第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループでは、2024年度からの新たな経営計画として、2030年度を最終年度とする「MS Vision 2030」を策定いたしました。ビジョンを支え当社グループが拠りどころとするバリュー(価値観)に、当社グループ全社員が心得るべき「行動指針」と三菱グループの経営の根本理念である「三綱領」を再設定し、パーパス「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」に「サステナビリティ重点課題の同時解決」を追加し、この実現に取り組んでおります。

 

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(2) 経営環境、課題認識、及び成長戦略

 外部環境認識を踏まえた当社の課題認識は次のとおりであります。

・ 国内人口の加速度的な減少(国内需要の縮小と変化)

・ テクノロジーの進化(リアルとネットでのハイブリッド競争激化)

・ 地政学リスクの高まりやサステナビリティ課題の深刻化(複雑化する社会要請)

・ 将来の予見性の低下(組織や人財の学習スピードが重要に)

 

 このような課題認識のもと、当社グループは、2030年に向けて策定した経営計画「MS Vision 2030」では以下の3つの成長戦略テーマに取り組んでまいります。なお、これらの成長戦略は「当社の強みである経営資本」を最大限に活用することや「サステナビリティ重点課題の同時解決」に繋げることで、その独自性が担保され、差別化が図られています。

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 経営計画「MS Vision 2030」で描いた2030年の事業領域別の在り姿の実現に向け、3つの成長戦略に基づき具体的な取組みを進めてまいります。

 

① デジタル活用

(新たなビジネスモデル構築による需要創造)

当社グループ独自のビジネスモデルであるDDマーケティングでは、当社グループの保有するビッグデータを活かし、デジタル技術を有するパートナー企業との連携を促進し、生活者理解を深め、ソリューションの幅を拡げることで、取引先の課題を解決してまいります。これらの機能を基に、DDマーケティング事業の売上拡大を目指すとともに、小売り店頭での売上拡大に寄与することで、卸売事業とのシナジー効果も創出してまいります。

 

(業務効率化・生産性向上)

 基幹システム刷新プロジェクト(シン・MILAI構想)を通じて、データ活用基盤の強化とAI技術の融合を目指し、2030年までのロードマップを策定いたしました。あらゆる業務の効率化と高度化を実現すべく、卸機能全般の強化を図り、企業間の壁を越えたデータやアプリケーションの利活用を促進してまいります。また将来的には、その共同プラットフォームを活用し、業界全体にとっても新たな価値を創造してまいります。

 

(SCM機能強化)

 食品流通業界では、「製・配・販」が連携して様々な形で物流効率化に向けた協議がなされております。当社グループにおいては、異業種との協業・業務提携や、輸配送データ基盤の構築による物流効率化を進めております。また、小売業から中間流通、及び生産に関わる多くの企業のデマンドチェーンの最適化に向け、当社100%子会社として株式会社ベスト・ロジスティクス・パートナーズを設立し、その取り組みを加速してまいります。

 

② 新たな需要の獲得

(国内市場・海外市場)

 海外における日本食・日本食文化に対する需要の高まりは続いており、中でも欧米は、日本食市場の成長性と経済規模を兼ね備えた重要な戦略市場であります。当社グループとしては成功モデルの確立を目指し、パートナー企業と連携しつつ、事業拡大を強力に、且つスピードを上げて推進してまいります。また、当社オリジナル商品においては、国内市場での拡売に加えてアジア圏への輸出拡大を強化してまいります。

 

③ 人的資本強化

(人財育成・社内環境整備)

 「MS Vision 2030」と連動した人事施策として、2030年に目指す人財の在り姿を示した「人財ポートフォリオ2030」を策定いたしました。「MS Vision 2030」で示した成長戦略に沿って、それぞれ事業領域に求められる人財と知識・スキルを定義し、育成施策の更なる充実と人財シフト、専門人財の確保を目指し、積極的な教育・研修投資を実行してまいります。

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2030年度を最終年度とする新たな経営計画「MS Vision 2030」では、以下の定量目標を掲げております。

 

■2030年に目指す在り姿

(経済価値)

・ 経常利益:500 億円(当期純利益:350 億円)

 

(社会・環境価値)

・ 社員エンゲージメントスコア:70%以上

・ 食品廃棄量:50%以上削減(2016 年度対比)

・ CO₂排出量 :60%以上削減(2016 年度対比)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「三綱領」を企業理念とし、食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献するとしたパーパスのもと、中長期的な企業価値の向上には、サステナビリティ重点課題の解決を同時に実現することが必要不可欠と認識し、社会課題の解決・社会的責任を重視したサステナビリティ経営を行っております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因が異なる可能性があります。

 

