(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、化学品専門商社として、無機薬品、有機薬品及び合成樹脂の基礎素材を主要取引商品とし、環境とモノづくりに貢献することを経営の基本方針としております。この実現のため、市場を重視した営業活動を推進するとともに、活力あふれる健全な企業体質を作り上げることを目指しております。
(2)中期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
①長期ビジョン「Go forward」
当社グループは2030年度までの長期ビジョン「Go forward」を設定しております。この長期ビジョンでは化学品商社として化学・機能製品に関する商品からサービスまでのあらゆる機能を備え、顧客と社会が抱える課題の解決に貢献する企業を目指し、事業価値・社会価値双方の向上を実現していくことを目標としております。
特に長期ビジョンでは新たな成長軌道に向け、事業戦略とサステナビリティの融合強化を重要テーマの1つと捉え、当社グループの役割を社会と化学のコーディネーターと定義しております。このような役割のもと、経済成長を続けながら、脱炭素社会を実現するとともに、安全・安心な生活に貢献し、誰もが多様な価値観を大切にできる「豊かで持続可能な社会」の実現に努めてまいります。

②中期経営計画「Go forward STAGE3」
長期ビジョン「Go forward」の達成に向けた中期経営計画の第3ステージとして、2023年度より4ヵ年の中期経営計画「Go forward STAGE3」を始動しております。同計画は長期ビジョンに基づき新たな成長軌道をつくるための変革を果たすステージと位置付けており、その最終年度となる2027年3月期の経営目標を以下の通りとしております。
なお、2025年5月8日に発表した適時開示において記載の通り、最終年度(2027年3月期)の財務目標のうち、「連結当期純利益」の目標を上方修正いたしました。目標の見直しにあたっては、2025年3月期において、薬品貯蔵設備の増強や日用品受託生産仲介サービスといった中期経営計画の施策による効果もあり、当初目標であった連結当期純利益20億円を上回る利益水準に達したことを考慮いたしました。
(ご参考:適時開示 URL)
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03370/af2ba785/bad4/4d22/b6d7/6f3d85a6c257/140120250508534019.pdf

また、資本コストや株価を意識した経営の観点におきましても、株主資本コストを上回るROEを重要指標としており、中期経営計画の実行を通じて本指標の充足を目指しております。
この中期経営計画の達成に向け、各事業において時代の変化に即したビジネスモデルの発展に挑むとともに、事業や人材への積極的な成長投資と安定的な株主還元を念頭に資本効率の改善を図ることで、具体的な成果を上げていくことが当面の対処すべき課題と考えております。
(1)サステナビリティ全般
サステナビリティ基本方針
ソーダニッカグループは、企業理念で掲げる「信用維持を第一に新しい価値の創造を通じて社会に貢献する」という考えのもと、サステナビリティへの取組みを経営の最重要課題として捉えています。企業理念に基づく経営方針及びサステナビリティ関連方針に従い、事業活動を通じて我々の使命である“社会と化学のコーディネート”を実践することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
マテリアリティ(重点課題)に基づく取組みの推進
ステークホルダーと当社事業の双方にとって重要性が高いマテリアリティ(重点課題)を特定し、事業活動を通じて取組みを推進していきます。
公正で透明な経営
高い企業モラルの堅持に努め、法令・社会規範を遵守し、当社と関係するすべての人々の人権を尊重することで、公正かつ透明で信頼される企業経営を行います。
社会との信頼関係の構築
ステークホルダーとの対話を重視し、適切な情報開示を行うことで、永続的で強固な信頼関係の構築を目指します。
地球環境保全への取組み
化学品を取り扱う専門商社として、化学の力を通じた地球環境の保全と豊かな社会の実現の両立を追求していきます。
多様性の重視
ダイバーシティ&インクルージョンを重視し、社員一人一人が多様性を認め合いながら自己実現のできる、活力ある企業風土の醸成に努めていきます。
①ガバナンス
サステナビリティに関する取組みの基本方針や施策の審議・決定を行う機関として、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役が統括し、経営会議メンバーを中心に構成しており、下部組織であるEMS委員会、安全衛生委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会からの報告を受け、それらを踏まえた上で気候変動を含むサステナビリティ課題の方針決定、施策の審議を行います。サステナビリティ委員会は月に一度開催し、検討・討議された内容は4半期に一度、取締役会へ付議・報告する体制を構築しております。また、課題への対応は長期ビジョンや中期経営計画に組み入れ、グループ全体で取り組むことでサステナビリティ経営戦略を実行しております。

