第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「食の感動体験を創造することで世界中の人々と食をつなぎ続ける」「スターゼンと取引をしてよかったといわれる会社にしよう」「スターゼンで働いてよかったと思える会社にしよう」「仕事を通じて自ら成長しよう」を経営理念として掲げており、人々の食生活の向上に資するべく、創業以来、食肉卸売業を中核として様々な機能を強化してまいりました。

人々の豊かな食生活の実現に一層貢献するべく、グループ一丸となって食肉関連製品の安定供給と、多様化が加速する食への要望に的確に応えうる商品提供の実現に取り組んでまいります。

また、人々の生活に欠かせない「食」を扱う企業として、環境・社会・経済を巡るさまざまな課題解決に「食」を通じて取り組み、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めてまいります。

 

(2)経営環境及び経営戦略(対処すべき課題)

①経営環境

雇用や所得環境の改善などにより緩やかな回復が期待されております。一方で、物価上昇の継続による消費者マインドの下振れなどから個人消費が減退する懸念や通商政策などアメリカの政策動向による影響が日本の景気を下押しする大きなリスクとなっており、先行き不透明な状況が続くものと思われます。

 

②中期経営計画

当社は、10年後の想定される市場規模やスターゼングループの将来あるべき姿などから実行施策、計画数値を策定するバックキャスティングを採用した3ヵ年の中期経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)を2023年度より実行しております。

本中期経営計画では、「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」をテーマに掲げ、2024年3月期からの3年間を当社が長期的発展を果たし社会に貢献し続けるための礎の期間と位置付けております。国内のビジネスをより強いサプライチェーンに再構築するとともに、海外事業や国内成長市場への販売拡大等の新たな収益基盤を築いてまいります。併せて、環境・社会・経済をめぐるさまざまな課題解決に「食」を通じて取り組み、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めてまいります。

 

a.基本戦略について

方針

基本戦略

新規事業への挑戦

(イ)海外事業の積極展開

・スターゼン営業モデルの海外展開や海外における食肉調達力強化など

(ロ)国内成長市場へのアプローチ強化

・DtoCチャネル強化や成長市場への当社の強みを生かした商品提案など

国内事業改革

(ハ)国内事業の効率化

・製造・販売・物流拠点の再整備など

(ニ)高付加価値商品の取り組み

・スターゼンNo.1商品、Only1商品の強化など

サステナビリティ経営と
経営基盤強化

(ホ)社会課題への対応

・GHG削減、アニマルウェルフェア研究、代替肉の取り組み強化など

(ヘ) DX、業務プロセス改革

・基幹システム刷新、業務・実績の見える化及び働き方の効率化など

 

 

b.計画数値について

DX、業務プロセス改革のための先行投資による償却負担が一時的な経常利益の押し下げ要因となるものの、海外事業、高付加価値商品の構成比増により中期経営計画最終年度は売上高4,400億円、経常利益100億円、EBITDA120億円を計画。

 

c.その他定量目標

ROICの維持・向上(5.5%以上)、ROEの維持・向上(8%以上)と自己資本比率の維持(40%以上)を骨子とした計画といたします。

(イ)投資計画

中期経営計画期間(3年)合計で約400億円の投資(新規340億円、維持更新60億円)

・海外事業の積極展開    約60~120億円

・国内事業の効率化       約110億円

・高付加価値商品の取り組み    約60億円

・DX、業務プロセス改革          約50億円

・維持更新投資                  約60億円

 

(ロ)財務基盤の安定化: DER(負債資本倍率)1.0以下

 

※ROIC=(税引後営業利益+持分法投資損益)÷(有利子負債+純資産)

 

 

③優先的に対処すべき課題

第87期は、「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」をテーマに据えた新中期経営計画の最終年度となり、「基本動作の徹底とチームコラボレーションの促進」というテーマのもと、グループ社員が一丸となり、以下の課題に取り組んでまいります。

 

a.新規事業への挑戦

国内の食肉マーケットが高齢化や人口減少、物価高などにより力強さを欠く一方で、海外の食肉需要は今後も拡大することが予想され、和牛や豪州Wagyuの需要も伸びが期待されています。そうした中、当社は新たな収益基盤構築のため「国内生産品の輸出拡大」と「海外現地での生産・販売強化」に取り組んでいます。当社が国内で培ったノウハウや技術を海外で発揮し、“グループ利益の最大化”を目指します。

具体的には、昨年12月、豪州の牛肥育企業であるYORKRANGE社の買収を決定し、当社の海外展開における基幹商品である豪州Wagyuの供給力増強を図りました。また、国内での供給体制強化のため業務提携先である株式会社水迫ファームとの関係を発展させ「資本業務提携契約」を締結、日本産和牛の輸出基盤を強化しました。

今後は日本産和牛・豪州Wagyuの供給基盤や和牛の販売ノウハウを強みに中国・東南アジアをはじめとした海外市場のニーズを開拓してまいります。

 

b.国内事業改革

物価高による実質的な可処分所得の減少により節約志向が高まっており、消費者のニーズやライフスタイルの変化に着目した商品開発が欠かせなくなっています。当社は営業・製造・マーケティングなどの各部門横断のチームを編成し、消費者目線の商品開発を推進、「家庭の手作りハンバーグ」や「酒味時間」といった食卓を演出する取り組みを始めました。今後も「食の感動体験を創造する企業」としてお客さまとともに“価値ある商品づくり”を進めてまいります。

