当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループのミッション(存在意義)を「技術と創意で一歩先の未来へ導く」とし、当社グループの技術と創意、そしてパートナー会社の技術を掛け合わせたソリューションで世の中をより良い未来へ導いていくことを掲げております。そして、ビジョン(ありたい姿)を「Creating New Value for Society」とし、お客さまやパートナー会社、ひいては社会全体のために常に新しい価値を創造し続ける集団となり、事業活動を展開してまいります。
当社グループは、永年にわたりエレクトロニクス技術商社として培った技術とノウハウを有しており、常にお客さまの企業価値向上を図るべく事業に取り組んでまいりました。これからもより高い技術力と提案力をもって事業を進化させ、お客さまの課題解決、ひいては社会課題の解決に貢献することにより持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」であることを志向し続けることを経営の基本方針としております。
(2)中期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
2025年度を最終年度とする中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』では、持続的な成長に向けた収益構造の強化を図り、価値を提供し、社会課題の解決に貢献できる「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることを目指す5年間としています。
お客さまを最も知るベストパートナーであり続けるため、技術力・企画力を高め、パートナー企業やグループ内の連携を強化し、オリジナルソリューションの提供を通し、高付加価値ビジネスを追求するとともに、社会の変化に即応し持続的に成長できる企業を目指します。
さらに、公明正大な経営を実践するため、コーポレート・ガバナンス体制をより一層強化するとともに、社員一人ひとりが倫理・遵法意識を高く持ち、健全で誠実な事業活動を推し進めてまいります。
新中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』
<基本方針>
SDGsへの取り組みを通じて、社会的課題の解決に貢献し持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となる。
・お客さまを最も知るベストパートナーであり続ける。
・成長性に重きを置いた戦略の実行と、必要な経営資源を積極的に投入する。
・高付加価値ビジネスを拡大し、収益性の向上を図る。
<基本戦略>
持続的成長に向けた収益構造の強化
① 「深化・進化」による競争力の強化
当社グループ内・パートナー企業との連携強化を図り、システム構築力やエンジニアリング力を強化することで、お客さまの企業価値向上に寄与するオリジナルソリューションを企画・提供し、差別化・競争力を強化する。
② 社会課題の解決を図るため、今後も成長性が高い分野への取り組みを強化
環境問題や労働力不足といった社会的課題の解決を図り持続的な社会の発展に寄与する、環境・エネルギー分野やロボット・自動化分野を始め、今後成長が見込まれる5G・IoT・AI対応分野への積極的な取り組みとそれぞれに対応する技術力の強化を図る。
③ カナデンDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
デジタイゼーションによる業務標準化・効率化にとどまらず、デジタライゼーションによるビジネスモデルの変革を実現し、提案内容の高度化・品質向上につなげるとともに、当社が蓄積してきた情報資産を最大限に活用し、企業間コミュニティを活性化するコンソーシアムの形成を目指す。
④ 多様な人材が能力を十分に発揮できる風土・仕組みづくり
人権の尊重と差別の禁止を徹底するとともに、多種多様な人材がライフイベントとキャリアを両立できるよう積極的な施策を講じ、当社の持続的な発展を担う人材を確保・育成する。
また、ビジネススキル向上や企業理念の浸透を通して個人の「挑戦と革新」の資質を高めるとともに、組織として事業環境の変化に柔軟に対応し、常に変化を志向する。
⑤ 戦略的投資政策の実行
技術力強化に向けたパートナー企業との連携や、新分野への事業領域の拡大を図るためのM&Aの実践。
⑥ 公明正大な経営
外部規律や社会的要請に適うガバナンス体制を構築し、より健全で透明性の高い経営を実践するとともに、全員が高い倫理観を持ち、健全で誠実な事業活動を実践する。
<経営目標数値>
目標数値(2025年度)
・営業利益 57億円,営業利益率 4.5%以上
・ROE 8.0%以上
・戦略的投資等による、売上高 100億円の創出
<基本戦略に基づく施策>
(共通)
・全社プロジェクトによる既存重点分野(自動化、エネルギーマネジメント等)の取組強化とともに、新市場、新商材の開拓を推進する。
・エリア戦略の推進
国内:各ビジネスユニット戦略とエリア戦略のマトリックス経営の推進
海外:ASEAN地区におけるソリューション提案体制の強化
・技術教育を拡充し、ソリューション提案力の強化による差別化を図る。
・カナデンコンソーシアムの形成、活用による創発的な企業間コミュニティへの移行を図り、ビジネスモデルの継続的創出につなげる。
・セグメント横断的なアカウントマネジメント体制の確立による複合販売の推進。
・インサイドセールス機能を整備し、フィールドセールスとのハイブリッド対応による営業力強化を図る。
・成長分野におけるスタートアップ企業との協業による事業創出と、企業再編の活用によるバリューチェーンの拡大を目指す。
(FAシステム)
・ソリューション提案力を強化し、コンポーネントからソリューション、コンサルティングビジネスへの変革を図る。
・蓄積した製造現場の知見やAI・IoT等の新技術の活用や自動化によるお客さまの課題解決やものづくりの進化、安全で働きがいのある職場づくりを支援する。
