当社は、2032年までを対象とする「長期経営方針」および2016~2020年度の5ヵ年を対象とする中期経営計画「ACE-2020」に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。
(1) 基本理念
当社は、グループの共通の価値観として、以下の経営理念、ビジョン、NAGASEウェイを掲げています。
(2) 長期経営方針
当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を2014年度に策定しております。
「成長に向けたチャレンジ」においては、注力領域への経営資源の投下と、従来からのビジネスモデルに依存する体質からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。
(3) 中期経営計画「ACE-2020」について
長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。
「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。
「ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。
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目標 |
第104期(2018年度) |
第103期(2017年度) |
第102期(2016年度) |
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連結売上高 |
1兆円以上 |
8,077億円 |
7,839億円 |
7,223億円 |
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連結営業利益 |
300億円以上 |
252億円 |
241億円 |
150億円 |
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ROE |
6.0%以上 |
6.6% |
5.8% |
3.7% |
※目標値は、早期に常態化することを目指しております。
(4) 中期経営計画の骨子
「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。
また、中期経営計画の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社単位で「ACE-2020」ローリングを行いました。ローリングは外部および内部環境の分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、一部の事業体制および施策の修正を決定しました。なお、ローリングによる定量・定性目標の変更はありませ
ん。
新たに重要性が高まった課題は以下の3点になります。
A)グローバルでの環境規制強化による供給問題
B)海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンス
C)製造事業におけるコンプライアンス体制のさらなる強化
① 収益構造の変革
重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」
「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「育成領域」、「注力領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ります。
注力領域:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス
今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、スイスのロンザ社との長期パートナーシップ契約を背景とした今後の需要拡大を見据え、生産能力向上を目的に、天然多糖類のプルランと各種酵素を生産する新工場の建設に着手しました。また、フード事業戦略室の新設を決定し、食品素材市場の戦略構築および事業拡大を図ります。
同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいて、次世代通信規格対応高周波製品の展開および半導体事業拡大を目的に、3D Glass Solutions社へ出資を行いました。また、電子セグメントの電子資材事業部と電子化学品事業部を統合し、新たにエレクトロニクス事業部の新設を決定し、業界全体を俯瞰し、技術、用途、産業構造の変化に柔軟に対応した事業展開を図ってまいります。
「育成領域」では、LiDAR関連技術を持つ米国TriLumina社、加国LeddarTech社との協業を開始し、自動運転技術分野に参入しました。また、ドメインをすべてのモビリティ関連ビジネスに拡げ、「次世代モビリティ社会において環境に配慮し、安心・安全・快適を実現するソリューション提供」を掲げて、「自動車・エネルギー」セグメントの名称を、2019年4月より「モビリティ・エネルギー」セグメントへ変更することを決定しました。
また、人工知能や高速データ処理システムを活用した新規材料や代替材料を探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)のプラットフォームをIBM社と共同開発することを合意し、2020年度のサービス提供開始を目指しております。
「基盤領域」では、国内外の化学品や合成樹脂の販売活動に加え、国土交通省の「インフラメンテナンス大賞」優秀賞を受賞した防錆塗料の「Pat!naLock®」の拡販活動、排気・排水処理設備販売の開発活動、中国をはじめとする各国の環境規制対応等、環境関連事業を推進しました。
また、透明性と耐久性等に優れた合成樹脂「Tritan™」の日本代理店として、イタリアンレストラン「サイゼリヤ」の全店舗で採用されたほか、生活用品のデザインを通して素材の可能性を探ることを目的として、武蔵野美術大学や多摩美術大学との産学共同研究の成果発表会を開催しました。
「改善領域」では、一部の不採算事業の撤退を決定し、経営資源の再配分を行いました。
