文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末時点の情報を踏まえ判断したものであり、今後の様々な要因により記載内容と異なる可能性があります。
(1)経営の基本方針
BIPROGYグループは、以下の企業理念に基づき、これからも社会の期待と要請に応えてまいります。
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<BIPROGYグループ 企業理念> ・わたしたちが社会に果たすべきこと すべての人たちとともに、人と環境にやさしい社会づくりに貢献します ・わたしたちが目指すこと 社会の期待と要請に対する感性を磨き、そのためにICTが貢献できることを考え抜く集団になります ・わたしたちが大切にすること 1.高品質・高技術の追求 社会に役立つ最新の知識を有するとともに、技量を高めます 2.個人の尊重とチームワークの重視 相手の良い点を見いだし、それを伸ばすことを奨励し合い、互いの強みを活かします 3.社会・お客様・株主・社員にとり魅力ある会社 ステークホルダーの声に真摯に耳を傾け、企業価値向上に努めます
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(2)経営環境および経営戦略
当社グループを取り巻く事業環境は、デジタル化が急速な進展を見せる中、ICTサービスに対する顧客ニーズの高度化と多様化が進み、さらには異業種参入による競争激化など、益々厳しくなっております。
予測困難で先が見通せない不確実性の高い状況下、持続的成長企業として価値を提供し続けるために、時間軸や環境変化に左右されない企業価値を見つめ直し、Purpose(目的)、Corporate Statement(目的達成に向けたスローガン)およびPrinciples(目的を達成するための原則)を定め、中長期的な視点でPurposeを実現するための視点および目標としてVision2030を策定いたしました。
また、Vision2030の実現に向けて当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくため、Materiality(重要課題)が経営の長期ビジョンに対応したものとなるよう、Materialityを策定しております。
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<Purpose> 先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、 持続可能な社会を創出します 先見性・洞察力 × テクノロジー × ビジネスエコシステム = 社会的価値創出
<Corporate Statement> Foresight in sight 「先見性」でいち早くキャッチしたお客様や社会の課題を、経験や常識にとらわれない 「洞察力」で深く理解する
<Principles>
<Vision2030> わたしたちは、デジタルコモンズを誰もが幸せに暮らせる 社会づくりを推進するしくみに育てていきます
<Materiality> ■デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり ■ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動に ともなう環境負荷の低減 ■バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの持続可能な調達と提供 ■新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 ■コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上
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PurposeおよびVision2030のもと、社会的価値の創出を追求することを通じて経済的価値の創出を図り、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させる新たなステージに向け、当社グループは経営方針(2024-2026)を策定いたしました。
社会変化に対する先見性・洞察力、ICTを核としたテクノロジー、そして様々なビジネスパートナーとのビジネスエコシステム形成を掛け合わせ、ICTサービス提供だけに留まることなく、近年取り組んできた社会を豊かにする新しい価値の創造と社会課題の解決の取り組みを加速させ、社会的価値創出企業に変革してまいります。
<基本方針>
社会的価値の創出により顧客の持続的成長を支える顧客DXと、様々な業界の顧客、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの両面からビジネスを推進し、Vision2030の実現を目指してまいります。
また、Purposeに掲げた社会的価値創出企業の実現に向け、コーポレートブランドを刷新し、2022年4月に商号を日本ユニシス株式会社からBIPROGY株式会社へ変更いたしました。
「BIPROGY(ビプロジー)」は、光が屈折・反射した時に見える7色(Blue、Indigo、Purple、Red、Orange、Green、Yellow)の頭文字を使った造語であり、これには様々なビジネスパートナーや多種多様な人々がもつ光彩を掛け合わせ、混とんとした社会の中で新たな道を照らし出すこと、および光彩が状況に応じて変化するように、社会や環境変化に応じて提供する価値を変えていくことの2つの意味を込めています。
ボーダレスな視座で社会的価値を創出する唯一無二のブランドとなることで、多種多様な人々へと働きかけるとともにビジネスエコシステムを形成し、持続可能な社会実現へ向けて取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針(2024-2026)においては、以下の指標を経営上の業績目標としています。
なお、2025年4月30日に経営方針(2024-2026)の業績目標を修正しており、修正後の数値目標を記載しています。
<連結数値目標(IFRS会計基準)>
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2025年3月期(実績) |
2027年3月期(目標) |
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売上収益 |
4,040億円 |
4,400億円 |
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調整後営業利益率※1 |
9.5% |
11.0% |
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ROE |
16.1% |
17.0%以上 |
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配当性向 |
40.3% |
40.0%以上※2 |
※1 調整後営業利益率は「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率
※2 株価水準を考慮した機動的な自己株式取得を実施
(4)対処すべき課題
当社グループは、経営方針(2024-2026)のもと、ICTサービスの提供に加え、社会を豊かにする新しい価値の創造と社会課題解決への取り組みを加速させ、社会的価値創出企業に変革するとともに、持続的な企業価値向上に取り組んでおります。
当社グループ全体におけるESG・SDGsへの積極的な取り組みによるサステナブルな経営をより一層推進するための体制として、SDGs貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)を委員長とする意思決定機関「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、下部組織として、環境に関する「環境貢献委員会」および社会・人権に関する「ソーシャル委員会」を設置して、サステナビリティを巡る課題への取り組みにおけるマネジメントとガバナンスを強化しています。さらに、当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくために「サステナビリティ経営推進部」を設置しています。
また、持続可能な社会の実現のために、当社グループがテクノロジーを活用して貢献できる領域は非常に多く、気候変動等の環境問題や地域創生、少子高齢化など、一企業だけでは解決が難しい社会課題に対してビジネスエコシステムによるイノベーションや新たなサービスで解決に取り組んでいます。
<事業活動における取り組み>
■コア事業における「強みのある領域の確立」と「提供価値・収益性の向上」
注力領域として、ファイナンシャル、リテール、エネルギー、モビリティ、OTインフラの5つを選定し、経営資源を集中投下することで、サービス型ビジネスを拡大し、提供価値と収益性の向上に取り組んでいます。また、システムサービスの生産性向上に向け、生成AI等の技術活用やパートナー戦略、リスキリング等の人財育成を推進しています。
■成長事業における「提供価値の向上」と「新たな収益基盤の確立」
成長事業においては、「市場開発」「事業開発」「グローバル」の3つの領域で新たな収益基盤の確立に取り組んでいます。
・「市場開発」:クラウドマネジメントやセキュリティ等のマネージドサービス、データ・AI利活用ビジネス等を展開し、新たなサービス領域の獲得と成長市場におけるシェア獲得に取り組んでいます。
・「事業開発」:これまでの取り組みで得たエネルギーマネジメントや環境価値の企業間流通等のエネルギー領域の知見を活かして「SX/GX」事業を推進しています。また、デジタルキャッシュ、物流、スマートシティの取り組みを活かした「スマートライフ」「地域創生」等の領域へもチャレンジしています。
・「グローバル」:ASEAN主要国へのビジネス展開に加え、その他マーケットへの参入を見据えたアプローチを実行しています。
■経営資源の強化と戦略的な配分
コア事業、成長事業を支えるため、事業戦略と連動した人財戦略/技術戦略/財務・投資戦略を推進しています。
・「人財戦略」:ビジネスと技術の両面をリードできる人財、成長事業をけん引できる人財の増強、そして Purpose を軸とした多様性のあるチーム力を強化しています。
・「技術戦略」:先端技術を活用した開発プロセス変革を行い、選定した技術テーマに対する研究開発を進め、新たな技術力の獲得を進めています。
・「財務・投資戦略」:健全な財務基盤のもと、新たな価値を提供するソリューションを生み出すための研究開発投資、当社グループの強みとシナジーを発揮するためのオープンイノベーション投資、企業価値の最大化を目指す M&A などの戦略的投資を進めています。
■グループ経営基盤の強化
当社グループのさらなるシナジー強化に向け、事業環境の変化を見据え、柔軟にグループバリューチェーンを進化させることで、企業価値最大化を図っています。
なお、当社グループは、持続的な成長を実現するために、よりチャレンジングな事業戦略とそれを支える強固な経営基盤が必要であると考えています。そのため、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、グループ会社管理を改善しています。加えて、グループ全体の内部統制システムの継続的な運用改善とコンプライアンス意識のさらなる浸透・徹底に取り組んでいます。これにより、適正な業務運営を実施しております。
また、今後の当社グループ内におけるグループ会社の増加や、事業の成長に伴うビジネスの多様化などがリスクとして想定されます。当社グループは、現行のビジネスリスクマネジメントをさらに拡充し、対応を強化してまいります。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ
当社グループは、環境・社会・ガバナンスの視点を考慮した企業活動を基本に、事業を通じてさまざまな社会課題解決に取り組んでおります。持続可能な社会づくりを通じて社会的価値と経済的価値を創出し、当社グループの持続的成長サイクルを確立することで、サステナブルな企業グループとなることを目指します。その実現に向けて、サステナビリティ経営の強化とともに、一人ひとりが長期的な視野と志を持ち、社会課題解決の実績・知見と、志を共にする人々とのネットワーク、長年の経験に基づくデジタル技術を組み合わせて、「デジタルコモンズ」の社会実装を推進してまいります。
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティ課題への取り組みにおいては、経営の監督と執行の両輪による適切なガバナンスが重要であるとの認識のもと、推進体制を整備しております。サステナビリティ経営戦略の統括責任者として、業務執行取締役の中からチーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下、「CSO」)を指名し、以下の3つの委員会を設置しております。各委員会では、マテリアリティを中心としたサステナビリティに関する取り組みについて、審議や意思決定などを行います。さらに、コーポレートとして重要な事項については、経営会議にて審議・意思決定を行います。
■サステナビリティ委員会
グループのサステナビリティ課題に対する取り組み方針の策定、ESG観点での事業活動全体の適正性判断と活動の推進・評価を総合的に判断し、必要に応じて見直しを要請する役割・機能を持つ。
■環境貢献委員会
サステナビリティ委員会の下部機関として、環境貢献(気候変動、水、生物多様性、森林、土地利用等の自然資本等)に関する対応方針の検討、環境貢献を推進するための仕組みの設計と実行状況を管理、監督する役割・機能を持つ。
■ソーシャル委員会
サステナビリティ委員会の下部機関として、社会分野(人権、ダイバーシティ、働き方改革、健康経営、地域発展・社会貢献等 )に関する対応方針の検討、社会分野への対応を推進するための仕組みの設計と実行状況の管理・監督および懸案事項に関する是正指示等を行う役割・機能を持つ。
取締役会では、CSOから定期的に報告を受け、サステナビリティに関する取り組み状況について議論し、助言や指導による監督を行っております。2024年度における取締役会への主な報告内容には、「マテリアリティKPI、目標の進捗と課題」「サステナビリティ関連リスクと機会への対応」「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース、以下、TNFD)提言への賛同」「主要ESG評価結果と評価向上に向けた課題」等があります。
■サステナビリティ推進体制図
(2025年3月31日現在)
■委員会概要(2024年度)
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組織体 |
開催実績 |
構成員 |
主な議題 |
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委員長 (職位) |
委員 |
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サステナビリティ委員会 |
7回 |
CSO(代表取締役専務執行役員) |
チーフ・ファイナンシャル・オフィサー、チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー、環境貢献委員会委員長、ソーシャル委員会委員長、コンプライアンス委員会委員長、ユニアデックス社長、その他委員長が任命する者 |
●マテリアリティ KPIと目標の達成度評価および指名・報酬委員会への結果報告 ●各種開示書類におけるサステナビリティ関連情報の品質向上 ●サステナブル調達計画の策定 ●「TNFD提言」への賛同表明と対応方針 |
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組織体 |
開催実績 |
構成員 |
主な議題 |
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委員長 (職位) |
委員 |
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環境貢献委員会 |
6回 |
サステナビリティ委員会委員長が任命(業務執行役員) |
環境貢献委員会委員長がグループ内の関連執行組織の責任者から任命 |
●マテリアリティ実行状況の管理 ●TCFDシナリオ分析プロジェクトの実施と高度化への対応 ●「TNFD 提言」賛同表明に向けた水セキュリティ・生物多様性のスコーピング ●環境分野に関する情報開示 |
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ソーシャル委員会 |
6回 |
サステナビリティ委員会委員長が任命(業務執行役員) |
ソーシャル委員会委員長がグループ内の関連執行組織の責任者から任命 |
●マテリアリティ実行状況の管理 ●BIPROGYグループにおける人権対応と人権方針の見直し ●女性活躍推進法に基づく行動計画(第3期) ●人的資本レポートの発行 ●社会分野に関する情報開示 |
報酬については、役員報酬制度においてサステナビリティ課題への対応を含む長期業績条件を設定しており、これにはマテリアリティのKPIとしてESG関連の各種指標を採用しております。報酬額は、取締役会の諮問機関である指名・報酬委員会の答申をもとに決定されます。
役員報酬制度の詳細については、
② 戦略
(a)Vision2030実現に向けたマテリアリティ
当社グループは「Vision2030」の実現に向けて、サステナビリティへの取り組みを経営に統合するため、戦略的に重要な項目をマテリアリティとして定めております。これらは、機会拡大に伴う「事業成長」と、リスク低減による創出価値の最大化を目的とした「事業成長を支える基盤」に大別され、それぞれにKPIと目標を設定し、進捗を管理しております。
