第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当該有価証券報告書に記載された将来に関する事項について、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社グループは、社是の「幸せ」を体現すべく「顧客と社会の課題解決に応える」ソリューション提供カンパニーでありたいと考えております。業績伸長を通じて企業価値を向上させ、顧客、仕入先、従業員、金融機関、株主、そして社会というステークホルダーの「幸せ」を実現し、物心ともに豊かであっていただくことを目指します。そのための成長戦略に加え、次世代のリーダー養成を柱とした人材育成を強化してまいります。

 

当社グループのセグメント毎の社会的使命(ミッション)は以下のとおりであります。

 ① 建機事業

災害復旧・防災活動、国土強靭化へのインフラ整備の取組み支援のほか、ICT・技術提案等により建設業界の諸問題解決を支援してまいります。

 ② 商事事業

カラオケ機器提供を通じて人々が歌う環境をサポートし、高齢化社会における介護業界および介護従事者への支援を継続してまいります。

 ③ 不動産事業

    快適なオフィス環境、住空間、ホテルでの寛ぎの提供を通じて社会に貢献してまいります。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは2025年4月11日に2028年2月期を最終年度とする「2028 中期経営計画」を策定し、「飛躍へ の基盤造り」をスローガンに長期的な成長シナリオを創出する施策である、店舗ネットワーク拡充、DXの推進、事業領域の拡大及び資産効率の向上を注力方針とし、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図って参ります。

 ① 数値目標(2028年2月期 計画)

   連結売上高  1,110億円

   連結営業利益   77億円

   EBITDA        161億円

   ROE            5.0%

 

 ② セグメント別事業方針

   (建機事業)

    ・拠点ネットワークの拡充(M&Aと新規出店)

    ・建設ICTの強化~i-Construction 2.0への挑戦~(ICTワンストップサービス)

    ・デジタルマーケティング

    ・仮設業界への進出

    ・レンタル資産の稼働率向上

   (商事事業)

   「介護部門」

    ・拠点ネットワークの拡充(M&Aと新規出店)

    ・介護DXの推進

   「SV部門」

    ・カラオケ周辺機器で新たな顧客と市場を開拓

   (不動産事業)

    ・保有資産のバリューアップと顧客満足度の向上

 

 ③ 成長投資と株主還元の両立

当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題と認識しており、安定した配当の継続を基本方針としております。今後の成長投資との両立を図りつつ株主還元を図る方針のもとに2025年2月期の1株当たり配当金を前期比38円増配の100円とします(期初予想は1株当たり配当金を70円と公表済)。さらに2026年2月期以降2028年2月期までの3ヵ年においても1株当たり配当金を100円以上といたします。

一方、これまで蓄積した資本を活用して、成長のために次の施策を積極的に行ってまいります。

  ・M&A投資(ネットワーク拡充、建設DXの強化、介護DXへの進出)

  ・レンタル拠点のネットワーク拡充(建機、介護)

  ・人的資本への投資(人員増強、成長支援、社員エンゲージメント強化)

 

(3) 対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、アメリカの関税強化等の政策動向とロシアによるウクライナ侵攻の長期化や不安定な中東情勢による資源価格やエネルギー価格の推移等、景気の先行きについては予測不可能な状況が見込まれます。

一方国内では、経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境は緩やかに改善し、個人消費並びに設備投資には持ち直しの動きがみられるものの、国際経済環境が国内に及ぼす影響は予断を許しません。

当社グループが主力としている建機業界においては、公共投資は政府による国土強靭化、安全、防災、減災対策等の方針に牽引されて安定的に推移いたしました。民間投資は企業の業績が堅調に推移したことと景気動向が後押ししたことにより、手堅い推移を見せました。その一方で建設コストの上昇や労働規制強化及び土木建設の担い手不足等の影響により、業界を取り巻く環境は依然厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社グループは2025年4月11日に2028年2月期を最終年度とする「2028 中期経営計画」を策定し、「飛躍への基盤造り」をスローガンに長期的な成長シナリオを創出する施策である、店舗ネットワーク拡充、DXの推進、事業領域の拡大及び資産効率の向上を注力方針とし、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図って参ります。

