三菱商事は、2018年11月に2019年度から始まる3ヵ年の新しい経営の指針として、「中期経営戦略2021」を策定しました。
米国と中国の覇権を巡る対立等による地政学的力学の変化に加え、デジタル技術の進化やプラットフォーマーの台頭による“第4次産業革命”ともいえるビジネスモデル変革の潮流を踏まえて、持続的な事業成長を目指すための、経営方針となります。
「事業ポートフォリオ」「成長メカニズム」「人事制度改革」「定量目標・資本政策」の4項目から構成される新たな中期経営計画により、事業経営モデルによる三価値同時実現※を前提とした成長を実現します。
※事業を通じた「経済価値」・「社会価値」・「環境価値」の同時実現
■事業ポートフォリオ
全産業を俯瞰し、外部環境の変化も踏まえ、次に攻めるべき分野や入替えを進める分野を全社で検討するため、事業ポートフォリオの枠組みを導入します。
事業ポートフォリオの最適化に向けては、三菱商事独自の多次元の軸で考察します。定量面からは勿論のこと、地域の観点、業界におけるプレゼンスの観点、事業経営レベルの観点から、常にあるべき形を検討していく仕組みを整えます。
■成長メカニズム
「成長の芽」を発掘し、これを「成長の柱」へ育て、事業価値を向上し「収益の柱」へと成長させていく。そして三菱商事による事業価値向上にどうしても限界が生じる場合は、入替えも含め抜本的に見直す。
三菱商事に内在するこの一連のサイクルを、事業ポートフォリオの観点も加えながら、従来以上に徹底して運用していきます。
そのためにも、経営企画部に「事業構想室」を、各営業グループに「グループ事業構想担当」を設置し「成長の芽の発掘」「成長の柱の構築」を積極的に進める体制を執ります。また、新たにチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を任命し、その管下に「デジタル戦略部」を組成、各営業グループにも「グループデジタル戦略担当」を設置することで、急激に進む産業のデジタル化の動きに対応していくこととします。
■人事制度改革
「多様な経験を通じた早期育成」「実力主義と適材適所の徹底」「経営人材の全社的活用」を軸とした人事制度改革を実施します。具体的には、柔軟な人材の配置・活用、成果主義の徹底、株式報酬の導入、複眼的な評価の仕組みの強化を通して、分野を超えて活躍できる経営力の高い人材を継続的に輩出し、社員の成長と会社の発展が一体となることを目指します。
■定量目標・資本政策
事業系の持続的な成長と市況系の競争力強化により、2021年度に連結純利益9,000億円を目指すと共に、二桁ROEの更なる向上を目指します。
投資・売却計画は、リスクアセットベースで事業系7割以上を維持し、事業系・市況系の最適バランスを堅持する様に投資配分を決定していきます。
配当は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、配当性向を現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。
2020年度は新型コロナウイルス感染の影響を大きく受けた一方で、デジタル化、低・脱炭素社会に向けた潮流が加速する中、重要課題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)を一体で推進しました。なお、2021年度の連結純利益の見通しは3,800億円としています。

(新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)
各連結対象会社の所在国や事業内容に応じて影響は様々であるものの、新型コロナウイルスのワクチン接種が世界的に開始され、経済環境は緩やかな回復基調にあり、当社事業への影響は2021年度を通じて逓減していくことを想定しています。なお、各営業グループの各事業に対する主な影響は、「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」をご参照ください。
当連結会計年度は、LNG関連事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
2020年の世界のLNG需要は前年比11百万トン増の約3.7億トンと堅調に推移しました。新型コロナウイルスの影響があったものの、主に中国・インドなどアジア各国においてLNG需要が増加したものです。アジアのスポット価格は、当連結会計年度初めには新型コロナウイルスの影響により一時的に百万Btu(英国熱量単位)当たり過去最低水準の1米ドル台まで下落したものの、LNGの底堅い需要拡大に伴って回復し、当連結会計年度末時点では7米ドル台で推移しています。
原油価格(Dubai)は新型コロナウイルスの感染拡大による需要減に伴い、LNG価格と同様に一時急落する場面もあったものの、OPECプラスの協調減産や新型コロナウイルスのワクチン開発などにより、当連結会計年度末時点では60米ドル/バレル台にて推移しています。原油需要の本格的な回復には時間がかかる見込みですが、今後も産油国の生産調整や経済活動の正常化などを背景として、中長期的には原油価格は緩やかに回復、上昇していくものと思われます。
LNGは、エネルギー需要増や環境面での優位性などを背景に中長期的にも需要増が見込まれており、成長が見込まれる事業領域と考えています。なお、当グループの業績には原油価格が少なからぬ影響を与えますが、原油価格の変動が当グループの業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。
当連結会計年度は、前連結会計年度に計上した鉄鋼製品事業における事業再編益の一過性利益の反動に加え、新型コロナウイルスの影響による国内外での自動車メーカーの操業停止・減産や、建設・インフラ・エネルギー分野における素材需要の減少・市況の大幅な下落を受け、主に鉄鋼製品事業における持分利益の減少や炭素事業における事業利益の減少などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
当グループを取り巻く事業環境としては、足元では各地域・国によっては新型コロナウイルスの感染再拡大も見られるなど先行き不透明な状況ではあるものの、新興国の経済成長が世界経済を牽引し、産業の基礎素材を中心に需要・市況は底堅く推移していく見通しです。中長期的には、環境対応に向けた軽量化など、素材ニーズの多様化により見込まれる事業機会がある一方、競争が厳しさを増す業界環境において、当社が対面業界の課題解決において貢献できる役割を再確認し、強みや機能を発揮できる事業への集中を進めていきます。
当連結会計年度は、前連結会計年度に計上したシンガポールの原油・石油製品トレーディング会社における原油デリバティブ取引関連損失の反動や、石油事業における取引利益、持分利益増加などにより前連結会計年度と比較して大幅な増益となりました。
原油価格(Dubai)は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大による需要低迷を受け、当連結会計年度初は低水準での推移となっておりましたが、OPECプラスの協調減産継続による下支えやワクチン開発・普及の期待などから、当連結会計年度末には新型コロナウイルス感染拡大前の水準にまで回復しました。
化学品市況についても、年度初は新型コロナウイルスの影響を受けましたが、いち早く回復した中国経済や巣ごもり需要の影響も受け、年度末には主要な化学品については新型コロナウイルス感染拡大前の水準にまで回復しました。
新型コロナウイルスの感染再拡大に起因する需要の増減や米中の対立、産油国を取り巻く環境の変化といった、不確実性の高い状況が当面続くものと予想されます。低炭素社会への移行や循環型社会の実現の重要性がますます増大する中、新型コロナウイルス感染拡大を背景とした生活様式の変化による市場構造の変化も見据え、中核事業の強化とともに、石油・化学の総合力を活かした新規事業の創出に取り組んでまいります。
(翌連結会計年度より石油・化学ソリューショングループへ改称)
当連結会計年度は、豪州原料炭事業における市況下落による影響や、前連結会計年度に計上したチリ銅事業再編に伴う一過性利益の反動などにより前連結会計年度と比較して減益となりました。