また、少子高齢化や人口減少に伴い人件費や物流コストが上昇する中、デジタル化や業務プロセス改革を通じた物流問題への対応は不可欠です。中継拠点の設置や物流網の再整備、新物流システム導入などを図り、現場の効率性向上や積載効率の向上等による物流課題の改善に取り組んでいます。加えて、関東での大型物流センター建設や伊丹営業センターの新築移転を進めており、営業拠点の再整備とあわせ戦略的に進めています。

当社は業務DX化を推進するため新基幹システムの導入を進めており、2025年6月国産鶏肉部門において先行稼働します。新物流システムと組み合わせることで販売計画・在庫・受発注・配送を一元化し、業務効率の向上を図ります。

 

c.サステナビリティ経営と経営基盤の強化

当社は2024年4月、変化の激しい時代に対応し、従業員が多様な価値観や能力を尊重しあいながら力を発揮するために経営理念を刷新しました。現在は、内容を理解する段階から従業員一人一人が自らの業務と結び付けて「行動に移す」浸透フェーズに移行しています。「食」を通じて社会課題の解決と企業価値の向上に取り組みつつ、従業員が活き活きと活躍できる仕組みを構築してまいります。

また、当社では人への投資を成長エンジンと位置づけ、従来の階層別や職種別研修の強化に加え、中長期で活躍できる人材の育成を目的とした次世代リーダー育成研修や、全社員を対象としたオンライン学習プログラムを導入しました。自ら考え、自ら動く自律自走型の企業文化を醸成してまいります。

加えて、サステナブルな事業運営においては、当社グループの掲げる2030年度に向けた温室効果ガスの削減目標が、パリ協定で定められた「1.5℃目標」と整合しているとして、国際認定であるSBT認定を受けました。引き続き強固かつ持続可能な経営基盤の構築に向けてサプライチェーン全体の温室効果ガス削減に取り組むとともに、企業価値向上にむけたサステナビリティ経営を推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりです。文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進するためにサステナビリティ委員会を取締役会の諮問機関として設置しております。当委員会はサステナビリティの管掌取締役を委員長とし、委員は関連部門の責任者と社外役員で構成され、原則として年に4回開催して、グループ全体のサステナビリティの方針の検討や施策の進捗状況を、取締役会に都度報告しております。

また、当委員会で識別したサステナビリティにおけるリスクについては、当社グループ全体のリスクの評価とモニタリングを行うリスク管理委員会に共有がされております。リスク管理委員会はそれを他のリスクと合わせて取締役会に報告をしております。

これらにより、グループ全体でサステナビリティに関する意識を共有し、施策の実効性を高めてまいります。

気候変動への対応についても重要課題のひとつに位置づけ、サステナビリティ委員会で施策を検討し、モニタリングを行いながらPDCAを管理してまいります。

 

②戦略

当社は2023年度からスタートした中期経営計画のテーマとして「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」を掲げております。これには、気候変動や人権、食糧安全保障など、サプライチェーンを通じて様々なリスクが顕在化する懸念が高まるなか、収益を追求しつつ社会的責任を果たすことで企業としての持続性を高めていきたいとの思いを込めております。

当社グループは、2022年2月に持続可能な社会の実現のために中長期的に取り組むべき「重要課題」を特定しました。「重要課題」は5つのテーマで構成されており、中期経営計画の中で取り組む戦略となっております。これらの解決に向けた取組みが当社の事業リスクを低減し事業機会につながることで、中期経営計画の達成を確かなものにしていくと考えております。

 

③リスク管理

サステナビリティ関連のリスクを含む、グループ全体のリスクに関しては「リスク管理規程」に則ってリスク管理委員会のもとで四半期に一度検討・評価をしております。

ここではあらゆるリスクについて発生頻度と損害規模の側面から評価・分析をしております。その上で、課題を洗い出し、本部単位で対策レベルを引き上げるための検討を行い、施策を講じております。そして特に重要なものは取締役会に報告しております。

サステナビリティ委員会で議論・識別された課題はリスク管理委員会に伝達し、その他のリスクとともに協議・評価され、取締役会に報告されております。

 

④指標と目標

当社グループが掲げる経営理念「食の感動体験を創造することで世界中の人々と食をつなぎ続ける」を達成し、重要課題に取り組んでいきます。各重要課題に対しては目標を掲げており、取組状況の管理指標を設定しております。気候変動については、温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を下記「(2)気候変動への対応④指標と目標」に記載の通りに設定しており、その他の課題についても同様に指標と目標を設定し、取組みの進捗状況を管理してまいります。

 

(2)気候変動への対応

当社グループの事業は国内外における家畜の「いのち」を起点としており、その健康的な成育環境の確保には、気候変動との非常に強い関わりがあります。当社グループの安定的な供給基盤の確立には自然環境の保全が重要であるとの認識のもと、重要課題の一つに気候変動を特定しました。

今後は、重要課題への取組みを通じて気候変動が当社グループに与える影響を的確に把握するとともに、TCFD 提言に基づいて積極的な情報開示を進めてまいります。

①ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般の活動に関するガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

