第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)基本理念

 当社グループ(以下、NAGASE)は、グループ共通の価値観として、経営理念、ビジョン、ありたい姿およびサステナビリティ基本方針を掲げております。

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 なお、NAGASEは、2032年(創業200年)の「ありたい姿」“温もりある未来を創造するビジネスデザイナー”の実現に向け、NAGASEにとって重要なステークホルダーと各ステークホルダーに提供したい価値、それらを実現するためのマテリアリティ(重要課題)を下記のとおり特定しております。

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(2)中期経営計画 ACE 2.0

 NAGASEは、2032年(創業200年)の「ありたい姿」からバックキャスティングし、特定したマテリアリティを解決するために5ヶ年の中期経営計画 ACE 2.0を策定しました。ACE 2.0の位置づけを“質の追求”と掲げ2021年4月から始動しており、ACE 2.0に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。

※“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。

 

ACE 2.0の定量目標および実績

ACE 2.0の定量目標および実績は、下表のとおりです。

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 2022年度は、ロシア・ウクライナ紛争の影響による原材料・ユーティリティコストの高騰や中国におけるロックダウン、経済の低迷等の影響を受けたスマートフォンを中心としたモバイル機器の需要の低迷等の影響により、製造ビジネスにおいては特に厳しい環境となりました。また、全世界的な物価の高騰と対抗策としての各国における政策金利の引上げによる金利負担の増加等、経営環境は目まぐるしく変化しました。

 このような状況の下、2021年度はKGI(Key Goal Indicator)として掲げる営業利益350億円に到達しましたが、2022年度は目標とする水準を下回る結果となりました。

 しかしながら、サプライチェーンが不安定な状況においても供給を維持したことによるシェア拡大、注力領域における各種取組みの前進等、“質の追求”は着実に進んでおります。

 後記の基本方針のもと、引き続きACE 2.0を推進していきます。

 

ACE 2.0基本方針

 ACE 2.0では、NAGASEの持続的な成長を可能にするため、すべてのステークホルダーが期待する“想い”を具体的な“形”(事業・仕組み・風土)として創出し、“温もりある未来を創造するビジネスデザイナー”を目指し、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革と、両変革を支える機能として、DXのさらなる加速、サステナビリティの推進およびコーポレート機能の強化を図ります。

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収益構造の変革‐“ありたい姿”に向けた収益基盤の構築

 経営資源の最大効率化を図るために、経営資源の確保と再投下を実行いたします。効率性および成長性の観点から、事業を「注力」、「育成」、「基盤」、「改善」の4つの領域に分類し、各領域に応じて戦略を実行し、さらにリソースシフトを加速させるべく、全社投下資本の10%を確保した上で注力/育成領域に再投下していきます。また既存事業の強化にあたり、グローバリゼーションによる事業機会の拡大および製造業の生産性向上と技術革新による付加価値の拡大を図ります。加えて、DXの活用等により顧客、社会との接点を増やし、そこから見つけた新たな課題に対し、「利益を生み出す解決策」を提供することで、社会・環境価値向上に向けた“持続可能な事業”(=N-Sustainable事業)の創出を図っていきます。

 

(事業ポートフォリオの考え方)

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[取組み状況]

(注力領域)

 フード関連事業は、特に2022年度前半においてはサプライチェーン上で調達、物流面の混乱が続く中、顧客への供給を継続できたことにより顧客基盤・シェアのさらなる拡大が進みました。また、スポーツニュートリション製品の受託製造ビジネスにおける新たな拠点として米国ユタ州・ソルトレークシティに工場を建設し、生産を開始しました。足元では立上げに伴う一時的なコスト増加の影響等もあり費用先行の状況ですが2023年度以降の利益貢献を見込んでおります。

 半導体関連事業は、サプライチェーン全体をカバーする当社の特徴を活かして、グループ内における情報共有・連携強化の促進、技術革新・最新の開発トレンドの理解と将来におけるビジネスの企画・立案サポートを通じて、顧客への課題解決力を強化しました。また、日本・韓国・中国・台湾における商社ビジネスの取扱い品目の拡充や製造ビジネスにおける自社製品の販売拡大が進みました。その他地域においては、米国における半導体事業のさらなる拡大に向けて引続き検討を進めてまいります。

 バイオ関連事業は、ナガセバイオイノベーションセンターおよび2022年度期初に創設したNAGASEバイオテック室を中心としてNAGASEにおけるバイオのあるべき姿、事業について検討を進めました。2022年度、バイオ事業における中核である㈱林原とナガセケムテックス㈱の生化学品事業の統合を決定・推進し、より一層のグループシナジー発揮のための基盤構築が進みました。また、NAGASEが保有する発酵技術を用いた希少アミノ酸エルゴチオネインの生産プロセスの実用化についても取組みを続け、一定の成果が見られました。

(育成領域)

 AR(拡張現実)関連分野向けの自社ブランド素材の開発や、新規素材開発等の分野でノウハウを持つスタートアップ企業との協業を引続き進めるとともに、自動運転、化学品の共同輸送マッチングサービス等、従来の商社業とは異なる新たなビジネスモデルの創出に向けた検討・実証を進めました。

(基盤領域)

 収益性の向上に加え、投下資本の削減の取組み等による効率性の向上を図りました。また、より高い価値提供を実現するために環境対応素材の取扱いの拡充やデジタルを活用した営業活動の効率化等の取組みも進めました。

(改善領域)

 改善が必要と判断したビジネスについては、改善方針に沿ってKPIを設定しモニタリングすることで改善の徹底を図っています。なお、2022年度は一部不採算事業からの撤退、子会社売却による資本の確保等を行いました。

 

 2022年度は、上記のとおり引続き改善領域からの資本の確保、注力領域に対する資本投下を推進しました。今後、全社規模での事業の入替えをさらに加速させていきます。

 なお、ナガセケムテックス㈱におけるスマートフォンの需要減少、㈱林原におけるユーティリティコストの上昇を受けた販売価格の改定の遅れ等の影響もありグループ製造業の利益は減益となりました(単純合算製造業営業利益144億円)が、2023年度は回復を見込んでおります。今後も拡大を見込む製造関連ビジネスにおいて、グループ製造業各社の強化・拡充を推進することを目的として2022年度期初に創設したグループ製造業経営革新室※はグループ製造業における個社が抱える課題解決のサポート、個社間の有機的な連携を促進するための活動を実施しました。

※グループ製造業経営革新室:グループ製造業各社の製造能力、生産技術、研究開発、品質管理、エンジニアリング、投資評価等を俯瞰し、製造業の強化・拡充を推進することを目的とする組織

 

企業風土の変革‐“ありたい姿”に向けたマインドセット

 “質の追求”を実現するためには、経済価値と社会価値を両輪で追求していくことが必要と考え、財務情報に加え非財務情報のKPIを設定し、両KPI達成に向け徹底したモニタリングを行います。また効率性の追求に向け、コア業務の生産性の改善を図り、また事業戦略によるROICの向上、財務戦略によるWACCの低減を行い、ROICスプレッドの改善を図ります。ROICがWACCを上回る状態を常態化させ、企業価値の向上を目指します。加えて、変革を推進する人財の強化が必要と考えており、社員と会社のエンゲージメントを向上させ、双方の持続的な成長と発展を実現します。

 

(効率性の追求)

(エンゲージメントの向上)

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[取組み状況]

 2022年度は、ロシア・ウクライナ紛争による継続的な物流網の混乱、エネルギー価格の高騰、上海ロックダウンによる需要の減速等、厳しい事業環境が続きました。このような状況のもと、特に製造関連ビジネスにおける減益の影響が大きく、営業利益が当初計画には届きませんでした。

 運転資本については、サプライチェーンの混乱が継続する中でも供給を維持できたことにより商社ビジネスが全般的に好調だったことや、前年度政策的に増やした在庫が引続き高い水準であること、為替水準が期初想定を大きく上回る円安となったこと等の影響から増加しました。株主資本については、資本効率の改善・適正化に向け、中期経営計画で掲げた株主還元方針に沿った増配、自己株式の取得を継続しました。有利子負債については、運転資本の増加を受けて増加しました。

 このような状況のもと、ROICは4.4%、WACCは主にリスクフリーレート上昇の影響もあり5.7%、Net DEレシオは0.38倍となりました。なお、政策保有株式の売却は予定通り進捗しており、引続き縮減を図ってまいります。