■マテリアリティ
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分類 |
マテリアリティ |
目指す姿 |
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事業成長におけるマテリアリティ |
デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり |
多様な業界の顧客およびパートナーと志を共有するコミュニティの形成を通して、「リジェネラティブ」「ゼロエミッション」「レジリエンス」な社会を実現する。 |
|
事業成長におけるマテリアリティ/事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動にともなう環境負荷の低減 |
カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーを促進するサービスの提供や脱炭素社会実現に向けた連携・協働を進めるとともに、事業活動にともなう環境負荷を低減することで、温室効果ガス(GHG)排出量削減への貢献を目指す。 |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの 持続可能な調達と提供 |
人権の尊重や環境負荷低減を図ったバリューチェーンを構築・維持し、安心・安全な製品・サービスを調達・提供する。 |
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分類 |
マテリアリティ |
目指す姿 |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 |
未来に向けたイノベーションを創出することができる個の多様性、専門性、価値観を認め合い受容する人財・組織・企業風土を醸成する。 |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上 |
透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を可能にするコーポレート・ガバナンス体制を構築し、運用する。 また、信頼性、持続性のある社会インフラとしてのICTサービス、社会的価値を提供できる企業として、国内外の法令を遵守するとともに、高い倫理観のもと、社会規範に則り行動し、もって健全かつ透明なビジネス活動を行う。 |
(b)「経営方針(2024–2026)」における取り組み
「経営方針(2024-2026)」では、当社グループの強みを活かせる領域を「コア事業」として特定し、経営資源を集中させることで、事業機会の拡大による価値創出と収益性の向上を図っております。また、「成長事業」領域においては、持続可能な社会づくりに貢献する新たなサービスの開発や、各種業務提携、官民連携による実証実験への参加を推進しております。これらの取り組みにより、マテリアリティ「デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり」を推進し、事業成長を図ってまいります。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ経営の推進に向けて、当社グループへの影響(リスクと機会)と社会への影響の2つの評価軸を用いて、「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要項目を抽出し、マテリアリティとして特定しております。各マテリアリティに対してKPIと目標を設定し、取締役会および経営のモニタリング・指導のもとで進捗を管理しております。また、サステナビリティに関する国際動向やステークホルダーの要請、事業環境の変化を考慮し、サステナビリティ委員会において見直しに関する審議を年次で実施しております。さらに、マテリアリティの進捗評価や見直しに基づき、重要リスクとして評価された項目は、サステナビリティ委員会と関連する各種委員会(リスク管理委員会、コンプライアンス委員会、総合セキュリティ委員会等)と連携してリスク低減を図る体制を整備しております。
全社的なリスクマネジメントについては、リスクマネジメントに関する国際標準規格ISO 31000を参照しております。当社グループの事業運営に係るリスク管理・業務継続を統括するチーフ・リスク・マネジメント・オフィサー(CRMO)を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、同委員会においてグループ全体のリスクを一元的に把握し、共通で管理するための基盤として「リスク分類体系」を整備しております。
④ 指標及び目標
②戦略(a)に記載のマテリアリティ項目に対するKPI、目標および目標に対する2024年度の実績は以下のとおりです。
■マテリアリティKPIと実績
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分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績 |
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事業成長におけるマテリアリティ |
デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり |
社会課題の解決を目的とした事業による売上を2023年度比6倍以上(2030年度) |
1.2倍 |
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マネージドサービス事業の売上成長率を2023年度比3倍以上(2026年度) |
1.4倍 |
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事業成長におけるマテリアリティ/事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動にともなう環境負荷の低減 |
環境貢献型製品・サービスの提供を通じたゼロエミッションへの貢献として、ゼロエミッション達成※1 100%以上(2030年度まで年次) |
279.9% |
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気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク抽出(インパクト評価)およびリスク対応率100%(2030年度まで年次) |
100% |
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|
BIPROGYグループの事業所における再生可能エネルギー調達率50%以上(2030年度) |
33.1% |
||
|
GHG排出量(Scope1+Scope2)削減率(2019年度比)50%以上(2030年度) |
42.1% |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの持続可能な調達と提供 |
購入した製品・サービス(Scope3カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT(Science-Based Targets)相当の目標を設定する(2027年度) |
23.1% |
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販売した製品・サービス(Scope3カテゴリ11)の使用に伴うGHG排出量削減率(2021年度比)25%以上(2030年度) |
17.4% |
||
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人権方針の見直しおよび社員への理解浸透活動の実施(2026年度まで年次) |
実施済 |
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全グループ会社への人権リスクアセスメント再実施および課題への対応着手率100%(2026年度) |
実施済 対応着手率 50% |
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サプライヤーに対するESGリスク調査実施率100%(2026年度) |
70.3% |
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BIPROGYグループが定めるサプライヤーに対する重要なESGリスク項目を遵守できている、または改善着手しているサプライヤーの割合100%(2030年度) |
―※2 |
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分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績 |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
新たな未来を創る人材の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 |
女性管理職比率※3 18%以上(2026年4月1日時点) |
12.3% (2025年4月1日時点) |
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新規事業開発を推進する人財数100人以上(2026年度) |
48人 |
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エンゲージメントサーベイにおける働きがいと働きやすさに関連する要素の平均スコアの基準値※4 51%+10ポイント以上(2026年度) |
51% |
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ROLESで中長期キャリア目標を設定し、組織長とすり合わせた社員の割合 100%(2026年度末) |
100% |
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キャリア・ウェルビーング※5を推進する仕組みの整備と改善率(実施数/計画数)100%(2026年度末) |
83% |
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配偶者が出産した男性社員のうち、育児のための休業・休暇を取得できた人の割合 100%(2025年度) |
83.3% |
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男性育児休業取得検討・意思決定において、自身の意向を踏まえて、家族や組織とすり合わせできた人の割合 100%(2026年度) |
91.8% |
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障害者雇用率 法定雇用率 +0.1%以上(年次) |
2.98% |
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健保特定保健指導における積極的支援対象社員へのフォロー率100%(2026年度まで年次) 2024年度:リスク因子4つを持つ社員 2025年度:リスク因子3つ以上を持つ社員 2026年度:リスク因子2つ以上を持つ社員 |
リスク因子 4つを持つ社 員フォロー 率 100% |
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2026年度のメンタル面の不調を理由とする新規休職者数 102人(2023年度実績)以下(2026年度) |
年間120人 (17.6%増) |
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分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績 |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上 |
KPIと目標(達成年度) 取締役会の実効性評価において設定される各年度の対応方針の達成(年次) 2024年度実績 ■取締役会での議論の深化に向けた運営の工夫と情報の充実 議題の工夫、事前説明の充実、現場視察等の対応がなされたが、事業戦略・技術戦略・人財戦略やリスクなどの更なる議論の深化とそのための事前の情報提供や議題設定等の工夫の継続が必要。 ■組織風土の改革、現場へのコンプライアンス意識・リスク管理意識の浸透に向けた取り組みへの実効的なモニタリングの継続 定期的な報告等なされているが、引き続き、組織風土の改革等に向けた取り組みに関する情報提供の工夫により、モニタリングの実効性を高めることが必要。 |
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KPIと目標(達成年度) コンプライアンス・プログラムの改善と高度化(年次) 2024年度実績 コンプライアンス車座会議: グループ各社での「コンプライアンス車座会議」を2023年度より開催。職場全体で自律的にコンプライアンス実践に取り組む組織風土の醸成を目的に、各職場におけるコンプライアンス上のリスク等について、各職場単位で対話を実施。 内部通報制度(ホットライン)の改善: 内部通報制度の重要性やその利用における安心・安全性を継続的に周知するため、CCOによるメッセージ発信や教育研修を実施。 コンプライアンス教育・啓発: グループコンプライアンス週間を設け、グループ各社のCCO、コンプライアンス推進責任者からのメッセージ発信に加え、外部の有識者を招いた講演会を開催し、コンプライアンス実践のポイントを共有。 |
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KPIと目標(達成年度) グループ役職員へのインテグリティ意識浸透(年次) 2024年度実績 コンプライアンス意識調査結果:調査スコアは昨年度に引き続き、4段階の最上位である「良好」となった。調査結果は各組織の責任者と共有し、改善策の実施につなげている。今後も年2回の頻度で意識調査を継続予定。 |
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分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績 |
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事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上 |
KPIと目標(達成年度) コンプライアンス事案発生動向(年次) 2024年度実績 懲戒処分:2024年度の懲戒処分件数は6件。件数は前年度(8件)から減少したものの、重い処分に至った事案も発生。各事案について再発防止策を実施。 |
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重大なセキュリティインシデント発生数 0件(年次) |
0件 |
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KPIと目標(達成年度) ハイブリッドワークにおけるデータ保護セキュリティの仕組みの強化/拡大―仕組みのグループ適用※6 100%(2027年3月末時点) 2024年度実績 グループ全体に適用可能な仕組み案の整理・検証を進め、BIPROGYにて施策の先行適用を実施。 |
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KPIと目標(達成年度) 特例運用管理の網羅率※7 100%(2027年3月末時点) 2024年度実績 BIPROGYにおいて特例運用管理の網羅性向上に資する各種施策を段階的に推進。 |
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※1 ゼロエミッション達成率 =(環境貢献型製品・サービスの売上×GHG削減貢献係数)÷(BIPROGYグループのScope1+2GHG排出量)
※2 2024年度実績欄の「-」は、実績計測対象年に該当しないことを示しております。
※3 女性管理職比率は、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱、UEL㈱、㈱国際システム、エス・アンド・アイ㈱、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ㈱、USOLベトナム㈲の7社を対象とし、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱は業務執行役員及び組織長を、他5社は役員・業務執行役員及び組織長相当を集計。
※4 2024年6月に実施した調査のうち、「働きがい」と「働きやすさ」に関する7つの設問の肯定的回答率の平均を基準値として設定
※5 自らのキャリアについて能力発揮と成長を通じて充実感と幸福感を高めること
※6 仕組みのグループ適用対象:国内グループ会社
※7 特例運用管理の適用対象となる運用において適用漏れがない状態(特例運用管理とは機密性が高い顧客情報資産へアクセスするプロジェクトの安全管理措置の妥当性をセキュリティ専門組織が客観的に審査・承認し網羅的に管理・モニタリングする仕組み・体制のこと)
(2)気候変動
当社グループは、気候変動を含む複合的な環境課題の解決に向けて、環境経営の強化に継続的に取り組んでおります。事業活動におけるGHG排出量の削減や顧客へのサービス提供、デジタルコモンズの構築を通じた環境貢献により、「環境長期ビジョン2050」に掲げるゼロエミッション社会の実現を目指しております。マテリアリティを軸とした取り組みに加え、顧客やパートナーとの協働や、従業員の環境意識向上を目的とした教育など、さまざまな施策を推進しております。
