減産幅拡大の決定と、米国・イラン間の緊張をはじめとする中東における地政学リスクの上昇が原因として挙げられます。

原油価格は、上述の米中貿易戦争や世界景気動向に加えて、OPECプラスの減産期間延長の有無や米シェールオイルの生産動向、更には米国・イラン関係の動向によって今後も上下する状況が続くと見られます。

また、当社のLNG販売は長期契約が大部分を占めるものの、一部はスポット契約にて販売しています。主に米国を中心とする新規プロジェクト立ち上がりによるLNG供給量の増加などの影響により、アジアのLNGスポット価格は7月に過去最低水準の百万Btu(英国熱量単位)当たり4米ドル台まで落ち込みました。当第3四半期連結会計期間には、冬場の需要期を迎え価格は徐々に回復したものの、暖冬の影響もあり、12月末時点でも百万Btu当たり5米ドル程度に留まっている状況です。LNG長期契約の価格は多くが原油価格にリンクしており、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じてLNG・原油合わせて年間25億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。

 

⑧ 自然災害等によるリスク

地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予 期せぬ事態が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。

当社では、社員の安否確認システムの導入、初動対応マニュアル及びBCP(事業継続計画)の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じ、各種災害・事故に備えています。ただし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、このような事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(以下「四半期純利益」は「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています。)

(1) 業績

当第3四半期連結累計期間の経済環境は、世界経済の減速基調が続きました。日米欧は内需に支えられ底堅い成長を維持した一方、中国経済の減速、インド経済の下振れが見られました。

このような環境の下、当第3四半期連結累計期間の収益は、石油化学事業における取引数量が減少したことなどにより、前第3四半期連結累計期間を7,588億円(6%)下回る11兆4,295億円となりました。
売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落や生産コストの上昇、及び原油デリバティブ取引関連の損失などにより、前第3四半期連結累計期間を1,595億円(11%)下回る1兆3,530億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前第3四半期連結累計期間からほぼ横ばいの1兆716億円となりました。
有価証券損益は、前年同期の千代田化工建設宛投資減損の反動などにより、前第3四半期連結累計期間を371億円(501%)上回る445億円(利益)となりました。
固定資産減損損失は、前第3四半期連結累計期間からほぼ横ばいの99億円となりました。
その他の損益は、前第3四半期連結累計期間からほぼ横ばいの142億円(損失)となりました。
金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の減少などにより、前第3四半期連結累計期間を191億円(12%)下回る1,391億円となりました。
持分法による投資損益は、前年同期に計上した千代田化工建設における工事損益悪化等による一過性損失の反動、チリ鉄鉱石事業における一過性損失の反動などにより、前第3四半期連結累計期間を679億円(71%)上回る1,640億円(利益)となりました。
この結果、税引前利益は、前第3四半期連結累計期間を892億円(14%)下回る5,525億円となりました。
以上により、四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間を689億円(16%)下回る3,733億円となりました。

 

事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。

a.天然ガス

天然ガスグループは、北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は652億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して130億円の減少となりました。これは、LNG関連事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。

 

b.総合素材

総合素材グループは、自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、炭素、鉄鋼製品、機能素材など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は206億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して66億円の減少となりました。これは、鉄鋼製品事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。

 

c.石油・化学

石油・化学グループは、原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は201億円(損失)となり、前第3四半期連結累計期間と比較して582億円の減少となりました。これは、原油・石油製品トレーディング事業を行うシンガポール連結子会社において、元現地社員が社内規程に違反して行った、原油デリバティブ取引関連の損失343億円を「原価」等に計上したことに加え、石油化学事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。

 

d.金属資源

金属資源グループは、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は1,163億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して471億円の減少となりました。これは、前年同期に計上したチリ鉄鉱石事業における減損損失の反動の一方、豪州原料炭事業における市況下落や生産コスト上昇、豪州一般炭権益売却による事業収益の減少などにより減益となったものです。

 

e.産業インフラ

産業インフラグループは、エネルギーインフラ、産業プラント、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は373億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して644億円の増加となりました。これは、前年同期に計上した千代田化工建設関連の一過性損失の反動などにより増益となったものです。

 

f.自動車・モビリティ

自動車・モビリティグループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は407億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して293億円の減少となりました。これは、三菱自動車工業やアジア自動車事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。

 

g.食品産業

食品産業グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は290億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して240億円の増加となりました。これは、前年同期に計上した海外食品原料事業における減損損失の反動などにより増益となったものです。

 

h.コンシューマー産業

コンシューマー産業グループは、リテイル、アパレル・S.P.A.、ヘルスケア・食品流通、物流の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は203億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して80億円の減少となりました。これは、物流事業における持分利益の減少やアパレル関連事業における取引利益の減少、ヘルスケア事業における一過性損失などにより減益となったものです。