当社グループでは、産業革命前に比べ2100年までに世界の平均気温が1.5/2℃上昇することを想定したシナリオと4℃上昇することを想定したシナリオで、2050年において当社グループを取り巻く経営環境を整理し、そのシナリオのもとで当社グループの事業に影響を与える気候変動リスク・機会を特定し、特に大きな影響を与えうる重要リスク・機会を絞り込みました。その上で、当該リスク・機会が与える財務影響を試算し、当該影響に対する対応策を検討いたしました。今後この検討結果を戦略に反映し、取り組んでまいります。

 

 

[重要性が高いと評価したリスク・機会及び財務影響、当該影響に対する対応策]

タイプ

リスク/機会項目

事業への

インパクト

財務影響

※1

影響 発生 時期

※2

対応策

大項目

小項目

リスク/機会

1.5/2℃

4℃

移行

リスク

/

考えられる機会

政策

/

規制

炭素価格の上昇

炭素税負担、  又は仕入先が炭素税を負担することによる  仕入コスト増

ND

短期

・再エネ導入、省エネ対応

・バリア性スキンバック包装

 真空包装等による賞味期限

 延長

・温室効果ガス削減施策

市場

消費者嗜好の変化

[リスク]

環境負荷が高い製品の需要減少

[機会]

環境負荷が低い製品の開発、  代替たんぱく質ニーズの増加

ND

中期

・サステナブルビーフの認証等

  低炭素製品の開発

・需要増に備えた生産体制・

  販路の構築

・ゼロミートの販売

物理的

リスク

/

考えられる機会

慢性

平均気温の上昇

家畜への悪影響

ND

長期

・アニマルウェルフェア

・畜舎における冷房設備の導入

・仕入先への飼料生産環境整備

 に対する協力等

飼料や原料調達への悪影響

ND

長期

・仕入先への水災害対策支援

・調達手段の多様化

冷蔵・冷凍・  空調に係る電気代の上昇

ND

長期

・省エネ、高効率生産・業務用

 設備の導入、切替え

 

※1 財務影響:気候変動のリスクと機会が、企業の業績や資産価値に与える金額的な影響

※2 凡例

短期:1~3年/中期:3~10年/長期:10年以上

大:10億円以上 中:10億円未満

※3 ND:影響なし又は少額

 

③リスク管理

気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティに関連するリスクに含めて管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ全般③リスク管理」を参照ください。

 

④指標と目標

当社グループでは温室効果ガス排出量(スコープ1・2)の削減目標を2022年3月期を基準として2031年3月期末までに42%削減することとしております。

上記目標に対して、当社グループの温室効果ガス(GHG)排出量の推移は以下のとおりです。今後も引き続きカーボンニュートラルに向けた排出量削減に取り組むことにより、気候変動影響の緩和と適応を推進してまいります。

 

スコープ1・2排出量

 

 

 

 

単位:排出量(t-CO2e)

スコープ

項目

2022年度

2023年度

2024年度

スコープ1

直接排出

28,145

26,700

24,935

スコープ2

間接排出(マーケット基準)

32,261

33,814

34,068

 

(注)1.対象範囲はスターゼンに加え、連結子会社全てを含む

2.2023年度より、当社のCO₂排出量の算定対象活動範囲を拡大しました。この変更に伴い、過年度のデータについても一部遡及して再計算を行いました。具体的には、2022年度のCO₂排出量データを新しい算定方法に基づいて修正しております。

 

スコープ3排出量

 

 

 

単位:排出量(t-CO2e)

スコープ

カテゴリ

項目

2024年度

スコープ3

1

購入した製品・サービス

5,343,062

2

資本財

11,429

3

Scope1,2に含まれない燃料及び

エネルギー関連活動

3,789

4

輸送、配送(上流)

88,876

5

事業から出る廃棄物

764

6

出張

215

7

雇用者の通勤

563

8

リース資産(上流)

9

輸送、配送(下流)

6,580

10

販売した製品の加工

44,720

11

販売した製品の使用

2,058

12

販売した製品の廃棄

1,000

13

リース資産(下流)

14

フランチャイズ

15

投資

合計

5,503,056

 

※対象範囲:スターゼン単体におけるスコープ3

 

(3)人的資本

①人材戦略

当社グループでは人的資本に関する基本的な考え方として経営理念に「スターゼンで働いてよかったと思える会社にしよう」「仕事を通じて自ら成長しよう」を掲げており、持続的成長・企業価値向上には人的資本への投資拡充が欠かせないものと考え、「人材の最適ポートフォリオ構築」をテーマに、以下の三つを軸に制度・社内環境の整備に取り組んでおります。
 1.リスキリング・戦略的な要員計画
 2.成長事業への人材投資(社内公募制、異動の活性化)
 3.既存事業効率化(DX推進、知識習得)

 

②多様性と社内環境整備

当社では多様な人材がその意欲・能力に応じて活躍出来る環境が組織の強化に必要と考え、新卒採用・中途採用の区別無く、能力と業務成果により積極的に適材適所の人材配置・登用することとしています。
 その結果、管理職ポストにおける中途採用者の割合が4割に達し、組織の活性化に繋がっております。
 

また、社内環境整備として、人材を新たに育成したい部署と、その部署での就業を希望する意思と能力をもった社員をマッチングする「社内公募制度」や、勤務場所(エリア)が選択できる「コース別人事制度」を導入しており、社員が自身のキャリア形成やライフステージに合わせた働き方を主体的に考えることができる環境を整備しています。
 