また、環境課題の解決にはステークホルダーとのエンゲージメントが不可欠であるとの認識のもと、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同やRE100への加盟をはじめ、国内外の各種パートナーシップやイニシアチブに積極的に参加しております。さらに、2024年度には「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の提言への賛同を表明し、情報開示の質と量の向上とネイチャーポジティブへの貢献を目指しております。
① ガバナンス
気候変動対応を含む、サステナビリティに関するガバナンス(取締役会の監督、経営の役割と体制、および報酬)については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
気候変動への対応は、当社グループの企業価値創出において、中長期にわたり多様な影響を与える可能性のある重要な経営課題です。このため、不確実な状況変化に対応できる戦略と柔軟性を持つことが重要であるとの認識のもと、環境経営の強化を進め、気候関連リスクの低減と機会の拡大に向けて取り組んでおります。
このような状況のもと、2021年より環境貢献委員会の活動の一環として全社横断型のプロジェクトを立ち上げ、気候関連シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を継続して実施しております。
これまでの評価に基づき、世界的な低炭素経済への移行の進展に伴う事業運営費用の増加等のリスクを想定しております。一方、低炭素化への寄与度の高いデジタル・IT領域のサービス需要や関連市場の拡大は、両シナリオにおいて今後も継続すると想定しております。従って、当社グループにおいては、機会拡大のインパクトがリスクインパクトを中長期にわたり上回るとの評価に至りました。これらの評価をふまえ、当社グループの製品・サービスを通じて環境貢献が可能、かつ成長が期待される領域を中心に、機会拡大に向けた各種戦略を推進しております。2024年度より取り組む「経営方針(2024-2026)」では、当社グループの強みが活かせる領域を特定し、経営資源を集中していくことで「脱炭素社会の実現」をはじめ、さまざまな社会課題解決に資する価値創出力と収益性向上を図ってまいります。
なお、2024年度のシナリオ分析の概要及びインパクト評価において特定した気候関連リスクと機会は次の通りです。
シナリオ分析の実施要件
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目的 |
気候変動が将来の環境、社会、経済にもたらす変化と当社グループのビジネスモデルや事業活動への影響を把握し、関連リスクの低減とビジネス機会の最大化を図ることで、中長期的な企業価値の向上を目指す。 |
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範囲 |
BIPROGY株式会社、および連結対象28社 |
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時間軸 |
短期:1~3年 中期:4~10年 長期:10年超 |
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使用シナリオ |
① 1.5℃シナリオ( 1.5℃~2℃未満の世界観を想定) IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)を使用し、IEA Sustainable Development Scenario(SDS)等の近似のシナリオで補完 ② 4℃シナリオ(3℃~4℃の世界観を想定) IPCC RCP8.5およびIEA Stated Policies Scenario(STEPS)を使用 |
表1(気候関連リスク)
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リスク の種類 |
潜在的財務影響 |
主な要因 |
想定財務インパクト (上段:1.5℃、下段:4℃) |
リスク低減に向けた対応 と主な施策 |
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中期 (2030年) |
長期 (2050年) |
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移行リスク |
政策/規制リスク |
費用(直接費または間接費)の増加 |
将来的な炭素税率の上昇に伴うGHG排出に対する直接的な操業費用の増加 |
中 |
小 |
■低炭素事業活動 ・バリューチェーンにおけるGHG排出量の削減 ・再生可能エネルギーへの転換と調達手段の多様化の推進 ・バリューチェーンエンゲージメントの推進 |
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小 |
小 |
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エネルギー政策等による電源構成の変化や電力・燃料価格の変動による全社操業費用の増加 |
小 |
小 |
||||
|
小 |
小 |
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再生可能エネルギー調達量の増加に伴う調達費用の増加 |
小 |
小 |
||||
|
小 |
小 |
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電動車(EV)への転換に伴う設備投資費用の増加 |
小 |
小 |
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小 |
小 |
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技術リスク |
進化する低炭素技術への対応の遅れによる技術力、サービス開発力の低下 |
進化する低炭素技術への対応の遅れによる技術力、サービス開発力の低下 |
小 |
小 |
■社会の低炭素化に資する技術開発 ・開発投資 ・人財育成 ・各種実証事業参画 |
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|
小 |
小 |
|||||
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市場リスク |
製品およびサービスの需要低下に伴う売上減少による収益性の低下 |
顧客行動の変化に伴う市場環境の変化を、自社の事業戦略に適切に反映できない場合の競争力低下 |
中 |
中 |
■顧客ニーズの変化に対応したサービスの提供 ・気候変動緩和や適応に資する環境貢献型サービスの提供 ・環境貢献に資する業務提携の推進 ・顧客エンゲージメントの推進 |
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|
小 |
小 |
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評判リスク |
資本へのアクセス減少に伴う資本コストの増加 |
低炭素経済への移行に伴う資本市場環境の変化や情報開示要請への対応の遅れによる企業評価の低下 |
中 |
中 |
■信頼される気候関連情報の開示 ・TCFD、TNFD提言への取り組み ・開示情報の質と量の充実 ・投資家との建設的対話の推進 |
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|
小 |
小 |
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リスク の種類 |
潜在的財務影響 |
主な要因 |
想定財務インパクト (上段:1.5℃、下段:4℃) |
リスク低減に向けた対応 と主な施策 |
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中期 (2030年) |
長期 (2050年) |
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物理リスク |
急性リスク |
生産能力低下に伴う減収、費用(直接費または間接費)の増加 |
激甚風水災による自社拠点の設備被災及び操業停止に伴う売上の喪失と復旧費用の発生 |
小 |
小 |
■事業レジリエンス向上に資する施策の推進 ・事業継続計画(BCP)の強化および継続的な見直し・改善 ・テレワークを含む、多様な働き方の整備と継続的な見直し・改善 |
|
小 |
小 |
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激甚風水災によるオフショア開発拠点の被災による作業見直しや追加費用の発生 |
中 |
中 |
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|
中 |
中 |
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サプライチェーンの寸断による作業見直しや代替要員調達の追加費用の発生 |
中 |
中 |
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|
中 |
中 |
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慢性リスク |
生産能力低下に伴う減収、費用(直接費または間接費)の増加 |
気候変動影響による従業員の疾病増加 |
中 |
中 |
■気候変動適応に資する施策の推進 ・健康経営の推進 ・テレワークを含む、多様な働き方の整備と継続的な見直し・改善 ・データセンター選定を含むグリーン調達の更なる推進 |
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中 |
中 |
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気温上昇に伴う冷却需要の増加による空調費用の増加 |
小 |
小 |
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小 |
小 |
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※単年度の財務インパクトを試算。区分:大:10億円以上、中:1億円以上、小:1億円未満
表2(気候関連機会)
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機会の 種類 |
潜在的財務影響 |
主な要因 |
期間 |
機会拡大への対応と主な施策 |
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市 場 機 会 |
製 品 ・ サ | ビ ス |
製品およびサービスに対する需要の増加に伴う売上増加及び収益性の向上 |
デジタル・IT需要の拡大による既存製品・サービスの売上増加 |
短期~ 中期 |
■市場環境の変化に伴う環境貢献領域の需要増加を捉えた事業戦略の策定 <環境貢献領域と好影響シナリオ> ①ITを活用したエネルギー利用効率向上と再生可能エネルギー普及(1.5℃、4℃) ②ITによる物の生産・消費の効率化、ロス削減(1.5℃、4℃) ③現場に行かずに遠隔判断ができる仕組みづくり(1.5℃) ④デジタル技術によるグリーンな都市の仕組みづくり(1.5℃、4℃) ⑤デジタル技術による人の移動に頼らない仕組みづくり(1.5℃) ⑥企業のネットゼロ経営の促進に貢献する各種サービス(1.5℃、4℃) ■低炭素経済への移行に貢献する製品・サービスの技術開発やサービス拡張を通じて、新たな製品・サービスの提供機会の拡大を目指す。 ・「経営方針2024-2026」における「コア事業戦略」「成長事業戦略」を通じた事業機会の拡大および投資戦略の推進 ・顧客・パートナー・政策決定者との協働(業務提携、社会実証等) ・気候関連テック企業への出資 |
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研究開発および技術革新による新製品・新サービスの開発 |
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新市場と新興市場への参入を通じた売上増加及び収益性の向上
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参入による競争優位性の向上 |
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低炭素型製品・サービスの開発や拡張 |
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③ リスク管理
当社グループは、「気候変動シナリオ分析」によって特定された気候関連リスクのうち、事業への重要度が高いと評価された項目をグループリスクマネジメントシステムに統合し、管理しております。このマネジメントシステムを統括する「リスク管理委員会」では、グループ全体のリスクを一元的に把握できる共通管理基盤である「リスク分類体系」に「気候変動リスク」を組み込んでおります。
なお、当社グループのリスクマネジメントに関する体制やプロセスは、「リスク管理委員会・事業継続プロジェクト規程」およびその他関連規程にて明文化され、イントラネットなどを通じてグループ内に広く周知されております。また、TNFD提言への賛同に伴い、生物多様性ならびに水セキュリティに関するリスクについて、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(依存、インパクト、リスク、機会)を用いた評価プロジェクトを進めております。
④ 指標及び目標
当社グループは、バリューチェーン全体でのGHG排出量削減をマテリアリティとして掲げ、取り組みを推進しております。また、当社グループのGHG排出量削減目標は、2024年7月にSBT認定を取得しており、パリ協定の目標に沿ったものであることが確認されております。
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KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績と今後の取り組み |
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環境貢献型製品・サービスの提供を通じたゼロエミッションへの貢献として、ゼロエミッション達成率100%以上(2030年度まで年次) |
279.9% |
モニタリング指標「ゼロエミッション達成率※」の算定ロジックと社内管理の仕組みに基づき、継続して事業活動におけるGHG排出量の削減に努めるとともに、環境貢献型製品・サービス提供の拡大を図っていく。 |
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気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク抽出(インパクト評価)およびリスク対応率100%(2030年度まで年次) |
100% |
全社横断型のプロジェクトによる、気候変動関連のビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を2021年度より実施。2024年度は、気候変動リスクに加え、水や生物多様性に関するTNFD提言を参照したスコーピングを実施。更なるシナリオ分析の高度化を図っていく。 |
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BIPROGYグループの事業所における再生可能エネルギー調達率50%以上(2030年度) |
33.1% |
2021年度より再生可能エネルギーの調達を開始し、目標の達成に向けて計画通り進捗中。調達手段の多様化に向けた検討を開始し、更なる再生可能エネルギー調達の推進を図っていく。 |
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GHG排出量(Scope1+Scope2)削減率(2019年度比)50%以上(2030年度) |
42.1% |
調達電力の再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、テレワークの推進やオフィス・機器の効率利用等による省エネルギー施策を推進した結果、基準年比で42.1%を削減。今後も同様の取り組みを継続し、排出量削減を図っていく。 |
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購入した製品・サービス(Scope3カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT相当の目標を設定する(2027年度) |
23.1% |
サプライヤーとの対話等のコミュニケーションを通じて削減目標設定状況の把握を行うとともに、未設定のサプライヤーに対しては、継続して働きかけを行っていく。 |
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販売した製品・サービス(Scope3カテゴリ11)の使用に伴うGHG排出量削減率 (2021年度比)25%以上(2030年度) |
17.4% |
顧客やパートナー(サプライヤーや業界団体など)との対話や協働を通じ、エネルギー効率向上等、製品・サービスの低炭素化に向けた取り組みを推進していく。 |