②戦略
当社グループでは、環境・社会課題と自社の事業活動の関連性を明確にするなかで、「企業と社会の持続的発展」に資するマテリアリティを特定しています。2019年に初めて特定した後、当社グループの重要リスクや企業を取り巻く社会情勢の変化などを踏まえ、この度マテリアリティを見直すことといたしました。見直しに当たっては、サステナビリティ委員会にて、まず事業に関連するSDGsやESG課題など社会課題の再検証から開始し、部門責任者との討議を重ね、マテリアリティの候補を洗い出しました。その後、ステークホルダーにとっての重要度と、当社グループの経営理念や事業特性を考慮した上でマテリアリティの再評価を行い、サステナビリティ委員会における協議と決議を経て、最終は取締役会への報告をもってマテリアリティを再特定いたしました。
<見直し後のマテリアリティ>

③リスク管理
リスク全般については、毎月1回開催のリスク管理委員会が中心となり、当社事業への影響度が高いと考えられる重要リスクを抽出・評価し、年1回以上の見直しを実施した上で、サステナビリティ委員会に報告しております(2024年度の活動報告実績:4回)。サステナビリティ委員会は報告を受けた重要リスクへの対応策および是正措置を講じるとともに、取締役会への報告を行っております(2024年度の報告実績:3回)。リスク管理は以下のプロセスに基づき実施しております。

※リスク管理体制につきましては「①ガバナンス」の体制図をご参照下さい。
④指標および目標
マテリアリティの見直しに伴い、現在、指数および目標を再検討しております。指数および目標が決定いたしましたら、改めて公表させていただきます。
(2)気候変動
①ガバナンス
気候変動に関わるガバナンスはサステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれています。詳細は「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照下さい。
②戦略
サプライチェーン全体を対象に気候変動に伴い生じ得るリスクと機会について洗い出し、事業への影響の分析を行っています。分析には主にIEAが公表するWorld Energy Outlook2023のNZE2050シナリオとIPCCが公表するAR6 SSP5-8.5シナリオを用い1.5℃と4℃それぞれの世界観における2030、2050年時点の影響について考察しました。
気候変動に関する様々なリスク・機会の中から、当社グループにとって重要であると考えるリスクと機会を以下の通り特定しました。
※時間軸の定義:短期(現在~2026年頃)、中期(~2030年頃)、長期(~2050年頃)


これらの分析を踏まえ、具体的な対応策を各事業で検討・立案・実施し、不確実な将来世界のあらゆる可能性に備えてまいります。
③リスク管理
気候変動に関連するリスクにつきましては、サステナビリティ委員会にて、事業を取り巻く環境を考慮した上で、自社とバリューチェーン上における短期・中期・長期的な「移行リスク」「物理リスク」を年1回以上洗い出し、全社的なリスク管理プロセスに統合しています。そして、各事業に相当程度の影響、損失を与えうる、当社にとっての重要リスク及び機会を識別し、気候変動シナリオ分析を実施しています。重要リスクの対応策については、サステナビリティ委員会で立案し、取締役会で報告・決議しております。
※リスク管理のプロセスに関しては、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載のプロセス図に含まれます。
④指標及び目標
<GHG排出実績(Scope1,2)> (単位:t-CO2)
※Scope2はマーケット基準を採用
当社では、単体(※)におけるScope1,2のGHG排出量について、2030年度に2013年度比で46%以上削減を目標として設定しております。
尚、連結グループの2024年度排出実績は、期中にグループ会社の新工場が稼働したことに伴い、増加いたしました。
連結グループにおける中長期削減目標につきましては、今回の算定結果等に基づき検討を行い、将来的に発行する有価証券報告書において開示を行いたいと考えております。今後、事業活動における電力を再生可能エネルギーに順次変更する等、目標達成に向けて様々な取組みを進めてまいります。
※単体=ソーダニッカ株式会社(本社、支社、支店、ケミカルセンターを含む)
(3)人的資本(人材戦略)
①多様性の確保を含む人材育成方針
当社グループでは、多様性と自立性を備えた個々人の成長が、企業の価値創造の源泉であると考え、「「攻」への意識改革の実現」「戦略実現のための人材ポートフォリオの実現」「ダイバーシティの実現」の3つを人材戦略の軸に据え、その実現のために当社が求める人材像を設定し、それを踏まえた人事政策を策定し実践することで、多様な人材が活躍できる職場づくりを行い、「事業価値」「社会価値」双方の向上に貢献する「化学品・機能材の総合商社への変革」を目指してまいります。

②社内環境整備方針
<人材の採用・維持に関する方針>
