第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

当社グループの消費税等に係る会計処理は税抜方式を採用しておりますので、この項に記載の売上収益、仕入実績等の金額には消費税等は含んでおりません。

(1)業績

当連結会計年度における日本経済は、政府による経済政策や日本銀行による金融緩和の継続の効果が下支えする中、一部に弱さが見られるものの、雇用や所得の改善により緩やかな回復基調で推移しました。一方、アメリカの金融政策正常化に向けた取組みの影響や、中国をはじめとした新興国経済の減速懸念など、世界経済の先行きは不透明な状況となっております。

石油製品流通業界におきましては、原油価格が前期に急落し、一旦上昇に転じるも石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなどにより、石油製品市況は再び下落基調となりました。国内の石油製品需要は引き続き減少傾向にあり、販売数量は前期の消費増税による買い控えの反動や燃料油価格下落の影響があったものの、暖冬の影響などを受け、前期を下回りました。

電力市場におきましては、原油価格下落に伴うLNG等原料費の下落や原子力発電所再稼働などの影響によりスポットの平均価格は前期を下回りました。

このような環境のもと、当社グループは2015年4月に2ヵ年の中期経営計画『Moving2016「動く!」~明日(あした)にタネを蒔け!~』を公表し、以下3つの基本方針に基づき、事業を推進しております。

<1>収益力の増強

<2>長期成長戦略のためのタネ蒔き

<3>組織力と基礎体力の増強

その取組みの一環として、昨年4月にLPガス及び工業用ガス向けの容器耐圧検査事業を集約し、株式会社Jシリンダーサービスとして新たにスタートしました。機能の拡充や効率化で年間35万本の容器耐圧検査を計画し、関東エリアでのシェアNo.1を目指しております。

アスファルト事業におきましては、昨年11月に全国12ヵ所目となるアスファルト基地を広島県三原市に建設しました。この西日本最大級のアスファルト専用基地を活用し、中四国エリアでの販売を強化してまいります。

電力事業におきましては、昨年4月より王子ホールディングス株式会社の子会社である王子グリーンリソース株式会社と設立した王子・伊藤忠エネクス電力販売株式会社の営業を開始いたしました。電力小売りの全面自由化への対応として当社グループの体制整備を図ると共に、それぞれに強みを持つ企業グループと提携を行うことで、国内トップクラスの新電力事業者を目指してまいります。

そして、電力・ユーティリティ部門を中心としながら、各事業部門やグループ会社、そして販売店ネットワークが一体となり、国内電力の安定供給に貢献してまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、原油価格下落の影響を受け、7,236億4千5百万円(前期比22.8%の減少)となりました。一方、売上総利益は895億6千2百万円(前期比4.5%の増加)、営業活動に係る利益は163億8千4百万円(前期比25.1%の増加)、税引前利益は150億4百万円(前期比23.4%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は74億6千9百万円(前期比35.7%の増加)となりました。

 

1.ホームライフ事業

当連結会計年度におけるホームライフ事業部門は、LPガス販売数量におきましては、新規顧客軒数は増加したものの、暖冬など気候の影響を受け、前期を若干下回りました。損益面におきましては、LPガス輸入価格下落の影響はあったものの、原料費調整制度により一定の利幅を確保し、営業活動に係る利益は、前期を上回りました。

一方、本年4月から始まった電力小売りの全面自由化に向け、本格的なスタートを切る準備を進めてまいりました。LPガス販売の全国ネットワークと営業ノウハウを活用し、グループ会社並びに販売店と一丸となり、販売体制の整備及び強化に努めてまいります。

さらに海外事業につきましては、昨年10月にインドネシアにおいて工業ガス製造販売会社「PT. ITC ENEX INDONESIA」を設立しました。日本国内で構築した産業用ガス事業のノウハウを活かし、インドネシアにおける事業展開を推進してまいります。

このような活動の結果、売上収益は910億3千5百万円(前期比15.1%の減少)、営業活動に係る利益は33億6千7百万円(前期比16.8%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は7億8千8百万円(前期比15.4%の減少)となりました。