・海外でのシステム対応力強化に向けたパートナー企業との連携強化。
(ビル設備)
・データセンター向け電源設備やビルマネジメントシステムの展開を強化し、環境負荷の低いエネルギー利用の普及を促進し快適性の向上と消費エネルギーの抑制を両立させる。
・工事、保守サービスを含め一貫したソリューションの展開強化。
(インフラ)
・社会インフラとしての「安心・安全・快適」を支え、進化させるという使命を果たし続けるとともに、交通・公共分野におけるお客さまのビジネスモデルの変革に対応し、従来の領域にとらわれないソリューション提案の拡大を図る。
・気候関連災害や自然災害に備える監視・防災・減災ソリューションの提供により社会や産業の基盤強化に貢献する。
(情通・デバイス)
・医療・介護・健康分野におけるデジタル技術を活用したソリューションの提供推進。
・セキュリティビジネスからトータルICTビジネスへの進化(デジタル分野への拡大)。
・IoTデバイスの進化や5Gの導入による、データの新たな活用や連携方法を可能にする商材の発掘、ソリューションの構築を目指す。
・自動車分野への参入加速。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は先行き不透明な状況が継続しておりますが、当社グループの持続的な成長を実現するためには収益構造の強化が課題となっております。5ヵ年中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』の最終年度として、経営目標の達成に向け、着実に施策を実行してまいります。
① 中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025』
中期経営計画の基本方針は、「SDGsへの取り組みを通じて、社会的課題の解決に貢献し持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることとしております。最終年度の数値目標は、収益性を重視した指標としており、営業利益額は57億円、営業利益率4.5%以上、ROE8.0%以上、戦略的投資等による売上高100億円の創出を目標としております。
2026年3月期は中期経営計画の最終年度であり、これまで取り組んできた施策を着実に成果につなげてまいります。また、当社グループの人的資本、知的資本、社会関係資本の拡充に向け、積極的な投資を行い、成長するための基盤を強化し、新たな価値を生み出し持続的な成長を実現することで資本をさらに拡充する好循環を築いてまいります。
(中期経営計画「ES・C2025」の経営目標数値と実績の推移)
(中期経営計画「ES・C2025」におけるキャッシュアロケーション)
② サステナビリティ経営の推進
当社グループが持続的な成長を実現するためには、気候変動をはじめとした社会課題に対し、事業を通じて課題の解決に貢献していくことが不可欠です。そこで、2024年度はサステナビリティ委員会を中心に当社グループにおける中長期的なリスクと機会を分析し、当社グループの事業活動を通じ環境・社会に影響を及ぼす重要課題をマテリアリティとして特定しました。「創出を目指す価値」の実現に向けて、「価値を生み出す資本」を効果的に活用していくことが重要であり、それを支える土台として「企業価値創出を支える基盤」の強化を図ります。3つのマテリアリティに紐づく形でそれぞれサブマテリアリティを策定しており、一つひとつのマテリアリティに真摯に取り組むことで、社会課題の解決と当社グループの持続的な成長の実現につなげてまいります。
(カナデンのマテリアリティ)
③ 資本コストや株価を意識した経営の実現
当社グループの資本コストは、CAPMでの算定をもとに7.0%程であると認識しており、資本コストを上回るROEを達成し続けることが、PBRの向上につながるものと認識しております。まず、収益力強化に向けた事業ポートフォリオ戦略としては、FAシステム事業と情通・デバイス事業は、M&Aを含めた技術力向上によるソリューション提案の強化や海外ビジネスの強化による市場獲得で事業規模の拡大を図ります。ビル設備事業とインフラ事業は、事業間連携による提案領域の拡大や環境ソリューションをはじめとする付加価値ビジネスの展開を強化し、利益率の向上に注力いたします。
また、成長戦略を実行するための投資として、中期経営計画で90億円の投資を計画しております。価値創造の源泉となる人的資本、知的資本、社会関係資本に対し、積極的な投資を行うことで、当社グループの成長基盤を強化し、新たな価値を生み出す好循環につなげてまいります。資本コストを意識した経営資源の投下を行っていくとともに、株主還元として、配当政策の見直しや自己株式の取得などを機動的に実施していくことで、資本効率の向上に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」を重要な経営課題として認識しており、事業活動のあらゆる面において「持続可能な社会の発展」に向けて、様々な取り組みを行っております。
①サステナビリティ方針
当社は、サステナビリティに対する意識を共有し、企業理念のミッション、ビジョンの実践を通じて、エレクトロニクスソリューションズ・カンパニーとして、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
a.SDGsへの取り組みを通じ、社会・環境問題の解決に貢献し、持続的な成長を実現します。
・省エネ機器や再生可能エネルギービジネスの拡大により、低炭素社会、循環型社会の実現に貢献します。
・社会インフラ事業や監視・防災・減災ソリューションを通じ、安心・安全な社会づくりに寄与します。
b.公明正大な経営の実践により、社会から信頼される企業を目指します。
・適切なコミュニケーションを通じ、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えます。
