第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、東京都中央卸売市場に拠点を置く水産物卸売事業を中核として、全国各地や海外から生鮮・冷凍・塩干加工等の各水産物を集荷し販売するとともに冷蔵倉庫事業、不動産賃貸事業、荷役事業を営むグループを形成しております。

 経営の基本理念として、堅実と信用を旨とし、株主、取引先、従業員そして地域社会に信頼されかつ貢献していくことを心掛けております。

 水産物卸売事業におきましては、水産物の生産・加工両面での世界各地における状況や消費ニーズの変化を背景に、常に新しい商品や商材の開発を心掛け、豊富な品揃えに注力し、安全安心な商品の供給を担う卸売会社として責任を果たしてまいります。

 冷蔵倉庫事業におきましては、首都圏における物流基幹各地に9施設を配置し、各種冷凍・冷蔵品の保管配送の拠点として食品物流の効率化に努めます。

 不動産賃貸事業は保有する資産の有効活用を図りグループ企業の財務の健全化の一翼を担い、荷役事業は水産物卸売事業の市場内外での円滑かつ効率的な物流を担ってまいります。

 

(2)経営戦略等

 国内外における生産需給事情の変化に即応しつつ取引先との連携を深め、広汎な情報収集と新商品開発への前向きな取組みによって集荷販売力を強化するとともに、信用力の根幹である財務体質とコンプライアンス体制の強化に努めてまいります。

 また、グループ各社がもつそれぞれの機能を融合し相互に協働する仕組みを構築して、市場内外における水産物流通機能を強固なものとし、激しさ増す競争に勝ち残り続ける企業となることを目指します。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは経営方針に沿った持続的成長を目指しており連結ベースでの売上高、営業利益、経常利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率といった経営指標を掲げております。

 

(4)経営環境

 インバウンド消費の拡大、アメリカの通商政策、ウクライナ情勢及び為替の状況は、当社グループが取り扱う水産物をはじめとする食品全般の販売環境に影響を与えるものと思われます。

 水産物卸売事業におきましては、天然水産物の漁獲量の減少、国際的な水産物の需要の高まりによる買付競争の激化、卸売市場外における水産物流通の多様化など、水産物卸売市場を取り巻く環境が大きく変化してきており、柔軟な対応が必要と思われます。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

水産物卸売事業におきましては、インバウンド消費の拡大など新たな環境によるサービス分野での回復が期待できる一方、労働力不足による人件費などの様々なコストの上昇、アメリカの関税政策による景気動向など先行きは不透明な状況にあります。天然水産物の漁獲量の減少や気候変動による漁場の変化、また、卸売市場外における水産物流通の多様化などもあり、水産物卸売市場を取り巻く環境も大きく変化してきております。

こうした状況のもと、高機能化された豊洲市場を活用しながら、当社グループ会社が持つ、冷蔵保管、リテールサポート、荷役、加工の各機能を最大限に活かし、サプライチェーンの拡充に努め、更なる水産物の集荷販売や商品開発に注力してまいります。

冷蔵倉庫事業におきましては、保管スペースが逼迫した状況が続いており、取扱量の増加が見込めない中、荷役作業の効率化や省エネ型冷凍機への交換、太陽光発電の活用など経費の削減に努め、倉庫業務の省人化や自動化に向けた検証実験も積極的に進め、首都圏で約218,000トンとなる冷凍・冷蔵保管スペースをより効率的に活用してまいります。

不動産賃貸事業におきましては、賃貸物件のリノベーションにより価値を高め、賃貸収入の増加を進めてまいります。

荷役事業におきましては、荷役事業、ロジスティック事業の新規顧客開拓による売上拡大をすすめ、合理的な人員配置と経費の削減に取り組んでまいります。

当社グループでは、業務の効率化を目指してコスト削減などの経営改善に取り組む所存です。また、指名・報酬委員会による役員人事・報酬の透明化を行い、今後もガバナンス強化に努めてまいります。

 当社は、卸売市場における公共的使命を担う企業として食の安全・安心の重要性を従来にも増して強く認識し、消費者が安心して食することのできる安全な商品の取り扱いに最大限の努力をしてまいる所存です。また、デジタル化推進によって、情報連携の迅速化と品質管理の強化を図り、豊富な品揃えと産地情報を活用した集荷力、販売力の向上とともに、グループ各社とのシステム連携による業務効率の向上も目指してまいります。

