文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社は、当社グループのビジョン、企業理念、経営方針及び行動指針を以下のとおり定めています。
ビジョンは当社グループが目指す姿であり、企業理念は全ての活動の礎です。企業理念を具現化するために、「誠実」「成長と進化」「社会課題の解決」を経営方針として定めています。
これらの理念体系のもと、経済価値、社会価値、環境価値の向上を図ってまいります。

(2) 経営方針
① 誠実
当社グループの基本的な姿勢であり、行動指針や行動倫理規範を通じて社員一人ひとりの行動として体現されます。
② 成長と進化
当社グループの経営戦略であり、持続的な企業価値向上に向けた具体的な戦略として、中期経営計画に反映させています。
③ 社会課題の解決
当社グループの社会的存在意義であり、事業活動を通じて、社会課題の解決に貢献していきます。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
国内経済につきましては、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に、引き続き緩やかな回復基調で推移することが期待されます。しかしながら、物価上昇の継続に伴う実質賃金の低下が個人消費に及ぼす影響や、地政学的リスクの増大、海外経済の不確実性など、先行きは依然として不透明な状況にあります。
住宅関連業界におきましては、新築市場において、建築基準法および建築物省エネ法の改正に伴う反動減による落ち込みからの回復が見込まれるものの、人口減少に伴う中長期的な新設住宅着工戸数の減少トレンドは継続しております。加えて、住宅価格の高騰や金利上昇懸念もあり、予断を許さない状況が続くものと予想されます。
このような環境下において、当社グループは、「中期経営計画 Road to 2030」(計画期間は2026年3月期から2030年3月期)に基づき、木材流通の川上から川下までを支えてきた強固な事業基盤を活かし、住まいのみならず「暮らし」領域において価値を提供する事業体への進化を目指しております。具体的には、新築市場の縮小に対応すべく、既存住宅流通、非住宅、そして「暮らし」領域へと事業ポートフォリオの最適化を推進しております。建築資材事業におきましては、エコマテリアルである国産木材の供給体制を拡充させるとともに、非住宅・非建築分野への用途拡大など、木材の新たな価値創出に取り組んでおります。住宅事業におきましては、中古マンション買取再販事業のさらなる拡大に加え、一棟収益不動産事業や賃貸管理事業の拡大、非住宅木造建築の受注拡大など、周辺収益事業群および新たな成長領域へのシフトを着実に進めております。
これら成長ドライバーとなる各施策を確実に実行し、環境変化に即した事業構造へと柔軟に転換を図ることで、持続的な成長と企業価値の向上に邁進してまいります。
(4) 中期経営計画 Road to 2030
① 経営戦略
中長期的な事業ポートフォリオの方向性
収益基盤である既存のコア事業の深化と、成長性が見込まれるコア事業の周辺事業への投資、更には将来的な成長基盤の創造を見据えた投資を行ってまいります。

② 当社グループの競争優位性
外部環境の変化を踏まえて、「安定的な供給体制と豊富な顧客基盤」「専門性の高い人材とイノベーション力」「木材活用による脱炭素社会への貢献」の三つの強みをベースに事業の競争優位性を発揮してまいります。

③ 課題認識に基づく成長ドライバー
現状の課題認識やナイスグループの競争優位性に基づき、次に掲げる成長ドライバーで取り組みの更なる推進を図ります。

④ キャッシュ・アロケーション
「Road to 2030」の期間におけるキャッシュ・フロー及び資金調達を原資とし、株主還元に50億円以上、新規事業投資に145億円以上、既存事業の成長投資に120億円以上を充ててまいります。

「Road to 2030」の最終年度である2030年3月期は、売上高3,000億円、営業利益75億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円を定量目標としております。
また、主要な財務指標として、計画期間中の投資活動を踏まえ、減価償却費及びのれん償却額を営業利益に加算して本業の収益力を示すEBITDA、資産の効率性を示すROAを設定しております。
※ EBITDA:営業利益+減価償却費+のれん償却額
なお、上記定量目標は、中期経営計画策定時において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
※1 2026年3月期の剰余金の配当72円のうち、期末配当44円については、2026年6月26日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)であります。
※2 2027年3月期以降は、2026年3月期末発行済株式数(自己株式控除後(株式給付信託により信託が保有する自己株式を除く))により算出しています。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、様々な要因によって変動する可能性があります。
(1) サステナビリティ
① サステナビリティに関する考え方
当社は、持続的な成長及び更なる企業価値の向上を目指し、社会的存在意義として「樹とともに、人と暮らしをつなぎ、はぐくみ、彩りある未来をつくります」を掲げております。役職員をはじめとしたステークホルダーの「彩りある未来」の実現を目指し、社会的存在意義をサステナブル推進方針と位置付けることで、サステナビリティへの取組をより一層強化するとともに、経営の中核にサステナビリティ視点を導入し、事業成長と社会のサステナビリティへの貢献の両立を実現してまいります。
「① サステナビリティに関する考え方」に掲げた方針に基づき、当社の取締役会は、サステナビリティに関するリスク及び機会について監督しております。また、当社代表取締役社長を委員長とし、取締役らを委員とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、原則毎月1回開催され、コンプライアンスやリスク管理、労働安全衛生等を含めたサステナビリティに関する事項全般を統括し、当社グループのサステナビリティの推進に関する基本方針や戦略、事業活動等に関する計画及び進捗について審議し、重要事項は取締役会へ付議・報告しております。