 2023年度は、米中の貿易摩擦による半導体のサプライチェーン混乱の懸念等もありますが、全般的な事業環境の改善、製造関連ビジネスにおける収益性の回復が期待できることから業績は再び拡大する見通しです。運転資本については2022年度下期から適正化に向かっておりますが、さらなる改善を見込んでおります。効率的な事業への資本集中を通じた事業拡大の加速、有利子負債および株主資本の適正なコントロールを通じて、引続きACE 2.0のもと“質の追求”を推進していきます。

 

(政策保有株式の売却実績)

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 ROICについては、事業毎に定量化・可視化を進めモニタリングができる体制を構築し、定期的なモニタリングを実施しております。

 またコア業務の生産性の改善に向け、シェアードサービス会社である長瀬ビジネスエキスパート㈱においてBPR(Business Process Reengineering)を行い、引続き業務効率化を進めるとともに、国内グループ会社を中心に受託業務を拡大する等、グループ全体の生産性の向上に資する施策を推進しました。BIツール(Business Intelligence tools)やCRM(Customer Relationship Management)等を活用した間接業務ならびに営業・販売活動の効率化についても引続き推進しております。

 変革を推進する人財の強化については、D&I(Diversity&Inclusion)に関する議論を進め、特に女性の活躍に関して検討を深め、女性管理職比率等の新たな定量目標も定めました。また、2022年8月より本社建替えに伴う東京本社移転を機にABW(アクティビティ・ベースド・ワークプレイス)を導入し、オフィスで働く場所を自由に選択できる働き方を導入しました。結果として、組織間でのコミュニケーションが活発化する等の変化が生まれました。なお、エンゲージメントについては現状の定点把握と向上施策の策定・効果測定のためのサーベイを実施するとともに、マネジメントと従業員との多様な対話機会の設定、各組織においてエンゲージメント向上に繋がった施策をグループ内で横展開する等、グループ全体で底上げするための取組みも実施しました。

 

変革を支える機能

 両変革を実現するために、DX、サステナビリティおよびコーポレート機能はグループ横断的に必要な機能であり、これらの機能を拡充します。

 DXを手段として活用することで、NAGASEの強みである「広域なネットワーク」、「技術知見」および「課題解決力・人財」をさらなる強みとし、顧客や社会の課題を解決できるビジネスモデルの深化・探索、イノベーションの創出および生産性の向上等を図ります。

 またサステナビリティ基本方針を根幹に置き、「ありたい姿」の実現に向け、経済価値と社会価値の追求を実現すべく、グループ全体に機能を提供していきます。

 

[取組み状況]

 DXのさらなる加速に関して、デジタルマーケティングによる顧客基盤の強化・拡大に向けたマーケティングプラットフォームの構築について、先行していた米州グループ会社に続き、日本を含むアジアでの展開に向けた準備やグローバルにおけるNAGASEの認知度向上、ブランドイメージの向上に繋がる施策を推進しました。また、日本ケミカルデータベース㈱と協同で開発を進めている「化学品ドキュメント管理プラットフォーム」上において、化学品を取扱う際に必須である書類の授受を可視化し、属人化の排除、効率化に寄与する化学品ドキュメント配付管理ツール「DocuValue(ドキュバリュー)」の提供を開始しました。NAGASEグループ内での利用による業務の生産性向上に加え、外部展開することでサプライチェーン全体の生産性向上に寄与し得るものであり、今後展開を進めてまいります。

 サステナビリティの推進に関して、脱炭素経営ソリューションの展開パートナーである㈱ゼロ・ボードとの協業を深化させ、日本国内での展開を進めるとともにタイ・ベトナム等の東南アジアでの展開も進めました。また、㈱ゼロ・ボードの提供するソフトウェアである「zeroboard」の機能開発の強化、さらなる専門人材の拡充等を通じて取組みを加速させ、目標とするScope3での排出量の削減にも資すると判断し、同社への出資も実施しました。

 サステナビリティに関する活動の詳細は、2[サステナビリティに関する考え方及び取組]を参照ください。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ課題全般

 サステナビリティを巡る課題への対応は、NAGASEが経営理念に掲げる「誠実正道」の精神や、ビジョンに掲げる実現したい社会に通じます。社会・環境課題の解決に貢献する企業活動を継続することにより、持続的な成長が可能になると認識し、サステナビリティ基本方針を定めて積極的に取り組んでいきます。なお、サステナビリティに関する考え方及び取組について、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標及び目標の4つの項目をそれぞれ開示しております。

 

① ガバナンス

 代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」(2022年度は8回開催)では、サステナビリティ基本方針とマテリアリティ(重要課題)の策定と見直し、グループ全体の推進体制の構築と整備、各施策のモニタリング、グループ内におけるサステナビリティ経営の理解促進活動等を行い、少なくとも年1回の頻度で取締役会に報告し、その監督を受けております。

 「サステナビリティ推進委員会」は、グループ全体で取り組むべき優先順位の高いマテリアリティ(重要課題)を、「従業員エンゲージメント向上」及び「カーボンニュートラル」と決定し、取締役、執行役員、グループ会社の経営幹部等で構成されるプロジェクトを設置しました。各プロジェクトは基本方針とACE 2.0における非財務目標(KPI)の原案を策定し、取締役会にて意思決定されました。また、非財務目標の進捗を含む各プロジェクトの重要事項は、少なくとも年1回の頻度で取締役会に報告し、その監督を受けております。

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② 戦略

 NAGASEのサステナビリティ基本方針は、経営理念、ビジョン、2032年(創業200年)の“ありたい姿”に共通する考え方として位置付けております。サステナビリティ基本方針は、1.誠実な事業活動、2.社会との良好な関係、3.環境への配慮で構成され、具体的な行動指針を示しております。

(サステナビリティ基本方針)

1.誠実な事業活動

事業活動を行う各国・地域のあらゆる適用法令、規則を遵守し、社会的規範、社会的良識に基づいた企業活動を行います。

あらゆる腐敗を防ぎ、取引先、行政との健全かつ正常な関係の維持に努めます。

安全で品質の高い製品、サービスを提供し、顧客・取引先の価値の維持・向上に努めます。

公正かつ自由な競争の維持、促進を通じて消費者利益を保護します。

自社及びお客様にかかわる情報の管理・保護の徹底に努めます。

2.社会との良好な関係

人権の尊重とあらゆる差別的取扱いを禁止し、強制労働・児童労働などの人権侵害を一切行いません。

国や地域社会の文化や慣習を尊重し、社会との良好な関係を維持します。

さまざまなステークホルダーとの適切なコミュニケーション、健康と安全の確保に努めます。

サプライヤー企業のサステナビリティに対して常に細心の注意を払い、疑義が生じた場合にはその是正に向けて働きかけます。

適時適切に企業情報の積極的な開示を行います。

3.環境への配慮

各国・地域の環境規制を遵守します。

GHG排出やエネルギー消費の抑制などを通じ、事業活動における環境負荷の低減を推進し、気候変動の抑制、汚染防止など、地球環境の維持に貢献します。

環境に配慮した製品・サービスを通じ、お客様に対して製品の適切な使用方法、再資源化、廃棄方法などの情報を提供します。

各国・地域での環境保全活動を通じ、広く社会に貢献します。

生物多様性の重要性を認識し、生態系の保全に努めます。

 

※理念体系の全体像については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(1)基本理念を参照ください。

 

 また、NAGASEでは、2032年(創業200年)の“ありたい姿”を重要なステークホルダーへの価値提供が実現できている状態と捉え、現在の姿とのギャップをサステナビリティ上のマテリアリティ(重要課題)として特定しております。

(重要なステークホルダーへの提供価値とマテリアリティ(重要課題))

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③ リスク管理

 リスク全般については、「リスク・コンプライアンス委員会」(2022年度:2回開催)が中心となり、影響度と発生可能性に基づくリスク評価を実施し、少なくとも年1回の頻度で見直した上で、取締役会および監査役会へ報告しております。特に重要と判断した計12のリスク分類に関しては、リスクの定義および主な対応策を開示しております。詳細は、「第2「事業の状況」 3「事業等のリスク」」を参照ください。また、マテリアリティ(重要課題)に関するリスクおよび機会については、「サステナビリティ推進委員会」(2022年度:8回開催)が、少なくとも年1回の頻度で見直し、取締役会へ報告しております。

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④ 指標及び目標

 NAGASEでは、マテリアリティ(重要課題)の中でも「従業員エンゲージメント向上」と「カーボンニュートラル」を優先順位の高い課題と認識しており、それぞれに関する目標を設定しております。目標の詳細については、「2「サステナビリティに関する考え方及び取組」(2)気候変動 (3)人的資本」を参照ください。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ課題全般 ①ガバナンス」を参照ください。

