第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは「誠実」「信用」「貢献」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としております。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度の経営環境は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果により、景気は緩やかな回復の動きがみられるものの、円安の進行による物価上昇や、金利の上昇などによる企業の経済活動や個人消費への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況となっております。

 

(ファインケミカル事業)

 医薬品原料部門の主要顧客領域であるジェネリック医薬品市場は、製剤安定供給のための新たな施策を厚生労働省として検討しており、製薬業界として品目の集約や、より安定供給力の高い原薬の製造供給が求められる環境になると予想しております。CDМО部門の主要顧客領域である新薬市場においては、他国とのドラッグラグ・ロスの解消に向けた取り組みが積極化され、また医薬品モダリティーの多様化の下、ペプチド・核酸などの中分子医薬品の市場は引き続き成長することが予想されます。このような状況のもと、医薬品原料部門では、輸入原薬事業の応需体制強化(QA、QC)と海外サプライヤーとの関係性深化に注力いたします。また、製造販売事業においては、スペラファーマ株式会社の原薬合成技術を積極的に取り入れ、自社品の改良や静岡工場の応需能力強化につなげてまいります。CDМО部門では、医薬品の研究開発受託・治験薬製造受託・商用製造受託をシームレスに提供でき得る体制の構築に向け、2025年6月に予定しているスペラファーマ株式会社と岩城製薬佐倉工場株式会社の合併や、その他のグループ会社との事業シナジーを創出し得る体制の構築をよりスピード感をもって進めてまいります。

 

(HBC・食品事業)

 食品原料・機能性食品原料市場は、国内市場の成熟化、原材料価格の高止まり、消費者の節約志向による低価格帯へのシフト、機能性表示食品に対する不安の広がり等、厳しい市場環境が続くと予想されます。化粧品原料市場は、新型コロナウイルス感染症の影響がなくなり、社会活動の正常化とともに、インバウンド需要増もあり国内市場は引き続き回復するものと予想されます。化粧品通販市場は、新型コロナウイルス感染症の影響がなくなり、社会活動の正常化とともに、国内市場は引き続き回復するものと予想されます。このような状況のもと、食品原料部門では、一般加工食品向け機能性食品原料拡販の取り組みとして、食品原料検索プラットフォームである「i-Platto(アイプラット)」の提供などにより、多様化する顧客ニーズに迅速かつ的確に対応ができる体制を構築してまいります。また、プラットフォーマーとして顧客の業務効率化に寄与する取り組みを進めてまいります。化粧品原料部門では、引き続き自社品及び付加価値提案型ビジネスの展開と企画開発・インサイドセールスの機能強化により、新規案件の獲得に取り組んでまいります。化粧品通販部門では、自社品の更なる需要掘り起こし、新製品開発、新規及び海外化粧品ブランドなどの新規取り扱いによる成長を目指します。

 

(医薬事業)

 医療用医薬品市場では、2024年10月にスタートした選定療養により、長期収載品は一層厳しい状況となる一方で、後発医薬品はシェアを伸ばしております。一方で、後発医薬品の供給不足は解消されておらず、当面は継続すると思われます。厚生労働省は、医薬品の製造や供給に関わる情報の公開状況や他社が出荷制限した時に代替品を増産した実績などから後発医薬品企業を評価し、薬価を優遇する制度を開始します。医療機関専売化粧品市場は、コロナ以降拡大を続けております。ここ数年市場をけん引してきた効果の強い化粧品は一段落し、効果がマイルドな製品が伸びると期待されております。このような状況のもと、医療用医薬品部門では、引き続き品質最優先・法令遵守の下、製品の安定供給に努めてまいります。また、新製品の研究開発や長期収載品の承継等の事業開発活動を今後も推進していく一方、学会での展示やウェブセミナーによる疾患啓発を通じ、岩城製薬株式会社の認知度を上げ、医師や看護師、薬剤師の皆様からの信頼向上に努めてまいります。美容医療部門では、スタッフ向けセミナーやSNSによる情報発信を行い、NAVISION DRブランドの知名度アップを通じて売上拡大に取り組んでまいります。

 

 

(化学品事業)

 表面処理薬品市場は、半導体分野においては、日本及び台湾メーカーの国内での大型投資が行われており、将来的に大きく拡大することが予想されます。特に国策でもあるパワー半導体はエネルギー効率の向上を追求する電気業界、自動車業界において高い成長が期待されます。また、EV及び自動運転技術の進化により自動車分野では部品点数が増えており、半導体・電子部品の増産投資が行われております。今後もこの傾向は継続すると予想しております。しかしながらプリント基板セグメントにつきましては、まだ回復基調に転じたとは言えず注視していく必要があります。このような状況のもと、表面処理薬品部門においては、常にお客様の技術革新における課題を解決すべく製品開発を行ってまいります。電子部品用薬品では、お客様の増産に対応できる生産体制を整えてまいります。また日本・韓国での実績を踏まえ、台湾でのビジネス拡大を図るとともに、中国での活動を強化いたします。パワー半導体では引き続き12インチ対応製品開発を行うとともに装置メーカーの協力のもと設備の開発を進めてまいります。表面処理設備部門においては、生産キャパシティを増加させたことで、引き続きお客様の需要にお応えできるよう、納期短縮等の施策を推し進めてまいります。また、技術革新に伴うお客様のニーズの変化に対応できるよう、顧客の要望を取り入れた新構造装置を含めた製品開発等を強化してまいります。

 

(その他事業)

