文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針、経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループでは、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を対象とする中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」を策定し、環境変化にも適切に対応し安定的に連結経常利益10億円を創出できる企業・収益体質を構築することを目標として取組みを進めております。
当社グループの中長期的な経営戦略としては、現状の収益構造が食品関連に依存していることを踏まえ、食品関連においてさらなる事業拡大を強力に推進しながら、物資関連・繊維関連・電子関連がそれぞれ早期に収益基盤を確立・安定化することで、すべてのセグメントが収益を拡大しつつバランスの取れた事業ポートフォリオを構築することを目指しています。
また当社グループでは、経営目標の達成状況を客観的に判断するための指標として、中期経営計画最終年度となる2024年3月期経営計画におけるセグメント利益の構成比率及び連結経常利益額の目標を以下のとおりとしています。
(注)2024年3月期における中期経営計画(当初計画)の全社費用等は、費用が大きく増える要素はありませんが、新型コロナウイルス感染症の影響や為替リスクなど想定外のリスクを考慮した金額としたものであります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞していた経済活動が回復基調にある一方で、ウクライナ情勢の長期化や原油をはじめとする資源高の進行に対する懸念が続き、わが国経済においては、さらに為替相場の急激な変動、消費者物価指数の急上昇などの影響を受け、先行きの見通しは依然不透明感が拭えない状態が続いております。
当社グループにおきましては、中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」の最終年度にあたる2024年3月期は、「環境変化にも適切に対応し安定的に連結経常利益10億円を創出できる企業・収益体質を構築する」ための基礎固めの総仕上げをする年度と位置付け、すべてのセグメントがさらに収益を拡大しつつ、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築することを引き続き目指します。また、一時的な利益減少要因とはなるものの、ベースアップの実施や社員教育拡充など、今後の事業拡大に不可欠な重要課題として、人的資本への投資をはじめ、より一層人的資本経営の推進に取組んでまいります。
セグメント別の取組みとしましては、まず確固たる収益基盤を有する食品関連においては、冷凍食品販売事業における既存分野の深耕及び販路・カテゴリー・産地の拡充により、収益のさらなる拡大を目指します。物資関連においては、日本の優れた技術・製品の輸出拡大や海外での適地調達による機能するサプライチェーンの強化により、グローバルな展開を一層推進し、収益力を盤石なものにしてまいります。繊維関連においては、当連結会計年度に決定し進めている不採算事業からの撤退を最小限のコストで滞りなく終え、新たな中核事業として位置付けたテレビショッピング向け事業での事業拡大・収益基盤の強化を進めてまいります。独自の技術力という強みを有する電子関連においては、センサ機器分野では、高付加価値製品やシステム・サービスの開発によりさらに収益性の高い事業構造への移行を進めるとともに、計測・試験機器分野では、医薬物流分野での事業構築を急ぎ、コンデンサ分野では、産業・自動車市場へのさらなる深耕で収益安定化を進めます。
さらに、新規事業や新たなビジネスモデルの開発をこれまで以上に強力な体制で進めるとともに、各事業における既存のビジネスモデルの進化や新たな戦略構築、業務プロセスの高度化と生産性の向上を図ることを目標としたDXの推進を継続いたします。財務面においては、安定した収益確保による自己資本の充実や総資産の効率的運用により自己資本比率を向上させてまいります。
また、監査等委員会及び指名・報酬委員会の機能をさらに高め、コーポレートガバナンスを一層強固なものとするとともに、人々の様々な豊かさと持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ経営の推進にも積極的に取組むことに加え、株主や投資家の皆さまに当社グループをよりご理解いただくための情報発信(IR)をさらに強化いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関する取組み
当社グループは、「新しい価値の創造につとめ豊かな社会づくりに貢献します」という経営理念の下、食品・物資・繊維・電子という人々の生活に関わる事業分野で、暮らしを豊かにする安全で安心な製品・商品及びサービスを提供するよう日々努めております。