 

② 戦略

 気候変動に関する様々なリスク・機会がある中で、NAGASEにとって重要なリスク・機会を以下のとおり特定しました。

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 NAGASEは商社機能に加え、製造・加工機能を有することから、「商社業/製造業」と「可視化/削減」の2軸4象限に分類し、全体施策および施策①~④からなる「NAGASEグループカーボンニュートラル宣言」のもと、目標達成に向け取り組んでおります。

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施策例① ㈱ゼロボードへ出資

 長瀬産業は、GHG排出量算定・可視化クラウドサービス「zeroboard」を展開する㈱ゼロボードに出資しました。カーボンニュートラル実現に向け化学業界におけるサプライチェーン上のGHG排出量可視化・削減に寄与すべく、「zeroboard」の展開で㈱ゼロボードと2021年9月に業務提携契約を締結し、これまで国内外に向けて脱炭素経営ソリューションの提案に取り組んでまいりました。

 化学品メーカーに留まらず、塗料や化粧品、アパレル・スポーツ用品、出版印刷、繊維、半導体関連装置等の幅広い業界の取引先に「zeroboard」を導入し、GHG排出量可視化の支援・削減ソリューション提案に取り組んでまいりました。2022 年度にはタイやベトナムをはじめとするアセアン地域への展開のほか、「zeroboard」導入先企業でのサプライチェーン上のデータを収集・つなぐといった活動を通じ、化学業界でのネットワークを活かした脱炭素経営支援の取り組みを加速しております。

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施策例② 印刷業界のサプライチェーン上のGHG排出量の可視化支援

 出版商業印刷物の製品別カーボンフットプリント(以下、CFP)の可視化と一次データによる算定を支援しております。本やカタログ等の出版・商業印刷物のCFP算定は、現状では環境省等が業種や製品別に公開している「二次データ」(排出係数)の活用が主流となっておりますが、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを進めるために、企業のGHG排出量削減の取り組み効果をより見えやすくする「一次データ」の活用が注目されております。この取り組みは、印刷に強みを持つ共同印刷㈱と、化学系専門商社でインキ・製紙メーカーとのネットワークを有する長瀬産業が印刷業界のサプライチェーン上にある各社から一次データを収集し、長瀬産業のパートナー企業である㈱ゼロボードのGHG排出量算出・可視化クラウドサービス「zeroboard」を活用することで、出版商業印刷物の一次データ比率を高め、より正確な CFP 算定に貢献するものです。

 

施策例③ サステナビリティ・リンク・ローン(以下、SLL)フレームワークの策定

 環境省グリーンファイナンスモデル事例創出事業に係るモデル事例として、長瀬産業が㈱三菱UFJ銀行と共同で策定したSLLフレームワークが選定されました。このフレームワークは、SLLの設計・運用に高度な知見を持つ㈱三菱UFJ銀行がコーディネーターとなり、化学系専門商社としてサプライチェーン全体のGHG排出量可視化・削減を通じた脱炭素経営支援に取り組む長瀬産業のノウハウを活かし策定されたものです。従来のフレームワークと異なり、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)に GHG 排出量の一次データ比率を採用している点、また自社のみならずサプライヤーも本フレームワークを活用した借入を可能にすることで、サプライチェーン全体でGHG排出量可視化・削減に向かうように設計されている点が画期的かつ野心的と評価され採択に至りました。なお、商社としてのモデル事例採択は今回が初めてとなっております。

 

(SLLフレームワークのスキーム)

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施策例④ 森林クレジット創出の実証

 長瀬産業はGXリーグに参画しており、GXリーグにおける自主的な排出量取引(Emission Trading Scheme)の枠組みであるGX-ETSによって、排出量取引は今後ますます重要性を増すと認識しております。その認識の元、長瀬産業は2022年8月に高知県梼原町と「森林クレジット創出」の実証を目的とした協定を締結しました。この協定は、長瀬産業が梼原町の森林資源の管理を支援するだけでなく、保有する技術知見や幅広い顧客ネットワークによる最新ICT技術等を活かした梼原町の地域活性化に貢献するものであり、梼原町におけるサステナブルな事業共創のモデルケースづくりに取り組むものです。長瀬産業では、梼原町との協業を通じて得られたナレッジを活かし、自社のカーボンニュートラル達成はもとより、森林クレジット創出の支援や、地域社会や林業への価値提供を目的としたソリューション開発を目指します。

 

③ リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ課題全般のリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ課題全般 ③リスク管理」を参照ください。

 

④ 指標及び目標

 NAGASEは、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの達成を掲げております(Scope1,2)。加えて、2030年までにScope1,2を46%削減(2013年度比)、Scope3を12.3%以上削減(2020年度比)することとしております。ACE 2.0期間中の目標については、(温室効果ガス排出量実績と目標(Scope1,2))に記載のとおりです。なお、Scope3は今後のサプライチェーンとの対話により目標値の更新も検討します。

 

(温室効果ガス排出量実績と目標(Scope1,2))

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(各指標の実績)

 

 

 

 

 

単位:t-CO2

指標

2013年度

2020年度

2021年度

2022年度

連結

Scope1,2削減率(2013年度比)

26%

30%

34%

 

Scope1

86,197

30,538

33,132

31,099

 

Scope2(マーケット基準)

33,105

27,057

25,555

 

合計

63,643

60,189

56,655

再生可能エネルギー発電・購入による削減量

(累計)

10

524

長瀬産業

(単体)

Scope2

2,514

1,987

※2020、2021年度データは保証済です。2022年度データは、2023年12月頃に保証を受ける予定です。

 

 

(3)人的資本

① ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスは、サステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ課題全般 ①ガバナンス」を参照ください。

 

② 戦略

 中期経営計画ACE 2.0では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」による“質の追求”を目指しております。このための戦略として、①「変革」をリードするイノベーティブでグローバルな人財の育成、②誰もが快適・安全に創造性高く働ける環境の整備、そして③挑戦と多様な個性を受容する文化と風土の醸成を推進し、その結果として従業員のエンゲージメントを向上させることで社員と会社の持続的な成長と発展に努めます。戦略を実現する上で、ダイバーシティは重要かつ不可欠な要素の一つであり、「採用」・「定着」・「登用」の各段階においてグローバルに施策を講じていきます。なかでも女性活躍は優先順位の高い課題として捉えており、重点的に取り組んでおります。

 

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施策例① 経営層と中堅社員とのタウンミーティングの実施(D&I)

 2022年度より取締役1名と課長職4~5名が小グループで特定テーマについて対話を行う、「N-Dialogue」を実施しております。「N-Dialogue」は、長瀬産業の従業員エンゲージメントサーベイから導いた課題の一つである「タテの対話」と「ヨコの連携」を改善する施策のひとつとして位置付けており、課長職と経営陣が本音で対話することを通して、それぞれの培ってきた「経験や価値観」、それらの「違い」を知ることで、共感や新しい理解が生まれること、今後の行動変革のきっかけとなることを目的としております。

 

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施策例② 多様な社員が働きやすい環境づくり(健康経営・働き方改革・D&I)

 「PROJECT BRIDGE」は、東京本社建替えに伴うオフィスと働き方のアップデートプロジェクトです。建替え期間中はオフィスを仮移転し、その日の仕事の内容や状況に応じて社員自らが働く場所を選択できるABW(アクティビティ・ベースド・ワークプレイス)を2022年8月より導入しております。また、1月からはドレスコードフリー(年間を通じて、その日の働き方に合わせ最適な服装を選択)も実施しております。当プロジェクトでは、NAGASEの財産である従業員とその家族が心身ともに健康であることが大切であることを改めて確認し、多様な社員が働きやすい環境づくりに向け議論や取り組みを進めております。

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施策例③ 両立支援のための取り組み(働き方改革・D&I)

 育児・介護等と仕事の両立支援のための制度・施策の拡充により、社員が働き続けられる風土の醸成にも注力しております。その結果、近年では育児休業を取得する男性社員が増加しております。

制度・施策

概要

産前産後休暇

出産前6週間、出産後8週間の休暇

育児休業

育児のための休業(男女ともに)

子の看護休暇

子の看護のための休暇

育児のための短時間勤務制度

育児のための短時間勤務を認めるもの

育児のためのシフト勤務制度

育児のためのシフト勤務を認めるもの

介護休暇

介護のための休暇

介護休業

介護のための休業

介護のための短時間勤務制度

介護のための短時間勤務を認めるもの

介護のためのシフト勤務制度

介護のためのシフト勤務を認めるもの

 

