第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「食を通して人を幸せにするグローバルな生活関連企業を目指す」を経営ビジョンとして掲げており、人々の食生活の向上に資するべく、創業以来、食肉卸売業を中核として様々な機能を強化してまいりました。現時点で、新型コロナウイルス感染症の蔓延が続いておりますが、当該状況下においても生活に必要不可欠な食品を安定的に供給することが当社グループの果たすべき責務であると認識しております。

今後も感染防止策と安全対策に万全を期しながら、人々の豊かな食生活の実現に一層貢献するべく、グループ一丸となって食肉関連製品の安定供給と、多様化が加速する食への要望に的確に応えうる商品提供の実現に取り組んでまいります。

 

(2)経営環境及び経営戦略(対処すべき課題)

①経営環境

新型コロナウイルス感染症は未だ収束の見込みが立っておらず、今後も先行き不透明な経済状況が続くものと予想されます。食肉業界でも、コロナ禍における消費者の新たなライフスタイルの定着や節約志向がさらなる高まりを見せることが予想され、消費者ニーズの変化への対応が求められます。また、経済活動制限による高級部位等の食肉需要の一時的減退や輸出入制限並びにアフリカ豚熱などの疾病問題等により需給バランスが大きく変化することが予想されます。さらに、TPPなどの経済連携協定による関税率の低下等も影響し食肉価格が大きく変動することが予想されます。加えて、販売競争の激化、人手不足による物流費や人件費の増加傾向、SDGs意識のさらなる高まり等への対応が求められます。

 

②中期経営計画

このような経営環境下、当社グループは中期経営計画(2020年4月1日から2023年3月31日)を2020年度より開始しております。本中期経営計画は、日本国内での新型コロナウイルス感染症蔓延前に策定したものでありますが、販売競争の激化や物流費・人件費の増加傾向、SDGs意識の高まり等の経営環境はコロナ禍においても普遍的なものが多く、基本戦略の内容につき現時点では大幅な変更は必要ないものと考えております。なお、コロナ禍による環境変化も踏まえ、本中期経営計画をベースに目標数値や投資の実行時期等を見直し、2023年3月期~2025年3月期までの3か年の新中期経営計画を策定、公表する予定です。

事業に関するSWOT分析を踏まえた本中期経営計画の基本戦略は次のとおりです。

 

◆事業に関するSWOT分析

 

プラス面

内部環境

 

強み

ⅰ. 生産者からお客様までのすべてに関わるトータルサプライチェーンを構築

ⅱ.国内外の広範な調達力(供給面)と全国に有する営業拠点(販売面)

ⅲ.業界トップクラスの加工・製造・品質レベル(製造面)

⇒機能を生かし中核事業強化と加工食品販売拡大

外部環境

 

機会

ⅰ.自由貿易協定の発効

ⅱ.世界的食肉需要増、富裕層の増加、健康志向、環境問題への意識高まり

ⅲ.デジタル技術の発展、ECの進展

⇒海外からの調達力・海外での販売力強化

⇒代替食肉への挑戦・EC市場へのアプローチ強化

 

 

 

マイナス面

内部環境

 

弱み

ⅰ.会社の規模が拡大する中、人手不足

ⅱ.企業活動実態の見える化が不十分

ⅲ.加工メーカーとしての機能整備が不十分

⇒業務プロセス改革、DXによる業務の見える化、実効性・効率性の追求

⇒食肉加工メーカーとしての基盤強化

外部環境

 

脅威

ⅰ.調達価格高騰、国内販売競争激化、消費者の低価格志向・ニーズの多様化

ⅱ.人手不足による人件費・物流費の高騰

ⅲ.環境問題・SDGs意識の高まり

⇒厳しい市場環境の中、投資効率・業務効率・

 人材育成・SDGsを意識した持続可能な経営を目指す

⇒国内外生産・製造拠点強化による供給体制構築

 

 

◆中期経営計画基本戦略(ⅰ~ⅵ)

 

 

 

 

 

 