当社グループは、人材の多様化とそれら人材の育成が中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、性別・年齢・国籍・障がい等に関わらず、当社の事業推進に必要な人材を積極的に採用・登用しております。また、中核人材における多様性確保のため、中途採用者については、スキル・経験値等を総合的に判断し、管理職への登用を行っております。一方、女性管理職の登用については、従業員に占めるその比率が大きくないため、新卒採用時の女性採用比率40%以上、管理職に占める女性比率5%以上を目標に取り組んでまいりました。これらの取り組みの結果、女性総合職は2025年4月1日時点で前年より5名増の29名となりました。引き続き女性管理職比率の向上に向けて管理職候補となる層を厚くしてまいります。
中期経営計画(Go forward STAGE3)では、当社が求める人材像「バリュー」を再検証し、その最大化に取り組むことで、顧客や業界に精通し貢献できる人材の育成を行ってまいります。
当社グループでは、人材育成とダイバーシティの推進に関する具体的な数値目標を設定し、その達成に向けて取り組んでおります。これらの目標と実績については、[表1:人材育成・ダイバーシティに関する目標と実績]をご参照ください。
また、ワークライフバランスの実現に向けて、在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入、育児休業制度の充実などに取り組んでおります。これらの制度の利用状況や効果については定期的に評価し、必要に応じて改善を行っております。
表1:人材育成・ダイバーシティに関する目標と実績

<従業員の安全・健康に関する方針>
当社では、社員個々人の心と体の健康と安全を維持し、仕事にやりがいと働きがいの感じられる、社員の誰一人取り残さない「働きがいのある職場」風土の醸成に取り組んでおります。
また、健康経営の取組みの一環として社員の健康保持増進のため、2023年10月より健康保険組合が推奨する「健康企業宣言による認定制度」に参画し、2024年12月に「銀の認定」を取得しました。引き続き社員の健康づくりを推進し、上位認定の「金の認定」取得に向けた取組みを行ってまいります。
従業員の健康と安全を維持するため、具体的な数値目標を設定し、その達成に向けて取り組んでおります。これらの目標と実績については、[表2:従業員の健康・安全に関する目標と実績]をご参照ください。
表2:従業員の健康・安全に関する目標と実績

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のようなものがありますが、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、記載しているリスクは、当社が現状で認識しているものに限られており、すべてのリスク要因が網羅されているわけではありません。
(1) 関連市場の急激な変動(経済動向)について
当社グループの大部分は、基礎素材である各種商品・加工品等の売買を主体としております。これら商品の用途は工業用、民生用と多岐に亘り、販売先・納入先はあらゆる業種に関わっております。従って、当社グループが事業を遂行する限りにおいては、同業他社及び他業種企業と同様に、世界及び各地域、特に日本における経済環境に急激な変化が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 取扱商品の価格変動について
当社グループの大部分は、取扱商品の価格が変動した時には、適正に価格転嫁を行うよう努めております。また、価格変動は商品在庫の評価にも影響してきますので、受発注管理の徹底により極力商品在庫を持たないよう留意するとともに商品在庫の滞留化を抑えることによって価格変動リスクを回避すべく努力しております。しかしながら、価格転嫁が予定した通り十分に実行できる保証はなく、不充分な状況が数多く多額に発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 物流基地(薬品貯蔵タンク、倉庫)における災害等について
当社グループは、地域ユーザーへの木目細かいサービスの提供、取扱商品の安定供給等の視点にたって北海道(釧路)、仙台、静岡、広島の各地に各種薬品タンクや倉庫を備えたストックポイント(基地)を設置しております。各々の基地での取扱商品は毒物・劇物などの危険物が大半であり、その取扱及び管理については万全を期すため定期的な災害防止安全対策会議や設備点検などを行っております。しかしながら、これら地域で発生する地震等その他の災害による事故等を完全に防止できる保証はなく、いったんこうした事象が大規模に発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 取扱商品のクレームについて
当社グループは、優良メーカーが製造・製作した各種商品・加工品等を仕入れ、需要家からの仕様書に基づいて綿密なチェックの下に円滑な受発注業務(デリバリー)を行い販売しております。通常では納入先からのクレームはあり得ませんが、関係当事者間における錯誤によるデリバリーが皆無という保証はなく、何らかの錯誤が生じたときには、相手先に対し迷惑をかけクレームの原因となり、その修復に多大な費用が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 売上債権等の回収について