サステナビリティ全般

 

(1) ガバナンス

当社は、事業活動を通じたサステナビリティ課題への取り組みを全社的に推進することを目的とし、2021年3月に経営会議(経営執行における意思決定機関)の諮問委員会として、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。

「サステナビリティ委員会」は、サステナビリティ課題全般への対応を主管し、また、「全社リスクマネジメント委員会」とも連携して、気候変動を中心としたサステナビリティ関連のリスクの把握および管理、具体的な対応戦略の立案・推進を担っております。

2021年6月にCSO(Chief Sustainability Officer)を設置のうえ、これを代表取締役社長が兼任し、サステナビリティ経営に係る基本方針や重要事項について、「サステナビリティ委員会」での検討を経て経営会議にて審議・決定することとしております。同内容は取締役会に付議・報告(年2回)し、取締役会の監視・監督が図られる体制としております。

株式報酬指標のうち非財務指標にESG外部評価が組み込まれており、気候変動を中心としたサステナビリティ関連の取り組みの達成度はESG外部評価の中で評価され、報酬に反映されております。株式報酬は報酬構成(基本報酬、業績報酬、株式報酬の全体に占める割合として)16.5%としており、ESG外部評価指標はそのうち10%をウェイトとして設定しております。

 

(2) リスク管理

当社グループの事業活動における、発生した場合に大きな影響を与える、あるいは、当社グループの事業戦略との関連性が高い気候変動を中心としたサステナビリティ関連のリスクについて、「サステナビリティ委員会」においてリスクシナリオを設定して分析し、評価を行っております。そのうち、主要なリスクについては、全社リスクマネジメントプロセスに組み込み、全社リスクマネジメント委員会において、他の事業リスクとともに評価・管理しております。

 

(3) 戦略 及び 指標と目標

当社のパーパスは、「中期経営計画2023」の「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」を引き継いでいますが、サステナビリティ対応の重要性がますます高まっていることから、そのパーパスと横並びで、「サステナビリティ重点課題の同時解決」を追加いたしました。このパーパスと企業理念である「三綱領」の考えのもと、社会課題の解決・社会的責任を重視したサステナビリティ経営を今後ますます加速して推進すべく、「2030年に向けた4つのサステナビリティ重点課題と10項目の目標」を設定しています。特にCO2の削減については、パリ協定の枠組みや日本政府の宣言にも沿う形で、2030年度までに2016年度対比CO2排出量60%削減、2050年カーボンニュートラルを目指してまいります。また、食品流通を担う企業として、引き続きサプライチェーン全体を視野に入れた食品廃棄物の削減にも加速して注力します。

カーボンニュートラルの実現に向けた当社の挑戦は、同様にカーボンニュートラル実現を目指すお取引先様に当社が選ばれるための資格を得ることを意味しており、この分野における当社の取組は、食品流通におけるサプライチェーン全体でカーボンニュートラルの実現に繋がっていくものと確信しております。

ESGへの取り組みについては、当社ホームページに掲載しておりますので、以下URLをご参照ください。

https://www.mitsubishi-shokuhin.com/pdf/sustainability/index/index_001.pdf

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気候変動対応

 

当社グループは、気候変動をサステナビリティ重点課題の一つとして認識し、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しております。今後、2050年カーボンニュートラルに向けたGHG排出量の削減や、「食の安全・安心・安定供給」の実効性向上に向けたサプライチェーン全体の強靭な体制構築などに取り組むとともに、TCFDとその後継であるサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が2025年3月5日に公表したサステナビリティ開示基準に沿った情報開示の拡充及びステークホルダーとの対話を深めてまいります。

 

(1) ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは「サステナビリティ全般(1)ガバナンス」をご参照ください。

 

(2) 戦略

リスク・機会の特定

当社では、気候関連のリスク・機会の特定にあたり、移行リスク・物理的リスク・機会の観点で幅広い事象を洗い出したうえで、今世紀末までの気温上昇が1.5℃を下回るシナリオ、いわゆる「1.5℃シナリオ」を含む2つのシナリオを用いて事業への関連性の高いリスク・機会を抽出しております。特定されたリスク・機会に関し、それらシナリオに基づいた財務インパクトを定性的に評価し、一部のリスクについては定量的に評価しております。2024年度はScope3排出量の算定結果を基に、将来的に炭素価格が導入された場合の仕入原価への影響を再評価いたしました。

なお、抽出した気候関連リスク・機会はシナリオベースでの評価であり、事前の対策及び準備により、リスクの軽減及び機会の創出・拡大が図れるよう努めてまいります。

 

リスク・機会の

主要因

気候関連リスク・機会

リスク・機会発現までの期間

財務インパクト(利益ベース)

