(1) 前中期経営計画「ACE-2020」の総括
当社グループ(以下、NAGASE)は、2016年度から2032年度(創業200年)までの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を軸とした中期経営計画「ACE-2020」を推進してまいりました。
「収益構造の変革」においては、グローバル展開の加速および製造業の収益力の向上を図ってきたものの、「ギャップを埋める対策」からのインオーガニック成長による利益貢献が遅れ、収益基盤の拡大・強化については課題が残る結果となりました。一方、各事業を「注力」「育成」「基盤」「改善」の4領域に分けた上で各領域に沿った戦略を実行し、注力領域であるエレクトロニクス・ライフ&ヘルスケアを中心とした成長投資ならびに注力地域である米州への資本投下に加え、効率性およびベストオーナーの観点からの一部事業撤退などにより、事業・地域軸ともにポートフォリオの最適化は進みました。また、政策保有株式の売却239億円を実施し、効率性の高い資産への入替を行いました。
(ポートフォリオの最適化)
「企業風土の変革」においては、トップメッセージの共有などにより、「ACE-2020」の全社浸透および主体性と責任感の醸成は進んだものの、モニタリングとPDCAの徹底については引き続き課題と認識しております。また、効率性の追求に関するKPIとして設定していた売上高販管費比率は、将来の持続的な成長に向けたデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進などに関する投資(費用)の増加などもあり未達となりました。一方、コーポレート機能の全体最適化および効率性を追求すべく、国内グループ会社の間接部門機能をシェアードサービスとして提供する長瀬ビジネスエキスパート㈱を発足させるなど、コーポレート機能の全体最適化は前進しました。
(主な成果)
定量目標に対する結果は下記のとおりです。
定量目標:KGI(Key Goal Indicator)
KGI達成のための因数指標:KPI(Key Performance Indicator)
「ACE-2020」の定量目標は未達となり、継続して取り組むべき課題は残りましたが、「ACE-2020」において実行してきた取組みは、NAGASEの企業価値を支える良質かつ競争力のある資産と捉えており、新中期経営計画の期間中に収益・効率性を向上させる土台になるものと考えております。
(2) 経営環境および理念体系の見直し
経営環境
NAGASEを取り巻く環境は大きく変化しており、直近では新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けております。今後、新型コロナウイルス感染症に加え、あらゆる外部環境の変化によりもたらされる顧客・市場・社会の変化に対応し、新たな提供価値を創出していく必要があると考えております。
(内部環境分析:NAGASEの強み)
NAGASEは、「広域なネットワーク」、「技術知見」、「課題解決力・人財」を強みとし、社会・顧客のニーズに対応してきました。NAGASEとして新たな提供価値を創出していくにあたり、これらの強みを更に強化・拡充していく必要性を認識しております。
(外部環境分析:重要な外部環境の認識、将来の機会と脅威)
NAGASEにとって技術革新、気候変動・資源不足、人口動態の変化、業界再編などの外部環境変化は従来の提供価値を大きく変化させるものであるとともに、NAGASEが持つ強みの希薄化を招くリスクであると認識しております。これらの環境変化に対する対応を誤ると将来の脅威になり得ますが、変化へ適応することにより大きな機会にもなり得るものと捉えております。
(重要なステークホルダーへの提供価値とマテリアリティ(重要課題))
上記外部環境の大きな変化を踏まえ、当社は2032年(創業200年)に向けNAGASEにとって重要なステークホルダーと各ステークホルダーに提供したい価値、それらを実現するためのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。また、これらの価値提供が実現できている姿を「ありたい姿」“温もりある未来を創造するビジネスデザイナー”と新たに定めました。
NAGASEのビジョンの一節にある「見つけ、育み、拡げる」活動を通じて、社会・取引先の課題解決を実現し、サステナブルな社会の発展に貢献してまいります。
理念体系の見直し
以上を踏まえ、NAGASEは理念体系を見直しました。「ありたい姿」を下記のとおり位置づけ、さらに理念体系すべてに共通する考え方として、「サステナビリティ基本方針」を策定いたしました。
(3) 新中期経営計画 ACE 2.0
NAGASEは、2032年(創業200年)の「ありたい姿」の実現に向けたマテリアリティ(重要課題)および「ありたい姿」を実現するために2032年からバックキャスティングし策定した新たな中期経営計画 ACE 2.0に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。
「ACE-2020」で取り組んできた施策により、多くの変革が進みましたが、これらの変革を確かなものにするための更なる取組みが必要と認識しております。また、環境が急激に変化し続けていることによるパラダイムシフトの必要性も高まっていることから、新中期経営計画は「ACE-2020」の基本コンセプトは踏襲しながらも更なるバージョンアップを図るという意味を込めてACE 2.0としました。なお、こうした外部環境の変化を受け、ACE 2.0の位置づけを、従来の「成長期」から「質の追求」へと変更しております。
※“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
ACE 2.0基本方針
ACE 2.0では、NAGASEの持続的な成長を可能にするため、すべてのステークホルダーが期待する“想い”を具体的な“形”(事業・仕組み・風土)として創出し、“温もりある未来を創造するビジネスデザイナー”を目指し、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革と、両変革を支える機能として、DXの更なる加速、サステナビリティの推進およびコーポレート機能の強化を図ります。
変革を支える機能
