第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
また、以下の見出しに付された項目番号は、前連結会計年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク 2. 主要なリスクの概要」の項目番号に対応したものであり、文中の下線部分が変更箇所です。

 

① 世界マクロ経済環境の変化によるリスク

世界的な、又は地域的なマクロ経済環境の変化は、個人消費や設備投資と深く関係し、商品市況にも影響を及ぼします。その結果、当社がグローバルかつ多様な産業領域に展開している事業の商品・製品価格、取扱量やコストなどに変動をもたらし、経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当中間連結会計期間においては、米国の関税政策の影響が広がる中、世界経済は減速しつつも、総じて底堅い成長を維持しました。当面は緩やかな成長を維持していくと見られますが、米中対立、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢等地政学リスクに加え、米国の通商政策・金融政策の動向、中国景気の弱含み等、不確実性が非常に高く、動向を注視しています。

 

② 市場リスク

以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。

 

a. 商品市況リスク

(エネルギー資源)

当社は北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・石油の開発・生産事業、液化天然ガス(LNG)事業を行っており、天然ガス・原油価格は当社の業績に重要な影響を与えます。

原油(Brent)価格は、5月に60米ドル台前半まで弱含んだ後、上昇要因として中東の地政学的緊張の高まり、下落要因としてOPECプラスによる協調減産の縮小(自主減産の段階的解除)、加えて、米国の在庫動向等を織り込みながら、6月から9月にかけては概ね60米ドル台後半から70米ドル台前半のレンジで推移しました。市場は依然として高いボラティリティを示しており、OPECプラス・非OPEC諸国による協調減産の動向、地政学的要因、さらには世界経済の動向(特に中国の景気回復ペースや米国の関税政策など)が価格変動の主要要因となっています。

なお、当社のLNG販売の大半は長期契約であり、LNG価格は原油価格にリンクしているものが大宗となります。1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じて年間約20億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。

LNG市況については、当社LNG販売の一部がスポット契約で構成されており、4月時点のアジアのスポットLNG価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり11-12米ドル台で安定していました。しかし、6月末にはイスラエルによるイラン攻撃を契機に地政学的緊張が高まり、一時的に14米ドル台後半まで上昇しました。その後、停戦の兆しが見られたことから緊張が緩和し、価格は再び高騰前の12米ドル台に戻りました。夏季以降はアジア域内需要の伸び悩みを背景に弱含み、9月末時点では11米ドル台後半まで下落しており、中東の地政学リスクが顕在化する以前の価格水準に戻っています。

 

④ カントリーリスク

当社は、海外の会社との取引や出資において、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。

当社はリスクの集中度を検証し必要な対応策を検討・実施すべく、コーポレート担当役員(CFO)を委員長とするALM委員会で国別ポートフォリオやリスク状況の定期モニタリングを行っています。

また、各種リスク要因を踏まえた各国ごとのリスクシナリオを把握した上で、個別案件のカントリーリスクについて、保険を付保するなど、案件の状況に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。ロシア、ウクライナ両国宛てリスクについても、同様に管理しています。

しかしながら、上記のようなリスクヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先若しくは進行中のプロジェクト所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難です。そのような事態が発生した場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

なお、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、第4 経理の状況 要約中間連結財務諸表注記4をご参照ください。

 

⑤ 事業投資リスク

(重要な投資案件)

d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト

当社は、カナダにおいて上流資源開発からLNGの生産・輸出販売に至る天然ガスバリューチェーンを構築しています。上流事業として、パートナーのOvintiv社と共に、当社100%出資子会社のCUTBANK DAWSON GAS RESOURCES LTD.(以下、CDGR社)を通じてシェールガスの開発事業を行っています。当社グループの権益保有比率は40%で、当中間連結会計期間末時点の「持分法で会計処理される投資」の帳簿価額は2,589億円となっています。
CDGR社は、10月1日付でパートナーであるOvintiv社との協定を改訂し、傘下に新設した会社へ事業関連資産及び負債を移管しています。本シェールガス開発プロジェクトの活動に係る意思決定については、CDGR社及びOvintiv社による全会一致の合意を必要とする取り決め(共同支配の取決め)があり、CDGR社は当該取り決め及び上記改訂を踏まえ、新会社が保有する資産に対する権利及び負債に対する義務を実質的に有していると判断しています。このため、新会社への投資をジョイント・オペレーション(共同支配事業)としており、持分法の適用を中止し、共同支配の営業活動から生じる資産、負債、収益及び費用のうち、連結会社の持分相当額を認識します。なお、当該変更に伴い、上記「持分法で会計処理される投資」が減少し、主に「有形固定資産」が増加します。