移行リスク

 

炭素価格の導入・引き上げ

炭素価格の導入による操業コストの増加

中期

炭素価格の導入による仕入原価の増加

中期

燃料価格の上昇

燃料価格の上昇による輸送・保管コストの増加

中期

燃料価格の上昇による仕入原価の増加

中期

電力価格の上昇

電力価格の変化による輸送・保管コストの増加

中期

電力価格の変化による仕入原価の増加

中期

化石資源需要の低下

化石資源の需要の変化による蓄冷剤コストの増加

中期

物理的リスク

 

気温上昇による感染症リスクの高まり

気温上昇による感染症リスクの高まりに起因する消費者の外食利用機会の低下

中期

風水災の頻発化・激甚化

風水災の頻発化・激甚化による事業拠点の被災

短期

風水災の頻発化・激甚化による農場や圃場の生産力低下

短期

風水災の頻発化・激甚化によるサプライチェーンの途絶

短期

機会

 

共同配送、モーダルシフトの取り組み進展

共同配送、モーダルシフトの取り組み進展による、輸送保管コストの低下

短期

再生材・バイオマス関連技術の開発進展

再生材・バイオマス関連技術の開発進展による、低環境負荷容器・包装製品の売上増加

短期

【リスク・機会発現までの期間】 ・短期:3年以内、・中期:3年超10年以内、・長期:10年超

【財務インパクト】 ・小:10億円以内、・中:10〜50億円、・大:50億円超

 

抽出・整理した気候関連リスク・機会について、財務インパクトの大きさや事業戦略との関連性を勘案し、当社として「重要度が高い」と評価した事項についてTCFDコンソーシアムの「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」に準拠したシナリオ分析を行っております。シナリオ分析結果、及び対応戦略については、以下の当社ホームページに掲載しておりますので、以下URLをご参照ください。
https://www.mitsubishi-shokuhin.com/sustainability/esg/environment/tcfd/

シナリオ分析結果を踏まえ、2050年カーボンニュートラルの実現に向けてScope1及びScope2における削減ロードマップを策定し、累計約40億円の投資や追加的費用支出を想定し積極的に取り組むとともに、Scope3の削減や強靭なサプライチェーンの構築に向けて、取引先各層と積極的な連携を推進してまいります。また、「食の安全・安心・安定供給」の更なる実効性向上に向け、気候変動に伴う事業拠点の浸水リスク削減への検討など、オールハザードへの対応としなやかな物流体制の構築に取り組んでまいります。

 

(3) リスク管理

気候変動に関するリスク管理は「サステナビリティ全般(2)リスク管理」をご参照ください。

 

(4) 指標と目標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、GHG排出量(Scope1,2)を定めております。自社の事業活動でのGHG排出量について、2016年度を基準として2030年度にマイナス60%削減することを目標としております。

また、当社は、気候変動がもたらす移行リスクにおいて、サプライチェーン上のCO2排出量が当社事業に大きく影響するものと考え、サプライチェーン全体のCO2排出量削減への第一歩として、2022年度期中よりScope3可視化に着手いたしました。当社におけるScope3の測定内容は以下のとおりです。先ずは、三菱食品単体の測定を実施し、順次グループ会社へと拡大してまいります。

 

Scope1,2の実績と目標

指標

2022年実績

2023年実績

2024年実績

2030年目標

GHG排出量

[千t-CO₂e]

42.8

Scope1 : 14.8

Scope2 : 28.0

42.1

Scope1 : 15.6

Scope2 : 26.5

40.5

Scope1 : 17.2

Scope2 : 23.3

36.1

(2016年度比60%削減)

※国際的な算定・開示基準であるGHGプロトコルに基づき算定しております

 

項目/カテゴリ

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

実績

Scope3全体

11,373.2

11,242.6

算定中

カテゴリー1

購入した製品・サービス

10,352.2

10,200.9

-

カテゴリー2

資本財

16.5

23.8

-

カテゴリー3

Scope1,2に含まれない燃料及び
エネルギー関連活動

4.8

4.6

-

カテゴリー4

輸送、配送(上流)

687.4

715.3

-

カテゴリー5

事業から出る廃棄物

1.4

1.0

-

カテゴリー6

出張

1.2

1.6

-

カテゴリー7

雇用者の通勤

2.7

2.6

-

カテゴリー8

リース資産(上流)

13.6

14.6

-

カテゴリー9

輸送、配送(下流)

3.0

3.7

-

カテゴリー12

販売した製品の廃棄

289.6

273.1

-

カテゴリー13

リース資産(下流)

