当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
経営理念 「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」
経営方針
1.社会から信頼される活力ある企業文化の創造
2.株主価値を高める経営とコンプライアンスの徹底
3.誠実で自由闊達な社風の醸成と創造性に富む人材の育成
(2)経営戦略等
当社グループは、「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」の経営理念に基づき事業活動を行っております。「ありたい姿」として「『医療と健康、美』を広げ、支え、つなぐ 健康応援オーケストラ」を掲げ、「医療と健康、美」の事業フィールドで社会価値、顧客価値を創造する事業を「広げ」、強固な流通インフラで「支え」、また、様々な分野のパートナーが持つ価値を「つなぐ」ことで、誰もが心身ともに健やかに暮らせる社会の実現と、企業価値の向上を目指しております。
この実現に向けて、「2027メディパル中期ビジョン Change the 卸 Forever~たゆまぬ変革を~」(以下、「本中期ビジョン」)を策定し、2022年10月31日に発表いたしました。
また、2022年10月、メディパルグループサステナビリティ方針「未来へつなごう『元気と、かがやき』」を策定いたしました。
(3)経営環境
少子高齢化が進むわが国において、高齢者の増加や生産年齢人口の減少が社会や経済に影響を与え、当社グループの各事業を取り巻く環境においても変化が起きてくると想定しております。セグメントごとの事業環境は以下のとおりです。
医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業における事業環境は、薬価改定のマイナス影響や、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ治療薬及び新型コロナウイルス感染症検査関連試薬の需要減少があったものの、新型コロナウイルス感染症ワクチンの定期接種開始やHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンのキャッチアップ接種※1による需要増、医療機関の受診機会が増加したこと等の影響を受け、医薬品市場全体は伸長いたしました。
このような状況の中、株式会社メディセオ(東京都中央区)を始めとする医薬事業各社においては、新たな価値創造を目指し、地域医療コーディネーターとして、医療機関・調剤薬局・自治体等を「つなぐ」活動を展開いたしました。女性診療科領域を専門とする「ウィメンズコーディネーター※2」や希少疾患領域を専門とする「RD-MR※3」を始め、医薬品の専門知識と機動性を有した営業担当者AR※4が、予防・診断・治療等の情報を総合的に提供し、疾患啓発や潜在患者の発掘、専門医への橋渡しなどを行い、地域におけるヘルスケア課題の解決に向けて取り組みました。
また、物流の2024年問題を含め業界を取り巻く環境が大きく変化する中、増加する物量に対して、ALCの物流機能を活用した、安全・安心・高機能な物流プラットフォームの構築と、物流効率化によるコスト削減への取り組みを進めました。
〔用語解説〕
※1 HPVワクチンのキャッチアップ接種とは、HPVワクチンの積極的な勧奨が中止されていた期間中に接種の機会を逃した女性に対して、公費で提供するための制度であります。
※2 ウィメンズコーディネーターとは、女性診療科領域の専門知識を有するARなどに付与した社内呼称であります。
※3 RD-MR(Rare Disease MR)とは、希少疾患領域に特化したARなどに付与した社内呼称であります。
※4 AR(Assist Representatives)とは、MR(Medical Representative)認定試験に合格したMS(医薬品卸売業の営業担当者)や薬剤師などに付与した社内呼称であります。
化粧品・日用品、一般用医薬品等卸売事業
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における事業環境は、人々の行動が活発化したことやインバウンド需要の増加に伴い相応の需要拡大はあったものの、物価上昇を背景とした節約志向の高まりや物流費高騰などの影響を受ける厳しい環境となりました。
販売面では、新型コロナウイルス感染症関連商材の需要減少や節約志向に加えて、サプリメントを中心とした一部商材の買い控えなどの影響を受けました。このような状況の中、積極的なデータ活用により、外出機会やインバウンドの増加、感染症の流行などをきっかけとする市場の変化を捉え、新規商材の投入など的確な販売活動に努めました。
動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業
動物用医薬品等卸売事業における事業環境は、円安の影響による飼料・エネルギー価格など生産資材価格の高止まり等により、顧客の購買意欲が低下する厳しい環境が続いております。このような状況の中、収益性の向上を目指し、新規メーカーとの取引開始及び自社企画品を始めとした高利益品への注力ならびに大手お得意様との取引拡大に取り組みました。
食品加工原材料卸売等関連事業における事業環境は、比較的好調に推移しており、また電子薬剤及び工業薬品関連の市場は回復の兆しが強まっております。一方で、継続的な円安傾向により輸入品の原価高騰や利益圧迫の影響を受けており、為替の影響に伴う製品の販売価格の見直しに取り組みました。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
<主な連結経営目標・計画>
ROE 9% (2027年3月期)
経常利益 1,000億円 (2027年3月期)
成長投資 1,000億円 (2023年3月期から2027年3月期までの累計)
株主総還元性向 40%※ (2023年3月期から2027年3月期までの累計)
※本中期ビジョンに掲げた成長投資に伴い発生するのれん償却費・無形資産償却費控除前の利益に対する率
<サステナビリティ中長期目標>
温室効果ガス排出量削減目標(Scope1+Scope2) 2031年3月期 50%削減(2020年度比)
2051年3月期 カーボンニュートラル
管理職に占める女性割合 2031年3月期 20%以上
男性労働者の育児休業取得率 2031年3月期 100%
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「医療用医薬品等卸売事業」の事業環境につきましては、医療の高度化等に伴う医薬品の厳格な品質管理と迅速かつ安定的な供給がますます重視されてきております。この環境下で医薬品卸売企業に対しては、サプライチェーン全体の最適化を実現する流通ネットワークの構築や、医療関係者との間での適時・適切な情報の収集・提供活動が求められております。また、薬価改定が毎年行われるようになり、医療用医薬品市場の大きな成長が見込めなくなっていることを踏まえ、顧客ニーズの変化に応じた新しいサービスや製品の提供などビジネスの創出も重要になっております。
このような状況の中、2026年3月期においては、当社グループ独自の機能である「ALC」と「AR」という「2つのA」を活用し、新しい時代の流通価値を提供し収益基盤の強化に努めてまいります。
ALCを通じては、医療用医薬品等の安定供給を継続するとともに、当社連結対象の子会社である株式会社メディスケット(埼玉県三郷市)を通じ、医薬品・検査資材等の供給と臨床・治験・研究等の検体の集荷を最適化するシェアリングロジスティクスの基盤を整備することに加え、GDPガイドライン※1に準拠した高品質な物流サービスを提供してまいります。さらには、今後、外部企業からの物流受託を行うことで新しい収益機会の創造にも取り組んでまいります。
ARについては、現在、約2,000名が医療関係者への総合的な情報提供活動や地域におけるヘルスケア課題の解決に向けた営業活動を展開しております。これらの機能に対する医薬品メーカーやバイオベンチャーからの需要や期待は年々高まっていくことが予想され、パートナーシップ機会の探索を引き続き推進してまいります。
「化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業」につきましては、継続した所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、インバウンド需要の拡大が期待される一方で、人手不足による物流費上昇に加え、物価上昇に伴う節約志向の高まりや、各国の通商政策の変化に起因する景気後退などのリスクが想定される、先行き不透明な状況と予想しております。