 

2.カーライフ事業

当連結会計年度におけるカーライフ事業部門は、一部暖冬等気候の影響を受けたものの、灯油等の販売キャンペーンが寄与し、販売数量は前期を上回りました。損益面におきましては、コスト削減等には努めたものの、市況悪化による利幅の減少により、営業活動に係る利益においては、前期を下回る結果となりました。

リテール戦略におきましては、楽天株式会社の共通ポイントである「楽天スーパーポイント」のサービスを展開し、あわせて新型POSの導入の推進に取り組んでまいりました。これにより異業種を跨いだ「楽天スーパーポイント」加盟店同士の相互送客を可能とし、新規顧客の取り込みによる、グループでの顧客数拡大を図ってまいります。

車関連事業におきましては、一昨年子会社化した日産大阪販売株式会社と当社のCS(※1)ネットワークを活かした顧客紹介キャンペーンを行うなど、シナジーの創出を図りました。

なお、当連結会計年度における当社グループCS数につきましては、新規系列化により40ヵ所が新たに加わった一方、不採算CSや施設老朽化CSの運営撤退等により、106ヵ所減少した結果、総数は1,973ヵ所(前期末より66ヵ所純減)となりました。

このような活動の結果、売上収益は4,931億6千万円(前期比17.7%の減少)、営業活動に係る利益は41億9千4百万円(前期比7.0%の減少)、当社株主に帰属する当期純利益は20億1千4百万円(前期比38.9%の増加)となりました。

(※1)CSとは、カーライフ・ステーションの略であり、当社が提案する複合サービス給油所です。

 

3.電力・ユーティリティ事業

当連結会計年度における電力・ユーティリティ事業部門は、電熱供給事業(※2)の発電分野におきましては、本年1月に山口県防府市で太陽光発電設備を新設いたしました。一昨年10月に新潟県胎内市で風力発電設備を新設、昨年3月に山口県防府市で石炭火力発電設備を増設する等、自社電源の拡充を進めた結果、発電量は前期を上回りました。

電熱供給事業におきましては、従来からの電力販売体制における販売エリア拡大や民間需要の新規獲得等を推進した結果、販売量が増加しました。また、本年度より王子グループと設立した王子・伊藤忠エネクス電力販売株式会社が加わり、販売量は前期を大きく上回りました。損益面におきましては、電力販売量の増加と、電力卸売市場等からの調達コストが低減した結果、前期を上回りました。

熱供給事業(※3)におきましては、暖冬の影響により暖房用熱需要が低調であったものの、期初の冷房用熱需要が微増であったことから前期並みになりました。損益面におきましては、燃料費・原材料費の減少、その他経費の削減に努めた結果、前期を上回りました。

当事業部門においては、本年4月からの電力小売りの全面自由化に向けて、株式会社とっとり市民電力との業務提携を行い、電力販売事業に関する取組みを強化しております。将来の電力事業拡大に向けて、株式会社関電エネルギーソリューションと共同出資により設立した仙台パワーステーション株式会社が宮城県仙台市に石炭火力発電所の建設を開始しました。運転開始は2017年10月を予定しております。

また当事業部門はエネルギートレード部門、カーライフ部門、ホームライフ部門と連携して、既存取引先への電力供給の提案、またLPガスとのセット販売等、電力小売り販売の準備を進めております。

このような活動の結果、売上収益は424億6千3百万円(前期比22.2%の増加)、営業活動に係る利益は44億3千9百万円(前期比47.5%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は22億4千万円(前期比34.1%の増加)となりました。

(※2)電熱供給事業とは、電気及び発電時に発生する蒸気等を供給する事業です。

(※3)熱供給事業とは、熱源プラントから複数の建物、オフィスビル等に、冷房・暖房等に使用する冷水・温水を導管で供給する事業です。

 

4.エネルギートレード事業

当連結会計年度におけるエネルギートレード事業部門は、国内石油製品需要の構造的な減少傾向や、原油及び石油製品価格の急落、国内市況の低迷など、引き続き厳しい市場環境ではありましたが、新規取引の積み重ねや、各事業の特性を活かした事業ポートフォリオにより、事業部門としての収益の確保に努めました。