 当社グループでは、グループ全体の効率的な会社運営を目指すとともに、引き続きコスト削減などの経営改善に取り組んでまいります。また、関連会社を管理する規程を改定し、当社グループのガバナンス強化及びグループ経営の見直しを図っている状況です。そして、コンプライアンスの向上、社会規範の順守、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、グループ会社を横断した人的資源の相互活用や人材教育の充実にも意を用い、取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、海洋生態系の変化等による天然水産物資源の減少や、水産物資源のトレーサビリティの強化に向けた取組を取締役会、経営会議に報告、議論を重ねております。今後さらに取締役会などでも議論を重ね、中期経営計画等に盛り込み、開示をしてまいります。

 また、人的資本や多様性への取り組みの一環として、女性活躍推進計画や人事制度、育児介護休業の規程改定に加え、定年再雇用制度の拡充についても取締役会にて議論の上、決議しております。今後、取締役会でこれらの諸制度の取組の定期的なモニタリングを行ってまいります。

 

(2)戦略

 当社グループは、水産物資源の維持に努めるべく、IUU(Illegal, Unreported and Unregulated)漁業の撲滅のため、トレーサビリティに有効なシステム開発を進めており、また、サプライチェーンの各機能を各グループ会社が担うことで、減少する水産物資源の有効活用のために付加価値を付けるなどの取組を実施しております。

 また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針につきましては、人材の多様性の確保の面では、育児や介護などでキャリアが寸断されがちな社員、特に女性社員がキャリアの継続できるような仕組みを作り、実効性を高めてまいります。また、定年再雇用制度を拡充し、シニア層がやりがいを持って働ける雇用環境の整備にも努めております。人材育成の面につきましては、役職や年次別での研修とともに女性キャリア、食品衛生、コンプライアンス関連など当社グループの底上げとなる研修を実施しております。今後は、さらに内容を充実させることにより、社員のスキルアップ図り、外部環境の変化に対応できる人材を育成してまいります。社内の環境整備の面では、メンタルヘルスにおける社員全体へのセルフケア講習や管理職向けラインケア研修を行いました。また、社員自身の病気やケガなどにより就業継続が困難となった場合に備えたGLTD保険に加入し、従業員が安心して働ける環境の整備に努めております。今後は、高齢者や障碍者の雇用にも積極的に取り組んでまいります。また、人事評価制度についてはより公平性のあるわかりやすい人事制度を目指し2022年度に改定しました。今後は、更に社員一人一人がやりがいをもって働くことができ、当社グループとしても人材を有効に活用できるような人事運営に注力してまいります。

 

(3)リスク管理

 気候変動に関するリスクにつきましては、「3.事業等のリスク ⑨気候変動について」に、人的資本に関するリスクにつきましては、「3.事業等のリスク ⑩労働力不足について」に記載しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループの気候変動への取組にかかわる指標及び目標につきましては、今後策定予定となっております中期経営計画の中にも盛り込む予定としております。

 また、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針のうち、提出会社における女性活躍推進の行動計画につきましては、次の指標を用いております。当該指標に関して2027年3月31日までの目標及び2025年3月末時点での実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

女性営業職の増員数

営業職の女性社員を2021年度から比較して5名以上増加させる。

6名増加

正社員に占める女性社員の比率

正社員採用者に占める女性の割合を15%以上とする。

28.60%

女性管理職の人数

女性の管理職を2021年度から比較して1名以上増加させる。

1名増加

女性社員の平均勤続年数

女性の営業・事務社員それぞれの平均勤続年数を2021年度から比較して1年以上増加させる。

営業 △1年、事務 +1年

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があると考えられる重要なリスクは以下のとおりです。

 

① 市況変動等について

 当社グループの主たる事業である水産物卸売事業においては、天候・海流等自然条件による漁獲量の変動、漁業資源に対する漁獲制限・輸出入制限、需給動向、海外情勢・為替相場などの要因により、水産物の市場入荷量や価格等、仕入面のみならず販売面でも大きな変動が生じる可能性があります。その頻度は不確定ではありますが、短期的に売上や利益に影響を与えます。その対応策としては、全国の荷主をはじめとする取引先とより緊密な関係を築くとともに、海外の荷主、買付先の開拓も含め、水産物の仕入先の多様化を図り、影響を最小限に抑えております。