・法令を遵守することはもとより、社会規範を尊重し、良識ある企業活動を心がけます。
②サステナビリティ委員会
当社では、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。委員会は、取締役会においてサステナビリティに関する適切な決定や監督が行われることを補助するため定期的に開催し、各委員がサステナビリティに関する調査を行い知見を深めるとともに、委員会において集中的に討議した結果を取締役会に具申することとしております。
a.サステナビリティ委員会の機能
以下の事項について調査・審議を行い、取締役会に具申することとしております。
(ⅰ)サステナビリティに関する基本方針の策定及び更新
(ⅱ)サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の特定
(ⅲ)重要課題(マテリアリティ)のKPI設定及びその進捗管理
(ⅳ)サステナビリティに関する非財務情報の開示の検証
(ⅴ)その他サステナビリティに関わるテーマに関しての検討
b.サステナビリティ委員会の活動状況
当事業年度において、サステナビリティ委員会は計5回開催されました。
当事業年度におけるサステナビリティ委員会の具体的な検討内容は以下のとおりであります。
|
開催月 |
審議・取組事項 |
|
2024年5月 |
委員会の年間計画について審議 マテリアリティ評価の中間報告・審議 |
|
2024年7月 |
マテリアリティ特定に向けた協議 リスクマップとの整合性審議 |
|
2024年9月 |
各マテリアリティのKGI・KPIの設定方針に関する検討・協議 |
|
2024年11月 |
各マテリアリティのKGI・KPIの具体化に関する協議 |
|
2025年2月 |
各マテリアリティのKPIの決定に向けた協議 |
(2)戦略
当社グループは、気候変動をはじめとするあらゆる社会環境の変化に伴うリスク・機会に対し、持続可能な社会の発展のためお客さまの企業価値を向上させ、社会課題の解決につながる提案を行ってまいります。
また、当社における経営上の重要課題として定期的にリスク・機会の分析及び評価を行い、リスクを顕在化させ適正に対処してまいります。
当社グループは、社会や企業を取り巻く環境が劇的に変化し続けている時代において、競争の源泉である人材にフォーカスした施策を推進してまいります。
①人事ポリシー
「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」を目指す当社グループにおいて、競争力の源泉は新たな価値を創造する「人材」であり、人材競争力の強化が経営競争力に直結する課題となっています。急速な事業環境の変化が起きている中、既存の枠組みに捉われない事業展開が求められており、それを実現しうる人物像は「自ら考え、行動する自律した個人」であるとした人事ポリシーを策定しております。
②人事制度の刷新
多様な人材が十分にその能力を発揮し、社員一人ひとりが自ら考え挑戦し活躍できる環境をつくるため、2024年4月に人事制度を刷新いたしました。等級制度、報酬制度及び評価制度の3つを改定し、属人的要素ではなく役割や成果に応じたメリハリのある処遇としたことで、全ての社員に対し新たな挑戦・積極的な取り組みを促すとともに社員のエンゲージメント向上を図ってまいります。
また、人事制度の刷新を通じ、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づく各種指標の改善を図ってまいります。
③人づくりを通じた活力ある組織の醸成
年齢・性別・経験等に関わらず、自律的に自らの役割を果たす社員に対し、キャリアアップの実現を後押しするとともに、会社として中長期を見据えた計画に基づき次世代を担う人材の育成を推進し、さらなる社員の成長を図ってまいります。
また、スキルアップする意欲の高い社員に対しては、積極的に能力開発を支援し、生産性の向上に資するより実践的な教育を行ってまいります。
中長期的な視点に立った質の高い人づくりを進め、活力ある組織風土の醸成を図ってまいります。
④人材の確保
多様性が重視され人材の流動化が加速する現代においては、優秀人材の獲得が何より重要なファクターとされています。そのためには、当社について知ってもらうことがまずは必要であり、さらなる採用広報の強化を進めてまいります。
また、当社ビジネスを新しい領域に広げていくためには、定期的に新卒採用を行うだけでなく、経験者採用についても要員計画に基づき積極的に行うことにより、新たな知見、経験、発想を取り入れ、当社にこれまで蓄積された知見や経験との融合を進めてまいります。
(3)リスク管理
当社グループのリスクについては、サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会において評価・特定する体制があります。
リスクマネジメント委員会においては、当社グループの業務運営におけるリスクの把握、分析を行い代表取締役への報告及び必要な施策の企画・立案を行っております。
特定したリスク・機会は、サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会にて戦略策定・個別事業運営の両面で管理してまいります。
当社では、持続的な成長を実現するために、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。気候変動の影響による自然災害の激甚化や労働力不足等のあらゆる社会課題における当社のリスクと機会を抽出・分析し、重要課題に取り組むことで企業価値向上につなげてまいります。
①マテリアリティ(重要課題)の考え方
当社グループが持続的に成長を続けるために、将来想定される環境、社会課題に対して優先して取り組むべきテーマをマテリアリティ(重要課題)として特定しています。一つひとつのマテリアリティに真摯に取り組むことで、社会課題の解決と当社グループの持続的な成長の実現へつなげてまいります。