0.7

1.4

-

※当社のScope3算定は、GHGプロトコルやISO14064などの国際標準に準拠しつつ、10万件以上の排出原単位から適切なデータを選定することで、精緻な算定を実現しています。

※2024年実績については、2025年10月以降に当社ホームページ上で公表する「Scope3排出量の測定内容及び結果」をご参照ください。

 

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、中長期的なCO2排出量目標の設定やサプライチェーン上の企業各社との連携による削減アクション実施に努めるほか、Scope3測定方法の高度化による削減効果の反映にも取り組んでまいります。

 

 

人的資本関係

 

人事戦略の基本的な考え方

当社は、パーパスを定め、それを実現する中で目指す在り姿として「MS Vision 2030」を策定し、成長戦略の1つとして「人的資本強化」を掲げております。持続的な成長と企業価値の更なる向上のためには、事業環境の変化に柔軟に対応し、新たな付加価値を生み出すために、チャレンジする企業文化への変革が不可欠と考えております。この変革を支えるため、社員の持続的な成長を支援する「人財育成」の取り組みと、働きやすく、働きがいのある組織風土を醸成する「社内環境整備」の取り組みを柱とした、人的資本の強化に取り組んでおります。

また、当社の競争力の源泉は、多様な人財が互いに連携し、結果を追い求めることであり、人的資本こそが最大の財産です。そのため、社員が自発的に仕事に取り組む意欲を表す「社員エンゲージメント」が、当社の中長期的な企業価値向上を支える重要指標であります。「社員エンゲージメント」については、「MS Vision 2030」における経営指標として役員報酬決定時の指標とすることで、経営陣のコミットメントを強化しております。また、社長をはじめとした経営陣による現場訪問や上司・部下間の定期的な「1on1」の実施等、各層でのコミュニケーションの総量と質の向上と、人事戦略を着実に実行することで、「社員エンゲージメント」の向上を図っております。

なお、当社グループの人事戦略は、経営会議の諮問機関である人財開発委員会で、経営戦略を実現するための採用から配置・登用、退職まで一貫した人事戦略を検討し、実行しております。各人事施策は、効果検証を行い必要に応じて見直しすることで、効果的に人的資本の強化を図っております。また、2024年度より、CHRO(Chief Human Resource Officer)を設置し、経営戦略と連動した人事戦略や人財に対する投資と活用の責任を明確にすることで、人的資本強化の意思決定の迅速化を図っております。

【参考】2024年度組織風土調査結果

当社は、2011年の発足以降、毎年、外部機関による組織風土調査を実施し、「社員エンゲージメント」をはじめ、働くための環境が整備されているかを表す「社員を活かす環境」等を測定しております。全社及び各組織の強みと課題を人事施策へ反映するとともに、各組織における課題解決に向けて議論を促すことで、現場起点の改善も進めております。なお、各設問5段階評価の内、上位2段階を肯定的回答とし、肯定的回答をした社員の割合は次のとおりであります。

・社員エンゲージメント肯定的回答率:64%(前年比+5ポイント)

・社員を活かす環境肯定的回答率:64%(前年比+7ポイント)

 

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(1) 人財育成の基本方針

当社では、求める人財像を「チャレンジする自律したプロ人財」と定め、社員の持続的な成長を促すとともに、チャレンジする企業文化への変革を目指し、職責や役割を基準とした人事制度を施行しております。各組織のミッションを明示することで社員にチャレンジを促すとともに、キャリアやそれを実現するためのスキル等の選択肢を用意・提示し社員の成長を支援しております。

また、当社の主たる事業である卸売事業においては、多様な商品を組み合わせ、地域・お客様ごとの購買環境や物流を考慮した最適な提案が求められており、そのためには経験の深さ・知識の広がりが必要となることから、日々のOJTや異動・配置を通じて、人財の育成に努めております。更に、お客様との幅広い接点を基盤に、商品開発や原材料のビジネス、海外サプライヤーや海外市場での取組み、データ・デジタルを活用したマーケティング等を強化しており、人財の早期育成や有望分野での人財活用、社員のキャリア支援のために体系的な教育・研修(Off-JT)を整備しております。

更に、2024年度には、2030年に目指す人財の在り姿を示した「人財ポートフォリオ2030」を策定し、「MS Vision 2030」と人事戦略の更なる連動を図っております。

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①チャレンジと成長を促す仕組み

当社では、役割や職責を基準とした人事制度を施行し、約700ポストの職務記述書を作成しております。職務記述書には各ポストのミッションや職務内容、必要なスキル・経験等を記載しており、社員が目指すキャリアとそれを実現するために身に付けるべきスキル・経験を明確にし、各事業に必要な人財の成長を支援しております。