収益基盤の強化

ⅰ中核事業(食肉生産・卸事業)の基盤維持・強化

・生産事業の確立・整備

・相場価格に影響されにくい食肉製品の開発

・輸出事業の強化

・食肉処理加工工場の人手不足、労務負担軽減対応(機械化・省人化)

収益力の根幹

(既存事業)

ⅱ食肉加工メーカーとしての基盤強化

・加工メーカーとしての機能強化

・プロセスセンターの整備

・加工食品事業の再構築

新たなる収益基盤

(既存事業)

ⅲグローバル企業への展開(海外事業)・代替食肉の取り組み

・物流加工機能を有する海外拠点の整備及び現地商売の強化

・輸入加工品の強化

・海外調達先の確保

・代替食肉への挑戦

次の成長領域

(新たなる取り組み)

 

 

 

 

 

持続的発展のための基盤構築

ⅳ業務プロセス改革・DX

・販売戦略、物流戦略に沿った各拠点の再整備

・効率的な製造・営業・物流体制の構築

・見える化の推進

実効性・効率性の追求

ⅴコーポレート機能強化

・投融資審査機能の強化

・戦略的資金調達による財務内容強化

・管理部門人材の強化

グループ競争力強化

ⅵサステナビリティへの取り組み強化

・SDGsを意識した経営

・将来を担う人材の育成

社会の一員としての

存在意義強化

 

 

 

③対処すべき課題

以上の中期経営計画基本戦略のうち、2021年度は『相場に左右されない収益力の強化』のテーマのもと、社員が一丸となり、以下の課題に優先的に取り組みます。

 

a.DX、業務プロセス改革による強固な事業基盤の構築と営業力の強化

事業環境が急変し先行き不透明な中、より強く柔軟な事業基盤を築くため、DX及び部門横断的な業務プロセス改革を推進してまいります。当社は2019年4月よりZeusDXプロジェクトをスタートしており、本プロジェクトは「業務プロセス改革」と「ICT技術の最大限の活用」という2本の柱から成り立っております。「業務プロセス改革」では、2020年度にかけて、あるべき業務プロセスの姿を念頭に現場検証を進めてまいりました。今後は現場検証を通じて洗い出した課題から、具体的な業務改革案を策定し、着手できるところから実行に移し、業務の効率化・生産性の向上を図ってまいります。「ICT技術の最大限の活用」では、当社基幹システムの再構築に着手しております。数年がかりの取り組みとなりますが、新たなシステムを用いた業務効率化、データ利活用による意思決定の迅速化や資本効率の向上を図ってまいります。

また、変化し続ける消費者ニーズに対応するため、マーケティング機能・商品開発機能の強化並びに販売力の強化を図り、当社だからこそ購入していただける商品・サービスの提供を実現し収益力の向上に努めてまいります。具体的には単に加工度の高い商品を開発・販売するのではなく、食べて本当においしい商品や、お客様や消費者の課題解決に資する使いやすい商品規格・包装、食品ロスの低減などを第一に考え、食肉のプロとして、当社ならではの商品を開発・販売してまいります。また、当社の商品を当社の責任でお客様のもとまで安定した品質でお届けするということも当社の強みであり、このような物流機能の価値をお客様にご認識いただく取り組みも行ってまいります。

さらに、今後大きな成長が望める海外マーケットとして特に米国、中国での取り組みを強化し、物流・加工機能を有する当社事業モデルの横展開を図るとともに和牛輸出事業との連携も密に行います。

 

◆Zeusプロジェクト概要

領域

改革の方向性

組織横断

経営・事業管理

見える化の推進による各事業ごとの収益管理強化、価格競争力の追求

需給計画調整

市場の供給ニーズに合わせ生産・在庫・販売のバランスをコントロールする機能を強化する

ロジスティクス

価格競争力を維持するため、

全社横断での物流ネットワークを再編する

 

 

仕事の在り方

加工・製造

さらに安全・安心で価格競争力のある商品を生み出すため、工程管理及び原価低減活動の強化を行う

販売

組織の力とテクノロジーを最大限活用した新しい営業スタイルを確立する

 