当グループが保有する資産においては、新型コロナウイルス感染防止策を講じながら操業を継続した結果、一部で生産性は低下したものの、生産量への直接的な影響は出ていません。当グループの中核事業を取り巻く事業環境は、鉄鋼の原料となる原料炭については、コロナ禍より早期回復した中国での好調な国内粗鋼生産により需要は旺盛であった一方、豪中関係悪化に伴い中国による豪州産の原料炭への輸入規制が行われたことで豪州原料炭が供給過剰となり、前連結会計年度に比べ市況が下落しました。また、もう1つの主力事業である銅においては、各国中央銀行の量的緩和政策によって供給された資金が市場流動性の高い銅市場へ流入したことにより、前連結会計年度に比べ高水準で推移しました。
翌連結会計年度以降は、原料炭事業において、中国に続き欧州やインド、日本における粗鋼生産量が新型コロナウイルス感染拡大前を超える水準に回復している一方、中国による豪州原料炭の輸入規制により供給過剰な状況が今後も継続することが見込まれます。
また、堅調に推移している銅価格は期待先行による投機的要因もあり、今後の経済回復状況次第では金融引締めなどが銅価格への影響を及ぼす可能性も予想されます。
中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長により金属資源・非鉄製品の需要は底堅く推移する見通しです。
当連結会計年度は、前連結会計年度に計上した千代田化工建設株式会社の子会社化に伴う一過性評価益の反動や船舶事業における一過性損失、レンタル事業の減益などにより前連結会計年度と比較し減益となりました。
当グループの事業領域であるプラントエンジニアリング事業、産業機械事業、船舶・宇宙航空事業においても、少なからず新型コロナウイルスの影響は発生しており、建機レンタル国内事業では、建設工事の着工遅れやイベント中止による売上減の影響がありました。
翌連結会計年度以降は、短期的には新型コロナウイルスの経済活動への影響を受ける可能性があるものの、中長期的には、プラントエンジニアリング事業における脱炭素社会への移行に伴う新たな産業インフラ分野での需要増加や、産業機械事業における建機レンタル、工作機械、エレベーター、国内農機など各事業分野でのコロナ禍からの需要回復が期待されます。船舶事業においては、環境規制の強化に伴う老齢船撤退による一般商船の需給バランス改善が見込めるほか、LNG需要の増加に伴いガス船の需要は底堅い見通しです。各事業分野においてデジタル技術の活用が加速しており、既存事業の強化とともに、ソリューション提供型新規事業の展開を進めます。
当連結会計年度は、三菱自動車工業株式会社の固定資産減損や構造改革費用、海外事業投資先における固定資産減損や引当といった一過性損失の発生などを受け、前連結会計年度と比較して減益となりました。
新型コロナウイルスの影響により世界的に自動車市場の低迷は続いており、当社取扱いの主力であるタイ・インドネシアを始め、多くの国で販売台数が前連結会計年度比で減少となる中、従来実施しているオフラインに加え、オンラインでの施策を上手く取り入れることで販売台数やシェアの確保に努めました。
翌連結会計年度に向けては、既存のタイ・インドネシア事業を更に強化・拡張するとともに、アセアン・新興国を中心に更なる事業展開と一層の拡販に努めます。加えて、「CASE」(Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared/Service(共有/サービス)、Electric(電動化))と呼ばれる技術革新への対応などによる業界構造変化を捉え、長年培ってきた事業基盤や地域密着型の強みを活かしてモビリティ・サービス事業を推進します。
翌連結会計年度も新型コロナウイルスの影響により世界的な自動車市場の低迷が暫く続くと想定されますが、オンラインを活用した販売施策などにより販売台数の回復を目指します。
当連結会計年度の消費市場は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界の主要都市でのロックダウンによる行動制限などにより消費者の行動様式やニーズが大きく変化しました。当連結会計年度の当グループの当期純利益は、前連結会計年度に計上した海外食品事業における一過性利益の反動や海外食品原料事業における一過性損失などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
翌連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大が沈静化しておらず、先行きが見通しづらく厳しい状況が続くと見込まれますが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の積極的活用によるサプライチェーン全体の効率化や高度化を推進するとともに、消費者ニーズに合った商品・サービスの提供に努めることで収益の安定化に取り組んでまいります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大によって生活者のライフスタイルが大きく変化し、当グループを取り巻く消費市場にも大きな影響を与えました。海外では都市のロックダウンによる小売店舗閉鎖、国内では外出自粛やテレワークの導入に伴う巣ごもり需要が拡大する一方、オフィス・繁華街立地のコンビニエンスストアへの来客数が大幅に減少しました。当グループの当期純利益は、ローソン宛てのれん及び無形資産の減損などにより、前連結会計年度と比較して大幅な減益となりました。
人口減少に伴う消費市場飽和や、人手不足に起因する人件費・物流費の上昇、異業種間の競争激化など国内の事業環境は厳しさが増す環境下、当社は日本電信電話株式会社(NTT)と共に、DXサービスを提供する株式会社Industry Oneの設立を発表、小売・流通産業における効率化・無駄削減といった社会課題の解決に取り組んでまいります。また、当グループではリアルとネットでの幅広い接点を活かし、データを通じて地域毎の生活者理解を深め、新たな需要創造と地域経済圏の活性化に取り組んでまいります。
当連結会計年度は、発電や送電の上流事業は長期買取保証に基づく安定収益モデルのため新型コロナウイルスによる影響は軽微であり、欧州や国内でのB to Cを中心とした電力小売事業などについても影響は限定的となりましたが、前連結会計年度に計上したEneco社の子会社化に伴う再評価益などの反動並びに当連結会計年度に予定されていた蘭法人税率引下げ中止などの影響により、前連結会計年度と比較して減益となりました。
脱炭素社会への移行が急速に進む市場環境下、再生可能エネルギー開発の事業機会は大幅に拡大方向にあります。Eneco社をプラットフォームに持つ欧州に限らず、日本や米州でも再生可能エネルギー事業の更なる拡大を図り、川上(供給側)から川下(需要側)までのエネルギーバリューチェーン全体での価値極大化に向けた取組みを推進してまいります。電力DXにおいては、地域に深く根差した顧客基盤とデジタル技術を活用したマーケティングにより、暮らしやライフイベントに最適なサービスの提供を開始します。
当連結会計年度は、航空機リース事業における機体の減損や債権評価減、空港運営事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
航空機リース関連では、新型コロナウイルスの影響により与信先の業績不振によるリース料延滞、リース料減額要請や、景気後退や移動制限によるリース資産価値再評価などにより減益となりました。
空港運営関連では、2020年の旅客需要は前年比で70%減となるなど、国際線を中心に旅客数が大幅に減少、航空系収入・非航空系収入ともに大きな影響を受けました。
翌連結会計年度は、新型コロナウイルスの影響を引き続き注視してまいりますが、不動産関連では売買市場は正常化してきており、また、電子商取引の拡大などを背景に物流施設やデータセンターなどは需要が増加しており、持続的な市場拡大が見込まれます。
企業投資関連では、投資先である北米のデジタル関連企業などでサービス需要が高まり、好調な資本・株式市場の追い風を受ける一方で、一部地域・業種では依然として新型コロナウイルスの影響が大きく、状況を注視してまいります。