当社グループにおける売掛金等の債権については、将来の貸倒れに備えて一定の見積り額を貸倒引当金として計上しておりますが、債権等に対する与信管理については、定期的または随時に取引先の業態調査等を実施するなど日常的に充分な注意をもって取組んでおります。また、取引先の業態急変・悪化等により予期せぬ貸倒れが発生したときには、損害額を最小限に止めるべく努力をしております。しかしながら、債権等に対して担保等の保全措置を百パーセント講じているわけではなく十分回収出来ないこともあり、このような事態が多額に発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 保有有価証券の時価評価について
当社グループは、取引先や銀行との間で良好な関係を構築し、または維持するための政策上の投資として有価証券を保有しております。これら有価証券については適正に評価・計上を行っておりますが、株価の大幅な下落、または投資先の財政状態の悪化や倒産等により保有有価証券の価額が著しく低下し、しかも回復が見込まれないときなどは、減損または評価損処理を余儀なくされますので、その金額が多額に発生する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報の管理について
当社グループが保有する顧客情報やその他機密情報等の管理については、社内規程を策定し従業員に対する情報管理の重要性の周知徹底を図り、また、コンピュータシステム上においても様々なセキュリティ対策を講じております。しかしながら、不測の事故等によって重要情報の外部漏洩やシステム障害等が発生し多大な信用失墜あるいはその回復に膨大な費用・日時を要することになった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
経営者による当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、期初には物価高騰の影響による個人消費の弱含みが見られたものの、期中から後半にかけては、雇用・所得環境の改善や、企業の景況感が良好に推移したことにより、緩やかな回復基調となりました。一方で、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や、海外経済の下振れによる輸出の減少等、景気の変動に注意を要する状況が続きました。
国内製造業につきましては、期の中盤には半導体製造装置などを中心とした生産用機械工業や自動車関連工業、電子デバイス産業等の生産が増加する局面もありましたが、年間を通じては回復と弱含みを繰り返すなど、一進一退の動きとなりました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては中期経営計画「Go forward STAGE3」の2年目にあたる事業年度として、薬品貯蔵設備の増強効果等により当社の基盤である化学品事業の収益が拡大し、業績に貢献いたしました。また前期に引続きパッケージ加工設備等への事業投資を推進し、時代の変化に即したビジネスモデルの発展を念頭に事業活動に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は65,146百万円と前連結会計年度に比べ1,011百万円(1.6%)増加しました。販売費及び一般管理費は、運賃及び諸掛が43百万円、賞与引当金繰入額が57百万円、役員株式給付引当金繰入額が74百万円増加し、給与手当が89百万円減少したこと等から6,961百万円と前連結会計年度に比べ344百万円(5.2%)増加し、営業利益は2,109百万円と前連結会計年度に比べ103百万円(4.7%)の減益となりました。営業外損益につきましては、営業外収益は483百万円と前連結会計年度に比べ30百万円(6.7%)の増加、営業外費用は116百万円と前連結会計年度に比べ64百万円(125.2%)の増加となり、経常利益は2,477百万円と前連結会計年度に比べ137百万円(5.3%)の減益となりました。特別損益につきましては、特別利益は、投資有価証券売却益が850百万円、特別損失は、固定資産除売却損が12百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2,195百万円と前連結会計年度に比べ344百万円(18.6%)の増益となりました。
当社グループは今後、社会課題の解決に資する次世代ビジネスの創出に取り組むことで、事業戦略とサステナビリティの融合を強力に推し進めてまいります。これにより当社グループは、“社会と化学のコーディネーター”として、取引先・地域社会とともに社会課題を解決する役割を担っていきたいと考えております。そして、その結果として、「豊かで持続可能な社会」の実現を目指してまいります。具体的には、第一に、各事業の特性に合わせて、“市場と対話する力”を徹底的に磨き、“マーケットイン”発想の視点から事業を推し進めていきたいと考えております。そして第二に、「社会課題解決企業への進化」を目指し、この新たな挑戦を補強する「人材戦略」と「財務戦略」を推進してまいります。特に、本中計遂行に不可欠な基盤となる「人材戦略」については、人的資本経営の視点から、当社グループの“求める人材像”(=バリュー)を再検証し、その最大化に向けた制度設計や人的投資、事業戦略との連動性確保などを推し進め、戦略的な人材ポートフォリオの実現を図ってまいります。