 2025年11月期は、ヘルスケアブランド「NAIA」の拡大を進めてまいります。 国内のヘルスケア市場は多産多死の競争が激しい環境にありますが、能登産の和素材と最新の皮膚科学を組み合わせた質の高い商品に対する市場の反応には手応えを感じております。特に、農業×ヘルスケアの組み合わせが生み出す目新しさや、能登の伝統技術や文化の継承という新しいストーリーに共感していただいている点が挙げられます。また、出自が確かな農産物を自社で加工しているという点においても高い新規性を備え、ブランドの強みとして評価されております。ブランドの成長とともに、地域への支援も継続的に行ってまいります。2025年4月にはロゴをリニューアルし、ブランドイメージを一新することで、更なる認知拡大を目指します。NAIAブランドのストーリーに共感するコアなファンベースを構築し、新商品を継続的に市場投入する計画です。また、石川県内と全国のプロモーションを組み合わせた戦略を展開し、農業×ヘルスケアを特徴としたブランドとしての独自性を強化いたします。更に、営業活動の強化や広報・PR活動を通じて国内外での認知拡大を図ります。これらの施策を通じ、当社グループの社会的価値の創出と事業収益性の向上を実現してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としましては、当社は「誠実」「信用」「貢献」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としており、中期的な経営戦略の実行及び実現に向け、これまで長きにわたって培われてきた良き企業文化はそのままに、成熟企業的な行動慣習を改め、経営品質を改革・向上させることが、非常に重要な課題であると認識しております。

 この課題に対処するため、当社グループは2021年6月に持株会社体制へ移行し、5事業をビジネスの主軸にするとともに、経営体制刷新による事業戦略の再構築を行いました。事業戦略再構築の基本方針として、「産業」「技術」「社会」のサステナビリティを高めることを目的とした3つのサステナビリティ戦略のもと、6つのビジネスモデルを定義し、グループ中長期ビジョン(Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”)を推進してまいります。

 なお、当社グループを取り巻く事業環境は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果により、景気は緩やかな回復の動きがみられるものの、円安の進行による物価上昇や、金利の上昇などによる企業の経済活動や個人消費への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況となっております。

 このような状況のもと、当社グループでは、グループ中長期ビジョン達成に向け、目標値に対する進捗状況等を鑑みて、ローリング方式にて中期経営計画ローリング(2025-2027)の見直しも行っております。

 

(4)経営戦略

 当社グループは2021年1月発表の「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」の実現へ向けて、プラットフォーム事業への転換・ニッチトップ事業の磨き上げ・新規事業への投資と育成の3つの基本戦略に基づいた経営を推進し、各種施策に取り組んでおります。

 

① プラットフォーム事業への転換

 当社グループにおけるファインケミカル事業及びHBC・食品事業は、商流や技術の中核に位置しており、今後、競争力の高い周辺領域に積極投資し、その繋ぎ合わせにより価値連鎖を実現させ、新たな価値提案を行う。

(ファインケミカル事業)

・CMC/CDMO事業と調達プラットフォーム事業を2本柱とし、原材料調達からCMC研究、原薬商用生産までの医薬品開発・製造の幅広いサービスを提供する。

・グローバル要求水準に対応し、高活性注射剤CDMOのトップを目指す。

(HBC・食品事業)

・原料ビジネスのDX化により、顧客の開発・調達プロセスにおける課題解決のプラットフォームを提供する。

同時に独自性を高めた商品・サービスの提供で市場価値を増大させる。

・ダイレクトマーケティング領域への投資を行い、領域特化型のネットワークを構築する。

 

② ニッチトップ事業の磨き上げ

 当社グループにおける医薬事業及び化学品事業は、グローバル展開やカテゴリ選択により引き続き高い成長が見込めるため、これまでの戦略を継続し確実な成果を上げる。

(医薬事業)

・皮膚科領域をベースに、外皮用剤品目数及び生産キャパシティにおいてトップを目指す。

・外皮用剤、新薬共同開発、国内外の事業提携、M&A等により事業基盤の強化・拡大を目指す。

(化学品事業)

・エレクトロニクス実装市場のトレンドを捉え、ニッチトップ商品を継続的に開発する。

・ハイエンドパッケージ基板での地位確立、チップ部品用途の実績で台湾・中国大手での採用、半導体パワー・センサー系薬品の更なる差別化を図る。

・環境負荷低減を追求し、グローバル企業との共同開発による更なる成長を進める。

 

③ 新規事業への投資と育成

 上記2つの基本戦略に加えて、将来の持続的ニーズを捉え、社会と共に成長していける製品(モノ)・サービス(コト)を創出し、現状の主力4事業に次ぐ、第5の主力事業を立ち上げる。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

 2030年11月期を最終年度とした新たな中長期ビジョン「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」においては、売上高と自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付け、目標の達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。

 

重要経営指標及び事業遂行上の重点指標の目標値(最終年度:2030年11月期)

売上高=1,300億円以上

自己資本当期純利益率(ROE) =13.0%以上

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

サステナビリティに関しては、これまで提唱してきた「産業」「技術」「社会」の持続可能性を高めることを目的とした3つのサステナビリティ戦略を踏まえつつ、サステナビリティに対する現在の当社グループの考えに基づき以下の通りサステナビリティ方針を見直しました。

 

サステナビリティ方針

 

 アステナグループは、1914年創業以来、「誠実」「信用」「貢献」を基本的信条とし、「策揃え」によりお客様が不便を感じることなく、安心して取引できる体制を整えてまいりました。また、ニッチともいえる独自の技術を磨き上げ、信頼性の高い価値を提供してまいりました。「明日(未来)とサステナブル(持続可能)」という当社社名の由来には、私たちに関わるすべてのステークホルダーと共存共栄していくという想いが込められております。当社グループの持続的な価値創造と企業価値の向上のためには、健全な地球環境と安心して暮らせる社会があることが前提であり、次世代へよりよい環境と社会をつなぐことは、当社グループにとって重要な責務です。そのため、環境、社会が抱えるさまざまな課題の解決に果敢に取り組み、環境、社会、経済のトレードオンを目指してまいります。

 

1. 環境

持続可能な環境への貢献
 当社グループは、生物多様性の保全に努めるとともに、環境負荷を最小限に抑えるため、事業運営全体で省エネ・省資源・廃棄物削減を推進いたします。また、製品のライフサイクル全体で環境に配慮した材料・プロセスを採用し、再生可能エネルギーの利用拡大を図ります。

環境配慮型技術の推進
 技術力を活かし、環境に優しい製品・サービスの開発を進め、環境保護に貢献する実践的な技術や仕組みを提供いたします。研究開発においても、循環型経済に資する技術やプロセスを積極的に取り入れ、次世代に繋げてまいります。