また、管理職相当の専門職として「エキスパート職」を設け、それぞれの専門領域で活躍するとともに、「三菱食品ビジネスカレッジ」の講師や社内の相談窓口としても活躍しております。

非管理職層についても、役割を基準とした制度とし、30歳で役職に就くことが可能としており、年齢や性別、国籍等によらず優秀な社員の抜擢を進めております。

 

②人財ポートフォリオ2030の策定と人事戦略の実行

「MS Vision 2030」と連動した人事戦略実行のため、2030年に目指す人財の在り姿を示した 「人財ポートフォリオ2030」を策定しております。「人財ポートフォリオ2030」では、「MS Vision 2030」で示した事業領域を基準とし、それぞれの事業に求められる人財(卸営業人財、海外人財、IT・デジタル人財等)と人財要件(求められる知識・スキル)を定義し、現状とのギャップを明確にすることで育成施策の更なる充実と人財シフト、専門人財の確保・育成を目指しております。

 

③自律的なキャリア形成の支援

「人財ポートフォリオ2030」における人財要件は、すべての人財に求められる「共通知識・スキル」と、それぞれの人財に求められる「専門知識・スキル」に区分し、多様な業務経験(OJT)と体系的な教育・研修(Off-JT)に加え、社員の自律的な学び(Self Development)の後押しにより、人財育成を行っております。

体系的な教育・研修(Off-JT)として、本部長・支社長を対象に組織風土改革を目的とした「コーチングプログラム」や、次世代の経営幹部人財育成を目的とした「三菱食品経営塾」、管理職を対象とした「360度サーベイ・マネジメントセミナー」、年齢や資格に応じてたキャリア研修等、社員のチャレンジ意識を促進し、自ら学ぶ意識を後押しする支援型のプログラムを用意しています。

また、社員の自律的な学び(Self Development)を支援する為に、2022年度より「三菱食品ビジネスカレッジ」を創設し、エキスパート職の社員による講座の実施、本人希望でビジネススキルを学ぶ「オープン講座」や、「オンデマンド型自主学習ツール」、「通信教育制度」を設けております。今後、メニューの更なる充実と社員のだれもが教育を受けられる機会を提供することで、引き続き自律的な学びを支援してまいります。

 

また、上司・部下間の「1on1」にてコミュニケーションの強化を図り、自律的なキャリア形成を支援し、社員一人ひとりの成長を促すとともに、組織力の向上・改善を図っております。更に、中立的な立場から、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成の支援や助言を行うために、キャリアコンサルタント(国家資格)有資格者10名を社内相談窓口として設置しております。

なお、従来から、新たな業務への主体的なチャレンジを促すために社内公募制度を設けており、今後は職種ごとのキャリアのイメージを作成し、キャリアの選択肢を可視化することを予定しております。

 

④デジタル人財・海外人財等の育成

専門人財の確保・育成に向けては、事業環境が大きく変化する中で、業務効率化や新たな付加価値の創出により持続的な成長を支えるために、全社員がデジタルツールを活用して業務効率化できる「デジタル利活用人財」になるとともに、全社員の約3割(1,457名)をDXの推進やデジタル技術でデータ分析・業務改革・システム開発等ができるデジタル人財として認定しデジタル人財基盤を構築しております。また、デジタル人財の育成のみならず、語学研修等の強化による海外人財の育成等、社員にリスキリングの機会提供を拡充し、成長戦略の実現に向けた専門人財の確保・育成を強化してまいります。

 

(2) 社内環境整備の基本方針

当社は、「明るく・楽しく・元気よく、そして前向きに」をスローガンに掲げ人財のWell-Beingを実現していくとともに、社員がエンゲージメントを高く持ち、安心して、長く働ける社内環境を整備し、「働きやすく、働きがいのある組織風土」を醸成することで、新たな付加価値の創出と生産性の向上を目指しております。

 

①ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

当社は、社員の多様性や個性を尊重し、それぞれの能力や適性を発揮し、最大限活躍できる職場環境づくりと、互いに認め合う組織風土の醸成を図っております。

その上で、当社は、中長期的に当社を支える人財と高度なスキルや専門性を有する人財の確保を目的としてキャリア採用を積極的に実施しており、2024年度の採用者数に占めるキャリア採用者の割合は30.7%となっております。今後も、各年度のキャリア採用比率は20%以上を目標として継続してまいります。

また、障がい者雇用においては、社会的責務を果たすべく、法定雇用率の常時達成に向けて、継続的な採用と定着支援を実施し、個々の特性を活かしながら、長期に活躍できる環境を提供しております。