2023年度から2026年度までの4か年は新中期経営計画「Go forward STAGE3」として新たな成長軌道をつくるための「変革」を果たすことをテーマとしております。本中計最終年度(2026年度)の目標としては、「連結当期純利益20億円」、「ROE8%以上」、「配当性向40%以上」と公表しておりますが、「連結当期純利益24億円以上」、「ROE8%以上」、「配当性向40%以上」と修正いたしました。2025年3月期の連結業績は、薬品貯蔵設備の増強効果や、日用品の受託生産仲介サービスが堅調に推移した事等により、連結当期純利益は中期経営計画の当初目標を上回る結果となりました。2026年3月期以降についても、既存投資設備の稼働率向上や、化学品・機能材の販売を中心とした商社機能による取引拡大を見込んでおります。これらを考慮し、2027年3月期の財務目標を上記の通り修正いたします。これは、長期ビジョンの最終年度(2030年度)に向けたマイルストーンであり、通過点に過ぎません。当社企業理念にある「時代を先取りする積極的経営」を推進し、目標を上回る成果の獲得に向け、グループ一丸となって邁進してまいります。
セグメント別の営業概況は次のとおりであります。
化学品事業
売上高は前年同期に比べ0.8%増の43,402百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ9.9%増の3,752百万円となりました。セグメント利益への影響を基準とした、商品群別の取引推移等は以下のとおりであります。
ソーダ関連薬品は好調に推移いたしました。主力のか性ソーダは、エレクトロニクス業界向けの需要伸長により取引増加となりました。炭酸ソーダは窯業向けの販売数量回復等により取引増加となりました。塩化カルシウムは、冬季の降雪の影響により融雪用途需要が増加し、取引増加となりました。
その他の無機薬品は好調に推移いたしました。アルミニウム化合物及び鉄化合物は水質処理用途の受注拡大等により取引増加となりました。硫酸は食品業界向けに取引増加となりました。
有機薬品は堅調に推移いたしました。フッ素系溶剤は一部ユーザーの在庫調整等により取引減少となりました。その他のファインケミカルは電子材料向けの新規採用等により取引増加となりました。
その他の商品群では、トイレタリー関連商品が日用品向けの受注好調により取引増加となりました。
機能材事業
売上高は前年同期に比べ2.6%増の13,714百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ9.3%減の807百万円となりました。セグメント利益への影響を基準とした、商品群別の取引推移等は以下のとおりであります。
包装関連商品は前年度並みに推移いたしました。ナイロンフィルムは海外需要の落ち着きにより取引減少となりました。複合フィルムは食品業界向け、包装用フィルム・シートは輸出向けの需要伸長により取引増加となりました。
合成樹脂関連商品はやや低調に推移いたしました。ガラス短繊維及び物流容器はスポット案件の受注減少により、その他の熱可塑性樹脂は供給契約終了に伴い取引減少となりました。一方で工業用製品は新規案件受注により取引増加となりました。
設備・工事・産業材料は低調に推移いたしました。エレクトロニクス材料は取引増加となりましたが、機械器具設置工事は案件減少となりました。
その他事業
売上高は前年同期に比べ3.8%増の8,029百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ41.7%減の157百万円となりました。
当社及び連結子会社は各種物品の販売を行っており、生産実績はありません。
当連結会計年度における工事関係の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは機能材事業におきまして、設備工事等の受注が増加したことによるものであります。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
品目別販売実績
(2)財政状態の分析
①資産合計は、73,200百万円(前連結会計年度末比6,297百万円減)となりました。内容は次のとおりであります。
<流動資産>
流動資産は、51,247百万円(同6,302百万円減)となりました。
現金及び預金の減少(9,699百万円から7,231百万円へ2,468百万円減)及び受取手形及び売掛金の減少(46,381百万円から41,608百万円へ4,772百万円減)が主な要因であります。
<固定資産>
固定資産合計は、21,952百万円(同5百万円増)となりました。
建物及び構築物の増加(3,361百万円から6,321百万円へ2,959百万円増)、建設仮勘定の減少(2,079百万円から100百万円へ1,979百万円減)及び投資有価証券の減少(15,776百万円から13,794百万円へ1,982百万円減)が主な要因であります。
②負債合計は、43,664百万円(同6,374百万円減)となりました。内容は次のとおりであります。
<流動負債>
流動負債合計は、39,390百万円(同5,925百万円減)となりました。