 

2. 社会

ステークホルダーとの共創
 「策揃え」の精神と信頼関係を大切にし、取引先や顧客、地域社会と共に持続可能な発展を支える仕組みを構築いたします。これにより、地域に根ざし、社会全体に貢献できる企業活動を推進いたします。

社会的課題への挑戦
 日本社会が直面する医療・健康・生活分野の課題解決に積極的に取り組みます。技術をさらに高めることで、人々の生活の質の向上と社会の健全な発展に貢献いたします。

人権の尊重
 人種、宗教、性別、性的指向、年齢、国籍、障がい等の多様性を認め、あらゆる人権を尊重し、全ての人にとってより良い社会を目指します。

従業員の安全衛生の推進
 従業員の安全と衛生を保証し、職場の安全衛生の向上、健康維持・増進の取り組みを組織の活性化、生産性の向上に繋げ、事業の継続と持続的な成長を目指します。

多様性と公平・包摂の推進
 従業員一人ひとりの多様な背景や価値観を尊重し、働きやすい職場環境を整備いたします。特に、ジェンダー平等やダイバーシティの推進に注力し、多様な人材が安心して活躍できる文化を育みます。

 

3. 経済

長期的価値創造の実現
 誠実かつ持続可能なビジネスモデルを基盤に、安定的かつ持続的な成長を追求いたします。株主や投資家の皆様に対し、経済的価値を提供すると同時に、社会的価値の創出にも注力することで、企業としての信頼と競争力を高めます。

独自技術による経済活性化
 技術や独自の開発力を活かし、社会的ニーズに応える新しい価値の提供を目指します。医薬品・化学品業界での技術力を土台に、国内外の経済発展に寄与し、業界全体にインパクトを与える先進的な取り組みを行います。

透明性とガバナンスの強化
 経済活動においても透明性を高め、企業統治を強化いたします。誠実で信頼される経営を行い、環境・社会・経済における持続可能な価値をすべてのステークホルダーと共有いたします。

 

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

 当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ関連の課題への取り組みは企業経営において重要なものであると認識し、より一層取り組みを推進する為の管理監督機能としてサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会では、各事業のサステナビリティに関連する課題の共有と、当社グループとして取り組むべきサステナビリティ関連の施策の検討を行い、取り組みの進捗管理を行っております。委員長は当社代表取締役が務め、メンバーには各事業の代表取締役・取締役・執行役員を選任し、各事業に影響力を行使出来るメンバーで構成しております。委員会は年4-5回の頻度で開催をしており、当社取締役会に参加するメンバーも在席している為、果たすべき監督機能及びモニタリング機能が十分に発揮される体制を構築しております。委員会で決定された施策は、当社サステナビリティ推進部が各事業の担当者と連携し、実行しております。また各事業との連携の中で、グループ全体に関わる課題が判明した際には施策の提案を委員会に上程しております。

 

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② 戦略

 当社グループは、2021年6月に持株会社体制への移行を機に、産業のサステナビリティを高める「プラットフォーム戦略」、技術のサステナビリティを高める「ニッチトップ戦略」、社会のサステナビリティを高める「ソーシャルインパクト戦略」という3つのサステナビリティ戦略を立案いたしました。

 プラットフォーム戦略では、ファインケミカル事業とHBC・食品事業を対象に、これまでお客様の課題に様々な「策揃え」で課題解決を行ってきた経験を活かし、持続可能な産業システムをつくる事を推進いたします。参入市場におけるあらゆる事業ニーズに応え、産業全体の効率性を高める業界プラットフォーマーになることを目指します。

 ニッチトップ戦略では、医薬事業と化学品事業を対象に、参入市場を小さく定義し、各社固有の技術を磨いて差別化を図るとともに競争力を高めて、高い市場シェアの獲得を目指してまいります。コンプライアンス経営方針を堅持し、品質、安全性、安定供給を最も重要な課題と認識し、持続的な成長のための研究開発投資を行い、高付加価値製品を生み出し続けることを推進してまいります。

 ソーシャルインパクト戦略では、多岐にわたる社会課題をビジネスで解決するため、事業創出を続けてまいります。社会が抱える課題と向き合い、地域社会の皆様と密接に連携し、当社グループの取引先や顧客、従業員が安心・安全に暮らせる社会作りに貢献いたします。

 グループ全体を通じては、グループ共通の基本理念を浸透させ、更なる進化を目指し、高い企業理念の維持に努めております。これらは、創業以来「誠実」「信用」「貢献」を基本理念としている当社グループが、社会に対して果たす企業としての責任と考えております。戦略を推進する経営人材、新しい価値創造に向けた新規事業を創出する人材、高い品質と安全性を担保する専門人材の育成と創出に継続して取り組み、従業員が自律的に会社の成長のための能力を高め、互いを尊重し、新しい価値を協創する会社基盤を構築いたします。

 

 当社グループには、様々異なる事業が属しますが、グループ共通の基本理念を中心に据え、持続的な企業価値の向上を目指すため、グループ共通の重点取り組み事項を定めました。

 

 

◆重点取り組み事項

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③ リスク管理

 リスクが顕在化した場合、その対応によっては企業経営の根幹に影響を及ぼす可能性があります。潜在しているリスクを把握し、未然に対応するため、リスク管理は極めて重要な予防策であると考えております。当社グループでは、「様々なリスクを一元的に俯瞰し、リスクを洗い出し、リスクを防止し、また、リスクが発生した場合は迅速かつ的確に対応することにより被害を最小限にくいとめ、再発を防止し、アステナグループの企業価値を保全すること」を目的とした「グループリスク管理規程」を制定しております。当規程内においてリスクを定義し、有事の際の管理体制と役割を定めて対応しております。

 特に、気候変動に伴うリスクに関しては、当社サステナビリティ推進部と各事業の担当者で協議し、各事業におけるリスクや機会を抽出しております。その中でも発生する可能性の高いリスクにおいて、経営に及ぼす影響が大きいものは、サステナビリティ推進委員会に上程し、経営目線でみた影響度合いを判断し、討議を行います。特に重要な事項に関しては取締役会へ報告し、迅速な対応を取れる体制にしております。また各事業で毎月行われる経営会議において、予実管理などの財務課題に加えサステナビリティ関連の課題があれば合わせて報告し、他事業においても起こり得るリスクや機会と判断されるものがあれば、サステナビリティ推進委員会において情報を共有しております。