重要課題の特定プロセスについては、以下のとおりであります。
・STEP1:マテリアリティ候補の抽出
SDGs、ISO26000、GRIスタンダード、SASBといった国際的な指標・ガイダンス、グローバルリスクや事業機会等のサステナビリティ課題及びESG格付基準等を参照し、当社グループの事業特性等を踏まえマテリアリティ候補を抽出しております。
・STEP2:マテリアリティの絞り込みと優先順位付け
抽出したマテリアリティ候補をもとに、当社の社内・社外の取締役等に対してインタビュー・アンケートを実施しました。その結果をもとに、当社グループにとって重要な課題及びステークホルダーにとって関心度が高い課題の観点より総合的に判断し、マテリアリティを絞り込むとともに、優先順位づけを行いました。
・STEP3:マテリアリティの選定
当社グループの企業理念やサステナビリティ方針、経営戦略との関連性を評価・検証し、サステナビリティ委員会を中心として協議を重ね、優先順位の高い3つのマテリアリティと9つのサブマテリアリティを選定しました。
・STEP4:承認と展開
選定したマテリアリティは、取締役会で議論の上、決議し、当社グループが優先的に取り組むべきマテリアリティとして特定しました。今後もプロセスのPDCAを通じマテリアリティに関する取り組み状況のモニタリングと改善を実施していきます。
②リスクマネジメントに関する基本的な考え方
当社は、経営危機を未然に防ぎ、事業の継続、安定的発展を確保するため、経営執行に係る重要事項についてはリスクの評価・抽出を行い、経営会議で審議し取締役会で決定しております。ガバナンスの強化、内部統制システムの効果的な運用は継続的に実施するほか、リスクマネジメント委員会において、リスクに対する予防策を協議・対応するなど、様々な危機に対する予防施策を講じております。
なお、取引先からお預かりした情報資産や当社が保有する情報資産を盗難、改ざん、破壊、漏洩等から保護し、適切な安全管理を行うため、情報セキュリティ基本方針を定め適切な運用を行っております。システム上のセキュリティ対策に加え、社員の継続的な教育や訓練を行うことで情報セキュリティの強化を図っております。
③リスクマネジメント委員会
当社は、リスク管理の統括機関として、管理本部担当取締役を委員長としたリスクマネジメント委員会を設置しております。同委員会は、会社におけるリスクの抽出、対応策の計画、計画の遂行、リスク対応に関するモニタリングを目的としております。全社横断の組織として対応することで、会社全体の潜在リスクの把握と共有を行うとともに、緊急時の対応の統制を図っております。
リスク管理については、当社Webサイトで公開しております。
リスクマネジメント URL https://www.kanaden.co.jp/sustainability/esg/governance/riskmanagement/
(4)指標及び目標
①気候変動に関する指標及び目標
当社では、継続的にScope1、2の温室効果ガス(GHG)排出量の算出をしております。目標数値については、維持管理を目標としております。今後はScope3の測定に向け、社内体制の整理やサプライチェーンとの調整を進めてまいります。
直近5年間の温室効果ガス(GHG)排出量 (単位:t-CO₂)
|
|
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
Scope1 |
|
|
|
|
|
|
Scope2 |
|
|
|
|
|
(注)1.Scope1は所有車両のガソリン使用量より算出し、Scope2は事務所の電力・熱使用量より算出しております。
2.電力・熱使用量については、2021年度よりグリーン電力証書を購入しているため0としております。
②人的資本に関する指標及び目標
当社では、上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したもの
であります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規
定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.男女の賃金格差については、旧人事制度における職群及び等級別人数構成の差異によるものであります。
2024年4月に刷新した新人事制度では、当該職群を廃止し、役割を統一しております。賃金はあくまで等
級別に設定しておりますので、同一等級における男女の賃金に差異はありません。
今後とも、統一した役割に基づくキャリア開発、エリア勤務制度など女性社員が活躍する組織風土づくり
を推進し、当該格差の縮小を目指してまいります。
指標については、ESGデータとして当社Webサイトで公開しております。
ESGデータ URL https://www.kanaden.co.jp/sustainability/esg/data/
当社グループの業績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経済状況について
当社グループの取扱商品でありますFA機器、ビル設備機器、半導体デバイス、情報通信機器等の需要は、当社グループが供給を行っている顧客や業界の市場動向の影響を強く受ける商品であります。一方、無線通信機器、交通管制端末機器、受変電設備機器、車両用電気機器等につきましては、主要顧客であります鉄道事業者の設備投資や、官公庁の公共投資の影響を強く受ける商品であります。
このため、前者は当該主要市場の需要の減退が生じた場合、後者は鉄道路線の新線計画あるいは設備の更新、並びに公共投資の動向等によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、2025年度を最終年度とする中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』において、システム構築力やエンジニアリング力の強化を図り、オリジナルソリューションを企画・提供することにより、差別化・競争力を強化し、持続的に成長できる企業となることを目指しております。