両変革を実現するために、DX、サステナビリティおよびコーポレート機能はグループ横断的に必要な機能であり、これらの機能を拡充します。
DXを手段として活用することで、NAGASEの強みである「広域なネットワーク」、「技術知見」および「課題解決力・人財」を更なる強みとし、顧客や社会の課題を解決できるビジネスモデルの深化・探索、イノベーションの創出および生産性の向上などを図ります。
またサステナビリティ基本方針を根幹に置き、「ありたい姿」の実現に向け、経済価値と社会価値の追求を実現すべく、グループ全体に機能を提供していきます。
収益構造の変革‐”ありたい姿”に向けた収益基盤の構築
① 収益性・効率性の追求
・全社規模の事業入替と資源再配分の実施
経営資源の最大効率化を図るために、経営資源の確保と再投下を実行いたします。効率性および成長性の観点から、事業を「注力」、「育成」、「基盤」、「改善」の4つの領域に分類し、各領域に応じて戦略を実行し、さらにリソースシフトを加速させるべく、全社投下資本の10%を確保した上で注力/育成領域に再投下していきます。
② 既存事業の強化
・グローバリゼーションによる事業機会の拡大
地域ニーズ・業界動向に基づき、戦略機能を海外におくべき事業候補の創出ならびに各地域主体の事業創出に向けた権限移譲の促進や現地経営人財の育成強化などにより、グローバリゼーションを加速させ、事業機会の拡大を図ります。
・製造業の生産性向上と技術革新による付加価値の拡大
環境負荷低減およびDXを活用した生産革新の推進による基盤強化や、要素技術・製品開発機能の強化・拡充、マテリアルズ・インフォマティクス(TABRASA)を活用した新たな素材開発およびデジタルマーケティングによる新規市場開拓などにより、製造業の生産性向上および付加価値の拡大を図ります。
③ ”持続可能な事業”(N-Sustainable事業)の創出
顧客、社会が未だ認識していない課題を見つけ、「利益を生み出す解決策」を提供することで、社会・環境価値の向上に向けた”持続可能な事業”(=N-Sustainable事業)を創出いたします。
主な領域を環境・エネルギー、次世代通信関連およびライフ&ヘルスケア領域と定め、社会・環境価値の向上かつ課題を解決する新たな価値を提供できる既存ビジネスモデルの“深化”、新規ビジネスモデルの“探索”およびイノベーションの創出を行います。
企業風土の変革‐“ありたい姿”に向けたマインドセット
① 経済価値と社会価値の追求
・サステナビリティマインドの醸成と財務/非財務情報のモニタリング徹底
「質の追求」を実現するためには、経済価値と社会価値を両輪で追求していくことが必要と考え、財務情報に加え非財務情報のKPIを設定し、両KPI達成に向け徹底したモニタリングを行います。
非財務情報のKPIについては、「ありたい姿」の実現に向け設定したマテリアリティ(重要課題)に対する取組みを定量的に評価するため、下記記載の「提供価値のキーワード」に基づき設定いたします。
なお、本KPIにつきましては、2021年度中に公表予定です。
② 効率性の追求
・資本効率性への意識の深化
ACE 2.0においては、事業戦略によるROICの向上、財務戦略によるWACCの低減を行い、ROICスプレッドの改善を図ります。ROICがWACCを上回る状態を常態化させ、企業価値の向上を目指します。
「質の追求」を推進するにあたり、一定の投資は必要であり、積極投資の姿勢は変わらないものの、事業戦略として注力/育成領域へのリソースシフトや全社的な効率化を推進いたします。また、財務戦略においては、Net DEレシオ0.5倍未満を上限とした有利子負債の活用や増配等を通じWACCの低減を図ります。
(資金の源泉と使途)
ACE 2.0期間中、成長投資(運転資金含む)について、1,500億円を目途に実施いたします。持続的な成長およびポートフォリオの改善などからキャッシュ・フローを創出し、財務健全性を確保した上で、成長に向けた新たな事業投資・研究開発投資等への効率的な資金配分を行います。
(株主還元)
ACE 2.0期間中の株主還元方針として、配当については、従来の安定配当の方針を改め、継続増配に方針を変更いたしました。
自己株式の取得については、当社株式の資本市場での評価、財務健全性(Net DEレシオ0.5倍未満)および成長に向けた投資余力などを総合的に勘案し、機動的に実行いたします。
・コア業務の生産性の向上
シェアードサービスとして国内関係会社に対して効率的に間接業務を提供する長瀬ビジネスエキスパート㈱の業務範囲の拡大により、業務の生産性および質の向上を図り、またITを活用し間接業務ならびに営業・販売活動の効率化などを行い、連結売上総利益一般管理費比率※1の5ポイント改善※2を図ります。
※1:研究開発費、のれん等の買収関連無形資産の償却、数理計算上の差異の償却による損益を除く
※2:過去5年間(2016年度~2020年度)の平均数値との比較
③ 変革を推進する人財の強化
"人財(変革をリードするイノベーティブでグローバルな人財)"を確保し、"環境(快適・安全で創造性の上がるワークプレイスや働き方)"を実現し、"文化(挑戦および多様な個性を受容する文化と風土)"を醸成することで、社員と会社のエンゲージメントを向上させ、双方の持続的な成長と発展を実現します。
ACE 2.0の定量目標
”質の追求”の目標指標(KGI:Key Goal Indicator)
”質の追求”を達成するための重要業績指標(KPI:Key Performance Indicator)
なお、ACE 2.0において非財務情報のKPIの設定を予定しています。本KPIにつきましては、2021年度中に公表予定です。
当社グループは、機能素材、加工材料、電子・エネルギー、モビリティ、生活関連、その他のセグメントにおいて、トレーディング機能、マーケティング機能、研究開発機能、製造・加工機能を活用し、グローバルに事業展開をしております。これらの事業の性質上、様々なリスクにさらされており、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)営業活動全般に係るリスク