重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」
「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。
商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開のさらなる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。
今期は、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を目的として、海外における地域統括会社の設立を決定し、台湾・香港を含むグレーターチャイナ地域においては期中に、メキシコ・ブラジルを含む米州地域においては2019年度期首に、それぞれ地域統括会社を設立しました。また、米国現地法人では、産業用途3Dプリンター向け特殊材料の開発・製造を目的に、Infinite Material Solutions社を米国Interfacial Consultants社との合弁会社として設立しました。
製造業は、主に原料およびエネルギーコスト対応の施策を中心に損益分岐点の改善活動を継続しました。なお、当社100%子会社の福井山田化学工業株式会社が、省エネルギー管理優良事業者表彰の「福井県知事賞」を受賞しました。また、グループ製造業責任者会議を開催し、コンプライアンスや安全操業の徹底等の共通課題について、対応策の改善を図りました。
② 企業風土の変革
重点施策②-1:「マインドセットの徹底」
「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。
今期は、「モニタリングとPDCAの徹底」として、「ACE-2020」ローリングを実施し、計画策定時の前提条件や市場環境の見直しと、計画達成に向けた施策の精査を行いました。また、国内外グループ会社37社のマネージャー以上を対象に、「ACE-2020」の意識調査アンケートを行いました。回答結果から、「ACE-2020」全般の理解や浸透が確認されました。その他、トップメッセージの動画配信やインナーブランディング活動を継続して行ってまいりました。
重点施策②-2:「経営基盤の強化」
「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。
今期は、「効率性の追求」として、コーポレート機能の強化とコア業務の生産性向上を目的に、間接部門業務の機能と組織の見直しを継続しました。シェアードサービス会社である長瀬ビジネスエキスパート株式会社は、国内販売会社を対象とした与信管理システムの運用を開始し、また、RPAの活用により業務範囲を拡大し、業務の標準化と効率化を進めました。
「人財育成」においては、キャリアプランの選択肢拡大と成果を発揮した人財の早期抜擢と処遇反映を目的とし、新人事制度の運用を開始しました。また、健康経営優良法人2019(ホワイト500)の認定取得や健康宣言を行う等、働きやすい職場環境の整備を進めました。
(5) 経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、中期経営計画「ACE-2020」にて「収益構造の変革」と「企業風土の変革」を行うことにより、中期経営計画が掲げる目標の達成を目指しております。また、目標の達成のために、重要業績評価指標(KPI)として、「注力ビジネス拡大」、「グローバル展開の加速」、「製造業の収益力向上」、「効率性の追求」、「投資」、「強固な財務体質」を設けております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、合成樹脂、情報印刷関連材料、カーエレクトロニクス関連部材等などの販売が好調であり、ディスプレイ関連部材およびフォトリソ材料等の販売が低調でした。通期業績は当初の見込みを若干下回ったものの、前期の業績は上回る結果となりました。
KPIの観点からは、「注力ビジネス拡大」においては前年を下回る結果となりました。注力領域の一つであるエレクトロニクスの不調を他の事業領域にて補完する形となり、ポートフォリオの安定性という面では一定の評価が出来るものの、注力領域の各施策の実績化のスピードに関しては課題を認識しました。
「グローバル展開の加速」においては、海外グループ会社の売上高は前年を上回ったものの、中期経営計画策定時における想定を下回っております。(4)に記載の通り、海外事業機会の拡大に対応するグローバルガバナンスの重要性の高まりを認識しており、グレーターチャイナ地域においては2018年度末に、米州地域においては2019年度期首に地域統括会社をそれぞれ設立しました。各地域において、新たな事業創造、迅速な投資判断、ガバナンス強化を進めてまいります。
「製造業の収益力向上」においては、グループ製造会社の売上高は全体として改善傾向を維持しておりますが、一部の事業において採算の悪化が認められており、対応策の強化を図ってまいります。
「効率性の追求」においては、グループ全体の売上高の伸長ペースが中期経営計画の策定時の想定を下回っており、KPIとして設定した「連結売上高販管費比率」の改善が想定より遅れております。一方で、グループ製造会社の収益改善により、売上総利益率は向上しており、収益に対する費用効率性については改善しております。
また、(4)に記載のとおり、中期経営計画期間の4年目を迎えるにあたり、計画達成の実現性を高めるべく全社レベルで中期経営計画ローリングを行いました。外部および内部環境分析を行い、中期経営計画策定時の想定との乖離を認識し、新たな課題の抽出と一部の事業体制および施策の修正をしました。中期経営計画が掲げる目標の達成を目指し、外部環境に依存しない強固な利益体質を構築するべく、各施策をより一層推し進めてまいります。
投資を目的とした資金需要については、「注力領域」であるライフ&ヘルスケア領域およびエレクトロニクス領域、ならびに「注力エリア」である米州を中心としたものであり、成長に向けた投資として89億円の支出を行いました。
また、運転資本の増加による資金の減少が125億6千万円ありましたが、事業全般的に取扱高が増加したことに加え、一部の樹脂原料や化学品等について顧客への安定供給に必要な在庫を確保するための資金支出が増加したこと等によるものです。