② 仕入先の依存について
当社グループの主要な仕入先は三菱電機株式会社であり、2025年3月期の総仕入高に対する割合は51.6%となっております。同社との間には販売代理店契約等を締結し取引関係は安定しており、今後ともこの関係を継続する方針でありますが、取引関係が継続困難となった場合や、仕入先の製品供給の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、引き続き主要仕入先との関係維持・強化を図り安定的な製品入手に努めるとともに、常に新規商材開拓に取り組み、パートナー企業との連携強化を図っております。
③ 業績の第4四半期偏重について
当社グループは当社及び子会社13社により構成されており、FAシステム事業、ビル設備事業、インフラ事業、情通・デバイス事業の4事業を主としております。
インフラ事業における官公庁・自治体向けビジネス及びビル設備事業における建設業界向けビジネスは、工事完了・検収時期が年度末に集中することが多いこと等から当社グループの業績は第4四半期に偏る傾向があります。そのため、工事・検収が年度内に完了しない案件が多数発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客、仕入先、パートナー企業との連携を密にし、工事の進捗・案件管理の徹底に努め、年度内に完了しない案件の発生を極力少なくするよう努めております。
④ 債権管理について
当社グループの顧客は多種多様であるため、一律的な債権保全は困難であります。また、貸倒引当金の計上に関しては、一般債権については貸倒実績率による計算額を、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し回収不能見込額を計上しておりますが、今後の動向によっては、貸倒引当金の積増しを要する事態が生じるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、債権管理には特に注力し、顧客の業態・資力に応じた信用限度設定を行うとともに、必要に応じて担保等の提供を受けるほか、信用状態の継続的な把握をするなど、不良債権の発生を極力少なくするよう努めております。
⑤ 為替レートの変動による影響について
当社グループの事業には、外貨による取引が含まれております。為替レートの短期的な変動によるリスクを全面的に回避することは不可能であり、為替レートの変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、先物為替予約等による通貨ヘッジ取引を行い、米ドル及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による影響を最小限に抑える努力をしております。
⑥ 投資について
当社グループが所有する投資有価証券は仕入先企業、取引金融機関、顧客企業等、業務上密接な関係にある企業が大半でありますが、株式相場の動向等によりましては、減損処理が必要となるリスクがあります。また、基幹ビジネスの進化、新分野への事業領域拡大、海外事業の強化、並びにグループ会社の強化のため、企業買収や資本提携を模索しております。しかしながら、買収等の対象事業について経営資源の有効活用ができない場合や、シナジー効果を十分に発揮できなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらの企業買収等の着手に際して、事前に各種リスクや効果等の評価を十分に検討して取り組むとともに、投資先の財政状態や事業環境を定期的にモニタリングしております。
⑦ 人材の確保
当社グループはエレクトロニクス分野において、優れた能力を有する新たな人材を確保し雇用を維持することにより、高い成長力が継続できると考えており、優秀な人材の確保及び雇用の維持は、今後の技術進化への対応を強化するために特に重要であります。労働人口減少が進むなか、当社グループが優秀な人材の確保及び雇用の維持ができなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、人事ポリシーを策定し、多種多様な人材がライフイベントとキャリアを両立できるよう積極的な施策を講じていくとともに、技術力強化を最も重要なテーマとし、スキル向上や個人の「挑戦と革新」の資質を高めるために、組織で人材を育成する風土を醸成し、当社グループの持続的な発展を担う人材を確保・育成に努めております。
⑧ 情報システム不全
当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しております。コンピュータウイルスその他の要因によって情報システムの機能に支障が生じた場合や、機密情報の漏洩等が生じた場合、事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、不正アクセスの防止等リスク低減のための措置を行い、インシデントの早期検知、インシデント発生時の適切な対処等を定め、情報セキュリティ対策の強化に努めております。
⑨ コンプライアンス
当社グループの事業活動の遂行に当たっては、様々な法規制の適用下にあります。コンプライアンスの基本方針として「誠実に正道を歩む」と掲げており、法令・ルールの遵守に留まらず、高い倫理観に基づいた社会的責任を持った行動に努めております。
しかしながら、万一法令違反等があった場合には、発注機関からの指名停止措置等の行政処分を受けるとともに、社会的信用を失墜することとなり、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、カナデングループ行動憲章及びカナデングループ倫理行動規範を定め、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス推進のための取り組みを協議・実行しております。
⑩ 自然災害のリスク
