第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

 当社グループは、「誠意をもって顧客の信頼を得る仕事をする」を経営理念とし、各事業分野において蓄積された専門知識と企画力を基に、お客様のニーズに合った付加価値の高い商品とサービスを提供することにより、お客様の満足と信頼を通して豊かな社会づくりに貢献することを基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、2024年4月より2026年度を最終年度とする中期経営計画“NSクリエーション2026”をスタートいたしました。事業環境が大きく変化する中にあって、「創業130年に向けた次世代のナラサキを創り上げる足固めの3ヵ年」と位置付け、持続的成長と更なる企業価値向上の実現に向けて、真の価値あるソリューションを提供することにより、事業基盤の強化と質的向上を図るとともに、全役職員がやる気と自信に満ち溢れた新しい時代のナラサキを創り上げてまいります。

 また、引き続き、コンプライアンスの徹底並びにコーポレート・ガバナンスの充実を経営の最重要課題と位置付け、すべてのステークホルダーの皆様や社会から信頼される企業グループを築き上げてまいります。

 当社グループの事業領域(業界、地域、取扱商品・サービス、技術等)は極めて広範囲で、事業内容も電気機器、建設機械、土木・建築資材、石油類の販売のほか、食品製造設備・物流設備・貯蔵設備などの工事請負や海運・陸運・通関・港湾荷役作業など多岐にわたっております。各事業セグメントは、密接不可分な関係であり、有形無形にシナジー効果を発揮しております。広範な事業領域・事業内容こそが当社グループの強みであり、この強みを今後の事業展開に活かしていくことが、当社グループの持続的成長と中長期的企業価値向上に結び付くものと考えております。

 

(3)経営環境

 わが国経済は、世界的な半導体需要の回復や企業の旺盛な設備投資により、緩やかな回復基調で推移しています。一方で、米中関係やウクライナ情勢などの地政学的リスク、円安進行、労働力不足や物価上昇など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く事業環境は、緊迫化する国際情勢や米国の政策動向、労働力不足による工事遅延、資材・エネルギー価格高騰など、不確実な要素はあるものの、デジタル化や脱炭素化、生産性向上への取り組み、防災・減災等のためのインフラ整備など、中長期的視点での取り組みが一段と活発化するものと思われます。事業環境の変化に的確かつ迅速に対応するとともに、当社グループが「チームナラサキ」としての総合力を発揮することにより、さまざまな社会課題の解決に貢献できる場面が豊富にあるものと考えております。

 先々を見通すことが大変困難な状況ではありますが、顧客やマーケットのニーズをしっかりと捉え、それにお応えすること、すなわち真の価値あるソリューションを提供することによりまして、当社グループの企業価値を高め、ひいては人と地球のサステナブルな発展に寄与するものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、「誠意をもって顧客の信頼を得る仕事をする」という経営理念の下、下記の項目を経営課題及び事業戦略として認識し、その取り組みを通じて、会社の持続的成長の実現と更なる企業価値向上を目指すとともに、経営の透明性・公正性・健全性の充実を図ってまいります。

 

①成長戦略推進と競争力強化

イ.グループ総合力によるソリューションの提供

 当社グループの事業領域は極めて広範囲で、事業内容も多岐にわたっており、各事業セグメントは相互に密接不可分の関係で有形無形にシナジー効果を発揮しております。各事業セグメント間での情報共有化を推進し、連携・協業体制をなお一層強めることにより、グループとしての総合力を発揮し、更なる収益拡大に努めてまいります。

 

ロ.収益力の強化と生産性の向上

 当社グループでは、電機、機械、建設・エネルギー、海運の4セグメントをコア事業と位置付け、販売戦略・地域戦略を機動的に見直すとともに、事業領域の「選択と集中」、高品質サービスの提供による差別化・高付加価値化を推進することにより、収益力向上に努めてまいります。また、事業ポートフォリオ分析を通じて、事業の成長性・安全性・収益性を評価することにより、事業構造改革を進めてまいります。

 