株主還元としては、配当金の支払として51億3千万円、自己株式の取得として19億5千万円の支出を行いました。
これらの資金支出の財源は、営業活動によるキャッシュ・フロー173億7千万円のほか、有利子負債により調達しております。売掛債権および在庫の管理の徹底や資産の入れ替え等を通じて、資本効率性の改善を図ってまいります。
なお、上記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、機能素材、加工材料、電子、自動車・エネルギー、生活関連、その他のセグメントにおいて、
トレーディング機能、マーケティング機能、研究開発機能、製造・加工機能を活用し、グローバルに事業展開をし
ております。これらの事業の性質上、様々なリスクにさらされており、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性
があると考えられる主な事項を記載しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)営業活動全般に係るリスク
当社グループは、化学を基盤として、機能素材、加工材料、電子、自動車・エネルギー、生活関連のセグメントにおいて、顔料・着色剤、塗料・インキ、界面活性剤、OA、電機、家電、自動車、液晶、半導体、医薬・医療業界向け等に広範に事業を推進しております。従って、日本および世界における化学工業全般の動向に著しい変化が生じた際には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)商品市況による影響について
当社グループは、ナフサを原料として製造される石油化学製品の取扱いを機能素材、加工材料、自動車・エネルギーセグメントを中心に広範に行っております。石油化学製品はこれら原料市況並びに需給バランスの要因から、製品ごとに固有の市況を形成しており、その変動は当該取引の売上と損益に影響を与える可能性があります。また、当社グループにおいて製造する一部製品に穀物由来の原料を使用しております。当該原料の価格は穀物相場の価格により大きく変動する場合があり、原料の上昇分を販売価格に転嫁できない場合には、損益に影響を与える可能性があります。
(3)為替変動による影響について
当社グループは、外貨建てによる輸出入、および貿易外取引を行っており、これら外貨建て取引については為替の変動により円換算後の価額に影響を与えます。これらの取引に対し為替予約によるヘッジを行い為替変動リスクを最小限に止める努力をしておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外に現地法人を有しており、外貨建ての財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、これらを日本円に換算する際の為替レート変動に伴う換算リスクがあります。
(4)金利変動による影響について
当社グループは、営業活動や投資活動に係る資金を金融機関からの借入等により資金調達しておりますが、有利子負債には変動金利条件となっているものがあります。変動金利による調達に関しましては、金利スワップ契約等を活用することで金利変動に伴うリスクの軽減に努めておりますが、今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
また、金利変動によって退職給付債務の割引率および年金資産の運用収益が変動し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)海外事業活動に係るリスク
当社グループの販売および生産はグレーターチャイナ、アセアン、米州、欧州を中心とした海外での活動の割合が高まっております。当社グループは現地動向を随時把握の上、適切に対応していく方針ですが、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)株価変動による影響について
当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、これらは株価の変動によるリスクを負っております。それらのリスクに対し、所有株式を継続的に見直し、整理する等リスクを軽減する施策を講じておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、株価の下落により年金資産の運用が悪化した場合には、退職給付費用の増加により損益に影響を与える可能性があります。
(7)取引先の信用に係るリスク
当社グループは、多様な商取引により国内外の販売先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。これら信用リスクの低減のため、販売先の信用状態に応じて、担保・保証・保険等の取得等の対策を講じております。また、安定かつ継続的な商品の調達に努めているものの、仕入先等の信用状況の悪化や経営破綻等により、取扱商品の継続的な供給が困難となる場合もあります。これらのリスクが顕在化することによって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)投資に係るリスク
当社グループは、新会社の設立、製造子会社における設備投資および企業買収等の投資活動を行っております。このような投資活動においては、当初計画した水準まで収益を計上出来ないことによる回収リスク、追加の資金拠出が発生するリスク、また、当社グループが希望する時期や方法で撤退出来ないリスク等を有しております。新規事業投資においては事業計画の実現性および採算性を精査した上で意思決定し、既存投資においては定期的にモニタリングを実施し、リスク軽減に努めておりますが、こうした管理を行ったとしても投資リスクを完全に回避することは困難であり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)固定資産に係る減損のリスク
