第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における日本経済は、個人消費の伸び悩みはあるものの、企業業績や雇用・所得環境の改善も見られ、全体として緩やかな回復基調となりました。また、世界経済においては、中国をはじめとする新興国の経済成長の鈍化や、米国の政権交代による経済・貿易政策の不確実性、英国のEU離脱問題といった不安要素はあるものの、全体としては緩やかな成長を維持することとなりました。

 このような状況の下、当連結会計年度の業績は、国内販売は3,693億6千万円(前年比+1.7%)、海外販売は前連結会計年度と比較して円高が進行した影響等により3,530億1千万円(同△6.9%)となり、売上高は7,223億8千万円(同△2.7%)となりました。

 売上総利益は、減収に伴い915億円(同△0.2%)となりました。営業利益は、数理計算上の差異の償却に伴う退職給付費用の増加等により150億3千万円(同△16.6%)となり、経常利益は163億6千万円(同△11.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は103億3千万円(同△16.1%)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

① 機能素材

 機能素材につきましては、国内および海外ともに売上は微減となりました。

 機能化学品事業は、ナフサ価格の下落の影響を受けたため、塗料原料およびウレタン原料等の売上が、国内およびグレーターチャイナを中心として減少したことから、事業全体として売上は微減となりました。

 スペシャリティケミカル事業は、米州での樹脂添加剤およびシリコーン原料の売上が堅調に推移したものの、その他の地域での売上が減少したことから、事業全体として売上は微減となりました。

 この結果、売上高は1,535億4千万円と前連結会計年度に比べ、36億円(△2.3%)の減収となりました。一方、営業利益は、主に国内製造子会社における原料調達コストの低減等により、41億8千万円と前連結会計年度に比べ、5億円(+13.7%)の増益となりました。

 

② 加工材料

 加工材料につきましては、国内および海外ともに売上は減少しました。

 カラー&プロセシング事業は、国内製造子会社における導電性材料等の売上は増加したものの、国内外で包装材料用の合成樹脂、情報印刷関連材料等の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。

 OA・ゲーム機器業界への合成樹脂の販売を中心とするポリマーグローバルアカウント事業は、国内製造子会社における熱可塑性樹脂の売上が増加したものの、グレーターチャイナを中心として海外での売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。

 この結果、売上高は2,426億円と前連結会計年度に比べ、128億9千万円(△5.0%)の減収となりました。一方、営業利益は、主に国内製造子会社におけるプロダクトミックスの改善および原価低減施策の実施等により、50億9千万円と前連結会計年度に比べ、1億1千万円(+2.3%)の増益となりました。

 

③ 電子

 電子につきましては、製造子会社を中心として国内の売上は増加したものの、海外での売上が減少したことから、全体として売上は前年並みとなりました。

 電子化学品事業は、電子部品・半導体業界向け等の変性エポキシ樹脂関連の売上が増加し、事業全体として売上は増加しました。

 電子資材事業は、タッチパネル用部材およびガラス薄型加工等の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。

 この結果、売上高は1,277億2千万円と前連結会計年度に比べ、2億円(△0.2%)の減収となりました。一方、営業利益は、国内製造子会社における増収に伴う増益が寄与し、63億3千万円と前連結会計年度に比べ、7千万円(+1.2%)の増益となりました。

 

 

 

④ 自動車・エネルギー

 自動車材料事業は、国内において樹脂ビジネス等が伸長したため売上が増加したものの、海外においてナフサ価格の下落による影響を受けて売上が減少したことから、事業全体として売上は微減となりました。

 この結果、売上高は1,129億5千万円と前連結会計年度に比べ、23億9千万円(△2.1%)の減収となりました。

一方、営業利益は、国内製造子会社での採算改善により、15億3千万円と前連結会計年度に比べ、2億3千万円(+18.4%)の増益となりました。

 