(男性社員の育児休業取得実績)

(育児休業を取得した男性社員)

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施策例④ 女性取締役と女性総合職社員とのタウンミーティング(D&I)

 女性総合職社員が能力を発揮できる働きやすい環境づくりのため、女性取締役とのタウンミーティングを実施し、女性総合職社員のエンゲージメント向上、キャリアデザイン・働き方への意識改革等へ繋げております。

 2022年度は、全女性総合職社員を4~5名の小グループに分け、女性取締役との対話を行いました。

 

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 女性活躍への取り組みについては、これまでも女性総合職社員の採用や管理職への登用、活躍の機会の拡充等により、女性の力を積極的に事業に活かす努力をしてきました。その結果、女性管理職の人数は増えてきているものの、決して多いとは言えず、今後も課題であると認識しております。また、全総合職社員に占める女性比率が低いこともあり、今後は定期採用においても女性比率の向上を目指していきます。

 

③ リスク管理

 人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティ課題全般のリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ課題全般 ③リスク管理」を参照ください。

 

④ 指標及び目標

 戦略を実現するためのモニタリング指標として、2025年度末までに総合職女性採用比率30%以上、女性管理職比率6%以上の2つの目標を掲げ、中期経営計画ACE 2.0の非財務目標である従業員エンゲージメントサーベイトータルスコア60以上の達成に向け、取り組みを進めております。

 

テーマ

指標

2021年度

2022年度

2025年度目標

従業員エンゲージメント向上

グループ全社:定期的にエンゲージメントサーベイを実施している割合

41%

81%

100%

長瀬産業(単体):エンゲージメントサーベイトータルスコア

52.4

56.5

60以上

 

女性活躍推進

長瀬産業(単体):総合職女性採用比率

19%

16%

30%以上

 

長瀬産業(単体):女性管理職比率

4.6%

4.3%

6%以上

 

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループは、機能素材、加工材料、電子・エネルギー、モビリティ、生活関連、全社(共通)セグメントにおいて、商社機能(トレーディング、マーケティング)、研究開発機能、製造・加工機能を活用し、グローバルかつ多角的に事業を展開しております。そのような事業の性質上、様々なリスクに晒されております。

当社グループは、現在、リスク・コンプライアンス委員会が中心となり、リスク項目および管理・モニタリング体制に関する精査を行っております。当連結会計年度では、100項目を超えるリスク項目の洗い出しとリスクシナリオの作成を通じた可視化を図りました。そのうち、コーポレート部門が所管する81項目に関しては、影響度と発生可能性に基づくリスク評価を実施しました。

なお、本項において、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。

 

〈リスク評価に関して〉

具体的なリスク評価は、全てのリスク項目でリスクシナリオを作成し、所管部署にて「影響度」と「発生頻度・可能性」の二軸でのリスク評価を実施した後、主管部門であるリスク・コンプライアンス委員会が取り纏めを行い、重要リスクを特定しております。

 

〈リスク評価の指標〉

 リスクシナリオの評価指標は以下の通り設定しております。

①影響度

 

 

財務的要素

非財務的要素

 

 

財務(カネ)

ヒト

モノ

ブランド・評判

 

 

財務的な影響を評価

人命や健康への影響を評価

人的リソースへの影響評価

物的リソースへの影響評価

自社の社会的な影響評価

 

 

当期純利益へのインパクト

顧客・グループ従業員の

・死者、重傷者の有無

・健康被害の程度

人材流出、不足、不適応のレベル

固定資産、棚卸資産等への影響

報道のレベル

影響度


大きな影響

1名以上の死者が発生

事業継続に影響を及ぼす、基幹・主要業務の遂行に支障をきたす人材流出、人材不適応

事業継続に影響を及ぼす重要な資産の毀損・滅失、顧客への商品・サービス提供不可となる棚卸資産毀損・滅失

長期間に渡る全国紙等のメディアおよびSNS等への掲載、各種メディアによるネガティブ特集やキャンペーンの発生


中程度以上~やや大きめの影響

2名以上の重傷者が発生

全般的な日常業務の遂行に支障をきたす人材流出、人材不適応

修繕・回復・再調達に3ヵ月以上を要する資産(棚卸資産含む)の毀損

全国紙等のメディアおよびSNS等への短期間掲載のうち、トップ紙面等扱いが大きいもの


軽微超~中程度未満の影響

1名の重傷者が発生

一部の日常業務の遂行に支障をきたす人材流出、人材不適応

修繕・回復・再調達に1ヵ月以上を要する資産(棚卸資産含む)の毀損

全国紙等のメディアおよびSNS等への短期間掲載のうち、小欄等扱いが小さいもの


軽微な影響

軽微

通院治療を伴わない軽微な怪我・健康被害

業務の効率性低下につながる人材流出、人材不適応

1ヵ月未満での修繕・回復・再調達が可能な資産(棚卸資産含む)の毀損

地方紙などの特定の地域に限定されたメディアへの短期掲載、単発のネガティブ報道の発生

 

②発生頻度・可能性

 

発生可能性の評価基準の定義

基準例

いつ起きてもおかしくない

1年に1回以上

起きる可能性が高い

5年に1回以上~1年に1回未満

起きるかもしれない

10年に1回以上~5年に1回未満

ほとんど発生しない

10年に1回未満

 

〈リスク項目の分類〉

リスクの定義を検証し、81項目のリスク項目を以下のリスクに分類しました。

分類

リスク項目

社会・経済環境の変化に関するリスク

景気後退、技術革新・新技術、業界再編対応失敗、他業界企業参入、少子高齢化、消費行動の変化、デジタルプラットフォーマー

商品市況の変動に係るリスク

商品市況価格変動

為替変動に係るリスク

為替変動

金利変動に係るリスク

金利変動

地政学リスク

台湾有事、米中対立、ウクライナ侵攻、経済安全保障法制、テロ・暴動、その他地政学問題

取引先との関係に関するリスク

倒産・回収遅延、反社・制裁対象先、不利な契約条件、問題のある取引先、ライセンサー契約

投資に関するリスク

PMI失敗、海外戦略失敗、事業撤退による損失、技術革新失敗、DX推進失敗、投資判断誤り、保有株式価格変動、新規事業参入失敗、不要・遊休資産

製品の品質に係るリスク

仕入先品質等問題

法令・規制等に関するリスク

紛争鉱物調達規制、インサイダー取引、法務リスク把握漏れ、法令変化対応失敗、訴訟・係争の発生、他社知財侵害、環境規制対応失敗、各種法令(物流関連、各種業法、リコール・PL、独禁法、他)違反

情報システムおよび情報セキュリティに関するリスク

システム・ネットワーク障害、個人情報利活用、サイバー攻撃、機密情報漏洩

自然災害等に関するリスク

パンデミック発生、自然災害発生、火災・事故

気候変動に係るリスク

気候変動リスク

サプライチェーンの維持・寸断に関するリスク

天然資源枯渇、原材料・素材の調達難、サプライチェーン寸断、物流価格高騰

人財の確保・流出等に関するリスク

労務管理安全衛生、良好な組織風土、ハラスメント、重要人物・若手退職、D&I失敗、労働争議発生、高度専門職採用、報酬・人事制度、不適切な人事評価、人件費高騰

社会的な要求に関するリスク

ESG対応、サプライチェーン上の社会的要請、人権対応失敗

不正に関するリスク

贈収賄発生、不適切な会計、不適切な税務、子会社取締役不正、親会社取締役不正、犯罪・事故、不正・横領・背任等

管理不備・機能不全に関するリスク

取締役会機能不全、業績管理不備

非効率な資金運用・調達に関するリスク

資金調達失敗、非効率な資金運用

情報発信に関するリスク

広報PR失敗、IR・情報開示不備

 

〈リスクマップ〉

 各リスク項目でリスク評価を実施したうえで、分類毎に一定のルールでリスクマップを作成しました。

 

 

発生可能性

 

 

影響度

 

・金利変動に係るリスク

・取引先との関係に関するリスク

・情報発信に関するリスク

・製品の品質に係るリスク

・社会的な要求に関するリスク

・気候変動に係るリスク

・法令・規制等に関するリスク

 

・社会・経済環境の変化に関するリスク

・商品市況の変動に係るリスク

・地政学リスク

・情報システムおよび情報セキュリティに関するリスク

・投資に関するリスク

・人財の確保・流出等に関するリスク

・為替変動に係るリスク

・自然災害等に関するリスク

・サプライチェーンの維持・寸断に関するリスク

 

