当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針及び経営戦略等
当社グループは、様々なお客様※とともに、サステナブルな未来を切拓いていきたいという想いの下、「パーパス(存在意義)」を「ともに、未来を切拓く」と定めております。
※お客様:メーカー、販売店、ユーザー、小売店、一般消費者と、投資家などを含む社会全体
また、2030年に向けて当社のありたい姿を示す「企業ビジョン」を「世界のものづくりと豊かなくらしをリードする」とし、2030年の顧客を取り巻く世界観を定義し、当社グループとして取組むべき重要課題を特定しております。「働きがいのある職場の実現」、「グリーンビジネスの拡大」、「デジタル化による顧客価値の最大化」、「持続可能な調達・供給の実現」、「透明性のあるガバナンス体制の確立」という5つの重要課題への取組みを通じて、企業ビジョン「世界のものづくりと豊かなくらしをリードする」を実現し、持続可能な社会と当社グループの企業価値向上につなげてまいります。
「働きがいのある職場の実現」を通じて人的資本を強化し、「グリーンビジネスの拡大」、「デジタル化による顧客価値の最大化」、「持続可能な調達・供給の実現」に取組み、将来にわたり安定的な収益源の強化と新たな収益源の獲得を追求し、中長期的な稼ぐ力(キャッシュ創出力)を増強してまいります。
また、これらの個々の取組みと、すべての取組みを支える「透明性のあるガバナンス体制の確立」及び財務・非財務情報の開示拡充と市場との対話強化を通じて、事業リスクの低減と情報の非対称性縮減を実現し、資本コストの低減を図ってまいります。
(2)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
米国の保護主義による関税や貿易政策は、世界経済や金融市場等に多大な影響を及ぼし、以前にも増して経済の不確実性が高まっています。製造業におけるサプライチェーンの再編や生産拠点の移転・分散によるリスク回避、さらに経済変動がもたらす所得変化による消費行動の変容など、様々な動きが顕在化してくると考えられます。
このような事業環境の中、当社の生産財関連事業では、技術専門性と世界的なグループネットワークを活かし、生産現場が抱える課題を解決するためのご提案に果敢に取り組んでまいります。また、消費財関連事業でも、物価高騰やエネルギー価格の高止まり等による住宅設備や生活用品の購買行動への影響が懸念されますが、快適な住環境の整備やライフスタイルの充実に向けた新たな商品やサービスの提案を加速させ、2030年企業ビジョンである「世界のものづくりと豊かなくらしをリードする」を実現してまいります。
(3)目標とする経営指標
新3ヵ年中期経営計画「PROACTIVE YAMAZEN 2027」においても、持続的な企業価値向上を実現するため、前中期経営計画同様、自己資本利益率(ROE)、基礎的営業キャッシュ・フロー※、自己資本比率を重要な経営指標と捉えております。
新3ヵ年中期経営計画「PROACTIVE YAMAZEN 2027」の2027年度(最終年度)の目標値は、自己資本利益率(ROE)8.0%、基礎的営業キャッシュ・フロー14,000百万円、自己資本比率40.0%~45.0%であります。
※基礎的営業キャッシュ・フロー:会計上の営業キャッシュ・フローから運転資本増減の影響を控除したキャッシュ・フロー
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
・サステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループは、持続可能な社会と山善グループの持続的成長を目指し、「サステナビリティに関する基本方針」を公表しております。
(サステナビリティに関する基本方針)
山善グループは、社会の一員として、また世界の様々な地域において事業活動を行っている企業として、広く社会から信頼され、期待され、支持される事業体を目指し、国際的な枠組みに基づくSDGsの達成に向けた取り組みを積極的に行うことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。自らの事業活動が、環境や社会において及ぼす影響を認識し、経営理念に基づいた事業活動を通じて社会的課題の解決に貢献し、持続可能な社会と山善グループの持続的成長の実現を目指します。
①人権
国際的に宣言されている人権の保護を支持し、尊重するとともに、自らが人権侵害に加担することはありません。
②労働
労使一体を基本とした誠実な対話と協議、あらゆる形態の強制労働の撤廃、児童労働の実効的な廃止、雇用と職業における差別の撤廃を支持します。
③環境
環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持し、環境に関するより大きな責任を率先して引き受け、環境にやさしい技術の開発と普及を奨励します。
④腐敗防止
強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組みます。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
・ガバナンス
当社は、2023年2月10日の取締役会決議に基づき、「サステナビリティ推進会議」を設置いたしました。サステナビリティ推進会議は、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長の実現を両立させるため、事業活動を通じたサステナビリティに関する重要課題への取組みを一層強化することを目的としており、当社グループのあらゆる重要課題に関するリスクと機会の評価、アクションプランの策定や各事業部の取組みの横断的な検証・承認や情報開示に関する事項等の審議を行い、定期的に取締役会に報告を行います。
