第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

自動車業界は現在、カーボンニュートラル実現に向けた世界的な動きが広がる中、電気自動車(EV)を含む電動車の販売が拡大しており、この傾向は中長期的に継続するものと予測しています。当社グループは13年以上におよぶEV販売経験によって蓄積したノウハウを持ち、また軽からSUVまでのEVに加え、e-POWER車も含めた豊富な電動車のラインナップを持っています。電動車市場拡大の潮流は、当社グループにとりまして、大きなビジネスチャンスにつながるものと考えております。

 

そのような中、当社グループにおきましては、新車販売・中古車販売・整備事業・保険事業等、カーライフのワンストップサービスを主とする自動車関連事業を中心に事業を展開しております。当社グループの強みであるお客さまを基盤とする安定したストックビジネスを土台に、ベストプラクティス(好事例)の推進によりグループ内のシナジーを深化させながら、収益の拡大を図ってまいりました。

 

2023年4月には、さらなる事業成長を目指し、2026年度までの4ケ年の中期経営計画をスタートさせました。

加速するCASEの潮流の中で、当社グループの強みを生かした3つの重点成長戦略「電動化リーダー」「安全・運転支援技術」「モビリティ事業」を推進するとともに、これまでにない大規模な投資戦略により、持続的な成長を目指しております。

初年度である2023年度におきましては、お客さまのニーズに合わせた提案型営業によりEVやe-POWER車などの電動車の販売や、サブスクリプション型のオリジナル個人リース「P.O.P」の販売が伸長したことに加え、整備事業においてグループ会社の㈱車検館の事業成長が収益に貢献するなど、当年度の高い業績に寄与いたしました。

投資戦略におきましては、すでに中期経営計画で掲げた計画規模のおよそ5割となる投資を前倒しで決定し、中期経営計画期間中の投資効果の実現を目指しております。本中期経営計画の確実な推進とともに、人的資本の充実の取り組みにも注力し着実に成長いたしております。

 

 当社グループは、2023年11月に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に則り、中期経営計画の重点成長戦略の遂行、投資の強化、IR活動の積極的展開、株主還元強化の取り組みを進めております。2023年度におきましては、これらの推進により株価およびPBRは上昇基調で推移いたしました。引き続き本取り組みを継続し企業価値の向上を目指してまいります。 

 

中期経営計画(2022年11月11日公表)および「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(2023年11月10日公表)の詳細は当社ホームページをご覧ください。
(https://www.nissan-tokyo-hd.co.jp/)

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

サステナビリティに関する取り組みはリスクの減少のみならず収益機会にもつながり企業価値の向上に資するものとして認識しており、2021年12月に次のサステナビリティ基本方針を取締役会で決議しております。

<サステナビリティ基本方針>

当社グループは、モビリティおよび関連の商品・サービスの提供を通してお客さまに快適な暮らしをお届けし、また地域・社会への積極的な貢献により、地域・社会の皆さまと共に繁栄することを目指します。また、法令と社会のルールを順守し、公平・公正で高い透明性を持った効率的な事業活動のもと、お客さま、株主、取引先、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを尊重しながら、社会の一員として、持続可能な社会の発展を目指します。

 

また、当社グループの重要課題の解決に向けた取組を着実に進捗させ、中長期的な成長力・持続可能性を向上させるとともに、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくことを目的として、2022年9月に社外取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しました。同委員会の委員は5名で構成され、その内4名が社外役員となります。

サステナビリティ委員会は取締役会の諮問機関として設置され、サステナビリティに関する方針や目標、実行計画の策定、目標に対する進捗管理・評価、個別施策の審議などを行い、取締役会に対して答申を行います。また、サステナビリティ委員会において、事業活動におけるサステナビリティに関するリスクの洗い出しと、影響度・発生可能性の観点から評価を行っております。発生した場合に事業に大きな影響を与えるリスクや、当社の事業戦略との関連性が高いリスクについては、シナリオ分析を実施し、対応戦略を検討します。経営の継続に対する甚大な影響を及ぼし得るリスク(パンデミックの拡大、個人情報大量漏えい、経営層による重大なコンプライアンス違反等)については、すでにグループ危機管理規定やBCP(事業継続計画)を基に発生に備えた対策を講じております。今後、サステナビリティに関連するリスクを全社的リスクマネジメントに統合する必要があるものと認識しております。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