当社グループは、化学を基盤として、機能素材、加工材料、電子、モビリティ・エネルギー、生活関連のセグメントにおいて、顔料・着色剤、塗料・インキ、界面活性剤、OA、電機、家電、自動車、液晶、半導体、医薬・医療業界向け等に広範に事業を推進しております。従って、日本および世界における化学工業全般の動向に著しい変化が生じた際には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)商品市況による影響について
当社グループは、ナフサを原料として製造される石油化学製品の取扱いを機能素材、加工材料、モビリティ・エネルギーセグメントを中心に広範に行っております。石油化学製品はこれら原料市況並びに需給バランスの要因から、製品ごとに固有の市況を形成しており、その変動は当該取引の売上と損益に影響を与える可能性があります。また、当社グループにおいて製造する一部製品に穀物由来の原料を使用しております。当該原料の価格は穀物相場の価格により大きく変動する場合があり、原料の上昇分を販売価格に転嫁できない場合には、損益に影響を与える可能性があります。
(3)為替変動による影響について
当社グループは、外貨建てによる輸出入、および貿易外取引を行っており、これら外貨建て取引については為替の変動により円換算後の価額に影響を与えます。これらの取引に対し為替予約によるヘッジを行い為替変動リスクを最小限に止める努力をしておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外に現地法人を有しており、外貨建ての財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、これらを日本円に換算する際の為替レート変動に伴う換算リスクがあります。
(4)金利変動による影響について
当社グループは、営業活動や投資活動に係る資金を金融機関からの借入等により資金調達しておりますが、有利子負債には変動金利条件となっているものがあります。変動金利による調達に関しましては、金利スワップ契約等を活用することで金利変動に伴うリスクの軽減に努めておりますが、今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
また、金利変動によって退職給付債務の割引率および年金資産の運用収益が変動し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)海外事業活動に係るリスク
当社グループの販売および生産はグレーターチャイナ、アセアン、米州、欧州を中心とした海外での活動の割合が高まっております。当社グループは現地動向を随時把握の上、適切に対応していく方針ですが、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)株価変動による影響について
当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、これらは株価の変動によるリスクを負っております。それらのリスクに対し、所有株式を継続的に見直し、整理する等リスクを軽減する施策を講じておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、株価の下落により年金資産の運用が悪化した場合には、退職給付費用の増加により損益に影響を与える可能性があります。
(7)取引先の信用に係るリスク
当社グループは、多様な商取引により国内外の販売先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。これら信用リスクの低減のため、販売先の信用状態に応じて、担保・保証・保険等の取得等の対策を講じております。また、安定かつ継続的な商品の調達に努めているものの、仕入先等の信用状況の悪化や経営破綻等により、取扱商品の継続的な供給が困難となる場合もあります。これらのリスクが顕在化することによって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)投資に係るリスク
当社グループは、新会社の設立、製造子会社における設備投資および企業買収等の投資活動を行っております。このような投資活動においては、当初計画した水準まで収益を計上出来ないことによる回収リスク、追加の資金拠出が発生するリスク、また、当社グループが希望する時期や方法で撤退出来ないリスク等を有しております。新規事業投資においては事業計画の実現性および採算性を精査した上で意思決定し、既存投資においては定期的にモニタリングを実施し、リスク軽減に努めておりますが、こうした管理を行ったとしても投資リスクを完全に回避することは困難であり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)固定資産に係る減損のリスク
当社グループは、製造子会社における事業用資産やのれん等の固定資産を有しており、これらの資産価値の下落に伴う減損損失発生の可能性があります。当社グループは、適宜必要な減損処理を実施しておりますが、今後、事業の採算性悪化等により更に減損処理が必要となった場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)製品の品質に係るリスク
当社グループは、より高い付加価値を顧客に提供するためにナガセR&Dセンターおよび製造子会社を有しており、それらの提供する技術・製品の品質には細心の注意を払っております。また、輸入品や委託加工製品等、製造物責任を負う製品の取扱いを行っており、その製品の品質に関しましても、同様の注意を払っております。しかしながら、当該製品の不具合等による販売停止および製品回収あるいは損害賠償等が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)商品関連法令に係るリスク