サステナビリティの取組については、同委員会の配下に設置した専門部会であるマテリアリティ部会、人的資本部会、コンプライアンス・リスク管理部会、ナイスグループ中央安全衛生委員会が所管しております。各部会と事業部門が連携することで、全社一体となったサステナビリティ推進活動を実施してまいります。
a サステナビリティの推進体制(概略)

b サステナビリティ委員会の活動内容(2026年3月期)
c サステナビリティ関連の各種方針等
当社は、持続的な成長に向けて優先的に取組むべき課題として、下記のとおり9つのマテリアリティを特定しております。本マテリアリティへの取組を通じて、環境・社会・経済の持続可能性に配慮したサステナビリティ経営を一層推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
a 当社グループのマテリアリティ(重要課題)と2026年3月期の主要な活動
※1 強耐震構造は、耐震等級2を取得した構造のこと。2倍超耐震は、許容応力度計算による建築基準法の強度の2倍を超える耐震性能を有する構造のこと。
b マテリアリティの特定プロセス
(ⅰ)ESG課題の抽出
マテリアリティを特定するに当たり、国際的なサステナビリティ・フレームワークとなる、GRIスタンダード、SDGs、ISO26000、SASB、ESG評価機関の評価項目などを踏まえて、検討すべきESG課題を500項目以上抽出しました。
(ⅱ)ESG課題の重要度評価
マテリアリティを「企業経営において最も重要視すべきESG課題」と定義し、ステークホルダー視点及び自社の事業インパクトの大きさ、産業特性などの視点から重要度評価を行い、数あるESG課題から対応優先度の高い項目を抽出しました。
(ⅲ)ESG課題の妥当性評価
「(ⅱ)ESG課題の重要度評価」で抽出した優先度の高い項目を、さらに「事業インパクト及び企業価値への影響」と「社会及びステークホルダーからの期待/ニーズ」の2つの視点から再度整理し、当社にとっての重要度の高いESG課題をマッピングして選定しました。これらのESG課題について、外部有識者を含めて社内で妥当性の議論を行い、マテリアリティを特定しました。
(ⅳ)マテリアリティの決定
特定されたマテリアリティについて、取締役会を経て2023年5月に決定しました。
(ⅴ)目標設定と見直し
マテリアリティと経営戦略との統合を行うとともに、社会の変化に合わせてマテリアリティや目標を定期的に見直すことで、継続的な企業価値向上を果たしていきます。
2025年5月には、「中期経営計画 Road to 2030」の策定に伴う見直しを実施し、各マテリアリティについて新たなKPI及び目標を設定しております。
サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関するリスク及び機会について、当社グループの事業や財務状態に対する影響を検討し、その重大性の評価を実施しております。また、評価したリスクの最小化と機会の獲得に向けた施策を策定するほか、その施策に関わる各部署の実施状況について報告を受け、実施状況の監督を行っております。なお、同委員会において検討されたリスクや機会及びそれらに対する施策のうち、重要事項は取締役会に報告することとしております。
当社のリスクマネジメントの詳細につきましては、
当社は、マテリアリティの達成に向けて、主要な指標(KPI)及び目標を設定し、達成度についてモニタリングを進めております。各マテリアリティにおけるKPI及び目標は以下に記載のとおりです。
※1 詳細については、「(2) 重要なサステナビリティ項目 ②人的資本への対応」に記載しております。
※2 詳細については、「(2) 重要なサステナビリティ項目 ①気候変動への対応(TCFD)」に記載しております。
※3 ナイス株式会社が主体となって供給するマンション・一戸建住宅が対象。強耐震構造は耐震等級2を取得した構造のことです。
※4 一級・二級建築士、建築施工管理技士、宅地建物取引士及び管理業務主任者等を「建築関連資格」と定義しています。
※5 2026年3月期から2030年3月期までの5年間累計のキャリア採用人数を目標としております。
※6 「死亡災害及び負傷または疾病により障害等級1~7級に該当する労働災害」を「重大な労働災害」と定義しています。
(2) 重要なサステナビリティ項目
① 気候変動への対応(TCFD)
a 気候変動に関する考え方
当社は、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識しております。木材流通をルーツとする企業として、国内の豊富な森林資源の循環利用によって課題解決に貢献すべく、住宅・建築物の木造化・木質化の推進等を通じて木材の利用促進を図っております。併せて、住宅・建築物の省エネ化・ゼロエネ化に資する環境配慮型商品やサービスの提供により、温室効果ガス排出量の削減に貢献するなど、事業活動による気候変動対策を推進しております。
当社のTCFDに関する開示情報の詳細については、
URL https://www.nice.co.jp/sustainability/tcfd/
b ガバナンス・リスク管理
気候変動に関するガバナンス・リスク管理は、サステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1) サステナビリティ ②ガバナンス 及び ④リスク管理」に記載しております。
c 戦略
(ⅰ)シナリオ分析
当社グループにおいて主要な売上高を占める、当社の木材流通、建材・住宅設備機器の流通、住宅(マンション・一戸建住宅)の供給の3分野における2030年の気候変動の影響について、2023年にシナリオ分析を実施しております。2026年には、日本政府が公表した「第3次気候変動影響評価報告書」を踏まえてシナリオの見直しを実施し、当社の気候変動への対応についてアップデートいたしました。
(ⅱ)シナリオ分析の結果
ア 分析結果の概要
上記シナリオ分析の結果、2℃未満シナリオについては、企業活動に伴う温室効果ガスの排出量に応じて税金を課す炭素税の導入や、エネルギー価格の上昇、住宅の高性能化等による価格高騰などが、主なリスクになると認識いたしました。これらは、再生可能エネルギーの導入促進や自社施設の省エネ化の推進等により、温室効果ガス排出量を削減することでリスクの軽減が可能です。一方で、高性能住宅の普及に伴うエネルギー関連商品の需要拡大や、国産木材の需要の増加、非住宅の木造化・木質化需要の拡大、住宅ストックビジネスの活性化など、リスクを上回る事業拡大の機会が発生することを見込んでおります。
