文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」を企業理念として掲げ、常に世の中が求める新しい価値、お客様が求める価値の創造に努め、社会に貢献することを目指しています。
この観点から、株主様、お取引先様、従業員などからの信頼と期待に応えることが、会社繁栄の絶対条件と考え日々の事業経営に取り組んでおります。セグメントごとの事業内容は下記のとおりであります。
総合エネルギー事業は、全国のご家庭にMaruiGasブランドとしてお届けしている民生用LPガスや、工場で使用される産業用のLPガス・LNGを販売しています。また、カセットこんろ・ボンベや富士の湧水などの生活関連商品やガス関連機器・都市ガスの保安サービスなどをお客様に提供し、暮らしのインフラを支えています。特に民生用LPガスについてはLPガスの輸入から小売りまで一貫した供給体制をもち、全国展開している日本で唯一のLPガス事業者で、全国に約400ヶ所の拠点を有しており、その販売・物流・保安体制を活かし、きめ細やかで質の高いサービスを全国で提供しています。
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)、水素、ヘリウム、炭酸ガス、半導体材料ガスや医療用ガスなどの産業ガス事業と、各種ガス製造・供給設備、FAシステム、溶接装置、半導体製造装置、環境機器などの機械事業を展開しています。長年培ってきた技術力と、ガス・機械の幅広いラインアップによりお客様のニーズに合わせた提案を行い、産業全体を支えています。
マテリアル事業は、樹脂原料や樹脂製品、ミネラルサンドなどの資源、ステンレスや非鉄金属、二次電池材料等、モノづくりに必要な原料・部材などを取り扱っています。環境商品等の成長分野への拡販や新商品の開発に加え、海外事業の強化に取り組み、事業規模の拡大を図っています。
自然産業事業は、液化窒素などの冷熱を利用した事業・商品開発の一環として冷凍食品の販売を行うとともに、種豚や農業および畜産設備などを販売しています。
2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN23」では、テーマに「水素エネルギー社会の実現に向けて~事業の枠組みを超えた挑戦~」を掲げ、基本方針を「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」及び「デジタル化の推進」としています。「PLAN23」の経営数値目標としては、収益性や成長性、効率性を測る指標として経常利益、ROE(自己資本利益率)を採用しました。具体的な数値目標は2024年3月期において、経常利益400億円、ROE9%以上、としております。また、主要な事業の成長を測る指標として、PLAN20に引き続き「LPガス直売顧客数」、「国内外カセットこんろ・ボンベ販売数量」、「エアセパレートガス販売数量」、「液化水素販売数量」の4指標を重要事業指標といたしました。


(3) 中長期的な経営戦略
当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして、中期経営計画「PLAN23」を策定し、「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」と「デジタル化の推進」に取り組んでおります。
重点的には、基本戦略として、「脱炭素社会に向けた取り組み強化」、「エネルギー生活総合サービス事業者への進化」、「海外事業の拡大」の3項目を掲げ、これらの基本戦略に基づいて、投資や事業戦略を推進しております。

また、当社の利益配分に関する基本方針につきましては、安定的な配当により株主の皆様へ還元すると同時に、成長戦略を支えるための投資等に活用し、企業価値の最大化を図ることで株主の皆様のご期待に応えてまいります。
当社はこれらの取り組みを着実に実行し、「世の中に必要とされる企業」であり続けることにより、当社グループの企業価値の向上、ひいては株主共同の利益の実現に資することができるものと考えております。
今後の見通しにつきましては、個人消費や企業の設備投資などは、引き続き新型コロナウイルスの影響を受けると予測されるものの、ワクチンの普及に伴い、景気は回復基調で推移すると想定されます。
総合エネルギー事業は、引き続きLPガス直売顧客数の拡大と販売数量の増加に努めます。また、LPガスや都市ガス顧客に対して、エネルギー関連機器の拡販を行うとともに、BtoC商品については、量販店やインターネットなどの販売チャネルの拡大に取り組みます。カートリッジガス事業においては、中国に加え、東南アジアや米国での海外展開を強化し、事業拡大に努めます。
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスやヘリウム、および液化水素の拡販に加え、新型コロナウイルスワクチンの輸送・保管用ドライアイスの安定供給に努めます。また、水素ステーションの建設・運営や水素関連設備の販売強化に取り組みます。機械設備については、産業ガス事業との相乗効果を発揮し、自動車、半導体、環境関連などの成長分野を中心に拡販し、事業拡大を図ります。
マテリアル事業は、バイオマス燃料や低環境負荷PET樹脂、二次電池材料などの環境商品の拡販を進め、環境ビジネスの拡大を図るとともに、機能性フィルムを中心とした先端材料の拡販に努めます。また、海外事業の強化に取り組み、事業規模の拡大を図ります。