サステナビリティ推進会議は、代表取締役社長を議長とし、会議メンバーは代表取締役及び執行役員により構成されます。また、サステナビリティ活動を推進するため、関連する他の委員会、事業部組織と連携し、必要に応じてワーキンググループ等を設置し、当社グループ全体で取組む体制を構築しております。
当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要については、「
・リスク管理
各事業部・グループ会社、各種委員会等で管理可能なリスク・機会については、各組織において特定し、事業戦略への展開を行います。投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある重要な経営上のリスク・機会の評価については、サステナビリティ推進会議で審議され、重要課題に関する取組みを推進するとともに、対応方針の立案とグループ全体への展開を行います。
(2)重要なサステナビリティ項目
① 人的資本
・戦略
(人財の多様性の確保及び人財育成に関する基本方針)
当社グループは、「人づくりの経営」を経営理念として掲げ、人財を最も重要な経営資源として捉えております。この「人づくりの経営」を具現化するために、2022年4月に人事理念として「挑戦し、考動する人財の育成」を制定いたしました。また、人財マネジメントポリシーである「挑戦・考動主義」を基に、持続的成長と企業価値向上を実現するための人財マネジメント戦略を立案・実行することで、有能な人財を確保し育成する施策を実施し、人的資本の強化を図っております。
パーパス及び中期経営計画における経営戦略と強く連動した組織・人財戦略として、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)への取組みと、自主的かつ自律的に挑戦・考動する人財育成・組織開発の推進を掲げ、迅速かつ的確に変化に対応する事業活動を通じて、広く社会の持続的な発展に寄与してまいります。
この為、多種多様な知と経験を有する人財の能力開発と積極的な登用と活躍機会の提供により、継続的に新たな付加価値を創出することを重視しております。
(社内環境整備に関する方針)
人事理念に基づく人財開発フレームワークである『人づくり体系(能力開発・教育研修体系)』を制定し、個別の制度や能力開発・教育研修を企画・運用し、自主自律による挑戦・考動の現場実践を促す為の人財育成と組織開発を強力に推し進めてまいります。
また、外部環境変化への対応や事業戦略を遂行するうえで必要となる人財を積極的に中途採用するとともに、分厚い中間層の確保に向けた女性採用と登用及び能力開発並びに教育研修をより一層推し進める方針です。
さらに、当社は、自主的かつ自律的に挑戦・考動する人財が能力を発揮するためには、心身ともに健康であることが重要であると認識しており「山善健康経営宣言」を公表しております。社内で具体的に心身の健康向上に資する取組みを推進することにより、社員一人ひとりのパフォーマンス向上を通じて生産性を向上し、企業価値の増大に努めております。
(山善健康宣言)
山善は人財が最大の財産です。経営理念の一番初めに「人づくりの経営」を掲げ、「人を活かし 自業員※を育成する」ことを理念としています。その理念のもと、社員一人ひとりが活き活きと働き、「働きがいのある職場の実現」を目指すために、社員の健康増進が社員とその家族の幸せにとって大切なものであると認識し、重要な経営課題として取組みます。
※自業員=創業者による造語で、従う従業員ではなく、社員自らが考え行動する「自業員」を求めています。
・指標及び目標
(女性活躍の推進)
当社は、①中核人財(管理職)予備軍の女性比率の低さ、②女性の平均勤続年数の短さ、を課題として認識し、当該課題の解決のため女性活躍推進への取組みを強化してまいりました。
なお、人的資本に係る具体的な指標及び目標については、全ての連結子会社では設定が困難なため、当社グループにおける主要な事業を営む当社の指標及び目標を記載しております。
|
目標 (2022年4月1日~ |
取組み内容 |
77期 |
78期 |
79期 |
|
|
・中核を担う社員層の強化のため、採用計画の段階において、新卒・中途採用での女性割合を積極的に増やす。 ・選考中の女性社員へのアプローチを強化し、個別のコミュニケーションの機会を設けるなど、自社に対する理解を深め採用内定に繋げる。 ・応募者の母数を増やすために、Webサイト(山善BASE CAMP)やSNSを通じて女性社員の登場回数を増やすことで、当社で働くイメージを持ってもらい、入社後のギャップ解消及び職場定着を図る。
|
32.4% |
29.2% |
|
|
(2022年3月末時点:5.3年) |
・人事制度を改定し、一般社員層の社員区分である総合職と一般職を統廃合する。等級・評価テーブルを一本化することにより、活躍の場の拡大や、より公正公平な評価処遇を行い、様々なキャリアパスを実現する。 ・制度変更に伴うキャリア設計を支援するため、個々人がライフイベントを考慮しながら、いかにキャリアパスを実現するのかを考える機会の提供として、キャリアセミナーや上司とのキャリア面談を実施する。 ・社員のWell-Beingの向上を目指した取組みの一環として、福利厚生プログラムを拡充し、社員とその家族の幸せや心身の健康、ワークライフバランスの実現をサポートする。また、人事制度の側面からも、時間単位の年次有給休暇制度を導入し、有給休暇の取得率向上やフレキシブルな働き方を支援する。 |
7.5%改善 (2023年3月31日時点:4.9年) |
22.6%改善 (2024年3月31日時点:4.1年) |
35.8%改善
(2025年3月31日時点: |
また、当社は、経営理念である「人づくりの経営(人を活かし 自業員を育成する)」のもと、「DE&I」の取組みを経営戦略として強力に推し進め、多種多様な知と経験を有する人財の能力開発と積極的な登用および活躍機会の提供により、性別を問わず、あらゆる人が、その能力を最大限に発揮し活き活きと活躍できる職場環境を目指し、①女性の職務領域拡大のため新職務への配置転換を行う(100名・3年間)、②活躍環境の整備のため、月平均残業時間を年10%以上改善する、という新たな目標を掲げております。