ハ.DX・GX分野の取組み強化

 データやデジタル技術の活用が進む中、顧客やマーケットのニーズも大きく変化しております。また、企業にはサステナビリティへの取組みを重視する事業活動が強く求められています。そうした事業環境の変化に適切に対応し、DX推進のための設備投資や環境・省エネ関連投資など、社会のニーズに基づく製品・サービスを提供してまいります。併せて、当社ビジネスモデルの変革に関しても着実に進めてまいります。

 

②経営基盤の強化

イ.健全な財務基盤の維持と安定キャッシュフローの確保

 グループとしての収益力向上と資金の効率的運用、適正な在庫管理等を通じて、営業活動によるキャッシュ・フローの安定確保を図るとともに、有利子負債を削減するなどによりまして、財務体質の健全性維持に努めてまいります。また、成長分野や高収益分野、当社グループが強みを発揮できる分野、更には人的資本に対して経営資源を積極的に投入してまいります。

 

ロ.人材の確保・育成とエンゲージメントの向上

 「人材」は競争力強化や価値創造のための最も重要なファクターであり、多様な人材を確保・育成し、その力を最大限に引き出すことが、企業価値向上や持続的成長に繋がるものと考えております。

 年齢バランスや技術承継のために安定採用を基本とし、セグメント毎の事業戦略に基づき人材の適正配置に努めてまいります。また、人的資本経営の考え方に基づき、社員のスキルアップ、次代のリーダー養成、法令遵守のための研修・教育体制も充実させてまいります。社員の人格・個性・多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境を確保するとともに、働き方の多様化やワークライフバランスにも配慮しつつ、社員が豊かで充実した生活を実現するための取組みを今後も継続してまいります。

 

ハ.サステナビリティ経営の推進

・コーポレート・ガバナンスの充実

 当社は、会社の持続的成長と更なる企業価値向上を図るとともに、経営の透明性・健全性を向上させること

をコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。企業としての社会的責任を果たすべく、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に努めてまいります。

・コンプライアンスの徹底

 社員教育によるグループ行動規範の遵守徹底とコンプライアンス意識の定着化を図ってまいります。「何より優先すべきはコンプライアンス」であることを各種研修等を通じて社員に徹底するとともに、法令違反の発生を未然に防止するための監視・牽制機能を整備することにより、コンプライアンス体制の一層の強化に取組んでまいります。

・リスク管理体制の整備

 あらゆるリスク情報を収集・審議する機関としてリスク管理委員会を設置、その傘下に各種委員会を設置しており、経営に重大な影響を及ぼすリスクを的確に認識・評価し、適切に対処することにより、経営への影響を最小限に抑える体制を構築してまいります。今後とも、社会からの信頼を確保し、当社(グループ)の企業価値を高めるためにリスク管理体制の整備を進めてまいります。

・サステナビリティ活動の取組み強化

 常に環境への影響に配慮して事業活動を行うとともに、人と地球のサステナブルな発展に向けて、主体的か

つ能動的に社会課題の解決に取り組んでまいります。特に、「環境ビジネスへの取組み」と「インフラ整備事

業への貢献」は当社にとってのマテリアリティ(重要課題)であり、安心・安全な社会の実現に向け、地域社

会との関わりの中で主体的かつ能動的に取組んでまいります。また、サステナビリティの活動状況につきましては、積極的に情報発信してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ①中期経営計画の基本方針

1.成長戦略の推進

2.部門間連携の強化

3.経営基盤の強化

4.サステナビリティの推進

 

 ②直近3期間における実績並びに中期経営計画の最終年度における連結数値目標

(単位:百万円)

 

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

実績

2026年度

中計目標

売上高

99,927

107,455

112,512

120,000

営業利益

2,798

2,982

3,062

4,000

経常利益

2,892

3,084

3,131

4,000

親会社株主に帰属する当期純利益

2,139

2,301

2,241

2,800

自己資本比率

39.7%

39.6%

46.3%

40.0%

ROE

10.8%

10.3%

8.9%

10.0%

当社グループにおきましては、持続的成長と中長期的な企業価値向上の観点から、特に財務状況の安定性に関する指標である自己資本比率と収益性に関する指標である自己資本当期純利益率(ROE)についての目標を掲げております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ・ポリシー、マテリアリティ(優先的に取組むべきテーマ)及び推進体制について、取締役会にて機関決定しております。サステナビリティ活動の推進事務局を経営管理本部サステナビリティ推進室に設置し、取組状況や目標達成状況についてはリスク管理委員会とも連携しつつ、モニタリングしております。また、取締役会は、一年間の活動の成果と課題について報告を受けるとともに、次年度に向けた対応策や新たに設定した目標について審議しております。