② 法的規制について

 当社グループの主たる事業である水産物卸売事業は、市場流通面からは卸売市場法の規制を受け、食品取扱面からは食品衛生法及びJAS法等の規制を受けております。したがって、これらの法改正やこれらの法規制にかかる事故等が生じた場合は、市場業務や業績等に少なからぬ影響を与える可能性があります。

なお、卸売市場法が2020年6月に改正され、市場の活性化に向け、卸売市場がこれまでの「認可制」から「認定制」へ移行されたほか、これまで原則禁止とされてきた第三者販売、直荷引き等の取引ルールは市場ごとに定めることが可能となりました。

市場の活性化に向けた規制緩和は、市場業務や業績に中長期に渡り大きな影響を与えます。当社としては、規制緩和を脅威ではなくチャンスと捉え、グループ各社がもつそれぞれの機能を最大限に生かして、市場内外における水産物流通機能を強固なものにすることで対応いたします。

 

③ 売掛債権等の貸倒れについて

 当社グループでは、売掛債権等の貸倒れリスクについては与信管理の強化、貸倒引当金積み増しなどの対応策をとっておりますが、各市場における一部販売先にあってはコロナ禍に実施された無担保融資などの返済、海外情勢や為替相場による仕入コストの増加、市場外流通の増加などの影響により企業体力が低下し、売掛債権の貸倒れリスクが高まる可能性があります。一方、出荷者に対する前渡金債権についても、漁獲量の変動などの影響により、同様のリスクが高まる可能性があります。貸倒れ発生の頻度は予想できませんが、短期的な業績への影響を与えます。対策として情報収集、与信管理の強化、前渡金債権の圧縮、貸倒引当金の積増しなどの対応をとっております。

④ コンピューターシステム障害について

当社グループ会社間は高品質なネットワークで結ばれており、保守管理やセキュリティには細心の注意を払っておりますが、外部要因を含めてこれらのシステムに何らかの障害が生じた場合は、当社グループ全体の事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。その頻度は推測できませんが、短期的な影響が予想され、拠点の分散化やセキュリティ等に対する対策を進めております。

⑤ 自然災害について

 当社グループの事業活動は首都圏に集中しているため、この地域において地震等大規模自然災害が生じた場合は、卸売市場設備、冷蔵倉庫設備、不動産設備等が毀損して、人的被害も含めて甚大な損失が生じる可能性があり、また、当社グループにおけるすべての事業又は一部の事業が一時的又は中長期的に中断される可能性があります。大規模自然災害は数十年に一度のことではありますが、短・中期に亘る業績への影響が予想され、事業拠点の分散化、耐震診断、耐震化や免震化などの対応策をとっております。また、自然災害が生じた際の事業継続計画についても策定しております。

 

⑥衛生管理について

当社グループの取扱い商品は、温度管理が必要な生鮮食品、冷凍品が多いため、商品の温度管理や取扱い等をはじめとする衛生管理について厳格な注意を払っており、各種教育やマニュアルの整備を図るとともに、品質管理担当者を配置して指導、改善を行っております。しかしながら、衛生面において問題が生じ、営業に影響が及んだ場合には、業務の運営・業績に影響を与える恐れがあります。頻度については、数年に一度程度と認識しておりますが、短期業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦物流問題ついて

 物流費増加や集荷が困難になることが予想され、当社グループの業績に一定程度の悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、デジタル化推進により情報連携の迅速化や物流ルートの再構築を図り、集荷力の強化や物流費用の抑制を進めていく予定です。また、冷蔵倉庫事業では、倉庫業務の省人化や自動化に向けた検証実験を進め、荷役作業等の効率化を図り、待機時間の短縮に努めてまいります。

 

⑧訴訟等について

当社グループは国内外で事業を遂行する上で、訴訟やその他の法的手段の当事者となる可能性があり、重要な訴訟等が提起された場合や事業遂行の制限が加えられた場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。頻度については予想できませんが、短期的に影響を与える可能性があり、コンプライアンス体制、リスク管理体制をさらに充実させるべく、努めております。

 

⑨気候変動について

 気候変動による海水温の上昇、海面上昇、異常気象などの発生が、水産資源の減少や、それに伴う漁業活動の困難化をもたらし、原材料の調達難や価格高騰につながります。また、気候変動は海洋汚染や赤潮発生のリスクを高め、食の安全性の低下にもつながり、当社グループの運営、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策として水産資源のトレーサビリティ強化のためのシステム開発を進めております。

 