このような状況の中、販売面では、積極的なデータ活用を通じて、生活者の多様なニーズを的確に捉えた新規商材の取り扱いを拡大するとともに、インバウンド需要の取り込みや効果的な販促提案などの強化を図ってまいります。利益面では、人手不足などによる物流費上昇の影響を受けますが、サプライチェーンの協働による配送効率化や、付加価値の高い新規商材の取り扱い強化などに注力してまいります。 「動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業」の動物用医薬品につきましては、飼料・エネルギー価格など生産資材価格の高止まりや、一部のペットフードがメーカー直接販売となる商流変更により厳しい市場環境が見込まれます。このような状況の中、畜水産市場では引き続き、生産性向上に寄与する製品の販売強化、またコンパニオンアニマル向け市場では治療の進歩等による犬猫の長寿化に伴う関連製品と新規取り扱い製品の普及拡大と深耕に取り組んでまいります。
食品加工原材料卸売等関連事業につきましては、国内人口の減少や少子高齢化を始め、原料価格の高騰等による厳しい市場環境が引き続き見込まれます。一方で、食の安全や健康に対する意識の高まり、消費者ニーズの多様化に伴い技術革新が進み、新たな需要が生まれるなど事業環境は常に変化しております。このような状況の中、MP五協フード&ケミカル株式会社(大阪府北区)が主力とする多糖類※2を軸に国内及び海外での販売を強化し、また化成品分野では、半導体市場向けの電子薬剤事業の拡大を加速させるための体制構築や商品開発への取組等を通じた顧客サービスの強化に努め、収益拡大を図ってまいります。
これらに加え、グループの持続的成長に向けて、5つの成長戦略である「海外への進出」「予防・未病、アグロ・フーズ領域の事業拡大」「デジタルを活用したビジネス基盤の強化」「持続可能な流通の構築」「地域医療における価値共創」への積極的な投資を引き続き行ってまいります。
[用語解説]
※1 GDPガイドラインとは、医薬品の適正流通(Good Distribution Practice)の指針であり、流通経路(仕入・保管・供給)の管理が保証され、医薬品の完全性が保持されるための手法、さらに、偽造医薬品の正規流通経路への流入を防止するための適切な手法を定めたものであります。
※2 多糖類とは、グルコースやマンノース等の単糖が長くつながったものの総称で、広義では10個以上の単糖が結合することで構成されている炭水化物を指しております。たれ・ソース・ドレッシング・佃煮・ゼリー・プリン・アイスクリームなどの加工食品にユニークな食感を付与し、作り立ての状態を保持するなどの機能を有するとともに、嚥下困難者向けの食品にも活用されております。また、近年では、化粧品など食品以外の商品にも用いられております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティについて
当社グループは、「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」の経営理念のもと、事業活動を行っております。環境問題などへの社会的な関心が高まるなか、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上をめざすために、当社グループのサステナビリティに関する基本的な考え方として「サステナビリティ方針」を明文化いたしました。
|
サステナビリティ方針
未来へつなごう「元気と、かがやき」
私たちメディパルグループは、 「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」 の経営理念のもと、 地球環境と社会の課題をさまざまなステークホルダーとともに解決します。 この地球で、だれもが今日より元気でかがやける未来のために。 私たちは、持続可能な社会の実現と企業価値向上をめざしていきます。 |
また、当社グループの経営理念に基づく事業活動やSDGsをはじめとした社会課題との関連性を整理し、その解決と当社グループの持続的な成長を両立させるための重要課題(マテリアリティ)として6項目を特定いたしました。特定プロセスにおいては、社会・ステークホルダーの重要度が高く、かつ、当社グループの重要度が高い課題について、内容を統合・整理し、CSR委員会で優先順位や妥当性を議論いたしました。最終的には、取締役会の決議を経て、マテリアリティを公表いたしました。その後、すべてのマテリアリティについて目標(KPI)を設定し、マテリアリティの進捗状況を定期的に確認しております。今後、社会・事業変化に合わせて適宜見直しを実施し、さらに、進捗状況の開示やステークホルダーとの対話を通じて、各取組の強化につなげてまいります。
<重要課題(マテリアリティ)>
・持続可能な「医療と健康、美」の流通
・新たな価値創造による収益性の向上
・未来を担う人材の育成
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・脱炭素への取組み
・健全で透明性の高い企業経営
① サステナビリティ推進体制(ガバナンス・リスク管理)
当社グループでは、サステナビリティ方針に基づき、グループ全体のサステナビリティの取り組みや推進策、中長期目標などの重要事項について、サステナビリティ経営を推進するCSR委員会で議論しております。本委員会は、常務取締役を委員長、各マテリアリティを管轄する部門から委員を選出し、原則年4回開催しております。審議した内容はCSR委員会委員長から取締役会に上程し、決議しております。連結子会社は決定されたサステナビリティに関連する推進策について、担当部門主導のもと施策を実行し、具体的な内容や進捗をCSR委員会に報告しております。CSR委員会委員長はその内容を定期的に取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制を整備しております。
また、厳しい経営環境の変化を踏まえ、当社グループにおけるリスクと機会の重要性をCSR委員会で定期的にモニタリングし、案件に応じて取締役会に報告・提言を行っております。
(2)気候変動への対応
① 戦略
当社グループは、自動車などを使用した物流を行う企業として、より環境に配慮した流通体制を構築することが重要な課題と捉えており、2022年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同いたしました。TCFDが推奨する枠組みに則り、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオ※を参考に、気候変動が事業に与える影響を評価したうえで、戦略策定に取り組んでおります。
※ 参考にしたシナリオ
2℃未満シナリオ:温室効果ガス排出規制等が現状より進み、今世紀末までの平均気温が産業革命以前と比べて2℃未満に抑えられる世界
4℃シナリオ :現状を上回る対策がとられず、今世紀末までの平均気温が産業革命以前と比べて4℃上昇する世界
<想定されるリスク>
2℃未満シナリオでは、炭素税などの導入に伴うコスト増加や再生可能エネルギーの需要増による調達不足及び調達コストの増加などのリスクが高まると想定されます。また、4℃シナリオでは、防災機能を高めるための設備投資費用の増加や、自然災害による営業・物流拠点などの損害や操業停止、交通麻痺などによる配送遅延、供給網への被害などのリスクが想定されます。しかし、当社グループでは平時から大規模災害などのさまざまなリスクを想定し、1つの物流センターが供給できない状況でも、他の物流センターから配送を補完するバックアップ体制を整えております。そのため当社グループの気候変動に起因した自然災害によるリスクの影響は僅少であると考えております。
<想定される機会>
2℃未満シナリオでは、エシカル商材や健康食品などの需要拡大が見込まれると想定しております。また、いずれのシナリオにおいても、当社グループが築き上げてきた高度な物流機能を活かすチャンスであると考えております。安定供給を維持する物流基盤の構築や品質管理(GDPガイドライン)に準拠した業務手順の徹底により需要拡大が見込まれると想定しております。
上記のシナリオ分析結果を踏まえ、お得意様と協働した新たな医薬品流通最適化モデルの構築や中間流通機能の強化及びステークホルダーとの連携・協働を通じて、サプライチェーン全体での流通最適化・効率化に取り組んでおります。
なお、財務への影響については今後の検討課題として認識しており、想定される影響を踏まえた対応策の検討をさらに深めていくとともに、シナリオ分析を進めていく予定です。
② 指標及び目標
気候変動への取り組みを評価するための指標として温室効果ガス(Scope1,Scope2)を用い、当社グループ全体で中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を掲げております。
