第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営姿勢を明確にするため、“社訓”及び“私たちの信条(Credo)”で構成される経営理念を定めております。

 

 

                     《社訓》
                   ・道義を重んじる
                   ・共存同栄を旨とする
                   ・自立し協力する
 
                  《私たちの信条(Credo)》
                   ツカモトグループは、
               培った商人魂とフロンティア精神のもと、
                美しさと快適を求める生活者に応え、
                和文化の継承と流通革新の進展のため、
                                   前進する。
 

 

 

また、「美しい生活がいい。」(Amenity & Beauty Company)を《企業スローガン》として策定しており、経営理念と合わせて、グループの経営理念体系を構成しております。これらの経営理念体系に基づき、ライフスタイル提案型の企業グループとして、社会的認知度と企業価値を高めることに尽力し、日本の消費生活を高めていくことに貢献して行くことを、経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、2025年度を初年度とした中期経営計画を策定、公表する準備を進めてまいりました。しかしながら、米国の関税政策や、不安定な為替相場等の影響に加えて、ホームファニシング事業における直営店の出店計画が当初想定を下回り、事業戦略の見直しが必要となっております。また、2025年4月にはユニフォーム事業部の主要外注加工先で火災が発生し、生産計画変更等の影響が生じていることなど不透明な状況が継続していることを総合的に勘案した結果、合理的な中期経営計画の策定は困難と判断しました。中期経営計画につきましては、2027年3月期を計画初年度として、今後の事業環境を総合的に判断し、グループの在り方を踏まえた上で策定する予定です。

このような状況を踏まえ、2026年3月期の連結業績予想につきましては以下のとおりであります。

 

 

 

                2025年度(2026年3月期)における連結業績予想

 

売         上       高

10,000

百万円

営      業     利    益

10

百万円

経       常     利    益

50

百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

150

百万円

 

 

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

今後の見通しにつきまして、国内経済は雇用・所得環境の改善や賃上げによる消費の改善等により緩やかな回復が期待されます。一方で、不安定な国際情勢が続くなか米国による関税政策、資源価格の高止まりや中国経済の減速に加え、地政学リスクの高まりなど、予断を許さない環境で推移するものと思われます。

こうした状況のなか、当社グループにおきましては、高採算事業へリソースを集中するために事業ポートフォリオの見直しを断行し、組織体制を強化して事業構造改革の基盤づくりに注力してまいります。早期に事業基盤の確立を実現させ、将来の長期的な事業成長に繋げてまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループは、前中期経営計画では、「成長と改革に向けての新たなる挑戦」を掲げ、既存事業の黒字化と新規事業の立ち上げ、これらの事業を支える組織体制を変更して2022年4月スタートを切りましたが、ダイレクト販売拡大の遅れ、テレビ等の通信販売の不振等で計画に届かず、2期連続の営業損失の計上となりました。この状況を踏まえ、高採算事業へリソースを集中するために各事業におけるポートフォリオの見直しを断行し、組織体制を強化して事業構造改革の基盤づくりに注力してまいります。早期に事業基盤の確立を実現させ、将来の長期的な事業成長につなげるために、単年計画で迅速な意思決定、現実的・具体的なアクションを実行し、営業利益の黒字化達成に向けて最善を尽くし、1株当たり年間配当額30円をベースとした継続的な株主還元の実施を目指してまいります。

既存事業につきましては、和装事業は収益率の高い小売領域や加工サービスの売上拡大を図り、従来の催事を中心とした呉服卸業態からの脱却を目指しビジネスモデルの改革を実行して和文化の継承と拡張に注力してまいります。洋装事業におけるアパレル事業は、OEM事業の体質強化を図りながら、メンズアパレル自社ブランド売場のスクラップ&ビルドによって採算性向上を図り黒字化を目指してまいります。ユニフォーム事業は時代背景を捉え、多様化するニーズに柔軟に対応して当社ならではのサービス展開により、顧客・協業先との強固な関係性を構築するとともに、高機能製品・環境対応製品の展開による高付加価値化を実現して、ユニフォーム業界内での独自ポジションを確立してまいります。健康・生活事業はTV通販の収益性改善による事業基盤の見直しと商品開発体制の再編、商品の選択・集中によるブランド力の強化を図り、成長路線への回帰に向かいます。同時に、前年にサウナ機器の販売・施工サービスの拡大に向けて設立したツカモトウェルネス株式会社では、これまでの物販に留まらず、サービス事業の拡充による事業規模の拡大を図ってまいります。ホームファニシング事業は、HanesやBENETTONのホームカテゴリー商品でのホールセールの拡大、BIYOMAによる店舗と自社ECサイトでの複合販売を展開し、小売ビジネスの確立を目指してまいります。