また、生産された天然ガスの一部をLNGとして輸出販売するため、事業パートナーと共に2018年にLNGカナダプロジェクトの最終投資決定をしました。同プロジェクトは、年間1,400万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を建設し、日本など東アジアの需要国向けにLNGを輸出販売する事業で、2025年6月から生産を開始しています。当社は子会社であるDiamond LNG Canada傘下のDiamond LNG Canada Partnershipを通じて参画しており、パートナーであるShell社、Petronas社、PetroChina社、韓国ガス公社と共に同プロジェクトを推進しています。当中間連結会計期間末時点のDiamond LNG Canadaの有形固定資産帳簿価額は3,973億円、使用権資産帳簿価額は2,215億円となっています。

 

⑦ 危機事象発生による人命への被害・事業中断等のリスク

地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症、重大事故、テロ・暴動、サプライチェーンの遮断、法令違反・サイバー事故、東アジア・欧州・中東等における地政学的要因による有事発生、その他国内外における危機的な事象が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。

当社では、緊急危機対策本部を設置し、危機発生時における当社関係者の安全確保・安否確認等の初動対応、重要業務の事業継続計画(BCP)の整備、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、定期訓練、必要物資の備蓄等の各種対策を講じています。また、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく初動対応・事業継続計画(BCP)の策定、継続的なPDCAサイクルの実施等の包括的なマネジメント活動である事業継続マネジメント(BCM)を推進し、各種危機に備えています。しかし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 重要な会計上の見積り

当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第4 経理の状況 要約中間連結財務諸表注記4をご参照ください。

 

(2) 業績

当中間連結会計期間においては、米国の関税政策の影響が広がる中、世界経済は減速しつつも、総じて底堅い成長を維持しました。日本経済に関しては、雇用・所得環境が改善する中で個人消費は緩やかな成長を続けたものの、海外経済減速や先行き不透明感を背景とした輸出・設備投資の下押し等を受けて、景気はやや弱含みで推移しました。

業績の分析は下表のとおりです。

(単位:億円)

前中間連結
会計期間

当中間連結
会計期間

増減

主な増減要因

収益

93,548

86,378

△7,169

ローソン持分法適用会社化に伴う減少

売上総利益

10,586

7,065

△3,521

ローソン持分法適用会社化に伴う減少

販売費及び一般管理費

△8,633

△5,838

+2,795

ローソン持分法適用会社化に伴う減少

有価証券損益

2,230

398

△1,831

前年度に計上したローソン持分法適用会社化に伴う再評価益の反動

固定資産除・売却損益

1,345

△90

△1,435

前年度に計上した豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益の反動

固定資産減損損失及び戻入

17

△12

△29

前年度に計上した有形固定資産減損戻入の反動

その他の損益-純額

503

△84

△587

前年度に計上した千代田化工建設関連引当金の戻入の反動

金融収益

1,569

1,595

+26

貸付金減少による金利収益の減少の一方、受取配当金が増加

金融費用

△886

△818

+68

ローソン持分法適用会社化に伴う減少

持分法による投資損益

2,304

2,369

+64

税引前利益

9,035

4,585

△4,450

法人所得税

△2,075

△669

+1,406

中間純利益

6,960

3,916

△3,044

中間純利益
(当社の所有者に帰属)

6,181

3,558

△2,623

 

※四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。

 

 

事業セグメント別の業績は下表のとおりです。(中間連結会計期間における「当社の所有者に帰属する中間純利益」を示しています。セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第4 経理の状況 要約中間連結財務諸表注記5をご参照ください。)

(単位:億円)

前中間連結
会計期間

当中間連結
会計期間

増減

主な増減要因

地球環境エネルギー

946

858

△88

[+]LNGアジアパシフィック事業(配当計上時期の差異)

 

[-]LNG北米事業(生産開始に伴うコスト先行)

