第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念

クオリティ&テイストをキーワードに「ぬくもりづくり」で社会に貢献する企業を目指します。

 

(2)経営方針

よりよいアクセントファッションの創造を通じて全てのステークホルダーに持続的な+(プラス)の価値を提供します。

● 全てのお客様により高い満足を感じていただくプラスの価値を持った商品をお届けします。

● 全ての仕入・調達に関して、環境に配慮した持続的公正公平な取引を目指します。

● 全ての役員・従業員が生産性向上に努め、安定した経営を実現し、社会への貢献を目指します。

● 全ての株主様に長期的な視野に立った持続的な配当を実現します。

 

(3)経営環境

当社グループの販売先は、永らく全体の8割程度(当連結会計年度では5割程度)が百貨店宛であり、百貨店における当社グループが取り扱う商材の店頭販売状況は業界トップシェアをキープしております。機能性に優れた高品質な商品をマーケットに提供し続けて、販売先や消費者からも高い評価を頂戴しております。

しかしながら、茲許、百貨店の閉店・売場の縮小・業態変更等の加速化の影響を踏まえた消費者の消費行動の変化等が進みつつあり、当社グループといたしましても、既存の販売ルート以外のチャネルでの売上げ・収益を拡大することが急務となっております。加えて、為替相場の円安、インフレによる原材料高騰に伴う仕入価格の上昇の影響も受けております。

また、春夏向け商材のパラソル(日傘)・帽子、秋冬向け商材の洋品・帽子・毛皮、通年向け商材の雨傘等を取り扱っておりますので、気温・降雨・日照等の天候要因にも大きく影響を受けてしまいます。冷夏・暖冬・少雨といった逆風の場合のリスクにも備える必要があります。

足元では、消費者のライフスタイルの変化、購買志向の変化等に対応し、マーケットに合ったモノづくりと販売を推進できるように、努めてまいります。

 

(4)目標とする業績目標、経営指標

当社グループは、中期経営計画〔2024-2026年度〕における業績目標、経営指標を以下の通りに置き、経営理念、経営方針の実現に努めます。

 

上記、中期経営計画最終年度(2026年度 連結ベース)目標・指標

〔業績目標〕

 

〔経営指標〕

 

売上高

125億円

配当性向

40%以上

営業利益

7億円

ROE

10%以上

営業利益率

5%以上

ROIC

8%以上

 

(5)経営戦略

〔事業成長戦略〕として、成長領域に向け経営資源を積極的に投入し、〔事業最適化戦略〕として、既存事業の最適化・効率化を推進し、事業ポートフォリオの見直しと再構築を目指します。

 

(6)業績目標、経営指標及び経営戦略を実現するための重点施策

〔事業成長戦略〕

① 専門店マーケットへの商品開発及びマーケティングの強化

自社ブランドを確立し、採算性を確保した上でマーケットシェア及び売上の大幅アップを目指します。

② 直営店・小売事業の拡大に向けた新たな店舗戦略の展開

店舗のスクラップアンドビルドを進めながら、新規マーケットへの出店を積極化させ、売上の増強を図ります。

③ Eコマース事業の更なる拡大に向け、DX(デジタルトランスフォーメーション)の高度化も含めた戦略の立案と実行

各サイトの特性に応じた施策の実行により採算性の向上に努め、早期にEコマースの売上比率10%を実現します。

④ 国内外の新規販路開拓の推進

国内においては、百貨店外商ルートへのアプローチ強化、ドラッグストア・ホームセンター等の新規取引先の開拓、海外は、直接取引に止まらず、代理店経由、ブランド供与、越境EC構築等多面的な営業基盤の構築に注力します。

 