※ ゼロエミッション達成率 =(環境貢献型製品・サービスの売上×GHG削減貢献係数)÷(BIPROGYグループのScope1+2GHG排出量)
■データ
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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再生可能エネルギー調達率(%)※1 |
- |
7.4 |
23.4 |
27.2 |
33.1 |
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温室効果ガス排出量(t-CO2e)※2 |
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直接的温室効果ガス排出量Scope1 |
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間接的温室効果ガス排出量Scope2(マーケットベース) |
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間接的温室効果ガス排出量Scope2(ロケーションベース) |
- |
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間接的温室効果ガス排出量Scope3 |
- |
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※1 再生可能エネルギー調達率欄の「-」は、調達実績がないことを示しております。
※2 温室効果ガス排出量欄の「-」は、該当するデータが計測されていないことを示しております。
3 温室効果ガス排出量の数値は小数点第1位を四捨五入して表記しております。
4 集計範囲は、BIPROGY㈱ほか連結対象の31社(国内外主要拠点)です。
なお、2021年度からGHGプロトコルに準拠して算定しております。Scope2のロケーションベースとマーケットベースは、GHGプロトコルScope2ガイダンス2015年版の定義によります。
5 上記データを含む環境関連データの独立保証声明書につきましては、以下のウェブサイトにて2025年7月に公開予定です。
BIPROGYグループサステナビリティ情報サイト
https://biprogy.disclosure.site/ja/themes/105
(3)サプライチェーンと人権
当社グループは、「すべての人たちとともに、人と環境にやさしい社会づくりに貢献する」ことを企業理念に掲げ、多くのお客様やパートナーと協働し、グローバルで発展・拡張可能なビジネスエコシステムを形成していくことを目指しております。そのため、バリューチェーン全体での人権尊重への取組みが必要であり、国際基準に則った人権方針を2020年に策定しました。ステークホルダーとの対話から2024年8月には、バリューチェーン全体で人権尊重を進めることを明確にコミットし、AI等の先端技術と人権課題への対応を進めること等を記載し、人権方針を改訂しました。
① ガバナンス
人権に関わる経営の基本方針、戦略および活動全般は、サステナビリティ経営戦略の統括責任者であるCSOを委員長とする意思決定機関「サステナビリティ委員会」と、下部組織としての「ソーシャル委員会」において審議し、経営会議で付議・承認され、取締役会で報告されます。
サステナビリティ管轄部門である「サステナビリティ経営推進部」は、本方針の浸透および人権尊重全般に関する取り組みを関連部署とともに推進します。
② 戦略
・人権デューデリジェンス推進
当社グループは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権の負の影響を特定・防止・軽減・是正する人権デューデリジェンスを実施し、グループの事業活動における人権課題の把握と解決に取り組みます。
③ リスク管理
・人権課題の特定~人権リスクアセスメントの実施と人権マップ
人権の負の影響を特定するにあたり外部の専門機関の協力の下、人権リスクアセスメントを実施し、当社グループの主要事業(ICT関連)に関して、世界14,000超のNGOによる発信情報と、世界3,500のニュースメディアソースの情報を収集・分析し、事業バリューチェーン上におけるライツホルダーの人権への影響を評価しました。
具体的には下記の人権リスクマップを策定し、引き続き、潜在的な人権リスクを正しく特定、管理できるよう、定期的に人権リスク評価をレビューします。
事業バリューチェーン上の人権リスクマップ
◎:情報発信数が極めて多い 〇:情報発信数が多い ●:情報発信あり
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ライツホルダー |
人権リスク |
事業バリューチェーン |
|||||
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開発 ・ 設計 |
調達 ・ 業務委託 |
製造 ・ 組立 |
使用 |
廃棄 |
全体 ・ その他 |
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自社グループ 従業員・労働者 |
長時間労働、サービス残業の常態化による健康への影響 |
〇 |
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脆弱な立場の労働者に対する長時間労働、低賃金労働 |
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〇 |
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脆弱な立場の労働者の不当な解雇 |
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〇 |
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外国人労働者の強制労働(パスポート取り上げ、高額な派遣料の徴収等) |
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〇 |
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女性、外国人、若年労働者、性的マイノリティへの差別的慣行 |
〇 |
|
〇 |
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|
|
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|
不適切な安全衛生管理 |
〇 |
|
〇 |
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|
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|
労働組合や従業員組織への不当な圧力、抑圧 |
● |
|
● |
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|
|
|
ライツホルダー |
人権リスク |
事業バリューチェーン |
|||||
|
開発 ・ 設計 |
調達 ・ 業務委託 |
製造 ・ 組立 |
使用 |
廃棄 |
全体 ・ その他 |
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|
サプライヤー・業務委託先 従業員・労働者 |
ICT製品向け鉱物生産における強制労働・児童労働 |
|
◎ |
|
|
|
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|
厳しい納期や業務量の要求による長時間労働、健康被害 |
|
◎ |
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|
女性、外国人、若年労働者、性的マイノリティへの差別的慣行 |
|
◎ |
|
|
|
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|
|
不適切な安全衛生管理 |
|
● |
|
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|
|
|
労働組合や従業員組織への不当な圧力、抑圧 |
|
〇 |
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製品・サービスの利用者 |
個人情報の漏洩、悪用による個人の安全や財産の侵害 |
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|
|
◎ |
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ICTサービスの悪用、目的外利用(詐欺、搾取等) |
|
|
|
◎ |
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有害コンテンツやインターネットによる児童の性的搾取 |
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|
◎ |
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ICT事業者によるコンテンツ削除や制限による表現の自由の侵害 |
|
|
|
◎ |
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地域住民・一般市民 |
インターネットによる特定個人への差別的攻撃 |
|
|
|
◎ |
|
|
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政府によるネットワークの監視、アクセス制限、検閲 |
◎ |
|
|
◎ |
|
|
|
|
政府から特定の個人情報の提供要請 |
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|
|
◎ |
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電子機器廃棄物の不適切な処分による地域への悪影響 |
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|
● |
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政府関係者への贈賄 |
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|
● |
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インフラ建設における地域住民の合意や十分な補償のない用地取得 |
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|
● |
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データセンターの電力消費や冷却水消費による地域への悪影響 |
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|
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|
◎ |
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施設の保安会社による行き過ぎた警備(従業員、住民への威圧、暴力等) |
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|
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● |
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・人権課題の特定
人権リスクマップから当社グループ事業との関連性に基づき、発生可能性を考慮し、潜在的人権リスクを特定しました。それらの課題に対し、予防・低減・是正措置として優先度づけを行い、順次対応を進めてまいります。
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潜在的な人権リスク |
ライツホルダー |
留意すべき人権指標 |
予防・低減・是正措置策 |
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1 |
自社グループ従業員の労働慣行 |
従業員 |
強制労働、児童労働、労働安全衛生、差別的慣行、結社の自由 |
・従業員に対する人権の理解浸透を進め、定期的なエンゲージメントを行い、人権リスクの予防・低減を図る |
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2 |
サプライヤー・業務委託先の従業員の労働慣行 |
サプライヤー・業務委託先企業の従業員 |
適正な労働時間、労働安全衛生、適正賃金、差別的慣行、結社の自由 |
・サプライヤー・業務委託先への調査により実態を把握し、人権リスクの予防・低減を図る ・サプライヤー・業務委託先との「ビジネスと人権」共通理解のための人権方針の周知、行動規範の共有を推進する |
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3 |
新製品・サービス使用段階におけるプライバシーの権利 |
製品・サービスの利用者、一般市民 |
プライバシーの権利、児童労働(ICTを利用した性的搾取)、人権侵害への加担 |
・AI技術等の先端技術の便益とともに、プライバシー等の人権リスクに対する想定や認識を当社グループ内で共有するように図る |
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4 |
機器調達先サプライチェーンの労働搾取 |
機器調達先サプライヤーの労働者 |
強制労働、児童労働、労働安全衛生、差別的慣行、結社の自由 |
・機器調達先のサプライヤーとのエンゲージメントの検討をすすめる ・リスク発生時を想定した調達プロセスにおける対応の整備を進める |
④ 指標及び目標
当社グループでは、マテリアリティ「バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの持続可能な調達と提供」を掲げ、KPIと目標、達成年度を決め、バリューチェーン全体での人権尊重を推進しております。人権デューデリジェンス推進によるモニタリングの実施、サプライヤーの皆様との協働による安心・安全な製品・サービスの提供に取り組んでおります。
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KPI |
目標 |
達成年度 |
2024年度実績 |
2024年度内容 |
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人権方針の見直しおよび社員への理解浸透活動 |
毎年実施 |
2026年度まで毎年実施 |
実施済 |
人権方針の見直しおよび社員への理解浸透度活動 ・人権方針を改訂し日本語版・英語版を8月に公開 ・最新のeラーニングを社員全員に展開・実施 |
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全グループ会社への人権リスクアセスメント再実施および課題への対応着手率 |
100% |
2026年度 |
実施済 対応着手率50% |
人権リスクアセスメント対応 ・人権リスクアセスメント実施。4つの潜在的人権リスクを特定 ・特定した人権リスクについて2点対応実施 |
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サプライヤーに対するESGリスク調査実施率 |
100% |
2026年度 |
70.3% |
当社グループのサプライヤーへ質問票(SAQ)を策定し、展開&回答依頼を実施済 |
(4)人的資本
当社グループは「Vision2030」の実現に向けて、「新たな未来を創る人財の創出・進化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」を掲げ、競争優位の源泉である「人的資本」の強化を行い、「社会的価値」と「経済的価値」の創出を推進します。
① ガバナンス
当社グループでは、社会からの要請を考慮して抽出した重要項目をもとに社会や当社グループへの影響度を踏まえ、マテリアリティとして特定し、取り組みを進めております。事業成長を支える基盤となるマテリアリティとして、「未来に向けたイノベーションを創出することができる人財・組織・企業風土を醸成する」ことを目指す姿として全グループで人的資本の強化を推進しております。また、人的資本経営を実現するために、人的資本マネジメント部にて、グループ人財戦略の立案・推進、グループ全体での人財のポートフォリオ管理を引き続き行ってまいります。
② 戦略
当社グループの価値創出のドライバーは人財であり、テクノロジーの力で社会的価値を創出する企業グループであり続けるために、多様な個人が持つ人的資本を高め、それらを掛け合わせて組織の力を最大化してまいります。また、人的資本を「一人ひとりの個人が持つ唯一無二の価値」と捉え、単に能力・スキル・知識だけでなく、他者との繋がり・信頼、仕事に対するポジティブな感情・姿勢など多岐に渡るものと考えます。「志」もその一つです。わたしたちは、全社員が志追求型人財(ココツイ人財)となり、グループのPurposeと個人の「志」を共鳴させ、持続可能な社会に向けて、期待を超える価値を提供します。
■持続的成長の基盤となる人財づくり
(a)志追求型人財(ココツイ人財)