4℃シナリオについては、温室効果ガスの排出量規制への対応コストが生じない一方、自然災害の激甚化によるサプライチェーンの分断や、平均気温の上昇による森林の生態系の変化などを、大きなリスクとして認識いたしました。また、今回のシナリオ分析においては事業インパクトの特定ができなかったものの、防災集団移転やインフラ強靭化、災害からの復興需要といったニーズが新たに発生する可能性があります。
イ 気候変動リスク・機会
当社における重要度が高い気候変動リスク及び機会は以下のとおりです。
顕在化時期は短(3年以内)、中(3年以降5年以内)、長(6年以降)の3段階、事業への関連度合いは●(大いに関連がある)、▲(関連がある)、―(あまり関連がない)の3段階、影響度は財務インパクトの大きさを鑑みて1~5の5段階で評価しています。
d 指標と目標
(ⅰ)環境目標
当社はこれまで、事業活動を通じた社会全体の環境負荷の低減に向けて、自社の事業活動における温室効果ガス排出量の削減に取組むとともに、木材の循環利用やZEHの普及促進などを通じて「ソーシャル・カーボン・ベネフィット(SCB)※8」を創出し、社会全体の温室効果ガス排出量の削減に貢献してまいりました。
取引先様やお客様をはじめとしたステークホルダーとの連携によって、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量について、2050年までに実質ゼロに挑戦することを宣言し、以下のとおり「ナイスグループ環境目標」を策定しております。
2050年目標として、「ALLバリューチェーン・カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げ、DXとパートナーシップを推進していくことで、Scope3を含めたバリューチェーン全体の温室効果ガスを実質ゼロにすることを目指します。
また、2030年目標として、「ソーシャル・カーボン・ベネフィットによる実質的なカーボンニュートラルの達成」を掲げております。自社排出量(Scope1・2)については、「(ⅱ)温室効果ガス排出量の実績」及び「(ⅲ)社有林の森林吸収量の実績」に記載のとおり、当社社有林における森林吸収量との調整後排出量として、当社は既にカーボンマイナスの状態にあります。これを継続するとともに、再生可能エネルギーの積極的な利用等により基準年比(2022年3月期比)50%削減を目指します。Scope3については、国産木材の利用拡大や供給する住宅の高性能化を進めることで、排出量を上回る「SCB」の創出を目指します
※8 「ソーシャル・カーボン・ベネフィット」とは、国産木材の取扱いによる炭素貯蔵量、再生可能エネルギーの供給及び普及による二酸化炭素排出量の削減量などを統合した、当社独自の社会貢献指標のこと。サプライチェーン排出量(Scope3)と比較し、当社のネットポジティブ(社会への純増価値)を測る基準として用いています。なお、算定に当たっては、政府機関等が公開する係数に基づき算出しております。
ナイスグループ環境目標
(ⅱ)温室効果ガス排出量の実績
当社は、GHGプロトコルに則り、当社グループの事業活動に伴う温室効果ガス排出量の算定をしております。2026年3月期における当社グループの温室効果ガス排出量は、以下「Scope1・Scope2の実績推移」に記載のとおり、8,757t-CO2(Scope1:3,468t-CO2、Scope2:5,289t-CO2)となり、2022年3月期比で24.0%の削減となりました。なお、2025年3月期から2026年3月期にかけて実施したM&Aが自社排出量に与えたインパクトを除いた場合の削減率は40.7%となります。
Scope1・Scope2の実績推移(t-CO2)※9
※9 原則として、ナイス株式会社及び国内にある連結子会社を対象に算出しておりますが、2025年3月期以降は重要性に鑑みて一部の持分法適用会社を対象に加えております。
(ⅲ)社有林の森林吸収量の実績
森林は、土砂災害の防止、生物多様性の保全、水源のかん養などの多面的機能を有しています。さらに、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵しながら成長することから、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としても重要な役割を発揮しています。
当社は、木材流通をルーツとする企業として、利益の一部を山林取得に充て、社有林の保全・育成を通じて地球環境保護に貢献してまいりたいとの考えから、1980年より社有林「ナイスの森®」の取得を開始しております。現在の社有林の総面積は2,428.4ヘクタールに及び、2026年3月期における森林吸収量は、以下「社有林「ナイスの森®」の概要と2026年3月期の森林吸収量」に記載のとおり、合計11,189t-CO2となりました。
社有林「ナイスの森®」の概要と2026年3月期の森林吸収量(※10)
※10 社有林の森林吸収量は、2026年3月末時点で入手している最新の森林簿に基づき計算しております。森林吸収量は、小数点第一位を切り捨てているため合計の数値は一致しません。
※11 連結子会社等が所有する森林について、その他の森林としてまとめております。
② 人的資本への対応
a 人的資本に関する考え方
当社は、事業戦略の実行における人材の重要性を深く認識し、人材戦略を経営戦略の中核に位置付けております。人材こそが当社グループの最大の財産であり、人材の成長がグループの成長につながるという考えのもと、「働きやすさ」と「働きがい」を高めるための投資を通じて、多様な人材一人ひとりが仕事を通じた幸せと成長を実感できる経営の実現に努めております。当社グループの持続的な成長及び更なる企業価値向上に向けて、自律的なキャリア形成と成長を支援することで、多様な人材一人ひとりがそれぞれの個性を生かし、自らの能力や強みを発揮し活躍する「主体的な風土の確立」を目指してまいります。また、DXや経営等の分野に精通した専門人材の登用に加え、キャリア採用の拡充を通じて多様な経験やスキルを持った人材を獲得することにより、当社グループの人材ケイパビリティを高め、コア事業の深化及び「中期経営計画 Road to 2030」で掲げた成長ドライバーの推進を力強く支える原動力にしてまいります。
b ガバナンス・リスク管理
人的資本に関するガバナンス・リスク管理は、サステナビリティのガバナンス・リスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1) サステナビリティ ②ガバナンス 及び ④リスク管理」に記載しております。
c 戦略
(ⅰ)事業戦略を実行するために必要な人材戦略