 

④ 指標及び目標

a.気候変動

 本件については、詳細は「(2)個別項目、① 気候変動、d.指標及び目標」をご参照ください。

 

b.人的資本

 本件については、「5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

 

(2)個別項目

① 気候変動

a.ガバナンス

 本件については、「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。

 

b.戦略

 当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、パリ協定に準じた国際的な取り組みを支持しております。また当社のサステナビリティ方針で掲げた取り組みを浸透させ、順次実行してまいります。

 

c.リスク管理

 本件については、「(1)サステナビリティ ③リスク管理」をご参照ください。

 

d.指標及び目標

 政府方針である2050年カーボンニュートラルに向けたマイルストーンとして、2030年までの当社グループのCO排出量の削減と再生可能エネルギーへの切り替えに関する定量目標を策定いたしました。今後、設定した目標の早期達成を実現すべく施策を実行してまいります。

 

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② 人的資本

 当社グループは、その伝統から「品質へのこだわり」を誇りとし、「誠実」「信用」「貢献」を何よりも重視する社風を築き上げ、「お取引先を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じて取引先との共存共栄を図り、成長を実現してまいりました。

 当社グループでは、人材の持つ変革や連携に向けた潜在能力を積極的に引き出すことで成長プロセスを自ら率いる集団が立ち上がると考えます。よりクリエイティブに、よりオーナーシップを発揮する人材が価値創造の源泉と考え、そこへたどり着くための各種方策に全力をあげて取り組んでまいります。

 

◆戦略を立案しリーダーとなる経営人材

当社グループは、未来を見据えた経営人材の創出と育成に注力しております。会社の将来像とそこへの道筋を

自ら描き主導し、変革や連携に向けた潜在能力を積極的に引き出すことで、課題の抽出とその解決策について周囲を巻き込み、経営責任を果たすスキルを有する経営人材の育成に積極的に取り組んでおります。

 具体的な取り組みとして、トップマネージメント育成プログラムを展開しております。毎年次世代の経営幹部候補生を自薦・選考により厳選し経営幹部になる意志と覚悟のある従業員を対象に研修を行っております。経営幹部候補生は、戦略的思考、リーダーシップスキル、意思決定能力、コミュニケーション力などを磨き、ホールディングスや事業会社を率いる資質を身につけます。このプロセスを通じて、未来の当社グループ牽引する経営人材が誕生いたします。

 

◆新しい価値を創造する新規事業人材

当社グループは、新たな創造価値に挑戦する人材の育成に注力しております。経営幹部候補生もその資質を求め、事業戦略の革新的成長をリードできる人材を社内外から発掘し、競争力ある処遇と経営資源の戦略的配分を行い、適切な環境を整えております。これにより、当社グループは絶え間ない進化と革新を追求し続けます。

 具体的な取り組みとして、ソーシャルインパクト戦略の拠点がある石川県珠洲市のESGオフィスにて、当社グループの事業創造人材の育成を行っております。当社グループの既存事業とは異なる領域で、困難な状況下において持続的な社会を創るための人材を育成し、当社グループの企画人材を研修の形で参加させることで、更なる成長につなげる取り組みを行っております。

 

◆高い品質と安全性を担保する専門人材

 当社グループは高度な専門知識と技能を持つ人材の育成に注力しております。品質と安全性は当社グループの礎です。

 具体的な取り組みとして、高い品質と安全性を担保する人材についてはこれまでも重点強化してきましたが、今後も最新設備の導入などのハード面の充実だけではなく、業務上の課題解決に主体的かつオープンに取り組んでいけるソフト面である、就業環境の改善を進めてまいります。この結果、当社グループの製品・サービスの品質は常に最高水準を維持しております。

 

◆エンゲージメント向上

 従業員一人ひとりがより働きやすい環境でスキル向上と幅広い能力の効用に取り組むことができる環境づくりに注力しております。また各従業員がバーズアイ(鳥の目)感覚で当社グループのあるべき姿や将来像について意見を表明し、議論し、納得できるビジョンを共有できるような企業風土を構築しております。そのために、グループ間の人材交流をより大胆に推進し、立場を超えた意見や「想い」の披露を促してまいります。

 具体的な取り組みとして、「オープントークキャラバン」を行い、より多くの従業員との対話に経営者が臨むことで、成果や課題、改善案などを従業員からの直接「生の声」で聴く場を設けております。更に、従業員一人ひとりの声を随時拾い上げるチャネルとして「VOE制度」や「目安箱」という仕組みを設けております。こうした取り組みを通じて当社グループは、組織全体で共有されるビジョンに向かって前進してまいります。そして必ず経営者側からフィードバックをすることにより、同じ船に乗り、同じ海図をシェアし、目的地まで一丸となって船を走らせる、そうした意見をトップから新人まで分かち合えるような機会を積極的に作ることによって、当社グループが展開する各種施策の改善、向上に役立つだけではなく、声を届ける従業員のモチベーションの向上にもつながるものと考えます。

 

◆健康経営の推進

 従業員の心身の健康は、持続可能な成長のカギです。当社グループでは、健康経営推進チームを組織し、産業医や健康保険組合と連携して健康経営上の課題に取り組んでおります。当社は2024年3月に「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定され、事業会社も「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」に認定されました。またフレックスタイム制度やリモートワークの導入など、従業員の働きやすさを追求しております。これにより、従業員一人ひとりが最適な働き方を選び、より健康で充実した生活を送ることができます。

 具体的な取り組みとして、当社グループでは毎年ウォーキングイベントを開催しております。参加率は2023年に45%、2024年は37%でした。このイベントは、事業会社であるアステナミネルヴァ株式会社が提供するウォーキングイベントサービス「歩くふるさと納税「ふふる」」を活用したもので、グループを挙げてウォーキングを日常習慣化する狙いがあります。また心のケアとして、ハラスメント相談窓口も社内外に複数設置し、事業会社とともに当社も重層的にモニターし、解決に向けて迅速に対応する体制を整えております。ハラスメントについては、全件数の内容と対処について取締役会において報告・検証しております。