 

b.サステナビリティ経営の推進

当社は人々の生活に必要不可欠な食を扱う企業として、持続可能な社会づくりに貢献するべくサステナビリティを意識した経営に取り組んで参ります。

2020年度は、サステナビリティ推進室やサステナビリティ委員会を設置し、国連グローバル・コンパクトに署名するなどサステナビリティ経営の基盤構築を進めてまいりました。2021年度は外部有識者との意見交換も重ねながら、当社グループとしてのマテリアリティ(重要課題)の特定を進めていくとともに、並行して環境問題解決に資する取り組みを推進してまいります。

具体的には、当社の高度な衛生管理体制や食肉製品のアウトパック機能を生かした賞味期限延長商品の拡販や、エコフィードによる豚肉生産など、食品ロス問題の解決に寄与してまいります。また、太陽光発電の活用や、営業車の排ガス抑制など環境へ配慮した取り組みも積極的に行ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、当社グループでは、「リスク管理規程」に従い、「リスク管理委員会」においてグループ全社的なリスク管理・推進に関わる課題・対応策を協議するとともに、リスク管理部門を中心に事業を取り巻くさまざまなリスクに対する的確な管理と顕在化したリスクへの対応等を可能とする体制を整えております。

以下、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)食の安全について

当社グループは、人々の生活に必要不可欠な食品を取り扱っており、食品の安全性の確保が社会に対する責務であると認識しております。当社グループは、当該責務を果たすために食の安全性確保のための様々な取り組みを推進しておりますが、社会全般にわたる品質問題等、取り組みの範囲を超えた事象が発生するリスクがあります。また、食品衛生、安全衛生の両基準に従って、万全の注意をもって製品の製造をしておりますが、製品の欠陥が生ずるリスクを完全に回避できる保証はありません。

当該リスクが顕在化した場合、大規模な製品回収や製造物責任賠償の発生、社会的信用の失墜等により、多額の費用負担や販売量の減少等を招き、ひいては当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対し当社グループは、食品の「安全性」と「品質」を確保するために、現在56ヵ所の事業所が『SQF』(Safe Quality Food)を取得し、安全・安心な食品を提供する体制を構築しております。また、会社組織として品質保証本部を設け、グループ各所に当本部員を配置することで、当社グループの品質管理・保証を統括して管理する体制を整えております。なお当社グループは、食の安全・安心の確保について最重要取組課題の一つと認識しており、今後も品質管理・保証体制のさらなる強化を図ってまいります。

 

(2)食肉需給の変動について

当社グループの主要取扱商品である食肉につき、異常気象による家畜の生育遅れや家畜疾病発生により調達量が減少するリスクがございます。また、国内外の需給変化により食肉相場が大幅に変動するリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、食肉の調達量の減少や調達価格の上昇、あるいは販売価格の低下により売上総利益の減少を招く可能性があります。

このようなリスクに対し当社グループでは、当社国内関連農場の地理的分散化、多数の国内協力生産者からの調達や複数国からの輸入により家畜疾病等による調達量減少リスクを分散化しております。また食肉相場の変動リスクに対しては、先の食肉需給の変動を見込んだ調達や、適正水準での在庫管理徹底、より付加価値の高い食肉製品の開発・販売の強化に取り組むことでリスク低減を図っております。

 

(3)新型コロナウイルス感染症等の拡大について

新型コロナウイルス感染症等が今後も発生し蔓延が長期化する場合には、景気の冷え込みによる消費者の低価格志向の高まり、外食需要の低迷、海外の需給バランス変化による輸入商材の大幅な価格変動、取引先の信用不安の高まり等のリスクが想定されます。また、当社グループ従業員に感染が確認された場合には、一部操業停止等により商品供給が停滞するリスクがございます。