支払手形及び買掛金の減少(37,084百万円から33,351百万円へ3,733百万円減)及び短期借入金の減少(6,170百万円から3,165百万円へ3,005百万円減)が主な要因であります。
<固定負債>
固定負債合計は、4,274百万円(同448百万円減)となりました。
繰延税金負債の減少(2,694百万円から2,169百万円へ525百万円減)が主な要因であります。
③純資産合計は、29,535百万円(同77百万円増)となりました。
利益剰余金の増加(14,885百万円から16,203百万円へ1,317百万円増)、自己株式の減少(△255百万円から△202百万円へ53百万円減)及びその他有価証券評価差額金の減少(7,552百万円から6,211百万円へ1,340百万円減)が主な要因であります。
(3)キャッシュ・フローに関する分析
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7,087百万円となり、前連結会計年度末より2,467百万円減少致しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、3,294百万円(前連結会計年度比134百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が3,314百万円、売上債権の減少が4,789百万円でありましたが、仕入債務の減少が3,745百万円、法人税等の支払額が938百万円となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,840百万円(前連結会計年度比468百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,674百万円、投資有価証券の売却による収入1,059百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、3,913百万円(前連結会計年度比4,060百万円減)となりました。これは主に、短期借入金の借入による収入5百万円、短期借入金の返済による支出2,993百万円、配当金の支払額871百万円によるものであります。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローの変動要因は、主に税金等調整前当期純利益及び売上債権、棚卸資産、仕入債務の増減によるものであります。
②営業キャッシュ・フローの区分別内訳
(単位:百万円)
③キャッシュ・フロー指標のトレンド
(注) 自己資本比率:純資産額/総資産額
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。
※株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ134百万円減少し3,294百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は、主に売上債権の増減額4,789百万円、仕入債務の増減額△3,745百万円及び法人税等の支払額が938百万円になったこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ468百万円増加し1,840百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は、有形固定資産の取得による支出が171百万円増加したこと及び投資有価証券の売却による収入が792百万円増加したこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ4,060百万円減少し3,913百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は、短期借入金の借入による収入が1,515百万円減少したこと、短期借入金の返済による支出が2,878百万円減少したこと及び配当金の支払い額が91百万円減少したこと等によるものであります。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ2,467百万円減少し、7,087百万円となりました。
なお、現時点においては重要な資本的支出はありません。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。特に以下の事項につきましては、会計上の見積りが連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えております。
・貸倒引当金
第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積りを参照ください。
また、期初には物価高騰の影響による個人消費の弱含みが見られたものの、期中から後半にかけては、雇用・所得環境の改善や、企業の景況感が良好に推移したことにより、緩やかな回復基調となりました。一方で、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や、海外経済の下振れによる輸出の減少等、景気の変動に注意を要する状況が続きました。
なお、連結財務諸表作成にあたって、当社グループが採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。