営業部門全体での黒字化を図ると同時に、建物の賃貸業の収益の安定化に努め、営業キャッシュ・フローを重視した事業運営により、一層の財務戦略の強化も引き続き図ってまいります。引き続き培った商人魂とフロンティア精神のもと、伝統の継承とともに改革を実行することで、企業価値の向上に努めてまいります。

ESG対応につきましては、サステナビリティ基本方針にてその視点を取り入れたマテリアリティ(重要課題)を特定しており、経営理念、環境方針(の基本理念・行動方針)、行動規範に基づき、具体策に取り組んでいくことで、すべてのステークホルダーに誠実・公正に対応し、事業活動を行うことにより、持続可能な社会の構築に積極的に役割を果たすとともに、企業価値の向上と持続的な成長を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社の創業は文化9年(西暦1812年)であり当連結会計年度末で創業213年になります。地球環境の保全を経営の重要課題として、創業当時からさまざまなCSR活動等を行ない、社会と地球環境を保持し続ける取り組みを行なってまいりました。

勝海舟の回想録「氷川清話」という本に人物評として塚本定次という項があります。当社2代目塚本定右衛門である塚本定次は、春が来ても嵐山の花見にも行けず、一生営々として苦労するばかりの大衆の春の楽しみにと、荒地に桜を植えつけました。現在も滋賀県にある奥石神社の境内の桜は、塚本定次が植えたものとされ、人々が無形で楽しめるようにとの思いを込めた塚本定次のこの桜は、今もなお地域社会へ貢献し続けています。

現在における当社グループではESGや、SDGsの視点を取り入れ、持続可能な社会の構築に積極的に役割を果たすために以下の『サステナビリティ基本方針』を定めています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティ基本方針>

 

ツカモトグループは、ESGの視点を取り入れた下記のマテリアリティ(重要課題)を特定し、経営理念、環境方針(の基本理念・行動方針)、行動規範に基づき、すべてのステークホルダーに誠実・公正に対応し、事業活動を行うことにより、持続可能な社会の構築に積極的に役割を果たすとともに、企業価値の向上と持続的な成長を目指します。

 

<ツカモトグループのマテリアリティ>

健全な企業経営(ガバナンスの充実)

ツカモトグループは、株主の権利を尊重し、公平性・透明性を確保した健全経営を持続するとともに、取締役会を中心として株主に対する説明責任・情報開示を適切に行います。

また、コーポレートガバナンスを経営上の重要課題として認識し、迅速で的確な意思決定及び監督機能の強化を図り、中長期的な企業価値向上と健全経営維持のためコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組みます。

 

事業を通じた社会・環境問題への取り組み

事業活動を通じてCO2の排出量削減に努めること、廃棄物の削減と再利用の推進等により、地球環境の保護に取り組み、環境に配慮した製品・サービスを提供することで人と地球環境を大切にするサステナブルな社会の実現に貢献します。

 

人権の尊重(ダイバーシティーの尊重)

性別や国籍等の個人の属性に囚われず社会的に弱い立場や危機的状況にある人を含むすべてのステークホルダーの人権を尊重し、人権侵害等への加担の回避に取り組みます。また、社員一人ひとりが活き活きと仕事に取り組める働きがいのある職場環境を提供し、安全・健康に働ける環境整備を推進します。

 

地域社会への貢献

事業活動を行う地域において、事業活動や教育・文化事業等の社会貢献活動を通じて、地域社会の振興や豊かな生活環境づくりに積極的な役割を果たします。

 

法令と社会規範の遵守

法令や社会規範を遵守し、高品質かつ地球にやさしい製品を供給し、誠実で公正な事業活動を遂行することで社会から高い信頼を得る経営を実現します。

 