当連結会計年度における重要な個別案件については、「2. 事業等のリスク ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)「a. 豪州原料炭及びその他の金属資源権益への投資」、「b. チリ銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資」 、「c. ペルー銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資」、「d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト」、「e. ローソンへの出資」及び「f. Enecoへの投資」をご参照ください。
当社はグローバルにビジネスを展開しており、当社の業績も、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受けます。
例えば、エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合には、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が影響を受けることとなります。更に、世界景気の冷え込みは、プラント、建設機械用部品、自動車、鉄鋼製品、鉄鋼原料、化学品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることとなります。
また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広範な自動車事業を展開していますが、自動車の販売台数はこれらの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与えることになります。
当連結会計年度の経済環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により打撃を受けた主要国経済は回復に転じつつも、各地域・国によっては感染再拡大も見られるなど、先行き不透明な状況が続いており、世界経済の回復ペースには上振れ、下振れ双方のリスクがあることから、動向を注視しています。
なお、本有価証券報告書提出日現在における、新型コロナウイルス感染症が当連結会計年度のセグメント別の事業環境及び翌連結会計年度以降の見通しに与えた又は与えると見込まれる影響につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「2.中期経営戦略2021の進捗 (新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)」及び「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」をご参照ください。
以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。当期純利益への影響額は、他に記載のない限り当社の当連結会計年度の連結業績を踏まえて試算した、翌連結会計年度に対する影響額を記載しています。
当社では、商取引や資源エネルギーの権益を保有して生産物を販売すること、事業投資先の工業製品を製造・販売することなどの活動においてさまざまな商品価格変動リスクを負っています。当社の業績に大きな影響を与える商品分野として次のようなものがあげられます。
(エネルギー資源)
当社は北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業を行っており、原油・ガス価格は当社の業績に少なからぬ影響を与えます。
原油(Dubai)価格は、当連結会計年度初めでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う原油需要の急減により下落しましたが、以降はワクチン開発及びOPECプラスの協調減産が継続的に進められたこと等を受け、価格は急速に回復し、3月上旬に原油(Dubai)価格は60米ドル/バレル台後半にて推移しました。なお、3月下旬以降は、新型コロナウイルス変異株の感染拡大への懸念等により、調整局面となっています。
原油需要の本格的な回復には、時間がかかる見込みですが、今後も産油国の生産調整や経済活動の正常化へのペースなどを主材料としつつ、中長期的には原油価格は緩やかに回復、上昇していくものと思われます。
また、当社のLNG販売は長期契約が大部分を占めるものの、一部はスポット契約にて販売しています。アジアのスポット価格は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要減少等により、当連結会計年度初めには百万Btu(英国熱量単位)当たり過去最低水準の1米ドル台まで下落しました。その後夏から秋にかけ見られたアジア各国における経済活動再開等を背景に上昇基調に転じ、1月には複数の生産設備での供給障害や寒波に伴う需要増が重なり、一時30米ドル台まで上昇し、史上最高値を更新しました。その後、価格は落ち着きを取り戻し、3月末時点では7米ドル台で推移しています。
LNG価格は多くが原油価格にリンクしており、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じてLNG・原油合わせて年間25億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。
(金属資源)
当社は、100%出資子会社の三菱デベロップメント社(MITSUBISHI DEVELOPMENT PTY LTD、本社:豪州ブリスベン、以下「MDP社」)を通じて、製鉄用の原料炭を販売しており、石炭価格の変動はMDP社の収益を通じて当社の業績に影響を与えます。また、MDP社の収益は、石炭価格の変動の他にも、豪ドル・米ドル・円の為替レートの変動や悪天候、労働争議等の要因にも影響を受けます。
銅についても、生産者としての価格変動リスクを負っています。1トン当たりの価格が100米ドル変動すると連結純利益で年間13億円の変動をもたらす(1ポンド当たりの価格が0.1米ドル変動すると当期純利益で年間28億円の変動をもたらす)と試算されますが、粗鉱品位、生産・操業状況、再投資計画(設備投資)等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の価格のみで単純に決定されない場合があります。
なお、生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えます。商品市況の長期的な低迷が想定される場合には、保有する「有形固定資産」や「持分法で会計処理される投資」などの減損を通じて、業績に影響を与える可能性があります。
当社は、輸出入、及び外国間などの貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っています。これらの取引では先物為替予約などによるヘッジ策を講じていますが、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。
また、海外における事業からの受取配当金や海外連結子会社・持分法適用関連会社の持分損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。当社の試算では米ドル・円のレートが1円変動すると、連結純利益に年間約20億円の変動をもたらします。
更に、当社の海外事業への投資については、円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、大口の投資については必要に応じて為替リスクのヘッジをするなどの施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
当社は、当連結会計年度末時点で、取引先や関連会社を中心に約1兆300億円(時価)の市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っています。上記の価格は約2,700億円の評価益を含んでいますが、株式の動向次第で評価益は減少するリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
当社の当連結会計年度末時点の有利子負債総額(リース負債除く)は5兆6,443億円であり、一部を除いて変動金利となっているため、金利が上昇する局面では利息負担が増加するというリスクがあります。