〔事業最適化戦略〕

① 自社ブランドの育成・確立とライセンスブランド活用のベストミックスの構築

② 既存取引先の業態・販売形態の変化に対応し、収益性を担保した取り組みの構築

③ サプライチェーンのコストと地政学的リスクを意識した最適なポートフォリオの構築

④ 適時適切な仕入販売コントロールにより在庫の最適化推進

⑤ 人材投資の積極化による生産性の向上推進

⑥ グループ全体でのシステム投資を含めた業務の見直しによる販売管理費等の最適化推進

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

雇用・所得環境の改善から引き続き、個人消費が堅調に推移すると見込まれる一方、継続的な原価の上昇、為替変動に加え、米国の政策変化による国内景気への影響等、不確実性の高まりが予想されます。

このような情勢の中、当社グループは、昨年12月のインバウンドを中心に人気を博したブランドの取扱終了に伴う、マイナス影響を自社ブランドの育成、活性化等によるブランドポートフォリオの再構築を中心にカバーし、2026年3月期が現中期経営計画の2年目であることを踏まえ、その最終年度に向けての重要な1年であるとの認識の下、同計画に掲げている事業ポートフォリオの見直しと再構築を引き続き推進してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループでは、「中期経営計画」及び「サステナビリティ方針」において、サステナビリティ・人的資本に関する取組についての基本的な方針を策定しております。

 

(1)サステナビリティ

当社グループでは、環境への配慮、公正公平な取引を含めたサステナビリティが直接・間接の事業運営に大きな影響を与えるものであり、また、事業上の収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。

 

① ガバナンス

サステナビリティに関わる基本方針や重要事項については経営会議で検討・審議し、取締役会にて決定します。また、関連するリスクを管理、コントロールするために内部監査室の定例の監査に加え、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティに関わる重要事項を総合的に審議し、サステナビリティに関するガバナンスの強化を進めていきます。

 

② 戦略

「サステナビリティ方針」及び中期経営計画のESGへの取組推進方針に基づき、以下の施策により、サステナビリティ関連のリスク・機会に対処します。

 

イ.酷暑・風雨対策を中心とした商品開発を進め、事業活動を通じ、気候変動リスクへの対応・適応と事業機会の創出の両立を図ります。

ロ.環境負荷の少ない商品の開発企画を推進し、廃棄物の削減、資源の有効利用に努め、リサイクル可能な商品の開発、商品の修理等を拡充し、サーキュラーエコノミーの実現をしていきます。

ハ.サプライチェーン全般で人権、環境に配慮した公正公平(フェアトレード)、かつエシカルな取引の実現を目指します。

 

③ リスク管理

当社グループは、サステナビリティが事業運営に大きな影響を与えるものであるとの認識に基づき、「サステナビリティ方針」及び中期経営計画のESGへの取組推進方針に従い、様々なリスク、事業機会及び経営課題を洗い出し、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会及び内部監査室のモニタリングに加え、重要な事象については、経営会議で審議検討し、取締役会に付議することにより、リスク管理、事業運営に反映させています。

今後、更なるサステナビリティの重要性の増加及びそれに関わる法規制の強化等への対応も含め、リスク管理体制、経営戦略の高度化の検討を進めていきます。

 

④ 指標及び目標

現状、明確な数値目標の設定はございませんが、内部監査室、監査等委員会のモニタリングも踏まえ、以下の目標の推進・実現により、サステナビリティ関連のリスク・機会に対処していきます。

 

イ.商品開発企画において温暖化の進行による健康リスク等低減の必須化を推進します。

ロ.商品廃棄の極小化に努め、販売不能となった商品の寄付・寄贈により社会貢献と環境負荷の低減を両立します。

ハ.リサイクル可能な商品の取扱比率を引上げ、商品の修理も拡充することで、環境負荷の低減、サーキュラーエコノミーの実現を推進します。

ニ.仕入先工場の生産過程のモニタリング・監査を励行しサプライチェーン全般の人権・環境保護を担保し、エシカルな取引を実現します。

 

(2)人的資本

当社グループは、人的資本が中長期的な企業価値の向上の観点から、経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行に向けて、重要な影響を与えるものであり、その強化及び効率的・有効な活用が従業員のみならず、当社グループの経営方針である全てのステークホルダーにプラスの価値を提供することを実現するものと考えております。