健康で幸福な生活への貢献

全ての人々の、健康で幸福な生活を実現したいという願いに対する必要な物とサービスを提供し、質の高いライフスタイルの実現に貢献します。

 

(1)ガバナンス

当社グループは上記のサステナビリティにおける基本方針や重要事項等を検討、審議する組織として、「ESG委員会」を設置しております。委員の構成は取締役を中心としたメンバー構成であり、オブザーバーとして当社の社外取締役、社外監査役、その他専門知識を有する外部の招へいも可能となっております。また、その下部組織として環境委員会があり、ISO14001の維持管理と実務遂行メンバーとして各事業部の社員も兼務しております。

こうした体制を基に「ツカモトグループ環境方針」や気候変動に係る重要事項を踏まえ、総合的に審議、決定することで、サステナビリティに関するガバナンスの強化を進めています。

 

(2)戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針・戦略

 

当社グループは、経営理念及びサステナビリティ基本方針に基づき、自立(自律)性と多様性を備えた人材の創造と成長に向けた人的投資を積極的に行うことが企業価値の向上につながると考えております。

「人権の尊重」「人材ポートフォリオの組み換え」「人財開発」「心身の健康」「社員エンゲージメントの向上」を基本方針とした取組みを通じて、社員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出し、個と組織を更に活性化していく人的資本経営を進めてまいります。

 

人材戦略は経営目標の達成に向けて「変革を推進する組織の醸成」「社員パフォーマンスの最大化」という2つの軸を定め、以下の重点施策について取り組んでおります。

・社員教育、経営幹部の育成の加速

・変革型リーダーの育成

・国籍や性別等を問わない、多様な人財の採用と定着

人材の育成については、長期的な企業価値の向上に向けて、階層別、部門別、テーマ別の3つの育成体系により、社員教育を進めてまいりました。

2024年度に関しては自組織の目標達成と課題解決に向けて、自らが率先して行動し、状況の打破に貢献する意識・意欲を高めることを目指して、階層別研修を強化し、階層ごとのスキルのばらつきを解消、役割に応じた基礎能力を強化しました。また、専門知識やスキルの底上げを図るために、社員の資格取得に向けて支援を実施しました。

さらに2025年度においては、2023年・2024年度に得られた成果と課題を踏まえ、営業部門の強化を中心に取り組んでまいります。特に、組織力と営業力の両面を強化することを目的とし、実務に直結するスキルの向上や、成果に結びつく実践力の養成を図ります。研修の効果を確実に現場へ定着させるため、研修後のアンケートや半年後のフォローアップを通じた効果測定も導入し、継続的な改善に努めてまいります。

 

また、社内環境整備に関する取組として社員の健康状況や仕事への意欲、異動希望などを把握するために、面談やアンケート調査を定期的に実施しております。抽出した課題に対しては、経営層と人事部門で検討し対応策を講じることで、社員エンゲージメントの向上および人財の定着につなげております。今後は、それをさらに社員パフォーマンスの最大化につなげるような施策を講じていく所存でございます。

 

(3)リスク管理

当社グループは、気候変動のみならず、当社グループに影響を与える可能性のある、あらゆるリスクを把握し評価する機関として、取締役及び幹部社員を中心としたリスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会にて特定したリスク、機会は、ESG委員会とリスク管理委員会が連携し審議、評価され、案件に応じて取締役会への報告、提言を実施しています。

 

 

(4)指標及び目標

当社グループは、台風や集中豪雨などの異常気象が生産・流通に与える影響や、冷夏・暖冬による販売不振のリスクがある事を明確に認識しております。 これらのリスクは、当社グループの経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識し、このような気候変動への対応を重要な経営課題の一つとして位置づけ、温室効果ガス(GHG)排出量の把握と削減に向けた取り組みを進めています。

2024年度には、自社の事業活動におけるGHG排出量(Scope1、Scope2)を初めて算定し、現状の排出状況を把握いたしました。これに基づき、2025年度中に当社としてのGHG排出量削減目標を策定し、段階的な排出量削減の取り組みを推進してまいります。

また、当社グループは、今後も持続可能な社会の実現に貢献するため、環境負荷の低減を含むサステナビリティ経営を推進するため、以下の取組みを実践しています。

 