このような中、2015年に国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)が示す社会課題解決に向けて取組むことは、新たな事業機会の創出や事業成長にもつながるものであり、環境問題をはじめとする各種課題への企業の取組みが注目される中での社会的責任でもあるとの考えに基づき、サステナビリティの取組みを重要な経営テーマとして推進していくこととしており、その基礎となる考え方を示すものとして、以下のとおり「神栄グループサステナビリティ基本方針」を定めております。
<ガバナンス>
当社の取締役会は、当社グループにおけるリスクマネジメントに関する組織と運営について定め、これを確立・維持・継続的に改善し、より実効性の高いリスクマネジメントシステムを構築することによってリスクの発生を防止することにより、企業価値の増大を図ることを目的として、「神栄グループリスクマネジメント規則」を制定し、サステナビリティ関連を含む当社グループのリスク全般を統括管理する当社グループ横断的な常設の機関として、当社の代表取締役を委員長とする内部統制委員会を設置しております。また、内部統制委員会の下部組織の1つとしてリスクマネジメント小委員会を常設し、リスクマネジメント計画の企画立案や実施を担わせております。リスクが顕在化した場合には、個別の事案ごとに重大性を勘案し、危機管理対策委員会又はリスク対策委員会を必要に応じ設置して、対策を行うこととしております。
当社の取締役会は、当社グループにおける環境問題をはじめとする各種社会課題に関するサステナビリティの取組みを推進することにより、持続可能な社会の実現を図るとともに、当社グループの持続的成長と企業価値向上を目指すことを目的として、「神栄グループサステナビリティ推進委員会規則」を制定し、当社グループのサステナビリティ活動全般を統括管理する当社グループ横断的な常設の機関として、当社の代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。また、サステナビリティ推進委員会の下部組織として、事業特性等に応じた的確な推進活動を行うべく本部ごとに小委員会を設置するとともに、グループを横断する特定の課題に対応する環境問題分科会及び持続的調達関連分科会を設置し、それぞれの課題の整理・解決に向け取組んでおります。
内部統制委員会及びサステナビリティ推進委員会には、構成員である取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)及び取締役を兼務しない執行役員並びに当社の部長及び子会社社長(執行役員が兼務する者を除く)とともに、オブザーバーとして常勤監査等委員である取締役及び社外取締役も出席することとしており、幅広い意見交換を可能としております。
なお、当社グループにおけるガバナンス体制図は下図のとおりであります。

<戦略>
当社グループでは、「神栄グループサステナビリティ基本方針」を具現化し、企業として社会的責任を果たすとともに持続的成長を目指すために取組むべきと考える重要度の高い課題である「マテリアリティ」について、事業や分野ごとに重要度が比較的高いと考えられる課題を選定したうえで、ステークホルダーである取引先・大株主・従業員などへのヒアリングを経て、それぞれの重要度評価を確認し、以下のとおり取締役会において決議しております。
各マテリアリティについては、中期的な取組目標を設定したうえで、各小委員会及び各分科会においてアクションプランを策定し、アクションプランに基づき取組みを進めております。各取組みについては、経営理念や事業部門の各本部がそれぞれ定めたパーパスに基づき、事業拡大や事業創出、事業を通じた社会貢献の実現を目指すものであり、アクションプランの内容は、各本部が策定する単年度の経営計画等にも反映し、また今後は中期経営計画にも反映することとして、戦略的に推進してまいります。
<リスク管理>
サステナビリティ関連を含む当社グループにおけるリスクについては、「神栄グループリスクマネジメント規則」に基づき、各部署において発生し得るリスクを抽出し、各リスクについて、その発生頻度及び金銭的損失や人身・人命への被害、信用低下その他の要素を含めた影響度を評価し、対応策や対応状況とともにリスクマネジメント小委員会に報告することとしております。報告を受けたリスクマネジメント小委員会は、その内容を検証し、内部統制委員会に提出し、内部統制委員会において確認・協議いたします。また、影響度が一定以上のリスクなど、当社グループ全体で取組むべきリスクについては、内部統制委員長の指示の下、リスクマネジメント小委員会が対応することとしております。
上記<戦略>に記載のとおり、サステナビリティの取組みにおけるマテリアリティについては、各項目に基づく取組目標を達成するため、サステナビリティ推進委員会の下部組織である各小委員会及び各分科会においてアクションプランを策定しており、アクションプランに基づき取組みを進めるとともに進捗管理を行い、これらの結果をサステナビリティ推進委員会に報告し、サステナビリティ推進委員会において確認・協議いたします。また、マテリアリティや具体的な取組目標の見直しについて、サステナビリティ推進委員会において検討することとしております。
また、当社グループのサステナビリティについての取組みの詳細につきましては、以下の当社ウェブサイトに掲載しております。
https://www.shinyei.co.jp/sustainability/
(2) 人的資本経営に関する取組み
<戦略>