当社グループは、化学品を主体として広範な用途向けに多種類の商品の輸出、輸入、国内販売を行っております。輸出については、国際的な平和や安全の維持等を目的とした「外国為替および外国貿易法」や「輸出貿易管理令」等、輸入・国内販売については、「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」等の法規制の適用を受けるほか、海外各国においても、同様の規制が存在し、適用を受けております。これらに対し安全保障貿易管理規程、化学品・製品管理規程等を定め、商品に係る法規制の遵守活動に努めておりますが、これらの法規制等に抵触した場合、事業活動に制約を受け、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)情報システムおよび情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、顧客のサプライチェーンにおける重要な役割を担っていることから、情報システムの安全性および情報セキュリティレベルの確保を重要事項と認識しております。その為、関連規程や体制を整備し、情報システムの安定稼働および情報セキュリティレベルの向上のために、様々な対策を継続的に実施しております。しかしながら、こうした対策を行ったとしても、情報システム基盤や通信回線等の重大な障害の発生、サイバー攻撃等による不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による情報の漏洩、改ざん、破壊等を完全に排除することはできず、この様な場合、事業活動の一時停止等、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼすことから、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(13)自然災害等のリスク
当社グループは、グループ各社において災害時における業務継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、在宅勤務インフラの整備、災害対策マニュアルの作成、耐震対策、防災訓練等、自然災害発生時への備えを講じております。しかしながら、当社グループは国内外の広範な地域にわたって営業活動を行っており、大規模な自然災害や新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、サプライチェーンの寸断による販売活動の停滞や、工場設備の被災に伴う生産活動の停止による機会損失等によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により前半は大きく落ち込んだものの、中国では早期に経済活動が再開するなどエリアによる違いはありますが、足元では徐々に回復傾向がみられるようになりました。日本経済においては、活動制限により観光・旅行・飲食業界などは大きな打撃となりましたが、巣ごもり需要などによる消費構造の変化への適応が進んだ企業の業績が上向くなど一部の業界は好調に推移しました。
当社グループがビジネスを展開する地域においては、グレーターチャイナでは新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで回復しております。また、米州やアセアンは段階的な経済活動の再開や景気刺激策により回復の加速が期待されるものの、日本においては繰り返し発出される緊急事態宣言により経済活動の再開は限定的なものとなっております。各国での経済回復状況はワクチン普及への対応など感染拡大防止への取り組みにより濃淡がみられますが、地域によっては感染拡大のペースが再加速するなど、依然として先行きは不透明な状況です。
当社グループの業績への影響については、第1四半期連結会計期間においては自動車関連ビジネスを中心に相当程度の影響を受けましたが、第2四半期連結会計期間以降はテレワーク需要等を背景としたエレクトロニクス関連ビジネス・樹脂ビジネスの回復があったこと等から、全体として影響は限定的なものとなりました。
このような状況の下、当連結会計年度の業績は、国内販売は3,631億6千万円(前年比△9.8%)、海外販売は4,670億7千万円(同+17.6%)となった結果、売上高は8,302億4千万円(同+3.8%)となりました。
利益面につきましては、Prinovaグループの高い収益性が寄与し、売上総利益は1,146億円(同+9.2%)となりました。営業利益は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進等の持続的な成長のための費用の増加があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた活動自粛による費用減少等があったことから219億1千万円(同+14.3%)となり、経常利益は228億5千万円(同+19.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は188億2千万円(同+24.3%)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
機能素材
機能素材につきましては、足元は回復基調にあるものの、特に上期において新型コロナウイルス感染症の拡大により、グレーターチャイナを除くすべての地域において自動車生産台数が減少した影響等を受けたことから、国内・海外ともに売上は減少しました。
機能化学品事業は、自動車生産台数の減少により、塗料原料およびウレタン原料の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。
スペシャリティケミカル事業は、半導体関連等の電子業界向けを中心としたエレクトロニクスケミカルの売上は堅調に推移したものの、自動車業界の低調の影響を大きく受けて加工油剤原料や樹脂原料の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。
この結果、売上高は1,551億6千万円と前連結会計年度に比べ、141億5千万円(△8.4%)の減収となりました。営業利益は48億8千万円と前連結会計年度に比べ、4億7千万円(△8.9%)の減益となりました。
加工材料
加工材料につきましては、国内における売上は減少したものの、海外における売上は増加したことから、全体として売上は微増となりました。
カラー&プロセシング事業は、国内、米州および欧州において情報印刷関連材料の売上が大幅に減少し、また顔料・添加剤、工業用・包装材料用の合成樹脂および導電材料の売上が減少したことから、事業全体として売上は減少しました。
OA・ゲーム機器業界への合成樹脂の販売を中心とするポリマーグローバルアカウント事業は、国内における売上は減少したものの、樹脂ビジネスを中心に需要の回復と市況価格の上昇により海外における売上は増加したことから、事業全体として売上は増加しました。