[サステナビリティ・ポリシー]

当社グループは、「誠意をもって顧客の信頼を得る仕事をする」という経営理念の下、公明正大な事業活動

を通じて、持続的な企業価値向上に努めるとともに、持続可能な社会の実現に向けて貢献します。

また、常に環境への影響に配慮して事業活動を行うとともに、人と地球のサステナブルな発展に向けて、主体

的かつ能動的に社会課題の解決に取組みます。

 

②戦略

 当社グループは、サステナビリティ関連のリスク・機会に対して、取り巻く環境の変化に合わせ、あるいは当社グループとしての取組の成果や課題を踏まえ、考え方や対応方法の見直しを実施しております。

 なお、2024年度における当社グループのマテリアリティは次のとおりであります。

1.コーポレート・ガバナンスの充実

2.コンプライアンスの徹底

3.人材の確保・育成、多様性の確保

4.感染症・大規模自然災害への適応

5.環境ビジネスへの取組み

6.インフラ整備事業への貢献

 サステナビリティに纏わるリスク・機会への対応は、当社グループが持続的成長を遂げ、中長期的に企業価値を向上させるためには、極めて重要なテーマであると認識しております。人と地球のサステナブルな発展に向けて、さまざまな社会課題の解決に積極的に取り組んでまいります。

 

③リスク管理

 当社グループでは、「リスク」に関して、リスク管理委員会において、当社グループの事業継続に影響を及ぼすリスクの中から、発生時の影響度と発生可能性から重要度を評価し、特に対応が不足し、かつ緊急に対策を講じる必要があるリスクを「全社対応リスク」と認定した上で、具体的な実施項目を掲げ、達成状況や進捗状況をモニタリングするとともに、1年間にわたるリスク対策としての活動の成果と課題を踏まえて、リスクマネジメントの実効性評価を行っております。また、「機会」に関しては、社会的課題の中から、当社グループが主体的・能動的に課題解決に貢献できるテーマを掲げております。

 取組テーマや具体的な実施項目に関しては経営会議にて機関決定され、また、取組状況や目標達成状況に関しては、定期的に開催されるリスク管理委員会や事業戦略会議において審議されます。

 マテリアリティとして特定した6項目に対する取組の成果・課題については、サステナビリティ・レポートとしてまとめ、当社ホームページに公開しております。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク・機会に関して、定量的な指標を採用しておりません。

 

(2)人的資本

 当社グループにとって、「人材」は競争力強化や価値創造のための最も重要なファクターであり、多様な「人材」を確保、育成し、その力を最大限に引き出すことが企業価値向上、持続的成長に繋がるものと考えております。

 当社は、「誠意をもって顧客の信頼を得る仕事をする」という経営理念のもと、目指すビジョンや目標を共有しながら、社員一人一人が働きやすく、「働きがい」を持って仕事に取り組める社内環境の整備を進めております。なお、人的資本に関する戦略並びに指標及び目標について、連結グループ共通の記載が困難なため、当社のみの内容を記載しております。

 

①戦略

 当社では、人的資本に対する取組を「(多様性を含む)人材の獲得」「人材の育成」「人材の活用(社内環境整備)」の3つに区分しております。

 「人材の獲得」について、当社は、ビジョンの実現や経営計画達成に必要な知識、能力・スキルを持った人材の獲得を積極的に進めております。人材の多様性確保の観点から、中長期的な計画に基づき女性総合職と他社経験のある人材(キャリア総合職)の確保を積極的に進め、ジェンダーといった属性の多様性とスキルの多様性による新たな企業風土の醸成と価値創造に取り組んでおります。