 

i.電力ソリューション

電力ソリューショングループは、発電・送電事業、電力トレーディング事業、電力小売事業や発送電関連機器・設備の販売に取り組むと共に、リチウムイオン電池の開発・製造・販売事業、電池サービス事業、次世代エネルギー(水素等)の開発などを行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は285億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して16億円の減少となりました。これは、海外発電資産等の売却益の減少などにより減益となったものです。

 

j.複合都市開発

複合都市開発グループは、都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。

当第3四半期連結累計期間の四半期純利益は289億円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して76億円の増加となりました。これは、北米不動産事業やリース事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。

 

(注)当社は、当連結会計年度において、10グループ体制へと改編しており、前連結累計期間のセグメント情報も組替再表示を行っています。詳細は「要約四半期連結財務諸表注記 5. セグメント情報」をご覧ください。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,611億円増加し、1兆3,217億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、営業活動により資金は6,936億円増加しました。これは、運転資金の負担増や法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
また、前第3四半期連結累計期間と比較して1,844億円の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、投資活動により資金は787億円減少しました。これは、千代田化工建設の子会社化に伴う保有現金の受入、関連会社への投資や上場有価証券の売却などによる収入があったものの、設備投資や関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。
また、前第3四半期連結累計期間と比較して749億円の増加となりました。
 

以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは6,149億円の資金増となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、財務活動により資金は4,411億円減少しました。これは、短期資金調達があったものの、自己株式の取得やリース負債の返済などにより資金が減少したものです。
また、前第3四半期連結累計期間と比較して4,285億円の減少となりました。
 

なお、IFRS第16号「リース」の適用に伴い認識されたリース負債の返済額は、全額財務活動によるキャッシュ・フローに含まれています。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

a. 中期経営戦略2021 ~事業経営モデルによる成長の実現~

三菱商事は、2018年11月に2019年度から始まる3ヵ年の新しい経営の指針として、「中期経営戦略2021」を策定しました。

米国と中国の二大国を中心とする地政学的力学の変化等に加え、デジタル技術の進化やプラットフォーマーの台頭による“第4次産業革命”ともいえるビジネスモデル変革の潮流を踏まえて、持続的な事業成長を目指すための、向こう3ヵ年の経営方針をまとめました。

 

■事業ポートフォリオ

全産業を俯瞰し、外部環境の変化も踏まえ、次に攻めるべき分野や入替えを進める分野を全社で検討するため、事業ポートフォリオの枠組みを導入します。

事業ポートフォリオの最適化に向けては、三菱商事独自の多次元の軸で考察します。定量面からはもちろんのこと、地域の観点、業界におけるプレゼンスの観点、事業経営レベルの観点から、常にあるべき形を検討していく仕組みを整えます。

 

■成長メカニズム

「成長の芽」を発掘し、これを「成長の柱」へ育て、事業価値を向上し「収益の柱」へと成長させていく。そして三菱商事による事業価値向上にどうしても限界が生じる場合は、入替えも含め抜本的に見直す。

三菱商事に内在するこの一連のサイクルを、事業ポートフォリオの観点も加えながら、従来以上に徹底して運用していきます。

そのためにも、経営企画部に「事業構想室」を、各営業グループに「グループ事業構想担当」を設置し「成長の芽の発掘」「成長の柱の構築」を積極的に進める体制を執ります。また、今回、新たにチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を任命し、その管下に「デジタル戦略部」を組成、各営業グループにも「グループデジタル戦略担当」を設置することで、急激に進む産業のデジタル化の動きに対応していくこととします。

 

■人事制度改革

「多様な経験を通じた早期育成」「実力主義と適材適所の徹底」「経営人材の全社的活用」を軸とした人事制度改革を実施します。具体的には、柔軟な人材の配置・活用、成果主義の徹底、株式報酬の導入、複眼的な評価の仕組みの強化を通して、分野を超えて活躍できる経営力の高い人材を継続的に輩出し、社員の成長と会社の発展が一体となることを目指します。

 

■定量目標・資本政策

事業系の持続的な成長と市況系の競争力強化により、2021年度に連結純利益9,000億円を目指すと共に、二桁ROEの更なる向上を目指します。

配当は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、配当性向を現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。

 

b. 個別重要案件

当第3四半期連結累計期間において、重要な状況の変化はありません。

 

(4) 研究開発活動

特に記載すべき事項はありません。

 

(5) 流動性と資金の源泉

当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利な手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、十分な流動性の確保を行っていく方針です。

当第3四半期連結会計期間末の連結ベースでのグロス有利子負債残高(リース負債除く)は、前連結会計年度末から2,545億円増加し5兆3,466億円となり、このうち77%が長期資金となっています。有利子負債(リース負債除く)のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。また、現預金の残高は、前連結会計年度末から1,624億円増加し1兆5,309億円となっています。当第3四半期連結会計期間末の流動比率は連結ベースで127%となっており、流動性の点で財務健全性は高いと考えています。

 

(注意事項)

当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結累計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

  特に記載すべき事項はありません。