 

◆ダイバーシティの推進

 当社グループは多様性の尊重を企業文化の中核に据えております。特に女性の活躍を重要課題とし、女性従業員の比率向上と女性経営者・管理職の育成・登用に注力しております。女性従業員比率について、2023年11月期は37.4%であり、2024年11月期は36.3%となっております。女性管理職比率については、2024年11月期で10.2%

となっており、改善すべき課題と認識しております。当社グループは、日本政府の「2030年までに女子役員比率30%」を上回る水準の達成に向け、女性管理職の育成・登用に尽力し、比率向上に努めてまいります。

 具体的な取り組みとして、産休時の報酬について実質100%カバーする支給補填制度、介護のための在宅勤務制度の導入を順次進めております。また、当社グループで働く女性が直面する悩みや挑戦に焦点を当てたプログラム「Empowerment in Action」を開催し、女性従業員の比率向上と女性経営者・管理職の育成・登用を進めてまいります。育児休業を取得する男性従業員の割合も増加し、2024年11月期には47.1%に達しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制リスク

① 当社グループの取り扱っている医薬品については、薬事関連規則等に服し、また、医薬用外毒物劇物は、毒物及び劇物取締法に服しており、厳重な管理のもと、その保管・販売を行っております。当社グループはそれらに適切に対応できる仕組み、体制を構築して事業を行っておりますが、万一、対応を誤る事態が生じた場合には、事業活動に制限を受ける可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。

③ リスクへの対応策

 法規制へ十分に対応できるような体制やシステム上の仕組みを構築しております。また薬剤師等の専門家による従業員への教育も適宜行っております。

 

(2) 取引先の債務不履行リスク

① 当社グループの取引先では、企業間競争がますます激化しており、また昨今の厳しい経済情勢のなかで淘汰される企業が今後増えてくるものと思われます。当社グループは債権管理を強化して債権の貸倒リスク等を低減しておりますが、万一、取引先の破産、民事再生等による債務不履行が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。

③ リスクへの対応策

 貸倒リスク顕在化の影響を一定限度にとどめるべく、外部機関による信用情報を複数取得するなど定期的に評価を行っております。

 

(3) 主要取引先の再編

① 当社グループの主要取引先において、今後、合併・統合といった再編が加速した場合、その動向如何によっては、当社の販売額に影響を及ぼす可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。

③ リスクへの対応策

 特定の取引先への取引が集中しないように取引先、及び取引内容の管理を行っております。

 

(4) 製造物責任

① 当社グループは、各種製品を輸入及び生産しております。現在、社内で確立した基準のもとに、厳しい検査体制を整えるなど、品質と信頼性の維持確保に努めております。しかしながら、万一、製品が予期せぬ不具合を起こした場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。

③ リスクへの対応策

 万一、責任が生じた際に当社グループへの業績及び財政状況への影響を最小限にとどめるようグループ全体で製造物賠償責任保険(PL保険)に加入しております。

 

(5) システムトラブル

① 当社グループの事業活動は、コンピュータシステムに大きく依存しております。システムトラブルの発生や大規模な災害や事故の発生、コンピュータウイルスの侵入等によっては物流及び販売等の事業活動に支障を及ぼす可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性がありますが、発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、影響額の見積もりは出来ません。

③ リスクへの対応策

 外部からの不正手段による侵入等に対するセキュリティ機能の充実やバックアップ機能の確保に努めております。

 

(6) 敵対的買収のリスク

① 企業価値・株主の共同利益を損なう恐れのある第三者による株の大量買付行為の可能性は常に存在します。この場合、当社グループでは客観性・合理性を担保のうえ対抗措置を発動することとなりますが、事業遂行のうえで多大な悪影響が発生する可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。

③ リスクへの対応策

 当社グループでは、当該リスク発生の内容・規模に対し、客観性・合理性を担保のうえ対抗措置を発動します。

 

(7) 訴訟について

① 当社グループの事業活動において、賠償等の訴訟その他差し止めを提起される可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 当該リスク発生の動向ないし結果によっては、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性がありますが、発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、影響額の見積もりは出来ません。

③ リスクへの対応策

 訴訟が想定される取り組みについては事前に十分な調査を行い、必要に応じて顧問弁護士と連携をとるなどリスクの低減に努めています。

 

(8) 海外事業活動におけるリスク

① 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしております。しかしながら、海外では為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等の障害により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。

③ リスクへの対応策

 輸出入取引における、為替の変動リスクを軽減するため先物為替予約等の通貨関連デリバティブ取引を行うこと、また海外市場への展開にあたっては経済動向や法規制、商慣習等の十分な調査を行うことによりリスクの低減に努めています。

 

(9) 自然災害、事故、感染症のリスク

① 当社グループは、国内外に複数の製造・販売拠点を有しており、地震や津波等の大規模な自然災害や事故、テロ、感染症などの影響を受ける可能性があります。発生を想定した施策を講じておりますが、被災し事業活動ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、具体的な影響度は測定できません。

③ リスクへの対応策

 BCPに関する規程を策定しており、大地震マニュアルや安否確認システムの配備等、災害時に適応すべく備えております。

 

(10) 減損会計リスク

① 当社グループでは、企業買収の際に生じたのれん及び無形資産、製造設備をはじめとした事業の用に供する各種資産を保有しております。今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、それらの時価が著しく下落した場合、又は事業資産の収益性が悪化し回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用によりそれらの固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② リスクが顕在化した場合の影響度

 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。

③ リスクへの対応策

 当社グループでは、効率性を重視した経営を行っており保有する資産を最小限にとどめると共に、投資後も、事業の執行、管理する体制の整備に努め、収益性の低下が起こらないような管理を行っております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年12月1日~2024年11月30日)における我が国経済は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果により、景気は緩やかな回復の動きがみられるものの、円安の進行による物価上昇や、金利の上昇などによる企業の経済活動や個人消費への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループでは、2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び2026年11月期に向けた中期経営計画を推進し、更なる成長と企業価値の向上を目指す事業の運営を行ってまいりました。