当該リスクが顕在化した場合、相対的に高価な和牛や外食産業向け業務用製品の販売不振、商品調達コストの高騰、売上債権の貸し倒れ、操業停止に起因する販売機会の喪失等により、営業利益の減少を招く可能性がございます。

このようなリスクがある状況下においても、当社は生活に必要不可欠な食品を安定的に供給する責務があると認識しており、以下の対策を講じながら当該責務を果たしてまいります。

当社グループでは新型コロナウイルス感染症への対策として「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設け、次の対策を講じております。

 

・手洗い、うがいの徹底した啓蒙活動。必要に応じてマスクの配布。毎日の検温。
・在宅勤務、テレワークの推奨。出張の原則禁止、Web会議の環境構築及び促進
・感染者が発生した場合のBCP対策
・債権管理の徹底及び資金管理

 

 

また、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、外食需要が低迷する一方で内食需要は高まりを見せており、当該内食需要を取り込むため、家庭内調理の傾向に沿った商品提案に注力してまいります。加えて、外出自粛以降広がりを見せている、ECサイト向け商品の販売も積極的に取り組んでまいります。

 

(4)公的規制について

①アフリカ豚熱、豚熱、BSE(牛海綿状脳症)、口蹄疫、鳥インフルエンザをはじめとする家畜疾病の発生に伴い、輸入や移動の規制を受けた場合、需給バランスに大幅に影響し、相場が急激に変動するリスクや商品調達が制限されるリスクがございます。

②関税に係るセーフガード等の規制が発動された場合、相場が急激に変動するリスクや商品調達が制限されるリスクがございます。

③当社商品は品質表示関連の法規制の適用を受けており、将来において新たな規制が設けられた場合には、当該規制への追加対応が必要となるリスクがございます。

当該リスクが顕在化した場合、調達コストの増加や販売機会の喪失、新たな規制へ対応するための費用発生等により営業利益の減少を招く可能性がございます。

このようなリスクに対し、当社グループは、多数の国内協力生産者からの調達や複数国からの輸入によりリスクの分散を図っております。また、当社グループは会社組織として品質保証本部を設けており、品質管理と品質表示について常に厳重なるチェックを行うとともに、新たな公的規制に対しても適切かつ迅速に対応できる体制を整えております。

 

(5)自然災害や気候変動について

大地震、火災などの自然災害やそれに伴う大規模停電、大型の台風、豪雪などをはじめとする異常気象が発生し、生産設備や保管設備、出荷に使用される道路、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧までに生産、出荷が長期間に亘り滞るリスクがあります。それに付随して国内需給バランスが乱れ食肉相場が大幅に変動するリスクがございます。また、自然災害により、従業員や事務所・設備に対する被害が発生し当社グループの事業運営が困難になるリスクがございます。

当該リスクが顕在化した場合、出荷の滞りによる売上高の減少や相場の変動による売上総利益の変動、保管在庫の品質低下や当社設備の破損により一時的な損失を計上する等の影響を受ける可能性がございます。

このようなリスクに対し、当社グループでは、全国各地に食肉製品の製造・保管・販売拠点を有しており、当該リスクが顕在化した場合でも一定程度相互補完できる体制を整えております。

 

(6)海外進出について

当社グループは、北米、欧州、オセアニア、アジアなどの日本国外でも事業活動を行っており、今後も海外事業のさらなる強化を図ってまいります。しかしながら、海外での事業活動を拡大していく上で、当社グループは以下を含む様々な要因による制約を受けるリスクがございます。

 

・契約条項などの商慣習の相違
・法律または規制の変更
・テロ、戦争、伝染病、自然災害などによる社会的混乱
・予期せぬ水準での市場・為替レートの変動
・不利な政治的及び社会的要因
・対日感情、地域住民感情
・知的財産、技術の流出

 

当該リスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に様々な制限が生じ財政状態、経営成績の悪化を招く可能性がございます。

このようなリスクに対し当社グループは、新たに海外進出する際に、対象国に関する情報収集とメガトレンド分析等による情報整理に努め、リスクの程度を見極めながら意思決定を進めてまいります。また、万が一社会的混乱が発生した場合には、速やかに駐在社員及び家族の安全確認を行うとともに、現地政府及び日本国大使館の指示に従い、身の安全を図るよう指示・教育してまいります。