自然産業事業は、品質管理を徹底し、国内外で安全・安心を最優先した事業展開に努めます。冷凍食品は、一般消費者向けの自社ブランド商品の販売拡大に取り組みます。また、農業ハウス等の農業設備の拡販、および大手養豚事業会社向け畜産設備や種豚の販売拡大を目指します。
当社は1941年に水素の取り扱いを開始し、長い歴史に基づく経験とノウハウを有しています。液化水素の国内シェアは100%で、圧縮水素を含む水素の国内シェアは約70%となっております。水素事業は将来の資源エネルギー事業であり、大量で安価なCO2フリー水素源の獲得が最も重要だと考えています。当社グループは液化水素製造能力をさらに増強するとともに、再生可能エネルギーからの水素製造や海外からのCO2フリー水素の輸入などに取り組み、企業理念に沿った経営を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 季節的な要因及び天候の変動について
LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けますので、当社グループの主力商品であるLPガスの販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益構造を有しています。また、特異な天候の変動によっても、当社グループのLPガス販売量に影響を及ぼす可能性があります。
(2) LPガス輸入価格による影響について
当社はLPガスを中東と米国から輸入しており、輸入価格の変動による影響を平準化するため、多くの卸売先との間で、販売価格をCP(Contract Price)とMB(Mont Belvieu)に連動する価格体系としています。ただし、当社では在庫評価について「先入先出法」を採用しており、LPガスの輸入から販売までのタイムラグが約3ヶ月あるため、輸入価格の上昇時には安い原価の在庫を高く売ることから増益要因となる一方、下落時には高い原価の在庫を安く売ることから減益要因となります。
なお、当連結会計年度は17億円の増益効果(前連結会計年度は2億円の減益効果)が生じております。

(3) 為替変動による影響について
当社グループは貿易取引において為替リスクを負うことがありますが、為替予約等を行うことにより、為替相場の変動によるリスクを回避しています。なお、急激な為替の変動が起きた場合には、このリスクを完全に排除することは困難であるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 災害等について
当社グループは、高圧ガス保安法等に基づくLPガス・産業ガス等を取り扱っております。そのため、法律に基づいた定期的な法定検査及び自主的な検査・点検を行っております。ただし、大規模な地震等の天災により基地などの出荷設備やお客様側の消費設備に甚大な被害があった場合や感染症の大規模な流行などにより、安定供給ができなくなる可能性があります。
また、新型コロナウイルス等の感染症の大規模な流行による世界経済の減速や内需の縮小など経済的・社会的な混乱が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応としては、時差勤務や在宅勤務に加えテレビ会議の活用等により従業員の感染防止に努めております。また、対策委員会を設置し、情報収集や対応策の検討・指示を行っております。
(5) 規制緩和等による競争激化について
電力・ガス小売事業の全面自由化や国内の人口減少・地方都市の過疎化等に伴い、同業者間及びエネルギー間の競争環境が変化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) カントリーリスクの影響について
当社グループは、貿易取引やアジアを中心とする海外事業展開を行っていますので、その地域における政治・経済情勢の悪化や、予期しない法律・規則・税制の変更、治安の悪化等の状況によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 金利変動による影響について
当社グループは、M&AによるLPガス直売顧客数の拡大や産業ガス事業拡大に向けた設備投資など、戦略的な投資に対する資金需要があり、金利変動が業績に影響を与える可能性があります。ただし、有利子負債の多くは固定金利で調達していることから、金利変動による影響は限定的であります。
(8) 取引先の信用リスクの影響について
当社グループは、取引先に対して様々な形で信用供与を行っており、債権の回収が不可能となるなどの信用リスクを負っております。これらの信用リスクを回避するため、当社グループでは取引先の信用状態に応じて、信用限度額の設定や必要な担保・保証の取得などの対応策を講じております。しかしながら、取引先の信用状態の悪化や経営破綻等により債権が回収不能となった場合などには、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 保有有価証券価格の変動による影響について
当社グループは、グループ企業の株式を保有するとともに、事業上の関係緊密化を図るために取引先などの有価証券を保有しております。今後の株式市場の変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。政策保有の目的で保有する株式については、毎年取締役会において個別に保有の適否を判断しております。
(10) 商品の欠陥について
当社グループが提供する製品・サービスについては、適切な品質管理体制のもと対応しておりますが、製造物責任賠償やリコール等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や企業イメージの低下、多額の費用負担が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 個人情報の取り扱いについて
