第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における我が国の経済は、昨年10月の日銀による追加金融緩和によって急激な円安で幕を開けました。輸出企業の収益は回復基調となり、個人消費にも底堅さが出てきましたが、一方で、原材料等を輸入する企業にとってはコストアップ要因となり、厳しい環境が続きました。世界経済につきましては、リーマンショック以降を牽引してきた中国の成長力の減速は明白となり、それを起因として新興国経済にも先行き不透明感が強まったことで、米国の政策金利引き上げ時期が先送りになるなど、予断を許さない状況になってきました。当社グループが係る食品関連業界では、停滞していた消費にようやく回復の兆しが見え始めたものの、円安や原材料高騰などの影響は引き続き残り、総じて厳しい事業環境で推移しました。

 このような状況のもと当社グループは、平成26年10月にスタートさせました第五次中期経営計画「Flap The Wings 2017」(3ヵ年)に基づき、冷蔵倉庫事業では「“COOL”ネットワークのリーディングカンパニー」を目指し、食品販売事業では「安定的な利益追求を基本としながらも、強みのある商材を全社的に展開する」ことを命題として、事業運営方針の各施策に注力してまいりました。

 冷蔵倉庫事業は、前期から当期に掛けて新設した4つの物流センターが順調に稼働しており、減価償却費等の経費の大幅増加を概ね吸収したものの、当期初の計画には若干の未達となりました。食品販売事業は、当期初の急激な円安により輸入商材の利益率が大きく悪化し、計画値には大きく未達となりましたが、不採算在庫の処分は収束し、業績回復の途上にあります。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の連結経営成績は、売上高154,767百万円(前期比9.3%増)、営業利益3,874百万円(前期比5.6%減)、経常利益4,039百万円(前期比1.5%減)、当期純利益2,517百万円(前期比37.1%増)となりました。

 セグメントごとの業績は次のとおりです。

 

①冷蔵倉庫事業

 第五次中期経営計画の主要戦略である「保管・物流拠点化」、「全国ネットワーク化」の推進に注力しました。当期は、新設した4つの物流センターの減価償却費が通年で計上され、また、立ち上げ時の臨時費用など経費の大幅増加によって当期初の計画値には若干の未達となりましたが、足元の実勢は収益拡大基調を維持しています。

 貨物の取扱状況は、入庫取扱量は約46千トンの増加(前期比3.9%増)、出庫取扱量は約30千トンの増加(前期比2.4%増)、平均保管在庫量は約241千トンの増加(前期比8.0%増)となりました。特に、畜産品の入庫が好調で保管在庫量の押し上げ要因となりました。また、タイ国の連結子会社タイヨコレイ㈱においては、前期新設したワンノイ物流センター2号棟がフル稼働状態に達し、同社の他の物流センターも高水準の在庫を維持して順調に推移しています。

 以上の結果、冷蔵倉庫事業の業績は売上高24,139百万円(前期比8.3%増)、営業利益4,748百万円(前期比0.9%減)となりました。

 

②食品販売事業

 当セグメントは、当期初から高値推移していた食品相場において、急激な円安が重なり、大変厳しい事業環境でスタートいたしました。しかしながら、不採算在庫の圧縮を徹底し、戦略的商材については積極的な販売を展開したことにより、当第3四半期以降は回復基調に転じました。

 水産品は、メリハリをつけた販売戦略の実施により増収増益となりました。品目別では、ホタテ・カニ・サバ等は取扱量増加と輸出促進策が奏功して増収増益、ウナギは適正在庫を確保し着実な販路拡大によって減収ながらも大幅増益、エビ・鮭鱒類は不安定相場が続き取扱量を抑制したため減収減益となりました。畜産品は、全般的に市場の高値基調が続き、利益率が悪化したことにより増収減益となりました。品目別では、ポークおよびチキンは不採算商材を抑制するも国内市場の供給過多により増収減益、ビーフは高値推移が続き需要減退のため減収減益となりました。農産品は、天候不順の影響を受け取扱量が減少したため減収減益となりました。

 以上の結果、食品販売事業の業績は売上高130,595百万円(前期比9.4%増)、営業利益1,189百万円(前期比7.5%減)となりました。

 (2) キャッシュ・フロー

主要項目

前連結会計年度

(自 平成25年10月1日

 至 平成26年9月30日)

当連結会計年度

(自 平成26年10月1日

 至 平成27年9月30日)

増減額

 営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△280

4,189

4,470

 投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△12,812

△7,711

5,100

 財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

11,320

2,788

△8,532

 現金及び現金同等物の増減額(百万円)

△1,807

△543

1,263

 現金及び現金同等物の期末残高(百万円)