なお、人的資本に係る具体的な指標及び目標については、全ての連結子会社では設定が困難なため、当社グループにおける主要な事業を営む当社の指標及び目標を記載しております。
|
目標 (2025年4月1日~ 2028年3月31日) |
取組み内容 |
|
女性の職務領域拡大のため新職務への配置転換を行う (100名・3年間) |
・職務領域拡大のための課題抽出と対策を検討、取組み状況のモニタリングおよびボードメンバーへの報告体制を整える。 ・タレントマネジメントによる女性管理職候補層の可視化とプール、および計画的育成と登用を行う。 ・DE&I項目のサーベイスコアについて改善状況をモニタリングする。 |
|
活躍環境の整備のため、月平均残業時間を年10%以上改善する |
・トップ発信のもと、各職場での業務削減の取組みを実施する。 ・効果的な取組みを全社で共有する。 ・フレックスタイム制度の利用率を向上させ、効率的な働き方の実現に向けた社員の意識改革を推進する。 |
② 気候変動
気候変動リスクへの取組みとして、地球環境問題を経営上の重要課題の一つとして位置づけ、2022年度にTCFD(気候変動関連財務情報タスクフォース)への賛同を表明いたしました。
当社は、「環境方針」及び「サステナビリティに関する基本方針」の通り、自社の事業活動が、環境や社会において及ぼす影響を認識し、経営理念に基づいた事業活動を通じて社会的課題の解決に貢献し、持続可能な社会と山善グループの持続的成長を目指しております。
また、脱炭素ビジネスに取組む専門部署として、グリーンリカバリー・ビジネス部(以下、GRB部)を営業本部内に設置し、全事業部を含めた全社的なカーボンニュートラル推進活動を統率しております。
さらに、当社として取組むべき重要課題の一つとして「グリーンビジネスの拡大」を掲げ、環境優良商品の開発・提供、温室効果ガス削減支援事業を通じてサプライチェーン全体の温室効果ガス削減への貢献を目指しております。
・ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれております。詳細につきましては、「
なお、実務的な運営は環境委員会が行い、各部署から選出された委員とともに方針内容の協議や課題の抽出を行っております。
環境委員会の事務局を経営管理本部のサステナビリティ推進室が担い、営業本部ではGRB部が推進役を務めており、各事業部への具体的な指示や進捗の報告を受けると共に、その方向性と活動について、年1回、取締役会がモニタリングを行う体制を構築しております。
・リスク管理
気候変動リスクとして、自然災害による物理的リスクを認識することはもとより、温室効果ガス排出規制等の法規制の強化やサプライチェーンにおける規制等による販売機会の損失や、当社グループが地球環境の変化に関わる十分な配慮を怠ることで社会課題への取組みが不十分であるとみなされたことによる社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるものと認識しております。一方で、幅広い商品を取り扱い、環境問題の解決に貢献するビジネスを長期にわたり継続してきた当社グループにおいて、大きな収益の機会になるものと認識しております。
サステナビリティ推進会議及び環境委員会において、環境に関する取組みの進捗状況を確認し、討議を行います。万一、重大なリスクの発生により緊急対策の必要が生じた場合は、経営リスクマネジメント規程の定めるところにより、代表取締役が委員長を務める危機管理委員会にて対策を講じてまいります。
・戦略
移行リスクについてはIEAシナリオ、物理リスクについてはIPCCのRCPシナリオを中心に照らし合わせ、気候変動に伴う当社の事業のリスクと機会を分析しております。なお、これらのリスクと機会の財務的なインパクトについては現在集計中であります。
(リスク認識)
※短期・・・1~3年、中期・・・3~10年、長期・・・10~30年
(機会認識)
※短期・・・1~3年、中期・・・3~10年、長期・・・10~30年
※BCP.ERS(ビーシーパース):“ソフト面(計画書、規程、手順書等)”と“ハード面(施設、設備機器等)”両方の側面からお客様の事業継続能力を診断し、その結果に基づいたBCP策定コンサルティングからBCP対策(設備機器、備蓄品など)の導入までワンストップでサポートするサービス。
当社グループでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同するとともに、環境関連ビジネス「グリーンボールプロジェクト※」の参加企業にCO2排出削減貢献量の可視化を実現するサービス「GBP App」を提供するなど、持続可能な社会の実現を目指し、地球環境とエネルギーの未来に貢献することを目的とした取組みを、今後より一層積極的に行ってまいります。
※「グリーンボールプロジェクト」:当社グループが取り扱う省エネ機器と環境優良商品の普及を促進することで、持続可能な社会の実現を目指し、地球環境とエネルギーの未来に貢献することを目的とする参加型プロジェクト。
・指標及び目標
当社グループでは、2020年度を基準年として、温室効果ガス総排出量を2030年度に2020年度比50%削減、2050年度には実質カーボンニュートラルを目指してまいります。当社グループのScope1は、営業車両等のガソリン消費が大半を占めており、従来のハイブリッド車に加え、順次EV車の導入も進めてまいります。また、Scope2については、事務所、物流施設等の電力消費が大半を占めており、再生エネルギー電気への切り替えや、省エネ対応の空調機器・電灯機器を導入し、中長期的な温室効果ガスの大幅削減を目指してまいります。