 

① 戦略

当社グループは、中長期的な企業価値向上のため、女性の活躍推進を含めた人材の多様性が必須のものであるとの課題認識から、時差出勤、短時間勤務、在宅勤務等の各種制度の拡充など、働きやすい環境作りに注力し、障がい者雇用、外国人雇用、中途採用も積極的に行っております。

また、社員の能力及び資質の向上のため、OJTに加え定期的な年次別、階層別の社内研修及び社外派遣研修を実施しており、資格取得報奨金制度を設け幅広いスキルの習得支援も行い、人的資本の強化に努めております。

 

② 指標及び目標

現状当社グループにおける女性従業員の割合は56.8%、管理職に占める割合は28.6%となっており、当社につきましても、女性従業員の割合は52.6%、管理職に占める割合も28.8%となっております。現状、管理職への登用についても特段の差が生じていると認識しておらず、管理職登用の数値目標の策定は行ってはおりません。(女性活躍推進法の規定により公表している女性管理職比率は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。)また、男性の育児休業取得率については、今後、取得しやすい職場環境の構築等、更なる改善が必要な状況であると考えております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況、販路に関するリスク

当社グループの販売先は、主に百貨店、チェーンストア、専門店の国内小売店舗となります。従いまして、マクロの経済状況に加えて、各販路の価格戦略、店舗戦略、競業環境等の変化により、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

 

(2)消費者動向に関するリスク

当社グループの取り扱う商品は同業他社との競争が激しく、消費者のファッショントレンドやライフスタイルや嗜好の変化が大きく、加えて、マクロの所得動向、経済環境の変化にも各消費者が大きな影響を受けることから、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

 

(3)天候・気候変動によるリスク

当社グループの取り扱う商品にはパラソル、洋品毛皮など季節商材が含まれております。これら季節商材は、一般に冷夏・暖冬・少雨といった天候不順の場合、売上高の減少が見込まれます。また、最近の気候変動による予測不可能な気象状況によっても売上機会を逸するリスクがあります。

 

(4)品質管理に伴うリスク

当社グループの取り扱う商品は、消費者や取引先へ出荷する前に、その安全性、機能性、規格等について、品質管理室又は第三者の検査機関の検査を実施して万全の体制を取っておりますが、予測しえない品質トラブルや製造物責任に関する事故が発生した場合は、当社グループのブランドイメージの低下、多額の損失が発生するリスクがあります。

 

(5)ライセンス契約に伴うリスク

当社グループは「5 重要な契約等」に記載の契約先をはじめとして、多くの海外企業と商標使用権の取得、デザイン複製品の製造販売に関する契約を結んでおります。現状各契約先とは良好な取引関係を維持しておりますが、契約先との契約が終結した場合には、当社グループの業績に影響を与えます。

 

(6)海外生産に関するリスク

当社グループの販売商品の約85%は、海外生産となっており、生産国における政情不安、予期せぬ法律、規制の変更及び大規模災害等により商品の供給が停滞、途絶した場合には、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

 

(7)為替の変動に伴うリスク

当社グループは商品及び原材料の一部をヨーロッパはじめアジア各国から輸入しております。一般に、他の通貨に対する円高は当社グループの事業に好影響をもたらし、円安は当社グループの事業に悪影響を及ぼします。当社グループは、輸入取引に係る為替変動のリスクに備えるため、通常の取引の範囲内で為替予約取引を行っておりますが、中長期的な為替変動は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)自然災害、人的災害によるリスク

当社グループは、国内外の取引先から商品の供給を受けており、また、国内外の物流網を通じて各販売先・店舗や消費者に商品を供給しております。従いまして、国内外において自然災害や戦争等の人的災害が発生した場合、当社グループのサプライチェーンが不安定化を招き、事業運営に影響を与えるリスクがあります。

 