4,431

3,887

△543

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物等は、前連結会計年度末に比べ543百万円減少の3,887百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な内容は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、4,189百万円の資金の増加(前年同期は、280百万円の資金の減少)となり、その主な内容は税金等調整前当期純利益4,039百万円、減価償却費4,465百万円による資金増加と、たな卸資産の増加額1,228百万円、仕入債務の減少額1,286百万円及び法人税等の支払額1,454百万円などの資金減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、7,711百万円の資金の減少(前年同期は、12,812百万円の資金の減少)となり、その主な内容は有形固定資産の取得による支出7,318百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,788百万円の資金の増加(前年同期は、11,320百万円の資金の増加)となり、その主な内容は金融機関からの短期借入金の純増減額3,900百万円、長期借入れによる収入3,336百万円などの資金の増加と、長期借入金の返済による支出3,258百万円、配当金の支払額1,038百万円などの資金減少によるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成26年10月1日

   至  平成27年9月30日)

前年同期比(%)

    冷蔵倉庫事業(百万円)

      冷蔵・凍結

 

19,424

 

110.6

    食品販売事業(百万円)

      水  産  物

      水産加工品

      畜  産  物

      畜産加工品

      農  産  物

      そ  の  他

            小      計

 

61,284

20,900

38,628

44

1,566

692

123,116

 

102.4

131.0

104.3

108.9

81.2

104.4

106.6

    その他(百万円)

20

99.3

      合      計(百万円)

142,561

107.2

 (注)1.冷蔵倉庫事業生産実績は冷凍事業原価、食品販売事業生産実績は商品仕入高及び商品加工費用の合計額を示しております。

        2. セグメント間の取引については相殺消去しております。

        3. 食品販売事業の品目表示は日本冷蔵倉庫協会の品目分類に準じた区分であります。

4.表示金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 受注実績

  当社は受注生産を行っておりません。

    (3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成26年10月1日

   至  平成27年9月30日)

前年同期比(%)

    冷蔵倉庫事業(百万円)

      冷蔵・凍結

 

24,139

 

108.3

    食品販売事業(百万円)

      水  産  物

      水産加工品

      畜  産  物

      畜産加工品

      農  産  物

      そ  の  他

      小   計

 

68,798

18,148

40,562

40

1,904

1,140

130,595

 

103.5

127.0

115.0

79.4

80.8

132.0

109.4

    その他(百万円)

32

100

      合      計(百万円)

154,767

109.3

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

        2. 食品販売事業の品目表示は日本冷蔵倉庫協会の品目分類に準じた区分であります。

    3.表示金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

 当社グループは、これまで築いてきた経営基盤と健全な財務体質を活かし、あらゆる経済・事業環境の変化にも対応できる経営体質を作り上げることで「持続的な企業価値向上」を実現し、将来にわたり安定した収益の確保と高品質なサービスの提供を目指していきます。

 今後につきましても、情報システムを整備し最新のIT基盤を維持していくことで、業務の標準化・効率化・集中化を促進し、コスト削減を実現していきます。また、精緻なリスク管理を実施し、コンプライアンスや内部統制の強化に継続的に取り組むとともに、コーポレートガバナンスの実践にも注力していきます。さらに、グループの成長に不可欠な人材を育成するため、教育研修制度の充実を図り、盤石な組織を作り上げていきます。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況及び事業環境による影響

 当社グループは、水産品・畜産品・農産品及びそれらの加工食品の販売事業を営んでおります。産地偽装、農薬混入、鳥インフルエンザなど食品に係る問題の発生により、輸入量の減少、価格の高騰、消費の低迷などを引き起こし、売上高に影響を与える可能性があります。

 また、冷夏・猛暑などの天候、海流、海水温など自然環境の変化により漁獲量の減少、消費動向の変化などの影響を受ける可能性もあります。

 

(2)商品の価格変動に関するリスク

 当社グループが取扱う水産品・畜産品などは、国内外の需給バランスにより相場が形成され調達価格が変動します。また、国内の漁獲量、収穫量、輸入制限・禁止措置などの影響により市場価格が変動することもあります。これらの価格変動は当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3)固定資産に関するリスク

 冷蔵倉庫事業において、多額な設備投資を要する冷蔵倉庫を多数保有しております。冷蔵倉庫の事業環境が道路網の変更、漁獲量の減少などにより荷主企業の事業環境、利便性を損なうような変化が生じた場合、収益の低下や固定資産の減損、固定資産の処分などにより、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(4)IT(システム)リスク

 当社グループの冷蔵倉庫事業及び食品販売事業は、全国オンラインシステムを通じて業務を実施しています。想定を超える大規模な災害が発生した場合、業務システムの停止やネットワークの寸断、及び長期にわたる大規模停電により、お取引先へのサービスの提供や業務運営が困難となり、当社グループの経営に重要な影響を与える可能性があります。