 

(7)コンプライアンスについて

役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合、当社グループの社会的信用を失うリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動の広範囲に制約を受け、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対し当社グループは、コンプライアンス委員会の設置をはじめ、コンプライアンス体制の整備を行うとともに、グループ共通のコンプライアンス規程、行動規範と行動指針を全役職員に周知するなど、コンプライアンス意識の醸成と向上を図っております。

 

(8)情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を行う上で多種多様の情報を取り扱っております。このような状況下、予期できない水準の自然災害、長期間の停電、コンピュータ・ウイルスの感染や不正アクセスなどにより、情報の漏えい、情報の破壊・改ざん・消失、情報への長期間のアクセス制限等が発生するリスクがございます。

当該リスクが顕在化した場合、機密情報の漏えいなどにより社会的信用を失うことや、情報の完全性・可用性の喪失により事業活動の広範囲に制約を受けることで、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対し当社グループは、主に次のような対策を講じております。

 

・「情報システム/セキュリティ規程」を設け、個人情報(特に顧客情報)や機密情報の安全管理と漏洩防止、適切なセキュリティ対策を実施

・当社グループ役職員に対して、定期的にITセキュリティ研修や教育啓発活動を実施

・仮想デスクトップ基盤を使用することで、情報端末にはデータを残さないように管理し端末の紛失や盗難の際にも被害を低減させる仕組みを構築。また、万が一ウイルスに感染した場合もネットワークから遮断し、感染の拡散を防ぐ仕組みを構築。

・情報システムのサーバを国内2箇所に設置し常時データを同期させることで、一方に災害等の被害が発生した場合でも他方のサーバによって、事業継続を担保できるようリスクを分散化

 

 

(9)環境保護について

当社グループは事業活動を行う上で、事故・過失等による環境汚染やそれに対する損害賠償責任の発生、あるいは社会的な環境保護に関する追加要請を受けるリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、環境の原状回復に係る費用負担や、損害賠償金の支払い、社会的追加要請に対する費用負担、もしくは社会的要請に応えられない場合の社会的信用の失墜等により、当社グループの利益減少を招く可能性があります。

このようなリスクに対し当社グループは、環境関連規制を遵守するとともに、近年社会的に強く要請されている環境に配慮した経営につき、一例として次のような取り組みを推進しております。

 

・消費期限延長技術を用いた食品ロス低減への取り組み
・低排出ガス車への順次切り替え、ペーパーレス化を進め、エネルギー消費量を官公庁へ報告
・サステナビリティ推進室を設置、環境と事業活動の観点から持続可能性を高める経営を推進

 

 

(10)為替について

当社グループは、原材料及び商品の一部の輸出入取引を外貨建で行っており、また、海外関係会社の財務諸表は外貨建で作成されております。従いまして、当社グループは外国為替相場の変動に係るリスクを有しております。

外国為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る収益費用及び外貨建債権債務の円換算額に影響を与え、海外関係会社の財務諸表の円貨への換算において当社グループの財政状態、経営成績に影響を与えます。

当社グループは、外国為替相場の変動による輸出入取引に係る影響を軽減するため、為替予約を行っておりますが、想定した範囲を超えた為替変動が起こった場合、軽減の効果が十分に得られない可能性があります。

 

(11)固定資産の収益性の低下について

当社グループが保有する固定資産は、投資時に想定していなかった、世界的な需給変動による調達コストの上昇や、人手不足による製造コストの上昇、国内市場の縮小による競争激化等の環境変化に起因する収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなるリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、回収可能価額まで対象固定資産の帳簿価額を減額するとともに、減損損失を計上することとなります。