(9)人的資本の確保及び育成に関するリスク

当社グループは、持続的成長の実現のために、採用活動や研修等を通じた人的資本の強化に努めておりますが、労働市場における人材不足や流動性の高まりにより、当社グループが求めるスキルや経験を持つ人材が確保できないリスクや、人材が流出した際に当社グループの事業運営や成長戦略に影響を与えるリスクがあります。

 

(10)知的財産権に関するリスク

当社グループでは、特許権、商標権等の知的財産権を所有しており、法令の定め及び社内規程に則って関係する国や地域での商標の取得を含む管理体制を整えておりますが、国内外において、当社グループ商品の模倣品が市場に流通する等、当社グループの知的財産権が第三者により侵害された場合、当社グループ又はそのブランドのイメージを侵害し、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11)法的規制によるリスク

当社グループは独占禁止法、下請法、景品表示法、消費生活用製品安全法などに関する法令等に充分留意した事業活動を行い、法令遵守の重要性や内部統制手続の啓蒙を徹底して、コンプライアンス経営に努めておりますが、このような管理体制に関わらず、従業員や取引先の不正および違法行為等に起因して問題が発生し、企業の社会的信頼の低下や損害賠償など多額の費用負担を招くことにより、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

 

(12)個人情報に関するリスク

当社グループは、個人情報の取扱いについて厳格に運用管理しておりますが、サイバー攻撃等の不測の事故により重大な情報セキュリティー事故が発生した場合は、当社グループの社会的信用や企業イメージの低下により、当社グループの経営に影響を与えるリスクがあります。

 

(13)システム障害によるリスク

当社グループは、ECサイトや業務システムを構築しておりますが、停電、コンピュータ、ネットワーク又は電気通信の障害、当社グループの従業員による人為的ミス若しくはウイルスや外部からの不正アクセス等により、当社グループのITシステムに障害が発生する可能性があります。

このようなITシステムに障害が発生した場合、それらを修復等するために多額の費用が生じるほか、重要なデータ(顧客データ及び営業戦略、商品開発等の企業秘密を含む)の消失・毀損や当社グループの業務の中断又は遅延等が発生するリスクがあります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇、中国経済の減速、米国の今後の政策動向、地政学的リスクの高まり等複合的な不確実性は引き続きあるものの、企業業績と雇用・所得環境の改善から、個人消費の回復も見られ、景気は緩やかな回復基調にあります。

服飾雑貨業界におきましても、為替変動、仕入コスト高騰の恒常化、物価上昇による消費者の節約志向の高まり等の不透明な状況はあるものの、旺盛なインバウンド需要にも支えられ、個人消費が堅調に推移していることから、百貨店・専門店を中心とした各販路の販売は好調に推移し、市況は回復傾向にあります。

このような経営環境の下、当社グループは2024年5月に「中期経営計画」を策定し、成長戦略として、「専門店マーケットへの商品開発及びマーケティングの強化」、「直営店・小売事業の拡大に向けた新たな店舗戦略の展開」、「Eコマース事業の更なる拡大」、「国内外の新規販路開拓」の4つの施策を掲げております。また、その前提として、自社ブランドの育成・確立、人材投資の積極化による採算性、生産性の向上を目指し、各販路に対する最適な商品・人的配置、リスクとコストを意識したサプライチェーンの再構築と適時適切な仕入販売コントロールによる在庫の最適化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の高度化・活用を含めた販売管理費のコントロールを推進しております。

中期経営計画の着実な実行の下、当社グループにおいては、猛暑に対応した販売施策の推進により、春夏物の販売が好調に推移したこと、10月から11月前半までの高気温の影響により、秋冬商戦のスタートが苦戦したものの、11月後半以降気温が低下し、数年ぶりの厳冬が到来したことに加え、インバウンドを中心に昨年12月にライセンス契約が終了したブランドの駆け込み需要もあったことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。継続的な原材料高に加え円安の進行による仕入価格の上昇はあったものの、プロパー販売の促進等による売上総利益率の改善が奏功し、損益面も売上増加に伴う販売関連経費及び人的資本投資に関わる人件費の増加を吸収し、前連結会計年度を上回りました。