しかし、この有利子負債の相当部分は金利の変動により影響を受ける営業債権・貸付金等と見合っており、金利が上昇した場合に、これらの資産から得られる収益も増加するため、金利の変動リスクは、タイムラグはあるものの、相殺されることになります。また、純粋に金利の変動リスクにさらされている部分についても、見合いの資産となっている投資有価証券や固定資産からもたらされる取引利益、配当金などの収益は景気変動と相関性が高いため、景気回復の局面において金利が上昇し支払利息が増加しても、見合いの資産から得られる収益も増加し、結果として影響が相殺される可能性が高いと考えられます。ただし、金利の上昇が急である場合には、利息負担が先行して増加し、その影響を見合いの資産からの収益増加で相殺しきれず、当社の業績は一時的にマイナスの影響を受ける可能性があります。
このような金利などの市場動向を注視し、機動的に市場リスク対応を行う体制を固めるため、当社ではALM(Asset Liability Management)委員会を設置し、資金調達政策の立案や金利変動リスクの管理を行っていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
当社は、様々な営業取引を行うことによって、売掛金、前渡金などの取引与信、融資、保証及び出資などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。また、当社は主としてヘッジ目的のためにスワップ、オプション、先物などのデリバティブ取引を行っており、デリバティブ取引の契約先に対する信用リスクを負っています。
当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに成約限度額・信用限度額を定めると同時に、社内格付制度を導入し、社内格付と与信額により定めた社内規程に基づき、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの取付けを行っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
特に、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響による急激な信用収縮や業績悪化等により、取引先の資金繰り悪化や経営破綻増加が生じた場合には当社業績に影響を及ぼすリスクがあります。
当社は、海外の会社との取引や出資において、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。
カントリーリスクについては、保険を付保するなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。また、カントリーリスクを管理するために、カントリーリスク対策制度を設けています。カントリーリスク対策制度では、各国を各種リスク要因を踏まえて区分の上、区分ごとに枠を設定するなどの手法でカントリーリスクを一定範囲内にコントロールしています。
しかしながら、上記のようなリスクヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先若しくは進行中のプロジェクト所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難です。そのような事態が発生した場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
当社は、株式・持分を取得して当該企業の経営に参画し、商権の拡大やキャピタル・ゲイン獲得などを目指す事業投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。事業投資リスクの管理については、新規の事業投資を行う場合には、投資の意義・目的を明確にした上で、投資のリスクを定量的に把握し、事業特性を踏まえて決定した投下資金に対する利回りが、期待収益率を上回っているか否かを評価し、選別を行っています。投資実行後は、事業投資先ごとに、毎年定期的に「経営計画書」を策定しており、投資目的の確実な達成のための管理を行う一方、計画した収益を上げていない先については、持分売却・清算による撤退を含め、保有方針を明確にすることで、効率的な資産の入替を行っています。
しかしながら、このような投資評価の段階での案件の選別、投資実行後の管理を厳格に行っていますが、期待する利益が上がらないというリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
(重要な投資案件)
a. 豪州原料炭及びその他の金属資源権益への投資
当社は、1968年11月にMDP社を設立し、炭鉱開発(製鉄用の原料炭)に取り組んできました。2001年には、MDP社を通じ、約1,000億円で豪州クイーンズランド州BMA原料炭事業(以下「BMA」)の50%権益を取得し、パートナーのBHP社(BHP Group Limited、本社:豪州メルボルン)と共に事業を運営しています。現在では、BMAは年間6,500万トンの生産量を誇る世界最大規模の原料炭事業に成長しています。また、当連結会計年度末のMDP社の固定資産帳簿価額は約8,500億円となっています。
なお、MDP社については、商品市況リスクにより業績に影響を与える可能性がありますが、詳細については「2 ② a. 商品市況リスク(金属資源)」をご参照ください。
b. チリ銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資
当社は、アングロ・アメリカン社(Anglo American Plc、本社:英国ロンドン、以下「アングロ社」)、チリ国営の銅生産会社であるCorporación Nacional del Cobre de Chile社(本社:チリ国サンチャゴ)と三井物産株式会社の合弁会社(以下「合弁会社」)と共に、チリ国銅資源権益保有会社アングロ・アメリカン・スール社(Anglo American Sur S.A.、本社:チリ国サンチャゴ、以下「アングロスール社」)の株式を保有しています。
当連結会計年度において、アングロスール社の事業価値向上に資する取組みを同社が所在するチリ国で他パートナーと機動的に行うなど事業経営の深化を図ることを目的として、中南米における金属資源開発事業の中核会社であるチリ国M.C. Inverversiones Limitadaにアングロスール社の株式の移管を実施しました。
アングロスール社への出資比率は、アングロ社グループが50.1%、合弁会社が29.5%、当社グループが20.4%となっており、当社の取得額は45.1億米ドルです。
アングロスール社は、チリ国内にロスブロンセス銅鉱山、エルソルダド銅鉱山、チャグレス銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区等の資産を保有しています(アングロスール社合計の2020年銅生産量実績は約37万トン)。
当社はアングロスール社への投資に対して持分法を適用しています。アングロスール社宛の投資に関しては、「持分法で会計処理される投資」として減損テストを行っており、アングロスール社の生産・開発計画は長期間に及ぶため、銅価格の見通しを含め、中長期的な観点から評価し判断しています。銅価格に関しては、将来の需給環境等のファンダメンタルズや、社外の金融機関等の提供するデータ等を考慮して、当社としての見通しを策定しています。アングロスール社の生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、アングロスール社への投資の評価により重要な影響を与えます。当連結会計年度末の帳簿価額は約1,500億円となっています。
c. ペルー銅資産権益への投資及びその他の資源権益への投資
当社は、アングロ社と共同で、ペルー共和国ケジャベコ銅鉱山プロジェクト(以下「ケジャベコ」)の権益保有会社であるアングロ・アメリカン・ケジャベコ社(Anglo American Quellaveco S.A.、本社:ペルー共和国リマ、以下AAQ社)の権益40%を保有しています。
ケジャベコは約7.5百万トン(銅分換算)の埋蔵量を見込む世界最大規模の未開発鉱山で、高いコスト競争力を有しています。2018年8月より開発に向けた建設を開始し、2022年中の生産開始に向けた建設工事を進めています。生産開始後の当社持分生産量は、約12万トン/年増加する見込みです。