当社グループは、LPガス事業をはじめとした各種事業において多くの個人情報を取り扱っており、個人情報保護法に定める個人情報取扱事業者として、個人情報の取扱状況について適切な管理を行い、法の遵守に努めております。ただし、当社グループの取り組みにもかかわらず、個人情報の流出が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下、顧客からの損害賠償請求など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) コンプライアンスに係るリスクについて
当社グループは、国内外で各種の法令・規制・社会規範の下で事業を展開していることから、コンプライアンス委員会を設置して遵法体制の強化に努めております。さらに、当社グループの全構成員が遵守すべき規範として「イワタニ企業倫理綱領」を制定・周知するなど、コンプライアンスの徹底を図っております。ただし、当社グループの取り組みにもかかわらず、法令等に抵触する事態が発生した場合には、当局からの行政処分、利害関係者からの訴訟、当社グループの社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における日本経済は、国内外での新型コロナウイルスの影響により、第1四半期に経済活動が制限された結果、個人消費や設備投資が大きく落ち込みました。第2四半期以降は、緊急事態宣言解除後の経済活動の再開に伴い、回復傾向が続きましたが、未だ収束の目途は立っておらず、依然として不透明な状況が続いています。
当社においても、新型コロナウイルスの影響により、工業分野向け主力商品の販売が減少しましたが、在宅率の上昇を背景に、家庭用LPガスおよび消費者向け商品の販売が増加しました。一方、LPガス輸入価格が下落し、前年よりも低位で推移したことから、販売価格が低下し、減収となりました。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「PLAN20」の基本方針である「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組みました。
脱炭素への取り組みが加速する中、共同代表者として参画している「水素バリューチェーン推進協議会」では、水素社会の実現に向けた政策提言を、政府に対して行いました。また、国内の水素ステーションについては、累計で53カ所の運営・整備を行っております。
LPガス事業については、当社独自のIoTプラットフォーム「イワタニゲートウェイ」の事業化に向けた実証を完了し、2021年度より設置を進めてまいります。当社の持つ事業基盤にIoTプラットフォームを融合させ、高齢化や過疎化など地域が抱える様々な課題の解決に向けて、新しいサービス・価値の創造に取り組みます。
カートリッジガス事業については、アウトドアオリジナルブランド「FORE WINDS(フォアウィンズ)」の新製品の販売を、国内と米国にて開始しました。引き続き新製品の開発や既存商品の改良を進め、需要の開拓に努めます。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,355億90百万円(前年度比511億81百万円の減収)、営業利益299億86百万円(同12億58百万円の増益)、経常利益344億6百万円(同21億35百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益232億7百万円(同22億12百万円の増益)となりました。
なお、当社グループの事業構造はエネルギー関連商品を主力としており、季節変動による影響を大きく受ける傾向にあります。LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けるため、販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益構造を有しています。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
①総合エネルギー事業
総合エネルギー事業は、業務用LPガスなどの販売減少や、海外での同業者間取引の減少に加え、LPガス輸入価格が低位に推移したことに伴う販売価格の低下により、減収となりました。
一方、家庭用LPガスやカセットこんろ・ボンベの販売が好調に推移したことに加え、LPガスの市況要因がプラス(前年度比20億73百万円の増益)に転じ、増益となりました。
この結果、当事業分野の売上高は2,961億49百万円(同173億57百万円の減収)、営業利益は173億26百万円(同33億36百万円の増益)となりました。
②産業ガス・機械事業
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスについては光ファイバー業界向け等の販売が減少しましたが、電子部品業界向けの販売が増加し、前年並みとなりました。水素事業は、液化水素の販売は伸長しましたが、水素ステーションの費用が増加しました。ヘリウムについては、半導体業界向けを中心に海外での販売が増加しました。機械設備は、顧客の設備投資の抑制や延期等から販売が減少しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,746億41百万円(前年度比158億78百万円の減収)、営業利益は99億56百万円(同20億29百万円の減益)となりました。