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
当社グループでは、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を対象に策定した中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」において、基本方針に「ヒューマンリソースの確保・育成」を掲げ、優秀な人材を採用し活用し続けることができるよう、社員のやりがいや多様な働き方などにおいて満足度を高め、会社と社員が互いの期待に応え続ける関係の構築を推進しております。
多様化する社会のニーズを捉え、社会の期待に応える「新しい価値創造」を続けていくために、多様な人材がそれぞれの経験や価値観に基づき活躍できる環境が重要であるとの認識の下、育児や介護、病気療養といった事情を抱えながら働き続けることを可能とするための在宅勤務制度や、法令の水準を上回る育児・介護における休業及び所定労働時間短縮制度の整備など、柔軟で働きやすい環境を整備しております。
また、現行の「神栄グループ人事処遇制度」や研修制度を通して、個々の人材力の最大化を念頭に置き、人材の確保・育成・活用を行っております。能力開発制度は、会社が提供する教育と個人の意欲に基づく自己啓発の双方による実現を目指しております。特に自己啓発支援については、自ら学ぶテーマを内発的に設定し、能力向上に努めるとともに、仕事を通じて「より社会に貢献できる人材」となることを期待し、金銭面での補助の拡充に加え、活用を促進するための相談体制の充実や学びの環境整備など、手厚い支援体制を構築しているところであります。
労働力不足や仕事に対する価値観の変化など、働く人々を取り巻く環境は大きく変化しております。当社グループで働く人々が「働きやすさ」と「仕事のやりがい」を実感し、持てる力を最大限発揮できる環境づくりにより、当社グループの持続的成長につなげるべく、人的資本経営に取組んでまいります。
なお、人的資本経営を経営主導で推進することを明確にするため、2023年4月に「人的資本経営推進委員会」を設置いたしました。本委員会は、代表取締役社長を委員長、取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く)、本部長及び関連部署の長を委員とし、当社グループにおける人的資本経営に関する以下の重点課題に取組んでおります。
① 事業及び組織の機能の維持・拡大のための採用戦略・人材育成戦略
② 企業風土・文化の変革(働きがいの増進)
③ 健康経営の推進(従業員の心身の健康の促進)
<指標及び目標>
当社グループでは、上記<戦略>において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び当連結会計年度における実績はそれぞれ記載のとおりであります。なお、当社グループとしての取組みはすべての連結会社を対象とはしているものの、海外子会社においては国内と同一に取扱うことが困難であると考えられるため、次の指標に関する目標及び実績は、当社及び国内連結子会社(以下「対象会社」といいます。)を対象とするものであります。
また、次の指標及びこれに関する目標は、当社グループが人的資本経営に取組む上で短期的に実現すべきと考えられるものであり、今後、当社グループとして目指すべき姿を見据えた議論をさらに深め、改めて中長期的な視点での指標及び目標についても検討してまいります。
① 男性労働者の育児休業・休暇取得率(目標:2024年度までに100%、実績:28.6%)
本指標は、対象連結会計年度における、配偶者が出産した男性労働者の数に対する、育児休業をした男性労働者の数及び小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を3日以上利用した男性労働者の数の合計数の割合であります。
対象会社において育児休業をした男性労働者は、当連結会計年度においては0名ではあるものの、2017年3月期以降において複数名が長期の育児休業を取得した実績があり、また配偶者の出産時には、年次有給休暇とは別途の100%有給の特別休暇の取得が可能となっております。
次世代を担う子どもたちを安心して産み育てるための環境整備は企業の社会的責務であると認識しており、まずは育児を目的とした休暇制度の利用も含めることとして、すべての対象者が育児休業又は育児を目的とした休暇を取得できるよう、制度の見直しや取得しやすい環境づくりに取組んでまいります。
② 1人当たりの年間教育・研修費(目標:2023年度に50,000円、実績:35,545円)
本指標は、対象連結会計年度において教育・研修費に該当する勘定科目に記載された合計金額を、対象連結会計年度末日時点における対象会社の役員の数及び正規雇用労働者の合計数で除したものであります。教育・研修費には、自社主催の場合の研修講師への報酬及び会場費・教材費、外部教育機関のセミナーや通信教育・e-ラーニングの受講料、自己啓発やリスキリングに対する支援・補助などを含みますが、研修に係る旅費交通費、OJTや社内講師に係る人件費は含んでおりません。