<脱炭素への取組みに関する中長期目標>
2031年3月期:50%削減(2021年3月期比)
2051年3月期:カーボンニュートラル
<基準値及び実績>
|
|
単位 |
2021年3月期(基準値) |
2025年3月期(速報値) |
|
温室効果ガス排出量 (Scope1※1,Scope2※2) |
t-CO2 |
|
|
※1 自社の燃料使用に伴う排出
※2 自社の電力使用に伴う排出
<今後の取組>
既述の気候変動に伴うリスクと機会への対応策として以下の取組みを予定しております。
|
対応策 ・環境配慮型電力への切り替えなど再生可能エネルギー利用量の拡大 ・太陽光パネルの設置など再生可能エネルギーの自家発電設備の導入 ・非化石証書の購入 ・車両台数や配送回数の削減 ・営業車両、配送車両の電気自動車やハイブリッド車への切り替え ・節電などエネルギー効率化の取組強化 ・ドローンの活用など持続可能な流通の実現に向けたサプライチェーンマネジメントの実施 ・異常気象を想定した災害対策マニュアルの見直し及び災害対策訓練の実施 ・気候関連情報開示の充実 ・従業員の環境保全意識向上施策の実施 |
(3)人的資本
当社グループは、本中期ビジョンと「ありたい姿」の実現に向け、「人材は、競争優位や企業価値を創造する源泉」という考え方のもと、“成長戦略”と連動した“人材戦略”を推進しております。
当社グループには、「誠実」「倫理観」「使命感」を共通の価値観に持つ多様な従業員が集っており、一人一人の個性や能力、強みを大切にした人材戦略を遂行しております。積極的な人材投資を行い、潜在的な人的資本の価値を発掘・顕在化させ、ハーモニーを奏でるように融合してさまざまな可能性を追求していくことで、持続的な企業価値向上につなげております。
①人材戦略の全体像
社会価値・顧客価値を創造しグループの持続的成長を図るため、「ありたい姿」の実現に向けた成長戦略と人材戦略との連動を特に重視し、施策にも反映してまいります。具体的には、組織・人材それぞれの「ありたい姿」を定義し、その実現に向けた「ありたい人材ポートフォリオ」の構築を推進する人材マネジメント施策を展開いたします。これによりいかなる環境変化に直面しても、主体的に物事を考え、常に自己変革し、人々の健康と社会の発展に貢献し続けたいと考えております。
a.人材情報の一元化・可視化・分析
当社グループでは、人材マネジメントのさらなる推進のため、タレントマネジメントシステムを活用し、社員一人一人の詳細な業務経験や資格情報、業務経験から得られたスキルや本人のキャリアプランなどを一元化・可視化・分析することで、適所適材の人材配置が可能な体制の構築を進めております。あわせて、人員数や適材の充足状況を確認し、事業戦略と連動した人材ポートフォリオの構築の実現を目指します。
b.未来志向型人材の育成
当社グループの経営理念を実現し、未来を担う人材像として「未来志向型人材」を定義しました。その人材要件に基づくコア・コンピテンシーをグループ共通の評価軸とした新人事制度の導入・浸透・定着を図るとともに、採用、育成、配置、評価・報酬などの人材マネジメントとして「未来志向型人材の育成」「創造性豊かな企業文化醸成」「多様な人材活躍」を促す施策を実践してまいります。
<未来志向型人材>
・共通の価値観
当社グループの人材は「誠実」「倫理観」「使命感」を共通の価値観として、意思決定の基準とし、大切にしております。
「誠実」 常に真心を持って、公正・正直に行動している。
「倫理観」 法律、業界ルールはもちろんのこと、世間一般の常識に沿っている。
「使命感」 組織や自らのあるべき姿に向かって、責任を持って行動している。
・当社グループの未来に向けて、事業基盤を強固にし、変革を推進しながら多様な方向へ事業を発展させるための人材(未来志向型人材)要件として、「経営理念を伝える」「豊かな創造性」「本質を見極める」「周囲を巻き込む」「コミュニケーション」「分析・課題抽出・解決」の6つを定めております。
|
人材像 |
具体的行動 |
|
経営理念を伝える (ビジョンを持って伝える) |
・常に経営理念を実現するための意思決定をする。 ・自ら明確なビジョンを設定し、情熱を持って周囲の人に語り共感させる。 |
|
豊かな創造性 (新たな価値創造) |
・多方面からの情報を収集し、新たな社会価値・顧客価値を創造する。 ・既存のやり方にとらわれず、過去の延長線上から脱却できる革新的・独創的アイデアを提案する。 ・物事を外から見る目を持っている。 |
|
本質を見極める (自分への問い) |
・メディパルグループの存在意義、自らの存在意義を自分に問い続ける。 ・何のために取り組むのかを自らに問い、手段が目的にならないようにする。 ・自他の成長のための努力を惜しまない。 |
|
周囲を巻き込む (チームワークとネットワーク) |
・自らが所属する組織のみではなく、部門を超えて周囲の協力を引き出しながら一体感を醸成する。 ・組織目標達成のために、リーダーシップを発揮している人に自ら積極的に協力し、守備範囲以上の仕事をしながら建設的な意見を述べる。 ・常に自らのアンテナを高くし、情報・人的ネットワークを広げる。 |
|
コミュニケーション (高い対話力) |
・他者と信頼を構築しながら話を傾聴し、本音ベースでの対話を実践する。 ・的確なフィードバックと自由闊達で建設的な意見交換を実践する。タフな会話ができる。 ・他人の意見を聴くことで、自らの成長につなげる。 |
|
分析・課題抽出・解決 (組織課題への取組) |
・科学的に自らが所属する組織の現状を分析・課題を抽出し、主体的に課題解決に取り組む。 ・出来ない理由を探すのではなく、どうしたらできるのかを考え、常にスピード感を持って行動に移す。 |
c.従業員エンゲージメント
当社グループでは職場風土調査を実施し、その結果を分析し、人材育成の施策立案に役立てております。同調査は、従業員エンゲージメントやワークエンゲージメントに関連する項目を含んでおり、社員と会社の結びつきや仕事に対する意欲を測定し、高めていくことを目的の一つとしております。今後も、定期的に同調査を実施しながら人材育成への取組を検証し、事業成長を支える人材育成を進めてまいります。
d.適所適材の人材配置
当社グループは、社員一人一人との対話を大切にし、個々のキャリアに寄り添うことを基本原則としたジョブローテーションを行っております。また、社内公募による意欲の高い人材が活躍できる機会の創出、当社グループ会社間の人材交流など、組織戦力の最大化を図るための適正な人材配置を実施しております。
e.ダイバーシティ&インクルージョンの取組
重要課題(マテリアリティ)の1つに「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を定め、従業員をはじめ、あらゆる人々の基本的人権を尊重し、一人一人が互いを認め合う企業文化を築いていくための取組を行っております。異なる個性や能力を最大限発揮することで企業活力向上につなげ、誰もが「元気と、かがやき」をもって仕事ができる環境づくりに取り組んでおります。
|
ダイバーシティ&インクルージョン宣言
「かがやく個性で、未来をつくる」
性別・国籍・経歴などにとらわれない多様な価値観を持った人材が意見を 出し合い、互いを認め合うことで、自身の成長と会社の発展につなげていきます。 |
② 指標及び目標
ダイバーシティ&インクルージョンを推進するための中長期的目標として、当社グループ全体で管理職に占める女性割合及び男性労働者の育児休業取得率の向上を掲げております。
<ダイバーシティ&インクルージョンの推進に関する中長期目標>
・
・
<実績>
|
|
単位 |
2025年3月期 |
|
女性管理職比率 |
% |
|
|
男性労働者の育児休業取得率 |
% |
|
今後も事業活動を通じて各課題を解決し、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を目指してまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)医療保険制度について
当社グループが主たる事業とする医療用医薬品等卸売業界は、わが国の社会保障制度や医療政策と密接に関連しております。わが国では、人口構造の変化による社会保障給付費の増大などの環境変化に伴い、医療制度改革が進められております。
今後、予測できない大幅な制度変更が行われ、当社グループの事業構造に関わるような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)薬価制度について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、薬価基準に収載されており、薬価基準は保険医療で使用できる医薬品の範囲と使用した医薬品の請求価格を定めたものであります。従って、薬価基準は実質的に販売価格の上限として機能しております。