⑤ 生活関連

 生活関連につきましては、国内での売上は横ばいとなったものの、グレーターチャイナ等、海外での売上が減少し、全体として売上は微減となりました。

 ライフ&ヘルスケア製品事業は、食品素材分野においてトレハ®等の国内での売上は微減となり、海外での売上も減少しました。スキンケア・トイレタリー分野はAA2G®の国内での主要顧客に対する売上は減少したものの、同分野での原料販売は国内外ともに増加しました。医薬・医療分野では、原薬・中間体の売上は大幅に増加したものの、医療材料の売上は減少しました。この結果、事業全体として売上は微減となりました。

 化粧品・健康食品の販売を行うビューティケァ製品事業は、新商品の販売は伸長したものの、従来商品の販売は低調であったことから、事業全体として売上は減少しました。

 この結果、売上高は849億円と前連結会計年度に比べ、6億6千万円(△0.8%)の減収となりました。営業利益は、化粧品・健康食品の減収に伴う減益により、33億3千万円と前連結会計年度に比べ、5億3千万円(△13.8%)の減益となりました。

 

⑥ その他

 特記すべき事項はありません。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の収入145億2千万円、投資活動による資金の支出65億1千万円、財務活動による資金の支出105億9千万円に換算差額による資金の減少5億9千万円および非連結子会社との合併に伴う現金及び現金同等物の増加1千万円を加味した結果、前連結会計年度末と比べ31億7千万円(△7.4%)減少し、397億3千万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動による資金の増加額は、145億2千万円となりました。これは、法人税等の支払77億3千万円があったものの、税金等調整前当期純利益161億円、減価償却費93億8千万円の計上があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動による資金の減少額は、65億1千万円となりました。これは、投資有価証券の売却による収入46億5千万円があったものの、有形および無形固定資産の取得による支出115億3千万円に加え、投資有価証券の取得による支出18億2千万円があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動による資金の減少額は、105億9千万円となりました。これは、長期借入金の返済による支出91億8千万円、配当金の支払40億5千万円があったこと等によるものです。

 

2【販売の状況】

 「1 業績等の概要」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照願います。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、下記に記載する「長期経営方針」および中期経営計画「ACE-2020」に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。中期経営計画「ACE-2020」につきましては、企業価値向上に向け、「長期経営方針」に基づき、平成28年度から平成32年度までの5ヶ年を対象として策定しております。本期間におきましては、日本経済は緩やかに成長するものの、個人消費や設備投資が国内市場の成長を大きく牽引するには至らないと見込んでおります。一方、世界経済は中国経済の減速や地政学的リスクがあり、先行きの不透明感はあるものの、米国や新興国の堅調な経済成長を見込んでおります。このような状況下、当社は飛躍的な成長を実現するため、「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を通じ、商社機能に加え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の6つの機能を最大限に活用し、新たな価値を提供する「ビジネスデザイナー」になることを目指しております。「ACE-2020」では、半導体・電子部品市場および食品・医療・パーソナルケア市場の成長が見込まれること、また当社の製造機能の活用による独自性が期待できることから、ライフ&ヘルスケアおよびエレクトロニクスを注力領域と定めました。さらに、市場成長が期待できる米州を注力エリアと定め、注力領域とエリアへの優先的な資源配分を行うことにより、収益の拡大を図っております。

 

(1) 長期経営方針

 当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度(平成45年3月期)に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を策定しております。

 「成長に向けたチャレンジ」は、注力領域への経営資源の投下と、日本に依存したビジネス運営からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。

 

中期経営計画「ACE-2020」について

 長期経営方針の目標実現のために、平成28年度からの17年間を3つのStageに分け、平成28年度から平成32年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。

 「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。

 本期間中に、収益拡大の手段として成長投資1,000億円を設定しました。営業活動によるキャッシュ・フローを上回る財源は、主に有利子負債での調達を基本としますが、運転資金の効率化および資産の入替により強固な財務体質と長期的な安定配当は堅持します。

 

ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。

 

目標

連結売上高

1兆円以上

連結営業利益

300億円以上

ROE

6.0%以上

※目標値は、早期に常態化することを目指しております。

 

中期経営計画の骨子

ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。

 収益構造の変革

 重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」

 「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「育成領域」、「注力領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ります。