当社グループは、モビリティとその関連商品・サービスの提供を通してお客さまに快適な暮らしをお届けすると同時に、地域・社会への積極的な貢献によって地域の皆さまと共に繁栄することを目指しております。

その実現にあたってはサステナビリティの視点が不可欠であり、近年は当社グループが担うべき社会的責任もより大きくなってきております。また、サステナビリティに関する取り組みは、リスクの減少のみならず収益機会にもつながり、企業価値の向上に資するものと捉えております。

以上を踏まえて、サステナビリティに関する取り組みにあたっては、当社グループの事業特性や事業環境などを踏まえ、次の4つマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。

「気候変動への対応」

「安心・安全な社会の実現」

「人権の尊重と人的資本の充実」

「地域社会への貢献」

 

 

(3) 戦略

上記「(2) 重要なサステナビリティ項目」において記載した4つのマテリアリティに関して当社グループの取組は以下のとおりであります。

 

① 気候変動への対応

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社グループの強みを活かし、電気自動車(EV)をはじめとする電動車の普及など、環境にやさしい活動に取り組んでおります。

当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動リスク・機会を特定し、それらの財務影響度を定性的に評価しました。特定した気候変動リスク・機会は、次のとおりであります。これらの内、重要性や当社グループの事業との関連性が高いものについて、シナリオ分析を実施し対応戦略を検討しました。

 

リスク・機会の主要因

事業影響

リスク・機会発現

までの期間

影響度

移行リスク

炭素価格等の

GHG排出規制強化

炭素価格上昇が車両製造の原材料価格等を押し上げ、それらが仕入価格に転嫁されることによるコスト増加

中期

自社ビル、工場などの操業における炭素価格上昇によるコスト増加

中期

省エネ法規制の強化

設備更新・投資などの対応コストの増加

短期

化石資源の価格の変化

自社拠点(建物、整備工場など)が使用するエネルギー価格の上昇、および物流・輸送コストの増加

中期

電力価格の変化

燃料価格上昇に伴う電力価格の上昇によるコスト増加

中期

物理的リスク

洪水、高潮、台風等の

異常気象の激甚化

自社拠点の被災、および、操業停止(社員被災による操業停止を含む)

短期

移行機会

化石資源の価格の変化

販売車両の省エネ化によるコスト優位性(対他社)の確立、販売機会の拡大

中期

電気自動車(EV)需要の

増加

EV普及による販売車種の多様化、高価格化

中期

EV販売に関する経験を持つ従業員が多いことによる販売機会の拡大

中期

 

(リスク・機会発現までの期間) ・短期:3年以内 ・中期:4年~9年 ・長期:10年以上

(影響度) ・小:1億円未満 ・中:1億円以上10億円未満 ・大:10億円以上

 

移行リスクにおきましては、当社グループの事業活動にともなうエネルギー使用や、その結果排出されるGHG(温室効果ガス)に対する炭素税の導入といった事象が当社グループに与える財務影響を把握するため、1.5℃、2.0℃、2.6℃の温度上昇シナリオに基づいた分析を実施しました。分析の結果、当社グループ事業の将来想定に基づいて、炭素価格負担やエネルギー負担による財務影響は限定的であることが確認できました。今回の当社想定の範囲においては、該当する気候変動リスク要因に対する組織的なレジリエンスを有していると考えられます。

物理的リスクにおきましては、当社グループが所在する162拠点について、現時点、および2.0℃、4.0℃の温度上昇シナリオ下における河川氾濫がもたらす影響を評価し、事業への財務影響を分析しました。分析の結果、2.0℃シナリオにおいては、洪水の高リスク拠点数に大きな変化は見られませんでした。一方、4.0℃シナリオにおいては、2090年にかけて高リスク拠点数が増加し、各拠点で想定される浸水深も大きくなる傾向が見られました。当該シナリオでは、気候変動による一定の財務影響も見込まれております。これらの分析結果に基づいて、今後BCPの見直しや各種災害対策を実施してまいります。

 

 

② 安心・安全な社会の実現

当社グループは、安全・運転支援技術の普及や交通安全・防災への取り組みなどを通じて、安心・安全な暮らしができる社会を目指しております。その実現に向けては、「プロパイロット」に代表される先進の運転支援技術をより多くのお客さまに提供するとともに、それを支える整備体制によって毎日の安心・安全をサポートすることに重点を置いて取り組んでおります。