③マテリアル事業
マテリアル事業は、ミネラルサンドについては、国内外で自動車関連業界および鉄鋼業界の低迷により販売が減少しました。また、エアコン向け金属加工品の販売が減少しましたが、バイオマス燃料(PKS)や低環境負荷PET樹脂といった環境商品の販売が増加したことに加え、消費者向けの樹脂製品の販売が伸長しました。二次電池材料は、市況の下落により減収となりましたが、機能性フィルムの販売は増加しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,364億67百万円(前年度比130億97百万円の減収)、営業利益は47億87百万円(同2億81百万円の増益)となりました。
④自然産業事業
自然産業事業は、種豚の出荷や農業資材の販売が増加しましたが、主力の外食および給食業界向け冷凍食品の販売は減少しました。
この結果、当事業分野の売上高は239億85百万円(前年度比33億28百万円の減収)、営業利益は8億31百万円(同3億53百万円の減益)となりました。
⑤その他
売上高は43億45百万円(前年度比15億20百万円の減収)、営業利益は14億81百万円(同6億18百万円の増益)となりました。
①総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ398億3百万円増加の5,095億18百万円となりました。これは、投資有価証券が151億43百万円、現金及び預金が132億56百万円、有形固定資産が62億30百万円、電子記録債権が22億13百万円、受取手形及び売掛金が13億83百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
②負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ208億96百万円減少の2,576億67百万円となりました。これは、繰延税金負債が56億96百万円、短期借入金が47億74百万円、電子記録債務が29億23百万円、未払法人税等が15億18百万円それぞれ増加したものの、1年内償還予定の社債が350億16百万円、支払手形及び買掛金が23億2百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
なお、当連結会計年度末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ304億16百万円減少の961億61百万円となりました。
③純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ606億99百万円増加の2,518億51百万円となりました。これは、利益剰余金が185億27百万円、資本剰余金が150億38百万円、資本金が150億円、その他有価証券評価差額金が113億81百万円それぞれ増加したこと等によるものです。なお、資本剰余金および資本金の増加は、「2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債」が全て権利行使されたこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ133億23百万円増加の384億45百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が85億15百万円増加したことにより487億79百万円の収入となりました。
これは主に、法人税等の支払額98億6百万円、売上債権の増加額35億48百万円等による資金の減少と、税金等調整前当期純利益350億9百万円、減価償却費201億28百万円、のれん償却額30億82百万円、たな卸資産の減少額13億52百万円等による資金の増加によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が20億53百万円減少したことにより288億31百万円の支出となりました。
これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入32億24百万円等による資金の増加と、有形固定資産の取得258億81百万円、無形固定資産の取得43億84百万円、投資有価証券の取得15億3百万円等による資金の減少によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が34億64百万円増加したことにより70億52百万円の支出となりました。
これは主に、借入金の純増加額39億92百万円等による資金の増加と、社債の償還による支出50億円、配当金の支払額46億71百万円、リース債務の返済による支出11億40百万円等による資金の減少によるものです。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業形態は主に商品の仕入による販売を主要業務としているため、生産実績及び受注状況に代えて仕入実績を記載しております。
当連結会計年度における外部からのセグメントごとの仕入実績(役務原価等を含む)は次のとおりであります。
(注) 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における外部顧客へのセグメントごとの販売実績(役務収益等を含む)は次のとおりであります。