当社グループは、特定した重要課題に取り組むうえで、様々なリスクの存在を認識しております。これらのリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクを以下に記載しております。当社グループは、必要なリスク管理体制を整備し、継続的にリスクの見直しを行い、これらのリスクに対して適切な対応方針が策定・実行されているかを取締役会等において評価しており、リスク発生の回避及び顕在化した場合の適切な対応に努めております。
なお、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境等に関するリスク
①景気変動
当社グループは、コア事業として「生産財関連事業」と「消費財関連事業」を展開しておりますが、各事業領域においては、企業の設備投資マインドや個人消費の動向により大きく需要が変動し、景気の変動の影響を受けやすい事業となります。当社グループは、この2つの異なる領域において事業展開することにより、外部環境の変化に強いビジネスモデルを構築するとともに、お客様の多様なニーズに応える専門性の追求、海外展開の加速、新市場の開拓を進めるなど、景気変動への耐性を強化しております。しかしながら、米国政府の関税措置が特に生産財関連事業に与える影響が考えられ、その政策動向を注視する必要があります。グローバルな設備関連需要や国内個人消費の下降局面では収益性の低下や在庫の評価損等により、当社グループの業績が下振れする可能性があります。
②カントリーリスク
当社グループは、海外の企業と輸出入取引を行い、また、米国、中国、東南アジア諸国等に拠点を配置し、当該国及びその周辺地域における事業拡大の加速を図っており、2025年3月期の海外売上高は85,804百万円となっております。先行き不透明なロシア、ウクライナ情勢においては、当社グループは当該地域に事業拠点を有さず、直接的な影響は現時点では僅少でありますが、サプライチェーンに及ぼされる影響が仕入コスト及び物流コストの高騰につながるリスクがあります。その他の国や地域においても、インフレ、政情不安、紛争等によって商品供給が遅延するリスクや事業活動の遂行を中断せざるを得ないリスクがあります。当社グループは、カントリーリスク情報の入手等により、リスクの管理・回避に努めておりますが、このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③為替変動
当社グループは、外貨建てによる輸出入取引を行っております。外貨建て輸出入取引に対しては為替予約等によるヘッジを行い為替の変動リスクを最小限にとどめる努力をしておりますが、想定を超える大幅な為替変動が進行した場合には、多額の為替差損益の発生や当社取り扱い商品の買い控えによる売上の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは海外に現地法人を有しており、外貨建ての財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、これらを日本円に換算する際の為替レート変動に伴う換算リスクがあります。
④経営計画に関するリスク
当社グループは、新中期経営計画「PROACTIVE YAMAZEN 2027」において、持続的な企業価値向上を実現するために自己資本利益率(ROE)、基礎的営業キャッシュ・フロー、自己資本比率を重要な経営指標と捉えて事業戦略を推進、遂行しております。しかしながら、景気変動、カントリーリスク、為替変動を含む様々なリスクが生じることで、それらの取組みが計画どおりに進捗せず、掲げた経営指標等について、当初計画した期間内に達成できない可能性があります。
(2)事業運営に関するリスク
①新たなビジネスモデルへの対応
当社グループは、新中期経営計画「PROACTIVE YAMAZEN 2027」において、企業価値向上に向けて特定した重要課題への取組みを通じた、新たな収益源の獲得、持続的成長に向けた積極的な事業投資を行ってまいります。
しかしながら、事業投資により期待した効果を得る事ができない場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②人財確保と育成
当社グループは、「人づくりの経営」を経営理念として掲げ、人財を最も重要な経営資源として捉えております。
しかしながら、少子高齢化や労働人口の減少等により有能な人財獲得が困難になった場合、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「挑戦・考動主義※」を基に持続的成長と企業価値向上を実現する為の人財マネジメント戦略を立案・実行することで、有能な人財を確保し育成する施策を実施しています。また、女性活躍をはじめとしたダイバーシティの推進も行っていくことで、人的資本の強化を今後も図ってまいります。
※「挑戦・考動主義」:人事理念を実現する為の、人財マネジメントポリシーであり、挑戦は「高い目標や困難な課題に果敢に取り組むこと」、考動は「自ら考えて動く。動きながら考える。経験から学ぶ」と各定義しています。
③与信
当社グループは、多様な営業活動を通して国内外の取引先に対して信用供与を行っており、与信リスクを有しております。そのため、当社グループは、社内管理規程に基づく与信管理を行い、リスクの低減に努めておりますが、予想外の事情等により取引先の債務不履行等が発生した場合や景気悪化による企業倒産が増加した場合には、貸倒損失等の計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2025年3月末時点の営業債権残高は106,210百万円となっております。
④製造物賠償責任等