当社グループでは、人財戦略の中核として「志追求型人財(ココツイ人財)」を掲げております。これは、個々の社員が実現したいビジョンと当社グループのPurposeとの重なりを見出し、主体的に学び、キャリアを構築しながら成長する人財像です。社会課題の解決に貢献するビジョンを持ち、それを言語化し、追求し続ける姿勢を重視しております。この「志追求型人財」を増やすために、当社は以下の施策を推進しております。
・キャリアデザイン支援や各種研修の強化を進め、志の探求・言語化・追求というサイクルを実現します。手上げによる異動や、越境経験を通じて主体的なキャリア構築を支援します。
・スキルアップ支援として、社員が自身の志やキャリアに応じて研修を選択できる自律型スキルアップ研修を導入しております。既存のオンライン学習プラットフォームに加え、柔軟な学習機会を提供し、社員の成長をサポートします。
・「志追求型人財」を増やすためには、マネジメントの役割が重要であると考えております。2024年度の人事制度改定では、マネジメントに求められるコンピテンシーに「成長の支援」を新規追加し、マネジメントに対し、部下の成長支援の関わり強化を奨励しております。そのための機会の一つとして、マネジメントと部下との1on1施策「ユアタイム」を推進しており、約60%(2024年度)の組織長が部下との定期的な対話を実施しております。
今後も、当社は「志追求型人財」を軸とした人財戦略を通じて、社員一人ひとりの可能性を引き出し、グループ全体の価値創出力を高めてまいります。
(b)次世代経営人財
当社グループでは、2018年より公募制の経営人財育成プログラムを実施してきましたが、人財パイプラインの強化につながりにくいという課題がありました。将来のBIPROGYグループの未来を牽引する経営層の計画的・継続的な輩出と、Purpose・Vision2030の実現へ向けて、より多様な経営チームをつくることを目的に、多様性あるメンバーで経営幹部候補の人財プールが形成される仕組みを再設計しました。グループの価値向上において高い志を持ち、前例にとらわれない思考と行動力、ワクワクさせるビジョンで変革を牽引する人財を「次世代経営人財」と定義し、KPI(後継者候補準備率(注)が2026年度末時点で100%)を設定しております。なお、次世代経営人財は、次期経営幹部候補に加え、その候補となるマネジメント層全体を含みます。
2024年度より、アセスメント(多面診断、経営基礎知識)、現経営層が直接関わる育成、タフアサインメントの3要素で構成した、2階層の選抜型育成プログラムを開始しました。
(注)後継者候補準備率=後継者プール人財数÷重要ポスト数×100
■事業戦略をリードする人財の強化(4つの強化人財)
BIPROGYグループ経営方針(2024-2026)では、「コア事業」と「成長事業」に分けて事業戦略を定めました。人財戦略では、それぞれの事業をリードする4つの人財モデルを定め、3ヵ年で積極的に獲得・育成を進めてまいります。各人財はいずれも、2026年度末までに特定のROLES(後述の「ROLESをベースとした人的資本マネジメントの実現」を参照)の条件を満たす人数をKPIとして設定しております。
(a)顧客ビジネスアーキテクト
当社グループでは、コア事業において深い業務理解と強い信頼関係によりお客様の課題を先んじて捉え、DXによる課題解決方法やビジネス拡大の道筋を提示することができる人財を「顧客ビジネスアーキテクト」と呼び、KPI(2024年度から2026年度にかけて対象となるROLESの熟達度等の条件を満たす人財を300人以上にする)を定めて獲得・育成に取り組んでおります。(セールスとエンジニア、両方が対象)顧客ビジネスアーキテクトを設定した理由として、以下の課題があると考えるからです。
・お客様・業界を深く理解し、潜在課題や変化を予見した上で、能動的に提案ができる人財を今以上に増やす必要がある
・目利き力と技術力により、実現可能な実装方法を提示できる人財を増やす必要がある
・顧客課題を業界・社会課題に進化させ、サービス型ビジネスを生みだせる人財が求められる
2024年度は検討フェーズとして、採用・育成・異動の観点からどのような施策を導入すべきか現場組織と連携しながら整理しました。2025年度は実装フェーズとして、前年度検討内容を基に諸施策の企画・導入を行ってまいります。特に、特定の業界の専門性の高い人財等の採用拡大および、より強みを発揮できる注力領域への戦略的人財配置を優先的に行ってまいります。
(b)高度プロジェクトマネージャー
当社グループでは、コア事業において豊富なプロジェクトマネジメント経験に裏打ちされた先見性を備え、常に最適なアーキテクチャやエンジニアリングプロセスを選択し、品質の高いプロジェクトを推進できる人財を「高度プロジェクトマネージャー」と呼び、KPI(2024年度から2026年度にかけて対象となるROLESの熟達度等の条件を満たす人財を300人以上にする)を定めて獲得・育成に取り組んでおります。高度プロジェクトマネージャーを設定した理由として、以下の課題があると考えるからです。
・お客様の旺盛なDX需要に対して、難易度の高い開発・運用を牽引できるプロジェクトマネージャーを増やす必要がある
・新技術への対応やプロジェクトに関わるステークホルダーの増加等、プロジェクトマネジメントの難易度が上がる中、安定性向上が課題となる
・大規模開発の経験を有するプロジェクトマネージャーのノウハウ継承を進める必要がある
2024年度は検討フェーズとして、採用・育成・異動の観点からどのような施策を導入すべきか現場組織と連携しながら整理しました。2025年度は実装フェーズとして、前年度検討内容を基に諸施策の企画・導入を行ってまいります。特に、国内外のパートナーとの連携強化と経験豊富な人財の採用、難易度の高い案件へのタフアサインメント、ベテランプロジェクトマネージャーの伴走による経験値の底上げを優先的に行ってまいります。
(c)ビジネスプロデュース人財
当社グループでは、成長事業において先見性と洞察力で社会課題を捉え、自らビジネスをデザインし、多様なステークホルダーを巻き込み、共創ができる、事業創出に関する専門性を持つ人財を「ビジネスプロデュース人財」と呼び、KPI(2024年度から2026年度にかけて対象となるROLESの熟達度等の条件を満たす人財を100人以上にする)を定めて獲得・育成に取り組んでおります。ビジネスプロデュース人財を設定した理由として、以下の課題があると考えるからです。
・新たな事業の開発/共創/拡大の経験を有する人財が十分ではない
・AI技術者やコンサルタントなど、高度専門人財の育成を加速する必要がある
・育成施策が実際のビジネス創出や事業の拡大に直結しないケースもあり、実践の場を増やす必要がある
2024年度は、当社グループ内に無いアセットを持ち、事業創出を牽引できる人財の採用をすべく、新たな採用手法を取り入れました。また、実践的な事業創出を体験する「事業創出BootCamp研修」(受講者数:40人)、マネジメント層向けの事業創出支援に関する研修(受講者数:16人)を実施し、研修効果を継続、拡大するための場として「BP-Community」を立ち上げました。また、毎月1回始業前の時間に、スタートアップの技術やサービスなどを紹介する場「Morning Challenge」を2017年度より開催しており、役員から社員まで毎回500から800人の社員が自主的に参加しております。2025年度は、より実践力を意識した育成プログラムの実施、越境留学等の手段にもチャレンジし、ビジネスプロデュース人財の育成をさらに加速してまいります。
(d)グローバル人財
当社グループでは、当社グループのグローバルビジネスを牽引するタフさと洞察力をもつ人財を「グローバル人財」と呼び、KPI(2024年度から2026年度にかけて対象となるROLESの熟達度等の条件を満たす人財を70人以上にする)を定めて獲得・育成に取り組んでおります。グローバル人財を設定した理由として、以下の課題があると考えるからです。
・出資案件をリードするM&A専門人財を増やし、M&A案件実行を通じた知財を蓄積する必要がある
・M&A先の経営を担い、BIPROGYグループとのシナジーにより事業の拡大を牽引できる人財が必要
・グローバルビジネスへのチャレンジ思考のある若手社員への経験機会が必要
2024年度は、若手従業員の国際的な視野、異文化コミュニケーション能力の醸成により将来のグローバル事業を支える人財を輩出することを目的として、海外研修員の募集と選出を行いました。2025年度は、海外研修員をASEAN3か国の関連会社に派遣し、OJTを通じた育成を進めると共に、2026年度の研修員も募集します。また、海外子会社の経営リーダーを担える人財の獲得・育成についても継続的に推進してまいります。
■採用計画
労働人口減少の渦中において、当社グループの企業成長を継続的に実現するためには、企業としての基礎体力を維持するために、優秀なIT人財の早期囲い込みを行い、当社が大切にしてきた「顧客の課題の本質を探る力」「システム完遂力」といったDNAを育み、次代に引き継いでいく人財の獲得が欠かせません(コア事業)。また、継続的に変化・成長のチャンスを獲得するためには、新たな価値観や経験値を当社内に持ち込み、シナジーを発揮させていくことができる人財も必要となります(成長事業)。
加えて、当社グループとしての価値観や行動特性を体現・発揮できるよう、「人財 Vision2030」に掲げる「志を追求するワクワク個人」に共鳴する人財を採用の前提としてまいります。これらの要件を前提に、採用市場環境、競合他社動向を踏まえた採用計画を策定します。
(a)採用の注力ポイント
競合他社の動向として、特にシステム・エンジニアについては、専業SIerのみならず、ITコンサルティングや総合ICTメーカー等、業界を超えた獲得競争となっており、多くの企業が新卒・キャリアともに採用を拡大しております。
一方で、当社グループは、40代後半以降の社員が全体の50%を超える一方で、30代後半から40代前半が20%に留まっており、次の世代へスキルやノウハウの伝承がなされない、かつ組織長(組織長候補)が不足していることが課題となっております。更に、地方ロケーションや客先常駐等、コア領域を担う人財の確保が難しい点、当社が強みとする業界・顧客の深い知見や、事業創出の経験値に富んだ人財を積極的に確保する必要がある点等を踏まえ、2026年度までの採用活動では以下に注力した施策展開を進めてまいります。
(b)採用活動範囲
前述の「4つの強化人財」に基づく人財要件を定義した上で新卒採用、キャリア採用の両輪でカバリングしつつ、人財獲得できるよう採用活動を実施します。
■DE&I推進
当社グループは一人ひとりが「個」の多様性を高め、互いの個性を尊重し合い、公平な環境で自らの個性や能力を最大限発揮できる風土醸成を目指し、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進しております。そのような中、社会的な課題や当社グループの現状を鑑み、特に、意思決定層におけるジェンダーダイバーシティと男性の育児休業取得の推進、キャリア採用者の活躍支援に関しては、重点戦略と位置づけ取り組んでまいります。
(a)意思決定層におけるジェンダーダイバーシティ
グループの持続的成長に向けて、多様な視点による意思決定を実現するために、意思決定層(=役員・マネジメント層)におけるダイバーシティを推進します。当社グループではマテリアリティにおいて、2026年4月1日時点で女性管理職比率を18%以上にするというKPIを設定しております。また、当社単体では、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画において、2029年度までに「女性役員比率26%」の目標を定め、取り組みを進めております。女性の管理職登用に向けて計画的な育成と人財パイプライン形成、グループでの推進強化のため、組織およびグループ各社が策定した管理職登用計画のもと、サステナビリティ委員会や取締役会にてモニタリングや報告の仕組みを構築しております。また、女性社員の主体的なキャリア形成と管理職としてのマインド醸成を課題と捉え、階層別女性向けプログラム(組織長候補者向けメンタリングプログラムや若手女性向け研修)を実施しております。対外的には、WEPs(Women’s Empowerment Principles)への賛同、日本経済団体連合会の「2030年30%へのチャレンジ」への賛同など、社外イニシアチブに積極的に参加しております。その結果、2025年4月1日時点で、当社グループの女性管理職比率は12.3%、女性役員比率は14.2%となりました。今後もDE&I推進における最重要課題として、女性役員・管理職の登用を推進してまいります。
(b)男性の育児休業取得の推進
当社グループでは、男性社員の育児休業取得については、本質的な意義を達成するためには、取得率の向上だけでなく、個々の多様な価値観を尊重し、それぞれが望む育児スタイルを実現することが重要であると考え、2024年度より2種類のKPIを設定しました。2024年度は、配偶者の妊娠届を導入し、男性社員とその上司に対する情報提供を強化するとともに、男性・女性・管理職向けの「育休ハンドブック」の配布、育児休業取得者の事例紹介などの取り組みを実施しました。その結果、KPI①「配偶者が出産した男性社員の内、育児のための休業・休暇を取得できた人の割合」は83.3%、KPI②「男性育児休業取得検討・意思決定において、自身の意向を踏まえて、家族や組織とすり合わせできた人の割合」は91.8%となりました。また、男性育児休業の平均取得日数は154日となりました。2025年度も引き続き、2つのKPIの達成を通じて男性の仕事と育児の両立を支援する組織風土を醸成してまいります。
(c)キャリア採用者の活躍支援
多様な経験やスキルを持つ人財が当社グループに魅力を感じて集い、組織の一員として早期に力を発揮し、会社や組織の成長につながるシナジーを生む状態を目指し、キャリア採用者の活躍支援に力を入れております。異業種からのキャリア採用も積極的に行い、2024年度には107人を採用し、今年度以降も採用数を増加させていく計画です。キャリア採用者の早期定着とパフォーマンス発揮を支援するため、会社の風土を知り、組織とのコミュニケーションを円滑にするための本人向けの研修(セットアップ研修、フォローアップ研修)や入社後の状況を把握し、適切なサポートをするためのサーベイの実施、受け入れ組織でのサポートを充実するための上司向けの研修等、オンボーディングプログラムの提供に力を入れ、積極的にフォローアップを行ってまいります。
(d)障害者雇用の維持・拡大
当社グループでは、障害がある方の採用から入社後のフォローまで、一貫してサポートを行う体制を構築しております。2018年2月にBIPROGYチャレンジド㈱設立し、ICTを活用したWebアクセシビリティ検査を主業務とした完全在宅型の就業を実現しております。また、障害がある方が農作業を通じて心身の健康を保ち、やりがいのある仕事に取り組んでもらうことを目的に、2020年8月に第一農園、2022年6月に第二農園を開園しました。2023年4月からは本社内に社員の健康維持・リフレッシュを目的にマッサージルームを開所しあん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ視覚障害者の雇用を実現する等、今後も積極的にグループ内における職域開拓を進め、障害がある方の雇用促進に努めてまいります。
■働きがいの向上
当社グループでは、会社・組織のPurposeを軸に、自らの仕事の意義を実感し、自律的に取り組む風土の醸成、豊富な経験と知見を有するシニア人財が、それぞれの役割においてスキルを発揮し、今後のキャリア形成に向けて成長しながら活躍できる環境の整備を通じて、働きがいの向上に努めております。また、心身の健康保持・増進施策やファシリティ環境の変革を通じて、働きやすい職場づくりを進めております。
(a)理念・戦略の浸透
社員一人ひとりが自身の業務を通じて会社・組織のPurposeおよび経営戦略とのつながりを実感し、働きがいを持って主体的に行動できる状態を目指し、理念・戦略の浸透に取り組んでおります。2024年度は、組織Purposeの設定、組織Purposeおよび個人の志をテーマとした対話施策「Purposeダイアローグ」の実施、経営層による方針説明および対話機会として「経営方針キャラバン」や「Meetup Lounge(対話会)」の開催などに取り組みました。2023年度より実施しているPurpose浸透度調査において、2024年度は「理解」「自分ごと化」「実践」の割合が総計で前年度比10ポイントの上昇となりました。今後も、対話を中心とした浸透施策を継続するとともに、会社からの一方向的な発信にとどまらず、個人の志との重なりにも着目することで、社員が会社の理念・戦略に共感し、誇りを持って自発的に業務へ取り組む組織風土の醸成を図ってまいります。
(b)シニア人財の活躍
労働人口の減少や人生100年時代等の社会的環境変化や、社員の高齢化の動向を踏まえ、 当社グループでは、貴重な経験値を持つシニア人財が、自分の役割において能力やスキルを十分に発揮し、今後のキャリアや人生に向けて成長しながらいきいきと働いている状態を目指し、各種施策を推進しております。2024年度は、シニア層に対しては動機付けを目的としてセカンドキャリア構築のための研修や個別のキャリア面談、再雇用者および再雇用希望者を対象としたセミナーを開催しました。また、マネジメント層に対しては、シニアのキャリア理解、コミュニケーションやフィードバックのポイント等のセミナーを開催し多くの組織長が聴講しました。今後も引き続き各施策の拡大運用や人事制度改革に取り組み、シニア層が生き生きと活躍する環境を整備してまいります。
(c)健康経営