⑩労働力不足について

 社員の高齢化に伴い定年退職者が増加し、一方で人口減少に伴い若年層の採用が厳しくなる中で、労働力不足となり、中長期にわたり当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策として、女性、高齢者、中途採用者、障碍者、外国人といった多様な人材の登用を進めるべく、賃金格差の是正や幅広い層への人材育成の機会提供、育児介護休業制度の改定や定年再雇用制度の拡充等の働きやすい職場環境作りなどを進めております。

 

 なお、上記事項は当連結会計年度末現在における判断であり、不確実要素が含まれております。また、当社グループにおける将来の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると考えられる要因は上記事項に限定されるものではありません。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善に加え、インバウンド需要の増加により、緩やかな回復基調となりました。

 一方で、エネルギーや原材料、人件費など様々なコストの上昇、物価高を受けた消費者の節約志向の高まり等に加えて、アメリカの通商政策に端を発した世界情勢の変動も予想され、先行き不透明な状況にあります。

 このような状況のもと、当社グループの中核事業である水産物卸売事業においては、漁期や漁場の変化による生鮮魚の水揚げは減少しましたが量販店や外食、インバウンド需要の回復基調により冷凍品の取扱いが増加し、水産物取扱数量は、前年対比増加しました。冷蔵倉庫事業では、人件費や修繕費が増加しましたが、保管料・荷役料の値上げや業務の効率化に努め利益は増加しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,654百万円減少の74,760百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少1,577百万円、売掛金の減少1,987百万円、商品及び製品の増加1,507百万円、有形固定資産の減少1,460百万円によるものです。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,466百万円減少の40,948百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少1,623百万円、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の減少2,630百万円、長期借入金の減少2,592百万円によるものです。

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,812百万円増加の33,811百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益2,901百万円の計上、非支配株主持分101百万円の増加、剰余金の配当319百万円、その他有価証券評価差額金の増加155百万円によるものです。その結果、自己資本比率は42.9%(前連結会計年度末37.4%)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は、149,902百万円(前年同期比9.0%増)となり、営業利益は3,229百万円(前年同期比31.0%増)、経常利益は3,508百万円(前年同期比36.2%増)となりました。以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は2,901百万円(前年同期比35.9%増)となりました。

 

 セグメント別の業績概況は次のとおりであります。

 水産物卸売事業は、生鮮魚の水揚が不安定でありましたが冷凍品の取扱い増により、セグメント売上高は140,579百万円(前年同期比9.3%増)となり、マグロ・エビ・カニ等の商材を中心に、業務筋向けの販売が好調だったことによりセグメント利益は2,002百万円(前年同期比51.5%増)となりました。

 冷蔵倉庫事業は、保管料・荷役料収入の増加により売上高は8,026百万円(前年同期比5.2%増)となりました。人件費や冷蔵倉庫の修繕費が増加しましたが、電力料等の費用の削減に努め、セグメント利益は634百万円(前年同期比16.6%増)となりました。

 不動産賃貸事業は、売上高602百万円(前年同期比3.9%減)となり、修繕費等の増加より、セグメント利益は550百万円(前年同期比2.2%減)となりました。

 荷役事業は、手数料を値上げしたものの、取扱数量は減少したことにより売上高は693百万円(前年同期比7.4%減)となり、一部の費用の減少によりセグメント利益は41百万円(前年同期比17.8%増)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び投資活動において増加したものの、財務活動において減少し、5,519百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、3,919百万円(前年同期3,593百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,344百万円、減価償却費2,355百万円、売上債権の減少額1,987百万円、棚卸資産の増加額1,503百万円、仕入債務の減少額1,623百万円、法人税等の支払額767百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は、397百万円(前年同期637百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出513百万円、無形固定資産の取得による支出355百万円、投資有価証券の売却による収入1,104百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、5,894百万円(前年同期4,209百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額2,575百万円、長期借入金の返済による支出2,937百万円等によるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

(1)当連結会計年度の生産実績

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産物卸売事業

3,271

102.0

3,271

102.0

 (注)金額は製造原価によっております。

 

(2)当連結会計年度の仕入実績

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産物卸売事業

 

 

買付品

128,324

108.4

128,324

108.4

 (注)1 本表における仕入高は、仕入金額を記載しております。

2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3)当連結会計年度の売上実績

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産物卸売事業

 

 