・管理不備・機能不全に関するリスク

・不正に関するリスク

・非効率な資金運用・調達に関するリスク

 

 

 

 

 

 当社グループにて、特に重要と判断いたしました計12のリスク分類に関して、リスクの定義および主な対応策を以下の通り記載しております。また、記載をしていない各リスク項目に対しましても、所管部署がリスク評価を実施し、日々のオペレーションでの対応を実施しております。

 

気候変動に係るリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・政策・法規制に対応できないことで、顧客に対する提供価値の低下によるビジネスの機会を喪失するリスク

・政策・法規制や脱炭素、脱石油等の消費者選好に対応できないことでのレピュテーションが低下するリスク

・環境負荷の高い商材の取扱量が減少または消滅するリスク

〈主な対応策〉

当社グループは、社会・環境課題の解決に貢献する企業活動を継続することにより、持続的な成長が可能になると認識し、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しており、「サステナビリティ基本方針」を定めて積極的に活動に取り組んでおります。当社グループでは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた方針(NAGASEグループカーボンニュートラル宣言)を策定しており、また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同表明も行っております。(具体的な施策に関しては、第2「事業の状況」 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」 (2)気候変動をご覧ください)しかしながら、気候変動による自然災害の激甚化を含めた異常気象の深刻化や、温暖化に伴う海面上昇等の物理的なリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

製品の品質に係るリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・グループ製造会社製品での品質問題が発生するリスク

・仕入・調達先等における法令違反、品質問題の発生により、当社提供製品・サービスの品質が劣化するリスク

〈主な対応策〉

当社グループでは、お客様に安全な製品を供給し、安全・安心な社会を構築するための製品安全・品質管理を社会的責任の重要課題の一つと位置付けており、「NAGASEグループ製品安全自主行動指針」に基づき、グループ全体での方針策定や啓蒙活動を通じた製品の安全確保に努めております。また、「グループ製造業連携委員会」において、グループ製造会社間でのメーカーとしての基盤を強化することを目的に、安全・品質・環境などの非財務情報を共有・活用し、連携して諸課題の解決に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、更に取組みを強化する目的で、グループ製造業経営革新室を設立し、グループ製造業における開発から生産・品質保証活動に至るバリューチェーン評価等も含め積極的に推進しております。しかしながら、こうした管理を行ったとしても製品の品質に係るリスクを完全に回避することは困難であり、当該製品の不具合等による販売停止および製品回収あるいは損害賠償等が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

社会的な要求に関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・社会的な要求に対する対応への遅れ・不足によりレピュテーションが毀損される。また、当社がサプライチェーンから排除されることにより、事業機会を喪失するリスク

・サプライチェーンにおける人権・環境上の問題が発生しレピュテーションが毀損されるリスク

〈主な対応策〉

当社グループでは、生態系サービス(供給サービス、調達サービス、生息生育地サービス、文化的サービス)を支える生物多様性に配慮し、その維持・保全に努めることは重要な環境課題であると認識しており、生物多様性に重大な影響を与える可能性がある事業活動に関して、どのように生物多様性に依存しているのか、また、どのような影響を与えているのかを把握し、生態系への影響を最小化し、回復にも寄与することに努めております。具体的な取り組みに関しましては、下記Webサイトに掲載させて頂いております。

https://www.nagase.co.jp/sustainability/environment/biodiversity/

人財の確保・流出等に関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・人財の流出、高度専門職人財が採用できないことによる人的経営資本が不足するリスク

・人財の多様性・公平性・包括性への対応に失敗する事で競争力の源泉を失うリスク

・ハラスメント行為、社内規程違反、倫理上の問題発生に伴う組織風土の悪化により従業員エンゲージメントが低下するリスク

〈主な対応策〉

当社グループでは、中期経営計画ACE 2.0のマテリアリティとして、多様な人財の活用、職場環境と企業文化の提供を挙げております。具体的な取り組みとして、グループ会社における定期的なエンゲージメントサーベイの取組みを通して、従業員が理解しあい、コミュニケーションをしっかりとり、誰一人取り残すことなく活躍することを目指しております。また、様々な業種・職種でキャリアを築いてきた幅広い世代の人財のキャリア採用を積極的に実施することで、多様な個性が輝き、挑戦し続ける文化、風土の醸成に取り組んでおります。(具体的な施策に関しては、第2「事業の状況」 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」 (3)人的資本をご覧ください)ハラスメントを含めた倫理上の問題発生に対しては、グローバルでのグループ相談・通報窓口を社内、社外に設置しております。また、社外の専門家等による講習会、教育を通して、従業員の意識向上に取り組んでおります。

 

 

 

為替変動に係るリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・輸出入および貿易外取引による外貨建て取引における為替変動リスク

・海外グループ会社における外貨建て財務諸表(主に米国ドルおよび人民元)の日本円換算における為替変動リスク

〈主な対応策〉

外貨建てによる輸出入および貿易外取引に対し、為替予約によるヘッジを行い、為替変動リスクを最小限に止める努力をしております。

自然災害等に関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・取引先等の災害被災による供給制限を受けるリスク

・災害によって自社資産が毀損されるリスク

・災害、パンデミックの発生により事業活動に制約を受けるリスク

〈主な対応策〉

当社グループは、災害時における業務継続計画(BCP)の作成、安否確認システムの導入、従業員の在宅勤務インフラの整備、災害対策マニュアルの制作、耐震対策、防災訓練等の備えを講じております。また、取引先等の被災時への供給体制に関しましては、取引先も含めた体制構築を実施しております。しかしながら、当社グループは国内外の広範な地域にわたって営業活動を行っており、大規模な自然災害や新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、サプライチェーンの寸断による販売活動の停滞や、工場設備の被災に伴う生産活動の停止による機会損失等によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

サプライチェーンの維持・寸断に関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・サプライチェーンが、サーキュラー(循環)となった際に、十分な機能を発揮できないリスク

・原材料・素材の不足や仕入先の方針変更等による原材料・素材調達難により販売先への納品遅延・困難またはグループ製造会社における製造遅延・困難が生じ、事業活動が制約されるリスク

・地域封鎖、紛争等に起因するサプライチェーンの寸断により調達・販売活動における遅延・停止が生じるリスク

・物流障害の発生、急激な物量の増加に伴う物流困難、価格の高騰により調達・販売活動に困難・コスト増加が生じるリスク

〈主な対応策〉

当社グループでは、中期経営計画ACE 2.0において、収益構造の変革の施策として、N-Sustainableビジネス(社会・環境価値向上に向けた持続可能なビジネス)の創出を挙げております。事業活動を通して、顧客・社会が、将来直面する課題をいち早く認識し、当社の強みである“つながり”を活用し、革新的な技術やサービスを提供することで、持続可能なビジネスの構築に取り組んでおります。また、特定の国・地域、サプライヤーに偏重したサプライチェーンに関しては、新たな調達先の可能性の探索も含め推進しております。

 

 

社会・経済環境の変化に関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・消費行動の変化や、少子高齢化等に起因し、既存ビジネス・市場での競争力を失うリスク

・業界再編に適切に関与できず競争力を失うリスク

・景気後退により自動車、電化製品、生活関連材への需要が低迷するリスク

・デジタルプラットフォーマー、他業界企業からの参入等も含めた競合の台頭により競争力を失うリスク

・当社保有技術・サービスの陳腐化により競争優位性が低下し、結果として市場・顧客シェアを喪失するリスク

〈主な対応策〉

当社グループでは、中期経営計画ACE 2.0において、収益構造の変革の施策として、N-Sustainableビジネス(社会・環境価値向上に向けた持続可能なビジネス)の創出を挙げております。事業活動を通して、顧客・社会が、将来直面する課題をいち早く認識し、当社の強みである“つながり”を活用し、革新的な技術やサービスを提供することで、持続可能なビジネスの構築を推進しております。また、デジタル技術を活用する事で、未知の顧客・市場とのタッチポイントを確保し、新たな顧客課題に対する取組みを積極的に実施しております。しかしながら、日本および世界におけるマクロ経済環境の急激な悪化による取扱商品・サービスの需要減少、市場価格の下落などにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

商品市況の変動に係るリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・取扱商品の市場価格の変動による調達コストの増加、販売価格への転嫁ができない、販売価格が下落することにより収益性が悪化するリスク