中核事業である建機事業においては、レンタル資産の仕入価格が高騰する中、自社保有機械の適正配置、レンタルオペレーションの効率化を推進し2025年2月期は増益となりました。2026年2月期は引き続き資産効率の向上を進めるとともに災害の復旧・復興工事、公共インフラの老朽化対策、土木建設の担い手不足等の建設業界を取り巻く環境に対応して参ります。その施策としてM&Aを通じたレンタル拠点のネットワーク拡充、ICTワンストップサービス・i-Construction2.0への挑戦等の建設DXの推進に加えて、新たに仮設業界の課題解決となる商品をラインナップし、仮設機材整備装置の販売を進めて参ります。

チャレンジ事業である商事事業の介護部門においては、全国に拡大した介護機器レンタルの拠点網を強化すべく、更なる店舗ネットワークの拡充を進めて参ります。あわせて、商社ならではの情報網を利用した介護各社との連携及び介護DXにより高齢者人口の増加と担い手不足の減少という課題を解決して参ります。

同じく商事事業のSV部門においては、コロナ禍以降は復調を続けるカラオケ市場に引き続きカラオケ機器を提供するとともに、周辺機器のひとつである液晶テレビを新たな市場に提供するなど販路を拡大して参ります。

また安定収益事業である不動産事業においては賃貸資産のリノベーションを通じて収益性の向上を図るとともに、大阪関西万博開催の後押しを受けるホテル部門は引き続き強化を図り、安定的な収益を確保して参ります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティへの取組みをより一層強化し、中長期的な企業価値向上に繋げていくことを目的として、サステナビリティ委員会を設置しております。

同委員会は、取締役会の諮問機関として、サステナビリティ関連のリスクと機会を分析・監視・管理し、サステナビリティに関する基本方針や重要課題の特定、重要課題に関する指標や目標の設定、進捗管理、サステナビリティ関連情報開示等に関する審議を行い、取締役会へ報告いたします。

なお、サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員は取締役及び執行役員のうち委員長が指名する者に加え、社外取締役により構成されております。

 


 

 

② 戦略

当社グループは、当社グループの商品及びサービスをもって、お客さまと社会の課題解決に貢献することで持続可能な社会の実現を目指しております。

こうした考えのもと、当社グループが持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティ基本方針を定め、重要度の高い課題の中から特に優先して取り組むべきものをマテリアリティとして特定しております。

イ サステナビリティ基本方針

当社グループは、社是の「幸せ」を体現すべく、「お客さまと社会の課題解決に応える」ソリューション提供カンパニーとして、お客さまと社会にとってなくてはならない存在を目指し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献します。

 

ロ マテリアリティ

 

マテリアリティ

推進テーマ

環境に配慮した社会の実現

レンタル、リユースによるシェアリングエコノミーの推進

環境配慮型商材の開発及び提供

GHG(温室効果ガス)排出量削減に配慮したオフィス等の提供

社会インフラ整備及び自然災害等への対応

新たな社会インフラ構築を建機事業・不動産事業によりサポート

老朽化したインフラ整備と国土強靭化のサポート

災害発生時の迅速な復興支援と防災・減災支援

少子高齢化・担い手不足の問題解決

建設業界におけるDX開発を通じた担い手不足の問題解決

高齢化社会における介護業界の課題解決

心豊かな生活と社会の実現

カラオケ・デジタルエンタテインメントのインフラ整備のサポート

ホテル等のくつろぎ空間の提供

多様な人材が活躍できる場の提供

意欲的な従業員への成長支援と従業員エンゲージメントの向上

働きやすく心身ともに健やかな環境(ウェルビーイング)の整備

多様な人材が能力を最大限発揮し、会社と共に成長できる環境の整備

サステナビリティ経営を支えるガバナンスの確立

高い倫理観と遵法精神に則ったコンプライアンス・ガバナンスの徹底

社会の中の良き企業市民たるべき理念と、全てのステークホルダーの

幸せを求める価値観を全役職員に浸透

 

E:環境、S:社会、G:ガバナンス

 