医療費抑制策の一環として、薬価基準で定められた価格(薬価)は市場実勢価格の調査結果に基づいて改定が行われております。
(2020年度薬価改定率(薬剤費ベース):▲4.38%)
(2021年度薬価改定率(薬剤費ベース):未公表)
(2022年度薬価改定率(薬剤費ベース):▲6.69%)
(2023年度薬価改定率(薬剤費ベース):未公表)
(2024年度薬価改定率(薬剤費ベース):▲4.67%)
(2025年度薬価改定率(薬剤費ベース):未公表)
これまで原則として2年に1度実施されていた薬価改定が2021年度からは中間年の改定が実施されております。医療機関等への販売価格低下等の影響が生じた場合には、医療用医薬品等卸売事業の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特有の法的規制等に係るものについて
当社グループは、各種の医薬品及びその関連商品を取り扱っており、主に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」の規定により、各事業所が所轄の都道府県知事より必要な許可、登録、指定及び免許を受け、あるいは監督官公庁に届出の後、販売活動を行っております。このため、監督官公庁等の許認可の状況により、医療用医薬品等卸売事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来的に規制緩和等によって、異業種の事業者が当社グループの事業領域に参入した場合には、当社グループのビジネスモデルや従来有する強みを維持または拡大することが困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)医療機関等との取引慣行について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという特有の取引慣行が存在しております。かかる取引慣行を改善するために、2018年4月に流通改善ガイドラインの運用が開始されましたが、交渉が難航した場合には、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格により売上計上しております。
このため、決定した取引価格と見積価格との差異が生じた場合には、医療用医薬品等卸売事業の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2025年3月期における医療用医薬品の売上高2.1兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.5%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。
(過去3年間の取引価格の決定比率 2022年3月期:99.8%、2023年3月期:99.6%、2024年3月期:99.6%)
(5)製薬企業等との取引慣行について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品の仕入先である製薬企業等との間には、実質的な仕入価格の引き下げ効果のある「割戻金(リベート)」や「報奨金(アローアンス)」などの取引慣行が存在しております。(2025年3月期の医療用医薬品等卸売事業における報奨金(アローアンス)の未精算額179億84百万円)。製薬企業等とは良好な取引関係を継続しておりますが、製薬企業等の営業戦略に大幅な変更が生じ、かかる取引慣行に変化が生じた場合には、医療用医薬品等卸売事業の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競争環境の変化について
当社グループが主たる事業とする化粧品・日用品、一般用医薬品卸売業界において、業種・業態を超えた競争の激化やM&Aによる規模拡大が続いております。このため、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業では取引先のニーズを捉え、環境の変化に即座に対応できる組織を構築しております。しかしながら、今後さらなる競争の激化や取引先の企業再編等により取引先の政策や取引条件が大幅に変更された場合には、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)システムトラブルについて
当社グループでは、「医療と健康、美」の流通を安定的に支える社会インフラとして、サプライチェーンを効率化、高度化するために、IT化を積極的に推し進めております。
当社グループの事業運営は、コンピュータネットワークシステムに依拠していることから、基幹システムのサーバ・ネットワークの二重化やサーバ設置建屋の免震・防災・停電対策及びデータバックアップ環境の設置などのほか、ウイルス対策、不正アクセス対策、モバイルパソコンのデータ暗号化などのセキュリティ対策を講じておりますが、万が一、システムが機能停止した場合には、販売・物流に大きな支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報の漏洩について
当社グループが保有する顧客情報や機密情報等の情報資産の保護については、情報セキュリティポリシーに基づき、外部に漏洩しないよう管理体制の整備に努めるとともに、全従業員を対象に年2回の情報セキュリティ研修を実施しておりますが、不測の事態により、これらの情報が漏洩した場合には、社会的信用の低下による売上高の減少や対策費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)災害、交通事故、感染症について
当社グループは、医薬品、日用品など、健やかな生活に欠かせない商品の流通を担っており、平時・有事を問わず、必要とされる商品を確実にお届けするために、さまざまな対策を施しています。
①災害について
当社グループは、地震・台風等の自然災害や新型インフルエンザの流行などに備え、危機管理体制や有事の際迅速に供給活動を行うためのBCP(事業継続計画)を策定しておりますが、万が一、大規模災害が発生した場合には、事業が停止し、販売機会損失による売上高の減少または復旧費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②交通事故について
当社グループでは、お得意先への営業や商品の配送に多くの車両を用いております。当社グループ全体の車両台数は、9,558台となっており、環境負荷の低い車両の導入を進めるとともに、交通事故を防ぐために、ドライブレコーダーの設置や自動ブレーキを装備した車両の導入などを進めております。
また、安全運転月間を定めたり、警察の指導による講習会を開催するなど、交通事故防止の啓発活動に積極的に取り組んでおりますが、万が一、重大な交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③感染症について
当社グループでは、生命関連商品の安定供給を担う企業グループとして、社会経済活動に影響を与えるような感染症の流行の際には、様々な事態の発生を想定し、安定供給体制維持(全国物流センターの相互連携によるバックアップ、商品在庫の充実、機器の定期メンテナンスを前倒しで実施)、感染拡大防止(従業員の感染予防の徹底、車両や設備の洗浄及び消毒の徹底、医療機関での感染拡大の防止)に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループの従業員に感染が拡大するなどして、万が一、物流機能が停止する事態に陥った場合には、医薬品等の安定供給が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)気候変動について
当社グループは、さまざまなステークホルダーとともに脱炭素社会の実現に向けた取組を実施しております。一部物流センター間の医薬品輸送において、トラックから鉄道コンテナを利用した輸送へと切り替えるとともに、お得意様と協業し新たな医薬品流通最適化モデルを構築することで温室効果ガス排出量削減を積極的に進めております。
しかしながら将来、災害対策の設備投資、炭素税等のコストが発生した場合や、風水害が甚大化し、営業・物流拠点等の被災や操業停止などが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)労働力の確保について