当社グループの事業活動の遂行に当たり、大規模な地震、風水害等の自然災害が発生した場合、主要な事務所の壊滅的損壊や役職員の被災、道路網・鉄道網の寸断、情報システムの障害等により営業活動や物流機能に支障が生じるとともに、その修復または代替のために巨額な費用が発生することがあります。併せて、仕入先・顧客の被災状況や社会インフラ復旧の遅れ等から、商品調達並びに販売に大きな影響を受けることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自然災害が発生した場合は、危機管理規則及び災害対策規則に基づき、人命の保護・救助を最優先に心がけ、迅速かつ冷静に対応し影響の軽減に努めます。
また、昨今の風水害の要因の一つである気候変動問題に対し、当社グループでは、環境・エネルギー分野への積極的な取り組みを図るとともに、循環型社会の形成に貢献できるように、オフィスの省エネや事業活動におけるCO2排出量の低減に努めております。
⑪ 感染症の流行等に関するリスク
当社グループの事業活動の遂行に当たり、新たな感染症の大流行により社会活動や経済活動が制限され、取引先の事業活動や投資需要の低下、販売網及び供給網に混乱による景気悪化が生じる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループや取引先の従業員等の就業不能が長期化した場合、事業活動が制限されることによる機会損失のリスクが高くなります。
当社グループでは、デジタル化を推進することにより事業活動の停滞を回避し、柔軟かつスピード感のあるビジネスモデルへの変革を図っております。
⑫ 地政学的リスク
当社グループは、東アジア及び東南アジアにおいて事業活動を展開しており、これらの国々や地域において予期しない法律又は規制の変更、政治又は経済情勢の悪化、テロ・戦争などによる社会的混乱等、地政学的リスクが顕在化した場合には、商品調達並びに販売に大きな影響を受けることとなり、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、現地駐在員、現地コンサルタント等と地域の最新情報を確認し、必要に応じた対応、指示及び注意喚起を行うことにより影響を最小限にするよう努めております。
(1)経営成績等の状況に関する分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、中国経済の成長鈍化や欧米の金融政策の影響、為替相場の急激な変動や中東情勢の悪化による資源・エネルギー価格高騰などを背景として、企業の設備投資はまだら模様の回復となっております。さらに、米国新政権における関税引き上げの影響などから、世界経済の先行きは不透明な状況であり、景気後退への警戒感からサプライチェーンにおける在庫調整の長期化も懸念されます。
このような状況下、当社グループは、5ヵ年中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』の4年目として、社会課題の解決に貢献するソリューション提案力の強化や事業間連携による提案領域の拡大、持続的な成長の実現に向けた新分野や新商材の発掘を図るとともに、人的資本の拡充などの施策を積極的に展開しております。
当連結会計年度においては、設備機器分野及び交通分野の大口案件が増加しましたが、主力のFA分野が在庫調整の影響を受け苦戦しました。
その結果、当連結会計年度における売上高につきましては、125,665百万円(前期比9,393百万円増)となり、経常利益につきましては、4,730百万円(前期比264百万円減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、退職給付制度移行益などの特別利益があり、3,942百万円(前期比467百万円増)と過去最高となりました。
①売上高
当連結会計年度における売上高につきましては、125,665百万円(前期比9,393百万円増)となりました。
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
|
|
|
|||
|
FAシステム事業 |
売 上 高 |
46,890 |
48,247 |
1,357 |
|
経常利益 |
2,813 |
2,281 |
△531 |
|
|
ビル設備事業 |
売 上 高 |
14,933 |
17,523 |
2,589 |
|
経常利益 |
223 |
318 |
95 |
|
|
インフラ事業 |
売 上 高 |
23,878 |
28,881 |
5,002 |
|
経常利益 |
111 |
186 |
75 |
|
|
情通・デバイス事業 |
売 上 高 |
30,568 |
31,012 |
443 |
|
経常利益 |
1,625 |
1,897 |
271 |
(FAシステム事業)
主力のFA分野は、中国経済の成長鈍化による需要減少やサプライチェーンにおける在庫調整の影響もあり、コントローラシステムや駆動制御機器が低調に推移しました。
産業メカトロニクス分野は、放電加工機の案件が少なく低調に推移しました。
産業システム分野は、船舶向けの電機品の大口案件や工場設備向けの計装システムが好調に推移しました。
その結果、当該事業としては1,357百万円の増収とはなりましたが、利益率が比較的高いFA分野が低調に推移したことから経常利益は531百万円の減益となりました。
(ビル設備事業)
設備機器分野は、情報・通信事業者向け電源設備は需要が継続し好調に推移しました。
空調・冷熱機器分野は、オフィスビル向け空調機器の新設案件は苦戦しましたが、リニューアル案件は増加し、前年並みで推移しました。
その結果、当該事業としては2,589百万円の増収となり、経常利益は95百万円の増益となりました。
(インフラ事業)
交通分野は、車両用機器は更新需要の端境期で減少したものの、鉄道事業者の設備投資が回復し、無線通信機器・受変電設備が好調に推移しました。