(注) 1 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売実績が総販売実績の100分の10以上を占める相手先はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 売上高及び売上総利益
売上高は、前連結会計年度に比べ7.5%減収の6,355億90百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルスの影響により工業分野向け主力商品の販売が減少したことに加え、LPガス輸入価格が低位に推移したことにより減収となったことによるもので、詳細は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要) (1)経営成績の状況」のセグメント別の経営成績をご参照ください。
売上総利益は、売上高は減収となったものの、売上高総利益率が2.1ポイント上昇したことから、前連結会計年度に比べ0.4%増益の1,768億78百万円となりました。
(b) 営業利益
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ0.4%減少の1,468億92百万円となりました。これは主に、営業活動の制限により旅費交通費等が減少したことによるものです。この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ4.4%増益の299億86百万円となりました。
(c) 経常利益
営業外損益は、44億19百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度の35億42百万円の収益(純額)に比べ8億77百万円増加しました。これは主に、補助金収入が増加したことによるものです。
この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ6.6%増益の344億6百万円となりました。
(d) 親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、6億3百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度の72百万円の損失(純額)に比べ6億75百万円の増益要因となりました。これは主に、投資有価証券売却益が増加したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10.5%増益の232億7百万円となり、1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の426円63銭に対し431円65銭となりました。
当社は、中期経営計画「PLAN20」において、最終年度の2021年3月期に、経常利益330億円、ROE10.0%以上、ネットD/Eレシオ0.7倍を目標としておりました。前連結会計年度及び当連結会計年度、PLAN20最終年度目標の経常利益、ROE、ネットD/Eレシオは下記のとおりであります。
(PLAN20との比較)
(第78期目標との比較)
(LPガス輸入価格変動要因(市況要因)を除いた経常利益)
2021年3月期実績は、消費者向け商品の販売が増加したことやLPガスの市況要因がプラスに転じたこと等により、経常利益は344億円、ROEは10.9%となりました。ネットD/Eレシオについては、300億円の転換社債型新株予約権付社債が全額株式へ転換され資本が増強したこと等により、0.23倍となりました。全ての項目でPLAN20の経営数値目標を達成し、収益性と財務の安全性を高め、経営基盤をより強固にすることができました。
また、当社の主要な事業の成長を測る指標として、「LPガス直売顧客数」、「国内外カセットこんろ・ボンベ販売数量」、「エアセパレートガス販売数量」、「液化水素販売数量」の4指標を重要事業指標に設定しておりました。前連結会計年度及び当連結会計年度、PLAN20最終年度目標値は下記のとおりであります。
LPガスの直売顧客数は、M&Aの推進により101万戸となりました。カセットこんろ・ボンベの販売数量は、新商品開発や新需要創出による事業の拡大によりそれぞれ4,471千台、134百万本となり、国内でのシェアはそれぞれ82%、63%と伸長しました。一方、新型コロナウイルスの影響により、産業ガスの販売は苦戦し、エアセパレートガスは15.5億㎥、液化水素は67百万㎥となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要) (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(a) 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&Aによる株式取得のためのものであります。当社グループにおいては、安心・安全を支えるインフラ整備については事業全体の収益を考慮して、将来の成長投資については資本コスト等を考慮して多角的かつ慎重に投資判断を行う方針であります。
(b) 財務政策
当社グループは、財務の健全性を保ちつつ、安定的に営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことで、事業運営上必要な資本の財源及び資金の流動性を確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入により調達を行っております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金並びに金融機関からの長期借入、社債の発行等により行っております。また、グループ内資金の効率化を目的として、グループ会社間で貸付等を行っております。