なお、当社は、次代の社会を担う子どもの健全な育成の支援を継続しており、2023年度に女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況等が優良な企業として厚生労働省が定める「えるぼし認定」の2つ星(2段階目)の認定を受けるとともに、2024年に「子育てサポート企業」として、2回目の厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けております。2030年までに女性管理職比率10%の目標達成に向け、2024年度より女性管理職に対する社外メンターを設置するとともに、管理職に対するインクルーシブリーダーシップセミナーを実施し、性別や年齢等の属性に捉われず多様な社員が活躍できる環境整備に取り組んでおります。

 

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②健康経営

健康増進担当の責任者として、CHO(Chief Health Officer)を設置し、経営陣をはじめ全社一丸となって健康経営に取り組んでおり、「健康経営優良法人」に6年連続で認定され、その中でも上位500法人として「健康経営優良法人 ホワイト500」に2年連続で認定されました。

なお、当社は「社員が心身ともに健康で自発的に仕事に取り組むことで、能動的な組織風土を作り、業績にもプラスの影響を与える」と考え、健康の5つの要素(「肉体的健康」「精神的健康」「社会的健康」「主体的行動」「ワークとライフのコントロール」)を高め、自己効力感と健康意識の向上を図るために、ウォーキングイベント、メンタルヘルスに関するeラーニング、認知や感情・コミュニケーションに関するセミナー等を実施しております。

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③働き方改革

働き方や価値観の多様化に合わせて、働く場所や働く時間の選択肢を増やし、生産性の向上と自律的な働き方を推進するため、テレワーク制度やフレックスタイム制度を導入しております。コロナ禍を経て、出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッド勤務が定着し、それぞれの業務に応じた効率的な働き方として、ハイブリッド勤務を継続しております。

また、ワークライフバランスの実現のため、適切な労務管理により過重労働の防止に努めており、2024年度の全社平均総労働時間は年2,094時間となっております。2030年度には全社平均総労働時間を1,800時間とすることを目標としており、更なる業務効率化と生産性向上に努めてまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、持続可能な事業活動を行う上での環境変化に対応するため、全社リスクマネジメント委員会を設置し、当社グループが対面するリスクを定期的に把握、識別、評価、コントロール、及びモニタリングする全社リスクマネジメントプロセスを構築し、整備・運用をしております。全社リスクマネジメント委員会においては、リスク対策の有効性を確認した上で個々のリスクの評価を行い、その結果は取締役会に報告しております。

 

[リスク管理PDCAサイクルイメージ]

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 当社グループの事業等のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあると認識しております(主に上図「リスク評価結果」左上と中央の領域)。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

 当社グループは食品卸売事業を主たる事業としており、地政学を要因とする政治・経済環境の変化(原材料価格・燃料価格の変動等)、景気の変動(消費動向)、社会構造の変化(人口減少による市場縮小、労働市場の流動化等)、及び同業他社や異業種との競争状況の変化等が想定を超えて生じた場合には、当社グループのビジネスモデル戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 販売先の変化について

 当社グループの販売先については業態を超えた競争が激化し、取引卸の集約や帳合変更の動きが活発化するとともに、再編等が行われることが予想されます。当社グループといたしましては、販売先との取組関係を強化し、取引の発展に努めておりますが、販売先の政策変更、再編等により、当該取引が縮小・解消された場合には、当社グループの顧客戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 食品の安全性について

 当社グループは食の安全・安心を確保すべく、商品開発部門や営業部門から独立した品質管理部門を設置し、食品衛生法や食品表示法等を遵守の上、食品の安全を確保した商品の取り扱いに努めております。また、商品鮮度管理の徹底や、自社開発商品における製造工場の審査・指導等を実施し品質管理体制強化に取り組むとともに、法令を遵守した適切な食品表示に努めておりますが、外的要因により安全性・品質確保等に問題が生じ、商品の製造・流通に支障を来した場合には、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 基幹システムのシステムダウンについて

 当社グループは基幹システムの安定的な稼働を維持するためのメンテナンス、コンピューターウイルス対策、バックアップシステムの確保等、システムの安全及び安定稼働の確保に努めておりますが、想定外の自然災害の他、予測不能のサイバー攻撃を受けウイルスの侵入やハッカー行為によりシステムダウンが一定期間以上に及び、業務処理が滞ることとなった場合には、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 自然災害・火災、感染症等について

 当社グループは全国に多数の営業・物流拠点を設置し事業を展開しており、大規模な自然災害・火災や新型ウイルス等の感染症が拡大した場合等に、物流やサービスの提供等に支障が生じる可能性があります。当社グループといたしましては、食の安全・安心・安定供給を支える企業として、事業の早期復旧及び継続を図るためのBCP(事業継続計画)を策定・整備し万全を期しておりますが、大規模かつ広域に亘る災害・火災等が発生し復旧が長期化した場合、又は新型ウイルス等の感染症が拡大し従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの寸断が生じた場合には、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制について