当社グループは、多くのプライベートブランド商品を開発・販売しており、総取扱高に占める割合は年々高まっております。当社グループは、品質管理規程を制定するとともに、危機管理委員会の配下に品質管理・PL分科会を設置し、品質管理を徹底し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物責任賠償について必要な保険に加入し、重大製品事故の発生等の緊急時の体制として、前述の危機管理委員会を設置しております。しかしながら、大規模なリコールや製造物責任賠償が発生した場合、多額の解決費用の発生や企業ブランド価値の毀損による収益の低下により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報システム及び情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業全般においてコンピューターシステム及びITネットワークを活用し情報資産の管理を行うとともに業務の効率化を図っております。「ITガバナンス管理規程」や「情報セキュリティ基本方針」等を定め、情報システムの計画・開発・運用を適切に管理するとともに、情報セキュリティの強化、バックアップ体制の構築、機器の高性能化等、システムトラブル対策を講じ、定期的に社員教育を実施しております。
しかしながら、外部からの不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による個人情報・企業情報の漏洩・改竄・消滅、また、人為的過誤や自然災害、事故等によりシステムが不稼働状態となり、その復旧に時間を要した場合、システム連携業務の停止による機会損失や社会的信用の失墜につながり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他
①コンプライアンス
当社グループは、国内外において、会社法、金融商品取引法、税法や外為法等の安全保障貿易管理をはじめとする貿易関連諸法等の法規制や政府の許認可など様々な公的規制の適用を受けて事業を行っており、これらの公的規制に違反した場合や人権侵害等のコンプライアンス違反が発生した場合は、監督官庁による処分、訴訟の提起、さらには事業活動の停止に至るリスクや企業ブランド価値の毀損、社会的信用の失墜等のリスクがあります。
当社グループでは、内部統制とコンプライアンスを経営上の重要課題と位置付け、「内部統制委員会」及び「コンプライアンス委員会」を設置し、法令順守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、順守すべき倫理規範等を「山善グループ企業行動憲章」として制定し、当社グループにおける行動指針の順守並びに法令違反等予防に努めております。
また、広く社会から信頼され、期待され、支持される事業体を目指し「サステナビリティ基本方針」を定め、国際的な枠組みに基づき、人権を尊重した事業活動を推進しております。
しかしながら、グローバルに事業を展開する中で、国内外において、公的規制の新設・強化や想定外の適用、解釈の誤り等により、結果として当社グループが公的規制に抵触することになった場合や人権侵害等の事案が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②株価変動
当社グループの保有している投資有価証券は取引先などの株式が中心で、その多くが上場株式となります。このため、市場価格の変動に基づく株価の変動リスクがあります。定期的に投資目的やその効果に関する検証を行い、かかるリスクと保有のメリットを比較衡量しており、その結果、すべての保有株式について保有の妥当性があることを確認しています。なお、今後の状況変化に応じて、取引先との取引関係に与える影響を慎重に見極めながら縮減に努めてまいりますが、株価動向によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、株式市場の低迷によって当社グループの年金資産の価値に毀損が生じた場合には、年金資産の期待収益率と年金資産の運用利回りとの間に乖離が生じ、退職給付費用及び債務の計上を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③固定資産の減損
当社グループは、今後も中長期的な企業競争力の強化に向け、事業用の不動産、リース資産やソフトウェア等の固定資産投資を継続していく方針であり、新中期経営計画「PROACTIVE YAMAZEN 2027」においても、戦略的な投資を実施して参りますが、経済環境の動向や保有固定資産の経済価値の低下により必要な減損処理を実施することとなった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④自然災害・疫病等
当社グループは、自然災害・疫病等による事業活動への影響を最小限にとどめるため、事業継続計画(BCP)の策定等の対応を進めるとともに、自社グループのみならずサプライチェーン全体でBCP導入を支援するべく、中小企業を対象とした導入支援を展開しております。しかしながら、当社グループの各事業所及び社員の活動は広範囲に及んでおり、地震、津波や洪水等の大規模自然災害や感染症や伝染病のパンデミックが発生した場合には、その被害を完全に回避できるものではありません。また、仕入先メーカーの製造中断、輸送ルート分断、情報通信インフラの損壊・途絶などサプライチェーンが分断された際には、お客様への商品の納入が遅延する可能性があります。このような想定を超える自然災害・疫病等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現在策定している事業継続計画を更に充実させたサプライチェーンリスクマネジメントの構築や海外事業における危機管理に対応した取組みを積極的に推進してまいります。
⑤気候変動リスク
当社グループは、従来より地球環境問題を経営上の重要課題と位置付け、あらゆる活動を通じて環境に配慮し、地球環境の保全と継続的改善に努めることを基本理念として事業活動を行っています。