〈主な対応策〉

直送取引においては、仕入と売上を紐づけて計上すること等によりリスクの最小化を図っております。また、在庫取引においては、顧客の引取り保証の確保に努めるとともに、長年にわたる当該市場での取引経験などから需給予測を行い、在庫水準の適正化を図っております。しかしながら、その価格変動により、当該取引の売上と損益に影響を与える可能性があります。また、当社グループにおいて製造する一部製品に穀物由来の原料を使用しております。当該原料の価格は穀物相場の価格により大きく変動する場合があり、原料の上昇分を販売価格に転嫁できない場合には、損益に影響を与える可能性があります。

地政学リスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・米中対立の影響による貿易規制・経済制裁が行われた結果、米国・中国市場における事業活動が制約されるリスク

・ウクライナ侵攻に伴うサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の高騰等により事業活動に影響が生じるリスク

・特定地域での政治的・軍事的な緊張の高まりにより事業活動に制約を受け、サプライチェーンに影響が生じるリスク

〈主な対応策〉

当社グループは、グローバルでの政治・経済情勢や法規制の動向を把握し、最適な取引形態の提案・構築を推進しており、特定の国・地域、サプライヤーに依存しないサプライチェーンの構築に努めております。ただし、予測不能な事態が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

投資に関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・新規事業参入の失敗や投資判断の誤りにより投下した資本が回収できず損失が発生するリスク

・事業撤退により投下資本が回収できず損失が発生する、また事業撤退判断の遅れ・先送りにより損失が拡大するリスク

・株価下落により保有資産価値が低下するリスク

〈主な対応策〉

当社グループは、新規投資においては、投資ガイドラインに沿って投資チェックリストと投資採算表を作成し、戦略適合性、市場規模・成長性、参入障壁、競争優位性、事業運営リスク、事業継続リスク、資金調達、撤退条件などの様々な要因と事業の採算性を幅広い視点から評価・分析し、定量基準や定性評価に基づき意思決定しております。投資実行後は、定期的にモニタリングを実施し、当初計画通りに進行していない案件は、再建プランを策定し、投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に務めております。このように投資決定プロセスおよびモニタリングに係る体制、手続きを整備しておりますが、こうした管理を行ったとしても投資リスクを完全に回避することは困難であり、投下資金の回収不能、撤退の場合の追加損失の発生など当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、株価の下落に関しましては、年金資産の運用が悪化した場合には、退職給付費用の増加により損益に影響を与える可能性があります。

情報システムおよび情報セキュリティに関するリスク

影響度

発生可能性

〈リスクの定義〉

・システム・ネットワークの障害発生により、業務執行に必要なインフラを欠き、機能不全・非効率な状態が発生するリスク

・サイバー攻撃等による不正アクセスやコンピューターウィルス侵入等による情報漏洩、改ざん、破壊等が発生するリスク

〈主な対応策〉

当社グループでは、顧客サプライチェーンにおける重要な役割を担っていることから、情報システムの安全性および情報セキュリティレベルの確保を重要事項と認識しており、関連規程や体制を整備し、情報システムの安定稼働および情報セキュリティレベルの向上のために努めており、インフラ設計・構築のみならず従業員の教育も含め、様々な対策を継続的に実施しております。しかしながら、こうした対策を行ったとしても、情報システム基盤や通信回線等の重大な障害の発生、サイバー攻撃等による不正アクセスやコンピューターウィルス侵入等による情報の漏洩、改ざん、破壊等を完全に排除することはできず、この様な場合、事業活動の一時停止等、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼすことから、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍からの経済活動の再開により景気回復が進んでいる一方、長期化するウクライナ情勢の悪化に伴う地政学リスクの高まり、資源価格の高騰、金利上昇による世界経済の減速が懸念される状況となっております。

 当社グループがビジネスを展開する地域を概観すると、グレーターチャイナでは、ゼロコロナ政策撤廃直後の感染急拡大によって主に製造業の操業に影響が生じたものの、その後の感染収束により経済活動並びに景気は回復基調となっています。米州では、インフレの影響による企業のコスト増と、インフレ抑制のための金融引き締めが住宅・設備への投資を抑制させ、景気は緩やかに減速しました。アセアンでは、米国の利上げによる通貨安に伴って輸入物価が上昇するといったマイナス要因はありますが、個人消費が拡大し景気は堅調に推移しています。日本では、原材料やエネルギーコスト上昇分の価格転嫁によるインフレ傾向がみられるものの、内需は拡大し、またコロナ制限の緩和や円安の影響によるインバウンド需要の回復等により、景気は回復基調にあります。

 このような状況の下、当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

780,557

912,896

132,339

17.0

売上総利益

139,494

155,410

15,915

11.4

営業利益

35,263

33,371

△1,891

△5.4

経常利益

36,497

32,528

△3,969

△10.9

税金等調整前当期純利益

39,557

33,137

△6,419

△16.2

親会社株主に帰属する

当期純利益

25,939

23,625

△2,314

△8.9

・当連結会計年度の業績は、為替が円安に推移したものの、売上総利益率の低下や販売費及び一般管理費が増加したこと等により営業利益は減益となりました。

・セグメント別では、生活関連セグメントがPrinovaグループの牽引により増益となったほか、機能素材セグメントおよびモビリティセグメントが引き続き好調に推移した一方で、加工材料セグメントおよび電子・エネルギーセグメントは減益となりました。詳細は「② セグメント別の概況」をご覧ください。

・親会社株主に帰属する当期純利益については、営業利益の減少に加え、金利の上昇に伴う支払利息の増加等により、23億円減少の236億円となりました。

 

 セグメント別の業績および主な要因は、次のとおりであります。

 

機能素材

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

99,874

112,092

12,218

12.2

売上総利益

19,819

22,372

2,552

12.9

営業利益

7,823

8,810

986

12.6

・市況の高騰や円安影響もあり、塗料・ウレタン原料の販売が増加

・加工油剤・樹脂関連の原料販売が増加

・半導体関連等の電子業界向けの原料販売が増加

・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益

 

加工材料

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

257,283

265,024

7,740

3.0

売上総利益

32,313

31,767

△546

△1.7

営業利益

10,858

9,342

△1,515

△14.0

・OA・ゲーム機器業界向け等への樹脂販売は円安による増益影響もあったが、前期の市況高騰による利益率上昇の反動等もあり、収益性が低下

・顔料・添加剤の販売は横ばいだが、工業用・包装材料用途の樹脂の販売は堅調

・導電材料、情報印刷関連材料の販売は減少

・営業利益は販売費及び一般管理費が増加したことにより、減益

 

電子・エネルギー

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

128,131

136,975

8,844

6.9

売上総利益

29,767

30,770

1,003

3.4

営業利益

10,278

9,273

△1,004

△9.8

・半導体用途向けの材料販売が増加

・ディスプレイ用途のフォトリソ材料等の販売は低調

・変性エポキシ樹脂関連の販売は、半導体用途向けおよびモバイル機器向けが低調

・営業利益は売上総利益が増加したものの、販売費及び一般管理費が増加したことにより、減益

 

 

モビリティ

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

103,389

125,560

22,171

21.4

売上総利益

12,718

14,432

1,713

13.5

営業利益

4,131

4,794

662

16.0

・樹脂の販売は自動車生産台数の増加に加え、円安による影響等もあり好調

・内外装・電動化用途の機能素材・機能部品の販売が増加

・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益

 

生活関連

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

191,634

273,161

81,527

42.5

売上総利益

44,757

55,907

11,150

24.9

営業利益

9,429

10,581

1,151

12.2

・Prinovaグループは食品素材の販売が上期特に好調だったこともあり、全体として堅調を維持

・林原はトレハ®等を中心とした食品素材の販売は増加したが、AA2G®等を中心とした香粧品素材は主に海外での需要の減少を受けて販売が減少

・中間体・医薬品原料、香粧品素材の販売が増加

・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益

 

その他

 特記すべき事項はありません。

 

② 財政状態の状況

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

(%)

流動資産(百万円)

514,286

530,132

15,846

3.1

固定資産(百万円)

225,434

232,556

7,121

3.2

総資産(百万円)

739,720

762,688

22,968

3.1

負債(百万円)

384,628

384,300

△327

△0.1

純資産(百万円)

355,092

378,388

23,295

6.6

自己資本比率(%)

46.5

48.2

+1.7ポイント

-

・流動資産は、現預金の減少があったものの、棚卸資産および売掛金の増加等により増加

・固定資産は、投資有価証券の売却等による減少があったものの、有形固定資産および無形固定資産の増加等により増加

・負債は、コマーシャル・ペーパーおよびリース債務等の増加があったものの、買掛金および短期借入金の減少等により減少

・純資産は、その他有価証券評価差額金等の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上および為替換算調整勘定の増加等により増加