その他、安心して長く働けるための取り組みとして、各種グループ保険の導入・拡充(医療保険・がん保険・長期障害所得補償保険(GLTD保険)・死亡保険)や人間ドック受診費用の会社補助の範囲拡大を進めるとともに、健康診断で有所見の社員の再検査・精密検査の受診率向上のため、WEB受診制度を導入し従業員の健康管理強化を図っております。加えて、親の介護や子の看護により長期にわたり業務を離脱せざるを得ない場合でも、離職することなく長く働ける環境を整備すべく、失効する有給休暇の一部を積み立てておける積立保存休暇制度を導入いたしました。

 

③研修制度

当社ではあらゆる物事を自分事にとらえ、自分の意志で考えて行動・判断が出来る「自律した社員の育成」が重要と考え、「学ぶ組織風土の醸成」をテーマに、各階層(職位・年次等)で必要なスキルやマインド、自身の役割への理解を進めるための「階層別研修」と、経営幹部育成等目的別の「選抜研修」の二つを軸に研修を行っております。

主な選抜研修

主な階層別研修

経営幹部育成研修

次世代経営リーダー育成研修

ビジネスリーダー研修

 

新任管理職研修

新任チームリーダー研修

5年目研修

3年目研修

新入社員研修

中途採用研修

 

 

④当社における男女の賃金差異の状況について

当社の賃金体系には性別の違いによる差はありませんが、女性活躍推進法に基づき算出された男女の平均賃金には差異が生じております。その主な要因として、管理職層で女性社員の割合が少ないことと、平均勤続年数において男性より女性が短いことが挙げられます。
 現在、女性管理職比率引き上げを目標として研修等の取り組みを進めていることと、仕事と育児の両立しやすい環境整備によって中長期的には男女の賃金差異は縮小していくと考えております。

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

労働者の男女の賃金の差異(%) ※

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

5.5

64.7

74.1

59.4

 

※「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

 

男性

女性

平均勤続年数(年)

14.1

10.2

 

 

⑤指標及び目標

指標

目標

2024年度実績

管理職に占める女性労働者の割合

2027年度末まで10

5.5

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、当社グループでは、「リスク管理規程」に従い、「リスク管理委員会」においてグループ全社的なリスク管理・推進に関わる課題・対応策を協議するとともに、リスク管理部門を中心に事業を取り巻くさまざまなリスクに対する的確な管理と顕在化したリスクへの対応等を可能とする体制を整えております。

以下、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)食の安全について

当社グループは、人々の生活に必要不可欠な食品を取り扱っており、食品の安全性の確保が社会に対する責務であると認識しております。当社グループは、当該責務を果たすために食の安全性確保のための様々な取り組みを推進しておりますが、社会全般にわたる品質問題等、取り組みの範囲を超えた事象が発生するリスクがあります。また、食品衛生、安全衛生の両基準に従って、万全の注意をもって製品の製造をしておりますが、製品の欠陥が生ずるリスクを完全に回避できる保証はありません。

当該リスクが顕在化した場合、大規模な製品回収や製造物責任賠償の発生、社会的信用の失墜等により、多額の費用負担や販売量の減少等を招き、ひいては当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループは、食品の「安全性」と「品質」を確保するために、現在57ヵ所の事業所が『SQF』(Safe Quality Food)を取得し、安全・安心な食品を提供する体制を構築しております。また、会社組織として品質保証本部を設け、グループ各所に当本部員を配置することで、当社グループの品質管理・保証を統括して管理する体制を整えております。なお当社グループは、食の安全・安心の確保について最重要取組課題の一つと認識しており、今後も品質管理・保証体制のさらなる強化を図ってまいります。

 

(2)食肉需給の変動について

当社グループの主要取扱商品である食肉につき、異常気象による家畜の生育遅れや家畜疾病発生により調達量が減少するリスクがあります。また、国内外の需給変化により食肉相場が大幅に変動するリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、食肉の調達量の減少や調達価格の上昇、あるいは販売価格の低下により売上総利益の減少を招く可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループでは、当社国内関連農場の地理的分散化、多数の国内協力生産者からの調達や複数国からの輸入により家畜疾病等による調達量減少リスクを分散化しております。また、食肉相場の変動リスクに対しては、先の食肉需給の変動を見込んだ調達や、適正水準での在庫管理の徹底、より付加価値の高い食肉製品の開発・販売の強化に取り組むことでリスク低減を図っております。

 

(3)伝染病や感染症等の流行拡大について

伝染病や感染症等が発生し蔓延が長期化する場合には、景気の冷え込みによる消費者の低価格志向の高まり、外食需要の低迷、海外の需給バランス変化による輸入商材の大幅な価格変動、取引先の信用不安の高まり等のリスクが想定されます。また、当社グループ従業員に感染が確認された場合には、一部操業停止等により商品供給が停滞するリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、相対的に高価な和牛や外食産業向け業務用製品の販売不振、商品調達コストの高騰、売上債権の貸し倒れ、操業停止に起因する販売機会の喪失等により、営業利益の減少を招く可能性があります。

このようなリスクがある状況下においても、当社は生活に必要不可欠な食品を安定的に供給する責務があると認識しており、以下の対策を講じながら当該責務を果たしてまいります。

 