「住まい」と「暮らし」の領域に必要な専門スキルの拡充を図るため、従業員の資格取得に向けた取組を支援するとともに、キャリア開発や戦略的な人員配置を行うことで、計画的かつ継続的な人材育成に努めております。また、事業戦略を実行し、更なる企業価値向上を実現するために、サクセッションプランを通じた次世代経営層の育成を推進してまいります。さらに、タレントマネジメントシステムを活用し、従業員一人ひとりのスキル、強み及び経験等の情報を一元管理するとともに、分析・活用できる仕組みを整備しております。加えて、従業員が自らのキャリア志向を自己申告することでキャリア自律を促し、適材適所の人員配置を通じて、多様な人材が活躍できる環境の整備に努めてまいります。
(ⅱ)人材育成の取組
当社グループが目指す成長に向けて、従業員のスキルアップ、リスキリング及びキャリア自律の促進を目的として、グループ共通のeラーニングによる自己啓発プログラムを導入しております。今後も、従業員一人ひとりが自ら学びたい分野について主体的に学習できる環境の整備を進めてまいります。また、当社では、従業員の主体的な学習や能力開発への取組を支援するため、「スキルアップ手当」を導入しております。このほか、マネジメント層の能力開発に向けて、360度評価及びフィードバック研修を実施し、組織マネジメント力の向上及び部下育成の強化につなげてまいります。
(ⅲ)エンゲージメントの向上
当社は、従業員の企業理念や経営方針への共感度並びに企業価値の向上に対する貢献意欲を可視化し、組織課題を把握するとともに、その解決に向けた施策を検討するために、エンゲージメントサーベイを実施しております。本サーベイの結果は、重要な経営指標として取締役会に報告し、心理的安全性が確保されたフラットな組織風土の醸成に向けた組織開発及び人事戦略の策定に活用しております。今後も定期的なエンゲージメントサーベイの実施を通じて、各組織の状態を把握・検証し、組織風土の継続的な改善に取組んでまいります。
(ⅳ)DE&Iの推進
事業戦略の実行に向けて、チーム力、課題解決力及び変化対応力等の組織能力の強化に取組んでおります。性別・国籍・年齢・障がい・価値観及び雇用形態等による無意識の偏見や思い込みにとらわれることなく、お互いの考え方や価値観に誠実に向き合い、多様な人材の採用・育成・登用を推進することで、新たな視点やイノベーションを創出する組織風土の醸成に努めてまいります。また、従業員が安心して長く働くことができる魅力ある会社づくりを進めるため、働き方の多様化に向けた取組として、子育て、家族の介護、自身の病気治療を目的に取得できる「ライフサポート休暇」制度の導入に加え、育児休業の取得可能期間の延長、育児短時間勤務の利用可能期間の延長等に取組んでおります。引き続き、多様な人材のワークライフバランスとウェルビーイングの向上に努めてまいります。
(ⅴ)健康経営の実践
当社は、会社が健全であるためには従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要であると考えています。そのため、「健康経営」の実践を通じて、従業員の健康意識の向上、健康リスクの低減及びハイリスク者の減少に取組むとともに、従業員とその家族が心身ともに健康で、安心して働ける健全な職場環境の実現を目指しております。
d 指標と目標
「住まい」と「暮らし」領域における専門スキルの拡充に向けて、一級・二級建築士、建築施工管理技士、宅地建物取引士及び管理業務主任者等の建築関連有資格者について延べ1,500人体制の構築を目指してまいります。また、これらの有資格者に加え、多様な経験やスキルを有する人材の獲得を通じた人材ケイパビリティの向上を図るため、キャリア採用を拡充し、2030年までに累計100名の採用を計画しております。さらに、エンゲージメントスコアについては、2030年3月期までに2024年3月期比で10pt向上を目標としております。
加えて、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン基本方針」に則り、多様な働き方に対応する施策の導入等を通じて、2031年3月期までに女性管理職比率10%以上、女性従業員の平均勤続年数を男性従業員の70%以上、男性育児休業取得率70%以上及びフルタイム労働者の各月における法定時間外労働時間数と法定休日労働時間数の合計を1人当たり30時間未満にすることの達成を目指してまいります。
健康経営においては、2030年3月期までに健康診断受診率100%及びストレスチェック受検率100%の達成を目標としております。また、中長期的には健康経営優良法人「ホワイト500」の認定取得に向けた取組を進めてまいります。なお、「健康経営優良法人2026」認定制度において、当社は大規模法人部門、当社子会社であるナイスコンピュータシステム株式会社及びナイスビジネスサポート株式会社は中小規模法人部門の認定を受けております。
(1) リスクマネジメントの考え方
当社は、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させるため、事業活動に関連する内外の様々なリスクを適切に管理するための体制を構築しています。また、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した際の損失を低減させるための活動を行います。
(2) リスクマネジメントの体制
当社グループは、スリーラインモデルの考え方に基づくリスクマネジメント体制を構築しており、リスク管理に関する取組は、取締役会が監督するサステナビリティ委員会が統括しております。
第一ラインとして、当社の各拠点及びグループ各社ごとに任命したリスクマネジメントリーダーが事業にかかる現場部門でのリスクを管理しています。第二ラインとして、コンプライアンス・リスク管理部会がリスクマネジメントリーダーから集約した現場部門でのリスクを評価・把握するとともに、マテリアリティ部会及び2025年6月に新設した人的資本部会が中長期的な全社レベルのリスクや人的リスクを特定し、これらの専門部会の連携により必要な対策をサステナビリティ委員会に報告することとしております。また、第三ラインとして、内部監査室が第一ラインと第二ラインから独立した立場で、リスク管理体制・状況を監査しております。
リスクマネジメント体制の概略

(3) 主要なリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に及ぼす影響については、具体的な内容を見積もることが困難であるため、記載しておりません。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 住宅・不動産市場の動向に関するリスク