当該リスクに対し当社グループは、重要な投資を行う際に、関係各部門から集めた委員による投融資審査会を開催し、投資計画の前提条件を含めた妥当性を検証することでリスクを最小限に抑えるよう努めております。また投資後は、継続的な投資効果のモニタリングと計画実績の差異分析により、適切な改善策を講じてまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

  a. 経営成績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続きました。一時的な景気回復の兆しはみられたものの、感染が再拡大するなど先行き不透明な状況が続いております。

食品業界では、コロナ禍による生活様式下で消費に急激な変化が生じており、外食需要が縮小する一方で家庭内需要が拡大するなど、新たな事業環境への対応が求められております。

食肉業界においても、各商品の調達、販売環境が激変するなど不確実性の高い事業環境が続きました。

このような事業環境の中、当社グループは新型コロナウイルス感染症への対応を見据えて一層の成長を遂げるための施策に取り組んでまいりました。2020年4月には、販売部門の集約化と物流機能等の強化、意思決定の迅速化や業務のスリム化などを図りました。また、昨年度に着手した全社的業務プロセス改革プロジェクト(ZeusDXプロジェクト)も順調に進捗しております。加えて、コロナ禍においても食品を安定的に供給する責務を果たすべく、衛生管理を徹底するとともに柔軟な勤務体制等の対策を講じ、社員の安全確保に配慮しつつお客様のご要望にお応えする体制を整えてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は349,242百万円(前期比0.6%減)営業利益は6,686百万円(前期比58.1%増)、経常利益は8,607百万円(前期比48.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、6,921百万円(前期比297.1%増)となりました。

 

       事業部門別の営業概況は以下のとおりです。

       <食肉関連事業>

 食肉関連事業の売上高は346,336百万円(前期比0.6%減)となりました。

 また、部門別の業績は次のとおりであります。

   (食肉)

国内事業は、家庭内需要の拡大と外食向け業務用需要縮小の影響を強く受けましたが、取扱量、売上高は前期比でほぼ横ばいとなりました。売上総利益は、外食需要縮小により特に輸入鶏肉で厳しい収益環境が続いたものの、家庭内消費向け商品の販売強化や牛肉の販売環境の改善等があったことから前期を上回りました。
  また、カテゴリー別の業績は次のとおりです。
 国産食肉において、取扱量は鳥インフルエンザの影響等により鶏肉の取扱量が減少したものの、豚肉の取扱量が概ね堅調に推移したことから、前期比でほぼ横ばいとなりました。売上高は牛肉で外食需要、インバウンド需要の縮小に起因し販売単価低下の影響を受けたものの、需要が堅調な豚肉と鶏肉で販売単価が上昇し、国産食肉全体では前期比でほぼ横ばいとなりました。売上総利益は牛肉の販売環境の改善等が影響し、前期を上回りました。

輸入食肉において、外食需要中心の鶏肉が大きく販売量を減らしたことから取扱量、売上高は前期を下回りました。売上総利益は牛肉と豚肉で家庭内消費向け販売が堅調だったことから前期を上回りました。

輸出事業は、第1四半期に各国の新型コロナウイルス感染症拡大による需要減退で、欧米向けの輸出が大きく落ち込みましたが、第2四半期以降回復に向かいました。また、感染拡大封じ込めに成功している台湾を中心に取り組みを強化した結果、輸出全体の取扱量は前期比で伸長しました。売上高も増加したものの、国産牛肉の輸出単価低下の影響を受けました。

これらの結果、食肉部門の売上高は277,118百万円(前期比1.0%減)となり、売上総利益は前期を上回りました。

   (加工食品)

加工食品は、コロナ禍により、外食向け業務用商品を中心に厳しい販売環境となりましたが、内食需要の拡大により小売業向けに家庭内調理ニーズに沿った商品の販売を強化した結果、順調に推移しました。また、大手ファストフードチェーン向け商品の取扱いも順調に推移しました。以上の結果、取扱量、売上高、売上総利益ともに前期を上回り、売上高は55,657百万円(前期比3.6%増)となりました。
  (ハム・ソーセージ)