 なお、外国人の獲得については、当社の海外事業の規模を勘案し、獲得人数や獲得方法を検討してまいります。

 「人材の育成」について、当社は、ビジョンの実現や経営計画達成に必要な能力・スキルの開発、自身の役割の理解促進、企業風土の醸成を目的に教育を実施しております。

 当社人事制度における資格に応じて求められる能力・スキルを明確にし、段階的かつ計画的に学習することで、必要な時に即座に能力が発揮できる人材を育成しております。

 また、より高いレベルの能力・スキル獲得を目指す人材にはその機会を提供し、社内ルールや基礎知識の習得が必要な場合はその情報を提供することで、常に横並びではなく、個々の状況に応じた育成を実施しております。

 「人材の活用」について、当社は、経営戦略及び経営計画と連動した人事戦略の策定や人事制度の構築を行い、公正な評価とそれに基づく処遇の実現や社員が持てる力を最大限に発揮できる環境整備を積極的に進めております。

 社員に対し「働きがい」や「働きやすさ」を提供し、会社への帰属意識を高め、組織の活性化を図るとともに、多様な働き方や価値観に対し、当社の実情を踏まえ可能な限り対応することで、社員の生産性とモチベーションの向上に繋げております。

 

②指標及び目標

 当社では、施策の実施状況や成果をモニタリングするために、以下の指標を設定し目指す姿として目標値を定めております。

指標

2024年度

実績値

2030年度

目標値

女性総合職比率(%)

 7.8

10%以上

キャリア総合職比率(%)

45.3

30%以上

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済の動向

 当社グループの事業領域は広範囲で業務内容も多岐にわたります。国内外の経済環境が悪化し、製造業における設備投資が減退したり生産が減少した場合、あるいは公共事業の減少や建設市場の急激な縮小が生じた場合には、当社グループが提供する商品・サービスに対する需要が減少するなど、結果として業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原油価格・原材料価格動向

 当社グループでは多くの生産財を取扱っており、需給環境の変化により原油価格や原材料価格が高騰すると仕入価格や運送原価の上昇につながり、競争激化等によりこれらの影響を販売価格や運送収入に転嫁できない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品やサービスの欠陥・瑕疵

 当社グループは、提供する製品・サービスや請負工事などの品質について万全を期しておりますが、製品の欠陥・不具合や施工の瑕疵に起因する不測の事態が発生した場合には、費用負担が発生し、また製品・サービスの信頼低下を招くこととなり、結果として業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業構造改革

 当社グループは、事業環境の変化に適応し、顧客や社会のニーズに基づく製品やサービスを提供するために、事業ポートフォリオ分析を通じて事業評価を実施し、事業の選択と集中、新たな事業領域の開拓などの事業構造改革に取り組んでおります。事業戦略・施策の妥当性を常に検証していますが、予期せぬ事業環境の変化や所期の事業計画と大きな乖離が生じた場合には、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材確保・育成、働き方改革

 当社グループにとって、人材は競争力強化や価値創造のための最も重要なファクターであり、多様な人材を確保・育成し、その力を最大限に引き出すことが、企業価値向上や持続的成長に繋がるものと考えており、そのための採用体制・研修体系を整備しています。また、社員の人格・個性・多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境を確保するとともに、働き方の多様化やワークライフバランスにも配慮しつつ、社員が豊かで充実した生活を実現するための取組みを継続しています。しかしながら、優秀な人材の獲得が困難となったり、高度な専門技術・知識や幅広い経験を有する人材が社外に流出した場合には、技術やノウハウの継承ができず、また、働き方改革が進まない場合には、社員のモチベーション、帰属意識、更には生産性などの低下をもたらし、結果として事業遂行にも支障を来たすこととなり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)市場(株価・金利・為替)

