第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
 なお、重要事象等は存在しておりません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績の概況

当中間連結会計期間における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や中東問題による地政学上のリスクに加え、インフレ圧力による影響が継続する中、米国では政府による関税引き上げが企業コストを押し上げ収益を圧迫し、雇用環境も悪化に転じるなど景気減速が懸念されるようになりました。一方、東南アジアでは、米国に対する駆け込み輸出の増加などにより景気の持ち直し傾向が継続しているものの、米国通商政策によるマイナスの影響が懸念され、中国では、米国に対する輸出の減少による様々な影響が懸念される中、内需の伸びが鈍化し、長引く不動産市場の低迷などにより景気減速傾向が続きました。

わが国経済は、設備投資が堅調を維持するとともに、インバウンド需要も下支えとなり、緩やかな景気回復が続きました。一方で、原材料費の高止まりや長期的な円安基調の影響も受けた輸入コストの上昇に加えて、人件費や物流コストも増加が続く中、米国通商政策の動向が景気の押し下げ要因となる懸念も高まるなど、依然として不透明な状況が継続しました。

当社グループにおきましては、2027年3月期までの3年間を対象とする中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2026」を策定し、本中期経営計画の3年間累計の連結経常利益55億円以上を目標として掲げており、2年目となる2026年3月期についても、引き続き競争力のある事業ポートフォリオの組成により安定した収益を確保するとともに、総資産の効率的運用により自己資本比率をさらに向上させつつ、資本コストを上回る収益性の維持に取組んでおります。

当期間における当社グループの売上高は、物資関連が減少したものの、食品関連などが増加したことにより、全体では21,411百万円前年同期比8.7%増)となりました。

利益面では、増収により営業利益は809百万円前年同期比34.8%増)、経常利益は829百万円前年同期比44.1%増)となり、また特別利益に政策保有株式一部縮減による投資有価証券売却益に加え、前年度と同様に不動産売却に伴う固定資産売却益を計上したことにより、親会社株主に帰属する中間純利益は1,071百万円前年同期比113.8%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

食品関連

食品業界の輸入食材を取り巻く環境は、インバウンドの拡大を含め、外食産業をはじめ幅広い業態において食品需要に回復の動きが継続しているものの、物流コストや人手不足対策としての人件費上昇などのコストアップ要因が依然として継続していることで、物価高騰による消費動向への影響が懸念されました。

このような状況の中、当社グループの冷凍食品分野では、強みである品質管理体制を活かした医療老健施設向けなど品質管理要求の高いルートへの販売に引き続き注力するとともに、幅広い業態からの需要を取込むべく生産から物流管理にわたるサプライチェーンの安定化をさらに推進してまいりました。その結果、冷凍野菜・冷凍調理品・冷凍水産加工品すべての商材において販売量が伸長し、売上は増加しました。利益面でも、売上の増加に加え、前年度に行った販売価格調整も寄与したことで、利益率が回復し利益は大幅に増加しました。

農産分野では、円安基調による市場の仕入姿勢の慎重化に加え、主力のカシューナッツをはじめとしたナッツ類の価格上昇基調が継続する中でも、市場ニーズを的確に捉え販売機会の獲得を増やしたことで、売上・利益ともに大幅に増加しました。

その結果、食品関連の売上高は17,528百万円前年同期比11.5%増)、セグメント利益は1,124百万円前年同期比34.4%増)となりました。

 

物資関連

輸出事業を取り巻く環境は、引き続き円安基調が価格競争力を下支えした一方で、米国通商政策や中国経済の減速傾向が影響し、総じて足踏み状態が続きました。輸出数量は業種・地域によりばらつきが見られ、自動車や半導体関連では一部で減速感が強まりました。

このような状況の中、当社グループの機械機器・金属製品分野では、建設機械および鋳物の取扱いは増加したものの、ハードウエアや北米向け試験機器の取扱いが減少したことで、売上・利益ともに減少しました。

海外防災関連分野では、新規現地調査案件を開始したことにより、売上・利益ともに増加しました。

国内における住宅建設関連においては、集合住宅の着工件数が減少している中、当社グループの建築金物・資材分野では近畿圏での販売が減少し、売上・利益ともに減少しました。