 ・手洗い、うがいの徹底した啓蒙活動。毎日の検温。
 ・在宅勤務、テレワークの推奨。Web会議の環境構築及び促進
 ・感染者が発生した場合のBCP対策
 ・債権管理の徹底及び資金管理

 

 

(4)公的規制について

①アフリカ豚熱、豚熱、BSE(牛海綿状脳症)、口蹄疫、鳥インフルエンザをはじめとする家畜疾病の発生に伴い、輸入や移動の規制を受けた場合、需給バランスに大幅に影響し、相場が急激に変動するリスクや商品調達が制限されるリスクがあります。

②関税に係るセーフガード等の規制が発動された場合、相場が急激に変動するリスクや商品調達が制限されるリスクがあります。

③当社商品は品質表示関連の法規制の適用を受けており、将来において新たな規制が設けられた場合には、当該規制への追加対応が必要となるリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、調達コストの増加や販売機会の喪失、新たな規制へ対応するための費用発生等により営業利益の減少を招く可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループは、多数の国内協力生産者からの調達や複数国からの輸入によりリスクの分散を図っております。また、当社グループは会社組織として品質保証本部を設けており、品質管理と品質表示について常に厳重なるチェックを行うとともに、新たな公的規制に対しても適切かつ迅速に対応できる体制を整えております。

 

(5)自然災害や気候変動について

大地震、火災などの自然災害やそれに伴う大規模停電、大型の台風、豪雪などをはじめとする異常気象が発生し、生産設備や保管設備、出荷に使用される道路、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧までに生産、出荷が長期間に亘り滞るリスクがあります。それに付随して国内需給バランスが乱れ食肉相場が大幅に変動するリスクがあります。また、自然災害により、従業員や事務所・設備に対する被害が発生し当社グループの事業運営が困難になるリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、出荷の滞りによる売上高の減少や相場の変動による売上総利益の変動、保管在庫の品質低下や当社設備の破損により一時的な損失を計上する等の影響を受ける可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループでは、全国各地に食肉製品の製造・保管・販売拠点を有しており、当該リスクが顕在化した場合でも一定程度相互補完できる体制を整えております。

 

(6)海外進出について

当社グループは、北米、欧州、オセアニア、アジアなどの日本国外でも事業活動を行っており、今後も海外事業のさらなる強化を図ってまいります。しかしながら、海外での事業活動を拡大していく上で、当社グループは以下を含む様々な要因による制約を受けるリスクがあります。

 

 ・契約条項などの商慣習の相違
 ・法律又は規制の変更
 ・テロ、戦争、伝染病、自然災害などによる社会的混乱
 ・予期せぬ水準での市場・為替レートの変動
 ・不利な政治的及び社会的要因
 ・対日感情、地域住民感情
 ・知的財産、技術の流出

 

当該リスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に様々な制限が生じ財政状態、経営成績の悪化を招く可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループは、新たに海外進出する際に、対象国に関する情報収集とメガトレンド分析等による情報整理に努め、リスクの程度を見極めながら意思決定を進めてまいります。また、万が一社会的混乱が発生した場合には、速やかに駐在社員及び家族の安全確認を行うとともに、現地政府及び日本国大使館の指示に従い、身の安全を図るよう指示・教育してまいります。

 

(7)コンプライアンスについて

役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合、当社グループの社会的信用を失うリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動の広範囲に制約を受け、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループは、コンプライアンス委員会の設置をはじめ、コンプライアンス体制の整備を行うとともに、グループ共通のコンプライアンス規程、行動規範と行動指針を全役職員に周知するなど、コンプライアンス意識の醸成と向上を図っております。

 

(8)情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を行う上で多種多様の情報を取り扱っております。このような状況下、予期できない水準の自然災害、長期間の停電、コンピュータ・ウイルスの感染や不正アクセスなどにより、情報の漏えい、情報の破壊・改ざん・消失、情報への長期間のアクセス制限等が発生するリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、機密情報の漏えいなどにより社会的信用を失うことや、情報の完全性・可用性の喪失により事業活動が広範囲に制約を受けることで、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループは、主に次のような対策を講じております。

 

・「情報システム/セキュリティ規程」を設け、個人情報(特に顧客情報)や機密情報の安全管理と漏洩防止、適切なセキュリティ対策を実施

・当社グループ役職員に対して、定期的にITセキュリティ研修や教育啓発活動を実施

・遠隔でデータを削除する仕組みを導入し、端末の紛失や盗難の際にも被害を低減させることが可能。また、万が一ウイルスに感染した場合も即座に隔離し、感染の拡散を防ぐ仕組みを構築

・情報システムのサーバを国内2箇所に設置し常時データを同期させることで、一方に災害等の被害が発生した場合でも他方のサーバによって、事業継続を担保できるようリスクを分散化

 

 

(9)環境保護について

当社グループは事業活動を行う上で、事故・過失等による環境汚染やそれに対する損害賠償責任の発生、あるいは社会的な環境保護に関する追加要請を受けるリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、環境の原状回復に係る費用負担や、損害賠償金の支払い、社会的追加要請に対する費用負担、もしくは社会的要請に応えられない場合の社会的信用の失墜等により、当社グループの利益減少を招く可能性があります。

このようなリスクに対し、当社グループは、環境関連規制を遵守するとともに、近年社会的に強く要請されている環境に配慮した経営につき、一例として次のような取り組みを推進しております。