③ リスク管理

サステナビリティに関する基本方針や重要課題の特定、さらには重要課題の監視・管理等のため、サステナビリティ関連のリスクと機会について分析し、対応策について検討を行ってまいります。リスクと機会については今後サステナビリティ委員会にて定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及びその指標や目標を見直すなど適切に対応してまいります。

 

④ 指標及び目標

「(2)重要なサステナビリティ項目」ごとに記載しております。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

① 環境に配慮した社会の実現への取組

当社グループは、気候変動を含む環境問題への対応を重要な経営課題の一つとして認識しており、2024年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動をリスクとして管理するガバナンス体制を構築しております。気候変動がもたらす当社グループへの財務的影響を評価し、当社グループの中長期的な事業戦略に組み込むため、TCFDが提言するフレームワークに沿って、シナリオ分析を行っております。

イ ガバナンス

「(1) サステナビリティ全般」の「① ガバナンス」に記載しております。

 

ロ 戦略

当社グループでは、気候変動によるリスクと機会の特定及び事業への影響度と対応策に関する考察・分析にあたり、IPCCやIEAが公表する各種シナリオを参考に、4℃シナリオと2℃未満シナリオの2つを設定しております。

 

a. 4℃シナリオ

現在の化石燃料に依存した経済活動の継続を背景にしたエネルギー価格の上昇を予測しているほか、風水害の拡大による直接的な被害の最大被害額や屋外作業の作業効率低下や熱中症リスクの拡大も想定されます。ただし、気象災害をはじめとした自然災害の被害緩和・回避・防止を目的とした関連工事はより拡大することが見込まれ、建設機械の需要も増大することが予測されます。

 

b. 2℃未満シナリオ

脱炭素化に向けたカーボンプライシングの影響が、新たな事業運営コストとして財務的なインパクトとなることを予測しているほか、サプライチェーンではカーボンプライシングによる影響が製品の販売価格に上乗せされることが想定されます。

 

c. 気候変動関連のリスクと機会

(リスク)

分類

影響要因

特定した具体的影響

事業への影響

当社の取組

4℃

シナリオ

2℃未満

シナリオ

移行リスク

炭素税の導入や法規制

炭素税の導入による事業運営コストの増加

自家消費型太陽光発電導入(グループの事業拠点)

温室効果ガス排出量削減に伴う設備投資等の支出増加

資材やエネルギーの価格変動

石油需要の変化や炭素税の導入による原材料価格の高騰

自家消費型太陽光発電導入(グループの事業拠点)

化石燃料・電力価格などエネルギー価格の高騰

CO2削減のためグリーン電力への切替え

物理的リスク

気象災害の激甚化(洪水・高潮)

被災による直接的な損害の発生

サプライヤーの供給停止に備えた早期発注早期納品

サプライヤーの被災による製品供給の停止

台風や豪雨・豪雪による工期の遅延や対応コストの発生

平均気温の上昇

熱中症危険の増大と生産性の低下

ICT活用による生産性の向上

極端な気象パターン変容による工期の遅延

 

 

(機会)

分類

特定した具体的影響

事業への影響

当社の取組

4℃

シナリオ

2℃未満

シナリオ

市場

洪水や高潮被害に対する防災・減災を目的とした工事の増加

建設機械のレンタル拠点の拡充

サービス・製品

環境配慮型建設機械の需要増加

環境配慮型建設機械の取扱いの拡充

 

 

 

ハ リスク管理

「(1) サステナビリティ全般」の「③ リスク管理」に記載しております。

 

ニ 指標及び目標

次の指標の実績は、当社グループのものを記載しておりますが、具体的な削減目標は策定次第公表いたします。

指標

実績(当事業年度)

CO2排出量(Scope1,2)

7,069t-CO2

 

 