当社はAAQ社への投資に対して持分法を適用しています。AAQ社宛の投資に関しては、「持分法で会計処理される投資」として減損の兆候判定を行っています。ケジャベコは開発中であることに加え、生産計画は長期間に及ぶため、短期的な価格動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資評価により重要な影響を与えるため、銅価格の見通しを含め、中長期的な観点から評価し判断しています。銅価格に関しては、将来の需給環境等のファンダメンタルズや、社外の金融機関等の提供するデータ等を考慮して、当社としての見通しを策定しています。
当連結会計年度末時点のAAQ社に関する投資簿価と融資額の合計は約2,600億円となっています。
d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト
当社は、カナダにおいて上流資源開発からLNGの生産・輸出販売に至る天然ガスバリューチェーンを構築しています。上流事業として、パートナーのOvintiv社と共に、当社100%出資子会社のCUTBANK DAWSON GAS RESOURCES LTD.(以下「CDGR」)を通じてシェールガスの開発事業を行っています。当社グループの権益保有比率は40%で、当連結会計年度末の帳簿価額は2,135億円となっています。
また、生産された天然ガスの一部をLNGとして輸出販売するため、事業パートナーと共に、2018年にLNGカナダプロジェクトの最終投資決定をしました。同プロジェクトは、年間1,400万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を建設し、日本など東アジアの需要国向けにLNGを輸出販売する事業で、2020年代中ごろの生産開始を予定しています。出資比率はShell社が40%、Petronas社が25%、PetroChina社が15%、当社グループが15%、韓国ガス公社が5%です。
なお、これらのプロジェクトについては、商品市況リスクにより、業績に影響を与える可能性がありますが、詳細については「2 ② a. 商品市況リスク(エネルギー資源)」をご参照ください。
上記以外の銅資産権益への投資や原油・ガス、LNG関連の投資についても、重要なリスクとして認識しています。なお、生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えます。
e. ローソンへの出資
当社は、2017年に株式会社ローソン(以下「ローソン社」)の発行済株式数の16.6%を株式公開買付により取得し、それまで保有していた33.4%と併せて、発行済株式の過半数を保有することとなり、同社を連結子会社としました。ローソン社は、コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズシステム及び直営店舗の運営を行うとともに、海外コンビニエンス事業及びそれ以外の周辺事業を運営しています。ローソン社の店舗網は、2021年2月末時点で、日本全国に約14,500店、海外に約3,500店の合計約18,000店の規模になっています。
当連結会計年度において、新型コロナウイルスの影響による足元の業績悪化や先行き不透明な状況等を踏まえ、当社として同社の事業計画を見直したことを背景に、取得時に認識した「のれん」及び「無形資産」の一部について、税後836億円(当社持分)の減損損失を計上しました。
今後も事業環境が悪化した場合には、ローソン社の業績や、「のれん」の減損などを通じて当社の業績に影響を与える可能性があります。当連結会計年度末の「のれん」の帳簿価額は約1,500億円(持分比率勘案前)となっています。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記14をご参照ください。
f. Enecoへの投資
当社は、2020年3月に、中部電力株式会社と共同で設立したDiamond Chubu Europe B.V.を通じて、欧州で総合エネルギー事業を展開するEneco社(以下「Eneco」)の100%の株式を約5,000億円で取得しました。
Enecoは、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)開発・供給事業、トレーディング事業、小売・新サービス事業それぞれの事業分野で高い競争力・適応力を有する総合エネルギー事業会社です。
当社は、Enecoの再エネに関する技術力・ノウハウを活用し、欧州及び欧州外で再エネ開発を加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現に資する取り組みを強化する方針です。
電力需要や欧州マクロ経済が低迷する場合には、Enecoの業績や、取得時に認識した「のれん」の減損などを通じて当社の業績に影響を与える可能性があります。当連結会計年度末の「のれん」の帳簿価額は約1,100億円(持分比率勘案前)となっています。
当社は、国内外で多くの拠点を持ち、あらゆる産業を事業領域としてビジネスを展開していることから、関連する法令・規制は多岐にわたっています。具体的には日本の会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、贈収賄関連諸法、貿易関連諸法、環境関連諸法や各種業法を遵守する必要があり、また海外で事業を展開する上では、それぞれの国・地域での法令・規制に従う必要があります。
当社はコンプライアンス委員会を設け、その委員会を統括するチーフ・コンプライアンス・オフィサーが連結ベースでの法令・規制遵守を指揮・監督しています。その指揮・監督の下、各営業グループ及びコーポレートスタッフ部門においても、各グループ・部門のコンプライアンス・オフィサーが、固有のコンプライアンス施策の立案・実施をするなど、コンプライアンス意識を高めることに努めています。また、当社は、子会社及び関連会社(上場会社は除く)に対して、当社と同等の水準で各社に適したコンプライアンス管理体制を構築させ、又はさせるように努めています。
しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、関連する法令・規制上の義務を実行できない場合には、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ危機的な事象が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。
当社では、緊急危機対策本部を設置し、危機発生時における当社関係者の安全確保・安否確認等の初動対応、重要業務の事業継続計画(BCP)の整備、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、定期訓練、必要物資の備蓄等の各種対策を講じています。また、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく初動対応・事業継続計画(BCP)の策定、継続的なPDCAサイクルの実施等の包括的なマネジメント活動である事業継続マネジメント(BCM)を推進し、各種危機に備えています。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に関しては、産業医を加えた緊急危機対策本部を中心に、「社員の感染予防・感染拡大防止」と「適切な事業継続」の観点から、必要な措置を迅速に実行しています。国内においては、社員の安全を最優先としつつ、事業・業務の推進を図る方針の下、2020年4月以降緊急事態宣言が発令されている期間においては、政府及び各自治体の要請に従い、衛生管理の徹底や会食・出張の自粛、出勤者数の管理・運用などを適切に実行しています。緊急事態宣言解除下においても、各地域の感染状況や政府及び各自治体の要請に従い、会食・出張等の判断、在宅勤務を活用した業務推進体制の確立・運用などを適切に実行しています。今後も感染状況や、政府・自治体の要請も踏まえ、都度必要な措置を講じていきます。また、海外についても、各国の感染拡大状況や医療状況を個々に見極め、迅速に社員や家族の国外退避や在宅勤務体制への移行、及び再渡航の判断を行ってきました。引き続き各国の情勢や規制に応じ、安全状況を十分に確認した上で、適切な事業継続を図っていきます。
しかし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。