気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進展しており、前述した自然災害による物理的リスクを認識することはもとより、温室効果ガス排出規制等の法規制の強化やサプライチェーンにおける規制等による販売機会の損失や、当社が地球環境の変化に関わる十分な配慮を怠ることで社会課題への取組みが不十分であるとみなされたことによる社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動リスクに関する詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ②気候変動」に記載の通りであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況
当社グループの主な事業領域は、生産財と消費財であり、「設備投資」と「個人消費」の動向が業績に影響を及ぼします。
当社グループを取り巻く事業環境として、国内においては、一部自動車メーカーの生産停止の影響により、関連製造業の新規設備投資の抑制がみられました。また、半導体産業ではAI・パワー半導体への投資が期待されましたが、設備投資は踊り場の状態が続き、全体として厳しい状況となりました。一方で、人手不足対策として自動化・省人化へのニーズは様々な産業で高まりを見せました。海外においては、北米では、金利の高止まりによる企業の資金調達環境の厳しさは継続し、関税政策による影響の不透明感から設備投資を控える動きもあり、製造業全般における景況感は弱含みで推移しました。中国では、輸出型産業向けの受注回復の兆しが見られず、不動産市場の低調等を背景とした国内経済の停滞も継続しています。ASEANでは、半導体産業が回復基調となり、また海外からの生産移管や生産拠点の移転に伴う設備投資需要が活発化する等の動きがありました。
国内の個人消費については、所得環境の改善がありましたが、一方で原材料や電気・ガス価格の高騰及び円安基調の継続等による様々な分野の商品やサービスの値上げに賃金の上昇が追い付かず、耐久消費財に対する節約志向や商品の選別傾向が継続しました。
また、住宅産業においては、新設住宅着工戸数が持家を中心にダウントレンドでありますが、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は516,126百万円(前期比1.8%増)となりました。利益面につきましては、営業利益は9,535百万円(同、3.6%減)、経常利益は10,018百万円(同、4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,845百万円(同、20.9%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
[生産財関連事業]
国内生産財事業では、自動車産業においては新たな投資への活発な動きが依然として見られず、半導体産業でも生成AI関連等、一部活況を呈した分野はありましたが市場全体の需要回復には至らず、自動車産業向け部品加工メーカー及び半導体装置部品メーカー向けの工作機械の売上は厳しい結果となりました。切削工具等の消耗品に関しては、一部自動車メーカーの生産停止等の影響を受けたものの、生産現場で使用される様々な作業用品や測定・分析機器等の販売が好調でした。また、人手不足が社会課題となる中、生産自動化需要によるメカトロ機器や工場内の物流保管の自動化需要によるマテハン設備が好調に推移し、さらに省エネ機器や労働環境改善に対応する環境改善機器等の売上も好調に推移しました。営業活動としては、機械の販売においては生産現場の生産性向上に寄与する高付加価値設備の提案等に積極的に取り組み、切削工具等の販売においては、自社ECサイトを開設した他、技術営業担当者による加工改善や治具等の提案強化に努めました。このほか、脱炭素や労働負荷軽減・労働環境改善をテーマにした商談会を各地で積極的に開催し、製造現場の課題解決、需要喚起に努めました。また、機械・金属関連製造業のみならず、三品(食品・医薬品・化粧品)産業や物流・倉庫業等のユーザーを対象に、展示会等を通じて協働ロボットを活用した自動化ライン等のソリューション提案を精力的に行い、顧客接点を増やす様々な取組みを行いました。さらに、「地域経済活性化のためのリアルプラットフォーム」として当社が企画する大型展示商談会を各地で開催することで、受注を獲得するとともに顧客との関係性をより深めました。
海外生産財事業は、北米支社では、設備投資意欲低迷の影響を受けたものの、医療・航空・宇宙産業向け高付加価値設備の売上が堅調に推移し、前年を上回る実績となりました。台湾支社では、主要産業である電子・半導体産業等の需要が回復基調にあり、当期の売上は前年を上回りました。中国支社では、内需型産業向けの売上が増加したものの、輸出型産業向けの売上が引き続き低調であり、前年と同水準となりました。アセアン支社では、他地域からの生産移管や生産拠点の移設への対応を行うなど、新たな設備需要を取り込み、また半導体業界等の設備投資の動きもあり、前年を上回る結果となりました。(注)
その結果、生産財関連事業の売上高は333,205百万円(前期比1.4%増)となりました。
(注)営業地域及び顧客属性ごとに事業を区分したビジネスユニットを支社と称しております。
[消費財関連事業]
〔住建事業〕
住建事業は、省エネ改修需要や猛暑の影響により空調設備の売上が好調に推移し、さらに光熱費高騰による消費者の節約志向に対応した高付加価値商材の提案に注力した結果、給湯器等の販売も堅調に推移しました。また、非住宅分野の開拓にも積極的に取り組み、中小企業のカーボンニュートラル対応及び光熱費削減へのニーズに向け、環境商材と施工をセットにした設備改修提案を強化したこと等により、販売が好調に推移しました。