生活用品分野でも、オーラルケア商品の販売は伸長しましたが、その他の商品が低調に推移し、売上・利益ともに減少しました。

その結果、物資関連の売上高は1,685百万円前年同期比9.5%減)、セグメント利益は167百万円前年同期比21.8%減)となりました。

 

 

電子関連

電子部品業界は、AI用途をはじめとする高付加価値領域での回復基調が続き、また全体としても在庫調整が概ね一巡し需要と供給のバランスが回復傾向にあるものの、米国通商政策や中国経済の減速傾向を背景に産業分野や車載分野では依然として軟調な動きが継続し、民生分野でも需要の回復は穏やかなものにとどまりました。

このような状況の中、当社グループのセンサ機器分野では、湿度センサが民生用途で減少したものの、民生用途のホコリセンサ、産業用途の粒子計測機器ともに堅調に推移したことで売上・利益ともに増加しました。

計測・試験機器分野では、輸送や梱包に係る各種試験機の販売が増加し、吸収分光式水分計測機器の販売も順調に推移したものの、大型案件のあった前年同期比では売上・利益ともに減少しました。

コンデンサ分野では、照明用途や産業機器用途が堅調に推移し、低調であった前年同期と比べると売上は増加し採算も改善しましたが、厳しい状況が続きました。

その結果、電子関連の売上高は1,939百万円前年同期比1.2%増)、セグメント利益は156百万円前年同期比2.6%減)となりました。

 

事業開発関連

社会課題の解決やサステナブルな社会の実現を目指した新規事業や新たなビジネスモデルの開発について、専任の部署が鋭意調査・研究を推進するとともに、将来性が見込まれる事業の発展に取組んでおります。

育成事業としてのアパレル通販分野では、テレビショッピング向けに取扱う複数のブランドのデザインや品質が消費者から広く支持され、売上は堅調に推移しました。一方で、在庫の適正化を図るため値下げ販売を実施したことにより利益率が低下し、経費も増加したことで利益はほぼ横ばいとなりました。

同じく育成中の食品輸出分野では、香港における食品市場の需要の回復が鈍化している中、販売競争は激化しており、香港向けの菓子類などの輸出が減少しました。

その結果、事業開発関連の売上高は257百万円前年同期比26.4%増)、セグメント利益は28百万円の損失前年同期は24百万円の損失)となりました。

 

※ セグメント利益は、報告セグメントに帰属しない一般管理費等配賦前の経常利益の金額に基づいております。

 

 

(2) 財政状態の概況

当中間連結会計期間末の資産は27,747百万円であり、前連結会計年度末に比べて184百万円の増加となりました。これは棚卸資産が496百万円減少した一方で、投資有価証券が売却はあったものの時価の上昇に伴い333百万円、売上債権が202百万円、現金及び預金が141百万円増加したことなどによるものであります。

また、負債は17,914百万円であり、前連結会計年度末に比べて863百万円の減少となりました。これは固定負債のその他に含まれる繰延税金負債が231百万円増加した一方で、長短借入金が1,049百万円減少したことなどによるものであります。

一方、純資産は9,833百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,048百万円の増加となりました。これは利益剰余金が配当金の支払いはあったものの親会社株主に帰属する中間純利益の計上により719百万円増加したことに加え、その他有価証券評価差額金などのその他の包括利益累計額が310百万円増加したことなどによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの概況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から141百万円増加し、1,287百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、820百万円の収入前年同期比66百万円の収入減)となりました。これは、売上債権の増加219百万円、法人税等の支払額164百万円および仕入債務の減少128百万円による減少に加え、投資有価証券売却益519百万円などによる減少もあった一方で、税金等調整前中間純利益1,419百万円および棚卸資産の減少481百万円などにより増加したことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、780百万円の収入前年同期比736百万円の収入増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出66百万円などにより減少した一方で、投資有価証券の売却による収入684百万円および有形固定資産の売却による収入193百万円により増加したことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,425百万円の支出前年同期比213百万円の支出増)となりました。これは、長短借入金の純減額1,049百万円および配当金の支払額351百万円などにより減少したことによるものであります。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は83百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【重要な契約等】

当中間連結会計期間において、重要な契約等の決定または締結等はありません。