 注力領域:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス

 今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、生産能力向上を目的として、機能性糖質であるトレハ®の生産設備の増設や高活性対応の注射剤製造棟の増築を行いました。同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいては、ディスプレイ、タッチパネル、ウェアラブル事業強化のため、Inkron Ltd.の株式を取得し、パートナーシップ強化を図りました。

 「育成領域」では、外部企業との連携を開始し、IBM社(International Business Machines Corporation)が設立したIT基礎研究コンソーシアムに参画し、新規事業開発を目的として自社内にNVC(New Value Creation)室を新たに設置し、将来柱となる事業開発を加速する体制を整えました。

 「基盤領域」、「改善領域」では、一部の子会社および関係会社の株式の売却やビューティケァ製品事業部と子会社との機能統合等を行い、経営資源の確保と再配分を行いました。

 

 重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」

 「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。

 商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開の更なる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。

 今期は、商社業は、グレーターチャイナ、アセアン、米州の各エリアにおいて地域統括機能の見直しや、一部の現地法人において機能集約による効率化を実施し、収益力向上の体制づくりを行いました。

 製造業は、原料購買機能やユーティリティ費用の見直し、営業・開発機能の統合等の施策を実施し、製造業全体の損益分岐点の改善に貢献しました。

 

② 企業風土の変革

 重点施策②-1:「マインドセットの徹底」

 「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。

 今期は、主体性の醸成と迅速な意思決定を目的として、権限委譲の実施、会議体やモニタリングのしくみを変更し、計画と施策のPDCAの加速を図りました。また、グループ内のビジョンや価値観の共有化を目的としたトップキャラバンや、中期経営計画の浸透や情報共有を目的としたトップメッセージの配信等の施策を実施しました。

 

 重点施策②-2:「経営基盤の強化」

 「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。

 今期は、投資の質の向上を目的として、投資ガイドラインの更新を行い、重点管理先の選定とKPIのモニタリング体制の強化を図るとともに、横断組織であるM&A推進プロジェクトチームを設置し、案件の支援や全社の啓蒙活動を行いました。

 「効率性の追求」施策の一環としては、“間接部門業務の高度化と効率化プロジェクト”を設置し、業務の棚卸しと機能の見直しを行い、一部の間接部門組織を統合しました。本プロジェクトの後継組織として業務改革推進部を設置し、今後も継続して間接部門業務の効率化を進めてまいります。

 また、「人財育成」施策の一環として、人事制度の見直しを実施しました。

 

(2) 財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、以下のように財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めています。

 基本方針の内容

 当社は、上場会社である以上、株主は原則として株式の自由な取引を通じて決まるものであり、株式会社の支配権の移転を伴う大規模買付行為の提案に応じるか否かも最終的には個々の株主の意思に基づき行われるべきものと考えております。かかる観点から、当社としては、企業価値向上に邁進することこそが本分であり、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者を当社自身の判断で定めるべきではないと考えております。

 しかし、ときに市場においては、企業価値向上のために誠実な取組みをしている当社の価値が正当に評価されない状況が生じることも考えられます。株式の大規模買付行為の中には、かかる状況に乗じ、その目的等から見て短期的利益だけを求め、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもあり得るところであります。

 当社は、このような当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するような大規模買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

 