当社グループの事業は、国内の経済状況及び住宅・不動産市場の動向に大きく依存しています。そのため、何らかの要因により国内経済が悪化し、需要の後退が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人口減少や少子高齢化に伴う新設住宅着工戸数の減少といった市場構造の変化はすでに現れはじめており、今後さらにこの傾向が急激に深刻化した場合には、当社グループの業績に中長期的な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「中期経営計画 Road to 2030」に基づき、国産木材の供給体制の強化やストックビジネス、非住宅分野の拡充を通じて、新築住宅マーケットに過度に依存しない事業領域の拡大と事業ポートフォリオの最適化を推進し、リスクの軽減に努めてまいります。
② 木材、建材・住宅設備機器等の調達及び価格変動に関するリスク
当社グループは、木材を国内外から調達しているほか、建材や住宅設備機器についても、一部の仕入先メーカーが海外拠点において部品の調達や製品の生産を行っています。そのため、国内外における自然災害や社会不安(戦争、感染症の流行、地政学的リスクなど)により、調達が困難となる可能性があります。また、取扱商品の市況や需給の急激な変動により、調達価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
昨今では、不安定な中東情勢の影響により、断熱材や配管材等の原料となるナフサ等の供給不安や価格高騰、物流の停滞等が生じており、一部の製品において納期遅延等の影響が見受けられ、これらの事象は足下で顕在化しているほか、今後も短期的・中期的に断続的な影響が生じる可能性があります。今後、これらがさらに長期化・深刻化した場合には、調達価格の更なる上昇や供給制限、物流の停滞を通じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、国内外の調達ネットワークを活用し、商品を複数の産地・メーカーから調達するとともに、全国の物流拠点のストック機能を活かすことで、供給体制の安定確保に努めています。また、行政機関、仕入先と緊密に連携し、市況や需給の変動に関する的確な情報をタイムリーに発信することで、取引先における混乱の回避や影響の最小化を図るなど、サプライチェーンにおける当社の役割を果たすよう取り組んでおります。
③ 法令違反等に関するリスク
当社グループは、宅地建物取引業法、建設業法、建築士法のほか、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流効率化法)」や「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」をはじめとする、事業遂行に関わる各種法令・条例を遵守し、事業活動を行っております。
しかしながら、当社グループ及び外部協力事業者において、重大な法令違反や不正行為、労働災害などが発生した場合には、損害賠償金の支払いや是正措置に多額の費用が発生するほか、業務停止等の行政処分を受ける可能性があります。これにより、当社グループの社会的信用やブランドイメージが損なわれ、顧客離れや取引停止、訴訟への対応を余儀なくされるなど、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「ナイスグループ行動倫理規範」等を定め、役職員に対して周知・徹底を図るとともに、継続的なコンプライアンス研修や内部通報制度の適切な運用を通じて、コンプライアンス意識の醸成に努めております。また、取締役会直属のサステナビリティ委員会の下に設置された「コンプライアンス・リスク管理部会」では、コンプライアンス関連事案の情報共有・分析、発生防止策や対応策の検討・指導・監督等を行っております。
さらに、法定の安全委員会・衛生委員会とは別に、安全衛生活動をより強化する目的で、物流・製造・施工管理に関わる各部署及びグループ会社が連携し、「ナイスグループ中央安全衛生委員会」を3カ月ごとに開催しています。同委員会では、労働災害の予防に向けた定期点検、発生事案の検証、再発防止策の推進等を行っています。加えて、専門分野の異なる複数の法律事務所と顧問契約を締結し、事案の内容に応じた的確な法的助言を受けられる体制を整備することで、迅速かつ適切な対応を可能としています。
④ 人材に関するリスク
当社グループの持続的成長及び企業価値向上のためには、専門性の高い人材の確保及び継続的な育成が不可欠です。そのため、必要な人材の確保や従業員の育成が十分に進まない場合、重要なポジションを担う人材が予期せず流出した場合、または職場環境の整備が不十分であることにより従業員のモチベーションが著しく低下した場合には、当社グループの経営成績や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「中期経営計画 Road to 2030」に基づき、「タレントマネジメントの実践」「人材ケイパビリティ向上」「従業員エンゲージメントの向上」を重要施策として推進しております。なお、これらに関する具体的な方針、取組内容及び関連する指標(人材育成方針、社内環境整備方針など)の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 重要なサステナビリティ項目 ②人的資本への対応」に記載のとおりであります。
⑤ 建設技能者の減少に関するリスク
建設業界においては、建設技能労働者の高齢化や若手入職者の減少が継続していることに加え、時間外労働の上限規制の適用に伴う労働環境の変化も相まって、将来にわたる施工能力の安定的な確保が重要な課題となっております。今後、当社グループ及び施工協力会社において、必要な技能者の確保が十分に図れない場合、工期の遅延や労務費の高騰を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、施工プロセスの合理化やデジタルツールの活用推進等により、現場の省力化と生産性向上を図っております。また、適正な賃金水準の維持等といった処遇改善を通じて技能者の定着と確保に努めるとともに、施工パートナーとの長期的・安定的な協力体制をより一層深化させております。これらの対策を多角的に講じることで、供給体制の維持と施工品質の確保を両立し、人的資源の制約に伴うリスクの軽減に注力してまいります。
⑥ 自然災害等に伴う事業継続に関するリスク