当社グループが取り扱う医薬品や日用品などを安定的に流通させるためには、質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠であります。
昨今は、人口減少、少子高齢化などによって、流通分野における労働力の確保は厳しさを増してきております。物流センターの省力化や配送見直しによる効率化を推進するとともに、働き方改革に取り組み、労働環境の改善と整備に努めておりますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、法令や制度の改正、物価変動等により従業員に関わるコストが大幅に増加した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)投資について
当社グループは、持続的成長に向け将来への積極投資を行っております。
①物流インフラ投資について
当社グループは、安全・安心な流通を担うという社会的使命を果たすため、物流やシステムに対する設備投資を積極的に行い、最先端技術を導入しております。これらは、当社グループの競争力を維持するためにも不可欠なものでありますが、投資コストが増大した場合や想定した投資回収ができない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2025年3月期における設備投資額は142億円であります。
②事業開発投資について
当社グループは、事業基盤の拡大と収益源の多角化を進めるため、製薬企業等への新薬開発投資や、海外での新薬開発事業に取り組んでおります。これは、当社グループがもつ物流力や営業ネットワークなどの経営資源を有効に活用し、希少疾病の治療を待つ患者さんに医薬品を安定供給することを目的とした取組みでありますが、新薬の開発は時間を要するほか、中止に至るなど、必ずしも順調に進行しないことがあります。そのような場合には、想定どおりの収益獲得に至らず損失が発生する可能性もあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③資本提携、業務提携について
当社グループは、「事業ポートフォリオのシフトとパートナーとの協働で変革・成長する」という中期ビジョンの基本方針に則り、ライフサイエンス分野のベンチャー企業やスタートアップ企業への出資のほか、デジタル分野やロジスティクス分野といった業界の垣根を越えた提携を積極的に進めております。
こうした資本提携、業務提携の実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っておりますが、予期せぬ環境変化や想定した事業計画からの大幅な乖離が生じた場合には、減損損失等が発生するなどして、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)法令違反について
当社グループは、「コンプライアンスの徹底」を経営方針の1つに掲げ、社員教育や啓発活動を継続して行っております。
また、公益通報に関する窓口を社内及び社外に設置し、グループ内部の問題を早期に発見することに努めております。
なお、2021年1月29日に開催された取締役会において、経営トップがコンプライアンスを重視する姿勢を明確にするため、新たに企業活動指針を制定いたしました。経営トップが全国の拠点を行脚して、当該指針を制定した背景とその精神を全社員に浸透させております。
また、取締役会の諮問機関として、コンプライアンス委員会を設置し、当社グループのコンプライアンスを継続的にモニタリングし、遵法精神に則った企業風土を確立してまいります。
しかしながら、法令違反等の問題が発生した場合には、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金等の支払いが生じるだけでなく、当社グループの社会的信用の失墜による悪影響など、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらの他にも、さまざまなリスクが存在しており、ここに記載されたリスクが当社グループのすべてのリスクではありません。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の概況
当社グループは、「流通価値の創造を通じて、人々の健康と社会の発展に貢献します。」という経営理念に基づき、『医療と健康、美』の事業フィールドにおいて、「医療用医薬品等卸売事業」「化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業」「動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業」を展開しております。医療用医薬品、医療機器、臨床検査試薬、日用品、化粧品、食品加工原材料など、いずれも人々の生命や健やかな暮らしを支えるために欠かせない商品を取り扱っており、平時・有事を問わず、止まることなくお届けできる物流機能と流通ネットワークの構築は、社会インフラを担う企業として重要な責務であると認識しております。この基本姿勢のもと、当社グループではBCP(事業継続計画)を策定するとともに、さらなる物流プラットフォームの進化に取り組んでおります。
当社グループでは、経営理念の実現に向けて2027年3月期を最終年度とする「2027メディパル中期ビジョン Change the 卸 Forever~たゆまぬ変革を~」を策定しております。本中期ビジョンでは、人材戦略・財務戦略を基盤とし、事業ポートフォリオのシフトとパートナーとの協働によるグループの持続的成長に向けて、5つの成長戦略である「海外への進出」「予防・未病、アグロ・フーズ領域の事業拡大」「デジタルを活用したビジネス基盤の強化」「持続可能な流通の構築」「地域医療における価値共創」を展開しております。
これらの戦略に沿って、当期においては、2024年5月に高付加価値な検査サービスを提供する株式会社プリメディ
カ(東京都港区)を完全子会社化し、また、2024年10月にはMP五協フード&ケミカル株式会社とメディパルフーズ株式会社(札幌市中央区)の両完全子会社を統合しました。これにより、予防・未病、アグロ・フーズ領域の事業拡大に向けた商品提供やサービスの強化、顧客基盤の強化を推進しております。2024年7月には、保険薬局向けに経営支援サービスを提供する株式会社プレサスキューブ(東京都中央区)を連結子会社化し、同社とのより強固な連携を通じデジタルを活用したビジネス基盤の強化を図っております。
さらに、海外進出に向けた取組として、当社はJCRファーマ株式会社(兵庫県芦屋市)との協働による超希少疾患領域での新薬のグローバル展開に向けた研究開発を進めております。この一環として、JCRファーマ株式会社が創製したムコ多糖症IIIB型に対する治療薬(JR-446)について、2024年12月には、国内での臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験で、第1例目となる被験者への初回投与が行われ、重要なマイルストンを達成いたしました。
加えて、当社グループは、MEDIPAL Innovation 投資事業有限責任組合を通じて国内のベンチャー企業への投資を行い、収益基盤の拡大と企業価値の最大化を目指すとともに、持続可能な経済社会の実現に貢献しております。
セグメント別の主な取組は以下のとおりです。
医療用医薬品等卸売事業
当社グループでは、メーカーと医療機関等をシームレスにつなぐとともに災害対策を施した有事に強い物流センターとしてALC※1を全国13か所に開設し全国均質な物流サービス網を構築しており、安定供給とともに新たな流通価値を創造しております。また、株式会社メディセオでは、物流の2024年問題への対応や温室効果ガス排出量削減に向けた取組としてモーダルシフトの導入やドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクトへの参画など、新たな流通に挑戦しております。また、当社とH.U.グループホールディングス株式会社(東京都港区)の合弁会社である株式会社メディスケット(埼玉県三郷市)は、「医療と健康、美」を支える国内最大級のヘルスケア物流プラットフォームの構築を目指しており、医療用医薬品の物流と臨床検査の検体集荷におけるシェアリングロジスティクスの基盤整備に向けて着実に取り組んでおります。
[用語解説]
※1 ALC(Area Logistics Center)とは、医療用医薬品や医療材料などを扱う高機能物流センターで、主に調剤薬局、病院、診療所に商品を供給しております。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