 当社グループは事業を遂行する上で、食品の安全に関する法令、独占禁止法、下請法、労働関係法令等、各種の法的規制を受けております。当社グループといたしましては、教育・啓発を推進し、法令遵守の徹底に努めておりますが、法令に違反する事由が生じた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。また、これらの法的規制が強化された場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 投資効果の未実現について

 当社グループは事業基盤・機能の強化や収益性の向上等に向けた物流センターへの設備投資、IT・デジタル技術活用に係るシステム投資等を継続的に行っております。投資の決定に際しては、リスク・リターンについて十分な検討・審議を行い、また、投資実行後のモニタリングも行っておりますが、事業環境の変化等により、将来に亘って期待した収益・効果が得られない状況に至り、減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 気候変動について

 当社グループは食のビジネスを通じて持続可能なサプライチェーンの構築に取り組んでおりますが、気候変動の影響や脱炭素社会への移行(温室効果ガス排出に関する規制等)の影響で、輸送・保管コストや商品調達・仕入コストに変動が生じた場合や炭素税等が導入された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 債権の回収不能について

 当社グループは営業取引を通じて、取引先に対し信用供与を行っております。当社グループといたしましては、債権の回収遅延・不能による損失発生を予防すべく与信管理体制の充実を図っておりますが、不測の事態により取引先の信用不安が生じ、債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 上記に挙げるリスクにとどまらず、事業環境の変化に応じて当社グループが対面するリスクの把握とその対策の見直しを定期的に行うとともに、リスク発生の可能性を十分認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況、分析、検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1) 経営成績

 当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)のわが国経済は、雇用・所得環境の改善がみられる等、緩やかな上昇基調にありましたが、地政学リスク等の不確定要素も多く、先行き不透明な状況で推移いたしました。

 食品流通業界においては、インバウンドを含む本格的な人流回復等により、一部消費の回復が進んだ一方で、食品価格の上昇は多品目で継続しており、節約志向の高まりや消費の二極化が進む等、経営環境は依然として厳しい状況が続きました。

 このような状況下、当社グループは、経営計画「MS Vision 2030」に掲げた定量目標の実現に向け、成長戦略に沿った機能の拡充を図ってまいりました。

 

 当連結会計年度の業績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の期首より、表示方法の変更を行ったため、以下の前年同期間との比較については、変更後の表示方法に組替えた数値を記載しております。

 

 当連結会計年度の売上高は、コンビニエンスストアやディスカウントストアとの取引が堅調だった卸売事業を中心に全般的に取引が伸長したことにより、2兆1,208億47百万円(前年同期比1.6%増加)となりました。営業利益は卸売事業を中心とした取引伸長や採算管理強化による利益率の改善等により315億75百万円(前年同期比6.9%増加)、経常利益は333億8百万円(前年同期比6.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は231億74百万円(前年同期比2.6%増加)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの変更を行ったため、以下の前年同期間との比較については、変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。報告セグメントの区分方法の変更の詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要」をご覧ください。

 

① 卸売事業

 売上高は、コンビニエンスストアやディスカウントストアとの取引が堅調に推移したこと等により、増加いたしました。利益面につきましては、売上高増加や採算性の向上に伴う売上総利益の増加が物流費等の販管費増を吸収し、前年同期を上回りました。

 以上の結果、売上高は1兆9,000億86百万円(前年同期比1.2%増加)、経常利益は284億42百万円(前年同期比9.0%増加)となりました。

 

② ブランド開発事業

 売上高は、新規取扱いブランドの寄与等により、増加いたしました。利益面につきましては、輸入商品の在庫を一部処分販売したために利益率が悪化し、前年同期を下回りました。

 以上の結果、売上高は329億16百万円(前年同期比1.6%増加)、経常利益は3億86百万円(前年同期比69.9%減少)となりました。

 

③ 物流事業

 売上高は、特定小売業との取引拡大等により、増加いたしました。利益面につきましては、売上高増加に伴う売上総利益の増加が販管費増を吸収し、前年同期を上回りました。

 以上の結果、売上高は1,432億2百万円(前年同期比3.6%増加)、経常利益は36億85百万円(前年同期比21.4%増加)となりました。

 

④ 機能開発事業

 売上高は、メーカーに対する原材料取引が好調であったこと等により、増加いたしました。利益面につきましては、海外の関連会社における一過性の損失等により、前年同期を下回りました。

 以上の結果、売上高は446億42百万円(前年同期比15.7%増加)、経常利益は22億90百万円(前年同期比11.0%減少)となりました。

 