② 基本方針の実現に資する取組み

 当社は、上記の基本方針を実現するため、創業200年の節目を迎える2032年度(平成45年3月期)に向けた「長期経営方針」および平成28年4月からスタートした5ヶ年の中期経営計画「ACE-2020」を掲げ、企業価値向上に邁進しております。「長期経営方針」は、注力領域への経営資源の投下と、日本に依存したビジネス運営からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけでは成し得ない飛躍的成長を目指した「成長に向けたチャレンジ」とその「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤の構築を目指した「成長を支える経営基盤の強化」を骨子としております。また長期経営方針の目標実現のために、平成28年度からの17年間を3つのStageに分け、平成28年度から平成32年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしております(「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。)。中期経営計画「ACE-2020」は、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しており、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を骨子としております。「収益構造の変革」の実現に向けた重点施策として「ポートフォリオの最適化」と「収益基盤の拡大・強化」を掲げ、「企業風土の変革」の実現に向けた重点施策として「マインドセットの徹底」と「経営基盤の強化」を掲げております。なお、収益拡大の手段として成長投資1,000億円を設定しており、営業活動によるキャッシュ・フローを上回る財源は、主に有利子負債での調達を基本とし、運転資金の効率化および資産の入替により強固な財務体質と長期的な安定配当は堅持することとしております。以上のとおり、経営の効率性とともにその透明性をも高め、株主、顧客、取引先、社員、地域社会等のステークホルダーの皆様との円滑な関係を構築し、企業価値の向上へ向けて邁進してまいります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 前記の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を、平成28年5月23日開催の当社取締役会および平成28年6月29日開催の第101回定時株主総会の決議に基づき更新しております。なお、本プランの有効期間は、平成31年に開催される当社定時株主総会の終了時点までとなっております。

 本プランは、当社の企業価値および株主共同の利益を確保し向上させることを目的として、大規模買付行為が行われる場合に、大規模買付者に対し、事前に当該大規模買付行為等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付け等についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、大規模買付者との交渉等を行っていくための手続を定めています。

 かかる手続が遵守されなかった場合には、取締役会決議もしくは株主総会の承認により対抗措置(新株予約権無償割当て)を講じることがあります。当該対抗措置の発動により、結果的に手続を遵守しない大規模買付者に、経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。他方、手続が遵守されている場合は、原則として対抗措置は講じませんが、当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上に反すると認められる場合には、対抗措置(新株予約権無償割当て)を講じることがあります。

 なお、本プランの具体的内容は、平成28年5月23日付のニュースリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」

(https://www.nagase.co.jp/assetfiles/tekijikaiji/20160523.pdf)をご参照ください。

 

④ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由

  ②に記載した当社の「長期経営方針」および中期経営計画「ACE-2020」は、当社企業価値および株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。

  ③に記載した本プランは、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入しております。また、対抗措置発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う諮問機関として、独立委員会を設置しております。取締役会の判断は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、また、対抗措置の発動に際し、状況により、株主意思を確認することとしており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループは、機能素材、加工材料、電子、自動車・エネルギー、生活関連、その他のセグメントにおいて、

トレーディング機能、マーケティング機能、研究開発機能、製造・加工機能を活用し、グローバルに事業展開をし

ております。これらの事業の性質上、様々なリスクにさらされており、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性

があると考えられる主な事項を記載しております。

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)営業活動全般に係るリスク

 当社グループは、化学を基盤として、機能素材、加工材料、電子、自動車・エネルギー、生活関連のセグメントにおいて、顔料・着色剤、塗料・インキ、界面活性剤、OA、電機、家電、自動車、液晶、半導体、医薬・医療業界向け等に広範に事業を推進しております。従って、日本および世界における化学工業全般の動向に著しい変化が生じた際には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)商品市況による影響について

 当社グループは、ナフサを原料として製造される石油化学製品の取扱いを機能素材、加工材料、自動車・エネルギーセグメントを中心に広範に行っております。石油化学製品はこれら原料市況並びに需給バランスの要因から、製品ごとに固有の市況を形成しており、その変動は当該取引の売上と損益に影響を与える可能性があります。また、当社グループにおいて製造する一部製品に穀物由来の原料を使用しております。当該原料の価格は穀物相場の価格により大きく変動する場合があり、原料の上昇分を販売価格に転嫁できない場合には、損益に影響を与える可能性があります。

 

(3)為替変動による影響について

 当社グループは、外貨建てによる輸出入、および貿易外取引を行っており、これら外貨建て取引については為替の変動により円換算後の価額に影響を与えます。これらの取引に対し為替予約によるヘッジを行い為替変動リスクを最小限に止める努力をしておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外に現地法人を有しており、外貨建ての財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、これらを日本円に換算する際の為替レート変動に伴う換算リスクがあります。

 