② 多様な人材が活躍できる場の提供への取組

イ 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

a. 人材育成への取組

当社グループは、従業員から創造されるビジネスにより成り立っており、人材こそが企業成長の原動力であるとの認識を持っております。

当社グループでは、未来への基盤づくりとして、人材育成に以下のとおり積極的な投資を行っております。

・個々の従業員が持てる能力を最大限に発揮できる社内研修制度の構築

・各種資格取得に対する金銭的支援

・海外人材の受け入れ

・女性活躍推進チーム設置による具体的施策の推進

・多様な人材の採用並びに多様な働き方の提供や能力開発制度の整備

今後も従業員の処遇改善や人員の増強と並行しながら、従業員満足度調査等の施策により従業員とのエンゲージメントを深め、グループ内の人材育成及び働きがいの向上に取組んでいく方針です。

 

b. 社内環境整備への取組

当社グループは、年齢、国籍、性別等区別することなく、意欲と能力のある優秀な従業員が平等に管理職登用への機会が得られるような人事制度を整備しております。

今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適正のある人材を管理職として登用していく方針であります。

 

ロ 指標及び目標

次の指標の実績は、提出会社のものを記載しておりますが、具体的な目標は策定次第公表いたします。

指 標

実績(当事業年度)

採用した労働者に占める女性労働者の割合

29.8

女性労働者の育児休業後の復帰割合

100.0

管理職に占める女性労働者の割合

0.0

男性労働者の育児休業取得率

88.2

労働者の男女の賃金の差異

全労働者

71.0

正規雇用労働者

69.6

パート・有期労働者

74.7

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

これらのリスクが顕在化した場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する対応策を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

① 建機事業は土木・建設機械の取扱いが主なため、公共投資の大幅な削減や経済情勢の急激な変動による民間設備投資の減少により、貸与資産の稼働率の低下や同業者間の価格競争の激化が生じ、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

② 商事事業における設備機器や映像・音響機器の販売においては、景気下降局面で需要が減少しますと、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

また介護用品の販売及び賃貸においては、介護保険利用者に直接的な介護サービスを実施しておりませんが、当社グループの取引先となる事業者及び介護保険利用者は介護保険制度の適用を受けるため、間接的に当社グループの事業は介護保険制度の影響を受けることとなります。よって、介護保険制度の変更等により要介護認定を受ける被保険者の範囲、介護保険の適用となる介護用品の範囲や利用者の負担率が変更されることで需要動向が悪化した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 不動産事業は販売部門においては、好立地の住宅用分譲地の減少、賃貸部門においては、入居者の減少や経済情勢の変動による賃料値下げなどの要因が賃料収入の減少となり、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 販売用商品、貸与資産の購入価額の変動について

当社グループは土木・建設機械、荷役運搬機械、商業設備、映像・音響機器、介護用品等の販売及び賃貸を行っておりますが、これらの資産の市況変動により購入価額が上昇した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 与信リスクについて

当社グループは割賦債権を含む売上債権を有しており、取引先の信用度合による与信限度額を設定し不良債権の発生防止に努めておりますが、取引先の倒産等により貸倒損失が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 有価証券投資による影響について

当社グループが保有する有価証券は、価格変動リスク、信用リスク、元本毀損リスク等の様々なリスクを包含しており、有価証券の時価の下落等により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 固定資産の減損について

当社グループが保有する貸与資産、賃貸不動産、建物、土地、リース資産及びのれん等について、今後これら資産の市場価格下落等により資産価値が著しく低下した場合は、必要な減損処理を行う結果として当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 為替変動の影響について
  当社グループは、商品の一部を海外から外貨建てにて調達しているため、為替変動の影響を受ける可能性があります。こうした影響を最小限にするため、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、短期及び中長期の予測を超えた為替変動により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の業績が堅調に推移し、雇用と所得の状況は緩やかに回復基調であるものの、海外景気の下振れリスクとエネルギーや資源の価格高騰等、景気の先行きは不透明な状況となっております。