そうしたなかで、中期経営計画においては、ゼロ・フェイタリティにつながる商品・サービスを積極的にご提案していくと同時に、より万全な整備体制を整えていく方針であります。具体的には、お客さまに先進運転支援システムを知って、見て、体感していただくために、体感試乗やバーチャルリアリティを活用した試乗機会をより多く提供するなど、リアルとバーチャルを組み合わせた効果的な訴求に取り組みます。また、特定整備制度の認証取得に向けた整備機器導入や整備士の技術習得、「電子制御システム整備」の体制構築などを推進し、安心・安全なカーライフとモビリティ社会の実現に貢献いたします。

③ 人権の尊重と人的資本の充実

自動車業界の大変革期のなかで、新しい時代を切り開いていくためには、多様な人財の活躍が不可欠と考え、当社グループでは、従業員のスキルアップ支援や活躍支援など、性別や国籍を問わず誰もが働きやすい環境づくりに取り組んでおります。また、一人ひとりの従業員が持つ視点や思考の違いを価値として活かし、個人の能力を最大限に発揮できる企業風土の醸成をめざしております。具体的な取組は次のとおりであります。

1) 人財育成の取組

当社グループは、社員一人ひとりが主体的に向上心を持って成長でき、目指すキャリアを実現できる環境や制度の整備を推進しております。なかでも、日産東京販売㈱では、「組織の持続的成長を実現するため、持続的に成果を上げ、向上心を持って、自ら考え行動できる人財育成」を目指し、各等級に求められる知識・スキルを習得するための独自の人財育成体系を構築しております。2023年度には、希望制の「チャレンジプログラム研修」の講座数を増やしたほか、マネジメント層向けに「マネジメント強化研修」を実施するなど、研修制度の拡充を進めております。さらにマネジメント層向けには、これに加えて「360°サーベイ」も導入し、自身のマネジメント業務を棚卸しすることで、業務の改善およびレベルアップを目指しております。

2) 働きやすい環境づくり

当社グループでは、多様な人財がそれぞれの持つ能力を最大限に発揮できるよう、ワークライフバランスを尊重した働きやすい職場づくりに取り組んでおります。例えば、育児・介護が必要な従業員向けの休業や短時間勤務制度の拡充にも取り組み、2022年4月からは育児短時間勤務の対象期間を小学校卒業までに延長いたしました。また、2023年度には退職者再雇用制度を導入し、ライフスタイルの変化によって退職した従業員の再就職も可能にいたしました。その時々の状況に合わせて活躍し続けられる環境整備を進め、多様な働き方の実現につなげております。このほか、業務におけるDX推進やプロセスの見直しなど、生産性の向上に向けての取り組みを加速させております。今後も、すべての社員が安定して長く活躍でき、新たな働き方にもチャレンジしやすい環境を目指して改善を図ってまいります。

3) ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
 ① 外国籍従業員の活躍支援

当社グループでは、競争力を向上させるため、多様性を活かしながら、国籍を問わない人財採用を進めております。日産東京販売㈱には79名(2024年3月末現在)の外国籍社員が在籍し、主に点検・整備などのアフターサービスを行うテクニカルスタッフとして欠かせない人財となっております。2022年度には、外国籍専用クラスにおいて、職場のマナー研修を実施したほか、自主的な学習に使用する日本語学習教材を配付いたしました。また、外国籍の新入社員が配属される店舗に対しては、その出身国の文化や特徴などの情報を共有し、相互理解の促進を図っております。2023年度からは、語学のレベルアップを目的に日本語研修やeラーニングを導入したほか、日本人社員向けに「異文化マインドセット&コミュニケーションスキル研修」も導入し、多国籍の人財がお互いを尊重しながら成長できる環境づくりを進めております。

 

 

 ② 女性の活躍推進

当社グループが展開するサービスにおいて、多様なお客さまのカーライフを支えるためには多様な視点や感性が不可欠であります。そうした考えのもと、日産東京販売㈱では、2022年度から2024年度までの期間は、女性活躍推進法に基づく行動計画を掲げ、女性社員の採用・育成に注力し取り組みを推進しております。

4) 社員のエンゲージメント向上

当社グループでは、社員のエンゲージメント向上のため、複数の意識調査を実施しております。その一つである「社員意識調査※」は、日産東京販売㈱の正社員を対象に、年1回実施しております。社員の現状を把握することで経営や人財戦略上の課題を発見し、社員の働く意欲やマネジメントの質の向上につなげております。さらに、「若年層向け意識調査※」も、日産東京販売㈱に在籍する入社1~5年目の社員を対象に毎月1回実施しております。人事アドバイザーが結果数値の変化やコメントを確認・検討し、店舗への訪問やヒアリングを通して、不満や困りごとの改善につなげております。