(4)金利変動による影響について

 当社グループは、営業活動や投資活動に係る資金を金融機関からの借入等により資金調達しておりますが、有利子負債には変動金利条件となっているものがあります。変動金利による調達に関しましては、金利スワップ契約等を活用することで金利変動に伴うリスクの軽減に努めておりますが、今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、金利変動によって退職給付債務の割引率および年金資産の運用収益が変動し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)海外事業活動に係るリスク

 当社グループの販売および生産は中国、東南アジア諸国、欧米を中心とした海外での活動の割合が高まっております。当社グループは現地動向を随時把握の上、適切に対応していく方針ですが、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)株価変動による影響について

 当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、これらは株価の変動によるリスクを負っております。それらのリスクに対し、所有株式を継続的に見直し、整理する等リスクを軽減する施策を講じておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、株価の下落により年金資産の運用が悪化した場合には、退職給付費用の増加により損益に影響を与える可能性があります。

 

(7)取引先の信用に係るリスク

 当社グループは、多様な商取引により国内外の販売先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。これら信用リスクの低減のため、販売先の信用状態に応じて、担保・保証・保険等の取得等の対策を講じております。また、安定かつ継続的な商品の調達に努めているものの、仕入先等の信用状況の悪化や経営破綻等により、取扱商品の継続的な供給が困難となる場合もあります。これらのリスクが顕在化することによって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(8)投資に係るリスク

 当社グループは、新会社の設立、製造子会社における設備投資および企業買収等の投資活動を行っております。このような投資活動においては、当初計画した水準まで収益を計上出来ないことによる回収リスク、追加の資金拠出が発生するリスク、また、当社グループが希望する時期や方法で撤退出来ないリスク等を有しております。新規事業投資においては事業計画の実現性および採算性を精査した上で意思決定し、既存投資においては定期的にモニタリングを実施し、リスク軽減に努めておりますが、こうした管理を行ったとしても投資リスクを完全に回避することは困難であり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)固定資産に係る減損のリスク

 当社グループは、製造子会社における事業用資産やのれん等の固定資産を有しており、これらの資産価値の下落に伴う減損損失発生の可能性があります。当社グループは、適宜必要な減損処理を実施しておりますが、今後、事業の採算性悪化等により更に減損処理が必要となった場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)製品の品質に係るリスク

 当社グループは、より高い付加価値を顧客に提供するためにナガセR&Dセンターおよび製造子会社を有しており、それらの提供する技術・製品の品質には細心の注意を払っております。また、輸入品や委託加工製品等、製造物責任を負う製品の取扱いを行っており、その製品の品質に関しましても、同様の注意を払っております。しかしながら、当該製品の不具合等による販売停止および製品回収あるいは損害賠償等が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11)商品関連法令に係るリスク

 当社グループは、化学品を主体として広範な用途向けに多種類の商品の輸出、輸入、国内販売を行っております。輸出については、国際的な平和や安全の維持等を目的とした「外国為替および外国貿易法」や「輸出貿易管理令」等、輸入・国内販売については、「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」等の法規制の適用を受けるほか、海外各国においても、同様の規制が存在し、適用を受けております。これらに対し安全保障貿易管理規程、化学品・製品管理規程等を定め、商品に係る法規制の遵守活動に努めておりますが、これらの法規制等に抵触した場合、事業活動に制約を受け、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)自然災害等のリスク

 当社グループは、グループ各社において災害時における業務継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの作成、耐震対策、防災訓練等、自然災害発生時への備えを講じております。しかしながら、当社グループは国内外の広範な地域にわたって営業活動を行っており、大規模な自然災害や新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、サプライチェーンの寸断による販売活動の停滞や、工場設備の被災に伴う生産活動の停止による機会損失等によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、グループの総合力を結集し、新事業創出のため、マーケティング活動に基づく新技術・新製品の開発と技術情報の発信を目的に研究開発活動を行っております。