その結果、住建事業の売上高は78,623百万円(前期比9.4%増)となりました。
〔家庭機器事業〕
家庭機器事業は、原材料や電気・ガス価格の高騰、円安基調の継続等に伴う商品やサービスの価格上昇等による消費者の購買意欲の落ち込みが売上高に影響しました。一方、プライベートブランド商品では消費者ニーズを捉えたスピーディーな企画・開発とラインアップの強化に取り組み、SNSや各種メディアを活用した情報発信によってYAMAZENブランドの浸透を図った結果、調理家電、AV家電、インテリア商品等の販売は堅調に推移しました。また、販売チャネルの拡大を狙った法人・個人事業主向け自社ECサイト「山善ビズコム」においても、売上高・会員数が順調に伸長しました。
その結果、家庭機器事業の売上高は100,883百万円(前期比0.2%減)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産財、住設建材及び家庭機器製品の販売を主たる事業としておりますので、生産実績については、記載を省略しております。
また、受注実績については、特定分野の受注実績の把握にとどまるため、記載を省略しております。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
||||
|
|
生産財関連事業 |
333,205 |
|
101.4 |
|
|
|
|
住建事業 |
78,623 |
|
109.4 |
|
|
|
家庭機器事業 |
100,883 |
|
99.8 |
|
||
|
消費財関連事業 |
179,506 |
|
103.8 |
|
||
|
報告セグメント計 |
512,711 |
|
102.2 |
|
||
|
|
その他 (注)2 |
3,414 |
|
65.1 |
|
|
|
報告セグメント以外計 |
3,414 |
|
65.1 |
|
||
|
合計 |
516,126 |
|
101.8 |
|
||
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.事業セグメントに識別されないサービス事業であります。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における経営成績は、生産財関連事業は、自動化・省人化に関連する設備機器の販売は好調に推移しましたが、自動車産業や半導体産業において設備投資が振るわず、全体として厳しい状況となりました。消費財関連事業においては、原材料・エネルギー価格の高騰や円安の影響による商品やサービスの値上げにより、生活用品の個人消費は落ち込みを見せましたが、住宅設備機器については、空調設備や省エネ改修需要や関連する高付加価値商品の販売が好調でした。
上記の結果、売上高は516,126百万円(前期比1.8%増)となりました。なお、セグメント別の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益は、売上高の増加に伴い前連結会計年度から2,572百万円増加し、76,969百万円(前期比3.5%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費や物流関連費用の増加により、前連結会計年度より2,923百万円増加し、67,433百万円(前期比4.5%増)となりました。
上記の結果、営業利益は、前連結会計年度から351百万円減少し、9,535百万円(前期比3.6%減)となりました。また、売上高営業利益率は、1.8%となりました。
営業外損益(純額)は、受取利息・配当金等の計上により、482百万円となりました。
経常利益は、前連結会計年度より416百万円減少し、10,018百万円(前期比4.0%減)となりました。また、売上高経常利益率は、1.9%となりました。
特別損益(純額)は、投資有価証券売却益等を計上した結果、2,237百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から1,878百万円増加し、12,256百万円(前期比18.1%増)となり、法人税等合計額4,165百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益246百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から1,356百万円増加し、7,845百万円(前期比20.9%増)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,707百万円減少し、292,265百万円となりました。これは、現金及び預金の減少(15,391百万円)、売上債権(受取手形、売掛金、電子記録債権)の減少(1,569百万円)、商品及び製品の増加(2,455百万円)、外貨建有価証券の取得や政策保有株式の縮減等による有価証券・投資有価証券の増加(6,243百万円)、未収消費税等の増加によるその他流動資産の増加(1,764百万円)が主な要因であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,975百万円増加し、164,332百万円となりました。これは、仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少(657百万円)や契約負債の増加(2,521百万円)が主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ4,683百万円減少し、127,933百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加(3,461百万円)、取締役会決議に基づく自己株式の取得等による自己株式の増加(4,995百万円)、保有株式の売却や株価の下落によるその他有価証券評価差額金の減少(3,528百万円)が主な要因であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の44.6%から43.3%と1.3ポイント低下いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