受託品

1,388

95.2

買付品

139,191

109.2

140,579

109.3

冷蔵倉庫事業

8,026

105.2

不動産賃貸事業

602

96.1

荷役事業

693

92.6

合計

149,902

109.0

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

 す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成され

ています。なお、「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結

財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高は、水揚げが不安定だったことにより生鮮魚の取扱量は減少しましたが、量販店や外食、インバウンド需要の回復基調により冷凍品の取扱いが増加し、売上高は前期比109%と増加しました。営業利益・経常利益はマグロ、エビ、カニ等の商材を中心に販売が好調だったことにより増加しました。

インバウンド消費の拡大など新たな環境によるサービス分野での回復が期待できる一方、漁獲量の減少や気候変動による漁場の変化、労働力不足による人件費等のコスト上昇、アメリカの関税政策による景気動向など先行き不透明な状況の中、当社グループではグループ各社が持つ各機能を最大限に活かし、効率的な会社運営を目指すとともに、引き続きコスト削減などの経営改善に取り組んでまいります。さらに、コンプライアンスの向上、社会規範の順守、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、グループ会社を横断した人的資源の相互活用や人材教育の充実にも注力し、取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。

あわせて前述記載の「3 事業等のリスク」についても適時・迅速に対応し、リスク回避に努める所存であります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは原料・商品の仕入資金のほか、集荷に伴う運搬費等の経費、冷蔵倉庫稼動に伴う経費、一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資、システム投資等によるものであります。

 当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としており、シンジケートローンや個別の銀行借入によって調達し、安定した資金繰りの確保に努めております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は20,309百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,519百万円となっております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針・経営戦略については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」及び「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」に記載のとおりであります。

 また、当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、連結ベースの売上高、営業利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率を経営指標としており、業容拡大による利益確保とキャッシュ・フローや利益率を意識した効率的な経営を目指してまいります。

 当連結会計年度の各指標の前年比較は以下のとおりであります。

 

経営指標

前連結会計年度

金額・率

(百万円・%)

当連結会計年度

金額・率

(百万円・%)

売上高

137,588

149,902

営業利益

2,465

3,229

営業キャッシュ・フロー

3,593

3,919

売上高営業利益率

1.79

2.15

 

営業利益は、水産卸売事業におけるシステム開発費用や冷蔵倉庫事業の修繕などありましたが、マグロ、エビ、カニ等の業務筋向けの販売が好調だったことにより増加しました。

営業利益率は、売上総利益の増加が販売費の増加を上回ったことにより増加しました。

 営業キャッシュ・フローにおいては、税金等調整前当期純利益の増加、減価償却費の増加、売上債権の減少、棚卸資産の増加、仕入債務の減少より、前年比で増加しました。

 以上のとおり、すべての経営指標において前年比で増加しました。

 当社グループは前掲の経営方針・経営戦略に基づき、引き続き各経営指標の改善に努めてまいります。

 

⑤セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容

(水産物卸売事業)

 生鮮魚の水揚げが不安定でありましたが、卸売市場において単価高、冷凍品の取扱い増加もあり売上高は増加しました。営業利益はマグロ、エビ、カニ等の商材を中心に業務筋向けの販売が好調であったことにより増加しました。高機能化された豊洲市場を活用しながら、当社グループ会社が持つ冷蔵保管、リテールサポート、荷役、加工の各機能を最大限に活かし、サプライチェーンの拡充に努め、更なる水産物の集荷販売や商品開発に注力してまいります。

 

(冷蔵倉庫事業)

 冷蔵倉庫の修繕費の増加がありましたが、保管料・荷役料収入の増加により売上高、営業利益ともに増加しました。保管スペースが逼迫した状況が続いており、取扱量の増加が見込めない中、荷役作業の効率化や省エネ型冷凍機への交換、太陽光発電の活用など経費の削減に努め、倉庫業務の省人化や自動化に向けた検証実験も積極的に進め、首都圏で約21万8千トンとなる冷凍・冷蔵保管スペースをより効率的に活用してまいります。

 

(不動産賃貸事業)

 賃貸物件の修繕費等の増加により営業利益は減少しました。

 賃貸物件のリノベーションにより価値を高め、賃貸収入の増加を進めてまいります。

 

(荷役事業)

 取扱数量の減少により売上高は減少しましたが、一部の費用が減少したことにより営業利益は増加しました。ロジスティクス事業の拡充による売上増加を目指します。また、合理的な人員配置を行い経費の削減に取り組んでまいります。

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。