当社グループの中核事業である建機事業の市場環境においては、公共投資は政府による国土強靭化、安全、防災、減災対策等の方針に牽引されて安定的に推移いたしました。民間投資は企業の業績が堅調に推移したことと景気動向が後押ししたことにより、手堅い推移を見せました。その一方で周辺環境は建設コストの上昇や労働規制強化及び土木建設の担い手不足等の影響により、業界を取り巻く環境は依然厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社グループは2022年4月に2025年2月期を最終年度とする「2025 中期経営計画」を策定 し、「安定から成長へ」と目標を定めました。加えて2024年5月に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に記載した成長戦略として、これまで進めてきた、店舗ネットワーク展開、建設ICTの強化、介護事業の拡充及び人材戦略に加えて、建機事業の具体的な積極推進施策として自社保有機械の稼働率向上、レンタル単価への価格転嫁、ICTソリューション(技術提案)の強化及びバックヤードの効率化を取り入れ、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図って参りました。

また不動産事業においては資産の入替の一環として、期初に計画した神奈川県横浜市の収益物件を譲渡し、売却益7億59百万円を計上しました。

その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は売上高は923億21百万円前期比4.1%増)、営業利益は63億90百万円同15.3%増)、経常利益は65億6百万円同13.9%増)、そして親会社株主に帰属する当期純利益は、39億12百万円同23.9%増)となりました。 

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 建機事業

建機事業では、販売部門は一部のグループ会社で海外景気の下振れ及び円安による影響を受けたものの、稼働期に合わせた建設機械の導入が順調に進み、売上高・利益面とも増加いたしました。賃貸部門では公共・民間事業ともにレンタル需要は引き続き堅調に推移し、資産機の高水準投資の効果や店舗ネットワークの拡充により売上高は伸長いたしました。利益面においても、建機事業の具体的な積極推進施策を推し進めた結果、自社保有機械の稼働率向上やレンタル単価への価格転嫁などに効果が表れ、増加いたしました。

 その結果、建機事業の売上高は、742億58百万円前期比2.2%増)、セグメント利益は、33億14百万円同8.8%増)となりました。

 

② 商事事業

商事事業では、販売部門はカラオケ新機種の入替は来期に持ち越されたものの、新たな市場の販売需要を取り込んだ成果により、売上高・利益面ともに前年同水準となりました。一方で賃貸部門では株式会社ワキタケアネットの収益が通期寄与し、売上高・利益面ともに増加いたしました。

 その結果、商事事業の売上高は、105億79百万円前期比18.4%増)、セグメント利益は、5億72百万円同35.5%増)となりました。

 

 

③ 不動産事業

不動産事業では、販売部門は収益物件の売却の影響で、売上高・利益面ともに増加いたしました。賃貸部門は保有している商業ビルやマンション等の稼働率は引き続き堅調に推移いたしました。加えて、幅広くホテル事業をご理解いただくために株主優待制度として利用券を導入したホテル事業も堅調に推移し、売上高・利益面ともに増加いたしました。

 その結果、不動産事業の売上高は、74億83百万円前期比6.3%増)、セグメント利益は、25億3百万円同20.8%増)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

流動資産は、前連結会計年度末に比べ21億70百万円増加500億36百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加28億45百万円等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ96百万円減少959億82百万円となりました。これは主に、のれんの減少11億24百万円等によるものであります。その結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ20億74百万円増加し、1,460億19百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ6億87百万円増加222億6百万円となりました。これは主に、電子記録債務の増加2億4百万円及び未払法人税等の増加1億99百万円等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ3億12百万円増加218億91百万円となりました。これは主に、繰延税金負債の増加5億76百万円等によるものであります。その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ9億99百万円増加し、440億97百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ10億74百万円増加し、1,019億21百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加8億46百万円等によるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は68.9%となり、1株当たり純資産額は2,038円50銭となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ38億45百万円(前期比20.3%)増加し、227億83百万円となりました。

    当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、156億11百万円(前連結会計年度は支払期日管理の合理化を目的とした支払手形の期限短縮に伴う仕入債務の減少額10億74百万円等の影響で127億75百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益64億92百万円及び減価償却費69億35百万円等によるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、20億70百万円(前連結会計年度は67億73百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5億16百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出14億10百万円等によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、96億93百万円(前連結会計年度は104億68百万円の減少)となりました。これは主に、設備関係割賦債務の返済による支出57億75百万円及び配当金の支払額30億66百万円等によるものであります。

 

 

(仕入及び販売の状況)