 当社グループでは、取引企業との関係強化の観点から有価証券を保有しており、株式相場が下落した場合には、評価損の計上や年金資産目減りに伴う退職給付費用の増加をもたらす可能性があります。また、事業活動に必要な資金につきましては金融機関からの借入等にて調達しており、金利固定化によるヘッジ策を講じてはいますが、金利上昇による金融費用増加は避けられません。更に、海外事業に関する外貨建て取引につきましても、為替予約などによりリスクヘッジしていますが、為替変動リスクを完全に回避することはできません。以上のとおり、当社グループは株価・金利・為替変動リスクに晒されており、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)コンプライアンス

 当社グループは、事業活動を行うに際して、会社法・金融商品取引法・税法・外為法を含む貿易関連諸法、独占禁止法、知的財産法など各種法規制の適用を受けており、内部統制システムの整備や法令遵守の徹底を図っているところであります。しかしながら、新たな規制の導入や法令の変更があった場合には、事業活動への制約や法令遵守対応のための費用が発生する可能性があります。また、内部統制システムが有効に機能せず法規制に違反した場合には、社会的評価の低下を招き、結果として当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8)情報システム・情報セキュリティ

 当社グループでは、事業遂行に関連して多くの機密情報を保持するとともに、情報共有や業務効率化のために

情報システムを構築・運用しています。システム運営上の安全性確保やセキュリティ対策、社員教育などを継続的に実施していますが、予期せぬコンピュータウイルスや不正アクセス等により情報システム機能に支障が生じたり、機密情報が外部に流出した場合には、被害者に対する損害賠償やシステム復旧費用が発生し、社会的信用を低下させることとなり、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)販売先の信用

 当社グループの販売先は多種多様であり、その債権管理のため販売先の業況を定期的に把握するとともに、業態や資力等に応じた信用限度設定を行っております。また、必要に応じて担保・保証等の提供を受けるなどきめ細かい与信管理を行い、必要な貸倒引当金の検討並びに計上を実施しております。しかしながら、今後の動向によっては貸倒引当金の積増しを要する事態が生じ、その場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)大規模自然災害・感染症

 当社グループでは、地震・津波・台風などの自然災害や感染症の爆発的な流行に起因して生じる不測の事態に備えて、被害を最小限に抑え、早期復旧による事業継続と組織としての社会的責任を遂行すべく、事業継続計画(BCP)を整備していますが、当社グループ及び取引先の事業活動に被害が生じた場合や社会インフラ機能が低下した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業業績やデジタル化・脱炭素化などの需要の高まりから企業の

設備投資が進み、さらに雇用・所得環境の改善に伴い個人消費が持ち直すなど、緩やかな回復基調で推移しまし

た。一方、緊迫化する国際情勢や資源・エネルギー価格の高騰、さらには米国の政策動向などにより、景気の先行

きは依然として不透明な状況が続きました。

 このような状況の中、当社グループは当年度からスタートした中期経営計画“NSクリエーション 2026”の基

本方針に基づき、持続的成長と更なる企業価値向上の実現に向けて、グループ総合力の発揮、収益力強化と生産性

向上などに取り組んでまいりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ. 財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ41億69百万円減少し、564億79百万円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ63億9百万円減少し、297億78百万円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21億40百万円増加し、267億円となりました。

 当社グループでは、財務状況の安定性に関する指標である自己資本比率について目標を掲げており、当連結会計年度末における同比率は46.3%となりました。

 

ロ. 経営成績

 当連結会計年度の売上高は1,125億12百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は30億62百万円(前年同期比2.7%増)、経常利益は31億31百万円(前年同期比1.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は22億41百万円(前年同期比2.6%減)となりました。

 当社グループでは、収益性に関する指標である自己資本当期純利益率(ROE)について目標を掲げており、当連結会計年度における同比率は8.9%となりました。先々を見通すことが大変困難な状況ですが、顧客やマーケットのニーズをしっかりと捉え、それにお応えすること、すなわち真の価値あるソリューションを提供することが、当社グループの企業価値を高め、ひいては人と地球のサステナブルな発展に寄与するものと考えております。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

 電機関連事業は、売上高は292億65百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益は15億85百万円(前年同期比17.4%増)となりました。

 機械関連事業は、売上高は91億89百万円(前年同期比25.3%減)、セグメント利益は2億69百万円(前年同期比60.7%減)となりました。

 建設・エネルギー関連事業は、売上高は579億17百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は9億10百万円(前年同期比18.6%増)となりました。