この結果、売上高は2,691億5千万円と前連結会計年度に比べ、20億7千万円(+0.8%)の増収となりました。一方、営業利益は主に情報印刷関連材料ビジネスの市況下落による収益性悪化の影響を受け、73億1千万円と前連結会計年度に比べ、12億1千万円(△14.2%)の減益となりました。
電子
電子につきましては、ディスプレイ材料関連、装置関連の売上が減少したものの、半導体中間工程用の精密加工関連、変性エポキシ樹脂関連の売上が増加したことにより、事業全体として売上は増加となりました。
この結果、売上高は1,195億9千万円と前連結会計年度に比べ、44億6千万円(+3.9%)の増収となりました。営業利益は増収に加えて一部の製造子会社の収益性の改善等により、87億4千万円と前連結会計年度に比べ、33億5千万円(+62.1%)の増益となりました。
(注)電子セグメントは、2021年4月1日より電子・エネルギーセグメントに名称変更しております。
モビリティ・エネルギー
モビリティソリューションズ事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、グレーターチャイナを除くすべての地域において自動車生産台数が減少し、国内におけるカーエレクトロニクス関連部材、グレーターチャイナを除くすべての地域における樹脂ビジネスの売上が減少したことから、国内・海外ともに売上は減少しました。
この結果、売上高は1,115億3千万円と前連結会計年度に比べ144億6千万円(△11.5%)の減収となりました。営業利益は15億4千万円と前連結会計年度に比べ、3億4千万円(△18.4%)の減益となりました。
(注)モビリティ・エネルギーセグメントは、2021年4月1日よりモビリティセグメントに名称変更しております。
生活関連
生活関連につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた需要の減少等により国内での売上は減少したものの、前第2四半期連結会計期間に買収したPrinovaグループの売上が当連結会計年度においては通期で寄与したことから、海外での売上は増加し、全体として売上は大幅に増加しました。
新設したフード イングリディエンツ事業は、食品素材分野においてトレハ®等の国内での売上が減少しましたが、Prinovaグループの売上が増加したことから、事業全体として売上は大幅に増加しました。
ライフ&ヘルスケア製品事業は、医療・医薬分野における医薬品原料・中間体、医用材料の売上、化粧品・トイレタリー分野における衛生商品関連原料の売上は増加しました。一方、スキンケア分野におけるAA2G®の国内・海外での売上の減少や、製造子会社を売却したことによる医療・医薬分野における製剤事業の売上の減少により、事業全体として、売上は減少しました。
この結果、売上高は1,744億5千万円と前連結会計年度に比べ、529億円(+43.5%)の増収となりました。営業利益は65億1千万円と前連結会計年度に比べ、25億3千万円(+63.9%)の増益となりました。
その他
特記すべき事項はありません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の流動資産は、現預金の減少等があったものの、売掛金およびたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ、223億9千万円増加の4,017億5千万円となりました。固定資産は、無形固定資産の償却による減少および一部国内子会社の連結除外による有形固定資産の減少があったものの、保有株式の時価上昇による投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ67億1千万円増加の2,388億3千万円となりました。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ291億円増加の6,405億8千万円となりました。
負債は、コマーシャル・ペーパーの減少があったものの、買掛金の増加等により前連結会計年度末に比べ39億2千万円増加の3,021億5千万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益188億2千万円の計上やその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ251億8千万円増加の3,384億3千万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.9%から1.6ポイント増加し、51.5%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の増加203億9千万円、投資活動による資金の増加26億4千万円、財務活動による資金の減少258億6千万円に換算差額による資金の増加等を加味した結果、前連結会計年度末と比べ19億1千万円(△3.8%)減少し、485億5千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加額は、203億9千万円となりました。これは、運転資本の増加による資金の減少100億5千万円があったものの、税金等調整前当期純利益292億7千万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の増加額は、26億4千万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出88億6千万円および投資有価証券の取得による支出32億6千万円があったものの、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入80億1千万円および投資有価証券の売却による収入60億2千万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少額は、258億6千万円となりました。これは、長期借入による収入43億5千万円があったものの、コマーシャル・ペーパーの純減少220億円および配当金の支払54億5千万円があったこと等によるものです。
④ 販売の状況