ナガセR&Dセンターでは、当社グループが取り組むバイオ関連事業において、基盤技術開発とテーマ企画立案を推進しております。当センターは、コア技術である放線菌を用いた物質生産技術に加え、遺伝子工学、代謝工学、発酵工学、バイオプロセス工学、生物情報解析等、広範にわたる基盤技術を保有しております。これらをベースに、大学等外部の研究機関の最新技術を取り込み、ナガセケムテックス㈱、㈱林原等グループ企業および外部パートナーとの連携を通じて、バイオプロセスを用いた「環境配慮型」のケミカル素材の開発を行い、将来にわたって人々の「安心・安全」な社会の実現を目指します。現在、新規酵素、非天然型アミノ酸、抗老化素材の開発や天然抽出物の化粧品、健康食品への応用等、幅広いテーマを進めており、その周辺においては多数の特許出願も行っております。このように当センターは、グループの将来事業を先導するバイオ技術の基盤技術開発とバイオ技術の活用による製品開発をミッションとしております。

また、ナガセアプリケーションワークショップ(NAW)では、プラスチック、コーティング材料の分野で原材料の評価分析、用途開発から、それら原材料を使った最終製品の処方開発を行うことができる設備と専門技術スタッフを有しております。取引先やグループ製造会社が持つ素材や加工技術を組み合わせ、グループネットワークを活かしたマーケティング機能で得た市場ニーズに応えるソリューション提案を行うことで、当社グループ独自の商社業の差別化戦略を支えております。また、新しい要素技術・機能性材料を的確な処方とともに顧客に提案できる独自の技術に育て、事業部やグループ会社と共同で新規事業開発を進めております。

ナガセケムテックス㈱では、各事業部にある製品開発部門と全社横断的な研究開発本部に所属する研究スタッフが、エレクトロニクス、自動車・航空機、環境・エネルギー、食品、メディカル関連分野を重点に、長年にわたり蓄積してきた独自の合成技術、配合技術、バイオ技術および評価技術を駆使して新製品を開発しております。特に、自動車・航空機等の輸送機器関連やバイオ素材等、軽量化・耐久性・リサイクル性をアピールした高機能、高付加価値製品の開発を推進しております。

㈱林原では、機能性糖質および機能性色素に関する研究開発を行っております。機能性糖質事業においては、微生物スクリーニングによる糖質に関連した新規酵素生産菌の探索と分析を行い、当該生産菌により生産される酵素を用いた独自の機能性糖質を研究開発しております。当社の機能性糖質は、食品をはじめとして香粧品、医薬・医療、農業、工業といった様々な領域において広く利用されており、長年積み重ねてきた技術に加え、常に新たな手法の導入を試行し、主力製品である「トレハ®」や「AA2G®」に次ぐ、次世代の主力となる機能性糖質の製品化に向けて、基盤研究から応用研究、アプリケーション開発および特許・知財戦略の連携をとりながら新たな価値を創造するための研究開発活動を進めております。機能性色素事業においては、㈱林原が保有する豊富な機能性色素ライブラリーを活用しながら、写真・印刷刷版等の工業分野および、医薬品等のライフサイエンス分野への製品提供と新たな用途提案に向けた開発活動を行っております。

 

なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

機能素材

519

加工材料

884

電子

1,322

自動車・エネルギー

106

生活関連

2,120

全社(共通)(注)

213

合計

5,167

(注)全社(共通)は特定のセグメントに関連付けられない基礎研究等に関する費用です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。

(1)重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える貸倒引当金、退職給付引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等の見積りを行っております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づいて継続して評価・判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析につきましては「1 業績等の概要(1)業績」をご参照下さい。

 

(3)財政状態の分析

 当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金は減少しましたが、売掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ88億8千万円増加の3,212億1千万円となりました。固定資産は、関係会社株式の売却を行ったものの、保有株式の時価上昇による投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ98億1千万円増加の2,095億5千万円となりました。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ186億9千万円増加の5,307億7千万円となりました。

 負債は、買掛金や長期繰延税金負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ26億4千万円増加の2,355億7千万円となりました。

 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益103億3千万円を計上したほか、その他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ160億4千万円増加の2,951億9千万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の53.5%から1.2ポイント増加し、54.7%となりました。