1. 環境への取り組み

ISO14001認証の取得と継続

2001年4月にISO14001の認証を取得し、2018年にはISO14001:2015への移行を完了。2021年の更新審査以降は「ツカモトグループ」として認証を維持、継続しています。 

環境方針の策定と実践

環境問題を経営の重要課題と位置づけ、以下の行動方針を掲げています。

・環境マネジメントシステムの構築と循環型社会の実現

・エシカル消費に対応した事業活動の推進

・省エネルギー、省資源の取り組み

・環境法規制の遵守と継続的な改善

 

生分解性素材「リーテ」の開発と普及

サトウキビ由来の植物性ポリエステルを約30%使用した生分解性素材「リーテ」を開発。使用後は堆肥化が可能で、焼却処分と比較して約40%のCO2削減効果があります。 

 

   SDGsトライアングルの実践

     ユニフォーム製作において、「つくる」「つかう」「すてる」の各工程でSDGsに取り組んでいます。

・つくる : 環境配慮型素材の開発

・つかう : リユースによる長期使用の推進

・すてる : リサイクルと適正な廃棄管理 

 

2. 気候変動への対応

温室効果ガス排出量の算定と削減目標の策定

スコープ1、2の温室効果ガス排出量の算定を開始し、その結果を基に削減目標の設定と脱炭素化の推進を計画しています。

気候変動イニシアティブへの参加

ユニフォームSP事業部は、「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」という宣言に賛同し、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどと共に、情報発信や意見交換を行うネットワークに参加しています。 

 

 

3. 社会的責任と人的資本の強化

  健康企業宣言の実施

社員の安全、健康で働きやすい職場環境の実現を目指し、心と身体の健康づくりに取り組んでいます。

 

 人材育成と定着率の向上

管理専門職の登用率を2024年度に70%、新入社員の3年後定着率を2024年度に100%とする目標を設定し、人材の育成と定着に努めてまいりましたが、管理専門職の登用率は達成したものの、新入社員の3年後定着率は厳しい結果となりました。達成できなかった理由、原因を今一度追究し直し、更なる目標を掲げております。

 

・人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び

 目標

 

①管理専門職の審査対象者における登用率

(計算式:登用審査合格者÷登用審査対象者)

登用審査の実施年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度(目標)

登用率(合格率)

67%

67%

50

70

 

 

②従業員の入社3年後定着率の実績と目標

<実績>

従業員の入社年度

2020年度

2021年度

2022年度

定着率の算出日

2023年3月末

2024年3月末

2025年3月末

入社3年後の定着率

100%

67%

12

 

  <目標>

従業員の入社年度

2023年度

2024年度

2025年度

定着率の算出日

2026年3月末

2027年3月末

2028年3月末

入社3年後の定着率

75%以上

100%

100%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、これらのリスク発生の可能性を認識し、その発生の回避を図るとともに、発生した場合の影響の最小化に取り組んでおります。

 

(1) 事業展開に関するリスク

①消費者動向に関するリスク

当社グループにおける製品は、国内経済状況の変動による個人消費の低迷、同業他社との競合、消費者ニーズの急激な変化等により、計画した収益を確保できないおそれがあるため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

②不採算事業の継続リスク

当社グループにおける和装事業におきましては、和装業界の縮小傾向とともに事業規模が縮小し、損失計上が続いております。コスト削減による効率経営の実践と経営資源の有効活用による生産性の向上を図り、黒字基調への回復に努めておりますが、不採算催事からの撤退や催事外ビジネスへのシフトが遅れることによって、当社グループの経営成績、財政状態等に大きな影響を与える可能性があります。

③得意先への信用リスク

当社グループは得意先の信用リスクにおいて、監査室が得た最新の信用情報等を常務会へ報告する事や、取引信用保険に加入するなど、常に貸倒れに備えておりますが、予期せぬ倒産などの事態により債権回収に支障が発生した場合など、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

④不動産賃貸における賃貸条件の悪化リスク

当社グループでは、東京都において、賃貸収益を得る賃貸等不動産を所有しておりますが、競争の激化や地価の変動、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化等による賃貸条件の悪化は、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を与える可能性があります。

⑤資産の減損リスク

当社グループでは、固定資産の減損会計を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産等について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥海外調達リスク