社会システム分野は、官公庁案件が増加し堅調に推移しました。
その結果、当該事業としては5,002百万円の大幅増収となり、経常利益は75百万円の増益となりました。
(情通・デバイス事業)
情報通信分野は、画像・映像機器は金融機関向け更新需要の一巡により低調に推移したものの、電子医療装置の案件が増加し堅調に推移しました。
半導体・デバイス分野は、産業機器関連向けパワーデバイスは中国経済の成長鈍化による需要減少の影響を受けながらも前年並みの水準を維持しました。家庭用電気機器向け電子デバイス品は堅調に推移しました。
その結果、当該事業としては443百万円の増収となり、経常利益は271百万円の増益となりました。
②売上原価、総経費
売上原価は、107,662百万円(前期比8,698百万円増)となりました。売上高に対する売上原価の比率は0.6%増加の85.7%となりました。なお、報告セグメント別の売上原価の比率は、FAシステム事業は82.0%(前期比0.1%増)、ビル設備事業は87.7%(前期比0.5%増)、インフラ事業は93.2%(前期比0.1%増)、情通・デバイス事業は83.2%(前期比0.4%増)となりました。
総経費は、人件費を除く販売費及び一般管理費が236百万円増加、人件費が501百万円増加したこと等により、前連結会計年度より738百万円増加し、13,271百万円となりました。FAシステム事業は6,414百万円(前期比722百万円増)、ビル設備事業は1,828百万円(前期比141百万円増)、インフラ事業は1,777百万円(前期比233百万円増)、情通・デバイス事業は3,297百万円(前期比313百万円減)、全社(共通)は△46百万円(前期比175百万円増)となりました。
③経常利益
経常利益は、4,730百万円(前期比264百万円減)となりました。FAシステム事業は、増収ではありましたが、2,281百万円(前期比531百万円減)となりました。ビル設備事業は、増収により318百万円(前期比95百万円増)となりました。インフラ事業は、増収により186百万円(前期比75百万円増)となりました。情通・デバイス事業は、増収により1,897百万円(前期比271百万円増)となりました。全社(共通)は、46百万円(前期比175百万円減)となりました。
④特別損益
特別利益は、前連結会計年度より1,056百万円増加し、1,123百万円となりました。これは、退職給付制度移行益が952百万円、投資有価証券売却益が119百万円、関係会社株式売却益が51百万円発生したことが主な要因であります。特別損失は、前連結会計年度より8百万円増加し、15百万円となりました。これは、固定資産除却損が13百万円、ゴルフ会員権評価損が1百万円発生したことが主な要因であります。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、3,942百万円(前期比467百万円増)となりました。従って、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の148.21円に対し169.31円となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
①財政状態に関する分析
当連結会計年度末における総資産は、89,081百万円(前期末比3,485百万円増)となりました。
流動資産は、72,011百万円(前期末比3,607百万円増)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、商品及び製品が2,871百万円減少、現金及び預金が324百万円減少した一方で、売掛金が6,587百万円増加、未収入金が526百万円増加したことが主要な要因であります。
固定資産は、17,070百万円(前期末比122百万円減)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、退職給付に係る資産が261百万円増加、無形固定資産が87百万円増加した一方で、投資有価証券が443百万円減少、有形固定資産が46百万円減少したことが主要な要因であります。
流動負債は、40,434百万円(前期末比3,747百万円増)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、1年内返済予定の長期借入金が702百万円減少、賞与引当金が469百万円減少、未払消費税等が215百万円減少、未払法人税等が180百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が3,470百万円増加、未払金が826百万円増加、電子記録債務が715百万円増加、前受金が277百万円増加したことが主要な要因であります。
固定負債は、657百万円(前期末比47百万円減)となりました。
純資産は、47,989百万円(前期末比214百万円減)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する当期純利益を3,942百万円計上、自己株式の消却が1,570百万円、配当金の支払が1,407百万円あったこと等により利益剰余金が977百万円増加、為替換算調整勘定が387百万円増加した一方で、退職給付に係る調整累計額が809百万円減少、その他有価証券評価差額金が454百万円減少、非支配株主持分が162百万円減少、自己株式が144百万円減少したことが主要な要因であります。
その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は53.9%、1株当たり純資産額は2,153円80銭となりました。
②キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を主な源泉としております。営業活動によるキャッシュ・フローにおける変動要因としましては、売上債権・棚卸資産及び仕入債務の増減が主な要因となっておりますが、決算日において仕入債務の支払時期と売上債権の回収時期にずれが生じた場合に営業活動によるキャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループにおきましては、債権債務の収支管理を徹底して行っており、これらの収支のずれによる影響を最小限とすることで営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めております。
投資活動によるキャッシュ・フローにおきましては、売買目的の有価証券の取得による支出及び売却による収入はなく、子会社株式の取得による支出、売却による収入並びに固定資産の取得による支出、売却による収入が増減の要因となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローにおきましては、事業活動を行う上での十分な流動性を確保していることから、資金の調達ニーズはなく、自己株式の取得による支出、配当金の支払による支出が減少の要因となっております。
以上のことから、当社グループの当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ524百万円減少し、当連結会計年度末には16,423百万円(前期比3.1%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、源泉である税金等調整前当期純利益について5,839百万円(前期は5,055百万円)を確保できたことに加え、仕入債務の増加が3,150百万円、棚卸資産の減少が3,409百万円あった一方で、売上債権及び契約資産の増加が4,729百万円、法人税等の支払額が1,512百万円であったこと等により、5,114百万円の収入(前期は3,809百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が131百万円あった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,711百万円、有形固定資産の取得による支出が340百万円あったこと等により、1,905百万円の支出(前期は731百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出1,739百万円、配当金の支払が1,408百万円、長期借入金の返済による支出が702百万円あったこと等により、3,992百万円の支出(前期は977百万円の支出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の費用であります。当該資金については、内部留保による手元資金で十分賄えている状況であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり必要とされている、重要な会計上の見積りにつきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。なお、特に重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④生産、受注及び販売の状況
(1)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
FAシステム事業 |
40,034 |
104.2 |
|
ビル設備事業 |
12,229 |
99.3 |
|
インフラ事業 |
22,052 |
100.0 |
|
情通・デバイス事業 |
24,244 |
93.3 |
|
合計 |
98,559 |
99.8 |
(2)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
FAシステム事業 |
48,247 |
102.9 |
|
ビル設備事業 |
17,523 |
117.3 |
|
インフラ事業 |
28,881 |
121.0 |
|
情通・デバイス事業 |
31,012 |
101.5 |
|
合計 |
125,665 |
108.1 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
販売等の提携は次のとおりであります。
|
会社名 |
相手先 |
契約の種類 |
主要取扱商品 |
契約期間 |
備考 |
|
㈱カナデン (当社) |
三菱電機㈱ |
販売代理店契約 |
放電加工機、レーザ加工機、産業用ロボット |
1996年4月1日から1年 |
自動更新 |
|
空調機器、低温機器 |
1997年4月1日から1年 |
自動更新 |
|||
|
画像映像機器、無線通信機器 |
2003年4月1日から1年 |
自動更新 |
|||
|
昇降機、ビル管理システム |
2002年10月1日から1年 |
自動更新 |
|||
|
受変電設備機器、無停電電源装置 |
2002年4月1日から1年 |
自動更新 |
|||
|
回転機、配電制御機器、コントローラ、駆動制御装置 |
2025年4月1日から1年 |
自動更新 |
|||
|
セキュリティ機器 |
2006年9月6日から1年 |
自動更新 |
|||
|
半導体、デバイス |
2015年4月1日から1年 |
自動更新 |
|||
|
三菱電機住環境システムズ㈱ |
取引基本契約 |
空調機器、低温機器 |
2004年10月1日から1年 |
自動更新 |
|
|
三菱電機ビルソリューションズ㈱ |
取引基本契約 |
昇降機、ビル管理システム |
2005年3月17日から1年 |
自動更新 |
|
|
横河電機㈱ 横河ソリューションサービス㈱ |
販売代理店契約 |
工業計器、電気計器 |
自 2025年6月1日 至 2026年3月31日 |
― |
|
|
日本航空電子工業㈱ |
販売特約店契約 |
コネクタ、スイッチ、リレー及びそれらの関連製品 |
1992年4月1日から1年 |
自動更新 |
(注)契約期間は、再契約のものを含めて最新の契約書に基づく契約期間を表示しております。
該当事項はありません。