2024年9月、株式会社PALTAC(大阪市中央区)は物流の2024年問題を始めとする配送課題の解決に向けて、株式会社薬王堂(岩手県盛岡市)と、サプライチェーン全体のさらなる最適化・効率化を目指し、非食品と食品一括物流を開始いたしました。また、2025年1月、株式会社PALTACは異業種連携による効率的かつ持続可能な物流の実現に向けて、三菱食品株式会社(東京都文京区)と、持続可能な物流の構築及び両社における物流事業の一層の拡大を目的とした連携・協働に向けた基本合意を締結し、物流の価値提供領域拡大に向けた取組を推進しております。
動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業
2024年10月にMP五協フード&ケミカル株式会社とメディパルフーズ株式会社の両完全子会社を統合し、健康志向の食品や機能性表示食品などお得意様や消費者の食へのニーズが多様化する環境変化に対応し、食品加工原材料卸売等関連事業のさらなる発展に向けて、経営資源の有効活用と全国規模の顧客基盤の強化を進めております。
当期の業績
当連結会計年度における経営成績は、以下の通りであります。
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
3,558,732 |
3,671,328 |
+112,595 |
+3.2% |
|
売上総利益 (対売上高比率) |
246,654 (6.93%) |
255,758 (6.97%) |
+9,103 (+0.04pp) |
+3.7%
|
|
販売費及び一般管理費 (対売上高比率) |
199,324 (5.60%) |
200,148 (5.45%) |
+824 (△0.15pp) |
+0.4%
|
|
販売費及び一般管理費(下記①②を除く) |
191,494 |
196,749 |
+5,254 |
+2.7% |
|
①事業投資費等 |
5,772 |
1,136 |
△4,636 |
△80.3% |
|
②のれん・無形資産償却費(*) |
2,056 |
2,262 |
+206 |
+10.0% |
|
営業利益 (対売上高比率) |
47,330 (1.33%) |
55,609 (1.51%) |
+8,278 (+0.18pp) |
+17.5%
|
|
上記①②を除く営業利益 |
55,159 |
59,008 |
+3,849 |
+7.0% |
|
経常利益 |
64,570 |
65,255 |
+684 |
+1.1% |
|
特別損益 |
10,170 |
11,479 |
+1,308 |
+12.9% |
|
税金等調整前当期純利益 |
74,741 |
76,734 |
+1,992 |
+2.7% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
41,474 |
40,279 |
△1,194 |
△2.9% |
(*)2027メディパル中期ビジョンに掲げた成長投資に伴い発生したのれん・無形資産償却費
〔売上高〕
売上高は、前期から1,125億95百万円(3.2%)増収の3兆6,713億28百万円となりました。
・医療用医薬品等卸売事業で744億49百万円(3.2%)の増収、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業で361億31百万円(3.1%)の増収、動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業で28億38百万円(2.5%)の増収となり、全事業セグメントにおいて売上高は前期を上回りました。
〔営業利益〕
営業利益は、前期から82億78百万円(17.5%)増益の556億9百万円となりました。
・売上総利益は、増収に加え、株式会社メディスケットの事業拡大等により、91億3百万円(3.7%)増益の2,557億58百万円となりました。売上総利益率は前期(6.93%)を0.04ポイント上回り、6.97%となりました。
・販売費及び一般管理費は、事業投資費等が減少したものの、株式会社メディスケットの事業拡大や化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における売上拡大に伴う増加により、前期から8億24百万円(0.4%)増加の2,001億48百万円となりましたが、売上高比率は増収により0.15ポイント改善し、5.45%となりました。
〔経常利益〕
経常利益は、前期から6億84百万円(1.1%)増益の652億55百万円となりました。
・持分法投資利益の減少等により、営業外損益が75億94百万円減少いたしましたが、営業利益の増加分が上回ったため、経常利益は増益となりました。
〔親会社株主に帰属する当期純利益〕
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期から11億94百万円(2.9%)減益の402億79百万円となりました。
・政策投資株式等の売却により119億94百万円を特別利益に計上したことにより、前期に、本社移転に伴う受取補償金(*1)19億44百万円及び東七株式会社(長崎県佐世保市)の子会社化に伴う段階取得差益(*2)12億53百万円を特別利益に計上したことによる影響を吸収し、特別損益は13億8百万円増の114億79百万円の益となりました。一方、法人税等の増加22億30百万円の影響により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。
(*1)八重洲二丁目中地区の再開発計画に伴い2023年2月13日に本社を移転したことに係る当該再開発組合からの補償金を「受取補償金」として計上
(*2)2023年4月3日の株式交換による子会社化以前に保有していた東七株式会社株式の簿価と時価との差額を「段階取得に係る差益」として計上
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
2,295,795 |
2,370,245 |
+74,449 |
+3.2% |
|
売上総利益 (対売上高比率) |
144,123 (6.28%) |
150,387 (6.34%) |
+6,264 (+0.07pp) |
+4.3%
|
|
販売費及び一般管理費 (対売上高比率) |
126,651 (5.52%) |
125,180 (5.28%) |
△1,471 (△0.24pp) |
△1.2%
|
|
販売費及び一般管理費(下記①②を除く) |
120,878 |
123,837 |
+2,958 |
+2.4% |
|
①事業投資費等 |
5,772 |
1,136 |
△4,636 |
△80.3% |
|
②のれん・無形資産償却費(*) |
- |
206 |
+206 |
- |
|
営業利益 (対売上高比率) |
17,471 (0.76%) |
25,207 (1.06%) |
+7,735 (+0.30pp) |
+44.3%
|
|
上記①②を除く営業利益 |
23,244 |
26,550 |
+3,305 |
+14.2% |
(*)2027メディパル中期ビジョンに掲げた成長投資に伴い発生したのれん・無形資産償却費
〔売上高〕
売上高は、前期から744億49百万円(3.2%)増収の2兆3,702億45百万円となりました。
・2024年4月の薬価改定のマイナス影響や、新型コロナウイルス感染症治療薬及び同感染症検査関連試薬の需要減少があったものの、同感染症ワクチンの販売や成長品目への取組強化、病院販路での売上高の増加、株式会社メディスケットの事業拡大等によって増収となりました。
〔営業利益〕
営業利益は、前期から77億35百万円(44.3%)増益の252億7百万円となりました。
・売上総利益は、増収等により62億64百万円(4.3%)増益の1,503億87百万円となりました。売上総利益率は前期(6.28%)を0.07ポイント上回り、6.34%となりました。
・販売費及び一般管理費は、前期から14億71百万円(1.2%)減少の1,251億80百万円となり、売上高比率についても0.24ポイント改善し、5.28%となりました。これは、株式会社メディスケットの事業拡大等の影響に伴う増加29億58百万円(2.4%)があったものの、事業投資費等が減少したことによるものです。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
1,151,966 |
1,188,097 |
+36,131 |
+3.1% |
|
売上総利益 (対売上高比率) |
86,358 (7.50%) |
88,982 (7.49%) |
+2,624 (△0.01pp) |
+3.0%
|
|
販売費及び一般管理費 (対売上高比率) |