異常気象の頻発による水資源への影響や、人口動態・自然界の生物多様性に与える影響、これに伴う食糧資源や自然資源への影響等、気候変動がもたらす影響は、地球環境や人類、企業活動にとり重大であるとともに、当社事業の継続性、並びに当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
気候変動に関連して生じるリスクは、カーボンプライシング(炭素税等)や各種規制拡大による操業・設備コストの増加、既存技術に依拠する製品・サービスの陳腐化等の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と、渇水・洪水等による事業の操業への影響等の物理的リスクに大別されます。「経済価値」「社会価値」「環境価値」の三価値同時実現を目指している当社は、「低炭素社会への移行」を「サステナビリティ重要課題」の一つとして特定し、これら気候変動関連リスクに対応しています。
具体的には、重要な気候変動関連リスクをサステナビリティ・CSR委員会において特定の上、事業への影響を評価するとともに、特に影響の大きな事業に関しては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言も踏まえて2℃シナリオ分析を実施し、分析結果を当該事業の戦略に反映しています。また、これら一連の内容は、取締役会にも報告を行っています。
なお、気候変動の問題は、再生可能エネルギー、電気自動車、エシカル消費等、新技術・代替製品の開発・普及を促すことから、当社にとっては新規ビジネス機会の増加に繋がる側面があります。
財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。
当連結会計年度の経済環境は、主要国経済が新型コロナウイルス感染症による影響から総じて回復に向かう中で、中国に続いて米国が回復基調を強めた一方、日本は完全な経済正常化には至らず、欧州では経済回復に時間を要する状況に陥るなど、地域・国ごとの差異が見られました。新興国経済も総じて持ち直しつつも、一部では感染再拡大に伴う景気の下押し圧力が続きました。
このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。当連結会計年度における主な取組みや、経営環境に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「2.中期経営戦略2021の進捗」及び「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」もご参照ください。
当連結会計年度の収益は、石油事業における取引減少などにより、前連結会計年度を1兆8,952億円(13%)下回る12兆8,845億円となりました。
当連結会計年度の売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落やCVS事業における加盟店収入の減少などにより、前連結会計年度を1,840億円(10%)下回る1兆6,051億円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルスの影響による営業活動の縮小などにより、前連結会計年度から335億円(2%)減少し、1兆3,977億円となりました。
当連結会計年度の有価証券損益は、前連結会計年度に計上した食品産業事業における関係会社株式の売却益及び評価益の反動などにより、前連結会計年度を48億円(7%)下回る621億円(利益)となりました。
当連結会計年度の固定資産除・売却損益は、前連結会計年度に計上したCVS店舗関連固定資産の除・売却損の減少などにより、前連結会計年度を16億円上回る15億円(利益)となりました。
当連結会計年度の固定資産減損損失は、ローソン宛てのれん及び無形資産の減損損失などにより、前連結会計年度から1,711億円(520%)悪化し2,040億円となりました。
当連結会計年度のその他の損益は、為替関連損益の変動などにより、前連結会計年度から436億円改善し、180億円(利益)となりました。
当連結会計年度の金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の減少や米ドル金利の低下による受取利息の減少などにより、前連結会計年度を555億円(32%)下回る1,178億円となりました。
当連結会計年度の金融費用は、米ドル金利の低下などにより、前連結会計年度から237億円(34%)減少し、463億円となりました。
当連結会計年度の持分法による投資損益は、三菱自動車工業における減損損失等の取り込みや持分利益の減少などにより、前連結会計年度を822億円(46%)下回る971億円(利益)となりました。
当連結会計年度の税引前利益は、上記の理由から、前連結会計年度を3,954億円(61%)下回る2,535億円となりました。
当連結会計年度の法人所得税は、豪州原料炭事業等における利益減少の一方、前連結会計年度に計上したチリ銅事業再編に係る一過性利益の反動などにより、前連結会計年度から646億円(114%)負担増の1,213億円となりました。
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期純損益は、前連結会計年度から971億円減少し、403億円(損失)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を3,628億円(68%)下回る1,726億円となりました。これにより、ROEは3.2%となりました。
(以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。)
天然ガスグループは、北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から465億円(9%)増加し、5,923億円となりました。
売上総利益は、LNG関連事業における取引利益の増加などにより、前連結会計年度から41億円(20%)増加し、250億円となりました。
持分法による投資損益は、LNG関連事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度から29億円(9%)減少し、295億円となりました。
上記のほか、LNG関連事業における受取配当金の減少などにより、当期純利益は212億円となり、前連結会計年度と比較して491億円(70%)の減少となりました。
総合素材グループは、自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、炭素、鉄鋼製品、機能素材など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、鉄鋼製品事業における取引減少などにより、前連結会計年度から3,964億円(20%)減少し、1兆5,712億円となりました。
売上総利益は、鉄鋼製品事業における取引利益の減少などにより、前連結会計年度から351億円(25%)減少し、1,050億円となりました。
持分法による投資損益は、鉄鋼製品事業や炭素事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度から46億円(61%)減少し、30億円となりました。
当期純利益は47億円となり、前連結会計年度と比較して214億円(82%)の減少となりました。
石油・化学グループは、原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、石油事業における取引減少などにより、前連結会計年度から2兆912億円(52%)減少し、1兆9,418億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に「原価」等に計上したシンガポールの原油・石油製品トレーディング会社における原油デリバティブ取引関連損失343億円の反動などにより、前連結会計年度から349億円(58%)増加し、955億円となりました。
持分法による投資損益は、石油化学事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度から32億円(40%)減少し、49億円となりました。
当期純利益は262億円となり、前連結会計年度と比較して382億円の増加となりました。