(1) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

建機事業

28,904

△3.7

商事事業

2,592

8.6

不動産事業

△100.0

合計

31,497

△8.2

 

(注) 上記金額は仕入価格によっております。

 

(2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

建機事業

74,258

2.2

商事事業

10,579

18.4

不動産事業

7,483

6.3

合計

92,321

4.1

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。

 当社が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは以下のとおりであると考えております。

 

(固定資産(のれんを含む)の減損)

当社グループは、固定資産(のれんを含む)のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づき課税所得や将来加算一時差異等が十分に確保できることにより、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の売上高は、建機事業、不動産事業及び商事事業は増収となり、全体としては36億66百万円増加(前期比4.1%増)の923億21百万円となりました。

 利益面につきましては、売上高の増加に伴い、売上総利益は20億33百万円の増加となりました。しかしながら販売費及び一般管理費が11億85百万円増加した結果、営業利益は63億90百万円(前期比15.3%増)、経常利益は65億6百万円(前期比13.9%増)、そして親会社株主に帰属する当期純利益については、39億12百万円(前期比23.9%増)となりました。

 
(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2022年4月に2025年2月期を最終年度とする「2025 中期経営計画」を策定し、安定から成長へ目標を定め、3つの主要な事業で成長シナリオ創出のための施策を通じ、持続的発展と企業価値の向上に努めてまいりました。

 中期経営計画上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の数値目標及び実績は以下のとおりです。

 

 

2025年2月期

当初計画

2025年2月期

実績

2025年2月期

当初計画比

売上高(百万円)

   92,500

   92,321

   △179

営業利益(百万円)

   8,000

   6,390

   △1,610

EBITDA(百万円)

   14,000

   14,449

    449

ROE(%)

   5.0

   3.9

   △1.1

 

 

積極的な投資やM&A等の各種施策が奏功し、売上高は当初計画の通り順調に拡大したものの、営業利益は新店舗開設と人材への先行投資、地域間の需給格差への対応の遅れに加えて、建機事業の仕入れ価格高騰の中、価格転嫁の遅れ等により、当初計画には届かず、ROEも未達に終わっております。詳細につきましては、「(経営成績等の状況の概要) (1)経営成績の状況」をご参照願います。

 

上記「2025 中期経営計画」の結果をふまえ、当社グループは2025年4月に2028年2月期を最終年度とする「2028 中期経営計画」を新たに策定し、「飛躍への基盤造り」をスローガンに長期的な成長シナリオを創出する施策である、店舗ネットワーク拡充、DXの推進、事業領域の拡大及び資産効率の向上を注力方針とし、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。

    中期経営計画上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の数値目標は以下のとおりです。

 

 

2025年2月期

実績

2028年2月期

計画

2025年2月期

当初実績比

売上高(百万円)

92,321

111,000

 18,679

営業利益(百万円)

6,390

7,700

 1,310

EBITDA(百万円)

14,449

16,100

 1,651

ROE(%)

3.9

5.0

 1.1

 

 

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 また、当社グループの資金需要は主に運転資金と設備資金の二つであります。

 運転資金のうち主なものは商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用等であります。また設備資金のうち主なものは、貸与資産及び賃貸不動産の購入費用等であります。

 これらの資金需要につきましては、自己資金で賄うことを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入による資金調達を行うこととしております。

 加えて当社グループでは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、安定した配当を継続していくことを基本方針としております。中期経営計画「2025中期経営計画」の下、株主とのエンゲージメントを高めることを目的として、中期経営計画の期間は「総還元性向100%」といたしておりましたが、株主還元強化の観点から2025年2月期の1株当たり配当金を前期比38円増配の100円(配当性向126.2%)といたしました。さらに新たに公表いたしました「2028 中期経営計画」にて記載しておりますとおり、2026年2月期以降2028年2月期までの3カ年におきましても、1株当たり配当金を100円以上とする方針を定めており、安定した株主還元を実施する予定です。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、227億83百万円となっております。また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は1億68百万円、1年内返済予定の長期借入金の残高は1億52百万円、長期借入金の残高は4億3百万円となっております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、17百万円です。

なお、金額的重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略しております。