その結果、連結売上高は119億46百万円(前年同期比12.6%増)、連結営業利益は7億2百万円(前年同期比61.6%増)、連結経常利益は6億65百万円(前年同期比36.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は5億83百万円(前年同期比7.0%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。以下は前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

①身の回り品事業

身の回り品事業につきましては、堅調な個人消費に支えられ、猛暑を背景に、春夏物については、専門店を中心に各販路における販売が好調に推移したこと、秋冬物も長引く残暑の影響はあったものの、11月後半以降気温が低下し、数年ぶりの厳冬が到来したことに加え、インバウンドを中心に昨年12月にライセンス契約が終了したブランドの駆け込み需要もあったことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。

洋傘部門につきましては、昨年に引き続き猛暑が到来し、パラソルマーケットが活況を呈したことに加え、専門店マーケットへの商品開発、マーケティング等のアプローチの強化も奏功し、売上高は前連結会計年度を大きく上回りました。

洋品部門につきましては、数年ぶりの厳冬に加え、インバウンドを中心に一部ブランド品の駆け込み需要もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。

帽子部門につきましては、茲数年好調であったインバウンドを中心とした一部ブランド品の人気の剥落もあり、売上高は前連結会計年度を下回りました。

毛皮・宝飾品部門につきましては、エコファーマーケット等のサステナブルな提案、百貨店外商ルートの活用及び催事展開にも注力しましたが、売上高は前連結会計年度を下回りました。

以上の結果、身の回り品の売上高は114億94百万円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は、6億88百万円(前年同期比58.3%増)となりました。

②情報サービス事業

情報サービス事業につきましては、当連結会計年度にセブンシステム株式会社を新規に連結子会社化し、業務のIT化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進ニーズの高まりを捉え、システム開発受託・販売、保守・メンテナンス等に注力いたしました。

その結果、売上高は、4億51百万円、セグメント利益は、24百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少等により、前連結会計年度末に比べ2億98百万円増加(前年同期は1億53百万円増加)して13億43百万円(前年同期比28.6%増)となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、7億83百万円の収入(前年同期は9億10百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を7億15百万円計上(前年同期は4億8百万円計上)したこと、売上債権が3億10百万円減少(前年同期は4億34百万円の減少)したこと、及び返金負債が2億71百万円減少(前年同期は3億65百万円の減少)したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、5百万円の収入(前年同期は31百万円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が91百万円(前年同期はなし)となりましたこと、及び有形固定資産の取得による支出が87百万円(前年同期は74百万円の支出)となりましたこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、4億91百万円の支出(前年同期は7億41百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が2億12百万円(前年同期は78百万円の支出)となりましたこと、及び配当金の支払額が1億57百万円(前年同期は27百万円の支出)となりましたこと等によるものです。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

身の回り品事業(千円)

6,212,532

108.8

情報サービス事業(千円)

217,351

合計(千円)

6,429,883

112.7

 

② 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

身の回り品事業(千円)

11,494,372

108.3

情報サービス事業(千円)

451,998

合計(千円)

11,946,371

112.6

 