 

 ・消費期限延長技術、食品循環飼料を用いた養豚事業による食品ロス低減への取り組み
 ・モーダルシフト、営業冷蔵庫集約、営業車両輸配送ルートの再構築、低排出ガス車への順次切り替え
 ・サステナビリティ委員会を設置、TCFD賛同、GHG削減委員会における温室効果ガス削減に向けた 

 KPI策定、施策立案、省エネ活動推進

 

 

(10)為替について

当社グループは、原材料及び商品の一部の輸出入取引を外貨建で行っており、また、海外関係会社の財務諸表は外貨建で作成されております。従いまして、当社グループは外国為替相場の変動に係るリスクを有しております。

外国為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る収益費用及び外貨建債権債務の円換算額に影響を与え、海外関係会社の財務諸表の円貨への換算において当社グループの財政状態、経営成績に影響を与えます。

当社グループは、外国為替相場の変動による輸出入取引に係る影響を軽減するため、為替予約を行っておりますが、想定した範囲を超えた為替変動が起こった場合、軽減の効果が十分に得られない可能性があります。

 

(11)固定資産の収益性の低下について

当社グループが保有する固定資産は、投資時に想定していなかった、世界的な需給変動による調達コストの上昇や、人手不足による製造コストの上昇、国内市場の縮小による競争激化等の環境変化に起因する収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなるリスクがあります。

当該リスクが顕在化した場合、回収可能価額まで対象固定資産の帳簿価額を減額するとともに、減損損失を計上することとなります。

当該リスクに対し、当社グループは、重要な投資を行う際に、関係各部門から集めた委員による投融資審査会を開催し、投資計画の前提条件を含めた妥当性を検証することでリスクを最小限に抑えるよう努めております。また投資後は、継続的な投資効果のモニタリングと計画実績の差異分析により、適切な改善策を講じてまいります。

 

(12)人材の確保・育成について

少子高齢化に伴う労働人口の減少、雇用環境の変化による人材流出等を受け、企業の人材確保及び人材育成はますます難しくなっており、当社グループが必要とする従業員数の確保や人材育成が出来なかった場合、当社グループの競争力低下や製品・商品の供給不足等を招き、当社グループの業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

このようなリスクに対し、当社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、経営理念に「スターゼンで働いてよかったと思える会社にしよう」、「仕事を通じて自ら成長しよう」を掲げ、多様な人材が活躍できる職場環境の整備、人材育成に繋がる評価制度・教育研修を推進してまいります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績

当連結会計年度における日本経済は、雇用環境の改善や訪日観光客の増加などを背景に、緩やかな回復基調で推移しました。先行きについては、雇用や所得環境の改善などにより引き続き回復が期待されるものの、物価上昇の継続による消費者マインドの下振れなどから個人消費の腰折れが懸念される状況です。また、アメリカの通商政策動向による影響が日本の景気を下押しする大きなリスクとなっており、先行き不透明な状況が続くものと思われます。

 

食肉業界では、乱高下する為替相場や飼料価格の高止まりに加え、各地の豚熱発生や猛暑による国産豚肉の生産量減少により豚肉相場が急騰した影響もあり、厳しい調達環境となりました。販売環境においては、インバウンド需要の回復はあるものの、全体的な価格高騰の中で比較的安価な食肉に消費が移行しており、食肉全体としては力強さに欠ける厳しい事業環境が続いております。

 

このような状況下、当社グループは「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」をテーマに据えた中期経営計画の2年目を迎え、計画達成に向けた施策に取り組んでまいりました。

 

海外販売強化策として、当社の輸出向けブランドである「AKUNE GOLD」を“日本の食品”輸出EXPOをはじめ多くの国内外の展示会に出展し拡販を進めました。また、豪州産Wagyu協会が開催したコンテストでは当社ブランドの八桜牛が金賞、御櫻牛が銀賞・銅賞をそれぞれ受賞、今後の販売拡大につなげてまいります。

加えて、供給基盤の強化策として、豪州Wagyuの肥育企業であるYORKRANGE社の株式取得に関する決議をしました。さらに国内では、「AKUNE GOLD」を生産する株式会社水迫ファームとの業務提携契約を発展させ、「資本業務提携契約」を締結し、和牛の輸出基盤を強化しました。今後は日本産和牛・豪州Wagyuの供給基盤を活かし、欧米や中国、東南アジアをはじめとした海外市場において販売拡大を目指してまいります。

国内においては、「2024スターゼングループ秋冬商品提案会」を初めて開催し、当社の商品技術や強みを活かした新商品を提案、プロセスセンター及びスキンパックの機能を活かした人手不足対策や海外進出サポートに関する取り組みなどを紹介しました。加えて、物流の2024年問題への対応として、新たな中継拠点の設置や物流網の再整備、新規物流システムの導入などに取り組み、物流効率化に注力しております。また、当社連結子会社であるスターゼンロジスティクス株式会社が港区に保有していた物件を売却し、その代替資産として東西に物流・営業拠点を担う2拠点を新設することといたしました。引き続き当社グループの資産効率向上を図ります。

サステナブルな事業運営においては、当社グループの掲げる2030年度に向けた温室効果ガスの削減目標がパリ協定で定められた「1.5℃目標」と整合しているとして、国際認定であるSBT認定を受けました。強固かつ持続可能な経営基盤の構築に向けてサプライチェーン全体の温室効果ガス削減の取り組みを進めてまいります。