当社グループは、製造子会社における事業用資産やのれん等の固定資産を有しており、これらの資産価値の下落に伴う減損損失発生の可能性があります。当社グループは、適宜必要な減損処理を実施しておりますが、今後、事業の採算性悪化等により更に減損処理が必要となった場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)製品の品質に係るリスク
当社グループは、より高い付加価値を顧客に提供するためにナガセR&Dセンターおよび製造子会社を有しており、それらの提供する技術・製品の品質には細心の注意を払っております。また、輸入品や委託加工製品等、製造物責任を負う製品の取扱いを行っており、その製品の品質に関しましても、同様の注意を払っております。しかしながら、当該製品の不具合等による販売停止および製品回収あるいは損害賠償等が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)商品関連法令に係るリスク
当社グループは、化学品を主体として広範な用途向けに多種類の商品の輸出、輸入、国内販売を行っております。輸出については、国際的な平和や安全の維持等を目的とした「外国為替および外国貿易法」や「輸出貿易管理令」等、輸入・国内販売については、「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」等の法規制の適用を受けるほか、海外各国においても、同様の規制が存在し、適用を受けております。これらに対し安全保障貿易管理規程、化学品・製品管理規程等を定め、商品に係る法規制の遵守活動に努めておりますが、これらの法規制等に抵触した場合、事業活動に制約を受け、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)自然災害等のリスク
当社グループは、グループ各社において災害時における業務継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、災害対策マニュアルの作成、耐震対策、防災訓練等、自然災害発生時への備えを講じております。しかしながら、当社グループは国内外の広範な地域にわたって営業活動を行っており、大規模な自然災害や新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、サプライチェーンの寸断による販売活動の停滞や、工場設備の被災に伴う生産活動の停止による機会損失等によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、企業収益が改善し、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費は堅調に推移しましたが、昨年末から世界経済の不透明感が増し、海外需要を主とする産業を中心に成長の鈍化が認識され始めました。世界経済においても、米国が堅調な企業業績を中心として世界経済をけん引しておりましたが、米中の貿易摩擦の影響のほか、各国の金融政策や為替動向等のリスク要因が顕在化し、先行きの不透明感が増しております。
このような状況の下、当連結会計年度の業績は、国内販売は4,126億1千万円(前年比+4.3%)、海外販売は3,951億3千万円(同+1.7%)となった結果、売上高は8,077億5千万円(同+3.0%)となり、過去最高を更新しました。
利益面につきましては、国内外における全般的な増収や製造子会社における収益性の改善等により、売上総利益は1,054億4千万円(同+2.7%)、営業利益は252億2千万円(同+4.6%)となりました。経常利益は266億4千万円(同+2.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は201億3千万円(同+17.2%)となり、各利益とも過去最高を更新しました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を一部変更しており、前年比の金額および比率については、前連結会計年度を当連結会計年度において用いた報告セグメントの区分に組替えて算出しております。
機能素材
機能素材につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
機能化学品事業は、国内外における自動車生産台数の堅調な推移やナフサ価格の上昇等により塗料原料およびウレタン原料の売上が増加したことに加え、前第2四半期連結会計期間に買収した米国のディストリビューターの売上が、当連結会計年度においては全期間にわたり反映されていることから、事業全体として売上は増加しました。
スペシャリティケミカル事業は、海外では売上が減少したものの、国内では半導体関連等の電子業界向けを中心としてエレクトロニクスケミカル、樹脂原料・添加剤の売上が増加したことから、事業全体として売上は微増となりました。
この結果、売上高は1,796億2千万円と前連結会計年度に比べ、47億円(+2.7%)の増収となりました。営業利益は54億9千万円と前連結会計年度に比べ、3億円(+6.0%)の増益となりました。
加工材料
加工材料につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
カラー&プロセシング事業は、国内における工業用および包装材料用の合成樹脂、顔料・添加剤の売上および国内外における情報印刷関連材料等の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
OA・ゲーム機器業界への合成樹脂の販売を中心とするポリマーグローバルアカウント事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は2,752億円と前連結会計年度に比べ、123億7千万円(+4.7%)の増収となりました。営業利益は80億9千万円と前連結会計年度に比べ、13億9千万円(+20.8%)の増益となりました。
電子
電子につきましては、国内・海外ともに売上は減少しました。
電子化学品事業は、半導体業界向け等の変性エポキシ樹脂関連の売上は堅調に推移したものの、フォトリソ材料や装置関連の売上が減少したことにより、事業全体として売上は減少しました。