※「社員意識調査」は日産グループ全体での実施、「若年層向け意識調査」は日産東京販売㈱での実施

 

 ④ 地域社会への貢献

当社グループは、モビリティを通じてお客さまに快適な暮らしをお届けし、地域・社会の皆さまと共に繁栄することを目指しております。また、事業活動においてはさまざまな取引先やパートナーとの関係強化も不可欠と考え、ともに成長・繁栄し続けられる関係づくりに取り組んでおります。そうした考えの下、企業市民としての役割をしっかり果たしていくため、2023年8月に「社会貢献推進プロジェクト」を発足し、当社グループにとって最適な社会貢献活動を検討するとともに、その活動を社内に啓発していくための方策を議論しています。具体的な取組は次のとおりであります。

1) 各自治体へのEVおよびパワー・ムーバーの貸与

当社グループでは、人々の安心・安全な暮らしをサポートするため、各自治体と連携し、さまざまな取組を進めております。すでに一部の自治体や警察署と災害連携協定を締結しており、今後も提携先を拡大していく方針であります。具体的な取り組みとしては、各店舗に食品や水、簡易トイレなどを備蓄し、災害時には一時滞在場所として開放するほか、非常用の電源としてEVや可搬型給電器「パワー・ムーバー」を貸与するなどの支援体制を整えており、2019年には台風15号の被害にあった千葉県に対して、当社グループからEV「日産リーフ」とパワー・ムーバーを貸与しました。また、災害発生時に限らず平時においても、地域のイベントで使用する電力をEVやパワー・ムーバーから提供する取り組みなどを行っております。パワー・ムーバーは、2024年6月現在、新車店舗の約8割にあたる83店舗に配備しております。こうした取組は、地域社会への直接的な貢献だけでなく、EVの認知度向上や理解促進にもつながります。今後も当社グループの事業成長に資する重要な取組として、積極的に推進していく方針であります。

2) 地域社会貢献活動

2024年6月には、東京をマーケットにしている企業として地域に貢献するため、東京都が推進する「TOKYOこども見守りの輪プロジェクト」に参画し、親子の防犯意識向上や、地域ぐるみで子どもたちの安全・安心を担う社会気運の醸成を図り、犯罪や事故から子どもたちを守る取り組みを進めてまいります。また、しながわCSR推進協議会が開催する各種イベントへの参画を通じて地域の企業、住民と共に社会貢献活動に関する情報発信・交換を行いながら、環境・防災・教育・福祉・地域活動などさまざまな分野において、社会貢献活動を進めております。また、この活動を皮切りとして、品川区や大田区内の子ども食堂への飲料水や食材の提供などを行っており、高い評価をいただいております。

地域との協力・連携及び未来の消費者である子どもたちへのブランディング、海外の同業者との人財交流を目的とし、近隣の中学校・小学校・幼稚園や、海外政府・海外整備専門学校などからの、職場体験や視察を受け入れております。

また、すべてのお客さまに安心・安全にご来店いただくため、ショールームへのバリアフリートイレ、授乳室の設置を推進しております。

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(3) 戦略」において記載したマテリアリティの内、「気候変動への対応」及び「人権の尊重と人的資本の充実」について次の指標を用いております。当該指標の目標及び実績は、次のとおりであります。なお、「安心・安全な社会の実現」及び「地域社会への貢献」における指標につきましては、現在検討を進めており、今後公表する予定です。

 

マテリアリティ

指標

目標

実績(当連結会計年度)

①気候変動への対応(注1)

EVの年間販売台数

2026年度10,000台

3,674台

乗用車における電動車販売比率

2026年度90%以上を維持

91.5%

EV販売によるCO2排出削減量

2026年度1.6万トン
(注2)

0.6万トン

(注2)

②人権の尊重と

 人的資本の充実

(注1)

営業職(サービスフロント職を含む)の新卒・中途採用における女性比率

2024年度50以上

48.0%

女性管理職の候補群(課長補佐・係長)登用人数

2022年度から2024年度
3年間で12登用

33

女性管理職の登用人数

2022年度から2024年度
3年間で5登用

2

男性労働者の育児休業取得率

2025年度30%以上

9%

有給休暇取得率

2025年度50%以上

48.3%

 