金属資源グループは、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、豪州原料炭事業における市況下落による影響の一方、金属資源トレーディング事業における取引価格及び取引数量上昇の影響などにより、前連結会計年度から1,099億円(6%)増加し、1兆8,532億円となりました。
売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落による影響などにより、前連結会計年度から1,600億円(67%)減少し、786億円となりました。
持分法による投資損益は、チリ鉄鉱石事業における持分利益の増加や前連結会計年度に計上した海外製錬事業における減損損失の反動などにより、前連結会計年度から211億円(138%)増加し、364億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に「法人所得税」に計上したチリ銅事業再編に伴う一過性利益767億円の反動などにより、当期純利益は781億円となり、前連結会計年度と比較して1,342億円(63%)の減少となりました。
産業インフラグループは、エネルギーインフラ、産業プラント、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、千代田化工建設の子会社化による影響などにより、前連結会計年度から675億円(13%)増加し、5,801億円となりました。
売上総利益は、レンタル事業における取引利益の減少などにより、前連結会計年度から62億円(7%)減少し、882億円となりました。
持分法による投資損益は、千代田化工建設の子会社化による影響などにより、前連結会計年度から150億円(52%)減少し、141億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に計上した千代田化工建設子会社化に伴う一過性利益の反動や一般商船事業における一過性損失などにより、当期純利益は212億円となり、前連結会計年度と比較して202億円(49%)の減少となりました。
自動車・モビリティグループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から426億円(6%)増加し、7,537億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から76億円(6%)増加し、1,371億円となりました。
持分法による投資損益は、三菱自動車工業における持分利益の減少や海外投資先における固定資産減損損失などにより、前連結会計年度から505億円減少し、614億円(損失)となりました。
当期純損失は281億円となり、前連結会計年度と比較して477億円の減少となりました。
食品産業グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から525億円(3%)減少し、1兆6,469億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から237億円(9%)減少し、2,313億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度から16億円(9%)減少し、170億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に計上した海外食品事業における一過性利益の反動などにより、当期純利益は394億円となり、前連結会計年度と比較して138億円(26%)の減少となりました。
コンシューマー産業グループは、小売・流通、物流、ヘルスケア、衣料、タイヤ他の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、CVS事業における加盟店収入の減少などにより、前連結会計年度から1,830億円(5%)減少し、3兆2,248億円となりました。
売上総利益は、CVS事業における加盟店収入の減少や食品流通事業における取引利益の減少などにより、前連結会計年度から792億円(10%)減少し、6,839億円となりました。
持分法による投資損益は、海外アパレル関連事業やタイヤ関連事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度から53億円(43%)減少し、71億円となりました。
上記のほか、ローソン宛てのれん及び無形資産の減損損失などにより、当期純損失は732億円となり、前連結会計年度と比較して959億円の減少となりました。
ローソン宛てのれん及び無形資産の減損損失については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記14をご参照ください。
電力ソリューショングループは、国内外の産業の基盤である電力関連事業における幅広い分野に取り組んでいます。具体的には、発・送電事業、電力トレーディング・小売事業や発送電設備販売に加え、リチウムイオン電池の製造や、無電化地域での分散電源事業等の電池サービス事業、水素エネルギー開発等を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、Eneco社子会社化による影響などにより、前連結会計年度から5,443億円(665%)増加し、6,262億円となりました。
売上総利益は、Eneco社子会社化による影響などにより、前連結会計年度から718億円(175%)増加し、1,129億円となりました。
持分法による投資損益は、海外電力事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度から102億円(35%)減少し、192億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に計上したEneco社子会社化による評価益の反動などにより、当期純利益は423億円となり、前連結会計年度と比較して92億円(18%)の減少となりました。
複合都市開発グループは、都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、交通EPC取引の増加などにより、前連結会計年度から244億円(37%)増加し、895億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から4億円(1%)増加し、386億円となりました。
持分法による投資損益は、航空機リース事業における減損損失等の取り込みや持分利益の減少、及び空港関連事業における持分利益の減少などにより、前連結会計年度から100億円(27%)減少し、276億円となりました。
当期純利益は254億円となり、前連結会計年度と比較して89億円(26%)の減少となりました。
「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください。
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。
販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ、外貨建社債等による調達を行いました。
これらの資金調達活動の結果、当連結会計年度末のグロス有利子負債(リース負債除く)残高は、前連結会計年度末から1,158億円減少し5兆6,443億円となり、このうち85%が長期資金となっています。有利子負債のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。なお、当社単体のグロス有利子負債残高は4兆1,177億円であり、このうち長期資金は78%を占め、平均残存期間は約6年となっています。
翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取組みも継続します。
金融市場の環境は、地政学的リスクや主要国の金融政策の変化など、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持してまいります。