電子資材事業は、半導体中間工程用の研磨剤関連ビジネスは堅調であったものの、ディスプレイ関連部材の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は1,223億1千万円と前連結会計年度に比べ、70億円(△5.4%)の減収となりました。営業利益は74億円と前連結会計年度に比べ、15億1千万円(△17.0%)の減益となりました。
自動車・エネルギー
自動車材料事業は、国内、グレーターチャイナおよびアセアンにおいて樹脂ビジネスが好調に推移したことに加え、カーエレクトロニクス関連部材の売上が増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は1,392億3千万円と前連結会計年度に比べ、95億2千万円(+7.3%)の増収となりました。営業利益は30億5千万円と前連結会計年度に比べ、6億3千万円(+26.4%)の増益となりました。
(注)自動車・エネルギーセグメントは、2019年4月1日よりモビリティ・エネルギーセグメントに名称変更しております。
生活関連
生活関連につきましては、国内・海外ともに売上は増加しました。
ライフ&ヘルスケア製品事業は、食品素材分野において、トレハ®等の売上は海外では増加し、国内では微増となりました。スキンケア・トイレタリー分野では、AA2G®の国内外での売上が増加しました。医療・医薬分野では、医薬品原料・中間体、医用材料および製剤事業の売上が増加しました。この結果、事業全体として売上は増加しました。
化粧品・健康食品の販売を行うビューティケァ製品事業は、全般的に販売が低調であったことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は907億9千万円と前連結会計年度に比べ、42億7千万円(+4.9%)の増収となりました。営業利益は46億4千万円と前連結会計年度に比べ、4億4千万円(+10.6%)の増益となりました。
その他
特記すべき事項はありません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の流動資産は、売掛金やたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ、125億円増加の3,658億2千万円となりました。固定資産は、保有株式の売却や時価下落による投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ146億1千万円減少の2,015億1千万円となりました。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ21億円減少の5,673億4千万円となりました。
負債は、長期借入金の返済等により、前連結会計年度末に比べ59億1千万円減少の2,547億3千万円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差額金の減少が89億1千万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益201億3千万円を計上し、前連結会計年度末に比べ38億円増加の3,126億円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の53.3%から0.9ポイント増加し、54.2%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の収入173億7千万円、投資活動による資金の支出73億2千万円、財務活動による資金の支出89億円に換算差額による資金の増加等を加味した結果、前連結会計年度末と比べ11億5千万円(+2.7%)増加し、440億1千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加額は、173億7千万円となりました。これは、運転資本の増加による資金の減少125億2千万円、法人税等の支払48億7千万円があったものの、税金等調整前当期純利益282億円、減価償却費による資金留保93億2千万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の減少額は、73億2千万円となりました。これは、投資有価証券の売却による収入54億7千万円があったものの、有形および無形固定資産の取得による支出107億5千万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少額は、89億円となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの純増加70億円があったものの、長期借入金の返済による支出111億7千万円、配当金の支払51億3千万円があったこと等によるものです。
④ 販売の状況
「① 経営成績の状況」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照願います。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える貸倒引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等の見積りを行っております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づいて継続して評価・判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照願います。
当社は、2019年6月3日開催の取締役会において、当社100%子会社であるNagase Holdings America Corporation(2019年4月1日設立)がPrinova Group,LLCの持分を取得することにより同社および同社の子会社を連結子会社化することを決議し、同日付で持分譲渡契約を締結いたしました。
なお、詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社グループは、グループの総合力を結集し、新規事業創出のため、マーケティング活動に基づく新技術・新製品の開発と技術情報の発信を目的に研究開発活動を行っております。