 なお、東日本大震災を踏まえ、耐震性に優れ、長時間電力供給のできる自家発電装置などを完備し、水害リスクの少ない立地にある大規模データセンターに重要なシステムを移設し、リスクの低減を図っています。

 

(5)法的規制等の変更によるリスク

 当社グループは、国内事業において倉庫業法、貨物利用運送事業法、通関業法、食品衛生法及び環境に関する法的規制等様々な法的規制の適用を受けております。そのため、当該法的規制等について、予期せぬ変更、新設及び法令違反等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)海外展開についてのリスク

 当社グループは海外戦略について、調達面における集中を回避するために調達ルートを拡張し、またコスト競争力の観点から委託加工の拡大を図り、需給ギャップに留意した販売を目指して積極的な展開を行っております。しかし、事業を行う各国においてテロの発生及びその国の政情の悪化、経済状況の変動、予期せぬ法律・規制の変更又は日本との法律・規制の違いによるトラブル等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)為替変動に関するリスク

 当社グループにおいて商品や原材料の輸出入取引は主要事業の一部であり、外貨建取引については為替変動リスクにさらされることになります。これらのリスクを軽減するために、為替予約取引を利用しておりますが、当該取引ではカバーできないほどの急激な為替変動があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成27年9月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

(2)  財政状態の分析

①総資産

 総資産は、前連結会計年度末に比べ4,691百万円増加し、118,901百万円となりました。これは主に、物流センターの新設等に伴う有形固定資産が1,056百万円、受取手形及び売掛金が884百万円、商品が1,313百万円、投資有価証券が1,346百万円増加したことや、現金及び預金が1,105百万円減少したこと等によるものです。

②負債総額

 負債総額は、前連結会計年度末に比べ2,004百万円増加し、56,579百万円となりました。これは主に、借入金が4,515百万円増加したことや、支払手形及び買掛金が1,286百万円、設備関係支払金が1,485百万円、設備関係支払手形が1,333百万円減少したこと等によるものです。

③純資産

 純資産は、前連結会計年度末に比べ2,687百万円増加し62,322百万円となりました。

(3) キャッシュフローについての分析

 キャッシュフローの分析については、「1.業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フロー」の項目をご参照ください。

    (4) 経営成績の分析

 経営成績の分析及びセグメント別の分析については、「1.業績等の概要」の「(1)業績」の項目をご参照ください。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「4.事業等のリスク」の項目をご参照ください。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、『会社は社会の公器であり、利益は奉仕の尺度である』を創業以来の経営理念としております。また、「『人』に『もの』に『地球』に優しい食品流通のエキスパート」として、企業価値を高め、株主利益の向上を目指していきます。

 

(2)目標とする経営指標と中期的な会社の経営戦略

 平成26年10月からスタートした第五次中期経営計画「Flap The Wings 2017」の計画期間は平成29年9月期までの3年間です。次期は当該経営計画の2年目となり、最終年度の目標達成に向けたステップとなる重要な年度であるため、各施策の着実な推進を図り、鋭意努力していきます。なお、計画目標値に対する進捗状況は、以下のとおりです。

 

                                      (単位:億円)

 

連    結

平成27年9月期

平成29年9月期(目標)

進捗率

 売 上 高

1,547

1,650

93.8%

 営業利益

38

57

68.0%

 経常利益

40

57

70.9%

 親会社株主に帰属する

 当期純利益

25

32

78.7%

 自己資本利益率(ROE)

4.2%

5.1%

△0.9p

 配当性向

41.1%

40%

+1.1p

 EBITDA

83

100

83.4%

 自己資本比率

51.6%

52.0%

△0.4p

     (注)※EBITDAは営業利益+減価償却費で算出しております。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

 平成26年10月からスタートした第五次中期経営計画「Flap The Wings 2017」の全社方針は「当社が培ってきた強み・経営資源を最大限活用し、『ヨコレイならではの質の高いサービスを提供する』ことで、お客様とのWin-Winの関係構築・パートナーシップの強化を図る」ものです。冷蔵倉庫事業は、「保管・物流拠点化」、「全国ネットワーク化」の2つの主要施策を推進することによって、『クールネットワークのリーディングカンパニー』を目指します。真の安心と最適な物流をお客様に提供し、ヨコレイがNo.1と実感していただけるような取り組みに注力していきます。食品販売事業は、安定的な利益追求を基本としながらも、強みのある商材の全社的な展開を推進します。グループ各社がさらに連携を深め、海外取引も強化していきます。