 当連結会計年度では、HBC・食品事業において自社企画の化粧品と輸入化粧品の販売が好調だったこと、医薬事業において薬価の改定によるプラス影響に加え医療用医薬品や医療機関専売化粧品新製品の販売が好調だったことなどにより、売上高・営業利益ともに伸長いたしました。

一方で、当社連結子会社が保有する固定資産の一部について、将来計画を見直した結果、主要な受託案件の受注時期に大幅な遅延等の事実が確認されたため、減損損失を特別損失に計上いたしました。

 以上により、当連結会計年度の売上高は、579億9千3百万円(前年同期比11.6%増)、営業利益は28億1千5百万円(同149.6%増)、経常利益は28億4百万円(同105.6%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は25億2千5百万円(前年同期は11億6千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 次にセグメントの概況につきご報告申し上げます。

 

ファインケミカル事業

 医薬品原料部門では、製品の製造販売は価格改定の効果に加え、受託製造案件も寄与度が高く、好調に推移いたしました。一方、輸入品等の商品販売において、ジェネリック医薬品向け原料や新薬向け中間体の販売に注力し、売上高は前年同期水準となりましたが、為替変動による原価上昇等により利益率は低下いたしました。また、営業・品証体制の拡充に伴う人件費増により、前年に比べて営業利益はやや低調に推移いたしました。他方、自社製造品においては、ほぼ全製品の販売価格転嫁が奏功し、利益率を大きく押し上げる結果となりました。

 CDМО部門(医薬品開発製造受託部門)では、CМC部門において、主要顧客からの受注減があったものの、他の新薬メーカー及びベンチャー企業への営業活動や各種コスト削減活動が奏功したほか、ニトロソアミン類の試験法開発等の受注が増加いたしました。また中分子領域においては、基幹原料の「疎水性タグ」の販売を行い、海外のグローバルメガファーマ等からプロセス開発案件の受注が増加いたしました。CМО部門においては、主要受託品目の受注量増加に対応し、売上・利益が堅調に推移いたしましたが、高活性注射剤製造設備の受託案件受注の遅れから、業績は当初計画を下回る結果となりました。

 以上により、当事業全体の売上高は211億2千7百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は2億4千2百万円(同13.6%増)となりました。

 

HBC・食品事業

 イワキ株式会社の食品原料部門では、機能性表示食品に対する不安の広がりによりサプリメント向け原料の需要が低迷したものの経費削減効果により利益面は堅調に推移いたしました。化粧品原料部門では、企画・インサイドセールス組織による顧客対応力強化と、営業効率化の成果により、売上・利益ともに当初計画を上回って推移いたしました。

 化粧品通販部門のアプロス株式会社では、既存顧客のレスポンスの改善の兆しが見えましたが、新たな取り組みに向けたコスト増加もあり、売上は伸長したものの、利益面は低調に推移いたしました。

 マルマンH&B株式会社では、自社企画の化粧品「Pureal(ピュレア)」及び輸入化粧品「Torriden(トリデン)」の販売が引き続き好調に推移したことにより業績が大幅に伸長いたしました。

 株式会社アインズラボでは、お取引先様の特性等に応じた営業を強化した結果、受注が前年を上回り、売上、利益面ともに堅調に推移いたしました。

 なお、2023年11月に不採算であった一般用医薬品等卸売事業から撤退したものの、売上高は当初計画を上回って推移、営業利益は大幅に改善いたしました。

 以上により、当事業全体の売上高は151億6千2百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は7億4千2百万円(同128.4%増)となりました。

 

医薬事業

 医療用医薬品部門では、ルリコナゾール軟膏・クリーム1%「イワキ」が順調に伸長し、同有効成分中の物量シェアがトップとなりました。また、2023年7月1日に帝人ファーマより製造販売承認を承継した先発品のボンアルファ®・ボンアルファ®ハイは、後発品が撤退したことで販売が好調に推移いたしました。ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%「イワキ」やピコスルファートナトリウム内用液0.75%「イワキ」等も、他社の撤退や2024年10月からスタートした選定療養の影響を受け、販売が伸長いたしました。さらに、2024年4月の薬価改定で、一部製品が不採算品再算定及び基礎的医薬品指定を受けたことにより営業利益が大幅に伸長いたしました。

 美容医療部門では、引き続き医療機関専売化粧品であるNAVISION DRブランドの拡販に注力しており、主力製品の美白シリーズや日焼け止めシリーズ、また8月1日に新発売しましたウォッシングフォームの販売が好調に推移いたしました。

 以上により、当事業全体の売上高は114億6千9百万円(前年同期比21.3%増)、営業利益は13億1千6百万円(同153.3%増)となりました。

 

化学品事業

 表面処理薬品部門では、プリント基板セグメントの回復が遅れたものの、半導体市場、電子部品市場の需要拡大を受け好調に推移いたしました。特に電子部品では、競争力のある製品が使用されるチップ部品での増産が行われ、新規受注につなげることが出来ました。

 半導体セグメントでは、自動車に搭載される部品点数が増えたことにより、自動車販売台数そのものは厳しい状況にあるものの、半導体向け薬品の需要が拡大し、売上に大きく貢献いたしました。回復が遅れているプリント基板市場でも6Gに向けた開発が進められ、設備投資も行われており、今後のニーズにお応えできるよう製品開発を進めました。

 表面処理設備部門では、工場拡張により顧客の旺盛な需要にお応えでき、伸長いたしました。工場拡張に加え短納期化を追求することにより、大きく受注体制を整えることができました。

 以上により、当事業全体の売上高は101億9千5百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は7億1千2百万円(同860.6%増)となりました。

 

その他事業

 その他事業では、石川県奥能登地域における社会課題解決を目的とした「ソーシャルインパクト事業」を企画・運営しております。奥能登の地域資源を活用し、石川県内企業や大学、さらに当社グループが出資するファンドと連携することで、製品開発から販売、サービス提供まで一貫した事業を展開しております。この取り組みは、地域社会の発展と持続可能な価値創出を目指したものです。