海外生産および海外調達活動において、為替レートの変動や、現地通貨価値の変動など経済状況の変化による生産、調達のコストアップ等のリスクがあります。そのため、先物為替予約等のデリバティブを活用したヘッジ取引により、為替変動リスクの軽減に努めております。また、生産管理上のトラブルによる製品事故等の発生を防ぐために、品質管理体制の強化にも努めておりますが、これらを完全に回避できるものではなく、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を与える可能性があります。

⑦人材確保・後継者養成に関するリスク

若手・専門人材が確保できず事業の継続に支障がでる場合は、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、国内の大学等に積極的に訪問し就職セミナーを開催し、優秀な人材の確保に努めております。中途採用も拡大しており専門人材の拡充も進めておりますが、従業員の年齢構成のバランスの悪さからくる後継者の養成に制約がでる可能性があります。

⑧金利リスク

当社グループの有利子負債の額と金利変動による金利負担の増加リスクがあります。そのリスクを軽減させるため有利子負債の削減に積極的に努めておりますが、金利動向によっては、将来の当社グループの経営成績、財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨棚卸資産の評価に係るリスク

当社グループの棚卸資産の評価は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法によっております。商品のライフサイクル期間や保証期間を踏まえて決定した一定の回転期間を超える品目がある場合には、その回転期間に応じて定期的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。また、正味売却価額が帳簿価額を下回っている商品及びその評価につきましては、正味売却価額まで帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。
 しかし、市場の流行性の動向や競合製品による需要の悪化を受け、各品目の回転期間に変動が生じる場合があります。このような場合、棚卸資産評価損の拡大が生じ追加的計上が必要となる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法律・規制に関するリスク

当社グループは独占禁止法、下請法、景品表示法などに関する法令等を遵守するコンプライアンス経営に努めており、リスク管理委員会や内部統制委員会を中心に社内における研修会や、外部セミナー等の受講を積極的に行っています。しかしながら、従業員や取引先の不正および違法行為等に起因して問題が発生し、企業の社会的信頼の低下や損害賠償など多額の費用負担を招くおそれが発生することにより、当社グループの経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)災害に関するリスク

当社グループは災害の発生に備え、平時の予防管理と災害発生時における安全の確保と会社組織の秩序の維持及び会社資産の保全等を防災規程にて定めております。地震や水害など不測の自然災害、突発的な火災や事故、新型インフルエンザや昨今の新型コロナウイルス感染拡大など疫病の発生等によって、営業活動の中断を余儀なくされ、仕入商品調達の遅れによる販売機会の損失や売上不振における回収額の大幅な減少等が発生するおそれがあります。テレワークや在宅による勤務、時差出勤、フレックス勤務体制の採用等の事業の継続体制を整え、その影響を最小限に抑える努力をしておりますが、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があり、当社グループとしては特に最重要リスクとして位置付けております。

 

(4) 気候変動に関するリスク

気候変動により近年発生が増加傾向にある台風、集中豪雨等の異常気象により、当社グループが製品を生産・調達・流通・供給する業界が甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産もしくは出荷が長期間にわたり停止することがありえます。また、冷夏、暖冬、長雨などによる異常気象により、製品供給への影響が発生する場合、及び季節的な要因による販売状況が左右される商品の取扱いが多く、売れ行き不振や販売シーズンの経過による商品価値の下落が発生する場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

 

当社グループでは、以上のような事業活動に係るあらゆるリスクを的確に把握すると共に、リスクの発生頻度や経営への影響を軽減し、リスクが顕在化した場合であっても、経営者の視点でリスクマネジメントを統括、推進していく事を目的とし、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しております。その構成は子会社の社長、及び当社の各事業部長、常勤監査役を委員会のメンバーとして年間2回以上を開催し、リスクの対応策を検討しております。案件によっては、関連部署の従業員や社外監査役の招集も実施しております。また、その下部組織として「内部統制委員会」「ESG委員会」を組織し、「リスク管理委員会」の指示のもと、現場の作業機関として迅速かつ機動的な対応を実施する体制を整備しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありますが、当連結会計年度の期首よりセグメントの内訳を一部変更しております。詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等) 2.報告セグメントの変更等に関する事項をご覧ください。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の拡大、企業の設備投資の増加などにより、景気は緩やかな回復基調を維持しました。一方で、継続する物価上昇や米国の関税政策による影響など、先行きに対する不透明感も依然として残されています。