 

資本コストや株価を意識した経営を実現する施策として、①配当方針の明確化(DOE目標の設定)②株式の売出し③自己株式取得④株式分割⑤従業員向け譲渡制限付株式(RS)付与制度導入を決定し、取り組んでまいりました。今後も中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は436,112百万円(前期比6.2%増)営業利益は9,046百万円(前期比0.8%増)、経常利益は10,661百万円(前期比1.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,197百万円(前期比62.4%増)となりました。

 

 

事業部門別の営業概況は、次のとおりです。

(単位:百万円)

各事業部門の売上高

当連結会計年度

前期

増減額

増減率(%)

食肉関連事業

432,778

407,203

+25,575

+6.3

食肉

343,369

323,739

+19,629

+6.1

加工食品

78,385

71,685

+6,700

+9.3

ハム・ソーセージ

9,173

9,610

△436

△4.5

その他

1,850

2,168

△318

△14.7

その他の事業

3,334

3,330

+3

+0.1

 

 

また、部門別の業績は次のとおりであります。

(食肉)

国内事業は、物価高による実質的な可処分所得の減少により消費マインドが低下し、国産鶏肉などの比較的安価な食肉への需要シフトの動きがみられました。一方で、和牛の海外輸出が堅調に推移したことから国産牛肉の収益が改善しました。以上の結果、売上高、売上総利益ともに前期を上回りました。

カテゴリー別の業績は次のとおりです。

国産食肉においては、節約志向の高まりや国産豚肉の相場高などの要因により、取扱量は前期を下回り、売上高については前期を上回りました。売上総利益は、国産牛肉・国産鶏肉の相場が安定していたことから前期を上回りました。

輸入食肉においては、現地相場高や円安により輸入食肉価格が高止まりしたことから、取扱量は前期を下回りました。一方、輸入食肉価格が全般的に高騰する中、幅広い品ぞろえで販売に取り組んだ結果、売上高・売上総利益ともに前期を上回りました。

輸出事業は、国内外の展示会に積極的に出展し、当社の輸出専用ブランド「AKUNE GOLD」の販売拡大を図ったことで、台湾、ヨーロッパ向け輸出が特に好調に推移しました。

 

(加工食品)

加工食品は、ハンバーグ商品群やローストビーフ関連商品が堅調に推移したため、取扱量・売上高・売上総利益は前期を上回りました。

 

(ハム・ソーセージ)

ハム・ソーセージは、原材料価格のコスト上昇を踏まえ、価格改定や商品の統廃合、工場オペレーションの改善に努めたものの、取扱量・売上高・売上総利益は前期を下回りました。

 

b. 財政状態

イ. 資産

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて、6,180百万円増加し111,416百万円となりました。これは、主として現金及び預金が減少したものの、商品及び製品、売掛金が増加したことによります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べて4,560百万円増加し60,493百万円となりました。これは、主として建設仮勘定が増加したことによります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末と比べて、10,735百万円増加し171,916百万円となりました。

 

ロ.負債

流動負債は、前連結会計年度末と比べて、4,144百万円減少し50,268百万円となりました。これは、主として短期借入金が増加したものの、買掛金、未払金、1年内返済予定の長期借入金が減少したことによります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて、4,134百万円増加し32,900百万円となりました。これは、主として長期借入金、繰延税金負債が増加したことによります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べて、10百万円減少し83,168百万円となりました。

 

ハ.純資産

純資産合計は、前連結会計年度末と比べて、10,745百万円増加し88,747百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物は、前期末残高に比べ741百万円減少し、16,081百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益があるものの、棚卸資産の増加、売上債権の増加等により2,264百万円の支出となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出があるものの、固定資産の売却による収入等により613百万円の収入となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出、配当金の支払があるものの、長期借入れによる収入等により811百万円の収入となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食肉関連事業

133,504

106.4

その他の事業

1,989

99.0

合計

135,493

106.2

 

(注) 金額は生産価額によっております。

 

b. 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食肉関連事業

260,460

109.6

その他の事業

3,036

113.8

合計

263,496

109.7

 

(注) 1.金額は仕入価額によっております。

 2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c.  受注実績

    当社グループは受注生産を行っておりません。

 

d.  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食肉関連事業

432,778

106.3

その他の事業

3,334

100.1

合計

436,112

106.2

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、当社は生産肥育から食肉の処理加工、製造、販売に至るまでの事業を主に国内で行う「食肉関連事業」を中心に事業活動を展開しており、報告セグメントは「食肉関連事業」のみであり、その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、セグメントごとの記載を省略しております。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 概要及び売上高

4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。

 

b. 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は前連結会計年度と比べて24,571百万円増加し、394,230百万円となりました。これは主に、前連結会計年度と比べ、輸入食肉のコストが増加したことによります。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べて939百万円増加し、32,836百万円となりました。これは主に、運賃、人件費、保管料等が増加したことによるものです。

 

c. 営業利益

営業利益は前連結会計年度と比べて68百万円増加し、9,046百万円となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が増加したものの、和牛の海外輸出が堅調に推移し、国産牛肉の収益が改善したことによるものです。