(注) 1.当社グループの中核会社である日産東京販売㈱における指標となります。当社グループ全体で、日産東京販売㈱と同様に取り組んでおりますが、個々の会社の状況が異なるため現時点では連結会社ベースでの目標は設定しておりません

2.販売したEVによるCO2排出削減貢献量(カーライフサイクル全体)です。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、「グループ危機管理規程」や「事業継続計画(BCP)」を元に、発生に備えての対策を講じてまいります。

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 景気及び需要動向について

① 景気動向について

当社グループでは、自動車関連事業が主な収益源であり、日本国内、特に東京都内における自動車の販売が中心となっており、日本の景気動向は、法人・個人の需要に大きな影響があるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 需要動向について

現時点では安定的に推移しているものの、少子高齢化に伴う自動車運転免許取得人口の減少や東京都内において顕著な若年層の車離れなどを要因として、将来的に需要が減少した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制等について

① 当社グループの自動車整備事業における車検及び法定点検は道路運送車両法に準拠しております。そのため、車検の有効期間の延長や点検項目の減少等の法改正が行われた場合は、自動車整備事業の収益に影響を及ぼす可能性があります。
② 規制緩和に伴い自動車整備事業や中古車販売事業に対する異業種からの参入があった場合は、競争の激化による売上・収益単価の減少を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 将来、消費税や重量税等自動車関連諸税がさらに引き上げられた場合は、自動車販売事業の需要や車種構成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 特定の取引先等について

当社グループの新車販売事業は、当社グループ自動車販売会社と特定取引先(日産自動車㈱等)との間で締結している特約販売契約により営んでおり、新型車の発表、発売、モデルチェンジなどの投入サイクルは特定取引先の主導となっております。また、商品である自動車は、「特定取引先」及び「特定取引先への商品の供給元」により生産・供給されております。従って、当社グループの業績は、「特定取引先」及び「特定取引先への商品・部品等の供給元」の経営戦略、災害又は不正行為等によって発生する生産・供給状況の変動や、販売停止等による影響を受ける可能性があります。

また、災害や「特定取引先」又は「特定取引先への商品・部品等の供給元」による不正行為、重大な過失等によって新車商品である自動車の一部が販売停止等になった場合には、中古車販売事業や自動車整備事業にもその影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 自然災害等の発生に伴う事業中断について

地震、洪水等の大規模な自然災害発生や新型感染症のパンデミック発生等によって、店舗設備及びサービス設備の損壊又は人的被害により事業中断が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではお客さまと従業員の安全確保を最優先に考え、衛生管理を含め必要な対策を行ってまいります。

 

 

(5) 個人情報及び経営情報等について

当社グループでは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、さまざまな経営情報等の内部情報を保有しております。これらの情報について万一重大な漏えいが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 風評について

当社グループ、日産グループ又は自動車販売業界に対する風評が、マスコミ報道やインターネット掲示板への書き込み等によって流布した場合は、その内容が正確であるか否かにかかわらず、企業イメージが下落し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 資金調達について

① 資金調達の金利は市場環境の変化等の要因で変動するため、将来の金利変動によっては当社グループの資金調達コストが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループの業績、財政状況及び事業環境等の悪化や信用の低下によって、金融機関からの資金調達が困難になったり資金調達条件が悪化した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) その他

上記のほか、システム障害、事務ミス、不正行為、法令違反、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等が発生したことにより、①直接・間接のコストが発生する、②業務の運営に支障が生じる、③当局等から処分・措置を受ける等の事象が発生した場合は、その状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度の新車登録台数は、車両供給不足が解消しつつあり、全国では前年比3.2%増、当社グループのマーケットである東京都内は同7.3%増となりました。

当社グループでも電動車(EV・e-POWER車)を中心に新車の登録台数が伸長し、同6.2%増となっております。

業績に反映している当社グループの新車販売台数は前年比2.8%増となり、電動車中心の販売により販売単価も向上した結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が148,972百万円前年同期比11,312百万円増8.2%増)、営業利益が8,709百万円前年同期比2,309百万円増36.1%増)、経常利益が8,364百万円前年同期比2,273百万円増37.3%増)、連結子会社の株式売却益を特別利益に計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益が7,337百万円前年同期比4,076百万円増125.0%増)となり、いずれも過去最高益となっております。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

① 自動車関連事業

当社グループは、カーオブザイヤーをはじめ権威ある表彰を受賞し、高い評価を得ている商品ラインナップを揃えており、2年連続電気自動車販売台数NO.1のサクラ、e-POWER車のセレナ、ノート、ノートオーラ、エクストレイルを中心に多くの受注をいただいております。