当社グループでは、人的資本への投資として、2023年4月1日より、対象会社において、管理職を含む正社員の基本賃金を一律月額10,500円引き上げるベースアップを実施したことに加え、教育・研修計画において、階層別研修などにより人材育成を強化するとともに、リスキリングや自己啓発の取組みに対する支援を拡充するため、前期実績を大幅に上回る教育・研修費を予算化しており、計画どおりの実施を目指してまいります。
なお、人材の多様性の確保や多様な働き方への対応の観点として、「管理職に占める中途採用者の割合」や「育児休業からの復職率」についても、重要な指標であると認識しております。「管理職に占める中途採用者の割合」の実績は65.8%であり、適所適材の観点から個人の能力に応じた人材登用が行えているものと判断しております。また、「育児休業からの復職率」の実績は100%であり、育児をしながら働く従業員を受け容れる職場風土が醸成されているものと判断しております。これらの指標については、すでに適正な水準にあり、今後もこの水準が維持できるよう取組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
また当社は「神栄グループリスクマネジメント規則」に基づき、当社グループの事業の遂行上、想定し得る重要な個別リスクに関し、組織的・体系的に対処することとしております。これらの個別リスクは、当社グループ横断的に設置する常設の内部統制委員会で適切な管理を行い、リスクの未然防止を図るとともに、管理対象とすべき新たなリスクが生じた場合は、速やかに、当該リスクに対する施策を講じます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
① 自然災害、感染症及び国際情勢などにかかるリスク
当社グループは国内をはじめとして、中国、東南アジア、米国等の世界各国における事業を展開し、情報ネットワークを構築しており、気候変動により起こる異常気象や自然災害、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の流行、一部の地域及び国家間における戦争や紛争並びに緊張状態等の地政学リスクの増大、テロ、疾病、社会的混乱、公的規制の制約等が発生した場合、その地域においては原材料購入、生産加工、製品の販売及び物流等に一時的な遅延や停止が生じる可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内外で事業を遂行する上で、訴訟やその他の法的手段の当事者となる可能性があり、重要な訴訟等が提起された場合又は事業遂行の制限が加えられた場合、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は2014年11月に米国で提起された当社グループを含む日系コンデンサメーカーにおける取引において米国反トラスト法に違反したと主張する複数の訴訟等(集団訴訟を含む)への対応を行っておりますが、有価証券報告書提出日現在において、米国におけるすべての訴訟について原告との間で和解の合意に達しました。しかしながら、米国外で提起されている訴訟等の動向によっては当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの食品関連における商品及び原材料の調達は、その多くを中国から輸入しております。中国以外の調達ルートの開拓も進めており、中国への輸入依存リスク軽減に努めておりますが、中国の政治・経済情勢等の変化、法律の改正、紛争、気候変動、自然災害、伝染病の流行等の不測の事態により調達できなくなった場合には、当社グループの販売活動に影響が生じ、当社グループの財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループは国内及び海外に生産・加工拠点を有しており、社会への貢献という当社グループの経営理念にもとづき、安全・安心のための品質基準を設けて、商品の品質管理には細心の注意を払い万全の体制をとっていますが、食品の安全に関する問題など製造及び販売に関して予期しない何らかの問題が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、セキュリティの高度化などシステムやデータの保護に努めております。それにもかかわらず、災害やサイバー攻撃など外的・人為的要因などにより情報システムに障害が生じた場合、業務の停止や機密情報・個人情報・その他データの盗取や漏洩などの問題を引き起こし、事業活動の継続に支障をきたし、その結果、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいて展開する事業は、食品衛生法、建築基準法並びに独占禁止法など各種の法令及び規制の適用を受けております。そのため、法令及び規制の変更、又は規制当局による措置その他の法的手続きにより、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは商品を輸入して国内の販売先に供給する事業のウエイトが高く、輸入商品の支払サイトに比べて国内販売の受取サイトが長いことから運転資金の負担が発生し、有利子負債が比較的多額となっております。現時点においては、借入金・社債による資金調達に支障はありませんが、今後、金融システム・金融情勢の大きな変化や取引金融機関の融資姿勢の変化によっては、資金調達や借入条件に影響が出てくる可能性があります。