大規模な地震や風水害などの自然災害により、当社グループの施設・設備等が甚大な被害を受けた場合、あるいは重篤な感染症の急激な拡大などにより事業活動に大きな制約が生じた場合には、当社グループの役職員の安全確保や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づき、リスクマネジメント体制の強化を図っております。具体的には、安否確認システムの運用やBCPマニュアルの整備、定期的な防災訓練の実施、備蓄の確保に加え、クラウド活用による情報インフラの冗長化や計画的な設備改修を推進しております。あわせて、非常時においても、リモートワーク等の柔軟な働き方を活用できる体制を整備することで、役職員の安全確保と安定的な事業運営を維持し、社会的責任を果たせるよう努めております。
⑦ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業上の重要情報に加え、事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、当社グループのITシステムがサイバー攻撃やウイルス感染等の被害を受けて業務が停滞した場合、また、個人情報等が漏洩した場合には、社会的信用の低下や損害賠償の発生、復旧費用の負担などを通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティ方針」を定め、外部からの不正アクセス防止や検知システムの導入といった技術的対策に加え、クラウド活用によるバックアップ体制の構築など、情報資産の安全性と可用性を高める対策を継続的に強化しております。また、万一の事故発生に備え、サイバー保険に加入することで、調査費用や損害賠償といった財務的な影響を最小限に抑えるリスクヘッジを図っております。運用面では、専門部会においてリスク評価と対策の有効性を定期的にモニタリングし、全役職員を対象として標的型攻撃メール訓練などの情報セキュリティ教育を継続的に実施することで、組織全体の意識向上と対応力の底上げを図っております。あわせて、万一のインシデント発生時に迅速な復旧と被害拡大防止を図るための初動対応体制を整備し、情報セキュリティ対策の徹底に努めております。
⑧ 品質保証に関するリスク
当社グループが展開する住宅の建築・供給及び不動産開発において、予期せぬ重大な品質問題が発生した場合には、多額の改修・補修費用が発生するだけでなく、当社グループの社会的信用やブランド価値が大きく毀損され、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、地盤調査、設計、基礎工事から上棟、竣工に至るまで、各工程に応じて、建築基準法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に準拠した厳格な自社検査体制を構築しております。これに加え、第三者機関による客観的な検査を併用することで、設計・施工品質の透明性と信頼性を確保しております。また、長期保証制度の運用や定期点検の実施、および施工現場からのフィードバックを通じた継続的な品質改善活動により、お客様への安心の提供とリスクの未然防止に努めております。
⑨ 保有する資産に関するリスク
当社グループは、販売用不動産、有形固定資産及び投資有価証券その他の資産を保有しており、主に時価の下落による評価損又は減損損失の計上によって、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、全国に保有する木材市場や物流センターなどの施設・設備については、老朽化に伴い安全性を含めた良好な労働環境を確保するために、多額の修繕費が発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、販売用不動産については、仕入基準に基づき優良な土地を取得するとともに、一定額を超える案件は取締役会で審議し、市場動向に応じた機動的な在庫コントロールを行っております。また、政策保有株式等の資産については、保有方針及び保有の合理性を毎年取締役会で個別に検証しており、検討の結果、保有継続が適当でないと判断した資産については売却等を進めております。これにより創出した資金を成長投資等へ再配分するなど、資産効率の向上を図っております。
あわせて、施設・設備等の修繕については、中長期的な改修計画に基づき、計画的な維持管理を実施しております。これにより、老朽化に伴う突発的な費用発生を抑制するとともに、安全性に配慮した良好な労働環境の確保と、資産価値の維持向上に努めております。
⑩ 取引先への信用供与に関するリスク
当社グループは、取引先に対して売上債権等の信用供与を行っております。そのため、取引先の経営状況が何らかの要因により悪化した場合には、貸倒れ等による突発的な不良債権が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、信用リスクの顕在化を防止すべく、適切な債権限度額の設定をはじめとする厳格な与信管理を徹底しております。
⑪ 資金調達に関するリスク
当社グループは、事業に必要な資金を金融機関からの借入により調達しております。そのため、金融市場の混乱や当社の信用格付の引き下げ、あるいは金融機関の融資方針の変更などにより、資金調達に制約が生じる可能性があります。また、将来的に金利が上昇した場合には、資金調達コストが増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、長期資金の確保や金利の固定化を図るとともに、コミットメントライン等の活用により資金流動性を十分に確保することで、安定的かつ効率的な資金調達及び資金管理体制の構築に努めております。
⑫ 為替に関するリスク
当社グループは、木材及び建材を外貨建てで輸入しているため、為替相場の変動によって想定を超えるコストが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、輸出入契約額の一定割合について先物為替予約を活用することで、為替変動が経営成績に及ぼす影響の軽減に努めております。
⑬ 気候変動に関するリスク
当社グループは、地球温暖化をはじめとする気候変動問題を経営の重要課題の一つとして認識しております。当社の取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関するリスク及び機会についての監督を行っているほか、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」において特定・評価された重要事項について、必要に応じて審議・決定する体制を構築しております。