  (2) 生産、受注及び販売の実績

① 仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

卸売事業

2,172,252

1.8

ブランド開発事業

26,902

△5.6

物流事業

475,543

6.7

機能開発事業

105,606

35.9

合計

2,780,304

3.5

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.仕入実績は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等における代理人としての取引についても、取扱高の金額で集計しております。

3.当連結会計年度の期首より、報告セグメントを従来の「加工食品事業」「低温食品事業」「酒類事業」「菓子事業」から、「卸売事業」「ブランド開発事業」「物流事業」「機能開発事業」に区分を変更しております。併せて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」に記載のとおり、当連結会計年度の期首より表示方法の変更を行っております。なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分及び表示方法により作成し、前年同期比を記載しております。

 

② 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業の部門ごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

卸売事業

2,308,087

1.4

ブランド開発事業

33,773

1.9

物流事業

491,405

7.2

機能開発事業

109,438

30.0

合計

2,942,704

3.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.販売実績は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等における代理人としての取引についても、取扱高の金額で集計しております。

3.当連結会計年度の期首より、報告セグメントを従来の「加工食品事業」「低温食品事業」「酒類事業」「菓子事業」から、「卸売事業」「ブランド開発事業」「物流事業」「機能開発事業」に区分を変更しております。併せて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」に記載のとおり、当連結会計年度の期首より表示方法の変更を行っております。なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分及び表示方法により作成し、前年同期比を記載しております。

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ローソン

845,439

29.6

882,715

30.0

 

  (3) 財政状態及びキャッシュ・フロー

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。

 当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行う必要があります。当社グループは、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の内、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」をご参照ください。

 

② 財政状態

イ.資産

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ190億97百万円減少し7,751億53百万円となりました。流動資産については、前連結会計年度末に比べ189億15百万円減少し6,233億95百万円(構成比80.4%)、固定資産については、前連結会計年度末に比べ1億82百万円減少し1,517億57百万円(構成比19.6%)となりました。

 流動資産の減少の主な要因は、売掛金が減少したことによるものであります。

ロ.負債

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ340億98百万円減少し5,562億82百万円(構成比71.8%)となりました。流動負債については、前連結会計年度末に比べ357億53百万円減少し5,241億13百万円(構成比67.6%)、固定負債については、前連結会計年度末に比べ16億54百万円増加し321億68百万円(構成比4.2%)となりました。

 流動負債の減少の主な要因は、買掛金が減少したことによるものであります。

ハ.純資産

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ150億円増加し2,188億70百万円(構成比28.2%)となりました。

 増加の主な要因は、利益剰余金が増加したことによるものであります。

 この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ334円54銭増加し5,027円18銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の25.7%から28.1%となりました。

 

 ③ キャッシュ・フロー

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

55,956

11,741

投資活動によるキャッシュ・フロー

△7,731

△12,380

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,305

△9,010

現金及び現金同等物に係る換算差額

0

4

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

40,919

△9,644

現金及び現金同等物の期末残高

112,445

102,800

 

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ96億44百万円減少し、当連結会計年度末には1,028億円となりました。

イ.営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、117億41百万円となりました。主たる要因は、税金等調整前当期純利益334億95百万円等によるものであります。

ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、123億80百万円となりました。主たる要因は、有形固定資産の取得による支出58億64百万円等によるものであります。

 

ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、90億10百万円となりました。主たる要因は、配当金の支払額74億1百万円等によるものであります。

 

  キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。

 

2022年度

2023年度

2024年度

自己資本比率(%)

25.8

25.7

28.1

時価ベースの自己資本比率(%)

20.0

30.7

27.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

33.6

13.6

65.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

166.9

387.4

82.2

(注) 自己資本比率           :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている営業キャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、現在、運転資金及び設備投資等の資金需要に対しましては、自己資金を充当することを基本としております。当連結会計年度末につきましては、三菱商事金融子会社との貸付運用等による短期貸付金を含めた手元資金(現金及び現金同等物)を1,028億円保有しておりますので、充分な流動性を確保していると考えております。

 また、健全な財務状況を維持することにより、将来当社グループの成長のために多額な資金需要が生じた場合には、外部からの資金調達は可能であると考えております。

 

5【重要な契約等】

 株式会社ベスト・ロジスティクス・パートナーズとの吸収分割契約

 当社は、2024年10月18日開催の取締役会において、2024年11月1日付で当社100%子会社となる株式会社ベスト・ロジスティクス・パートナーズを設立し、2025年4月1日に当社が営む物流事業を吸収分割により承継させることを決議いたしました。

 詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

 特に記載すべき事項はありません。