マテリアルソリューション

369

201

△168

[-]北米樹脂建材事業(市況下落)、資源素材事業(取引低調)、鉄鋼製品事業(取引低調)

金属資源

1,957

416

△1,541

[-]豪州原料炭事業(前年度炭鉱売却の反動及び市況下落)、鉄鉱石事業(コスト増・市況下落)

社会インフラ

1

429

+428

[+]北米不動産開発事業(前年度減損・売却損の反動)、千代田化工建設(前年度米国ゴールデンパスLNGプロジェクト関連引当繰入の反動)、エネルギーインフラ関連事業(完工損益)

モビリティ

550

387

△163

[-]自動車事業(市況低迷・米国関税影響等)

食品産業

604

341

△263

[+]TH FOODS株式売却

 

[-]前年度日本KFCホールディングス株式売却益の反動、前年度PRINCES株式売却益の反動、海外食品原料事業(前年度税金損益の反動)

S.L.C.

1,563

492

△1,071

[+]ローソン(過年度配当受領に伴う税効果取り崩し)

 

[-]ローソン(前年度持分法適用会社化に伴う再評価益の反動)

電力ソリューション

△66

168

+234

[+]国内電力事業(資産・事業リサイクル関連損益増)、欧州電力事業(欧州総合エネルギー事業における持分利益増)

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,928億円減少し、1兆3,438億円となりました。キャッシュ・フローの内訳は下表のとおりです。

(単位:億円)

前中間連結
会計期間

当中間連結
会計期間

増減

当中間連結会計期間の内訳
及び主な増減要因

営業活動による

キャッシュ・フロー

9,515

4,280

△5,235

(当中間連結会計期間の内訳)
法人所得税の支払いの一方、営業収入や配当収入により資金が増加

 
(主な増減要因)

営業収入や配当収入の減少

投資活動による

キャッシュ・フロー

△3,925

△1,988

+1,937

(当中間連結会計期間の内訳)
その他の投資の売却による収入の一方で、その他の投資の取得や設備投資により資金が減少

 
(主な増減要因)
前年度のローソン持分法適用会社化に伴う現預金減少の反動等により増加

フリーキャッシュ・フロー

5,590

2,292

△3,298

財務活動による

キャッシュ・フロー

△9,804

△4,218

+5,586

(当中間連結会計期間の内訳)

社債・借入債務の調達の一方、自己株式の取得、配当金の支払い、子会社持分追加取得により資金が減少

 
(主な増減要因)
社債・借入による調達増加

現金及び現金同等物に係る
為替相場変動の影響額

51

△3

△55

売却目的保有資産に含まれる現金及び現金同等物の増減額

4,088

△4,088

前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有からの振り戻しによる資金の増加の反動

現金及び現金同等物の増減

△75

△1,928

△1,853

 

 

営業収益
キャッシュ・フロー
 

5,273

4,463

△810

(当中間連結会計期間の内訳)
リース負債の支払いの一方、中間純利益や配当収入により資金が増加

 
(主な増減要因)
主に減価償却費等や有価証券損益及び固定資産損益を除く中間純利益の減少

 

 

財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、持続的な稼ぐ力とその成長性を測る指標として、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー」を定義しています。

 

投資キャッシュ・フローの主な内容は下表のとおりです。

新規・更新投資

売却及び回収

・天然ガス・LNG関連事業(地球環境エネルギー)

・米州電力事業(電力ソリューション)

・フィリピンデジタル金融事業(S.L.C.)
・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)
・シンガポール医療事業(S.L.C.)

・豪州原料炭事業(金属資源)
・サーモン養殖事業(食品産業)

・豪州原料炭事業(金属資源)

・銅事業(金属資源)
・海外食品事業(食品産業)

・北米シェールガス事業(地球環境エネルギー)
・北米不動産事業(社会インフラ)
・海外水事業(社会インフラ)

・国内不動産事業(社会インフラ)
・データセンター事業(社会インフラ)

 

 

株主還元は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としており、これに加えて機動的な追加還元として自己株式の取得も実施します。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。

 

(4) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題

当中間連結会計期間末における事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題について、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

特に記載すべき事項はありません。

 

(注意事項)

当報告書の将来の予測などに関する記述は、当中間連結会計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。したがって、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。

 

3 【重要な契約等】

  特に記載すべき事項はありません。