ハム・ソーセージについても、外食向け業務用商品を中心に厳しい販売環境となりました。コンシューマ向け商品の販売は比較的堅調に推移したものの、全体では取扱量、売上高、売上総利益ともに前期を下回り、売上高は11,561百万円(前期比10.1%減)となりました。
 (その他)

その他の取扱品につきましては、売上高は1,999百万円(前期比0.5%減)となりました。

      <その他の事業>

その他の事業につきましては、売上高は2,905百万円(前期比3.6%増)となりました。

 

   b. 財政状態

    イ. 資産

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて、3,336百万円増加し83,568百万円となりました。これは、主として商品及び製品が減少したものの、現金及び預金が増加したことによります。
 固定資産は、前連結会計年度末と比べて2,463百万円増加し48,151百万円となりました。これは、主として建設仮勘定が減少したものの、建物及び構築物や投資有価証券が増加したことによります。
 この結果、総資産は、前連結会計年度末と比べて、5,794百万円増加し131,726百万円となりました。

 

     ロ.負債

 流動負債は、前連結会計年度末と比べて、1,794百万円減少し42,900百万円となりました。これは、主として短期借入金が減少したことによります。
 固定負債は、前連結会計年度末と比べて、773百万円増加し29,699百万円となりました。これは、主として長期繰延税金負債が減少したものの、長期借入金が増加したことによります。
  この結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べて、1,021百万円減少し72,600百万円となりました。

 

    ハ.純資産

     純資産合計は、前連結会計年度末と比べて、6,815百万円増加し59,125百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

     当期末における現金及び現金同等物は、前期末残高に比べ5,633百万円増加し、14,530百万円となりました。

      (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益やたな卸資産の減少等により11,084百万円の収入となりました。

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により3,445百万円の支出となりました。

    (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があるものの、長期借入金の返済による支出、短期借入金の減少、配当金の支払及び社債の償還による支出等により2,001百万円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

        当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食肉関連事業

109,534

102.0

その他の事業

1,754

106.5

合計

111,289

102.1

 

 (注) 1.金額は生産価額によっております。

 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

      b. 商品仕入実績

      当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食肉関連事業

197,770

93.2

その他の事業

2,619

96.0

合計

200,390

93.2

 

 (注) 1.金額は仕入価額によっております。

 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 3.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

      c.  受注実績

    当社グループは受注生産を行っておりません。

 

      d.  販売実績

    当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食肉関連事業

346,336

99.4

その他の事業

2,905

103.6

合計

349,242

99.4

 

 (注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、当社は生産肥育から食肉の処理加工、製造、販売に至るまでの事業を主に国内で行う「食肉関連事業」を中心に事業活動を展開しており、報告セグメントは「食肉関連事業」のみであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

   a. 概要及び売上高

 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。

 

    b. 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は前連結会計年度と比べて5,208百万円減少し、314,880百万円となりました。これは主に、前連結会計年度と比べ、輸入肉の取扱重量が減少したことによります。
 販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べて637百万円増加し、27,675百万円となりました。これは主に、運賃や電算費が増加したことによるものです。

 

     c. 営業利益

 営業利益は前連結会計年度と比べて2,456百万円増加し、6,686百万円となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が増加したものの、家庭内消費向け商品の販売強化や販売環境の改善等によるものです。

 

   d. 営業外損益

 営業外損益は前連結会計年度と比べ、営業外収益が574百万円増加2,791百万円に、営業外費用が219百万円増加870百万円となりました。

これは主に、営業外収益については、持分法による投資利益が増加したことによるものです。営業外費用については、支払利息が減少したものの、補助金返還損が増加したことによります。

 

   e. 特別損益

特別損益は前連結会計年度と比べ、特別利益が9百万円減少0百万円に、特別損失が1,575百万円減少273百万円となりました。

これは主に、特別利益については、関係会社株式売却益や固定資産売却益が減少したことによるものです。特別損失については、関係会社株式評価損が増加したものの、減損損失が減少したことによるものです。