 海運関連事業は、売上高は161億40百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は3億17百万円(前年同期比75.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は126億9百万円(前年同期は150億48百万円)となり、前連結会計年度末に比べて24億38百万円減少しました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、61百万円の収入(前年同期は31億59百万円の収入)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益32億48百万円、売上債権及び契約資産の減少額32億29百万円、棚卸資産の減少額7億72百万円であります。主な支出項目は、仕入債務の減少額59億3百万円、法人税等の支払額8億51百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、21億39百万円の支出(前年同期は54百万円の収入)となりました。主な

支出項目は、有形固定資産の取得による支出16億30百万円、長期前払費用の支出6億53百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、10億46百万円の支出(前年同期は9億50百万円の支出)となりました。主な支出項目は、配当金の支払額5億33百万円、長期借入金の返済による支出2億67百万円であります。

 

 当社グループでは、中期経営計画の財務戦略として、安定的な営業キャッシュフローの創出と有効活用、健全な財務基盤の維持を掲げております。また、財務体質の強化と今後の事業展開に必要な内部留保の充実を図りつつ、収益状況に応じて安定的な配当を行うことを基本としております。中長期的な視点に立ち、成長が見込まれる事業分野に経営資源を投入し、企業価値の持続的な向上に努めてまいります。

 

③ 売上、成約及び仕入の実績

イ. 売上、成約の実績

セグメントの名称

当連結会計年度

成約高

(百万円)

前年同期比(%)

売上高

(百万円)

前年同期比(%)

成約残高

(百万円)

前年同期比(%)

電機関連事業

27,907

2.4

29,265

12.8

3,650

△27.1

機械関連事業

9,278

△7.8

9,189

△25.3

3,504

2.6

建設・エネルギー関連事業

56,714

△1.9

57,917

7.9

8,718

△12.1

海運関連事業

16,140

3.9

16,140

3.9

合計

110,040

△0.6

112,512

4.7

15,873

△13.5

(注)「当連結会計年度売上高」は、外部顧客に対する売上高を用いております。

 

ロ. 仕入の実績

セグメントの名称

当連結会計年度

金額(百万円)

前年同期比(%)

電機関連事業

23,674

8.1

機械関連事業

7,734

△26.6

建設・エネルギー関連事業

54,457

6.9

海運関連事業

13,892

3.6

合計

99,758

3.1

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

イ. 財政状態

当連結会計年度末における総資産合計は、前連結会計年度末に比べ41億69百万円減少し、564億79百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少24億38百万円、電子記録債権の減少23億95百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少7億66百万円であります。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ63億9百万円減少し、297億78百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の減少33億円、電子記録債務の減少25億87百万円であります。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21億40百万円増加し、267億円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加20億26百万円であります。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ6.7ポイント増加し、46.3%となりました。

当社グループでは、中期経営計画における経営数値目標として2026年度の自己資本比率40%以上を掲げているため、健全な財務基盤の維持等に取り組んでまいります。

ロ. 経営成績

(売上高)

 電機関連事業では、制御機器などの電気機器やレーザ加工機の販売が好調に推移しました。機械関連事業では、効率化や省人化などの需要は堅調に推移したものの、前年同期と比べて大型案件の受渡しが大幅に減少しました。建設・エネルギー関連事業では、セメント・生コンなど出荷や除雪関連機械などの販売が順調に推移しました。海運関連事業では、鋼材の取扱いや半導体関連貨物の輸送が好調に推移しました。売上高は前連結会計年度に比べ4.7%増の1,125億12百万円となりました。

(営業利益)

 売上総利益は前連結会計年度に比べ6.3%増の119億85百万円(売上総利益率は前連結会計年度に比べ0.2ポイント増加の10.7%)となり、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ7.6%増の89億23百万円となりました。

 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ2.7%増の30億62百万円、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント減少し、2.7%となりました。

(経常利益)

 営業外収益は前連結会計年度に比べ12.0%増の1億91百万円となり、営業外費用は為替差損の計上により、前連結会計年度に比べ76.8%増の1億21百万円となりました。