 当連結会計年度は「令和6年能登半島地震」が発生し、地震発生から約1年が経過しましたが、当社の取引先や地域社会は復興に向けて引き続き邁進しております。地震の影響を受け、予定していた一部事業が遅延したことにより、売上高について、当初計画を大幅に下回ったものの前年同期水準は上回って推移し、一定の成長を示すことができました。

 また、奥能登の天然資源や伝統技術を活用したナチュラルヘルスケアブランド「NAIA」への積極的な投資により、広告費や販売促進費用が増加した結果、利益面では低調に推移いたしましたが、将来の成長基盤を着実に築いております。

 以上により、当事業全体の売上高は3千8百万円(前年同期比124.7%増)、営業損失は1億3千6百万円(前年同期は1億3百万円の営業損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは増加、投資活動によるキャッシュ・フローは減少、財務活動によるキャッシュ・フローは減少、これに現金及び現金同等物に係る換算差額並びに連結除外に伴う現金及び現金同等物を加えた全体で7億7千9百万円の減少となり、当連結会計年度末における資金残高は59億7千8百万円(前年同期比11.5%減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動により増加した資金は48億4千8百万円(前年同期比32億4百万円増)となりました。これは、主に税金等調整前当期純損失15億3千3百万円、減損損失41億円、減価償却費23億6百万円、売上債権及び契約資産の増加額21億2千8百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動により減少した資金は29億3千7百万円(前年同期比1億2百万円減)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出28億4千万円、無形固定資産の取得による支出3億5千7百万円、投資有価証券の売却による収入4億8千万円、投資有価証券の取得による支出1億5千3百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動により減少した資金は26億5千1百万円(前年同期は10億7千7百万円の獲得)となりました。これは、主に短期借入金の純増減額7億1千8百万円、長期借入金の返済による支出11億9千7百万円、配当金の支払額7億2千7百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは見込み生産を行っているため受注実績の記載は省略しております。

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

ファインケミカル事業(千円)

11,865,765

105.7

HBC・食品事業(千円)

38,264

823.1

医薬事業(千円)

6,055,941

103.3

化学品事業(千円)

5,467,993

98.0

報告セグメント計(千円)

23,427,964

103.3

その他(千円)

65,898

合計(千円)

23,493,862

103.6

(注)当連結会計年度より岩城製薬佐倉工場株式会社の事業セグメントを医薬事業からファインケミカル事業へ変更しており、前連結会計年度末比増減は変更後の事業セグメントの区分に組替えた数値で算出しております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

ファインケミカル事業(千円)

5,679,455

99.0

HBC・食品事業(千円)

8,596,740

108.1

医薬事業(千円)

1,126,769

98.9

化学品事業(千円)

1,006,200

109.5

報告セグメント計(千円)

16,409,166

104.2

その他(千円)

3,494

74.4

合計(千円)

16,412,661

104.2

(注)1.当連結会計年度より岩城製薬佐倉工場株式会社の事業セグメントを医薬事業からファインケミカル事業へ変更しており、前連結会計年度末比増減は変更後の事業セグメントの区分に組替えた数値で算出しております。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

前年同期比(%)

ファインケミカル事業(千円)

21,127,182

106.4

HBC・食品事業(千円)

15,162,971

107.8

医薬事業(千円)

11,469,710

121.3

化学品事業(千円)

10,195,404

118.6

報告セグメント計(千円)

57,955,269

111.5

その他(千円)

38,106

224.7

合計(千円)

57,993,375

111.6

(注)1.当連結会計年度より岩城製薬佐倉工場株式会社の事業セグメントを医薬事業からファインケミカル事業へ変更しており、前連結会計年度末比増減は変更後の事業セグメントの区分に組替えた数値で算出しております。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

3.当連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。

 なお、重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産645億9千5百万円(前期末比26億5千9百万円減)、負債392億9千3百万円(同6億3千9百万円増)、純資産253億2百万円(同32億9千9百万円減)となりました。

 総資産の減少の主な理由は、現金及び預金の減少7億7千9百万円、売掛金の増加19億1千万円、電子記録債権の増加6億2百万円、仕掛品の減少4億5千3百万円、建設仮勘定の減少29億4千9百万円、投資有価証券の減少7億5百万円等によるものです。

 負債の増加の主な理由は、支払手形及び買掛金の増加7億5千3百万円、電子記録債務の増加7億6千9百万円、短期借入金の減少8億7千6百万円、未払金の増加3億5千5百万円、未払費用の増加6億3千1百万円、未払法人税等の増加1億5千9百万円、長期借入金の減少10億4千7百万円等によるものです。

 純資産の減少の主な理由は、資本剰余金の減少2億5千3百万円、利益剰余金の減少32億3千2百万円、自己株式の減少2億7千万円、その他有価証券評価差額金の減少3億1千4百万円、退職給付に係る調整累計額の増加2億6百万円等によるものです。

 

b.経営成績

(売上高)

ファインケミカル事業におきましては、医薬品原料部門では、製品の製造販売は価格改定の効果に加え、受託製造案件も寄与して好調に推移した一方で、輸入品等の商品販売は前年同期水準で推移いたしました。CDMO部門では、主要顧客からの受注減があったものの、営業活動や各種コスト削減活動が奏功したほか、他の受注の獲得と既存顧客の受注額の増額を果たし、売上高は前年を上回りました。

 以上により、当事業全体の売上高は211億2千7百万円(前年同期比6.4%増)となりました。

 HBC・食品事業におきましては、食品原料部門では、機能性表示食品に対する不安の広がりによりサプリメント向け原料の需要が低迷し、売上高は堅調に推移いたしました。化粧品原料部門では、企画・インサイドセールス

組織による顧客対応力強化と、営業効率化の成果により、当初計画を上回って推移いたしました。化粧品通販部門のアプロス株式会社では、既存顧客のレスポンスが改善し、売上高は伸長いたしました。マルマンH&B株式会社では、自社企画の化粧品「Pureal(ピュレア)」及び輸入化粧品「Torriden(トリデン)」の販売が引き続き好調に推移したことにより大幅に伸長いたしました。株式会社アインズラボでは、お取引先様の特性等に応じた営業を強化した結果、受注が前年を上回り、売上高は堅調に推移いたしました。