 

d. 営業外損益

営業外損益は前連結会計年度と比べ、営業外収益が305百万円増加2,964百万円に、営業外費用が495百万円増加1,349百万円となりました。

これは主に、営業外収益については、持分法による投資利益が増加したことによるものです。営業外費用については、支払利息、債務保証損失引当金繰入額が増加したことによるものです。

 

e. 特別損益

特別損益は前連結会計年度と比べ、特別利益が7,542百万円増加7,860百万円に、特別損失が867百万円増加935百万円となりました。

これは主に、特別利益については固定資産売却益が増加したことによるものです。特別損失については、生産事業構造改善費用、固定資産売却損が増加したことによるものです。

 

f. 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて4,685百万円増加し、12,197百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の128円88銭に対し、208円87銭となりました。

なお、当社は2025年4月1日を効力発生日として1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、「1株当たり当期純利益」を算定しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.  キャッシュ・フローの状況の分析

4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

 

b.  資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備資金等であります。

 

 

c.  有利子負債(リース債務を除く)

2025年3月31日現在の有利子負債(リース債務を除く)の状況は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

合計

1年以内

1年超2年以内

2年超3年以内

3年超4年以内

4年超5年以内

5年超

短期借入金

7,204

7,204

長期借入金

29,707

9,016

7,956

6,606

3,988

1,863

276

社  債

5,000

5,000

 

 

d.  偶発債務

当社グループの第三者に対する保証は、関連会社の借入金等に対する債務保証であります。

保証した借入金の債務不履行が保証契約期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があります。2025年3月31日現在、当社グループの債務保証に基づく将来において追加的に損失負担する可能性がある額の合計は3,925百万円であります。

 

e.  財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金等の資金需要について、内部資金又は借入や社債による資金調達により対応することとしております。

また、グループ全体の資金効率を高めるため、2003年3月以降、主要子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、資金集中及び配分を行い、余剰資金の発生を抑制しております。合わせて、2023年1月、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとして金額10,000百万円(期間3年)のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を10の金融機関と締結いたしました。これにより中長期的に手元流動性を補完し、より安定的かつ効率的な資金運用及び調達を可能にしております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高10,000百万円)。
 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(1)株式譲渡契約の締結

当社は持続的成長の実現に向けて、2023年度を初年度とする中期経営計画で「新規事業への挑戦」を掲げています。その戦略の一つが「海外事業の強化」であり、豪州Wagyuをはじめとする豪州産牛肉の取扱いを拡大させています。

当社は、豪州の牛肥育企業である BROAD WATER DOWNSPty Ltd の発行済全株式を保有している YORKRANGE Pty Ltd の発行済全株式を取得し子会社化することを取締役会にて決議し、2024年12月4日付で株式譲渡契約を締結しました。

今回の株式取得(子会社化)により、豪州Wagyuの生産に直接関与しつつ、中国や東南アジアを中心とした第三国への販売までトータルに手掛けることが可能となり、サプライチェーン強化に資するものと考えています。

 

(2)定期建物賃貸借契約の締結

当社は「中期経営計画(2023 年度~2025 年度)」において、「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」をテーマとし、基本戦略の柱の一つに「物流拠点の再整備」を掲げており、その具体策の一つとして、東西に物流・営業を担う2拠点の新設を予定しております。

当社は、東の拠点として詳細を計画してまいりました、株式会社ダイワコーポレーションが川崎市の東扇島に建設中の物流センターについて、2025年2月14日付で同社との間で「定期建物賃貸借契約」を締結いたしました。

当該施設は、保管能力が従来の 2.5 倍になる他、保税倉庫認証取得によって当該業務拡大を目指し、物流効率化によるコスト抑制や CO₂排出量削減なども可能となります。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、経営理念「食の感動体験を創造することで世界中の人々と食をつなぎ続ける」を基本に、繁殖・肥育事業に関する基礎研究から、ハム・ソーセージや加工食肉などの食肉関連商品に至るまで、精力的に研究開発活動を行っております。

 

(受精卵移植事業に関する基礎研究)

飼料穀物価格が高止まる中、畜産業界につきましては畜酪農家の生産コスト低下の兆しが見えず、依然として厳しい経営環境が継続しております。 

当社グループでは、鹿児島の受精卵研究所にて産学連携により生産される黒毛和種受精卵を活用し、酪農事業と肉用牛事業が融合した乳肉一貫生産の確立を図り、酪農家の収益拡大と肉用牛肥育農家の子牛確保を目的に持続可能な循環生産の構築を進めております。 

また、南九州及び北海道受精卵移植酪農家の拡大に向け、受精卵の生存率、受胎率の向上が期待される新たな凍結保存手法の検証等に取り組みながら、引き続き酪農業との協業を推進してまいります。 

 

(食肉関連商品に関する研究開発)

 前年に引き続き原材料高騰が続き、値上げや配合の変更で対応しております。また、廉価アイテムについても需要が増加しております。

 そのような環境の中、他社と比較しても優位性があるハンバーグの加工技術向上に努めております。ハンバーグブランディングチチームを営業・製造部門で構成、添加物をできるだけ減らし素材を生かす配合に見直しを行いました。 

 連結子会社であるローマイヤ株式会社においては、ニーズの高まる外食・中食向け商品の差別化の図れる商品の開発も、更に品質を高めるべく商品研究に努めております。 

 

当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は94百万円であり、主として食肉関連事業の研究開発活動における支出であります。