当社グループでは、「社員が自律的に健康の保持・増進に努めることを支援し、安心して働ける職場環境を整備することが、ウェルビーイング(精神的・身体的・社会的に良好で幸せな状態)を高め、社員自身や組織の活性化につながり、PurposeおよびVision2030を実現して企業価値を向上するための重要な基盤になる」という考えのもと、社員の健康の保持・増進・管理に取り組んでおります。施策については、課題である「生活習慣病(特に血圧)」「睡眠」「メンタルヘルス」対策に加え、医療費の面で増加が見られる「がん」を軸として「女性の健康」対策も加味した5つの注力領域に対して実施しております。早期発見・対応への取り組みとして、BIPROGY健康保険組合との連携により、がんの早期発見に向けて、婦人科健診や、人間ドック、脳ドック受診料を補助する制度を設けており、2024年度からは、定期健康診断と人間ドックを統合した「新定期健康診断」を35歳以上の社員を対象として導入しております。今後も「予防」「早期発見・早期対応」の観点から、特定保健指導対象者および血圧リスク者への対応や、メンタルヘルスを原因とする新規休職者数の減少を目指した取り組みなどを通じて、より積極的に社員の健康増進に寄与していきたいと考えております。
(d)ファシリティ変革
当社グループでは、価値創造プロセスの実践に向けて、社員が集いたくなる魅力的なオフィスづくりのため、ファシリティ変革を進めています。ファシリティ変革では「業務の内容や目的に応じて時間と場所に限られず執務場所を選択できる」「オフィス全体で粗密のバランスをとることができ、快適な執務環境を得られる」「新しい出会いが生まれコミュニケーションが活性化する」ことを実現してまいります。
さらに、社員同士だけではなく、お客様やパートナー企業ともコミュニケーションのさらなる活性化を図り、人財戦略で描いた「Purposeを軸に共創するワイワイ組織」を目指して、当社グループ全社員で、自由にクリエイティブに働ける場所を創造してまいります。
■ROLESをベースとした人的資本マネジメントの実現働きがいの向上
ROLESとは、当社グループにおける「業務遂行上の役割」のことで、業務内容(JOB)および必要となる役割やスキルを定義したものであり、経営戦略に基づいた各事業戦略で必要とする人的資本の種類・質・量を可視化する中核概念です。ROLESを人財ポートフォリオ(部門/組織/事業領域/年 代別など)として取りまとめ可視化することで、育成・採用・異動の観点から種々の人財施策に活用しております。
(a)ROLESをベースとしたキャリアの実現
ROLESとは、当社グループの業務を業務プロセスに沿って分解し、業務遂行上の役割として定義したものです。社員はROLESをベースに目指すキャリアを描き、業務の幅を広げたり、専門性を高めていきます。ココツイ人財が、仕事面で志を追求できるよう、ROLESをベースに主体的にキャリアを描いた上で、種々の人財施策によってそれを実現できる環境を提供していくことを目指します。
(b)ROLESによる人財ポートフォリオマネジメント
全社員のROLES情報を基に、誰がどんなことをどの程度できるのか、人財ポートフォリオを描いて可視化し、事業戦略に紐づく人的資本計画の策定や、様々な人財施策(採用、育成、配置等)に活用することを目指しております。
③ 指標及び目標
当社グループでは、マテリアリティとして「新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」に関して、KPIと目標を設定し推進を図っております。
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KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績と今後の取り組み |
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(2025年4月1日時点) |
女性の管理職登用に向けて計画的な育成と人財パイプライン形成、グループでの推進強化のため、組織およびグループ各社が策定した管理職登用計画のもと、サステナビリティ委員会や取締役会にてモニタリングや報告の仕組みを構築しており、2025年4月1日時点で、当社グループの女性管理職比率は12.3%となった。今後さらに女性活躍を加速させるべく、管理職登用計画の継続的な運用と女性社員の個々の課題の状況把握および育成・登用支援を実施していく。 |
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人財輩出に伴う取組み状況として、人的資本計画と連動した形で、実践型のワークショップ、マネジメント向け研修(事業創出に関する指導法やROLES熟達度の理解浸透を深める)等を開催した。ROLES熟達度に合わせた育成施策を実施し、基礎・習熟者向けサービスビジネス推進ワークショップ(18人の参加)と熟達度確立以上事業創出Bootcamp(30人の参加)、マネジメント向け事業創出マネジメント研修(16人の参加)を実施。また、当社成長領域における人財パイプラインの可視化を実施。今後は、その他PMF(事業のグロース)や、新規事業の伴走型支援、越境留学プログラムの検討および外部ベンダと調整しながら、BP人財コミュニティ(BPOサービスの提供等)の企画を継続検討しており、さらなる人財の定義の浸透および人財の可視化(熟達度判定の精度向上)、事業創出のケーパビリティを備えた人財の早期獲得から育成後のアサインメントへ繋げるためのしくみの確立など実効性のある仕組みの検討、実施が必要。 |
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基準値51%+10ポイント以上( |
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2024年6月実施のサーベイ結果では51%となった。この数値を基準値とし、2026年度末までに61%を目指す。サーベイ結果から役割に対する自己効力感の向上が働きがいを高めるとの分析結果が得られたことも踏まえ、働きがいの向上の取り組みを進める。 |
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①キャリア理解 ROLESで中長期キャリア目標を設定し、組織長とすり合わせた社員の割合 100%(2026年度末) ②プロセス整備 キャリア・ウェルビーングを推進する仕組みの整備と改善率(実施数/計画数)100%(2026年度末) |
①100% ② 83% |
キャリアデザインの実施によりROLESと中長期キャリア目標を設定し、組織長とすり合わせた社員は100%となった。並行してプロセス整備を進めており、年度末時点で5/6(実施数/計画数)となった。今後は、副業などキャリアの多様化の観点から関連する取り組みと連携を検討する。 |
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①配偶者が出産した男性社員の内、育児のための休業・休暇を取得できた人の割合 100%(2025年度) ②男性育児休業取得検討・意思決定において、自身の意向を踏まえて、家族や組織とすり合わせできた人の割合 100%(2026年度) |
①83.3% ②91.8% |
2024年度は、配偶者の妊娠届を導入し、男性社員とその上司に対する情報提供を強化するとともに、男性・女性・管理職向けの「育休ハンドブック」の配布、育児休業取得者の事例紹介などの取り組みを実施した。配偶者の妊娠・出産時に早い段階での働きかけが数値の向上につながっていることから、今後も早期の働きかけを継続していく。 |
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+0.1%以上(年次) |
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障害者雇用施策の推進、特例子会社の活動、グループ会社での雇用促進により雇用目標2.6%(2024年度の法定雇用率2.5%+0.1%)以上を達成。モニタリングの信頼性向上のため、算出値について第三者の独立した保証声明書を取得。 |
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KPIと目標(達成年度) |
2024年度実績と今後の取り組み |
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2026年度までの健保特定保健指導における積極的支援対象者へのフォロー率 各年度で対象者フォロー100% ・2024年度:リスク因子4つを持つ社員 ・2025年度:リスク因子3つ以上を持つ社員 ・2026年度:リスク因子2つ以上を持つ社員 |
リスク因子4つを持つ社員フォロー率100% |
2024年度フォロー対象(2025年2月末時点健診結果連携者)となるリスク因子4つを持つ社員67人全員(100%)のフォローは完了した。対象者にはまだ健康面への意識が低い社員が多いことから、社員の健康意識向上・行動変容促進のため、引き続きeラーニング、セミナー・イベントの開催、メールマガジン発行などを実施。加えて、定期健康診断の早期予約・受診、結果分析の早期化等のモニタリングを強化すると共に、精密検査費用補助等によるリスクの早期発見・治療対策を強化する。 |
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2026年度のメンタル面の不調を理由とする新規休職者数を102人(2023年度実績)以下 |
年間120人 (17.6%増) |
入社年次の若い社員への全員カウンセリングの実施や年次の若い社員へのカウンセリングやユアタイム(1on1)の実施を推進、セルフケアやラインケア研修(基礎編・応用編)の実施など、社員自らのストレスケア対応、組織レベルでのストレスケアを促す対応を継続的に実施。ストレスチェックも例年の9月から7月へ前倒しをした結果、不調者の早期発見と早期対応には繋がったものの、新規休職者数としては基準値対比増となった。 今後も、休職を予防する観点から、早期発見と予防策の強化など、セルフケア・ラインケア両面での対策を強化し、引き続き新規休職者の発生を抑止するとともに、休職中の社員へは外部Employee Assistance Program(EAP)と連携し、コミュニケーションを活性化することで休職者全体の改善を図る。 |
※1 女性管理職比率は、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱、UEL㈱、㈱国際システム、エス・アンド・アイ㈱、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ㈱、USOLベトナム㈲の7社を対象とし、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱は業務執行役員及び組織長を、他5社は役員・業務執行役員及び組織長相当を集計。
2 上表の各種指標のうち、障害者雇用率は第三者による保証を取得しております。当該指標を含む社会関連データの独立保証声明書につきましては、以下のウェブサイトにて2025年7月に公開予定です。
BIPROGYグループサステナビリティ情報サイト
https://biprogy.disclosure.site/ja/themes/108
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものです。
⑴ 経済動向および市場環境による影響について
金融資本市場の変動や海外景気の下振れ、米国の通商政策による経済環境の悪化、企業の情報システムへの投資抑制を含む投資戦略の変更、異業種からの参入による競争の激化等により事業環境が悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
また、ESGの浸透を背景とした環境意識の高まりや社会意識の急速な変化、それらに伴う世界的な各種規制の強化、政府が推進する各種政策の変更により、事業戦略の見直しが発生する可能性があります。外部環境の動向や変化を逐次見極めながら、迅速な対応に努めてまいります。
⑵ 調達について
当社グループは国内外の取引先からハードウェア・ソフトウェアおよびサービスを調達し、お客様に提供しております。このため、取引先各社の事業戦略の予期せぬ変更、経営状況の悪化等による製品仕様の変更、製品・サービス供給の遅延や停止、調達するサービスの不具合やセキュリティインシデント等による重大な障害の発生が、社会的信用やブランドイメージの低下など当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、国家間の紛争等によるテロリズム、エネルギー供給の不確実性、サプライチェーンの断絶といった地政学リスクが発生した場合に、特定地域からの製品やサービスの供給が遅延したり、完全に停止したりする可能性があります。これらの事態を回避するため、調達・購買に関する指針等に則り、取引先定期審査や取り扱う商品の品質管理に努めるとともに、地政学リスクに対する情報収集、関連する調達リスクの評価と対策の選定について継続的に努めてまいります。
⑶ 知的財産権について
当社グループでは事業の遂行にあたり、自社の技術や製品・サービスに関わる特許権、商標権等の知的財産権を取得することなどにより自社の知的財産の保護を図るとともに、第三者の知的財産権を侵害することのないよう細心の注意を払っております。しかしながら、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があるほか、当社グループの製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害しているとの主張に基づき係争に発展し、その結果、費用が発生する可能性があります。
また、当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を予定どおり受けられなかった場合や第三者との間で知的財産に係る紛争等が発生した場合は、特定の製品またはサービスを提供できなくなる可能性があります。
さらに、オープンイノベーションにむけたスタートアップ企業等との資本提携や業務提携において、相手方企業の知的財産権確保の不備等により、想定していた知的財産権の活用ができないリスクがあります。
これらの結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは、知的財産権の取得に加え、提携先企業の知的財産権に関する十分な調査や、提携契約における必要な権利の確保に努めております。
⑷ プロジェクト管理について
当社グループは、従前からの多数のシステム開発に加えて、アウトソーシングビジネス等の多数のプロジェクトに取り組んでおります。市場競争激化の中で、お客様の要求の高度化、案件の複雑化が進んでいるため、プロジェクトにおいて問題が生じた場合、その修復に想定以上の費用や時間を要し、コストオーバーやリリース期日の延伸を引き起こすリスクが高まります。また、取り扱う製品やサービスの多種多様化により、プロジェクトが管理しなければならないセーフティとセキュリティのリスクも高まります。このため、当社グループでは、プロジェクトのリスク内容を多角的にアセスメントし、システム開発およびアウトソーシングビジネスの実行可否を、「ビジネス審査委員会」において評価し、予実を管理する運用に徹底して取り組んでおります。
また、システム開発手法の体系化・標準化による生産性の向上、プロジェクト課題早期発見制度であるプロジェクト検診等の施策も継続して実施しています。問題プロジェクトの振り返りを通して真の原因を見極め、根本対策や再発防止策を打ち出し、改善のためのPDCAサイクルを回すことによってコストオーバーの予防と問題の早期発見に努めております。
⑸ システム障害について
当社グループが提供するシステムや各種サービスは、お客様の業務の基幹システムや、金融や電力などの社会インフラに関わるものから、決済サービスやEC(Electronic Commerce:電子商取引)などコンシューマー向けのサービスまで多様化しています。これらシステムや各種サービスにおいて、システムの不具合やサイバー攻撃等により重大な障害が発生した場合、その影響範囲は当社グループのお客様にとどまらずサービスをご利用いただくコンシューマーまで広範囲に及ぶため、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下といったレピュテーションリスクと、発生した損害に対する賠償金の支払等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため当社グループでは、システム障害による計画外のサービス停止時間の品質目標を設定しているほか、システム開発時の品質保証レビュー等によって、機密性・障害許容性・回復性・安定性といった品質特性の向上に努めております。また、本番稼働後にシステム障害が発生した際には、障害管理システムによる社内関係部門への情報展開によって、迅速な対応とリスク顕在化防止にも努めております。
⑹ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動を通じ、当社グループ自身の情報はもとより、情報システムの開発、提供、運用にあたり、多くのお客様の秘密情報、お客様が保有する個人情報に接する機会を有しております。そのため、個人情報をはじめとする情報管理はICT産業に身をおく当社グループの最重要課題と認識しております。一方、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、サイバーセキュリティリスクは重要な経営課題となっております。そのような中、マルウェアや不正アクセス等のサイバー攻撃、人為的過失などにより、情報システムの停止や情報漏洩、改ざん、不正利用等が発生した場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下といったレピュテーションリスク、および発生した事故に対する対応費用等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは個人情報をはじめとする情報管理体制の維持・見直しと、当社グループ全役職員および委託先協力会社に対する教育・指導に努めております。