(4)財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、59億81百万円となり、前年度末比55百万円減少いたしました。この主な要因は、現金及び預金が2億98百万円増加したこと、及び売掛金が2億79百万円減少したこと等によるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、39億53百万円となり、前年度末比1億13百万円増加いたしました。この主な要因は、投資その他の資産の「その他」に含む保険積立金が89百万円増加したこと、及びのれんが47百万円増加したこと等によるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、39億19百万円となり、前年度末比3億52百万円減少いたしました。この主な要因は、返金負債が2億71百万円減少したこと、及び電子記録債務が1億11百万円減少したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、5億45百万円となり、前年度末比3百万円減少いたしました。この主な要因は、長期借入金が23百万円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、54億69百万円となり、前年度末比4億14百万円増加いたしました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を5億83百万円計上したこと、及び剰余金の配当を1億58百万円実施したこと等によるものです。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、猛暑に対応した販売施策の推進により、春夏物の販売が好調に推移したこと、秋冬物は数年ぶりの厳冬が到来したことに加え、インバウンドを中心に昨年12月にライセンス契約が終了したブランドの駆け込み需要もあったことから売上高が前連結会計年度の実績を上回りました。一方、仕入債務は支払サイトの短縮等に伴い減少したものの、売上債権の回収が進むことにより当該影響が相殺いたしましたが、棚卸資産の減少は前連結会計年度ほど見込めませんでした。長期借入金の返済等を実施したこともあり、前連結会計年度と同様の水準感となりました。

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用及び原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

当社グループは、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源として事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するよう努めております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、リース契約及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は24億29百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は13億43百万円となっております。

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社経営者は、期末日における資産及び負債、当連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような見積りを実施いたします。

見積り及びその基礎となる仮定は、過去の実績やその時点での入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、様々な見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容が実際の結果と異なる可能性があります。

見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。

① 棚卸資産評価損

第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

② 返金負債並びに返品資産

当社グループは、販売シーズンの終了に伴う返品の損失に備えるため、返品されると見込まれる商品及び製品について「返金負債」を流動負債に、「返品資産」を流動資産に表示しております。

収益は顧客との契約において約束された対価から返品、値引き等を控除した金額で測定しております。これらの商品及び製品の返品については、返品に伴う予想返金額が天候要因を含む各商品のマーケットの好不調の影響等により変動することから、発生し得ると考えられる予想返金額を確率で加重平均した金額(期待値)による方法を用いて算定し、収益より控除する方法を用いて取引価格を算定しております。よって、実際の結果は、見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容と異なる可能性があります。

 

(7)経営上の目標の達成状況

当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置付けた上で、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案し、継続的・安定的な配当を実施したいと考えており、連結配当性向40%以上を指標としております。

当連結会計年度は、業績が堅調に推移し前期を上回る増収・増益を達成できたことから、前連結会計年度末配当より32円増配することとし、1株につき52円とさせていただく予定であります。今後も、中長期的な視点に立って、新事業の開発を含めた成長が見込まれる分野に経営資源を投入することにより、持続的な成長と企業価値の向上並びに株主価値の増大に努めてまいります。

5【重要な契約等】

商標使用権の取得、デザイン複製品の製造販売に関する契約

主な契約は以下のとおりであります。

契約会社名

契約先

契約期間

契約内容

ムーンバット㈱

(当社)

ザ・ポロ・ローレン・

カンパニー・エルピー

2024年4月から

2029年3月まで

「ポロ ラルフローレン」商標使用権の取得及び洋傘のデザイン複製品の製造販売に関する契約を結んでおります。

ムーンバット㈱

(当社)

伊藤忠商事株式会社

2025年1月から

2027年12月まで

「ランバン」商標使用権の取得及び洋傘のデザイン複製品の製造販売に関する契約を結んでおります。

ムーンバット㈱

(当社)

伊藤忠商事株式会社

2023年10月から

2026年9月まで

「フルラ」商標使用権の取得及び洋傘・洋品・帽子のデザイン複製品の製造販売に関する契約を結んでおります。

ムーンバット㈱

(当社)

三共生興株式会社

2023年12月から

2028年11月まで

「ダックス」商標使用権の取得及び洋傘のデザイン複製品の製造販売に関する契約を結んでおります。

ムーンバット㈱

(当社)

株式会社三陽商会

2024年7月から

2027年6月まで

「マッキントッシュフィロソフィー」商標使用権の取得及び洋傘・洋品・帽子のデザイン複製品の製造販売に関する契約を結んでおります。

 (注)上記については、売上高に対し一定率のロイヤリティーを支払っております。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。