② 債権の貸倒れにかかるリスク
販売先の倒産等による与信リスクについては、当社グループ独自の与信管理システムにより債権管理に万全を期していますが、新型コロナウイルス関連の制度融資等にかかる返済本格化による与信リスクの増大など、経済環境の変化による予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、売上債権の回収に支障を来たした場合には、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、過年度に生じた税務上の繰越欠損金を有しており、予測される将来の課税所得の見積りに基づき、税務上の繰越欠損金に対する繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得がその見積り額を下回ることとなり、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産が取り崩されて税金費用が計上されることで、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、ウィズコロナへの転換が進んだことで新型コロナウイルス感染症による景気への影響は低減されたものの、ウクライナ情勢の長期化に加え、インフレ圧力による影響も懸念される中、米国では利上げによる景気後退懸念が高まっている状況下においても良好な雇用環境や底堅い個人消費により景気の回復傾向が継続し、また東南アジアでも活動規制の緩和に伴う個人消費の伸長などで景気回復が続き、中国ではゼロコロナ政策とその後の政策転換の影響などで景気減速傾向が続いたものの、同政策転換後には内需主導による回復の兆しもみられるようになりました。
わが国経済は、設備投資の増加基調が持続し、新型コロナウイルス感染症対策としての行動制限の緩和に伴い、個人消費も回復基調にある一方で、原油価格や原材料費の高騰に急激な円安進行も加わった輸入コストの上昇、また物流コストも増加が続くなどインフレ圧力が高まり、厳しい状況が継続しました。
当社グループでは、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を対象とする中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」を策定し、環境変化にも適切に対応し安定的に連結経常利益10億円を創出できる企業・収益体質を構築することを目標としており、2年目にあたる2023年3月期は、原材料費・物流費の高騰や円安などのコストアップとなる要因について収益への影響を最小限に留めるべく、適時適切な対応を進めました。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、繊維関連と電子関連が減少したものの、仕入コスト上昇に伴い段階的な販売価格の調整を行ってきた食品関連及び北米向け輸出事業や防災関連分野が伸長した物資関連が増加したことで、全体では39,892百万円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。
利益面では、食品関連における販売価格調整による利益率の回復とともに、物資関連が北米向け輸出事業や防災関連分野を中心に増益となったことで営業利益は1,375百万円(前連結会計年度比90.6%増)、経常利益は1,340百万円(前連結会計年度比111.3%増)と大幅に伸長しました。また、特別損失にフイルムコンデンサの取引に関する米国における民事訴訟に対応するための弁護士報酬や和解金などに係る訴訟関連損失に加え、繊維関連における一部事業撤退に伴う事業整理損などを計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は949百万円(前連結会計年度比100.3%増)と大幅な増益となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
食品業界の輸入食材を取り巻く環境は、国内において経済活動の正常化に向けた動きが徐々に進む中、幅広い業態において食品需要に持ち直しの動きがみられたものの、中国をはじめとする仕入国での工場経費・原材料費の高騰や世界的な物流混乱による輸入コスト増のほか、急激な円安進行もあって仕入コストが大幅に上昇したことに加え、ウクライナ情勢の長期化や中国におけるロックダウンの影響等による供給面の制約もあり、仕入面では厳しい環境が続きました。
このような状況の中、当社グループの冷凍食品分野では、強みである品質管理体制を活かした医療老健施設向けなど品質管理要求の高いルートへの販売に引き続き注力しながら、幅広い業態で回復傾向にあった需要を取込むべく生産から物流管理にわたるサプライチェーンの安定化を図り、また上記のような仕入コスト上昇に伴う販売価格の段階的な調整が寄与し、冷凍野菜・冷凍調理品・冷凍水産加工品の各商材において、売上・利益ともに大幅に増加しました。
農産分野は、販売先の在庫調整や円安進行下における価格高騰による仕入姿勢の慎重化などから、数量は減少したものの、落花生・ナッツ類ともに販売価格が上昇したことにより、売上・利益ともに増加しました。