当事業部門の重点施策としております流通機能の強化・最適化につきましては、アドブルー(※4)供給拠点が北海道から沖縄まで全国20ヵ所へと拡大、アスファルト基地も全国12ヵ所となるなど、各事業・各エリアで安定した供給体制の構築と機能の拡充を図りました。また、産業用燃料販売におきましては、石油製品に加えて電力やLNGなどの多種多様な産業用エネルギーのご提案を展開し、お取引先のニーズを捉えた機能や取引の拡充に努めております。

さらに、当社グループの石炭火力発電所から排出される石炭灰を建材や道路材等に活用する事業、船舶からの廃油を回収し再生油として販売する事業、国内バイオジェット燃料の実用化に向けた取組みへの参画など、様々な新しい案件に積極的に取り組んでおります。

今後も、市場環境の変化に柔軟に対応した事業展開をグループ一体となり推進してまいります。

このような活動の結果、売上収益は969億8千7百万円(前期比50.3%の減少)、営業活動に係る利益は37億7千4百万円(前期比41.7%の増加)、当社株主に帰属する当期純利益は25億1千4百万円(前期比59.0%の増加)となりました。

(※4)アドブルー(AdBlue)とは、ディーゼル車の排気ガス中の窒素化合物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水です。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、投資活動に使用した資金の減少等により、前連結会計年度末と比較して46億4千万円増加の208億2千4百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は303億2千2百万円となりました。主な要因は、税引前利益150億4百万円、減価償却費等126億8百万円に加え、油価下落による売買所要資金の減少30億9千8百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は166億7千3百万円となりました。主な要因は、有形固定資産及び投資不動産並びに無形資産の売却による収入20億1千2百万円、有形固定資産及び投資不動産並びに無形資産の取得による支出122億9千8百万円、子会社の取得による支出16億9千万円、預け金増加による支出40億円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は90億5千9百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の返済による支出63億4千9百万円、配当金の支払いによる支出27億9百万円等によるものです。

 

(3)並行開示情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 2014年4月1日

至 2015年3月31日)

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

至 2016年3月31日)

 当社グループにおいては、取引の当事者として提供される財またはサービス自体の付加価値を高める機能を有し、取引に係る重要なリスクを負担している取引以外の取引について、日本基準では、売上高を計上し関連する売上原価を総額で認識しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が他社の代理人であると判断されるため、売上収益を純額で認識しております。

 この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べて、436,552百万円減少しております。

 当社グループにおいては、取引の当事者として提供される財またはサービス自体の付加価値を高める機能を有し、取引に係る重要なリスクを負担している取引以外の取引について、日本基準では、売上高を計上し関連する売上原価を総額で認識しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が他社の代理人であると判断されるため、売上収益を純額で認識しております。

 この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べて、347,984百万円減少しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの一部会社において、受注による製品の生産を行っているものの、これらの会社の生産実績および受注実績の連結売上原価、連結売上高に対する割合がそれぞれ僅少であるため、生産実績および受注状況については記載しておりません。また、仕入実績は、販売実績と概ね連動しているため記載を省略しております。

 当連結会計年度の販売実績(売上高)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

至 2016年3月31日)

前期比(%)

ホームライフ事業(百万円)

95,126

△14.8

カーライフ事業(百万円)

534,156

△16.4

電力・ユーティリティ事業(百万円)

43,495

12.3

エネルギートレード事業(百万円)

398,852

△31.7

報告セグメント計(百万円)

1,071,629

△22.0

その他(百万円)

0

△100.0

合計(百万円)

1,071,629

△22.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.売上高は、日本の会計慣行によるものであり、当社及び当社の子会社が契約当事者として行った取引額及び代理人等として関与した取引額の合計です。当該売上高はIFRSに基づく売上収益ではありません。