「① 経営成績の状況」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照願います。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、資産、負債、収益、費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定を用いておりますが、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りおよび仮定に基づく数値と実際の結果は異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に関する会計上の見積りへの反映については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(追加情報)」および「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記情報(追加情報)」に記載したとおりであります。
・ 有形固定資産および無形固定資産の減損評価
当社は、のれんを含む有形・無形固定資産の価値が毀損していないかどうかを確認するために、各資産または資産グループの減損兆候の有無を調査した上で、割引前将来キャッシュ・フローに基づき減損損失の認識の判定を行っております。その結果、減損損失の認識が必要と判断された場合には、資産の帳簿価額のうち回収不能部分について減損損失を計上しております。
この減損損失の認識・測定に用いる将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画や使用価値の算定に用いる割引率等は、その性質上会計上の判断や仮定を伴うものでありますが、割引前将来キャッシュ・フローや回収可能価額の下落を引き起こすような事業環境の変化により見積りの見直しが必要になった場合には、追加的な減損損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度においては、加工材料セグメントの情報印刷関連材料ビジネスに属するカラーフォーマ―製造事業用資産(主に連結子会社 福井山田化学工業㈱が保有)について、製品の需給バランスが崩れたことにより事業環境が急速に悪化したことに伴い、将来の販売単価や原材料単価等を見直した結果、回収可能価額が下落し減損損失を計上致しました。詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(連結損益計算書関連)および (セグメント情報等) 関連情報 報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報」をご参照下さい。
・ 繰延税金資産の回収可能性の判断
繰延税金資産は、事業計画に基づき納税主体毎の将来の課税所得の見積りを行った上で、将来の税金支払額を軽減する効果が認められる範囲において計上しております。したがって、将来の課税所得が大きく減少するような事業環境の変化が生じた場合には、繰延税金資産を取崩し、当該期間の税金費用を増加させる可能性があります。
・ 退職給付に係る負債および資産の測定
当社グループの従業員に対する確定給付型退職給付制度について、退職給付債務と年金資産の差額を連結貸借対照表上退職給付に係る負債(または資産)に計上しております。退職給付債務は、簡便法を採用している場合を除き、退職率、死亡率、割引率等の基礎率を設定して算定しますが、特に割引率が重要な仮定であります。割引率は安全性の高い債券(一定格付以上の社債)の利回りを基礎として適宜見直しを行っております。なお、当連結会計年度末では0.8%(加重平均値)を設定しています。
年金資産に係る主な仮定は長期期待運用収益率であり、現在および予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在および将来期待される長期の収益率を考慮して適宜見直しを行っております。なお、当連結会計年度末では2.0%を設定しております。
この割引率を含む基礎率を見直した場合や、見積りと実績に差額が生じた場合は数理計算上の差異が発生し、主に発生時の翌連結会計年度に全額費用処理しております。従って、多額の数理計算上の差異が発生した場合には、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(退職給付関係)」をご参照下さい。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、下記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
A)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、新型コロナウイルス感染症による需要と市況の下落の影響により第1四半期は全体的に落ち込みました。しかしながら、中国において早期に経済活動が再開されたこと、第2四半期以降においてはテレワーク需要等による合成樹脂ビジネスやエレクトロニクスビジネス等が徐々に回復したこと、更に下半期以降の自動車業界の復調により自動車関連ビジネスが回復したことから、全体としては当初想定していた業績を上回る結果となりました。
その他の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う活動制限による影響としましては、インバウンド消費の落ち込みから、土産物や香粧品の需要が減少し、㈱林原においては主力商品であるトレハ®やAA2G®の販売が減少しました。また、コンサートや飛行機などの交通機関のチケット類に使用される情報印刷関連ビジネス製品の販売が大きく減少しました。一方、活動制限により経費執行が抑制されたことから、中長期的な成長に向けた先端技術投資に関連する費用の増加が吸収され、利益を押し上げる一因となりました。※ 当連結会計年度の経営成績等の詳細については、 「(1)経営成績等の状況の概況 ①経営成績の状況 ②財政状態の状況 ③キャッシュ・フローの状況 ④販売の状況」をご参照ください。