59,185 (5.14%) |
60,973 (5.13%) |
+1,788 (△0.01pp) |
+3.0%
|
|
営業利益 (対売上高比率) |
27,172 (2.36%) |
28,008 (2.36%) |
+836 (△0.00pp) |
+3.1%
|
〔売上高〕
売上高は、前期から361億31百万円(3.1%)増収の1兆1,880億97百万円となりました。
・新型コロナウイルス感染症関連商材の需要減少や節約志向に加えて、サプリメントを中心とした一部商材の買い控えなどの影響を受けました。このような状況の中、積極的なデータ活用により、外出機会やインバウンドの増加、感染症の流行などをきっかけとする市場の変化を捉え、新規商材の投入など的確な販売活動に努めたことで増収となりました。
〔営業利益〕
営業利益は、前期から8億36百万円(3.1%)増益の280億8百万円となりました。
・売上総利益は、センターフィ率上昇などの影響により、売上総利益率は前期(7.50%)を下回りましたが、売上拡大を軸とする利益拡大施策が奏功したことにより、26億24百万円(3.0%)増益の889億82百万円となりました。
・販売費及び一般管理費は、売上拡大に伴い17億88百万円(3.0%)増加の609億73百万円となりましたが、売上高比率は固定費吸収効果により0.01ポイント改善し、5.13%となりました。
動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
114,023 |
116,861 |
+2,838 |
+2.5% |
|
売上総利益 (対売上高比率) |
16,259 (14.26%) |
16,446 (14.07%) |
+186 (△0.19pp) |
+1.2%
|
|
販売費及び一般管理費 (対売上高比率) |
13,531 (11.87%) |
14,001 (11.98%) |
+470 (+0.11pp) |
+3.5%
|
|
販売費及び一般管理費(下記を除く) |
11,475 |
11,945 |
+470 |
+4.1% |
|
のれん・無形資産償却費(*) |
2,056 |
2,056 |
0 |
- |
|
営業利益 (対売上高比率) |
2,727 (2.39%) |
2,444 (2.09%) |
△283 (△0.30pp) |
△10.4%
|
|
上記の償却費を除く営業利益 |
4,783 |
4,500 |
△283 |
△5.9% |
(*)2027メディパル中期ビジョンに掲げた成長投資に伴い発生したのれん・無形資産償却費
〔売上高〕
売上高は、前期から28億38百万円(2.5%)増収の1,168億61百万円となりました。
・動物用医薬品等卸売事業は、コンパニオンアニマル※1領域では、一部のペットフードがメーカー直接販売となる商流変更による影響を受けたものの、新製品の積極的な導入等により堅調に推移いたしました。畜水産領域では、鳥インフルエンザ発生に伴う関連商材の特需に加え、生産性向上に寄与する機能性商材の販売拡大により堅調に推移いたしました。食品加工原材料卸売等関連事業は、食品素材領域及び化成品領域における販売が好調に推移し、当セグメント全体で増収となりました。
〔用語解説〕
※1 コンパニオンアニマルとは、伴侶動物とも表現され、日常生活の中で人とより密接な関係を保つような動物を指しております。
〔営業利益〕
営業利益は、前期から2億83百万円(10.4%)減益の24億44百万円となりました。
・売上総利益は、1億86百万円(1.2%)増益の164億46百万円、売上総利益率は前期14.26%から0.19ポイント低下し、14.07%となりました。動物用医薬品等卸売事業では仕入れ原価の上昇に伴う価格見直し、重点メーカーのリベート獲得などの施策により堅調に推移いたしました。また食品加工原材料卸売等関連事業では食品素材領域を中心として円安影響による輸入品価格の高騰が見られ、事業会社の利益を圧迫いたしました。このような状況の中、各事業における企画商品の販売等への積極的な取組や販売価格の見直しを行ったことで、売上総利益は増益となりました。
・販売費及び一般管理費は、4億70百万円(3.5%)増加の140億1百万円となり、売上高比率についても0.11ポイント増加の11.98%となりました。動物用医薬品等卸売事業では、人材育成への投資ならびに採用強化のための賃上げにより増加いたしました。また食品加工原材料卸売等関連事業では、基幹システム刷新による減価償却費や新製品開発に関する研究費に加え、メディパルフーズ株式会社との統合関連費用に伴い増加いたしました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1兆8,249億84百万円となり、前連結会計年度末より258億57百万円増加いたしました。
流動資産は1兆2,827億46百万円となり、前連結会計年度末より385億56百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加312億52百万円、受取手形及び売掛金の増加54億57百万円、商品及び製品の増加60億70百万円によるものであります。
固定資産は5,422億37百万円となり、前連結会計年度末より126億99百万円減少いたしました。これは主に、投資有価証券の減少117億87百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は1兆670億37百万円となり、前連結会計年度末より45億22百万円増加いたしました。
流動負債は1兆94億47百万円となり、前連結会計年度より17億28百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加81億76百万円、独占禁止法関連損失引当金の減少34億70百万円によるものであります。
固定負債は575億90百万円となり、前連結会計年度末より27億94百万円増加いたしました。これは主に、リース債務(その他の固定負債)の増加25億57百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は7,579億47百万円となり、前連結会計年度末より213億34百万円増加いたしました。
株主資本は5,632億86百万円となり、前連結会計年度末より230億20百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加237億56百万円によるものであります。
その他の包括利益累計額は562億77百万円となり、前連結会計年度末より38億5百万円減少いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金の減少42億87百万円によるものであります。
非支配株主持分は1,383億81百万円となり、主に株式会社PALTACの純資産の増加により、前連結会計年度末より21億18百万円増加いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
|
(単位:百万円) |
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
61,843 |
60,559 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△7,817 |
△3,363 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△25,248 |
△25,947 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
0 |
3 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
28,778 |
31,252 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
193,561 |
228,084 |
|
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増減額 |
5,744 |
- |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
228,084 |