 

   f. 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて5,178百万円増加し、6,921百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の89円47銭に対し、354円91銭となりました。

なお、当社は2021年4月1日を効力発生日として1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり当期純利益」を算定しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

    a.  キャッシュ・フローの状況の分析

3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

 

   b.  資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備資金等であります。

 

   c.  有利子負債

2021年3月31日現在の有利子負債の状況は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

合計

1年以内

1年超2年以内

2年超3年以内

3年超4年以内

4年超

短期借入金

6,253

6,253

長期借入金

32,667

9,475

9,547

5,836

4,800

3,007

社  債

2,100

2,100

 

 

   d.  偶発債務

当社グループの第三者に対する保証は、関連会社等の借入金等に対する債務保証であります。
  保証した借入金の債務不履行が保証契約期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があります。2021年3月31日現在、当社グループの債務保証に基づく将来における潜在的な要支払額の合計は5,999百万円であります。

 

   e.  財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金等の資金需要について、内部資金または借入や社債による資金調達により対応することとしております。
 また、グループ全体の資金効率を高めるため、2003年3月以降、主要子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、資金集中及び配分を行い、余剰資金の発生を抑制しております。合わせて、2020年1月、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとして金額10,000百万円(期間3年)のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を10の金融機関と締結いたしました。これにより中長期的に手元流動性を補完し、より安定的かつ効率的な資金運用及び調達を可能にしております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高10,000百万円)。
 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、経営ビジョン「食を通して人を幸せにするグローバルな生活関連企業を目指す」を基本に、繁殖・肥育事業に関する基礎研究から、ハム・ソーセージや加工食肉などの食肉関連商品に至るまで、精力的に研究開発活動を行っております。

 

(繁殖・肥育事業に関する基礎研究)

日本の黒毛和種は、世界でも稀な脂肪交雑能力に優れた品種であり、海外からも高く評価されておりますが、近年黒毛和種の繁殖戸数は、生産農家の高齢化と後継不足により年々減少しております。

当社では、グループ会社と畜場由来の黒毛和種卵巣を有効活用し、体外において卵巣内の未成熟卵子を移植可能な胚盤胞期胚(以下、胚とする)まで培養、作製を行う研究、開発をしております。

体外胚は一度に多くの数を得ることが可能で、良い血統を多く作製することが可能であり、搾乳牛への胚移植による酪農家との協業を通し、黒毛和種の国内飼養頭数維持及び畜産物の循環・再生産に寄与することを目的として研究を継続しております。

当社黒毛和種繁殖農場においては、母牛の状態に対応した自然交配、人工授精、受精卵移植による繁殖の多様化に取り組んでおり、また、胚作製に適した培地の比較に加え、凍結融解後において生存性と孵化の向上を目的とし、胚の透明帯を菲薄化による改善を進めております。

さらに新たな課題解決に向け、移植タイミング及び凍結ストロー、凍結液に焦点を当てた、受胎率の向上を目指した研究を進めております。

 

(食肉関連商品に関する研究開発)

国内のマーケットは、少子高齢化により縮小傾向である中、食料品に対する低価格志向が続き、消費者の節約志向が強まっております。また、コロナ禍で消費者の生活様式が変化し、中食・内食の需要が高まっております。

 当社グループでは、このような市場の変化と新たなニーズに対応し、お客様に安全な商品を安心して美味しく召し上がっていただくことを基本コンセプトとした商品の開発に取り組んでまいりました。

 その取り組みとして、当社製造本部ではハンバーグを中心としたレンジアップ商品などの開発を進めております。

特に、素材にお肉を一切使用せず、大豆を使用することでお肉のような食感、味、香りを実現するための「ゼロミートハンバーグ」は、将来の肉代替市場の拡大を見据えて、開発を継続しております。
 連結子会社であるローマイヤ株式会社においては、ブランドイメージの強化を目指し、自社ブランド製品のリニューアルに向けた開発及び新商品開発を進めてまいりました。

 

当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は86百万円であり、主として食肉関連事業の研究開発活動における支出であります。