このような経済環境のもと、当社グループは受注獲得に向けて積極的な営業活動を展開するとともに、販売費及び一般管理費の削減にも努めました。しかしながら、ダイレクト販売の拡大が計画より遅れたことや、テレビ等を通じた通信販売の不振が影響し、売上高は前期とほぼ同水準にとどまりました。

依然として厳しい経営環境が続く中、当社グループは、高収益事業へのリソース集中を目的とした各事業におけるポートフォリオの見直しを断行し、組織体制の強化を進めることで、事業構造改革の基盤づくりに注力しております。今後は、早期に安定した事業基盤を確立し、長期的な成長へとつなげてまいります。

以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は9,681百万円(前期比1.2%減)、営業損失は332百万円(前連結会計年度は営業損失222百万円)、経常損失は210百万円(前連結会計年度は経常利益57百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は380百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益174百万円)となりました。

セグメントの状況は以下のとおりです。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。

 

<和装事業>

ツカモト市田株式会社における和装事業につきましては、加工売上や和装関連製品の現物販売は好調に推移しましたが、催事販売が前年を下回ったため前連結会計年度並みに推移しました。

以上の結果、当事業分野の売上高は1,012百万円(前期比0.6%増)、セグメント損失(営業損失)は102百万円(前連結会計年度はセグメント損失94百万円)となりました。

 

<洋装事業>

アパレル事業につきましては、メンズ事業におけるGMS向け商品の販売が減少しましたが、OEM事業は受注が拡大したため、増収となりました。

ユニフォーム事業につきましては、大型案件の受注獲得もあって好調に推移し外部顧客への売上高は4,197百万円となり、黒字に回復しました。

以上の結果、当事業分野の売上高は4,783百万円(前期比7.9%増)、セグメント利益(営業利益)は68百万円(前連結会計年度はセグメント損失125百万円)となりました。

 

<ホームファニシング事業>

ホームファニシング事業につきましては、OEM受注が減少したことにより減収となり営業損失となりました。

以上の結果、当事業分野の売上高は469百万円(前期比41.2%減)、セグメント損失(営業損失)は162百万円(前連結会計年度はセグメント利益23百万円)となりました。

 

<健康・生活事業>

健康・生活事業につきましては、GMSや家電量販店での販売は堅調に推移しましたが、テレビ等の通信販売の不振の影響が大きく、減収となり損失が拡大しました。

以上の結果、当事業分野の売上高は2,423百万円(前期比6.5%減)、セグメント損失(営業損失)は473百万円(前連結会計年度はセグメント損失339百万円)となりました。

 

 

<建物の賃貸業>

建物の賃貸業につきましては、テナント状況に大きな変化もなく、前連結会計年度並みに推移しました。

以上の結果、当事業分野の売上高は1,085百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益(営業利益)は585百万円(前期比0.2%減)となりました。

 

セグメントごとの仕入及び販売の状況は以下の通りです。

① 仕入実績                                       (千円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

和装事業

265,261

284,391

洋装事業

3,394,657

3,740,257

ホームファニシング事業

586,045

445,077

健康・生活事業

2,113,148

2,156,882

建物の賃貸業

369,229

369,632

6,728,342

6,996,242

 

(注) 1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

② 販売実績                                        (千円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

和装事業

1,004,334

1,012,167

洋装事業

4,433,903

4,783,403

ホームファニシング事業

785,010

456,518

健康・生活事業

2,586,078

2,422,593

建物の賃貸業

970,899

1,001,721

9,780,227

9,676,404

 

(注) 1 売上高に対し10%以上に該当する販売先はありません。

2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

(2) 財政状態

当連結会計年度末における資産の部は、前連結会計年度末に比べ722百万円増加し、28,898百万円となりました。これは流動資産において現金及び預金が611百万円減少したこと、棚卸資産が147百万円増加したこと及び投資その他の資産における投資有価証券が、時価評価により1,242百万円増加したこと等が主な要因となります。

負債の部は前連結会計年度末に比べ394百万円増加し、14,843百万円となりました。これは固定負債において繰延税金負債が537百万円増加したこと等が主な要因となります。