259,337 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より312億52百万円増加し当連結会計年度末には2,593億37百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、605億59百万円(前年同期比12億84百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益767億34百万円、減価償却費171億16百万円、売上債権の増加53億61百万円、棚卸資産の増加61億21百万円、仕入債務の増加80億99百万円、法人税等の支払236億51百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、33億63百万円(前年同期比44億53百万円の減少)となりました。これは主に、阪神ALC等の有形固定資産の取得による支出88億61百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入147億45百万円、連結子会社である株式会社プリメディカの取得関連の支出34億3百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、259億47百万円(前年同期比6億98百万円の増加)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出50億70百万円、連結子会社である株式会社PALTACによる同社株式の取得による支出49億99百万円、配当金の支払155億89百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
医療用医薬品等卸売事業 |
2,370,245 |
103.2 |
|
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業 |
1,188,097 |
103.1 |
|
動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業 |
116,861 |
102.5 |
|
計 |
3,675,204 |
103.2 |
|
調整額(セグメント間消去) |
△3,876 |
- |
|
合計 |
3,671,328 |
103.2 |
(注)セグメント間の内部売上高を含んでおります。
b.仕入実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、②財政状態の状況、③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける資本の財源は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー、現金及び現金同等物、政策投資株式の売却に伴う収入等になります。当連結会計年度末の借入金残高はありませんが、引き続き、財務健全性を確保しつつ、当社グループにとって最適な資本構成を追求してまいります。
資金の流動性につきましては、事業活動を支える観点で充分な流動性を確保するとともに、金融機関からの当座貸越枠として1,845億円を設定し、突発的な資金需要にも対応しうる体制の構築をもって、流動性リスクに備えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っておりますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目事象は以下のとおりです。
なお、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから、その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。従いまして、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定において、新型コロナウイルスの影響は軽微であります。
a.繰延税金資産
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b.のれんの評価
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
c.退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い国債利回りなどを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額について、正味売却価額により測定しておりますが、売却予定の資産については売却予定価額を基に算定しておりますので、前提条件に変更があった場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
e.納入価格の見積り設定について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという取引慣行が存在しております。取引価格が決定するまでは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格で売上計上を行っておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際に決定した取引価格との差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2024年3月期における医療用医薬品の売上高2.2兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.6%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。
(過去3年間の取引価格の決定比率 2021年3月期:99.9%、2022年3月期:99.8%、2023年3月期:99.6%)
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
連結会計年度における各セグメント別の研究の目的・主要課題及び研究開発費は次の通りであります。
(1)医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等卸売事業において、当社は、患者数が極めて少ない領域にも、治療薬をお届けできるよう努めることが、医療に携わる企業としての社会的責任であると考え、JCRファーマ株式会社と海外における事業化についての実施許諾契約を結び、J-Brain Cargo®を適用した臨床試験開始に向けて必要な研究を行っております。
また、当社の連結子会社である株式会社プリメディカは、「将来発症するかもしれない疾患リスクを把握し、行動変容を促すことで人々の健康寿命延伸に寄与する」という基本方針のもと、病気のリスク検査サービスを展開しております。
医療用医薬品等卸売事業における当連結会計年度の主な研究開発活動は、臨床試験開始に向けて必要な研究、動脈硬化のリスク評価に用いる「LOX-index®」検査におけるさらなる精度向上を目指した比色法の開発、新規炎症マーカーの開発、LOX-1のPOCTへの応用、Flora Scan検査の精度向上および腸内環境改善方法の探索であり、研究開発費の総額は
(2)化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業において、当社の連結子会社である株式会社PALTACは、労働人口減少が進行し、生産性の高い仕組みを構築することがますます重要である環境下において、物流ノウハウと融合することを目的にAI・ロボットなどの最新技術の研究開発活動を行っております。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における当連結会計年度の主な研究開発活動は、大きさ、重さ、形状などが異なる何万種もの商品を自動で識別し、ピッキングするロボットアームの設計・開発であり、研究開発費の総額は
(3)動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業
動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業において、当社の連結子会社であるMP五協フード&ケミカル株式会社は、「技術革新による付加価値のある製品の創造に努め、持続的な成長に向けて邁進する」という基本方針に基づき、付加価値の高い新規製品開発や技術開発の基盤強化、戦略的・タイムリーな技術支援を実施しております。
動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業における当連結会計年度の主な研究開発活動は、食品分野では、主に介護食品用増粘多糖類の開発、化成品分野では、脱プラスチック社会に向けた生分解性プラスチック関連素材の開発や、半導体製造に必要不可欠な電子薬剤の研究開発を行っており、研究開発費の総額は