11,156 |
8,361 |
△2,794 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△927 |
△11,106 |
△10,179 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△4,765 |
△10,727 |
△5,961 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,885 |
△163 |
△2,049 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
7,348 |
△13,635 |
△20,984 |
|
現金及び現金同等物期首残高 |
81,128 |
88,477 |
7,348 |
|
現金及び現金同等物期末残高 |
88,477 |
74,841 |
△13,635 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ13,635百万円減少し、74,841百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、償却前営業利益の計上、棚卸資産増加による運転資本の増加や法人税等の支払いにより、8,361百万円の収入(前年同期は11,156百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得や政策保有株式の売却、基幹システム・物流関連の有形及び無形固定資産の取得支出等により、11,106百万円の支出(前年同期は927百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払い等により、10,727百万円の支出(前年同期は4,765百万円の支出)となりました。
④目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、当期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画「CROSSING YAMAZEN 2024」においては、持続的な企業価値向上を実現するため、自己資本利益率(ROE)、基礎的営業キャッシュ・フロー※、自己資本比率を重要な経営指標と捉えております。
※基礎的営業キャッシュ・フロー:会計上の営業キャッシュ・フローから運転資本増減の影響を控除したキャッシュ・フロー
|
経営指標 |
79期(目標) (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
79期(実績) (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
自己資本利益率(ROE) |
5.8% |
6.1% |
|
基礎的営業キャッシュ・フロー |
12,000百万円 |
8,341百万円 |
|
自己資本比率 |
40%~45% |
43.3% |
なお、当社は2024年5月14日開催の取締役会において、2022年5月19日に公表いたしました中期経営計画「CROSSING YAMAZEN 2024」の最終年度となる79期(2025年3月期)の数値目標を修正することを決議しております。上記の79期(目標)につきましては、修正後の数値を記載しております。
⑤資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)資金需要について
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及び事業の維持・拡大のための設備投資資金、そして配当金の支払等であります。これらの資金需要に対しては、主に自己資金(手元資金及び営業活動により獲得した資金)を充当しております。また、既存事業とのシナジー効果が期待できるM&Aを含め、今後においても当社グループの持続的成長につながる投資を積極的に行ってまいります。所要資金については、主に自己資金を充当する予定でありますが、投資規模、投資件数、資金調達に関する諸条件等を総合的に検討し、金融機関からの借入等により調達した資金を一部充当する可能性もございます。
ⅱ)資金の流動性について
当社グループは、取引先からの信頼を維持・獲得するために財務の健全性をより強化し、また、事業遂行に伴う支払債務を履行するのに十分な流動性を確保することの重要性を認識しております。連結ベースの流動比率は、運転資本の最適化により、前連結会計年度末は172.3%、当連結会計年度末は159.6%と相応の水準を維持しており、十分な流動性と健全性を確保しているものと判断しております。
当社は、短期資金に関しては、複数の金融機関と当座貸越契約を締結しており、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備えるため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性補完を確保しております。さらに、格付投資情報センター(R&I)及び日本格付研究所(JCR)の2社から発行体格付けを継続的に取得し、本報告書提出時点における、両者により付与された発行体格付は、R&I:A-、JCR:Aとなっており、中長期資金に関しても、多様な調達手段の選択が可能な環境を確保できているものと判断しております。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。