また、情報セキュリティ基本方針においてサイバー攻撃を重大な経営リスクとして位置づけ、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを統括する総合セキュリティ委員会のもとに、サイバーセキュリティリスクに対応するための戦略を策定し推進するプロジェクト体制を構築しております。当社グループのサイバーセキュリティ戦略では、サイバーセキュリティ経営を継続的に実践するためビジョン、目標、活動計画等を定め、ゼロトラストアーキテクチャの考え方に基づくセキュリティ対策基盤の強化など広範囲かつ多様なセキュリティ施策を実施しております。なお、サイバーセキュリティの観点でより環境変化に対応できるよう米国NIST(National Institute of Standards and Technology)サイバーセキュリティフレームワークを用いたアセスメントを定期的に実施し活動計画へ反映しています。
加えて、サイバー攻撃の未然防止と事故対応を専門とする技術対応チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を対象としたサイバーセキュリティ演習、ならびにグループ内のネットワーク、サーバ等に対する脅威監視や分析を行うグループ内SOC(Security Operation Center)の監視範囲拡大など、インシデント検知・対応能力の強化を図っております。
さらに、万が一の予期せぬ事態による情報流出に対応するため、一定額までの保険を付保しております。
⑺ 人財について
国際競争の激化や急速な少子高齢化による労働人口の減少、デジタルトランスフォーメーションの進展により、IT人財の獲得競争は厳しさを増しております。また、ビジネスを取り巻く外部環境や企業に対する要請の変化は著しく、技術力に加え、持続的なイノベーション創発や多様化する社会課題・顧客ニーズに対応可能な人財を確保することは重要な課題となっております。当社グループが必要とする人財を確保できない場合、持続的な成長力の維持に影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループでは、経営戦略に基づいた人財の獲得・育成のため、中長期視点での新卒採用・第二新卒などのポテンシャル人財や即戦力となるキャリア採用などの経験者採用を実施し、人財がより高度なスキルを習得できるよう、研修・制度の充実を図るなど、各種人財育成施策を展開しております。加えて、女性やシニア・外国籍・障害者等多様な人財の活躍支援、柔軟な働き方を実現させる人事制度やテクノロジーの活用等による職場環境の整備、ROLES(業務遂行上における役割)定義による役職員の個人内多様性「イントラパーソナル・ダイバーシティ」の確立、そのデータを活用した人財の流動性の促進など人財・働き方の多様化と人的資本の可視化を進めております。
また、定期的に役職員サーベイを実施し、分析とフィードバックに基づくアクションにより、エンゲージメント向上に取り組んでおります。
さらに、人財を含む社会分野のマテリアリティに関する意思決定機関としてソーシャル委員会を設置し、人財に関するリスクを軽減し、サステナビリティ経営を推進するための対策を講じております。
⑻ 投資について
当社グループは、顧客価値を向上させる開発および新たな収益基盤の確立のため、新しい製品・サービスの提供を目的とする積極的な投資を行っております。
また、先端技術や知見を有するパートナーに対するグローバルを含めた出資やM&A、ならびに、スタートアップやファンドへの出資を継続・拡大しております。
これらの投資に際しては、投資に対する十分なリターンが常に保証されるわけではなく、パートナーとの経営戦略の不一致や、当初の想定どおりに事業が成長しないことにより、経営成績に影響を与える可能性があります。
このため当社グループでは、投資案件ごとに投資委員会および上位機関である経営会議において、事業計画の妥当性等を慎重に検討し、投資判断によるリスクを最小限にするよう努めております。
⑼ コンプライアンスについて
新たなビジネスの創出などに伴い、コンプライアンスに関するリスクの多様化・複雑化が予想されます。長時間労働やパワーハラスメント、セクシャル・ハラスメントなどの人事・労務問題に加え、今後、データ利活用ビジネスやサービス提供型ビジネスが増加していく中で、データの取り扱いに不備があった場合や、その他重大なコンプライアンス違反の発生により、当社グループの社会的信用の低下や、発生した損害に対する賠償金の支払い、重要取引先からの取引見直しなどに至った場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを回避するため、当社グループでは、「企業行動憲章」、「グループコンプライアンス基本規程」および「グループ役職員行動規範」を策定し、コンプライアンス推進体制を構築することで、グループ全役職員の法令、社会規範および社内規則の遵守ならびに倫理的な活動の実践に努めております。
⑽ 災害・感染症等について
地震等の自然災害やテロにより社会インフラや当社グループの主要な事業所等が壊滅的な損害を被った場合、その対応には巨額の費用を要することが余儀なくされます。また、感染症の発生等により、取引先・従業員の多くが安全確保・健康維持・感染拡大防止のために行動が制限される場合には、サービス提供等事業活動に大きな影響が生じるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、地震や感染症等による事業継続リスクに対応するため、「事業継続プロジェクト」にて、安全確保、社内業務復旧、顧客対応の各観点から事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直し・改善を実施しております。また、災害発生時に備え、社員、組織長、災害対策本部メンバーを対象とした安否確認訓練や具体的な発生事象のシナリオに沿って被災状況報告、対応指示、対応状況報告を役割ごとに実施する総合シミュレーション訓練などの訓練・演習を計画的に実施しております。
なお、新たな感染症の流行や拡大が発生した場合には、新型コロナウイルス感染症への対応で得た知見をもとに策定した「新型感染症対策行動計画」に従って、お客様、協力会社、そしてグループ社員の安心と安全を最優先に考え、事業継続に努めてまいります。
⑾ 技術革新について
IT関連のみならず、顧客・社会課題を解決するための手段は日々刻々と進化しており、新規技術・知財獲得の遅れや、社内アセットやノウハウの陳腐化により、市場競争力の低下や顧客満足度の低下を引き起こす可能性があります。
当社グループでは、これまでに培ってきた当社グループの強みと事業時間軸を踏まえ、技術ポートフォリオを再構築し、コア事業の開発DXを進めるとともに、市場開発領域の高付加価値化・高度化を加速する技術力強化に注力します。また、先端技術・次世代技術の発掘・獲得・実装により、持続的な事業成長を目指しております。これらの活動を通じて、新規技術のキャッチアップや知財獲得、既存技術の最適な利活用を戦略的に進めるとともに、これらの活動に必要となる人財育成やスタートアップと連携した取り組みも積極的に推進しております。
⑿ 気候変動について
複合的な気候変動の影響が拡大し、企業の事業基盤に大きな影響を与える可能性が高まっています。このような背景から、当社グループにおいては、異常気象の激化や渇水・洪水などの災害の発生と、低炭素経済への移行に伴う環境規制や投資家・社会からの情報開示要請の高まりに適切に対応できない場合に生じる市場競争力や評判の低下が、経営成績に影響を与える可能性があります。これらにかかる対応として、「BIPROGYグループ環境方針」を制定し、「環境長期ビジョン2050」に掲げるゼロエミッション社会の実現を目指すべく、環境経営を強化しております。取締役会の監督のもと、推進体制を整備し、マテリアリティを軸とした取り組みによるリスク低減と機会拡大とともに、開示情報の質と量の充実を図っております。なお、リスクと機会の評価にあたっては、全社横断によるシナリオ分析を実施しております。TCFD提言が示すリスク(移行リスクと物理リスク」と機会の全項目に対するインパクト評価を行い、その重要度に応じてマテリアリティをはじめ、各種戦略、施策に反映しております。さらにシナリオ分析で特定された気候関連リスクは、グループリスクマネジメントシステムへ統合し、管理しており、気候変動に関する動向や事業環境の変化を見極めながら、迅速な対応に努めております。
⒀ 人権について
企業は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権を尊重する責任を負い、サプライチェーンにおける人権への負の影響に適切に対応する必要があります。このような背景から、企業の人権への取り組みは社会の注目を集めており、適切な対応がなされない場合に、訴訟等の法的リスクやレピュテーションリスクが生じ、企業の社会的な信用が損なわれ、経営成績に影響を与える可能性があります。
さらに、近年注目されるAIに関しては、研究・開発・利活用において人権に配慮した取り組みが行われない場合、企業の社会的責任が問われ、事業運営に影響を与える可能性があります。
これらの課題に対応するため、当社グループは、「BIPROGYグループ人権方針」を制定しています。本方針に則り、人権デューデリジェンスによる事業およびサプライチェーンにおける人権の負の影響の特定、防止、軽減、是正を継続的に推進しております。
また、これらの取り組みの一環として、「BIPROGYグループのAI倫理指針」を制定し、先端技術とデータに関連した人権課題への対応を行っております。さらに、「BIPROGYグループサステナブル調達ガイドライン」を制定し、サプライチェーン全体で安心・安全な製品・サービスの提供に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
システムサービス(百万円) |
130,341 |
2.5 |
|
ソフトウェア(百万円) |
13,906 |
△3.3 |
|
合計(百万円) |
144,247 |
1.9 |
(注)1.ソフトウェアには、ソフトウェア製品マスター制作までの研究開発費に該当する金額を含んでおります。
2.システムサービスの金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
|
システムサービス |
131,563 |
3.1 |
38,124 |
3.1 |
|
サポートサービス |
65,751 |
15.0 |
55,487 |
15.4 |
|
アウトソーシング |
81,405 |
△9.6 |
163,564 |
△5.3 |
|
ソフトウェア |
43,297 |
10.0 |
7,339 |
△19.6 |
|
ハードウェア |
69,843 |
21.3 |
19,068 |
14.7 |
|
その他 |
12,141 |
△15.1 |
6,252 |
△0.1 |
|
合計 |
404,004 |
4.6 |
289,836 |
△0.0 |
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
システムサービス(百万円) |
130,433 |
2.7 |
|
サポートサービス(百万円) |
58,355 |
6.3 |
|
アウトソーシング(百万円) |
90,583 |
18.3 |
|
ソフトウェア(百万円) |
45,087 |
17.6 |
|
ハードウェア(百万円) |
67,401 |
11.5 |
|
その他(百万円) |
12,149 |
△5.4 |
|
合計(百万円) |
404,010 |
9.2 |
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されています。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」および「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営方針(2024-2026)の最終年度である2027年3月期の業績目標として、売上収益4,400億円、調整後営業利益率11%を掲げており、ROEは17%以上、連結配当性向は40%以上としております。
これに対し初年度である当期は、売上収益3,950億円、調整後営業利益率8.9%の計画※に対し、実績は売上収益4,040億円、調整後営業利益率9.5%となり、売上収益、調整後営業利益率ともに計画を上回りました。また、ROEは16.1%、連結配当性向は40.3%となりました。
※ 2025年2月4日発表の2025年3月期第3四半期決算短信にて、連結業績予想等を修正しており、修正後の業績予想数値を記載しております。
b.経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討(事業全体)
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で緩やかな回復基調が続きました。
情報サービス産業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域を中心に企業の強い投資意欲が継続しております。
一方で海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクがあることに加え、物価上昇や金融資本市場の変動、アメリカの政策動向などが今後の企業の投資意欲に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境下、当社グループが目指す「Vision2030」の実現に向けて「経営方針(2024-2026)」注1に基づく取り組みを推進しています。基本方針である「持続性のある事業ポートフォリオ確立による企業価値の向上」「経営資源配分の最適化」「グループ経営基盤の強化」を図りつつ、現在の収益源である「コア事業」と新たな収益の柱とする「成長事業」の両輪で事業を拡大しております。
コア事業では、優良な顧客基盤と業務知見を活かせる「ファイナンシャル」「リテール」「エネルギー」「モビリティ」「OTインフラ」注2の5つを注力領域として定めています。
「ファイナンシャル」では、オープン環境/パブリッククラウドでのフルバンキングシステム「BankVision®」、共同利用型勘定系サービス「OptBAE®」の売上収益が拡大しています。「BankVision」は、2024年度に新規2行で稼働開始したほか既存2行がシステム更改しました。「OptBAE」は、新規1行で稼働開始したほか複数行が導入中です。さらに、2025年3月に新たな地方銀行と次期勘定系システムの検討を開始するなど、両システムとも複数の引き合いがあり、今後の拡大が見込まれます。また、2024年3月に提供開始したバンキングアプリ「#tsumuGO_mobile®」注3についても地銀/信金業界の7金融機関に採用が拡大しています。
「リテール」では、基幹系システム刷新への引き合いが堅調なほか、労働力不足を背景に店舗業務効率化につながるAI自動発注や電子棚札案件が拡大しています。特に電子棚札については2025年3月に大手ドラッグストアにおいて実証実験を開始したほか、電子棚札に特化したクラウドサービス「BIPROGY ESL SaaS®」注4の利用企業が食品スーパーを中心に拡大しており、専門店、ドラッグストアなどからの引き合いも増えています。
「エネルギー」では、電力小売クラウドソリューション「Enability®シリーズ」注5や非化石証書管理システム関連の売上収益が拡大しています。また、環境価値管理サービス「Re:lvis®(リルビス)」注6の機能強化や「太陽光発電量・余剰量予測サービス」の提供開始など、サービスアセットの拡充・拡大を進めています。
「モビリティ」では、鉄道事業者や航空事業者による事業領域拡大・新規事業創出に関するシステム開発案件が増えています。また、自動運転サービスの社会実装に向けデジタルツインを活用した安全性検証の取組みを開始したほか、自動運転トラックの走行実証を実施するなど、運転手不足や交通事故などの社会課題解決に向けた取り組みを加速しています。
「OTインフラ」では、自動車メーカーからのOTインフラ領域における引き合いが非常に強く、そこで得た知見やノウハウを非自動車製造業に展開することで、さらなるビジネス拡大に取り組みます。
成長事業では、新たな収益基盤の確立と価値の提供を目指して「市場開発」「事業開発」「グローバル」の3つの領域を定めています。
「市場開発」では、2024年5月に機能強化版をリリースした企業向け「ChatGPT」利用環境構築サービス「Azure OpenAI ServiceスターターセットPlus」が、製造業や社会インフラ企業を中心とした生成AI活用で先行する企業の要望に合致し、採用が拡大中です。
「事業開発」では、SX/GX、スマートライフ、地域創生をテーマに社会課題を解決する事業を創出・拡大しています。2024年10月には、価値交換基盤「doreca®」注7でデジタル給与領域に参入しました。デジタル給与領域における企業側の業務をフルアウトソーシングすることで、国内におけるデジタル給与の普及に貢献していきます。
「グローバル」では、タイのNexus System Resources Co., Ltd.とマレーシアのiByte Solutions Sdn Bhd.を連結子会社化するなどASEAN主要国におけるICT/DXビジネスが拡大しています。また、米国においてCVCファンドを設立し、北米等マーケットへの参入を見据えたアプローチを強化しています。
「経営方針(2024-2026)」では、事業戦略と連動した人財戦略、技術戦略、投資戦略、財務戦略を推進し、市場競争力を高めるため、強みのある領域や新たな価値提供に向けて経営資源を積極的に投入しています。人材戦略では、2024年9月に「BIPROGYグループ人財戦略レポート2024」注8を公開しました。経営方針(2024-2026)で掲げた事業戦略をリードする4つの人財モデルを定め、3ヵ年で特に積極的に獲得・育成する人財とし、各種施策を推進しながら進捗をモニタリングしています。また、技術戦略では、生成AIを「自社ソリューションに組み込んでの差別化」「システム開発の効率化」等の領域に活用することで当社グループ全体の価値向上を図っています。今後も内外の環境変化に対応し顧客への提供価値を向上させるために、グループバリューチェーンを進化させてまいります。