・以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の46.5%から48.2%へ1.7ポイント上昇

 

③ キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

△17,776

9,414

投資活動によるキャッシュ・フロー

△7,664

△8,031

財務活動によるキャッシュ・フロー

27,282

△17,247

・営業活動による資金の増加額は、運転資本の増加による資金の減少200億円および法人税等の支払額142億円があったものの、税金等調整前当期純利益331億円の計上および減価償却費による資金留保123億円があったこと等によるもの

・投資活動による資金の減少額は、投資有価証券の売却による収入74億円および連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入20億円があったものの、有形固定資産の取得による支出120億円および無形固定資産の取得による支出48億円があったこと等によるもの

・財務活動による資金の減少額は、長期借入れによる収入50億円があったものの、長期借入金の返済による支出86億円、配当金の支払額71億円および自己株式の取得による支出56億円があったこと等によるもの

 

④ 販売の状況

 「① 経営成績の状況」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照願います。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、資産、負債、収益、費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定を用いておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果は異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

・ 有形固定資産および無形固定資産の減損評価

 当社は、のれんを含む有形・無形固定資産の価値が毀損していないかどうかを確認するために、各資産または資産グループの減損兆候の有無を調査した上で、割引前将来キャッシュ・フローに基づき減損損失の認識の判定を行っております。その結果、減損損失の認識が必要と判断された場合には、資産の帳簿価額のうち回収不能部分について減損損失を計上しております。

 この減損損失の認識・測定に用いる将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画や使用価値の算定に用いる割引率等は、その性質上会計上の判断や仮定を伴うものでありますが、割引前将来キャッシュ・フローや回収可能価額の下落を引き起こすような事業環境の変化により見積りの見直しが必要になった場合には、追加的な減損損失が発生する可能性があります。

 当連結会計年度においては、INTERFACIAL CONSULTANTS LLC(加工材料セグメントに属する連結子会社。以下、IFC)が手掛ける樹脂分野の製品・製造プロセス開発事業に係る事業用資産について減損損失を計上しました。IFCは樹脂等の分野において革新的な技術プラットフォームおよび顧客ニーズに合わせた製品・技術・製造プロセス開発能力を有しており、それらを当社グループに取り込むことを目的として2020年3月に同社を連結子会社化しました。IFCの持分の取得時点における事業計画では、IFCが保有する技術プラットフォームや製品・技術・製造プロセス開発能力を活かした製品の製造・販売による収益の拡大を見込んでいましたが、北米での新型コロナウイルス感染症拡大や、それに伴う半導体の供給不足の影響を受け、2020年および2021年のIFCの経営成績は取得当初の事業計画を下回り継続して営業損失を計上したことから、前連結会計年度において、のれん等を減損しました。

 その後、2022年において計画していた一部顧客への販売について計画を下回り、当連結会計年度においても継続して営業損失を計上し、事業計画の見直しを行いました。この結果、将来キャッシュ・フローの見積りの総額が資産グループの帳簿価額を下回ったことから当連結会計年度において事業用資産の減損損失を計上することとなりました。当該減損損失の測定にあたっては、使用価値と正味売却価額を比較した結果、回収可能価額として正味売却価額を用いております。

 使用価値(IFCの最新の事業計画を基礎とし、将来の不確実性を加味して見積もった将来キャッシュ・フローの割引現在価値)の算定における主要な仮定は特定の顧客向けの開発活動の進捗と、それに伴う当該顧客向けの製品の販売数量、別の顧客向けの売上高(役務収益含む)であります。正味売却価額については事業用資産の時価等を勘案し、算定しております。

 詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(連結損益計算書関連)および (セグメント情報等) 関連情報 報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報」をご参照ください。

 

・ 繰延税金資産の回収可能性の判断

繰延税金資産は、事業計画に基づき納税主体毎の将来の課税所得の見積りを行った上で、将来の税金支払額を軽減する効果が認められる範囲において計上しております。したがって、将来の課税所得が大きく減少するような事業環境の変化が生じた場合には、繰延税金資産を取崩し、当該期間の税金費用を増加させる可能性があります。

 

・ 退職給付に係る負債および資産の測定

当社グループの従業員に対する確定給付型退職給付制度について、退職給付債務と年金資産の差額を連結貸借対照表上退職給付に係る負債(または資産)に計上しております。退職給付債務は、簡便法を採用している場合を除き、退職率、死亡率、割引率等の基礎率を設定して算定しますが、特に割引率が重要な仮定であります。割引率は安全性の高い債券(一定格付以上の社債)の利回りを基礎として適宜見直しを行っております。なお、当連結会計年度末では0.7%(加重平均値)を設定しています。

年金資産に係る主な仮定は長期期待運用収益率であり、現在および予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在および将来期待される長期の収益率を考慮して適宜見直しを行っております。なお、当連結会計年度末では2.0%を設定しております。

この割引率を含む基礎率を見直した場合や、見積りと実績に差額が生じた場合は数理計算上の差異が発生し、主に発生時の翌連結会計年度に全額費用処理しております。従って、多額の数理計算上の差異が発生した場合には、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(退職給付関係)」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、下記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

A)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、Prinovaグループの食品素材販売が第1四半期は非常に好調に推移し、第2四半期以降は需給の調整も見られましたが通年として好調を維持しました。他方でウクライナ情勢の悪化に伴う資源価格の高騰やサプライチェーンの混乱が、原材料価格とユーティリティコストの高騰およびサプライチェーン上での在庫調整を受けた需要減少という形で主要製造業の業績に通年に亘り影響を与えました。また第3四半期以降においては、経済活動制限の緩和に伴う経費執行が増加したことに加え、グレーターチャイナにおける上海ロックダウンの影響により樹脂ビジネスが低調に推移したこと等から、通期では全体としては当初想定していた業績を下回る結果となりました。詳細については、「(1)経営成績等の状況の概況 ①経営成績の状況 ②財政状態の状況 ③キャッシュ・フローの状況 ④販売の状況」をご参照ください。

 事業ポートフォリオの観点では、中期経営計画ACE 2.0での注力領域であるフード関連ビジネスでは、前年度設立したPrinovaグループにおけるスポーツニュートリションの受託製造を行う米国・ユタ州の新工場が稼働致しました。食品素材販売のオーガニック成長に加えて更なる飛躍のための体制強化を進めております。同じくACE 2.0の注力領域であるバイオ関連事業においては、新規素材の開発および事業創出に向けて、2023年4月に林原㈱とナガセケムテックス㈱の発酵・酵素事業を統合し、グループ全体のバイオイノベーション創出を推進する体制構築を進めております。更に、収益構造の変革に向けて一部の不採算および低効率事業からの撤退を実施しポートフォリオの改善を進めました。

 また、前年度から引き続き政策保有株式の売却を実施し、特別利益を計上しております。なお、ここから得られた資金は将来に向けた成長投資や株主還元等に効果的・効率的に活用してまいります。

 成長投資の観点では、デジタルトランスフォーメーション(DX)・先端技術関連投資・研究開発関連投資等、中長期的な成長に向けた新しいビジネスモデルの構築に必要な投資を継続しております。

 

B)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因

「3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

C)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第3 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。

 当社グループの資金需要は商品の仕入、製造費、販売費、研究開発などの一般管理費、設備投資、デジタルマーケティングなどへの新規成長投資、M&Aによる株式や営業権取得が主なものです。持続的成長の実現に向け、これらの資金需要に対応するための安定的かつ機動的な資金の確保は重要な戦略と考えています。

 資本の財源としましては、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、資金調達手段として金融機関からの借入の実施、社債ならびにコマーシャル・ペーパーの機動的な発行による資本市場からの調達など、多様化を図りながらバランスの良い調達を実施しております。

 また、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備え、複数の金融機関と長期・短期のコミットメントライン契約を締結し流動性を確保しております。

 当社グループの資金管理については日本国内における当社と国内子会社間においては日本円、中国国内の現地法人間においては人民元および米ドル、また米国と一部アジア地区およびメキシコにおける現地法人間においては米ドルのキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、資金の効率化を図ることで、流動性確保と金融費用の削減に努めております。

 本報告書提出時点における格付けについては、株式会社格付投資情報センター(R&I)から発行体格付と長期債格付ともに「A」(シングルAフラット)を、短期格付で「a-1」(aワン)を取得しており、また取引先金融機関とは良好な関係を維持しております。