その結果、食品関連の売上高は29,772百万円(前連結会計年度比12.7%増)、セグメント利益は1,667百万円(前連結会計年度比55.5%増)となりました。
輸出事業を取り巻く環境は、半導体などの電子部品不足が国内生産に下押し圧力をかけたものの、世界経済のコロナ禍からの活動再開による外需回復の影響が相対的に大きくなりました。
このような状況の中、当社グループの機械機器・金属製品分野では、北米向け等のハードウエアの取扱いが大幅に伸長し、各種試験機器の北米向け輸出も堅調であったほか、中国向け大型建設機械の取扱いも好調に推移したことから、売上・利益ともに大幅に増加しました。
また、防災関連分野では、海外調査案件に係る計測機器類の輸出に加え、現地において開始した役務提供を継続したことにより、売上・利益ともに大幅に増加しました。
国内における住宅建設関連については、集合住宅着工数に伸長の動きがみられた中で、当社グループの建築金物・資材分野では、金物の取扱いが近畿圏をはじめ主要都市圏で堅調に推移したことに加え、輸入ガラスの取扱いが首都圏を中心に大幅に伸長したことで、売上・利益ともに増加しました。
その結果、物資関連の売上高は4,028百万円(前連結会計年度比19.5%増)、セグメント利益は597百万円(前連結会計年度比58.2%増)となりました。
繊維業界では、国内の市場環境は外出需要等の増加に伴い回復基調にあるものの、原材料費やエネルギー価格の高騰に為替の影響もあり仕入コストが上昇したことに加え、熾烈な販売競争が繰り広げられるなど、厳しい状況が続きました。
当社グループでは、企画提案が高く評価され、複数ブランドの商品を提供しているテレビショッピング向けレディース衣料品や伸縮性に優れた紳士スーツ用ニット生地が伸長したものの、量販店やホームセンター向けなどの衣料品で価格競争が激化したことが大きく響き、売上が大幅に減少し、利益も悪化しました。
その結果、繊維関連の売上高は2,194百万円(前連結会計年度比35.3%減)、セグメント利益は101百万円の損失(前連結会計年度は57百万円の損失)となりました。
なお、今後の収益改善を見据え、事業拡大が見込まれるテレビショッピング向け事業に注力することとし、その他のアパレル卸売事業及びテキスタイル事業からは撤退することを決定いたしました。
電子部品業界は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う供給制約を懸念した在庫の積み増しが受注水準を高めるなど市場の拡大が続いた一方で、半導体をはじめ電子部品不足による仕入価格の上昇や自動車業界に代表される減産の影響も広がりました。
当社グループのセンサ機器分野では、コロナ禍における特需の反動による生産調整等の影響を受け、ホコリセンサが主に空気清浄機用途で減少し、湿度センサも民生用途が減少したことで、売上・利益ともに減少しました。
計測・試験機器分野では、輸送や梱包に係る各種試験機や医療関連における物流用途の温度ロガーは減少したものの、湿度計測機器の販売が大幅に伸長したことから、売上・利益ともに増加しました。
コンデンサ分野では、照明用途は堅調に推移したものの、産業機器用途などが減少したことで売上は減少し、さらには主に海外現地法人が生産する製品において、急激な円安進行等に伴う製造コスト上昇分の販売価格への調整遅れもあり、利益も減少しました。
その結果、電子関連の売上高は3,897百万円(前連結会計年度比13.6%減)、セグメント利益は308百万円(前連結会計年度比31.4%減)となりました。
※ セグメント利益は、報告セグメントに帰属しない一般管理費等配賦前の経常利益の金額に 基づいております。
当連結会計年度末の資産は、24,159百万円であり、前連結会計年度末に比べて572百万円の増加となりました。これは有形固定資産が272百万円減少した一方で、商品及び製品が496百万円、投資有価証券が時価の上昇などに伴い338百万円増加したことなどによるものであります。
また、負債は19,507百万円であり、前連結会計年度末に比べて646百万円の減少となりました。これは流動負債のその他に含まれる契約負債が202百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が530百万円、長短借入金が352百万円減少したことなどによるものであります。
一方、純資産は4,651百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,219百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益949百万円の計上などにより株主資本が967百万円増加したことに加え、その他有価証券評価差額金などのその他の包括利益累計額が251百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、598百万円の収入(前連結会計年度比1,890百万円の収入増)となりました。これは、棚卸資産の増加455百万円及び仕入債務の減少554百万円などにより減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,140百万円、減価償却費358百万円及び契約負債の増加202百万円などにより増加したことによるものであります。