3【対処すべき課題】

足元の国内エネルギー業界におきましては、消費者意識の変化や省エネ・効率化の進展、少子高齢化に伴う長期的な需要減退等、厳しい事業環境に直面しております。それを受けた国内元売りの統合により、石油流通業界の卸・小売りに軸足を置く当社グループは、今まさにその真価が試されております。

また、国内電力・ガス小売りの全面自由化や欧米・アジア新興国の経済動向など、エネルギーを取り巻く状況は急速に変化しており、さらに加速することが予想されます。

このような環境下、当社グループは中期経営計画『Moving 2016「動く!」~明日(あした)にタネを蒔け!~』の基本方針に則り、成長戦略の実現を目指してまいります。

その取組みの一環として、本年4月に事業部門の組織改編を行い、ホームライフ部門、電力・ユーティリティ部門からなる「電力・ガス事業グループ」と、カーライフ部門、エネルギーイノベーション部門(旧エネルギートレード事業)からなる「エネルギー・流通事業グループ」の2事業グループ4部門の体制でスタートしました。恒常化する石油需要の減退とそれに伴う業界再編、さらには電力・ガス小売りの全面自由化による経営環境の変化を踏まえ、関連する事業分野を大きく集約することにより、戦略構築と事業展開の一体化・迅速化を図ってまいります。

そして、電力小売りの全面自由化にあたり、当社グループが展開する家庭向け電力販売のサービス名称を「eコトでんき!」とし、本年4月よりLPガス販売を行うグループ会社等を通じ、小売り販売を開始いたします。

一方、家庭向け電力販売を検討する事業者向けに電力の卸売・需給調整等のサービスも開始いたします。当社グループでは、バランシンググループ(※5)の形成を通じ、自治体・異業種事業者向けに小売電気事業支援サービスの提供を拡大してまいります。

(※5)バランシンググループとは、複数の小売電気事業者間で形成したグループの代表者が、グループ全体で電力の需要と供給のバランスを調整することにより、同時同量制度におけるインバランスリスクを低減させる仕組み。

 

中期経営計画の概要

 

1.計画名称:

 

 Moving 2016 「動く!」

~明日(あした)にタネを蒔け!~

 

2.期間  :2ヵ年(2015年度~2016年度)

3.基本方針:① 収益力の増強

② 長期成長戦略のためのタネ蒔き

③ 組織力と基礎体力の増強

4.定量計画(2016年度):① 営業活動に係る利益:175億円

② 当社株主に帰属する当期純利益:100億円

③ ROE:9.0%以上

 

2015年4月に本中期経営計画を策定しておりますが、環境の変化に伴う見直しを行った結果、2017年3月期の連結業績予想の内、営業活動に係る利益を当初計画の200億円から175億円に変更しております。但し、当社株主に帰属する当期純利益については、持分法による投資利益の向上、金利の低下による金融収支改善、法人税率の減少等の影響見込みにより当初計画より変更しておりません。

なお、投資(設備・関係会社株式等)に関しましては、中期経営計画にて2015年度~2016年度の2年間で350億円を見込んでおりましたが、2015年度で143億円の投資実績となり、2016年度も引き続き200億円を超える投資を行っていく方針であります。

 

(1)電力・ガス事業グループ

① ホームライフ部門

2015年度に引き続き、コアビジネスの強化・深耕を図ります。アクションプランとしては、直売顧客数の拡大、シリンダー卸の新規系列化・共納比率UP、機器販売並びにリフォーム事業のさらなる強化に努めます。

また、電力小売りの全面自由化に向けて、エネクス独自の電源を活用しながら、お客様にご満足いただけるセットメニューを充実させ、直売軒数を拡大してまいります。さらに、海外事業への進出や都市ガス事業への参画など、事業の幅を広げて中長期的な収益の柱を構築いたします。既にインドネシアにおいては産業用ガス事業において展望の基盤を整えており、今後アジアを中心に本格的な海外進出を図ってまいります。また2017年度からの都市ガス小売り全面自由化に向けて、都市ガス・LPガス・電力の地域戦略を検討し、総合的なエネルギー提案企業を目指します。