事業ポートフォリオの観点では、前年度に子会社化したPrinovaグループの高い収益性が通年で業績に貢献し、「注力地域」である欧米地域や「注力領域」であるライフ&ヘルスケア分野が伸長したことで、ポートフォリオの最適化および不況耐性の強化が進みました。今後は、㈱林原の製品をはじめとするNAGASEグループ製品の欧米での販売、NAGASEグループのアジアチャネル利用によるPrinovaグループ製品の拡販など、シナジー効果が期待される施策を進めてまいります。もう一つの「注力領域」であるエレクトロニクス分野は、当連結会計年度の業績は期初の見込みを上回ったものの、「ACE-2020」策定時の前提と外部環境が乖離しており、戦略の見直しが必要であると認識しております。対策として第4四半期より新たに「機能樹脂事業部」と「精密加工材料事業部」の2つの事業部を新設し、従来の商社機能に加え、グループの開発・製造・販売体制を一層強化して市場志向と技術基盤を融合し、中長期視点での新たなビジネスを開拓してまいります。
また、政策保有株の売却やベストオーナーの観点での一部事業の入れ替えを行い、特別利益を計上しています。なお、ここから得られた資金は将来に向けた成長投資や株主還元等に効果的・効率的に活用してまいります。
成長投資の観点では、デジタルトランスフォーメーション(DX)・先端技術関連投資・研究開発関連投資等、中長期的な成長に向けた新しいビジネスモデルの構築に必要な投資を継続しております。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)分野においては、新材料探索プラットフォーム「TABRASA」のサービス提供を開始したことを始めとする、イノベーションの推進をサポートする新たなビジネスモデルの構築が進んだことを評価しております。
B)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
「2.事業等のリスク」をご参照ください。
C)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は商品の仕入、製造費、販売費、研究開発などの一般管理費、設備投資、デジタルマーケティングなどへの新規成長投資、M&Aによる株式や営業権取得が主なものです。持続的成長の実現に向け、これらの資金需要に対応するための安定的かつ機動的な資金の確保は重要な戦略と考えています。
資本の財源としましては、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、資金調達手段として金融機関からの借入の実施、社債並びにコマーシャル・ペーパーの機動的な発行による資本市場からの調達など、多様化を図りながらバランスの良い調達を実施しております。
また、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備え、複数の金融機関と長期・短期のコミットメントライン契約を締結し流動性を確保しております。
当社グループの資金管理については日本国内における当社と国内子会社間において日本円を、中国国内の現地法人間において人民元およびUSドルを、また米国と一部アジア地区およびメキシコにおける現地法人間においてUSドルのキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、資金の効率化を図ることで、流動性確保と金融費用の削減に努めております。
本報告書提出時点における格付けについては、株式会社格付投資情報センター(R&I)から発行体格付と長期債格付ともに「A」(シングルAフラット)を、短期格付で「a-1」(aワン)を取得しており、また取引先金融機関とは良好な関係を維持しております。
現状の資金調達および資金繰りに問題はないと認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大などで当社グループのビジネスに影響が及ぶ場合は、手元流動性を厚めに保有するなどの手段を講じる場合があります。
D)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について
中期経営計画「ACE-2020」における重要指標は以下の通りです。
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項目 |
2015年度 |
2016年度 |
2017年度 |
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
ACE-2020 |
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KGI |
連結売上高 |
7,421億円 |
7,223億円 |
7,839億円 |
8,077億円 |
7,995億円 |
8,302億円 |
1兆円以上 |
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連結営業利益 |
180億円 |
150億円 |
241億円 |
252億円 |
191億円 |
219億円 |
300億円以上 |
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ROE |
4.4% |
3.7% |
5.8% |
6.6% |
4.9% |
5.9% |
6.0%以上 |
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当社グループでは資本効率性の改善を課題としており、ROEを重要な指標として位置付けております。中期経営計画「ACE-2020」の最終年度におけるROEは5.9%となり、概ね目標を達成しました。売上高や利益の絶対値については目標未達となりましたが、収益性の改善やポートフォリオの最適化など、「ACE-2020」で掲げた施策については一定の効果があったと考えております。次期中計ACE 2.0においても引き続き資本効率性の改善を図ってまいります。
なお、その他の主要な指標については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)前中期経営計画「ACE-2020」総括」をご参照ください。
該当事項はありません。
当社グループは、グループの総合力を結集し、新規事業創出のため、マーケティング活動に基づく新技術・新製品の開発と技術情報の発信を目的に研究開発活動を行っております。