純資産の部は、前連結会計年度末に比べ328百万円増加し、14,054百万円となりました。これは株主資本において利益剰余金が501百万円減少したこと、その他の包括利益累計額におけるその他有価証券評価差額金が811百万円増加したこと等が主な要因となります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,063百万円となり前連結会計年度末から611百万円の減少(前連結会計年度末は515百万円の増加)となりました。この主な要因は以下の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の減少は261百万円(前連結会計年度は274百万円の増加)となりました。これは棚卸資産が増加し、仕入債務が減少したことが主な要因であります。

この結果、前連結会計年度と比べて536百万円の収入の減少となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は138百万円(前連結会計年度は435百万円の増加)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因となります。

この結果、前連結会計年度と比べて573百万円の収入の減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は211百万円(前連結会計年度は194百万円の減少)となりました。これは主に配当金の支払によるものです。

この結果、前連結会計年度と比べて17百万円の支出の増加となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、業績目標の達成とともに経費節減に努め、資本の財源は利益による積み上げを継続的に行うことを基本方針とし、安定的な配当政策の継続を図っております。

資金の流動性につきましては、利益の確保、滞留債権の削減及び在庫の圧縮により必要運転資金の増加を抑えることで、キャッシュ・フローの安定的な確保に努めております。

また、当連結会計年度には、為替の変動や物価上昇による仕入れコストが増加いたしました。このような状況下において当社グループでは経費削減は勿論のこと、在庫管理を重要なテーマとして掲げ、資金効率の向上を目指してまいります。

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点における経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①経営成績の分析

 (売上高)
 当連結会計年度の売上高は9,681百万円(前期比1.2%減)となりました。雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の拡大、企業の設備投資の増加などにより、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、ユニフォーム事業では、積極的な営業活動により大型案件を受注し、売上増に寄与したものの、アパレル事業、ホームファニシング事業のダイレクト販売の拡大が計画より遅れたことや、健康・生活事業でのテレビ等を通じた通信販売の不振が影響し、売上高は前期とほぼ同水準にとどまりました。

 

 (売上総利益)
 当連結会計年度の売上総利益は2,834百万円(前期比4.8%減)となりました。エネルギー資源や原材料の高止まりの影響が残る中、調達コスト、販売価格の見直しを行いましたが、売上総利益率が1.1ポイント悪化したしたこともあり、売上総利益は減少しました。
 

(営業損失)
 当連結会計年度の営業損失は332百万円(前期は営業損失222百万円)となりました。販売費及び一般管理費における経費削減に努めましたが、売上総利益の減少額が大きく、損失が拡大しました。
 

 

(経常損失)
 当連結会計年度の経常損失は210百万円(前期は経常利益57百万円)となりました。投資有価証券の配当金等による営業外収入がありましたが、営業損失の影響が大きく損失の計上となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)
 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は380百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益174百万円)となりました。国庫補助金による特別利益があったものの、事業撤退損や固定資産の減損損失などの特別損失があり、損失の計上となりました。

 

②財政状態の分析

 当連結会計年度末の財政状態の分析については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態」に記載のとおりであります。

 

③キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末のキャッシュ・フローの分析については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

<重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定>

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、当連結会計年度末現在において上記以外に以下の事項についても、当社の連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

① 有価証券

有価証券の保有に際しては、市場価格のない株式等以外のものについては時価法、市場価格のない株式等については原価法で計上していますが、市況が悪化した場合や投資先の業績不安により評価損の計上が必要となる可能性があります。また、不安定な国際情勢、物価上昇等により、市況が悪化した場合は、更なる評価損の計上も考えられます。

② 貸倒引当金

債権の貸倒れに備えるため一般債権につきましては貸倒実績率法により、貸倒懸念債権につきましてはキャッシュ・フロー見積法または財務内容評価法、破産更生債権等につきましては財務内容評価法にて計上しております。

また、国際情勢の変化や為替の急激な変動により顧客の財務状態が予想以上に悪化した場合には、追加での引当計上が必要となる可能性があります。

③ 固定資産の減損

当社グループは、報告セグメントを基本に資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて固定資産の帳簿価額を回収可能性価額まで減損処理を実施することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。