 

② 電力・ユーティリティ部門

本年4月の電力小売りの全面自由化により、電力市場は異業種からの新規参入及び同業他社の競争激化など厳しい環境が予想されます。

当部門は『社会に必要とされる「Prime PPS(※6)」』を目指し、これまで積み重ねた経験やノウハウを活かし、発電から販売までの一貫体制を強みとして事業の拡大を図ってまいります。

電熱供給事業の発電分野におきましては、安定運用に加え、再生可能エネルギーを含む新たな電源の開発による自社電源の拡充を推進してまいります。

電熱供給事業の販売分野の高圧向けにおきましては、北陸・沖縄エリアを除く8エリアにおいて電力販売を展開しております。各エリアにおいて様々な需要家に供給し、全体として販売規模の拡大と収益の最適化を目指してまいります。

熱供給事業におきましては、主事業である熱供給事業に加え、熱と電気の併給サービスやエリア毎のマネジメントサービス等、総合エネルギーサービス事業の強化を推進してまいります。

電力小売りの全面自由化を含むエネルギー業界の大きな構造変化に対し、当部門では環境の変化に対応しながら、事業の拡大を推進してまいります。

(※6)Primeとは、「(形)最初の、根本的な、主要な、最上の、優秀な(名)素数」を意味します。

PPS(Power Producer&Supplier)とは、特定規模電気事業者(新電力事業者)の略称です

 

(2)エネルギー・流通事業グループ

① カーライフ部門

原油価格の乱高下や次世代自動車の普及拡大、若者の車離れ、自動車利用世代人口の減少等により、石油需要の減少がさらに見込まれると認識しております。

当部門におきましては、コアビジネスであるCS関連事業に対して、新型POSによるマーケティング、ENEX ACTによる経営改善といったリテール戦略を中心に、「お客様に選ばれるブランド」構築を目指し、顧客数の維持・拡大を追求いたします。さらに、注力ビジネスである車関連事業については、一昨年に子会社化した国内有数の自動車販売会社である日産大阪販売株式会社を中心に、新車販売からアフターメンテナンスに至るまで、車のバリューチェーンを強化してまいります。

お客様に高付加価値の車生活(カーライフ)を提供していくことにより、「お客様に選ばれるカーライフビジネス」を構築することで、販売店及びグループ会社の収益力向上に努めてまいります。

 

② エネルギーイノベーション部門

当部門は2016年度より「エネルギートレード事業本部」から「エネルギーイノベーション部門」へと名称を変更いたしました。これは、変化し続ける事業環境の中で機能を活かして既存の事業基盤の強化を図るとともに、将来への布石となる案件を新たな切り口で開拓し、それらを事業として着実に積み重ねていくことで、外部環境の変化に対応する事業ポートフォリオのさらなる拡充を標榜するものです。

部門の枠にとらわれず、他部門や関係取引先との協働での案件も含め、国内・海外での事業展開の可能性を模索・検討し、グループに寄与する新たな収益基盤の構築を積極的に目指してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 現時点で当社グループの事業上のリスクの発生について、経営成績・財政状態及び株式価格等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクを以下のように把握し、未然防止や発生を回避するために具体的施策を講じ迅速な対応をしてまいります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

(1)業界動向及び競合によるリスク

当社グループを取り巻く石油、LPガス、電力販売等のエネルギー業界は、ガス事業法や電気事業法等の規制緩和、環境問題、少子高齢化問題等の要因による、新規参入業者の出現や同業者間の販売競争激化等によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、車販売事業(ディーラー)においては、自動車市場における急激な変化と激しい競争が繰り広げられております。今後においても業界動向等により更に競争が激化した場合は、自動車販売台数の減少や販売価格への影響により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)市況変動リスク

当社グループが取扱う石油製品価格は、原油価格や為替レートの変動等が直接影響する体系となっております。販売価格の変動に際しては、競合他社との関係や市況価格、価格転嫁に要するタイムラグ等に連動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、電力販売につきましても、燃料の需給動向、競合他社との関係や市況状況により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)不良債権に関するリスク