NVC(New Value Creation)室は、グループのイノベーションを推進し、AIやIoT等の潮流変化を見据えた新しい価値を創造することで、これまでグループになかったビジネスの核を作ることを目指しています(全社(共通)セグメントに所属)。最先端のデータ処理技術と材料科学を融合した新しい材料開発の技術分野であるマテリアルズ・インフォマティクスの他、次世代通信規格の実現後に期待されるエッジサーバの遅延要求と処理性の両立およびシステムの低消費電力化のためのサーバアクセラレーションを可能にするソリューションをテーマに開発活動をしております。
ナガセR&Dセンターでは、当社グループが取り組むバイオ関連事業において、基盤技術開発とテーマ企画立案を推進しております。現在、世界規模で進んでいるバイオエコノミー社会の実現に向けて、独自のコア技術(放線菌の育種・発酵技術:N-STePP®注)と基盤技術を活用して、従来合成困難な植物や動物由来の希少有用物質を高効率生産できるように「プロセスイノベーション」(=Unavailable Made Available)を目指して取り組んでおります。例えば藻類由来の紫外線吸収物質(マイコスポリン様アミノ酸)、ヒトや動物の血液に存在するタンパク質(フェリチン)、キノコや麦類に含有される希少抗酸化アミノ酸(エルゴチオネイン)、バイオ色素等の放線菌特有の機能性物質があります。これらの有用物質を、機能性食品、化粧品、および工業用品として広く展開されるよう開発を進めております。基盤技術と周辺技術においては多数の特許出願・登録も行っております。このように当センターは、グループの将来の事業を先導するバイオ技術の基盤技術開発とその活用による製品開発をミッションとしております。注)Nagase Streptomyces Technology for Protein/Precious Productsの略称、弊社の国内登録商標
ナガセアプリケーションワークショップ(NAW)では、プラスチック、コーティング材料の分野で原材料の評価分析、用途開発から、それら原材料を使った最終製品の処方開発を行うことができる設備と専門技術スタッフを有しております。取引先やグループ製造会社が持つ素材や加工技術を組み合わせ、グループネットワークを活かしたマーケティング機能で得た市場ニーズに応えるソリューション提案を行うことで、当社グループ独自の商社業の差別化戦略を支えております。また、新しい要素技術・機能性材料を的確な処方とともに顧客に提案できる独自の技術に育て、事業部やグループ会社と共同で新規事業開発を進めております。
ナガセケムテックス株式会社では、新規事業開発本部にて「次世代ものづくり」と「バイオマテリアル」の2分野における新規事業の立ち上げに注力しています。次世代ものづくり分野においては3Dプリンター用UV硬化樹脂や低温焼結金属配線インク等のアディティブ・マニュファクチャリング工法に利用できる各種材料を開発しており、既に製品の販売を開始しています。今後、製品ラインナップを拡充し、本格的な事業化に向けた体制整備を進めてまいります。バイオマテリアル分野では、医療機器用途等向けにニーズが高まってきている低エンドトキシン生体適合ポリマーのサンプル供給を開始しております。
INKRON Oyでは、独自のシロキサン合成技術により、高い信頼性が要求されるLED用途向け材料の量産を始めております。また超低屈折率(RI=1.25)~高屈折率(RI>1.8)までの幅広い屈折率制御技術を駆使し、今後成長が期待されるAR/VR分野での特殊光学材料の開発を進めています。ナガセケムテックス株式会社にて長年にわたって蓄積してきたナノ粒子分散技術、量産化技術、品質管理システムとの補完的相乗効果により、次世代デバイス向け先端材料のグローバル供給を通じて顧客のイノベーョンに貢献してまいります。
株式会社林原では、食品はもとより、化粧品、医薬品・医療から、農業、工業分野に至るまで様々な領域において、「トレハ®」・「プルラン」をはじめとする糖質を広くご利用頂くべく、研究開発活動を行っております。注力商品である「ファイバリクサ™」および「林原ヘスペリジン®S」については、消費者の認知度を上げると共に、さらなる機能性表示食品への展開等、開発活動を強化しております。新規素材については、微生物から新規酵素生産菌の探索を行い、独自酵素を用いて生み出される製品の研究開発を進めております。さらに、次世代の主力となる機能性糖質の製品化に向け、特許・知財戦略も考慮しながら、新たな素材に関する製法の検討を進めるとともに、市場分析、有用な利用法の提案、アプリケーション開発等の活動を推進しております。一方、機能性色素の研究開発活動としては、保有する豊富な機能性色素ライブラリーを活用しながら、写真・印刷刷版等の工業分野に加えて、現在伸びている医薬品や検査薬等のライフサイエンス分野への展開に注力した開発活動を行っております。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりです。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
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機能素材 |
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加工材料 |
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電子 |
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自動車・エネルギー |
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生活関連 |
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全社(共通)(注) |
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合計 |
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(注)全社(共通)は特定のセグメントに関連付けられない基礎研究等に関する費用です。