NVC(New Value Creation)室はAI、IoTや通信技術の中長期トレンドを見据えた新しい価値を創造することで、これまでグループになかったビジネスの仕組みを作ることを目指しています。SaaS型マテリアルズ・インフォマティクス支援サービス“TABRASA”、5Gネットワークインフラの低遅延化と処理性能をアクセラレートするIPコア“Axonerve”、人間の五感をベースとしたポータブルセンサーとブロックチェーン技術による高信頼性サプライチェーンプラットフォーム、次世代AIハードウェア向け要素技術、AIによる疾患予防技術、等の開発を推進しております。
ナガセR&Dセンターでは、サステナブル社会の実現に向けて、独自のコア技術(放線菌の育種・発酵技術:N-STePP®(注))と基盤技術を活用して、現在は化学合成困難とされる植物や動物由来の希少有用物質を発酵法で高効率生産できるように「プロセスイノベーション」(=Unavailable Made Available)を目指して取り組んでおります。発酵法は従来の抽出法や化学合成法に比べ、「安全・安心、環境にやさしい」と言う特徴があります。現在は、藻類由来の紫外線吸収物質(マイコスポリン様アミノ酸)、キノコや麦類に含有される希少抗酸化アミノ酸(エルゴチオネイン)、バイオ色素等の放線菌特有の機能性物質の発酵生産を検討しています。これらの有用物質を、機能性食品、化粧品、および工業用品として広く展開されるよう開発を進めると同時に毎年多数の特許を出願・登録しております。このように当センターは、独自の技術を活用して、グループの将来の事業を先導する新規事業の芽の創出をミッションとしております。
(注)Nagase Streptomyces Technology for Protein/Precious Productsの略称、弊社の国内登録商標
ナガセアプリケーションワークショップ(NAW)では、プラスチック、コーティング材料の分野で原材料の評価分析、用途開発から、それら原材料を使った最終製品の処方開発を行うことができる設備と専門技術スタッフを有しております。取引先やグループ製造会社が持つ素材や加工技術を組み合わせ、グループネットワークを活かしたマーケティング機能で得た市場ニーズに応えるソリューション提案を行うことで、当社グループ独自の商社業の差別化戦略を支えるとともに、商社が運営するラボならではの自由な発想でサステナブルな新規事業開発に貢献することを目指して活動しています。
ナガセケムテックス㈱では、「バイオマテリアル」分野を育成事業領域の1つとして注力しております。なかでも、医療材料、医療機器分野においてニーズが高まってきている低エンドトキシン素材の開発と関連技術の深化を進めており、㈱林原の「プルラン」を精製した低エンドトキシンプルランに続き、低エンドトキシン化したその他の多糖類、タンパク質などのラインナップを拡充しております。また、昨年度播磨事業所内に設置したパイロットプラントと今期導入した凍結乾燥機の稼働を開始し、製造プロセスの検証とサンプル作製のスピードアップを図っております。今後、本格的な事業化へ向け、高い提供価値を有する製品の創出を鋭意進めてまいります。
INKRON Oyでは、独自のシロキサン合成技術により、光学デバイスおよび電子デバイス向け機能性材料の開発・製造を行っております。特に次世代デバイスとして開発が進む拡張現実(AR)/複合現実(MR)ウェアラブルディスプレイ向けの光学部品材料の開発が進捗しており、ガラス基板メーカー、ナノインプリント(NIL)装置メーカーおよび回折導波路設計会社とパートナーシップを結びNIL工法による革新的なソリューションを提供してまいります。ナガセケムテックス㈱にて長年にわたって蓄積してきたナノ粒子分散技術、量産化技術、品質管理システムとの補完的相乗効果により、次世代デバイス向け先端材料のグローバル供給を通じて顧客のイノベーションに貢献してまいります。
㈱林原では、食品はもとより、化粧品、医薬品・医療から、農業、工業分野に至るまで様々な領域において、「トレハ®」・「プルラン」をはじめとする糖質を広くご利用頂くべく、研究開発活動を行っております。注力商品である「ファイバリクサ®」および「林原ヘスペリジン®S」については、消費者の認知度を上げると共に、さらなる機能性表示食品への展開ならびに新規用途開発活動を強化しております。新規素材については、医薬用途素材のマルトトリオースの上市を行いました。引続き、微生物からの新規酵素生産菌の探索を行い、独自酵素を用いて生み出される素材、あるいは微生物発酵によって製造される素材の研究開発を進めております。さらに、新たな素材を次世代の主力製品として育成するために、製法検討を進め、市場分析、有用な利用法の提案、アプリケーション開発等の活動を推進しております。一方、機能性色素の研究開発活動としては、保有する豊富な機能性色素ライブラリーを活用しながら、写真・印刷刷版等の工業分野に加えて、色素の耐久性の改善による用途展開、現在伸びている医薬品や検査薬等のライフサイエンス分野への展開に注力した開発活動を継続しております。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりです。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
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機能素材 |
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加工材料 |
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電子 |
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モビリティ・エネルギー |
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生活関連 |
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全社(共通)(注) |
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合計 |
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(注)全社(共通)は特定のセグメントに関連付けられない基礎研究等に関する費用です。