取引先の経営環境及び景気動向や内外の経済情勢により不良債権が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)大口需要家取引に関するリスク

当社グループは、数社の大口需要家と取引しております。何らかの要因による取引関係の悪化で売上高の減少や信用リスクの発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)投資リスク

当社グループでは、発電設備や物流施設をはじめとした様々な投資活動を行っております。当社では新規投資の実行については、投資基準を設けて意思決定すると共に、既存投資案件の実績フォローを定期的に行い、投資効率の改善を図ることで投資リスクの低減を図っております。しかしながら、予期せぬ外部環境の変動等諸条件の変化等による資産価値の下落、追加的な資金拠出、発電設備等に関わる計画外の修繕費用の発生等により、投資の全部または一部が損失となる等、当社グループの経営成績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(6)エネルギーに関する法規制及び政策についてのリスク

エネルギーに関する法規制及び政策の実施内容、進展状況によっては需要家や消費者のエネルギー需給動向への影響等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)金利変動によるリスク

当社グループは投資活動、営業取引に伴う資金の調達や運用において、金利変動リスクに晒されており、今後の金利変動により借入金利が上昇した場合には金融コストが増加し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)株価変動リスク

当社グループで保有する売却可能有価証券は、経済状況や株式相場の変動リスク等により公正価値が下落する場合には、当社の株主資本が減少するリスクが存在し、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(9)債券格付けの低下に関するリスク

当社は外部の格付機関より格付を取得しており、経営状況の悪化により、格付評価が低下した場合は社債等の直接的な資金調達に影響を及ぼす可能性があります。

(10)システム障害に関するリスク

当社グループが業務上運用している情報システムにおいて、自然災害や人為的・品質的な障害により受発注等を中心としたシステムに障害が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)個人情報漏えいなど情報管理に関するリスク

顧客を含めたステークホルダーの個人情報の管理、取扱いには当社グループにおいて社内規程等を整備し、細心の注意を払っておりますが、何らかの原因によりそれらの個人情報が漏えいした場合には、社会的信頼を失うとともに、企業イメージの低下を招くなど、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)土壌汚染など環境汚染に関するリスク

販売施設(CS等)及び油槽所については、燃料油流出による土壌汚染などの環境汚染問題が発生する可能性があります。当社グループにおいては、厳格な社内規程を設けて土壌汚染対策を実施しておりますが、何らかの原因で周辺環境へ与える影響が発生した場合には相応のコストも発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(13)天候の変動に関するリスク

冬季の暖房用エネルギーの中心である灯油・重油・LPガス・冷暖房用の電力・熱供給(冷水・温水)などの消費量は気候変動に密接に関係します。このため異常気象は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)事故・自然災害などに関するリスク

発電所事故等による大規模な停電、元売等石油製品の出荷基地における事故に起因する機能停止、地震等の自然災害、新型インフルエンザの流行等は、当社グループの営業活動に影響を与える可能性があります。当社では、予期せぬ事故・災害に対応するため、首都圏直下型の地震を想定したBCPの策定、停電対策等緊急時の対策を講じており、グループ会社においても個々に各種対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものでなく、事故・自然災害等の発生時には、当社グループの経営成績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(15)カントリーリスク

当社グループは、海外の様々な国・地域において取引及び事業活動を行っており、これらの国・地域の政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、現地法令・規則・税制の変更によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)退職給付費用及び退職給付債務に関するリスク

退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上の前提に基づき算出されておりますが、数理計算上の前提条件を変更する必要性が生じた場合、あるいは、証券市場の低迷により年金資産が毀損した場合等には、退職給付費用・退職給付債務の増加や年金資産の追加的支出が必要となる可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(17)繰延税金資産に関するリスク

連結財務諸表において、資産側に計上される繰延税金資産は金額上重要性があり、当社グループは、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、実現可能な繰延税金資産を計上しております。