 以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ1.5%増の31億31百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2.6%減の22億41百万円となりました。

 

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、以下のとおりであります。

 当社グループは、持続的成長の実現と企業価値の向上がすべてのステークホルダーの利益に合致するものとの考えから、自己資本比率と自己資本当期純利益率(ROE)を重要な指標として位置付け、収益基盤・事業基盤の強化並びに財務基盤の強化に取り組んでおります。

 

 当連結会計年度末における自己資本比率は46.3%(前年同期比6.7ポイント増加)、自己資本当期純利益率(ROE)は8.9%(前年同期比1.4ポイント減少)となりました。

 これらの指標については、中期経営計画における経営数値目標の達成に取り組んでまいります。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(電機関連事業)

 建築設備分野では、建築需要が継続したことにより、制御機器などの販売が堅調でした。生産設備分野では、半

導体市場において生成AI関連の需要が増加し、また、レーザ加工機の販売が好調に推移しました。なお、中国で電

機関連事業を展開している悠禧貿易(上海)有限公司の重要性が増したため、当連結会計年度より連結の範囲に含

めております。

 以上の結果、売上高は292億65百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益は15億85百万円(前年同期比

17.4%増)となりました。

(機械関連事業)

 農業施設分野および産業機械分野では、効率化や省人化、環境関連を中心とした需要が堅調に推移しましたが、

前年同期と比べて大型案件の受渡しが大幅に減少しました。

 以上の結果、売上高は91億89百万円(前年同期比25.3%減)、セグメント利益は2億69百万円(前年同期比

60.7%減)となりました。

(建設・エネルギー関連事業)

 建材分野では、北海道新幹線関連工事や建築工事におけるセメント・生コンなどの出荷が順調に推移しました。

建設機械分野では、除雪関連機械や道路関連機械の販売が順調に推移しました。エネルギー分野では、石油製品の

価格高騰や需要低迷など厳しい市場環境が続きましたが、各種販促活動などにより販売量の確保に努めました。

 以上の結果、売上高は579億17百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は9億10百万円(前年同期比

18.6%増)となりました。

(海運関連事業)

 連結子会社のナラサキスタックス(株)では、人員不足や天候不順、航路休止などの影響を受けましたが、鋼材の

取扱いや半導体関連貨物の輸送が好調に推移しました。また、新規貨物の獲得や業務効率化などにより収益確保に

努めました。

 以上の結果、売上高は161億40百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は3億17百万円(前年同期比

75.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

 当社グループの財務運営の方針及び目的は、効率的な営業活動を心掛けるとともに、資産の効率的な活用及び有利子負債の削減に努め、財務体質の改善・強化を図ることであります。当社グループでは、運転資金や借入金の返済については、主に営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。設備投資については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者は見積りが必要な事項について、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、主に以下の会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

イ. 投資の減損

 当社グループは、持続的成長と事業拡大のため、関係維持・強化が必要であると判断する取引先の株式に限定して保有しております。

 市場価格のある有価証券については、個別銘柄毎に時価を把握するとともに、発行体外部信用格付や公表財務諸表ベースでの各種財務比率の検討による信用リスクの定量評価を行い、時価が著しく下落した銘柄については回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。

 また、市場価格のない有価証券については、純資産額の下落幅、投資先の財政状態及び将来の業績見通し等を総合的に勘案し、時価の下落が一時的であり、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。

 

ロ. 固定資産の減損

 当社グループは、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローを見積りその総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その金額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討を行っておりますが、資産又は資産グループの市場価格の下落や経営環境等に変化が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

ハ. 貸倒引当金

 当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般の債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については債権の回収状況、債務者の財務内容及び担保価値などに基づき個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 将来において、債務者の財務内容の悪化や担保価値の下落等により、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

ニ. 退職給付費用及び退職給付債務

 従業員に対する退職給付費用及び退職給付債務を数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の要素が含まれており、実際の結果がこれらの前提条件と異なった場合、又は前提条件が変更された場合には、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

ホ. 繰延税金資産

 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。