また、投資活動によるキャッシュ・フローは、70百万円の支出(前連結会計年度比193百万円の支出減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出60百万円などにより減少したことによるものであります。
一方、財務活動によるキャッシュ・フローは、484百万円の支出(前連結会計年度比1,832百万円の支出増)となりました。これは、長短借入金の純減額352百万円などにより減少したことによるものであります。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は67百万円増加(前連結会計年度は167百万円の減少)して1,251百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
2 セグメント間の内部売上高は控除しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
経営成績につきましては、当社グループの当連結会計年度における経営成績に重要な影響を与える要因についての分析等は、前項の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、食品関連でコロナ禍からの需要回復や販売価格調整により利益率が回復し、物資関連で北米向け輸出事業や防災関連分野などが好調であったことから、売上・利益ともに伸長しました。経常利益については、中期経営計画の最終年度(2024年3月期)の目標である1,250百万円を1年前倒しで達成しました。また各事業が収益に貢献し又は将来貢献し得るかの検証を定期的に行う中、繊維関連において今後の事業拡大が見込まれるテレビショッピング向け事業に注力することとし、その他の事業からの撤退を決定いたしました。引き続き、すべてのセグメントがさらに収益を拡大しつつバランスの取れた事業ポートフォリオとするべく、取組みを進めてまいります。
財政状態につきましては、主に食品関連において、棚卸資産が今後の売上拡大に向けた積み増しや円安進行などによる仕入コスト増加により大幅に増加したことに加え、売上債権が増収に伴い増加したことで、総資産は増加しました。これらの要因により運転資金は増加しましたが、利益計上などにより有利子負債を圧縮したことで負債は減少しました。一方、純資産は利益計上に加え、その他有価証券評価差額金などの増加により大幅に増加したことで、連結自己資本比率は前連結会計年度から4.7ポイント上昇し19.3%となりました。引き続き連結自己資本比率の改善に向け、強みを有する中核的事業の拡大と今後中核となりうる事業の育成に取組むことで、すべての事業における収益基盤の確立を図り、また保有資産の効率的な活用などによる総資産の圧縮及び有利子負債の抑制に取組んでまいります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、前項の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。資本の財源及び資金の流動性につきましては、主に食品関連における運転資金の増加に係る資金需要はあったものの、利益計上に加え、設備投資を減価償却費の範囲内で行ったことなどにより、有利子負債の削減を進めました。2024年3月期においては、電子関連における新製品及び新サービス等の研究開発投資については、前連結会計年度に実施した第三者割当増資により調達した資金を引き続き一部充当して対応することとし、例年実施している更新等に係る設備投資は減価償却費の範囲内で行うことを原則とし、全体としては利益計上などによるフリーキャッシュ・フローの確保に取組んでまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当社グループとして重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、回収可能性があると判断した将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について繰延税金資産を計上しております。また回収可能性については、過去の実績に基づき見積可能期間に応じた将来の課税所得を見積もっております。
なお、当連結会計年度の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、電子関連のセンサ機器関連及び計測・試験機器関連の研究開発を神栄テクノロジー㈱にて、フイルムコンデンサ及び関連ユニットの研究開発を神栄キャパシタ㈱にて行っており、それぞれの研究内容は次のとおりであります。
なお、研究開発費の金額は
(1) 産業用パーティクルセンシングモニターの開発及び製品化
(1) 温湿度をはじめとする各種ロガーの製品化及びソフトウエア開発
(2) 各種センシングデータ管理クラウドシステムの開発
(3) 吸収分光式水分計の応用研究
(1) 産業機器・パワーエレクトロニクス分野向けコンデンサ及びモジュールの開発
(2) 車載及び車周辺分野向けコンデンサの開発並びに車載規格IATF16949に関連する研究
(3) 耐高温高湿環境向けコンデンサの開発