しかしながら、タックス・プランニングにおける課税所得の見積りの変動及びタックス・プランニングの変更、あるいは税率変動等を含む税制の変更等があった場合には、繰延税金資産が増減する可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比198億4千4百万円減少し1,378億6千5百万円となりました。その主要因は、国内石油製品価格の下落等により営業債権が減少したことによるものであります。

(非流動資産)

当連結会計年度末における非流動資産の残高は、前連結会計年度末比51億6千2百万円減少し1,661億8千8百万円となりました。その主要因は、持分法で会計処理されている投資における評価等による減少、及び法定実効税率の変更等に伴う繰延税金資産の減少によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比374億4千6百万円減少し1,119億9千7百万円となりました。その主要因は、国内石油製品価格の下落等により営業債務が減少したことによるものであります。

(非流動負債)

当連結会計年度末における非流動負債の残高は、前連結会計年度末比82億2千5百万円増加し748億9千4百万円となりました。その主要因は、電熱供給事業に関連するプロジェクトファイナンスの実行により長期借入金が増加したことによるものであります。

(資本)

当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末比42億1千5百万円増加し1,171億6千2百万円となりました。その主要因は、利益剰余金及び非支配持分の増加等によるものであります。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

(売上収益)

石油製品流通業界におきましては、原油価格が前期に急落し、一旦上昇に転じるも石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなどにより、石油製品市況は再び下落基調となりました。国内の石油製品需要は引き続き減少傾向にあり、販売数量は前期の消費増税による買い控えの反動や燃料油価格下落の影響があったものの、暖冬の影響などを受け、前期を下回りました。

電力市場におきましては、原油価格下落に伴うLNG等原料費の下落や原子力発電所再稼働などの影響によりスポットの平均価格は前期を下回りました。

このような状況のもと、当連結会計年度における売上収益は、前連結会計年度に比して2,131億9千6百万円減少し、7,236億4千5百万円となりました。主要因は、原油価格の下落に伴う価格影響等によるものであります。

(売上総利益)

売上総利益は、前連結会計年度に比して38億4千2百万円増加し、895億6千2百万円となりました。主要因は、電熱供給事業の販売量の大幅増加による増益、前期に取得しました大阪カーライフグループ株式会社の利益が寄与、またエネルギートレード事業部門の特性を活かした事業ポートフォリオによる収益確保ができたことによる増益等によるものであります。

(営業活動に係る利益)

営業活動に係る利益は、前連結会計年度に比して32億8千4百万円増加し、163億8千4百万円となりました。主要因は、売上総利益の増益によるものであります。

(税引前利益)

税引前利益は、前連結会計年度に比して28億4千9百万円増加し、150億4百万円となりました。主要因は、営業利益の増益によるものであります。

(当社株主に帰属する当期純利益)

当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比して19億6千5百万円増加し、74億6千9百万円となりました。主要因は、税引前利益の増益によるものであります。

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

「4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

(5)経営戦略の現状と見通し

① 会社の経営の基本方針

  当社グループは、「社会とくらしのパートナー ~エネルギーと共に・車と共に・家庭と共に~」を経営理念とし、半世紀以上に亘り石油製品・LPガスを中心としたエネルギーを全国のお客様へお届けしてまいりました。エネルギーそのものが変わっても、それをお届けする方法が変わっても、ご利用いただくお客様がいる限り、社会とくらしのパートナーとして私たちはお客様に最適なエネルギーをお届けしてまいります。

  また、エネルギーを取り扱う当社グループにとって、常に変わることのない重要テーマとして掲げている環境への配慮や、保安強化などCSR・コンプライアンス機能の充実を図り、持続的な社会の発展に貢献してまいります。

② 中長期的な会社の経営戦略

  当社グループは、中期経営計画『Moving 2016 「動く!」~明日(あした)にタネを蒔け!~』の基本方針である「収益力の増強」「長期成長戦略のためのタネ蒔き」「組織力と基礎体力の増強」に則り、成長戦略の実現を目指してまいります。計画等につきましては、「3.対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

「1.業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(7)経営者の問題意識と今後の方針

「3.対処すべき課題」に記載のとおりであります。