このような商品力を背景にEV販売台数累計1.4万台超の「電動化リーダー」としての強みに加え、個人リース(保有台数1万台超)の拡販とともに受注台数と収益の拡大に継続して取り組んでおります。

この結果、売上高は144,959百万円前年同期比15,285百万円増11.8%増)、セグメント利益(営業利益)は9,529百万円前年同期比2,861百万円増42.9%増)となりました。

② 情報システム関連事業

2023年10月2日付でTCS株式会社の全株式を譲渡したことにより、第3四半期連結会計期間より同社の業績は含まれておりません。

この結果、売上高は3,599百万円前年同期比4,006百万円減52.7%減)、セグメント利益(営業利益)は228百万円前年同期比383百万円減62.7%減)となっております。

③ その他

その他の事業である不動産事業につきましては、賃料改定などにより、売上高は413百万円前年同期比32百万円増8.7%増)、セグメント利益(営業利益)は174百万円前年同期比21百万円増13.8%増)となりました。

 

 

販売及び仕入の実績は次のとおりであります。

① 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売台数(台)

金額(百万円)

前年同期比(%)

自動車関連事業

 

 

 

 新 車

26,322

84,176

118.4

 中古車

24,551

21,631

103.4

 その他

39,152

104.0

144,959

111.8

情報システム関連事業

3,599

47.3

報告セグメント計

148,559

108.2

その他

413

108.7

合計

148,972

108.2

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。

なお、仕入実績については、事業の性質上「自動車関連事業」の新車および中古車について示しております。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自動車関連事業

 

 

 新 車

70,041

120.0

 中古車

15,314

102.5

合計

85,356

116.4

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態
① 資産

当連結会計年度末における総資産は94,311百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,110百万円増加しております。主な内容は、現金及び預金が3,226百万円、商品が1,785百万円、有形固定資産が3,013百万円、投資有価証券が2,754百万円、関係会社投資等損失引当金が取崩により635百万円増加し、受取手形及び売掛金が2,397百万円、その他流動資産が1,199百万円、繰延税金資産が610百万円減少しております。

② 負債

当連結会計年度末における負債は36,827百万円となり、前連結会計年度末に比べ636百万円増加しております。主な内容は、未払法人税等が1,937百万円、契約負債が72百万円、その他流動負債が1,529百万円、繰延税金負債が715百万円増加し、買掛金が630百万円、1年内返済予定の長期借入金が600百万円、長期借入金が1,200百万円、長短リース債務が284百万円、退職給付に係る負債が1,030百万円減少しております。

③ 純資産

当連結会計年度末における純資産は57,484百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,474百万円増加しております。主な内容は、配当金の支払による減少がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が6,072百万円、その他有価証券評価差額金の増加などによりその他の包括利益累計額が2,192百万円増加し、TCS株式会社の全株式を譲渡したことにより非支配株主持分が1,811百万円減少しております。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は21,343百万円前年同期比3,226百万円増17.8%増)となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金の増加は11,189百万円前年同期比8,093百万円の収入増)であります。主な資金の増加は、税金等調整前当期純利益が11,932百万円、減価償却費が2,785百万円、売上債権の減少が1,283百万円、未払消費税等の増加が1,025百万円、その他営業活動による収入が1,171百万円であり、主な資金の減少は、退職給付に係る資産負債の減少が1,030百万円、関係会社株式売却益が3,691百万円、棚卸資産の増加が1,002百万円、法人税等の支払額が1,982百万円であります。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金の減少は4,546百万円前年同期比730百万円の支出増)であります。主な資金の増加は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が3,051百万円であり、主な資金の減少は、有形固定資産の取得による支出が7,335百万円であります。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金の減少は3,416百万円前年同期比52百万円の支出減)であります。主な資金の減少は、1年内を含む長期借入金の返済による支出が1,800百万円、リース債務の返済による支出が374百万円、配当金の支払による支出が1,261百万円であります。

 

当社グループの資本の財源につきましては、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにおいて11,189百万円の資金の増加があり、十分な投資余力を有しております。

資金の流動性につきましては、経常運転資金にも十分対応できる程度の資金を有しております。また、資金の流動性に一部支障をきたす事象が発生した場合にも、金融機関との間で締結している当座貸越契約およびコミットメントライン契約を利用することで一定の流動性を維持できると判断しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。