(注)
1. Vision2030および経営方針(2024-2026)については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html
2. OTはOperational Technologyの略称で、主に工場やプラントなどの設計・製造プロセスを支える情報システム基盤のこと。
3. バンキングアプリ「#tsumuGO_mobile」については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/tsumugo.html
4. 電子棚札に特化したクラウドサービス「BIPROGY ESL SaaS」については、当社グループウェブ
ページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/shelf-tag.html
5. 電力小売クラウドソリューション「Enabilityシリーズ」については、当社グループウェブ
ページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/cis.html
6. 環境価値管理サービス「Re:lvis(リルビス)」については、当社グループウェブページの
以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/environmental_value.html
7. 価値交換基盤「doreca」については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://doreca.net/
8. 「BIPROGYグループ人財戦略レポート2024」については、当社グループウェブページの以下
ご参照。
https://www.biprogy.com/pdf/com/human_resources_strategy_report2024.pdf
9. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
当連結会計年度の売上収益は、お客様からのIT投資に対する旺盛な需要を背景に、サービス、製品販売ともに好調となったことから、前期に比べ338億68百万円増収の4,040億10百万円(前期比9.2%増)となりました。
利益面につきましては、基幹システム刷新や人事制度変更などによる販売費及び一般管理費の増加を、増収による売上総利益の増益分でカバーし、営業利益は、前期に比べ57億78百万円増加の390億66百万円(前期比17.4%増)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業増益に伴い、前期に比べ17億18百万円増加の269億65百万円(前期比6.8%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前期に比べ46億7百万円増加の384億20百万円(前期比13.6%増)となりました。
※ 調整後営業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当連結会計年度末の総資産の状況につきましては、現金及び現金同等物、使用権資産の増加等により、前連結会計年度末比166億56百万円増加の3,308億76百万円となりました。
負債につきましては、契約負債やリース負債の増加等により、前連結会計年度末比136億73百万円増加の1,595億78百万円となりました。
資本につきましては、1,712億97百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は51.1%と前連結会計年度末比1.9ポイント下降しました。
c.資本の財源及び資金の流動性について
財務政策
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また、投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2024-2026)において、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用やイノベーションの持続的な創出、注力領域を中心とした国内外でのM&A等の実行を目指し、戦略投資を加速させていく計画です。
必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、2026年3月期においても、この方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については、業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2024-2026)においては連結配当性向40%以上とすることに加え、自己株式の取得も株主還元の拡充施策として掲げております。この方針に沿って当連結会計年度において、配当は1株当たり110円(連結配当性向40.3%)とし、112億円の自己株式の取得を実施しました。2026年3月期においても最大100億円の自己株式の取得を予定しております。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比55億38百万円増加の648億1百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前利益387億89百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費179億41百万円、契約負債の増加57億46百万円等の収入加算要素および、棚卸資産の増加28億24百万円、営業債務及びその他の債務の減少13億60百万円等の収入減算要素により、449億16百万円の収入(前期比32億23百万円収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出30億86百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出99億9百万円、政策保有株式を中心とした投資有価証券の売却による収入62億18百万円等により、89億26百万円の支出(前期比3億76百万円支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、自己株式の取得による支出111億88百万円、配当金の支払額104億35百万円等により、306億13百万円の支出(前期比129億91百万円支出増)となりました。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は1,304億33百万円(前期比2.7%増)、セグメント利益は447億46百万円(前期比1.4%増)となりました。前期迄の大型かつ高採算案件の開発一巡の影響があったものの、幅広い業種における中小型案件の獲得により増収増益となりました。引き続き収益の拡大を目指すとともに、AI活用などによる生産性向上や、パートナー戦略の推進などに取り組むことにより、収益性の向上も図ってまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は583億55百万円(前期比6.3%増)、セグメント利益は194億5百万円(前期比15.9%増)となりました。製品販売の増加に伴い付随サービスであるサポートサービスも伸長したことから増収増益となりました。引き続き収益性の向上に努めてまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は905億83百万円(前期比18.3%増)、セグメント利益は182億30百万円(前期比7.8%増)となりました。他社クラウドサービスやITアウトソーシングサービスが引き続き好調に推移したことや、BankVisionにおいて2金融機関の新規ユーザーが稼働を開始したことなどにより、増収増益となりました。利益率は、他社クラウドサービスの売上が拡大した影響などにより低下していますが、今後、他社クラウドサービスと自社サービスを組み合わせた付加価値の高いマネージドサービスを提供していくとともに、運用効率のさらなる改善や収益性の高いサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、収益性向上を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は450億87百万円(前期比17.6%増)、セグメント利益は91億66百万円(前期比56.6%増)となりました。官公庁および金融機関向け大型案件の計上により、増収増益となりました。また、複数の高採算案件を計上したことにより、利益率も向上しました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は674億1百万円(前期比11.5%増)、セグメント利益は113億77百万円(前期比7.9%増)となりました。官公庁向け大型案件を複数計上するなど、ネットワーク関連ビジネスが好調に推移したことにより、増収増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービス、設備工事及び教育訓練事業等を含み、売上高は121億49百万円(前期比5.4%減)、セグメント利益は29億4百万円(前期比2.7%減)となりました。
(注)セグメント利益は、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計1,058億31百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額674億10百万円を差し引いた384億20百万円(前期比13.6%増)が調整後営業利益となります。
|
契約の名称 |
相手方の 名称 |
契約締結日 |
契約 期間 |
契約内容 |
|
代理店契約 |
ユニシス・ コーポレーション(米国) |
1987年12月(1991年3月および2005年10月に一部改定) |
1988年 4月より 期間の 定めなし |
ユニシス製コンピュータの日本における総代理店契約。 主な内容は、以下のとおり。 ①日本におけるユニシス製コンピュータの輸入販売、保守 ②技術情報・技術援助の提供および商標使用権の設定 |
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業務提携等に 関する契約 |
大日本印刷 株式会社 |
2012年8月9日 |
契約締結日より 期間の 定めなし |
「クラウド事業」、「新プラットフォームサービス事業」、「マーケティング・販売連携」の各分野における業務提携。 |
当社グループは2030年に向けて、先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出する社会的価値創出企業への変革を進めることを「Purpose」として掲げ、さまざまなサービスやノウハウをデジタルの力でつなぎ合わせ、社会の共有財であるデジタルコモンズとして創造し提供する企業となることを目指した「Vision2030」を定めました。
また、「Vision2030」の実現に向けて、顧客の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」の2つの視点で経営方針(2021-2023)を定め、研究開発活動に取り組んでまいりました。
経営方針(2024-2026)では、持続性のある新たな事業ポートフォリオを生み出していくために、企業価値増大に向けた積極的な投資の推進により、研究開発費を更に拡充してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)主なサービス・商品等の開発
・地域金融機関向けバンキングアプリ「#tsumuGO_mobile」は、カードロック、カードローン契約内容照会、ホームローン・目的ローン、他アプリ連携メニューの計4つの新機能を2024年10月から提供開始。さらに、「#tsumuGO_mobile」は、フルバンキング機能を実装しており、場所や時間を問わず金融サービスを利用できる環境を提供するため、生体認証技術を活用したオンライン本人確認サービスと連携した。本人確認作業をオンラインで完結させ、利用者の利便性の向上を実現する。
・製品の販売や消費者による購入後の行動過程でのCO2排出削減貢献度を算出し可視化する「Earth Performance Indicator」を2024年10月から提供開始。本サービスは、消費者個人の行動データから独自に環境貢献度を算出し、地球環境への貢献度を理解しやすいビジュアルで提供する。消費者は、その製品の購入や自分の行動により、どれだけの環境貢献ができているのかを実感できる。一方、企業向けに本サービスで得たデータを元に環境投資戦略、マーケティングに寄与するレポートを可視化することで、企業は環境貢献意識の高い顧客を獲得でき、分析結果を新たな商品戦略や販売戦略に活用することで、環境対策のための活動を「コスト」から「収益向上」に変えることが可能となる。
・2023年4月より提供している太陽光発電の余剰量(発電量のうち自家消費分を差し引いた電力量)を予測する太陽光余剰量予測サービスをリニューアルし、発電量全量の予測も可能とした「太陽光発電量・余剰量予測サービス」として2024年10月より提供開始。野立てや屋根上などの太陽光発電設備に対応し、当社独自のAI技術により、電力データと気象データから機械学習を行うことで、データの関連性や季節性などのデータパターンを認識し、精度の高い予測を実現する。
・地域金融機関向け共同利用型クラウド勘定系サービス「OptBAE2.0」を2026年5月提供開始予定。「OptBAE2.0」は、信用金庫業界初の日本マイクロソフトが提供するMicrosoft Azure上で稼働するサービス利用型勘定系サービス。近年、地域金融機関は、少子高齢化や人口流出、事業承継、労働力確保など、地域の課題に対応するため、自社内DX推進や地域のお客様の利便性向上に貢献するサービス拡充などの活動を継続的に行う必要がある。「OptBAE2.0」は、業務を効率化する機能群やAPIの拡充、BCP高度化機能を順次提供し、決済インフラの安全性を高め、地域金融機関の持続的な成長とコスト最適化を支援する。
(2)新技術に関する研究・開発
・未来における社会変化と技術活用の予測および先端技術の探索マップ整備、技術動向調査と事業機会の探索、技術全体のポートフォリオの整備・評価・運用。
・当社および顧客のサービスビジネスにおいて、市場や顧客のビジネス要求の変化に対し、迅速且つ安全なサービスを開発・提供・運用するための、DevSecOpsの採用技術の調査・セキュア環境基盤の開発。クラウドネイティブ開発領域の採用技術の調査・研究開発。
・AI/データ分析技術とサービスデザインによる顧客体験高度化の調査・研究。
・当社サービスビジネスの開発・運用に必要な指針や規約、ガイドドキュメントの開発、生成AIや自動化ツールによる生産性向上・効率化の調査・研究開発。
・AI応用領域(画像解析、対話支援、予測)とビッグデータ基盤技術を活かした顧客行動データモデルの分析基盤の開発、データマネジメント関連技術および分析ノウハウの調査・研究。生成AI技術のビジネス活用に向けた応用技術の開発、業種・用途に特化した生成AIの開発技術の獲得と実装。
・次世代デジタル社会のインフラとなる新技術の早期獲得と事業可能性の見極めを行うための、web3関連技術、デジタルツイン関連技術、データスペース関連技術の調査、分散識別子、トークンの安全な運用方法の研究。
・組合せ最適化の領域で実用化を目指す研究を進展させた、古典AI技術と量子アニーリング技術のハイブリッドによる問題解決手法の調査、検証、および量子ゲート方式等最新技術の調査研究。
(3)基盤となる技術や先端技術等の研究・開発
・持続可能な社会の実現のため、多様な人々が集う場での円滑なコミュニケーションの促進、関係の質や思考の質を向上させるための共感や気づきを促す技術、イノベーションを生むコミュニティや学びと共創の起こる場のデザイン研究 。
・人の“思考”“動作”“心理”“身体”に基づいた、自らの可能性を知り、より良い選択ができるための技術の研究開発 。
・システム工学を土台とする、分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体を見通しビジネスエコシステムを実現する 社会システムアーキテクチャの研究開発。
・社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発。
・日常の当たり前を認識するAI、機械学習と言語学に基づく複合的な自然言語処理、発想や意思決定をサポートする技術の研究開発。
・仮想と現実の融合に関して、空間の認識および空間に情報を表現するための画像処理・画像認識を含むセンシング技術、直感的かつシンプルなインタフェース技術の研究開発。
・当社が培ってきたCAD・CG技術を発展させた、設計データと二次元画像・三次元点群データを利用した物体認識技術の研究開発。
・現実世界の現象をモデリングして仮想空間に取り込み、数理的な解析やシミュレーションによって、現象の解明や理解を促進することで課題解決につなげる手法の研究開発。
・想定困難な事故が発生するリスクの高まりを見据え、信頼性・安全性を検証するための多面的な特性である“トラストワージネス(Trustworthiness)”に着目した、新たな安全分析手法の研究開発。
・データが不完全な(矛盾、曖昧さ、欠損を含む)場合であっても不合理な判断を引き起こさずに、適切な帰結を得ることができる新たな推論システムの研究開発。
・量子コンピューターの本格的なビジネス利用に備えた、量子ソフトウェア開発における高水準プログラム言語とそれを用いた開発方法論やツールとその活用についての調査・研究。