 現状の資金調達および資金繰りに問題はないと認識しておりますが、ロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクの高まりにより当社グループのビジネスに影響が及ぶ場合は、手元流動性を厚めに保有するなどの手段を講じる場合があります。

 

D)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

 中期経営計画 ACE 2.0における重要指標は以下のとおりです。

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当社グループでは資本効率性の向上と収益力の拡大を課題としており、ROEおよび営業利益をKGI(Key Goal Indicator)として掲げております。ACE 2.0の二年目にあたる当年度は、主要製造業の減益、経済活動制限の緩和・正常化に伴う販売費及び一般管理費の増加等により営業利益は333億円と前年割れの水準となりました。ACE 2.0の資本効率性を意識した基本方針に基づいて株主還元を進めたものの、減益の影響を受けROEは6.6%と前年より低下しました。また、計画の前提となった内外環境が一定程度以上に変化していることから、ACE 2.0の骨子である“質の追求”と基本方針は踏襲しつつも、KGIおよびKPIの目標値を含めた部分的見直しを現在進めております。

なお、ACE 2.0の基本方針および取り組み状況については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中期経営計画 ACE 2.0」をご参照ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、グループの総合力を結集し、新規事業創出のため、マーケティング活動に基づく新技術・新製品の開発と技術情報の発信を目的に研究開発活動を行っております。

NVC(New Value Creation)室では、AI、IoTや通信技術の中長期トレンドを見据えた新しい価値を創造することで、これまでグループになかったビジネスの仕組みを作ることを目指しています。SaaS型マテリアルズ・インフォマティクス支援サービス“TABRASA”、5Gネットワークインフラの低遅延化と処理性能をアクセラレートするIPコア“Axonerve”、非ノイマン型ハードウェアAIや五感センシング技術、ブロックチェーン技術によるトレーディングサポートシステム、医療画像系プラットフォーム、等の開発を推進しております。

ナガセバイオイノベーションセンターでは、サステナブル社会の実現に向けて、独自技術の放線菌の育種・発酵技術:N-STePP®(注1)と大腸菌の育種・発酵技術:Nagase U-E’s Technology(注2)を活用して、現在は化学合成困難とされる自然界に存在する希少有用物質を持続性のある微生物発酵法で高効率生産できるように「プロセスイノベーション」(=Unavailable Made Available&Sustainable)を目指して取り組んでおります。発酵法は従来の抽出法や化学合成法に比べ、「安全・安心、高効率、環境にやさしい」と言う特徴があります。現在は、藻類由来の紫外線吸収物質(マイコスポリン様アミノ酸)、キノコや麦類に含有される希少抗酸化アミノ酸(エルゴチオネイン)、新規酵素、バイオ色素等の放線菌特有の機能性物質の発酵生産を検討しています。これらの有用物質を、機能性食品、化粧品、および工業用品として広く展開されるよう開発を進めると同時に毎年多数の特許を出願・登録しております。また、グループのバイオテクの総力を活かし、イノベーション創出に向けたテーマ創生を推進しております。このように当センターは、グループ独自の技術を活用して、グループの将来の事業を先導する新規事業の芽の創出をミッションとして、活動し続けております。

(注1)Nagase Streptomyces Technology for Protein/Precious Productsの略称、弊社の国内登録商標

(注2)Nagase Ultra E.coli Technologyの略称、弊社の国内登録商標

ナガセアプリケーションワークショップ(NAW)では、プラスチック、コーティング材料の分野で原材料の評価分析、用途開発から、それら原材料を使った最終製品の処方開発を行うことができる設備と専門性の高い技術スタッフを有しております。取引先やグループ製造会社が持つ素材や加工技術を組み合わせ、グループネットワークを活かしたマーケティング機能で得た市場ニーズに応えるソリューション提案を行っております。新規材料や技術の目利きを行い、末端アプリケーションで求められる性能を満たす処方開発を行うことで、CMF(注)、機能性UP、Green材料開発等におけるお客様の課題解決をサポートします。また新しく3Dプリンティング材料開発体制を整備し、日本国内での市場拡大に貢献してまいります。これらの活動により当社グループ独自の商社業の差別化戦略を支えるとともに、商社が運営するラボならではの自由な発想でサステナブルな新規事業開発に貢献することを目指して活動しています。

(注)モノの表面を表すColor(色) Material(素材) Finish(加工方法)の略

ナガセケムテックス㈱では、「バイオマテリアル」分野を育成事業領域の1つとして注力しております。なかでも、医療材料、医療機器分野における低エンドトキシン化ニーズに応えるべく、弊社独自のエンドトキシン除去・低減化技術を活用したビジネス展開を鋭意進めております。これまで、低エンドトキシンプルラン・ゼラチン・アルギン酸ナトリウムなどの素材をアルコフェリスシリーズとして順次リリースしておりますが、更なるラインナップの拡充へ向け開発を継続中です。また、エンドトキシンを除去低減 “したモノ” に加え、2022年度よりエンドトキシンを除去低減 “するモノ”(エンドトキシン除去低減用ミニカラム) や、エンドトキシンを除去・低減 “するコト” (エンドトキシン除去低減サービス) といった新たなビジネスを開始し、エンドトキシン管理に関するソリューション提供を進めてまいります。

また、長瀬産業㈱、㈱林原と協業して、林原の有する酵素技術とナガセケムテックスの樹脂製造技術とを組み合わせ、澱粉を主原料とした高バイオマス度の高吸水性ポリマー(SAP)の開発を行っております。現在主流であるポリアクリル酸系SAPが、石油由来かつ非生分解性であるため、環境負荷が大きいという課題を抱えているのに対し、本開発品は、バイオ由来と生分解性により、環境負荷低減に大きく貢献することが期待されます。本開発は、従来実用化が難しいとされてきた澱粉由来のSAPにおいて、実用レベルの吸水特性を発現させる事に成功したもので、環境対応製品の開発に注力する企業や自治体などに向け新たなソリューションを提案して参ります。

INKRON Oyでは、独自のシロキサン合成技術により、光学デバイスおよび電子デバイス向け機能性材料の開発・製造を行っております。特に次世代デバイスとして開発が進む拡張現実(AR)/複合現実(MR)ウェアラブルディスプレイ向けの光学部品材料の開発が進捗しており、従来保有していた透明材料に加えて、黒色遮光材料も新たにラインナップに加え、ユーザーに幅広いソリューションを提供し続けております。ナガセケムテックス㈱にて長年にわたって蓄積してきたナノ粒子分散技術、量産化技術、品質管理システムとの補完的相乗効果により、次世代デバイス向け先端材料のグローバル供給を通じて顧客のイノベーションに貢献して参ります。

㈱林原では、食品はもとより、化粧品、医薬品・医療から、農業、工業分野に至るまで様々な領域において、「トレハ®」・「プルラン」・「ファイバリクサ®」をはじめとする糖質製品を広くご利用頂くべく、研究開発活動を行っております。注力商品である「トレハ®」や「AA2G®」については、3年ぶりに「第24回トレハロースシンポジウム」を開催し、また、ロンドンで開催されたIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)が発行する学術誌「IFSCC Magazine」サステナビリティ特集に、パーソナルケア素材についての総説を投稿するなど消費者の認知度を上げると共に、さらなる機能性表示食品への展開ならびに新規用途開発活動を強化しております。新規素材については、新たな機能性製品として良質でキレのよい苦味を持つ、柑橘由来の高水溶性味質改善素材『ナリンビッド®』を上市しました。引き続き、微生物からの新規酵素生産菌の探索を行い、独自酵素を用いて生み出される素材、あるいは微生物発酵によって製造される素材の研究開発を進めております。さらに、新たな素材を次世代の主力製品として育成するために、特許・知財戦略も考慮しながら、製法検討を進め、市場分析、有用な利用法の提案、アプリケーション開発等の活動を推進しております。一方、機能性色素の研究開発活動としては、保有する豊富な機能性色素ライブラリーを活用しながら、写真・印刷刷版等の工業分野に加えて、色素の耐久性の改善による用途拡大、現在伸びている医薬品や検査薬等のライフサイエンス分野への展開に注力した開発活動を継続しております。

 

なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

機能素材

274

加工材料

1,009

電子・エネルギー

2,295

モビリティ

146

生活関連

1,549

全社(共通)(注)

479

合計

5,755

(注)全社(共通)は特定のセグメントに関連付けられない基礎研究等に関する費用です。