また、当社グループは「環境方針」に基づき、企業活動を通じた環境負荷の低減と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めております。気候変動が当社グループの事業活動や財務に与えるリスク及び機会(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 重要なサステナビリティ項目 ① 気候変動への対応(TCFD)」に記載のとおりであります。
⑭ 設備投資及び企業買収、研究開発等に関するリスク
当社グループは、持続的な成長と競争力強化のため、設備投資や企業買収、研究開発を推進しております。しかしながら、急激な市況の変化や新たなリスクの顕在化などにより、設備の稼働率低下や対象企業の企業価値の毀損などが生じ、想定した効果が得られない場合には、資産の減損損失の計上などを通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、新規設備投資の妥当性を判断する際には、ハードルレートをWACC(加重平均資本コスト)を上回る水準に設定し、経済性の検証を行っております。また、企業買収等の検討にあたっては、外部専門家を含めた事前の詳細な調査(デュー・デリジェンス)を実施し、取締役会等においてリスクの所在やリターンの妥当性を十分に審議しております。実施後(PМIフェーズ)においては、対象企業の経営体制や業務プロセスの早期統合に注力し、定期的なモニタリングを通じて事業計画の進捗管理を徹底することで、投資リスクの低減と早期のシナジー創出に努めております。
⑮ 業務委託先の倒産等に関するリスク
当社グループは、マンション事業及び一戸建住宅事業等において、設計会社や建設会社などの外部業者に対して各種業務の発注・委託を行っております。発注した業務が適切に履行されているかを逐次確認していますが、外部業者が業務を履行しない場合や倒産した場合などには、当社グループが定めたスケジュールや品質基準、法令に基づく業務遂行が困難になるおそれがあります。
特に、顧客に販売するマンションや一戸建住宅の工事完成前に売買契約を締結し、引渡義務を負う場合においては、所定のスケジュールや品質基準、法令を満たした工事が行われないと、売主として顧客に対し債務不履行責任を負うほか、規制当局から是正指導を受ける可能性があります。これらの事態は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、売主として保証金の供託や保険への加入を行っております。また、与信など一定の取引条件を満たす複数の事業者と当社の品質基準を共有する体制を構築し、さらに特定の外注先に依存しない体制を整備することで、リスクの最小化に努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価上昇の継続に伴う実質賃金の低下が個人消費に及ぼす影響や、地政学的リスクの増大、海外経済の不確実性など、先行きは不透明な状況となりました。
住宅関連業界におきましては、新築市場において、建築基準法及び建築物省エネ法の改正に伴う駆け込み需要の反動に加え、資材価格や労務費など建築コストの押し上げによる住宅価格の高騰や、住宅ローン金利の上昇懸念から、消費者の住宅取得マインドに影響を及ぼしました。2025年度の新設住宅着工戸数は前年度比で12.9%減少の71万1千戸となり、リーマン・ショックの影響を受けた2009年度以来となる70万戸台にとどまりました。
このような状況の中、当連結会計年度の売上高は2,591億54百万円(前連結会計年度比6.6%増加)、営業利益は53億22百万円(前連結会計年度比15.0%増加)、経常利益は51億62百万円(前連結会計年度比19.9%増加)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、補助金収入等の特別利益が減少したこと等により、前連結会計年度比で9.9%減少し、25億86百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高は、外部顧客への売上高であります。また、各セグメントの営業利益はセグメント利益であります。
a 建築資材事業
木材につきましては、「中期経営計画 Road to 2030」の成長ドライバーである「国産木材の供給」の拡大に注力いたしました。主な取り組みとして、当連結会計年度の4月にはウッドファースト株式会社の敷地内にて新工場が稼働し、生産能力の拡大を図りました。また、同9月には木材の利用促進と住宅・非住宅木造建築の普及に資する総合展示会「木と暮らしの博覧会®」を開催し、森林資源の循環利用と当社グループの木材サプライチェーンにおける取り組みを広く発信いたしました。同1月には株式会社山大と業務提携契約を締結し、国産木材の供給体制およびプレカット加工能力の増強を図りました。国産木材については、売上高および取り扱い材積がともに伸長した一方、輸入木材については、為替や輸送費の変動等の影響を受け、軟調に推移いたしました。
建材・住宅設備機器につきましては、法改正に伴い工務店のZEH化の動きが加速するなか、サッシ等の商材の拡充をはじめ、エネルギー関連商品の提案営業に努めました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は1,935億32百万円(前連結会計年度比5.7%増加)と増加したものの、工場設備の減価償却費や支払運賃の増加等の影響により、営業利益は17億47百万円(前連結会計年度比22.6%減少)となりました。
b 住宅事業
マンションにつきましては、成長ドライバーである「中古マンション買取再販」の拡大を加速するべく、仕入れ体制の強化に加え、木質化リノベーションブランド「RIZ WООD®(ライズウッド)」の展開等に注力いたしました。その結果、中古買取再販マンションの契約戸数および計上戸数ともに増加いたしました。新築分譲マンションにおきましても、免震構造または耐震等級2の「強耐震」構造の採用や、快適な住環境とエネルギー削減を両立する「ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)」の標準化に加え、共用部の木質化に積極的に取り組み、販売は堅調に推移いたしました。
一戸建住宅につきましては、分譲住宅の構造材に「国産材100%」を標準採用しており、当社の主力エリアにおける販売が堅調に推移いたしました。