連結ベースでの資金管理体制については、当社を中心に国内外の金融子会社、海外現地法人等において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則としています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち83%が当社、国内外の金融子会社、海外現地法人等による調達となっています。今後も連結経営の深化を見据え、連結ベースでの資金管理体制の更なる充実を図ります。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースでは132%となっており、流動性の点で当社の財務健全性は高いといえます。また、当連結会計年度末時点の当社、米国三菱商事、Mitsubishi Corporation Finance、MC Finance & Consulting Asia、MC Finance AustraliaでCP及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が4,251億円あるのに対して、現預金、フィーを支払って確保しているコミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で1兆2,838億円あり、カバー超過額は8,587億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。
当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。3社の2020年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがAA-/a-1+(見通し安定的)、ムーディーズがA2/P-1(見通しネガティブ)、S&PがA/A-1(見通し安定的)となっています。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より6,016億円(3%)増加し、18兆6,350億円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より1,655億円(2%)増加し、7兆1,029億円となりました。これは、石油化学事業及び金属資源トレーディング事業における販売価格の上昇や取引数量の増加により営業債権及びその他の債権が増加したことなどによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末より4,361億円(4%)増加し、11兆5,321億円となりました。これは、豪州原料炭事業において豪ドル高に伴う為替換算の影響により有形固定資産が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より2,801億円(2%)増加し、12兆966億円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より239億円(0%)増加し、5兆3,702億円となりました。これは、石油化学事業及び金属資源トレーディング事業における販売価格の上昇や取引数量の増加により営業債務及びその他の債務が増加した一方、返済に伴い社債及び借入金が減少したことなどによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末より2,561億円(4%)増加し、6兆7,264億円となりました。これは、新規資金調達に伴い社債及び借入金が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より3,215億円(5%)増加し、6兆5,384億円となりました。
当連結会計年度末の当社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末より3,862億円(7%)増加し、5兆6,136億円となりました。これは、主に配当の支払いにより利益剰余金が減少した一方、豪ドル高の影響による在外営業活動体の換算差額の増加や、連結純利益の積み上がりにより利益剰余金が増加したことなどによるものです。
また、非支配持分は、前連結会計年度末より648億円(7%)減少し、9,247億円となりました。
有利子負債総額から現金及び現金同等物や定期預金を控除したネット有利子負債(リース負債除く)は、前連結会計年度末より1,579億円(4%)減少し、4兆1,784億円となりました。
また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。
(前連結会計年度)
(単位:億円)
(単位:億円)
(※)前連結会計年度末における「電力ソリューション」、「その他、調整・消去」及び「連結金額」については、企業結合に係る暫定的な金額の確定に伴う修正を遡及的に反映しています。
(当連結会計年度)
(単位:億円)
(単位:億円)
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ50億円減少し、1兆3,178億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は1兆176億円増加しました。これは、法人所得税や利息の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入、新型コロナウイルスの影響等による取引減少に伴う運転資金の負担減などにより資金が増加したものです。
また、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、新型コロナウイルスの影響等による取引減少に伴う運転資金の負担減などにより、前連結会計年度と比較して、1,679億円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は3,573億円減少しました。これは、その他の投資や関連会社への投資の売却などによる収入があったものの、設備投資、関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度のEneco社の取得に伴う支出の反動などにより、前連結会計年度と比較して、1,434億円の増加となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資
・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)
・LNG関連事業(天然ガス)
・HERE Technologies社宛て投資(その他)
・北米不動産事業(複合都市開発)
・豪州原料炭事業(金属資源)
・銅事業(金属資源)
売却及び回収
・上場有価証券(その他・食品産業・コンシューマー産業など)
・北米シェール事業(天然ガス)
・北米不動産事業(複合都市開発)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは6,603億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は6,912億円減少しました。これは、リース負債の返済や配当金の支払い、短期借入債務の返済などにより資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金需要減等に伴う借入金の返済などにより、前連結会計年度と比較して、5,346億円の減少となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、「中期経営戦略2018」期間中のキャッシュ・フローや適切な資本水準などを考慮の上、資本効率の向上を図るために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当連結会計年度において6,252億円の資金増となりました。
また、前連結会計年度と比較して469億円の減少となりました。
この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、2,679億円の資金増となりました。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
特に記載すべき事項はありません。
特に記載すべき事項はありません。
(注意事項)
本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末時点で入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。