 以上により、当事業全体の売上高は151億6千2百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

 医薬事業におきましては、医療用医薬品部門では、ルリコナゾール軟膏・クリーム1%「イワキ」の伸長、また、帝人ファーマより製造販売承認を承継した先発品の「ボンアルファ®・ボンアルファ®ハイ」の販売が伸長したことにより、好調に推移いたしました。美容医療部門におきましては、主力製品の美白シリーズや日焼け止めシリーズ、また新発売しましたウォッシングフォームの販売の伸長により、好調に推移いたしました。

 以上により、当事業全体の売上高は114億6千9百万円(前年同期比21.3%増)となりました。

 化学品事業におきましては、表面処理薬品部門では、プリント基板セグメントの回復が遅れたものの、半導体市場、電子部品市場の需要拡大を受け好調に推移いたしました。表面処理設備部門では、工場拡張により顧客の旺盛な需要にお応えでき、伸長いたしました。

 以上により、当事業全体の売上高は101億9千5百万円(前年同期比18.6%増)となりました。

 その他事業におきましては、売上高は3千8百万円(前年同期比124.7%増)となりました。

 この結果、全体の売上高は579億9千3百万円(前年同期比11.6%増)となりました。

(営業利益)

 売上高の増加により売上総利益が30億5千2百万円増加したことに加え、荷造運搬費の増加2億5百万円、賞与引当金繰入額の増加1億7千8百万円、報酬及び給料手当の増加1億2千万円等により、販売費及び一般管理費は165億5千3百万円(前年同期比9.0%増)となりました

 この結果、営業利益は28億1千5百万円(前年同期比149.6%増)となりました。

 

(経常利益)

 営業利益が増加したことに加え、営業外収益の保険解約返戻金の減少6千8百万円、為替差益の減少2千万円、営業外費用の為替差損の増加3千4百万円、事務所移転費用の増加3千8百万円等により、経常利益は28億4百万円(前年同期比105.6%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 経常利益が増加したものの、特別損失に減損損失41億円、投資有価証券評価損2億4千6百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失は25億2千5百万円(前年同期は11億6千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

ⅰ.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ⅱ.契約債務

 2024年11月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

10,343,000

10,343,000

長期借入金

4,493,332

1,047,984

1,786,456

1,335,984

322,908

リース債務

150,195

64,015

69,039

11,975

5,164

 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

ⅲ.財政政策

 当社グループは、運転資金、設備資金及びM&A等の投資資金につきましては、自己資金を充当するほか、金融機関からの借入れ、売掛債権の流動化など多角的な資金調達を検討、実施しております。このうち、運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入を基本としており、大型設備やM&A投資資金等は金融機関からの長期借入を基本としております。

 2024年11月30日現在、長期借入金の残高は34億4千5百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計130億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高0円、借入未実行残高130億円)。

 

d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標の当期達成状況

 当社グループでは、2030年11月期を最終年度とする中長期ビジョンにおいては、売上高1,300億円、自己資本当期純利益率(ROE)13.0%以上を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付けております。

 当連結会計年度においては、売上高は579億円、前連結会計年度比11.6%増加となりました。増加の主な理由としましては、HBC・食品事業において自社企画化粧品及び輸入化粧品の販売が伸長したこと、また、医薬事業においてジェネリック医薬品及び承継品の販売が伸長したことに起因するものであります。

 自己資本当期純利益率(ROE)は、△9.4%と前連結会計年度に比べ13.6pt減少いたしました。減少の主な理由としましては、当社連結子会社において減損損失40億9千3百万円を計上したことに伴い、親会社株主に帰属する当期純損失が25億2千5百万円(前連結会計年度は11億6千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となったことに起因するものであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年11月27日開催の取締役会において、当社連結子会社であるスペラファーマ株式会社を存続会社とし、同じく当社連結子会社である岩城製薬佐倉工場株式会社を消滅会社とする、吸収合併を実施することを決議いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結子会社間の吸収合併)をご参照ください。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,054百万円であります。

 

(1) ファインケミカル事業

 医薬品原料市場向けに、収益強化を目的に、新薬(治験薬)およびジェネリック医薬の原料・中間体について、自社得意技術を活かした自社製造品および受託品の研究開発を推進しております。また、食品添加物、化粧品原料等のライフサイエンス分野にも同様に力を入れております。

 医薬品CDMO市場向けには、受託領域の拡充と顧客サービスの質の向上を目的に、バイオ医薬品関連技術・中分子原薬製造技術・結晶構造解析技術等の研究開発に取り組んでおります。加えて、グループ内の製造販売品・共同開発品に関わる共同研究も行っております。

 ファインケミカル事業に係る研究開発費は128百万円であります。

 

(2) 医薬事業

 医薬事業では、外皮用剤(半固形剤や液剤)を中心とした研究開発を行っております。長年の経験と蓄積された技術を活かし、自社製造販売品のみならず、新薬(治験薬)に関わる共同開発や受託研究開発なども行っております。また、国内外を問わず、製薬企業やベンチャー企業との共同開発や導入・導出も積極的に検討しております。

 医薬事業に係る研究開発費は473百万円であります。

 

(3) 化学品事業

 表面処理薬品分野では、エレクトロニクス関連の表面処理技術を中心とした研究開発を行っております。プリント配線基板市場向けには、次世代高速通信デバイスに要求される高機能硫酸銅めっきや高精度エッチング薬品、半導体市場向けには、次世代パワーモジュールに適応可能な処理装置を含めた無電解めっきプロセス、電子部品市場向けには、多様なチップ部品に適応した電気すずめっき薬品など、最先端のニーズにお応えした技術開発を実践しております。

 表面処理設備分野では、技術革新に伴うお客様のニーズの変化に対応できるよう引き続き顧客の要望を取り入れた新構造装置を含めた製品開発等を行ってまいります。

 化学品事業に係る研究開発費は450百万円であります。