なお、当連結会計年度末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ304億16百万円減少の961億61百万円となりました。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に当社の基幹事業である総合エネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業まですべての事業領域を対象として取り組んで参りました。なかでも水素エネルギー関連では、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発に注力しました。
研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、グループ全体の成長ビジョンを見据え、営業部門との連携を強化しすべての事業分野の核となる新事業・新商品の開発に繋がる技術支援に取り組みました。特に、最先端の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いました。さらに、分析を主体とした基盤技術を強化するとともに、大学や公的研究機関との共同研究やパートナー企業との共同開発を積極的に進め、「技術のイワタニ」としての価値の向上に努めました。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
主な研究開発内容は水素関連のもので、その金額は698百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業225百万円、産業ガス・機械事業51百万円、マテリアル事業57百万円、自然産業事業12百万円、その他1,216百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。
なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
(水素エネルギー関連)
水素エネルギー関連では、水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、脱炭素を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。具体的には、2025年に開催予定の大阪・関西万博での商用運航を目指し、水素燃料電池船及び船舶用水素ステーションの開発に向けた検討を開始しました。また、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業(HySTRA)に引き続き参画するとともに、2020年3月に完成した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、「Power-to-Gas」の実用化技術の確立に向けた取り組みを継続しています。
主な研究開発案件は、①水素ステーションの建設コスト削減と保安技術の強化に繋がる水素適合性材料評価の推進、②水素ステーションにおける水素ガス計量や水素ガス品質の管理技術の開発、③バス・トラック等の大型車に対応した水素供給に関わる計量管理技術の開発、④水素大量消費社会を見据えた液化水素流量計や水素導管供給技術の開発等となります。
(総合エネルギー事業)
カーボンニュートラル社会の実現に向けた国の取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの生産技術に関する調査研究に着手しました。また、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、熱電発電素子や燃料電池を使った発電技術等の要素技術の評価・開発を進めています。
(産業ガス・機械事業)
再生医療の分野では、大学との共同研究やパートナー企業とのコラボレーションを通じて、細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究を進め、細胞保管・輸送容器システムの開発に着手しました。中央研究所に設置した重水素ガス製造プラントにおいては、製造ロスの削減やガス精製技術の更なる向上に努めるとともに、品質管理体制を確立しISO9001「品質マネジメントシステム」を取得し、海外への重水素ガスの拡販に寄与しました。また、包装フィルムや包装内のガス成分を制御することで食品の品質保持や賞味期限の延長を実現するMA包装技術を追究し、徐々に実採用に結びついています。
(マテリアル事業)
大学との共同で、バイオディーゼル燃料製造時の副生成物であるグリセリンをDHAに変換する触媒を開発しました。未利用グリセリンを活用し化粧品や医農薬中間原料として需要があるDHAの製造にかかる時間及びコストの大幅な削減が期待され、事業化に向けた取り組みを推進します。また、ナノニッケルの合成技術に取り組み、MLCC(積層セラミックコンデンサー)向けにサンプル出荷できる目処をつけました。さらに、ヒートシンクや冷却システムへの採用が期待されるロータス金属(多孔質構造の金属)の量産化に向けた加工技術を確立し市場開拓を進めています。
(自然産業事業)
当社の扱う食品中の微生物分析、残留農薬分析、抗生物質分析技術を高め品質管理を強化するとともに、液化窒素を用いた食品の凍結保存技術の優位性を検証し、当社中国での製造委託工場での実用化検討を進めています。