また、管理その他につきましては、賃貸管理事業が堅調に推移したほか、一棟収益不動産の売上計上が業績に寄与いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は549億31百万円(前連結会計年度比8.1%増加)、営業利益は38億92百万円(前連結会計年度比8.7%増加)となりました。
c その他の事業
その他の事業につきましては、建築工事事業が伸長し、増収増益となったほか、ソフトウェア開発事業及びシステム提供事業を行うナイスコンピュータシステム株式会社や、一般放送事業(有線テレビ放送事業)や電気通信事業等を行うYOUテレビ株式会社の業績が堅調に推移いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は106億90百万円(前連結会計年度比16.5%増加)、営業利益は13億52百万円(前連結会計年度比119.0%増加)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24億34百万円増加し、1,734億71百万円となりました。これは、棚卸資産及び投資有価証券が増加し、現金及び預金、有価証券及び流動資産の「その他」が減少したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ10億64百万円減少し、1,083億11百万円となりました。これは、仕入債務及び流動負債の「その他」が減少し、借入金及び繰延税金負債が増加したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ34億98百万円増加し、651億59百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、剰余金の配当及びその他有価証券評価差額金の増加などによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ72億97百万円減少し、217億80百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金は32億2百万円の減少(前連結会計年度は49億31百万円の減少)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益45億19百万円、減価償却費21億82百万円、棚卸資産の増加78億68百万円及び仕入債務の減少26億99百万円です。
当連結会計年度における投資活動による資金は45億76百万円の減少(前連結会計年度は75億22百万円の減少)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出36億93百万円です。
当連結会計年度における財務活動による資金は3億70百万円の増加(前連結会計年度は45百万円の増加)となりました。主な内訳は、借入金の純増加額20億87百万円、自己株式の取得による支出6億55百万円及び配当金の支払額8億8百万円です。
④ 仕入及び販売の状況
a 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ)建築資材
(ⅱ)住宅
販売用不動産の受払状況
(注) ( )は内数で、保有目的の変更による有形固定資産との振替額であります。
当連結会計年度のマンションの当期減少額7,301百万円及びその他の当期増加額5,691百万円のうち、2,841百万円は保有区分の見直しによる振替額であります。
(ⅲ)その他
事業の内容が多岐にわたるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 外部顧客への売上高であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績
当連結会計年度における売上高は2,591億54百万円(前連結会計年度比6.6%増加)となりました。建築資材事業ではM&Aにより強化したエネルギー関連商品の販売で建材・住宅設備機器部門の売上高が伸長し、住宅事業では中古マンションの買取再販の拡大によりマンション部門の売上高が増加しました。
利益面では、売上総利益は売上高の増加に伴い362億22百万円(前連結会計年度比4.4%増加)、営業利益は販売費及び一般管理費の増加を吸収して53億22百万円(前連結会計年度比15.0%増加)、経常利益は51億62百万円(前連結会計年度比19.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に特別利益を11億12百万円計上したこと等により、25億86百万円(前連結会計年度比9.9%減少)となりました。
連結売上高、連結営業利益等をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 外部顧客への売上高であります。
② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」及び「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金のほか、借入金、社債及び増資等により調達することとしております。今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。来年度以降の住宅事業における販売用不動産の取得に係る機動的かつ安定的な資金調達手段の確保を目的として、2026年3月31日までに主要取引金融機関との間で、総額145億円のコミットメントライン契約を締結しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2026年3月期を初年度とする5か年計画「中期経営計画 Road to 2030」を策定しております。本計画の最終年度である2030年3月期の定量目標は、売上高3,000億円、営業利益75億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円、財務指標はEBITDA100億円、ROE6.0%超、ROA2.0%以上であります。
また、株主還元として計画期間中は毎期7円ずつ増配し、2030年3月期の1株当たり配当金は100円としております。
なお、「中期経営計画 Road to 2030」の内容については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 中期経営計画 Road to 2030」に記載しております。
計画初年度である2026年3月期の予想値と実績を対比すると、以下のとおりです。
該当事項はありません。
該当事項はありません。